JPH11106273A - 緩効性加里肥料 - Google Patents

緩効性加里肥料

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JPH11106273A
JPH11106273A JP10225075A JP22507598A JPH11106273A JP H11106273 A JPH11106273 A JP H11106273A JP 10225075 A JP10225075 A JP 10225075A JP 22507598 A JP22507598 A JP 22507598A JP H11106273 A JPH11106273 A JP H11106273A
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slow
sio
cao
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Application number
JP10225075A
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English (en)
Inventor
Tatsuto Takahashi
達人 高橋
Makoto Kato
誠 加藤
Yasuko Yao
泰子 八尾
Kenji Matsubara
健次 松原
Minoru Hosoda
実 細田
Akira Yamaguchi
明良 山口
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05DINORGANIC FERTILISERS NOT COVERED BY SUBCLASSES C05B, C05C; FERTILISERS PRODUCING CARBON DIOXIDE
    • C05D1/00Fertilisers containing potassium

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶出速度が経時的に変わらず、かつ、適度の
溶解性を有する緩効性加里肥料を提供すること。 【解決手段】 K2 O、SiO2 、Al2 3 を含有
し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet Oからなる
群から選ばれた1種又は2種以上を含有するガラス化物
からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、SiO2
Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet Oの合計
量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率の合計が4
0モル%以上であることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は緩効性の加里肥料に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年の農業においては、栽培方法の変化
や省力化の必要性などにより、1回の施肥で長期間にわ
たって作物を成育させることができる肥料、すなわち土
壌中で徐々に溶出して肥効が長期間持続する肥料(緩効
性肥料)が要望されるようになってきた。緩効性肥料と
しては各種のものが提案されたり、あるいは製造された
りしている。そして、加里を含む緩効性の肥料について
は、肥料の3要素である窒素(N)や燐酸(P2 5
との組合せによるものと、加里(K2 O)だけを含むも
のとがある。
【0003】3要素成分のうち加里だけを含む緩効性肥
料の一つとして、水には難溶であるが、クエン酸には溶
解する加里分を含み、加里分が土壌中で徐々に溶出する
ようにしたものがある。このような緩効性加里肥料につ
いては、例えば、特開昭55−51785号公報にその
記載がある。特開昭55−51785号公報において
は、火力発電所の排ガス集塵装置から回収されるフライ
アッシュに炭酸加里や苛性加里などの加里源を加え、こ
の配合原料を800〜1100℃で焼成し、固相反応に
よってフライアッシュ成分と加里分を化合させて得た緩
効性加里肥料に関する記載がある。
【0004】この緩効性加里肥料は、フライアッシュと
加里源を原料としているため、K2OとSiO2 を主成
分とし、この両者にAl2 3 、アルカリ土類金属酸化
物、Fe2 3 などが結合した結晶化物を主とするもの
であり、水溶性の加里化合物を上記フライアッシュ成分
と化合させることによって、加里分の大部分を、水には
難溶で、クエン酸には溶解する状態にしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、緩効性
肥料は土壌中で徐々に溶出して肥効が長期間持続するこ
とを要件とするものであるが、更に、肥料成分が適量ず
つ定量的に溶出し、その溶出量が経時的に変化しないこ
とが望ましい事項である。
【0006】しかし、上記のような焼成処理をして得た
緩効性加里肥料については、溶解特性が上記のような望
ましいものであるとは言えず、その改善が望まれてい
る。
【0007】この緩効性加里肥料は、主成分であるK2
OとSiO2 に、Al2 3 又はアルカリ土類金属酸化
物又はFe2 3 などが結合した各種の結晶化物よりな
るものであって、これらの結晶化物はそれぞれ溶解性が
異なっている。このため、焼成処理して得た緩効性加里
肥料は、溶けやすいもの、溶けにくいものなど、溶解性
が異なるものの混合物である。このような肥料を施肥す
ると、肥料成分の溶出量が初期の段階において多く、時
間の経過に従って低下する。このため、肥料成分の定量
供給が行われず、作物によっては、肥効が長期間持続す
ると言う緩効性肥料に対する要求が満たされなくなるこ
とがある。
【0008】更に、焼成処理して得た緩効性加里肥料
は、フライアッシュを原料とするものであるため、原料
に由来するSi、Al、Fe、Ca、Mgなどのような
加里以外の成分の含有率が変化すると、生成する結晶化
物が異なったものになるので、結晶化物の種類やそれら
の存在割合が変わってくる。このため、加里以外の成分
の含有率によって、溶解性が大幅に変わってしまう。そ
して、適度の緩効性を有するものを製造しようとする場
合には、加里以外の成分の含有率が特定の狭い範囲に限
定される。
【0009】本発明は、溶出速度が経時的に変わらず、
かつ、適度の溶解性を有する緩効性加里肥料を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第一の発明は、K2 O、SiO2 、Al2 3
含有し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet Oから
なる群から選ばれた1種又は2種以上を含有するガラス
化物からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、SiO
2 、Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet Oの
合計量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率の合計
が40モル%以上であることを特徴としている。
【0011】第二の発明は、K2 O、SiO2 、Al2
3 を含有し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet
Oからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含有する
ガラス化物からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、
SiO2 、Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fe
t Oの合計量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率
の合計が40モル%以上60モル%以下、CaO、Mg
O、MnO、及びFe t Oからなる群から選ばれた1種
又は2種以上の含有率の合計が25モル%以上60モル
%未満であることを特徴としている。
【0012】第三の発明は、K2 O、SiO2 、Al2
3 を含有し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet
Oからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含有する
ガラス化物からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、
SiO2 、Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fe
t Oの合計量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率
の合計が40モル%以上50モル%以下、CaO、Mg
O、MnO、及びFe t Oからなる群から選ばれた1種
又は2種以上の含有率の合計が25モル%以上60モル
%未満であることを特徴としている。
【0013】第四の発明は、第一の発明〜第三の発明に
おいて、K2 O、SiO2 、Al23 、CaO、Mg
O、MnO、Fet Oの合計量に対して、K2 Oの含有
率が5モル%以上30モル%以下であることを特徴とし
ている。
【0014】なお、本発明において、Fet Oとは、F
eO及びFe2 3 を包括的に含む鉄酸化物の総称であ
る。又、各成分の含有率を示すモル%とは、K2 O、S
iO 2 、Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet
Oの各分析値(重量%)をモル含有量に換算した値の合
計を100モル%とし、これに対する割合を表したもの
である。又、マンガンの酸化物は、通常、MnOである
が、本発明に含まれるマンガンは必ずしも2価に限定さ
れるものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。
【0016】上記のように、本発明の緩効性加里肥料
は、原料を溶融処理することによって得られるものであ
り、ガラス化された状態になっているもの(以下、ガラ
ス化物と言う)であるので、全体が同質の組成物であ
る。このため、溶解性などの特性のバラツキが非常に小
さく、肥料としての性能が安定化した物質である。
【0017】本発明者らは、上記のような組成を有する
多成分系のガラス化物である本発明の緩効性加里肥料の
成分範囲を限定するに当たり、生成物の性状(ガラス化
物、結晶化物)や生成物の溶解性に及ぼす上記各成分の
係わりについて検討した。この検討は原料配合を変えて
試作した各種のガラス化物の組成に基づいて行った。
【0018】まず、ガラス化物がK2 O−CaO−Si
2 系のものであるとして、3成分系の状態図を作成
し、組成と性状及び溶解性との関係を調べたところ、多
量に含まれているMgO、MnO、Fet Oなどの酸化
物の存在を無視したため、各組成物の組成と溶解性との
関係が不明確となり、本発明の肥料に係る組成範囲を特
定することができなかった。
【0019】次いで、CaO、MgO、MnO、Fet
Oなどの金属酸化物を1成分相当(MeO)と仮定し、
2 O−MeO−SiO2 の3成分系の状態図を作成
し、上記同様の検討を行ったところ、ガラス化物である
べきものと、結晶化物であるべきものとの組成の境界が
不明確になり、ガラス化物である本発明の肥料に係る組
成範囲を明確に特定することができなかった。
【0020】そして、上記と同様に、CaO、MgO、
MnO、Fet Oなどの金属酸化物を1成分相当(以
下、MeOと記す)と仮定すると共に、SiO2 とAl
2 3を1成分相当と仮定し、K2 O−MeO−(Si
2 +Al2 3 )の3成分系の状態図を作成したとこ
ろ、ガラス化物と結晶化物との組成の境界が明確になっ
た。又、組成と溶解性との関係も明確になった。
【0021】このため、本発明においては、本発明の肥
料がK2 O−MeO−(SiO2 +Al2 3 )系のも
のであるとした。この結果、上記した本発明に係る肥料
の組成範囲を図示すれば、図1及び図2の通りになる。
【0022】まず、図1において、本発明に係る肥料の
組成範囲はa点、b点、c点で囲まれた三角形の領域で
ある。この領域における組成物はガラス化物であり、全
体が同質の物質である。このため、溶出速度が経時的に
変わらない状態で推移する傾向を示す。
【0023】そして、より好ましい組成範囲はb点、d
点、e点、f点で囲まれた台形の領域である。上述のよ
うに、ガラス化物の緩効性加里肥料は、溶出速度が経時
的に変わらない傾向を示すものであるが、原料に由来す
る3要素以外の成分の含有率が大幅に変動すると、溶出
速度に及ぼす影響が生じ、溶出速度が小さいものが生成
したり、あるいは、逆に溶出速度が大きいものが生成し
たりする。そこで、本発明の緩効性加里肥料において
は、原料に由来する3要素以外の成分を適切な範囲に限
定することによって、加里分の溶出が長期間持続し、そ
の溶出量が適宜に維持されるようにした。
【0024】更により好ましい組成範囲は上記台形の中
の斜線を付した領域である。この領域における組成物は
加里分を適切な範囲に限定したものである。
【0025】又、図2には、比較的大きな溶出速度を有
し、特定の用途に供するのが好適なものの組成範囲を示
す。
【0026】なお、図1及び図2におけるK2 O、Me
O、(SiO2 +Al2 3 )はそれぞれモル%で示
す。
【0027】以下、図1及び図2に基づき、第一から第
四の発明について定量的に説明する。図1において、図
1に示した組成範囲は、本発明者らの研究結果に基づい
たものであり、上記のような多成分よりなる物質がガラ
ス化物として存在するためには、(SiO2 +Al2
3 )の含有率が40モル%以上であることが必要であ
る。しかし、(SiO2 +Al2 3 )の含有率が60
モル%を超える組成物になると、溶解性の低下が認めら
れるようになるので、(SiO2 +Al2 3 )の含有
率は40〜60モル%程度であるのが望ましい。
【0028】又、MeOの含有率も溶出速度に影響を及
ぼすので、適度の溶出速度を有するためには、MeOの
含有率を25モル%以上程度の範囲にするのが望まし
い。MeOの含有率が25モル%未満になると、溶出速
度が小さくなる傾向になる。そして、MeOの含有率は
上限値が60モル%未満である。これは、ガラス化物が
得られる範囲(SiO2 +Al2 3 ≧40モル%)に
おいては、60モル%以上のMeOは存在し得ないため
である。
【0029】又、本発明の肥料におけるK2 Oの含有率
は5〜30モル%程度であるのがよい。K2 Oの含有率
が5モル%より少ないものは施肥量が多量になるので好
ましくない。又、K2 Oの含有率が高過ぎると、溶出速
度が大きくなる傾向にあるので、K2 Oの含有率は30
モル%を超えない範囲であるのが望ましい。
【0030】そして、更に、比較的大きな溶出速度を有
することが要求される用途に供するもの、例えば、追肥
用や短期作物用の用途に供するものにあっては、溶出速
度を大きくするために、(SiO2 +Al2 3 )含有
率を50モル%以下にし、図2に示すように、g点、h
点、i点、j点で囲まれた範囲の組成にするのが適当で
ある。
【0031】このように、本発明の緩効性加里肥料は、
2 Oと、このK2 Oをガラス化させるための成分であ
る(SiO2 +Al2 3 )と、適度の溶解性を付与す
るための金属酸化物であるMeOよりなるガラス化物を
主とするものであり、上記のように区分された成分の含
有率が上記の範囲内になるように調整されたものであ
る。このような緩効性加里肥料を製造する場合、(Si
2 +Al2 3 )やMeO成分の原料の一つとして、
金属製錬の際に排出されるスラグ類を使用することがで
きる。そして、上記スラグ類のうち、製鉄所の高炉から
排出された溶銑を脱珪処理した際に生ずるスラグ(脱珪
スラグ)は上記各成分を適度に含んでいるので、特に好
ましい原料である。
【0032】
【実施例】以下に記す実施例1〜実施例3及び比較例の
試験においては、生成物の緩効性の度合い(溶解性の度
合い)を示す指標を得るために、肥料分析法に基づいた
水溶性の加里分(水に溶解する加里分)と、ク溶性の加
里分(クエン酸の2%水溶液に溶解する加里分)の分析
を行った。なお、生成物中にク溶性の加里分と水溶性の
加里分の双方が含まれているものを分析した場合には、
水溶性加里の分析値はク溶性加里の分析値の内数とな
る。
【0033】(実施例1)脱珪スラグに炭酸加里を加え
て調合した原料を白金坩堝に入れて1500℃で溶融し
た後、冷却して固化させ、加里を含有する固化物を得
た。この処理を、原料の配合割合を変えて2回行った。
ここで得られた固化物の組成及び性状を表1(A1〜A
2)に示し、加里分の溶解性に係る分析結果を表2(A
1〜A2)に示す。表中、分析値欄のFeOは、T・F
eとして得た分析値をFeOの形態で存在しているもの
として換算した値である。しかし、2価の形態以外のも
のが存在していることもあり得る。又、モル%は、次の
ようにして求めた値である。まず、分析値欄に重量%で
示されている各成分の値をモル含有量に換算し、この各
成分のモル含有量の合計値を求め、この合計値に対する
各成分のモル含有量の割合を求めた。
【0034】表1に示す組成の固化物をX線回折によっ
て調べたところ、何れについても、特定の結晶ピークを
示さずX線回折的にガラスであった。又、加里分の溶解
性については、表2に示すように、水溶性の加里分(W
−K2 O)は僅かで大部分がク溶性の加里分(C−K2
O)であり、徐々に溶出する緩効性肥料の状態になって
いた。
【0035】(実施例2)脱珪スラグに炭酸加里を加
え、更にアルミナを加えて調合した原料を白金坩堝に入
れて1500℃で溶融した後、冷却して固化させ、加里
を含有する固化物を得た。この処理を、原料の配合割合
を変えて3回行った。ここで得られた固化物の組成及び
性状を表1(A3〜A5)に示し、加里分の溶解性に係
る分析結果を表2(A3〜A5)に示す。
【0036】これらの固化物をX線回折によって調べた
ところ、何れについても、特定の結晶ピークを示さずX
線回折的にガラスであった。又、加里分の溶解性につい
ては、表2に示すように、水溶性のものは僅かで大部分
がク溶性の加里分(C−K2O)であり、徐々に溶出す
る緩効性肥料の状態になっていた。
【0037】(実施例3)炭酸加里にシリカ及び炭酸カ
ルシウムを配合した原料を白金坩堝に入れて1500℃
で溶融した後、冷却して固化させ、加里を含有する固化
物を得た。この処理を2回行った。固化物の組成及び性
状を表1(A6〜A7)に示し、加里分の溶解性に係る
分析結果を表2(A6〜A7)に示す。
【0038】表1(A6〜A7)に示す組成の固化物を
X線回折によって調べたところ、何れについても、特定
の結晶ピークを示さずX線回折的にガラスであった。し
かし、表2に示すように、加里分の分析結果において
は、ク溶率(T−K2 Oに対するC−K2 Oの割合)が
実施例1及び実施例2の場合より低く、加里分の一部が
溶けにくい状態になっていた。この組成を実施例1及び
実施例2の場合の組成と比べてみると、(SiO2 +A
2 3 )の含有率が非常に高く、(SiO2 +Al2
3 )の含有率がこの付近より高くなると、溶解性が低
下する傾向になるものと判断される。
【0039】(比較例1)脱珪スラグに炭酸加里を加
え、更に生石灰を加えて調合した原料を1500℃で溶
融した後、冷却して固化させ、加里を含有する固化物を
得た。固化物の組成及び性状は実施例の結果と共に表1
(B1)に示し、加里分の溶解性に係る分析結果を表2
(B1)に示す。
【0040】表1(B1)に示す組成の固化物をX線回
折によって調べたところ、結晶質のものであり、K2
・CaO・SiO2 、2K2 O・CaO・3SiO2
3CaO・2SiO2 の鉱物よりなるものであった。表
1(B1)に示す組成を実施例1及び実施例2の場合の
組成と比べると、(SiO2 +Al2 3 )の含有率
(モル%)が低く、これがガラス化物にならなかった原
因であろうと判断される。
【0041】そして、加里分の分析結果においては、表
2(B1)に示すように、水溶性の加里分(W−K
2 O)がガラス化物を得た実施例の場合より高い値にな
った。このため、この固化物は緩効性加里肥料としては
好ましいものではないと判断された。
【0042】なお、上記の実施例1〜実施例3及び比較
例1で得た固化物の組成は表1に記載してあるが、これ
らの組成のうち、K2 O−MeO−(SiO2 +Al2
3)の3成分については図1にも記した。図中、○は
実施例で得た固化物の組成を示す点、●は比較例で得た
固化物の組成を示す点である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】(実施例4)組成の異なる4種類の脱珪ス
ラグと炭酸加里を原料とし、実施例1の場合と同様の方
法によって溶融処理した後、溶融物を急冷して固化さ
せ、加里を含有する4種類の固化物を得た。これらの固
化物の組成は表3に示す。又、固化物をX線回折によっ
て調べたところ、何れも特定の結晶ピークを示さずX線
回折的にガラスであった。従って、加里分のク溶率及び
水溶率は実施例1から実施例3に示す範疇の値であっ
た。
【0046】次いで、上記の固化物を長時間にわたって
液中に浸漬した場合を想定した溶出試験を行い、K2
の溶出傾向を調べた。溶出試験は振とう法で実施した。
振とう法によれば、溶出が促進され、長時間にわたって
液中に浸漬した場合と同様の傾向を示す結果が得られ
る。
【0047】まず、各固化物を破砕し、篩い分けして2
〜4mmの試料にした。この試料0.5gを遠心管に入
れ、2%クエン酸アンモニウム溶液(pH5)を10ml
加えた。遠心管を往復振とう機にかけて15分間浸出処
理した後、遠心分離して上澄み液だけを採取した。この
液中のK2 O量を原子吸光法により測定した。さらに、
遠心管中に残っている残渣に、再び2%クエン酸アンモ
ニウム溶液10mlを加えて、上記と同じ浸出処理を行
い、上澄み液中のK2 O量を測定した。そして、上記の
浸出処理操作を16回繰り返して実施し、その都度、上
澄み液中のK2 O量を測定した。なお、各回の浸出処理
で得た上澄み液中のK2 O量を累積し、この累積値を試
験試料中のK2 O含有量に対する比率として求めたもの
を各回のK 2 O溶出率とした。浸出処理は約20℃で行
なった。
【0048】溶出試験の結果は図3に示すごとくであっ
た。図3は浸出処理回数とK2 O溶出率の関係を示し、
図中の曲線ア〜エはそれぞれ表3に記載してある試料ア
〜エの溶出曲線である。図3によれば、各試料から溶出
するK2 Oの絶対量はそれぞれ異なっているが、何れの
試料においても、溶出率は直線的に上昇しており、K 2
Oの溶出速度はほぼ一定であった。
【0049】図3に示す試験結果から、供試した試料ア
〜エを溶出特性で区分すると、試料ア、試料イと試料
ウ、及び試料エの3グループに区分けされる。すなわ
ち、試料エは溶出速度が小さく、溶出が非常に長期にわ
たって持続するので、水稲の元肥などの用途に向けるの
が適当なものであると思われる。又、試料イ及び試料ウ
は溶出速度が試料エより大きく、水稲の追肥用や短期作
物用などの用途に向けるのが適当なものであると思われ
る。そして、試料アは溶出速度が大きいので、畑作用の
用途に向けるのが適当なものであると思われる。
【0050】このように、用途を追肥用や短期作物用に
限定した場合、その緩効性加里肥料は、試料ア、又は試
料イ、又は試料ウに類似する組成範囲のものでなければ
ならない。図2は溶出試験に供試した試料ア〜エの組成
を示した図である。この図のように、追肥用や短期作物
用などに用途限定される緩効性加里肥料は、(SiO 2
+Al2 3 )が40〜50モル%の範囲に調整された
ものであることを要する。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明は、K2 OとSiO2 又はK2
とSiO2 とAl2 3 を含有し、さらにCaO、Mg
O、MnO、Fet Oからなる群から選ばれた1種又は
2種以上を含有するガラス化物からなる緩効性加里肥料
であって、SiO2 とAl2 3 の合計含有率及びCa
O、MgO、MnO、Fet Oなどの金属酸化物の合計
含有率を適切な範囲に定めたものであるので、溶出速度
が経時的に変化せず、肥料成分を定量的に供給すること
ができると共に、溶解性が適度に維持され、肥効が長期
間にわたって持続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る肥料の組成範囲を示す図である。
【図2】本発明に係る肥料のうち、追肥用や短期作物用
などに用途に限定されるものの組成範囲を示す図であ
る。
【図3】本発明に係る肥料の溶出試験結果を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 健次 神奈川県川崎市川崎区南渡田町一丁目1番 日本鋼管テクノサービス株式会社内 (72)発明者 細田 実 神奈川県川崎市川崎区南渡田町一丁目1番 日本鋼管テクノサービス株式会社内 (72)発明者 山口 明良 愛知県名古屋市昭和区御器所町 名古屋工 業大学内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 K2 O、SiO2 、Al2 3 を含有
    し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet Oからなる
    群から選ばれた1種又は2種以上を含有するガラス化物
    からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、SiO2
    Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet Oの合計
    量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率の合計が4
    0モル%以上であることを特徴とする緩効性加里肥料。
  2. 【請求項2】 K2 O、SiO2 、Al2 3 を含有
    し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet Oからなる
    群から選ばれた1種又は2種以上を含有するガラス化物
    からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、SiO2
    Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet Oの合計
    量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率の合計が4
    0モル%以上60モル%以下、CaO、MgO、Mn
    O、及びFet Oからなる群から選ばれた1種又は2種
    以上の含有率の合計が25モル%以上60モル%未満で
    あることを特徴とする緩効性加里肥料。
  3. 【請求項3】 K2 O、SiO2 、Al2 3 を含有
    し、さらにCaO、MgO、MnO、Fet Oからなる
    群から選ばれた1種又は2種以上を含有するガラス化物
    からなる緩効性加里肥料であって、K2 O、SiO2
    Al2 3 、CaO、MgO、MnO、Fet Oの合計
    量に対して、SiO2 とAl2 3 の含有率の合計が4
    0モル%以上50モル%以下、CaO、MgO、Mn
    O、及びFet Oからなる群から選ばれた1種又は2種
    以上の含有率の合計が25モル%以上60モル%未満で
    あることを特徴とする緩効性加里肥料。
  4. 【請求項4】 K2 O、SiO2 、Al2 3 、Ca
    O、MgO、MnO、Fet Oの合計量に対して、K2
    Oの含有率が5モル%以上30モル%以下であることを
    特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の緩効性
    加里肥料。
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