JP2000290090A - 緩効性カリ肥料 - Google Patents

緩効性カリ肥料

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JP2000290090A
JP2000290090A JP11073715A JP7371599A JP2000290090A JP 2000290090 A JP2000290090 A JP 2000290090A JP 11073715 A JP11073715 A JP 11073715A JP 7371599 A JP7371599 A JP 7371599A JP 2000290090 A JP2000290090 A JP 2000290090A
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crystal
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Tatsuto Takahashi
達人 高橋
Norio Isoo
典男 磯尾
Takeshi Kawashima
健 川島
Etsuo Hamada
悦男 浜田
Yasuko Yao
泰子 八尾
Kenji Matsubara
健次 松原
Minoru Hosoda
実 細田
Takashi Akiyama
堯 秋山
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05GMIXTURES OF FERTILISERS COVERED INDIVIDUALLY BY DIFFERENT SUBCLASSES OF CLASS C05; MIXTURES OF ONE OR MORE FERTILISERS WITH MATERIALS NOT HAVING A SPECIFIC FERTILISING ACTIVITY, e.g. PESTICIDES, SOIL-CONDITIONERS, WETTING AGENTS; FERTILISERS CHARACTERISED BY THEIR FORM
    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
    • C05G5/40Fertilisers incorporated into a matrix

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  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い組成範囲で安定した緩効性を発揮するこ
とができる緩効性カリ肥料を提供すること。 【解決手段】 KO、SiO、およびCaOを必須
成分とし、Al、MgO、MnO、FeOを選
択成分とし、KO−CaO−SiO系の結晶と、K
Oを含むガラス体とを主体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緩効性カリ肥料に
関する。
【0002】
【従来の技術】植物の生育にとって肥料は欠かせないも
のであり、中でも窒素、燐酸、カリウムは三大成分とし
て育成に合わせて施肥される。このような肥料は土壌に
施され、灌水に溶解し植物の根から少しずつ時間をかけ
て吸収される。
【0003】しかし、植物の吸収は数日から数週間かけ
て行われるので、この間に吸収されずに流れ去ってしま
うものもある。水に溶けやすい肥料ではこのように流れ
去る分が多く、このような肥料では少量ずつ何回も手間
をかけて施肥する必要があった。
【0004】そこで、このような手間を省くことが可能
なように、近年、1回の施肥で長期間にわたって作物を
育成することができる肥料、すなわち土壌中で徐々に溶
出して肥効が長期間持続する肥料(緩効性肥料)が要望
されるようになってきた。
【0005】緩効性肥料としては、上記三大肥料要素を
単独に含むものや複合して含むもの、あるいは補助要素
を同時に含むもの等種々のものが提案され、製造されて
いる。これら三大肥料の中でも、カリウムは、生育の初
期には少量でよいが、結実期には多量に必要とされ、緩
効性カリ肥料が重要視されている。
【0006】従来から、緩効性カリ肥料として、水に対
して難溶であるが植物の根から分泌するクエン酸水溶液
には溶けるク溶性カリ肥料が用いられている。なお、ク
溶とは2wt%クエン酸水溶液に可溶であることをい
う。このような水に難溶なク溶性カリ肥料は、灌水によ
る流出が防止されるとともに、根から分泌されるクエン
酸には溶解するので、根の発育にともなって分泌するク
エン酸が増加するに従い、その吸収量も増加する。した
がって、理想的な緩効性を示す。
【0007】このようなク溶性の緩効性カリ肥料として
は、例えば、特開昭55−5785号公報に開示された
ものがある。この公報には、火力発電所の排ガス集塵装
置から回収されるフライアッシュに炭酸カリや苛性カリ
などのカリウム源を加え、この配合原料を800から1
100℃で焼成し、固相反応によってフライアッシュ成
分とカリウム分とを化合させたク溶性の緩効性カリ肥料
が示されている。
【0008】この緩効性カリ肥料は、フライアッシュと
カリウム源とを主成分とし、この両者にAl、ア
ルカリ土類金属酸化物、Feなどが結合した焼結
体であり、KOを22%程度含み、KOが高い比率
でク溶化されており、水溶性のKOがわずかしか存在
せず、良好な緩効性を示すことが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような緩
効性カリ肥料は、焼結により製造されるものであり、固
相反応により結晶化されるものであるから、均一に反応
しにくい。そのため、その焼成条件や原料であるフライ
アッシュの組成等が変化すると、生成する結晶の種類、
存在割合、得られる結晶の結晶性等が大きく変化し、そ
れにともなって溶解性が大幅に変化する。したがって、
適度な緩効性を有するものを製造しようとする場合に
は、カリ以外の原料の組成および焼成条件を厳密に制御
する必要があり、製造しにくいという問題点がある。
【0010】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、広い組成範囲で安定した緩効性を発揮する
ことができる緩効性カリ肥料を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1発明は、KO、SiO、およびCaOを必
須成分とし、Al、MgO、MnO、FeOを
選択成分とし、KO−CaO−SiO系の結晶と、
Oを含むガラス体とを主体とすることを特徴とする
緩効性カリ肥料を提供する。
【0012】第2発明は、第1発明において、溶融状態
から固化されたことを特徴とする緩効性カリ肥料を提供
する。
【0013】第3発明は、第2発明において、溶融金属
存在下で溶融スラグにカリ源を加えて固化されたことを
特徴とする緩効性カリ肥料を提供する。
【0014】第4発明は、第1発明ないし第3発明のい
ずれかにおいて、KO、SiO、Al、Ca
O、MgO、MnOおよびFeOの合計量に対して、
SiOとAlとの和が20〜70モル%であ
り、KOが5〜30モル%であり、CaO、MgO、
MnOおよびFeOの和が75モル%以下であること
を特徴とする緩効性カリ肥料を提供する。
【0015】第5発明は、第1発明ないし第4発明のい
ずれかにおいて、前記KO−CaO−SiO系の結
晶は、KO・2CaO・2SiOであることを特徴
とする緩効性カリ肥料を提供する。
【0016】なお、本発明において、FeOは、鉄酸
化物の総称であって、FeOおよびFeの両方を
含むものである。また、マンガン酸化物は、通常、Mn
Oであるが、本発明では水に難溶であればマンガンは必
ずしも2価に限定されるものではない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明においては、KO、SiO、および
CaOを必須成分とし、Al、MgO、MnO、
FeOを選択成分とする緩効性カリ肥料を前提とし
て、KO−CaO−SiO系結晶と、KOを含む
ガラス体とを主体とすることを要件とする。
【0018】このような成分系においては、組成や溶融
後の冷却条件等によって、種々の結晶が晶出する可能性
がある。そして、このようにして晶出する結晶として
は、水に溶解しやすいものと溶解し難いものとが存在す
る。すなわち、結晶によって水への溶解性が異なる。本
発明では結晶として、実質的に、KOを含むKO−
CaO−SiO系結晶のみを存在させ、KOを含む
ガラス体と共存させるが、このような状態においては比
較的水に溶解し難い結晶が晶出されることが判明した。
【0019】したがって、本発明の肥料では、晶出する
O含有結晶の水への溶解性が比較的低く、かつK
Oを含むガラス体の存在によりKOがより緩やかに溶
解するため、KO肥料として適切な緩効性を示す。ま
た、肥料を構成する結晶の結晶系が固定的であるため、
安定性が高く、広い組成範囲で緩効性を発揮させること
ができる。さらに、結晶とガラス体との混合体であるか
ら、全てガラス化または結晶化するよりも製造が容易で
ある。
【0020】このような結晶およびガラス体を存在させ
るためには、典型的には、原料を一旦溶融させてから冷
却することにより一部を結晶化させる。本発明の成分系
の場合には、溶融した後の冷却過程で、CaO−SiO
系の結晶と、KO−CaO−SiO系結晶が晶出
しやすいが、本発明においては、CaO−SiO系の
結晶は析出させずに、KO−CaO−SiO系結晶
を析出させる。そして、MgO、MnOおよびFeOの
他の2価金属の酸化物は、CaOのサイトに置換固溶し
てこれらの結晶に入り込むか、または水に溶解し難い結
晶構造の一部を構成するものと考えられる。
【0021】KOを含むKO−CaO−SiO
結晶としては、KO・CaO・SiO、2KO・
CaO・3SiO、KO・3CaO・6SiO
2K O・CaO・6SiO等が知られているが、こ
れらはいずれも水に溶解しやすい。これに対し、本発明
におけるKO−CaO−SiO系結晶は比較的水に
溶解し難いものであり、これらとは結晶構造が異なった
結晶が主体をなすものである。
【0022】本発明者らは、SEM観察、EDX分析お
よびX線回折の結果から、このような水に溶解し難いK
O−CaO−SiO系結晶の一つとしてKO・2
CaO・2SiOの存在を見出した。
【0023】すなわち、KO:CaO:SiOのモ
ル比を1:2:2に調整した原料を大気雰囲気下で12
00℃、20分間の条件で焼結させ、SEM観察、ED
X分析およびX線回折を行った結果、SEM観察により
ほぼ単相であることが確認され、EDXによる半定量に
よりK:Ca:Siのモル比が1:1:1、つまりK
O:CaO:SiOのモル比が1:2:2であること
が確認され、しかもX線回折により、図1に示すよう
に、バックグランドの少ないきれいな回折パターンが得
られた。この回折パターンは既存の物質とは異なるもの
である。このことから、ほぼKO・2CaO・2Si
の結晶からなる新規物質が形成されたことが確認さ
れた。
【0024】この試料ついて、水溶性KOの量および
ク溶性KO(2%クエン酸に溶けるKO)の量を測
定したところ、全体のKO25.0wt%のうち、そ
れぞれ3.2wt%および24.6wt%であった。こ
のことから、KO・2CaO・2SiOは、従来知
られていたKO−CaO−SiO系結晶とは異なっ
て水に難溶であり、かつ緩効性カリ肥料に適した特性を
有していることが確認された。
【0025】そして、KO、SiO、およびCaO
を必須成分とし、Al、MgO、MnO、Fe
Oを選択成分として、KO:CaO:SiOのモル
比を1:2:2に近い組成にしたものについて、所定の
条件でKO−CaO−SiO系結晶とKOを含む
ガラス体を形成した際に、SEM観察により単相である
ことが確認された部分についてEDX分析およびX線回
折を行った結果、EDXによる半定量によりKO:C
aO:SiOのモル比が1:2:2であり、しかもX
線回折により上記回折パターンと同様のパターンが得ら
れたことから、KO−CaO−SiO系結晶として
O・2CaO・2SiOが得られたことが確認さ
れた。
【0026】水に難溶なKO−CaO−SiO系結
晶としては、以上のようなKO・2CaO・2SiO
の比率とは異なる比率の結晶も存在する可能性がある
が、その構造は特定されていない。他の結晶として、K
O、CaO、SiOの他に、MgO、MnOおよび
FeOの他の2価金属の酸化物が結晶の一部を構成して
いるものの存在も考えられる。
【0027】なお、本発明においては、水に溶解しやす
いKO−CaO−SiO系結晶であっても少量であ
れば含んでいてもよい。また、本発明のようなKO−
CaO−SiO系結晶とKOを含むガラス体とから
実質的になる状態は、組成および冷却条件を適切に制御
することにより得ることができる。
【0028】このように、KO−CaO−SiO
結晶と、KOを含むガラスとを主体とするカリ肥料を
得るためには、KO、SiO、Al、Ca
O、MgO、MnOおよびFeOの合計量に対して、
SiOとAlとの和が20〜70モル%であ
り、KOが5〜30モル%であり、CaO、MgO、
MnOおよびFeOの和が75モル%以下である組成
範囲が好ましい。上述したように、MgO、MnOおよ
びFeOの他の2価金属の酸化物は、主にCaOのサイ
トに置換固溶してこれらの結晶に入り込み、Al
はSiOと同様の作用を有すると考えられるから、こ
れらをグループ分けし、KO−CaO−SiO系状
態図を基にして結晶化のしやすさを判断することがで
き、これらを考慮して、図2で示す上記組成範囲を好ま
しい範囲とした。ただし、この範囲に限定されず、その
範囲外の組成であっても冷却条件を制御することによ
り、本発明の結晶およびガラスの混合体を形成すること
ができる。なお、図2において各成分の割合はモル%で
あり、MeOは、CaO、MgO、MnOおよびFe
Oの合計を示すものである。また、Al、Mg
O、MnO、FeOは選択成分であり、必ずしも含ま
れていなくてもよい。
【0029】KOの含有量の好ましい範囲を5〜30
モル%にしたのは、肥料としての有効性を考慮した結果
である。すなわち、5モル%未満であると施肥量が多量
になりすぎ好ましくなく、また、30モル%以上となる
と溶解性が高くなりすぎる傾向にあるからである。
【0030】本発明の緩効性カリ肥料の原料は、上記酸
化物を主体とするものであれば特に限定されるものでは
ないが、高炉スラグ、あるいは高炉銑に脱珪、脱リン、
脱硫を施した後のスラグを好適に用いることができる。
これらスラグは鉄鋼の製錬および精錬過程で副生物とし
て多量に発生するものであり、安定的な供給が可能であ
る。このようなスラグは、SiOを20〜60wt%
程度、Alを数wt%程度、CaOを数wt%程
度から50wt%程度、MgO、MnOおよびFeOを
合計で5〜30wt%程度含み、その他の成分がほぼ1
5wt%以下含まれている。
【0031】このようなスラグにカリウム源を加えるこ
とにより、本発明の緩効性カリ肥料が得られる。カリウ
ム源も特に限定されるものではないが、炭酸カリウム、
重炭酸カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム塩、また
はカリ長石のようなカリウム含有鉱物を好適に用いるこ
とができる。
【0032】カリウム源を溶融スラグに添加する際に、
溶融金属(溶銑)が存在した状態で添加すると溶融金属
から熱補償されるので好都合である。これは通常溶銑の
脱珪処理後に生成した溶融スラグにカリ源を添加するこ
とで実施することができる。
【0033】本発明の緩効性カリ肥料は、本発明を満た
す成分の原料を例えば1300〜1500℃程度の温度
で溶融させ、初期は徐冷して一部結晶化させ、その後急
冷して残部をガラス化することにより得ることができ
る。
【0034】
【実施例】(実施例1)高炉銑を脱珪処理した際に生じ
たスラグ(脱珪スラグ)に炭酸カリウムを添加した後、
約1300℃に加熱して均一な溶融体とし、初期は90
0℃/Hr程度で徐冷し、その後急冷し固化して表1の
Aに示す組成の試料を得た。なお、この際の組成は図2
において点Aに対応する。ここで、図2のプロットは、
表1に重量%で示されている各成分の値をモル含有量に
換算し、この各成分のモル含有量の合計値を求め、その
合計量に対する各成分のモル含有量を計算した値に基づ
いている。
【0035】得られた試料をSEM観察したところ、ガ
ラス体と思われるマトリックス部分と、単相であること
が確認された、結晶と思われる色が異なる部分とが存在
しており、それらのいずれにもKOが含まれていた。
EDXによる半定量により、結晶と思われる部分のK
OとCaOとSiOのモル比を計算した結果、K
O:CaO:SiO=1:2:2であった。また、
X線回折を行った結果、バックグラウンドの少ないきれ
いな回折パターンが得られた。このことから、結晶とし
てKO・2CaO・2SiOが晶出していることが
確認された。また、ガラス体と思われる部分についても
同様にEDXによる半定量を行った結果、K O:Ca
O:SiO=1:2:2であった。このガラスと思わ
れる部分についてX線回折を行った結果、明確な回折ピ
ークが存在せず、ガラス体であることが確認された。E
DX観察により求めたガラス体の面積率をガラス体の量
として求めた結果、ガラス体の割合が約60%であるこ
とが確認された。
【0036】この試料を破砕し、ク溶性KO(2%ク
エン酸に溶けるKO)の量および水溶性KOの量を
測定した。その結果、表2に示すように、全体のK
24.0wt%のうち、ク溶性KO(c−KO)が
23.4wt%、水溶性KO(w−KO)が3.8
wt%であり、緩効性肥料として適切な値を示すことが
確認された。
【0037】(実施例2)脱珪スラグに炭酸カリウムを
添加した後、約1370℃に加熱して均一な溶融体と
し、初期は徐冷し、その後急冷し固化して表1のBに示
す組成の試料を得た。なお、この際の組成は図2におい
て点Bに対応する。
【0038】得られた試料をSEM観察したところ、ガ
ラス体と思われるマトリックス部分と、結晶と思われる
色が異なる2つの部分とが存在しており、それらのいず
れにもKOが含まれていた。EDXによる半定量によ
り、結晶と思われる部分のK OとCaOとSiO
モル比を計算した結果、それぞれKO:CaO:Si
=1:2:2および1:1:1であった。KO:
CaO:SiO=1:2:2の部分を実施例1と同様
にSEM観察およびX線回折を行った結果、この部分が
O・2CaO・2SiOの結晶であることが確認
された。また、ガラス体と思われる部分についても同様
にEDXによる半定量を行った結果、K O:CaO:
SiO=1:2:2に近かった。このガラスと思われ
る部分についてX線回折を行った結果、明確な回折ピー
クが存在せず、ガラス体であることが確認された。ED
X観察により求めたガラス体の面積率をガラス体の量と
して求めた結果、ガラス体の割合が約50%であること
が確認された。
【0039】この試料を破砕し、ク溶性KOの量およ
び水溶性KOの量を測定した。その結果、表2に示す
ように、全体のKO23.5wt%のうち、ク溶性K
O(c−KO)が22.8wt%、水溶性K
(w−KO)が4.8wt%であり、若干w−K
が多いものの緩効性肥料として適切な値を示すことが確
認された。実施例1よりもw−KOが多くなったの
は、KO・2CaO・2SiOよりも水に溶解しや
すい結晶が晶出したためと推測される。
【0040】(実施例3)脱珪スラグに炭酸カリウムを
添加した後、約1340℃に加熱して均一な溶融体と
し、初期は徐冷し、その後急冷し固化して表1のCに示
す組成の試料を得た。なお、この際の組成は図2におい
て点Cに対応する。
【0041】得られた試料をSEM観察したところ、ガ
ラス体と思われるマトリックス部分と、結晶と思われる
色が異なる3つの部分とが存在しており、それらのいず
れにもKOが含まれていた。EDXによる半定量によ
り、結晶と思われる部分のK OとMeOとSiO
モル比を計算した結果、それぞれKO:MeO:Si
=1:2:2、1:1:1および1:3:6であっ
た。KO:MeO:SiO=1:2:2の部分を実
施例1と同様にSEM観察およびX線回折を行った結
果、この部分がKO・2CaO・2SiOの結晶で
あることが確認された。また、ガラス体と思われる部分
についても同様にEDXによる半定量を行った結果、K
O:MeO:SiO=1:2:2に近かった。この
ガラスと思われる部分についてX線回折を行った結果、
明確な回折ピークが存在せず、ガラス体であることが確
認された。EDX観察により求めたガラス体の面積率を
ガラス体の量として求めた結果、ガラス体の割合が約4
0%であることが確認された。
【0042】この試料を破砕し、ク溶性KOの量およ
び水溶性KOの量を測定した。その結果、表2に示す
ように、全体のKO22.5wt%のうち、ク溶性K
O(c−KO)が19.6wt%、水溶性K
(w−KO)が11.9wt%であり、若干w−K
Oが多いものの緩効性肥料として適切な値を示すことが
確認された。この実施例においても、実施例1よりもw
−KOが多くなったのは、KO・2CaO・2Si
よりも水に溶解しやすい結晶が晶出したためと推測
される。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
O、SiO、Al、CaO、ならびにMg
O、MnOおよびFeOからなる群から選択された1
種または2種以上を主体とし、KO−CaO−SiO
系結晶と、KOを含むガラス体とを主体とすること
により、晶出するKO含有結晶の水への溶解性が比較
的低く、かつKOを含むガラス体の存在によりK
がより緩やかに溶解するため、KO肥料として適切な
緩効性を示す。また、肥料を構成する結晶の結晶系が固
定的であるため、安定性が高く、広い組成範囲で緩効性
を発揮させることができる。さらに、結晶とガラス体と
の混合体であるから、全て結晶化するよりも製造が容易
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】KO・2CaO・2SiOの結晶のX線回
折パターンを示す図。
【図2】本発明に係るカリ肥料の好ましい組成範囲を示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C05D 3:04) (72)発明者 川島 健 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 浜田 悦男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 八尾 泰子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松原 健次 神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号 日本鋼管テクノサービス株式会社内 (72)発明者 細田 実 神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号 日本鋼管テクノサービス株式会社内 (72)発明者 秋山 堯 茨城県北相馬郡藤代町宮和田1181−28 Fターム(参考) 4H061 AA01 BB56 CC02 CC12 CC17 CC21 CC60 HH03 HH04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 KO、SiO、およびCaOを必須
    成分とし、Al 、MgO、MnO、FeOを選
    択成分とし、KO−CaO−SiO系の結晶と、K
    Oを含むガラス体とを主体とすることを特徴とする緩
    効性カリ肥料。ただし、FeOは、FeOおよびFe
    の両方を含むものである。
  2. 【請求項2】 溶融状態から固化されたことを特徴とす
    る請求項1に記載の緩効性カリ肥料。
  3. 【請求項3】 溶融金属存在下で溶融スラグにカリ源を
    加えて固化されたことを特徴とする請求項2に記載の緩
    効性カリ肥料。
  4. 【請求項4】 KO、SiO、Al、Ca
    O、MgO、MnOおよびFeOの合計量に対して、
    SiOとAlとの和が20〜70モル%であ
    り、KOが5〜30モル%であり、CaO、MgO、
    MnOおよびFe Oの和が75モル%以下であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    記載の緩効性カリ肥料。
  5. 【請求項5】 前記KO−CaO−SiO系の結晶
    は、KO・2CaO・2SiOであることを特徴と
    する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の緩
    効性カリ肥料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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