JP2003226589A - 緩効性カリ肥料の製造方法 - Google Patents

緩効性カリ肥料の製造方法

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JP2003226589A
JP2003226589A JP2002030225A JP2002030225A JP2003226589A JP 2003226589 A JP2003226589 A JP 2003226589A JP 2002030225 A JP2002030225 A JP 2002030225A JP 2002030225 A JP2002030225 A JP 2002030225A JP 2003226589 A JP2003226589 A JP 2003226589A
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potassium
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JP2002030225A
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Keiji Watanabe
圭児 渡辺
Norio Isoo
典男 磯尾
Tatsuto Takahashi
達人 高橋
Eisaku Wada
英作 和田
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KOKAN KOGYO KK
JFE Steel Corp
Kokan Mining Co Ltd
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KOKAN KOGYO KK
JFE Steel Corp
Kokan Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いカリ歩留まりを安定的に確保することが
できる緩効性カリ肥料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 緩効性カリ肥料の製造方法は、CaO、
MgO、Al、FeO、Fe、MnOより
なる群から選ばれた1種または2種以上の成分およびS
iOを含有する溶銑上スラグにカリ原料を添加し、前
記溶銑上スラグと前記カリ原料とを融合させる工程10
1と、前記溶銑上スラグと前記カリ原料とが融合して生
成した溶融物を冷却して固化させる工程102と、固化
させた固形物の粒度を調整する工程103とを具備し、
湯面から200mm以下の浅い位置で攪拌ランスよりガ
ス吹き込みしつつ前記スラグと前記カリ原料とを融合さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緩効性カリ肥料の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の生育にとって肥料は欠かせないも
のであり、中でも窒素、燐酸、カリウムは三大肥料要素
として育成に合わせて施肥される。このような肥料は土
壌に施され、灌水に溶解し、植物の根から少しずつ時間
をかけて吸収される。しかし、植物の吸収は数日から数
週間かけて行われるので、この間に吸収されずに流れ去
ってしまうものもある。水に溶けやすい肥料ではこのよ
うに流れ去る分が多く、このような肥料では少量ずつ何
回も手間をかけて施肥する必要があった。
【0003】そこで、このような手間を省くことが可能
なように、近年、1回の施肥で長期間にわたって作物を
育成することができる肥料、すなわち土壌中で徐々に溶
出して肥効が長期間持続する肥料(緩効性肥料)が要望
されるようになってきた。
【0004】緩効性肥料としては、上記三大肥料要素を
単独に含むものや複合して含むもの、あるいは補助要素
を同時に含むもの等種々のものが提案され、製造されて
いる。これら三大肥料要素の中でも、カリウムは、生育
の初期には少量でよいが、結実期には多量に必要とされ
るため、緩効性カリ肥料が重要視されている。
【0005】従来から、緩効性カリ肥料として、水に対
して難溶であるが植物の根から分泌されるクエン酸水溶
液には溶けるク溶性カリ肥料が用いられている。なお、
ク溶とは2mass%クエン酸水溶液に可溶であること
をいうが、ク溶性には水溶性成分が含まれるため、水溶
性成分が少ないほど緩効性肥料として適する。このよう
な水に難溶であるがクエン酸に溶解するカリ肥料は、灌
水による流出が防止されるとともに、根から分泌される
クエン酸には溶解するので、根の発育にともなって分泌
されるクエン酸が増加するに従い、その吸収量も増加す
る。したがって、理想的な緩効性を示す。
【0006】このようなク溶性のカリ化合物としては、
〔KO・Al・2SiO〕、〔KO・(A
l,Fe)・2SiO〕、〔KO・MgO・
SiO〕、〔KO・CaO・SiO〕等の組成を
有するものが知られており、そして、これらのカリ化合
物を生成させて緩効性カリ肥料を製造する方法が、多数
提案されている。
【0007】例えば、特開昭60−127286号公報
には、珪石、高炉スラグ、転炉スラグ、ニッケル精錬ス
ラグ、リン精錬スラグ、及び安山岩等の粉末と、炭酸カ
リ、苛性カリ等のカリ原料とを混合した後、この混合物
を加熱して溶融し、次いで冷却、粉砕して緩効性カリ肥
料を製造する方法が開示されている。また、特開昭55
−51785号公報には、石炭火力発電所の集塵装置で
捕集されるフライアッシュに、炭酸カリ、苛性カリ等の
カリ原料を加えた後、微粉炭を加えて造粒し、添加した
微粉炭を燃料として造粒物を焼成して緩効性カリ肥料を
製造する方法が開示されている。しかし、これらの従来
技術では、調合した原料を溶融または焼成させる際に極
めて多量の熱量を必要とするという問題がある。
【0008】この問題を解決するために、特開平9−2
78568号公報では、原料溶融物にカリ原料を添加し
て原料溶融物とカリ原料とを融合させ、次いで、融合処
理された溶融物を冷却、固化して緩効性カリ肥料を製造
する技術が提案されている。この技術では、原料の加熱
に要する熱量が大幅に節約できると共に極めて簡素な工
程で製造でき、製造コストの低減化が達成される。ま
た、この技術における歩留まりを向上するために、特開
2000−189587公報では、カリ原料および無機
原料からなる成形体を製造し、この成形体を原料溶融物
に添加することによって、カリ原料が金属カリとなって
蒸発することを防止する技術が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−278568号公報や特開2000−189587
公報に記載された技術では、カリ原料がKOに分解し
た後に、KOが分解する下記の反応が生じてしまい、
カリの歩留まりが低下するという新たな問題が生じる。
また、このようにKOが分解する条件では肥料に含ま
れる水溶性カリの量が増大し、所望の緩効性が得られな
くなるおそれもある。 KO→2K(g)+1/2O(g) KO+C(溶銑中)→2K(g)+CO(g)(溶銑
上のスラグを原料溶融物として用いた場合)
【0010】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、高いカリ歩留まりを安定的に確保すること
ができる緩効性カリ肥料の製造方法を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、緩効性カリ肥
料を製造する際に、炭酸カリ(KCO)等のカリ原
料、または、カリ原料の分解物であるKOがスラグへ
均一に溶融できればKO活量が低減し、上記のK
が分解する反応は抑制されることを見出した。また、従
来法で溶銑上のスラグにカリ原料を投入する場合、湯面
の所定の位置に投入されたカリ原料が溜まるため、その
部分でKOやKCOが溶銑と接触することにより
上記反応が生じやすくなることを見出した。さらに、カ
リ原料が一箇所に集中した場合、炭酸カリ等の分解反応
によってその部分の温度が下がるため、KOのスラグ
への溶解はますます遅くなり、局所的にKOの濃度の
高い部分ができ、この部分からKOの分解反応が促進
されることを見出した。
【0012】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであって、CaO、MgO、Al 、FeO、F
、MnOよりなる群から選ばれた1種または2
種以上の成分およびSiOを含有する溶銑上スラグに
カリ原料を添加し、前記溶銑上スラグと前記カリ原料と
を融合させる工程と、前記溶銑上スラグと前記カリ原料
とが融合して生成した溶融物を冷却して固化させる工程
と、固化させた固形物の粒度を調整する工程とを具備
し、湯面から200mm以下の浅い位置で攪拌ランスよ
りガス吹き込みしつつ前記溶銑上スラグと前記カリ原料
とを融合させることを特徴とする緩効性カリ肥料の製造
方法を提供する。
【0013】本発明によれば、湯面から200mm以下
の浅い位置で攪拌ランスよりガス吹き込みしつつ前記ス
ラグと前記カリ原料とを融合させることにより、ほぼス
ラグだけを攪拌することができ、溶銑中CとKOとの
反応を抑制することができる。
【0014】本発明において、前記カリ原料は、粒度が
30mm以下の成形体に成形されていることが好まし
い。このようにすることで、前記カリ原料から粉塵が発
生することを防止しつつ、前記溶銑上スラグと前記成形
体との接触面積を増大させて前記成形体を前記溶銑上ス
ラグに速やかに溶融させることができる。
【0015】また、前記カリ原料の添加は、分散部材で
分散させながら行うことが好ましい。このようにするこ
とで、カリ原料が一箇所に集中してKOやKCO
が溶銑と接触することを防止することができ、また、カ
リ原料から生成したKOの濃度が局所的に高くなるこ
とを防止してKOを速やかに前記溶銑上スラグへ溶融
させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
具体的に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る緩
効性カリ肥料の製造方法の工程図である。本実施形態に
おいては、CaO、MgO、Al、FeO、Fe
、MnOよりなる群から選ばれた1種または2種
以上の成分およびSiOを含有する溶銑上スラグにカ
リ原料を添加し、これらを融合させる融合処理工程10
1と、この融合処理工程101で融合処理された溶融物
を冷却して固化させる冷却固化工程102と、この冷却
固化工程102によって固化された固化物を粉砕して粒
度を調整する粒度調整工程103とによって緩効性カリ
肥料を製造する。
【0017】上記融合処理工程101においては、溶銑
上スラグにカリ原料を添加するとともに、必要に応じて
成分調整剤を添加して溶融物の成分調整を行い、溶銑上
スラグおよびカリ原料を融合させてク溶性カリ化合物組
成の溶融物を生成させる。また、融合処理工程101に
おいては、必要に応じて、カリ原料を溶融させるための
熱の補強を行う。この工程で用いる溶銑上スラグとして
は、鉄精錬の際に副産物として生じる高炉スラグ、転炉
スラグ、電気炉スラグ等がある。これらのスラグはSi
、およびCaO、MgO、Al、Fe
などの成分を含んでいる上に、溶融状態で生成するの
で、この溶融状態のスラグにカリ原料を添加すれば、直
ちに、カリ原料が溶融し、分解してク溶性カリ化合物の
生成反応が開始される。また、カリ原料としては、炭酸
カリ、重炭酸カリ、硫酸カリなどのカリ塩、およびカリ
長石などのカリ含有鉱物を使用することができる。
【0018】上記スラグの中でも、本発明においては高
炉から排出された溶銑を脱珪処理する際に生じる脱珪ス
ラグを用いることが特に好ましい。脱珪スラグはSiO
量が多く、これにカリ原料を添加することにより、補
助的な成分調整のみでク溶性カリ化合物を生成すること
ができる。また、脱珪処理直後または脱珪処理中に脱珪
スラグにカリ肥料を添加すれば、既設の製鉄設備でク溶
性カリ化合物を生成することができるため一層経済的で
ある。
【0019】以下、脱珪スラグを用いて上記融合処理工
程101を行う方法について説明する。図2は、脱珪ス
ラグを溶銑上スラグとして上記融合処理工程101が行
われる脱珪処理設備の一例を模式的に示す断面図であ
る。図2において、高炉(図示せず)から出銑された溶
銑2を収納した取鍋型溶銑保持容器1は、台車3に搭載
されて脱珪処理設備に搬送される。なお、取鍋型溶銑保
持容器1は台車3にて高炉からこの脱珪処理設備等の溶
銑処理設備さらには転炉(図示せず)へと搬送される。
【0020】脱珪処理設備には、インジェクションラン
ス6と上吹き酸素ランス7とが設置されている。インジ
ェクションランス6および上吹き酸素ランス7は、取鍋
型溶銑保持容器1内において上下移動可能となってい
る。
【0021】また、脱珪処理設備は、貯蔵タンク11と
リフトタンク13とからなる系統、貯蔵タンク12とリ
フトタンク14とからなる系統の2系統の原料供給系
と、共通のディスペンサー15とからなる第1の原料供
給装置25を有しており、インジェクションランス6は
この共通のディスペンサー15に接続されている。そし
て、貯蔵タンク11に収納された成分調整剤9と、貯蔵
タンク12に収納された造滓剤10とを窒素ガスを搬送
ガスとしてインジェクションランス6からその先端位置
を調整しつつ溶銑2中または脱珪スラグ4中に吹き込み
添加することができる。また、インジェクションランス
6の先端を脱珪スラグ4の直上に配置することで、成分
調整剤9および造滓剤10を窒素ガスとともに脱珪スラ
グ4に投射して添加することもできる。なお、貯蔵タン
ク11内の成分調整剤9、および貯蔵タンク12内の造
滓剤10は、リフトタンク13,14にて、それぞれ独
立に添加量および添加時間を制御して吹き込むことがで
き、また、インジェクションランス6から窒素ガスを吹
き込むことにより溶銑2を攪拌することもできる。造滓
剤は脱珪処理時の塩基度調整のために使用するもので、
一般に生石灰が用いられる。
【0022】一方、第1の原料供給装置25と反対側に
は、ホッパー16,17,18と切り出し装置20,2
1,22と原料搬送装置23とシュート24とからなる
第2の原料供給装置26が設けられており、この第2の
原料供給装置26によりホッパー16内のカリ原料5,
ホッパー17内の成分調整剤9、およびホッパー18内
の鉄鉱石焼結粉19をシュート24を介して取鍋型溶銑
保持容器1内に添加することができる。また、シュート
24の原料出側には分散部材8が設けられており、この
分散部材8により取鍋型溶銑保持容器1内において原料
が落下する位置を分散させることが可能である。
【0023】分散部材8は、例えば、図2に示すように
その上部に斜面が設けられ、原料にこの斜面上を経由さ
せることにより、原料の落下位置を分散させる構成とす
ることができる。また、分散部材8は、所定位置に複数
の開孔が設けられ、原料がこの複数の開孔のいずれかか
ら落下することにより、原料の落下位置を分散させる構
成とすることも可能である。さらに、分散部材8を振動
させることにより原料の落下位置を分散させるようにし
てもよい。
【0024】次に、このような構成の脱珪処理設備を用
いて、所望の緩効性カリ肥料の組成の溶融スラグを製造
する方法について説明する。
【0025】まず最初に、脱珪処理後にカリ原料5およ
び成分調整剤9を添加して製造する方法について示す。
まず、取鍋型溶銑保持容器1内で溶銑2の脱珪処理を行
うが、この脱珪処理の前に、取鍋型溶銑保持容器1内に
残留する溶銑スラグ(高炉スラグ)の量および組成を把
握する。残留スラグ量は、スラグの厚さの測定または溶
銑2を覆う残留スラグの面積率の目視観察により把握す
ることができる。スラグ組成は分析により把握する。次
いで脱珪処理を行うが、脱珪処理は、例えば、鉄鉱石焼
結粉19をシュート24より取鍋型溶銑保持容器1内に
上置き添加するとともに、上吹き酸素ランス7から酸素
ガスを溶銑2の湯面に吹き付け、さらにインジェクショ
ンランス6から窒素ガスを吹き込んで溶銑2と鉄鉱石焼
結粉19とを攪拌混合させて行う。この脱珪処理によ
り、酸素ガスおよび鉄鉱石焼結粉19中の酸素は、溶銑
2中の珪素と反応してSiOを生成する。生成したS
iOは残留スラグと混合・融合し、溶銑2上にSiO
を多く含む脱珪スラグ4が生成される。なお、脱珪処
理は、このような方法に限るものではなく、生石灰等を
造滓剤10としてインジェクションランス6にて吹き込
んで行うこともあり、また、鉄鉱石焼結粉19の代わり
にミルスケール等の鉄酸化物を使用しても行うことがで
きる。
【0026】このようにして脱珪処理を行った後、脱珪
処理により生成したSiO量を把握する。生成したS
iO量は、脱珪処理前後の溶銑2の珪素濃度から把握
することができる。また、酸素ガスおよび鉄鉱石焼結粉
中の酸素の総酸素添加量から把握することもできる。そ
して、SiOの生成量と、脱珪処理前に把握した残留
スラグの量および組成とで、脱珪スラグ4の概略重量を
把握する。把握した脱珪スラグ4の概略重量と概略組成
とから、カリ原料5の添加量と、必要な場合には成分調
整剤9の添加量とを決定する。なお、脱珪スラグ4から
分析試料を採取して成分分析すれば、より正確な重量お
よび組成を把握することができる。
【0027】次に、以上のようにして決定された量のカ
リ原料5および成分調整剤9を、ホッパー16から切り
出し装置20によって切り出し、原料搬送装置23およ
びシュート24を経由させて取鍋型溶銑保持容器1内に
添加する。この際、カリ原料5および成分調整剤9の添
加後または添加と並行して、インジェクションランス6
より窒素ガスを溶銑2中へ吹き込み、脱珪スラグ4とカ
リ原料5および成分調整剤9との融合を促進するととも
に、溶銑中CとKOとの反応を行わせないように、生
成する溶融スラグの組成を均一化することが好ましい。
そのためインジェクションランス6からは、湯面から2
00mm以下の浅い位置で窒素ガスの吹き込みを行う。
このように窒素ガスを吹き込んだ場合には、ほぼスラグ
だけを攪拌することができ、溶銑中CとKOとの反応
を抑制することができるため、カリ肥料の歩留まりを安
定的に向上させることが可能となる。
【0028】なお、このカリ原料5の添加前にも、イン
ジェクションランス6から窒素ガスを溶銑2中に吹き込
むことが望ましい。このように窒素ガスを吹き込むこと
で、溶銑2と脱珪スラグ4とが攪拌され、脱珪スラグ4
が溶融されるとともに、脱珪スラグ4の組成が均一化さ
れ、その後の工程が容易となるからである。
【0029】また、カリ原料5を添加する際、予めカリ
原料5をブリケットにすれば粉塵の発生を防止すること
ができる。カリ原料5をブリケットにする場合、ブリケ
ットの粒度を30mm以下とすることが好ましい。より
好ましいブリケットの粒度は10mm以下である。この
ような粒度のブリケットとすることにより脱珪スラグ4
とブリケットとの接触面積を増大させ、ブリケットの脱
珪スラグ4への溶解をより容易にすることができる。
【0030】さらに、シュート24の出側に分散部材8
が設けられているので、カリ原料5の添加の際に、カリ
原料5の脱珪スラグ4上への添加位置が分散するように
添加される。これによって、カリ原料5が一箇所に集中
してKOやKCOが溶銑と接触することを防止す
ることができ、また、その後行われる融合処理工程にお
いて、カリ原料5から生成したKOの濃度が局所的に
高くなることを防止してKOを速やかに脱珪スラグ4
へ溶融させることができる。この分散部材8は、必須の
ものではないが、上記効果を奏するため設けることが好
ましい。
【0031】成分調整剤9は、ホッパー17から切り出
し装置21によって切り出し、カリ原料5と同様に原料
搬送装置23およびシュート24を介して添加してもよ
いが、成分調整剤9の溶融を促進し、迅速に所望のスラ
グ組成とするためには、インジェクションランス6から
溶銑2中に吹き込み添加することが好ましい。カリ原料
5と成分調整剤9との添加順序は任意であるが、カリ原
料5の前に所定量の成分調整剤9を添加し、その後、カ
リ原料5の添加を開始することが望ましい。これは、予
め脱珪スラグ4を所定の成分に調整することにより、カ
リ原料5と脱珪スラグ4との融合を促進することができ
るので、カリ原料5が高温の状態で保持される期間を短
縮してカリ原料5中のカリウムの蒸発量を少なくするこ
とができ、これによりカリ原料5の歩留りが向上するた
めである。
【0032】以上のような融合処理工程101により、
脱珪処理後に添加されたカリ原料5および成分調整剤9
は脱珪スラグ4と融合され、所望のク溶性カリ化合物組
成の溶融スラグが溶銑2上に製造される。
【0033】次に、脱珪処理中にカリ原料5および成分
調整剤9を供給して所望のク溶性カリ化合物組成の溶融
スラグを製造する方法を以下に説明する。まず、脱珪処
理の前に上記の方法に従って残留する溶銑スラグの量お
よび組成を把握する。そして、上記の方法に従って脱珪
処理を行うが、この脱珪処理中にカリ原料5および成分
調整剤9を上述と同様の手順により添加し、また、イン
ジェクションランス6から窒素ガスの吹き込みを行う。
この場合、カリ原料5および成分調整剤9の添加量は次
のようにして決定する。まず、脱珪処理前の残留スラグ
の量および組成と、脱珪処理前の珪素濃度と脱珪処理後
の目標珪素濃度との差から推定されるSiOの生成量
とで、脱珪処理により生成する脱珪スラグ4の概略組成
および概略重量を把握し、把握した脱珪スラグ4の概略
重量と概略組成とから、カリ原料5の添加量と、必要な
場合には成分調整剤9の添加量とを決定する。なお、脱
珪処理で使用する酸素ガスおよび鉄鉱石焼結粉19中の
酸素の総酸素添加量からもSiOの生成量を推定する
ことができる。この場合のカリ原料5および成分調整剤
9の好ましい添加方法等は上述したとおりである。
【0034】このようにして脱珪処理を所定時間実施し
つつ融合処理工程101を行うことにより、脱珪処理中
に添加されたカリ原料5および成分調整剤9は脱珪スラ
グ4と融合し、ク溶性カリ化合物組成の溶融スラグが溶
銑2上に製造される。
【0035】以上のような融合処理工程101により得
られた溶融スラグ等の融合溶融物は、次に冷却固化工程
102において冷却固化される。冷却固化工程102に
おける融合溶融物の冷却固化方法は、特に制限はなくど
のような方法を採用してもよい。例えば、上記融合処理
工程101において得られた溶融物に高圧空気を吹き付
けて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(風
砕)、高圧水を吹き付けて飛散させ、冷却すると共に粒
状化する方法(水砕)、上記溶融スラグを空気中に放置
して冷却固化させる方法などがある。
【0036】例えば、冷却固化工程102は、上記図2
の設備において得られた溶融スラグを樋に送給して流し
込み、この樋から落下した溶融スラグに高圧の空気を吹
き付けることにより、溶融スラグを落下する間に飛散さ
せ、冷却するとともに粒状化するようにしてもよい。
【0037】冷却固化工程102で得られた固形物は、
次に粒度調整工程103において所定の粒度に調整され
て緩効性カリ肥料が製造される。粒度調整工程103に
おける粒度調整方法も特に制限はなく、どのような方法
を採用してもよい。例えば、ジョークラッシャー、ロッ
ドミル、フレッドミル、インペラブレーカー等で固形物
を粉砕することにより粒度調整を行うようにしてもよ
い。
【0038】以上のようにして、極めて高い歩留りで緩
効性カリ肥料の製造が可能になり、その結果、製造コス
トを大幅に低減することができる。
【0039】尚、図2に示した脱珪設備では取鍋型の溶
銑保持容器について説明したが、溶銑保持容器は上記の
取鍋型に限るものではなくトーピードカーであってもよ
く、この場合にも上記と同様にして本発明を実施するこ
とができる。
【0040】
【実施例】[実施例]図2に示した脱珪処理設備を用い
て以下に示すように融合処理工程を行い、緩効性カリ肥
料を製造した。融合処理工程の際、高炉から脱珪処理設
備に搬送された取鍋型溶銑保持容器1中の溶銑重量は1
50T、溶銑中珪素濃度は0.22wt%、溶銑温度は
1350℃であった。また、取鍋型溶銑保持容器1内に
は、スラグ厚みの測定結果より前行程の高炉スラグが4
50kg残留していると推定された。
【0041】まず、取鍋型溶銑保持容器1中の溶銑の脱
珪処理を行った。脱珪処理は、溶銑中珪素を0.1%減
少させるだけの量の酸素を上吹き酸素ランス7から吹き
込むとともに、鉄鉱石焼結粉を溶銑に上置き添加するこ
とで行った。また、脱珪処理中は、インジェクションラ
ンス6より造滓剤10としての石灰とともに窒素ガスを
吹き込み、溶銑2を攪拌した。この際のインジェクショ
ンランス6の孔の位置は、スラグ表面より2m深さの位
置とした。
【0042】脱珪処理終了後、インジェクションランス
6の位置を上昇させ、スラグ表面より0.15mの位置
として窒素ガスを溶銑中に吹き込みながら、純度99%
の炭酸カリを10mm×10mm×6mmのブリケット
状としたものを580kg添加した。その後、3分間窒
素ガスを吹き込み、ブリケットを溶融させてク溶性カリ
化合物組成の溶融物を得た。この溶融物を取鍋型溶銑保
持容器1からノロパン内に滓掻機を用いて掻き出し、次
いで、厚み15〜20mmの鋼板製鉄箱内へ流し込み、
冷却固化させた。
【0043】冷却後、回収された塊状の緩効性カリ肥料
は1500kgであった。この塊状物をジョークラッシ
ャーで4mm以下に破砕し、得られた破砕物を磁選した
ところ磁着物として150kgが除去された。この磁着
物をさらにボールミルにて粉砕し、再度磁選したところ
非磁着物微粉として50kgを回収することができた。
この結果、カリ肥料として1400kgを回収すること
ができた。
【0044】以上のようにして得られたカリ肥料を農林
水産省農業環境技術研究所発行の肥料分析法に基づき組
成分析を行った結果を表1に示す。表1に示すように、
この実施例で得られたカリ肥料に含まれる全カリ量(T
−KO)は26.0%であり、KOの歩留まりは9
3%以上と高い値であることがわかった。また、水溶性
カリ(W−KO)は3.0%と低かったことから、こ
のカリ肥料が緩効性を有することも確認された。
【0045】[比較例]先の実施例のスラグ攪拌時のラ
ンス位置をスラグ表面から0.3mとし、その他は実施
例と同様に緩効性カリ肥料を製造した。融合処理工程の
際、高炉から脱珪処理設備に搬送された取鍋型溶銑保持
容器1中の溶銑重量は148T、溶銑中珪素濃度は0.
23wt%、溶銑温度は1351℃であった。また、取
鍋型溶銑保持容器1内には、スラグ厚みの測定結果より
前行程の高炉スラグが440kg残留していると推定さ
れた。
【0046】まず、実施例と同様に取鍋型溶銑保持容器
1中の溶銑の脱珪処理を行った後、インジェクションラ
ンス6の孔の位置をスラグ表面から0.3mの位置とし
て窒素ガスを溶銑中に吹き込みながら、純度99%の炭
酸カリを50mm×50mm×30mmのブリケット状
としたものを600kg添加した。その後、3分間窒素
ガスを吹き込み、ブリケットを溶融させてク溶性カリ化
合物組成の溶融物を得た。この溶融物を実施例と同様に
冷却固化させたところ、回収された塊状の緩効性カリ肥
料は1400kgであった。この塊状物をジョークラッ
シャーで4mm以下に破砕し、得られた破砕物を磁選し
たところ磁着物として140kgが除去された。この磁
着物をさらにボールミルにて粉砕し、再度磁選したとこ
ろ非磁着物微粉として40kgを回収することができ
た。この結果、カリ肥料として1300kgを回収する
ことができた。
【0047】以上のようにして得られたカリ肥料を実施
例と同様に組成分析した結果を表1に示す。表1に示す
ように、全カリ量(T−KO)は21.0%であり、
Oの歩留まりは67%と低い値であることがわかっ
た。また、水溶性カリ(W−KO)は15.0%と高
く、十分な緩効性を得ることができなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
湯面から200mm以下の浅い位置で攪拌ランスよりガ
ス吹き込みを行うことにより強い攪拌力を得ることがで
きるので、カリの滓化速度を極めて速くすることがで
き、カリ原料、または、カリ原料の分解物であるK
をスラグへ均一に溶融させてKO活量を低減すること
により上記のKOが分解する反応を抑制することがで
きる。したがって、高いカリ歩留まりを安定的に確保す
ることが可能となり、緩効性カリ肥料の製造コストを大
幅に低減することが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る緩効性カリ肥料の製
造方法の工程図。
【図2】脱珪スラグを用いて添加工程および融合処理工
程を行う脱珪処理設備の一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1 取鍋型溶銑保持容器 2 溶銑 3 台車 4 脱珪スラグ 5 カリ原料 6 インジェクションランス 7 上吹き酸素ランス 8 分散部材 9 成分調整剤 10 造滓剤 11,12 貯蔵タンク 15 ディスペンサー 16,17,18 ホッパー 19 鉄鉱石焼結粉 23 原料搬送装置 24 シュート 25 第1の原料供給装置 26 第2の原料供給装置 101 融合処理工程 102 冷却固化工程 103 粒度調整工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯尾 典男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 達人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 和田 英作 東京都港区港南2丁目15番1号 鋼管鉱業 株式会社内 Fターム(参考) 4H061 AA02 BB56 CC08 CC14 CC17 CC21 EE13 EE14 EE16 EE19 FF07 GG05 GG13 GG20 GG23 GG70 HH03 HH04 LL07 LL15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaO、MgO、Al、FeO、
    Fe、MnOよりなる群から選ばれた1種または
    2種以上の成分およびSiOを含有する溶銑上スラグ
    にカリ原料を添加し、前記溶銑上スラグと前記カリ原料
    とを融合させる工程と、前記溶銑上スラグと前記カリ原
    料とが融合して生成した溶融物を冷却して固化させる工
    程と、固化させた固形物の粒度を調整する工程とを具備
    し、 湯面から200mm以下の浅い位置で攪拌ランスよりガ
    ス吹き込みしつつ前記溶銑上スラグと前記カリ原料とを
    融合させることを特徴とする緩効性カリ肥料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記カリ原料は、粒度が30mm以下の
    成形体に成形されていることを特徴とする請求項1に記
    載の緩効性カリ肥料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記カリ原料の添加は、分散部材で分散
    させながら行うことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の緩効性カリ肥料の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100436380C (zh) * 2005-12-27 2008-11-26 东北大学 利用钢铁废渣制取复合微量元素肥料的方法
CN106748217A (zh) * 2016-12-30 2017-05-31 北京中农富源生物工程技术有限公司 一种含有长效钾肥的有机生态肥以及其施用方法

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CN106748217A (zh) * 2016-12-30 2017-05-31 北京中农富源生物工程技术有限公司 一种含有长效钾肥的有机生态肥以及其施用方法
CN106748217B (zh) * 2016-12-30 2020-12-29 北京中农富源生物工程技术有限公司 一种含有长效钾肥的有机生态肥以及其施用方法

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