JP2004345940A - 珪酸燐酸肥料用原料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 珪酸の溶解性が優れるとともにアルカリ分が少なく、また肥効成分となる適量の燐酸を含み、しかも安価に製造することができる珪酸燐酸肥料用原料を提供する。
【解決手段】 高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収される特定の塩基度を有するスラグが、特殊な処理を加えることなくそのまま珪酸燐酸肥料用原料として利用でき、しかも肥料として優れた特性を有することを見出しなされたもので、高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収されるスラグであって、溶銑中の珪素の酸化物である珪酸と燐の酸化物である燐酸とを含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグからなる。好ましくは、スラグがク溶性燐酸を2mass%以上含有し、さらに、スラグ中のク溶性燐酸(C−P)と可溶性珪酸(S−SiO)の質量比[C−P/S−SiO]を0.1〜0.8とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、珪酸燐酸肥料用原料及びその製造方法に関するものである。
珪酸質肥料は主に水稲に対する珪酸の補給を目的とした肥料であり、一般に可溶性珪酸を10mass%以上含んでおり、水田の土壌保全や老朽水田の土壌改質剤として大量に使用されている。また、近年では珪酸質肥料が植物体を強化し、病虫害にかかり難くする作用が注目されており、水稲のみならず、キュウリ等の野菜にも使用されるようになってきた。
珪酸質肥料は天然資源である珪灰石からも製造されるが、現在では多くの珪酸質肥料が高炉スラグを原料として製造されている。
近年、農業労働力の不足などから珪酸資材の水田等への施肥が不十分であるという問題や、現在使用されている珪酸質肥料の溶解特性が植物の吸収に適していないという問題が指摘されている。また、水田だけでなく、稲わらの投入量が減少している畑でも珪酸不足の問題が大きくなっている。このようなことから、珪酸の溶解特性が優れ、施肥量が少なくて済む肥料の開発が望まれており、特許文献1には高炉スラグに酸などの溶出促進剤を添加・反応させて可溶性珪酸量を増大させた珪酸質肥料が提案されている。また、この提案によれば、酸のなかでも燐酸が最も効果が大きく、しかも肥効成分としても働くので最も好適であるとしている。
また、特許文献2には、溶銑予備処理によって生じる主として転炉スラグを活用した珪酸質肥料及びその製造方法が提案されている。
特開2000−264768号公報 特開2001−261471号公報
しかし、上記特許文献1の技術は高炉スラグを燐酸と反応させるものであるため、スラグとは別に添加剤としての燐酸を用意する必要があるとともに、スラグと燐酸との反応工程が必要であり、このため原材料やエネルギー等の面で製造コストが高いという問題がある。
また、上記特許文献2の技術では、利用するスラグの塩基度が1.5〜3.0と高いため、珪酸の溶解性には優れるもののアルカリ分を多く含有する肥料となる。したがって、この珪酸質肥料を使用した場合には、土壌に対して珪酸とともに多量のアルカリ資材も投入されることになる。わが国の農地は元々酸性土壌が多く、このため上記のようなアルカリ分の多い珪酸質肥料を使用することは土壌改良の目的にも沿うものであった。しかしながら、昨今、珪酸質肥料を初めとする肥料の施用量の増加に伴い酸性土壌の問題は減少しており、このため従来使用されてきたようなアルカリ分の多い珪酸質肥料に代わって、アルカリ分の少ない肥料が求められている。また、最近では、ハウス野菜の畑などにおける珪酸不足が深刻な問題になりつつあるが、このような畑でのアルカリ分の高い珪酸質資材の使用は土壌pHを上昇させることになるため、そのような資材の使用は難しい。したがって、上記特許文献2の珪酸肥料は以上のような要求に十分応え得るものではない。また、近年、農業従事者の高齢化や減少に伴い農作業の省力化が求められており、肥料についても珪酸と燐酸を同一資材で投入して施肥作業できるようなものが望まれている。
したがって、本発明の目的は、珪酸の溶解性が優れるとともにアルカリ分が少なく、また肥効成分となる適量の燐酸を含み、しかも安価に製造することができる珪酸燐酸肥料用原料及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、作物の珪酸と燐酸の吸収量に対応した最適な組成を有し、作物に必要な珪酸と燐酸を同時に施肥することが可能な珪酸燐酸肥料用原料を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記珪酸燐酸肥料用原料から得られる珪酸燐酸肥料及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは肥料の組成及び製造コストの面で上記の要求にかなう珪酸燐酸肥料用原料について検討を重ね、その結果、高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収される特定の塩基度を有するスラグが原料として極めて好適であり、特殊な処理を加えることなくそのまま珪酸燐酸肥料用原料として利用でき、しかも肥料として優れた特性を有することを見い出した。また、そのようなスラグによれば、植物による珪酸と燐酸の吸収量に適合した好適な組成の肥料用原料を容易に得ることができることも判った。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1] 高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収されるスラグであって、溶銑中の珪素の酸化物である珪酸と燐の酸化物である燐酸とを含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグからなることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[2] 上記[1]の珪酸燐酸肥料用原料において、スラグがク溶性燐酸を2mass%以上含有することを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[3] 上記[1]又は[2]の珪酸燐酸肥料用原料において、スラグ中のク溶性燐酸(C−P)と可溶性珪酸(S−SiO)の質量比[C−P/S−SiO]が0.1〜0.8であることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの珪酸燐酸肥料用原料において、スラグ中の可溶性CaOの含有量が30mass%以下であることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの珪酸燐酸肥料用原料において、スラグが溶銑脱燐スラグであることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの珪酸燐酸肥料用原料において、スラグが実質的にフッ素を含まないスラグであることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの珪酸燐酸肥料用原料からなる又は該珪酸燐酸肥料用原料を主原料としたことを特徴とする珪酸燐酸肥料。
[8] 上記[7]の珪酸燐酸肥料において、珪酸燐酸肥料用原料が破砕処理及び/又は整粒されたものであることを特徴とする珪酸燐酸肥料。
[9] 上記[7]又は[8]の珪酸燐酸肥料において、珪酸燐酸肥料用原料にバインダーを添加して造粒することにより得られた造粒物であることを特徴とする珪酸燐酸肥料。
[10] 高炉溶銑の溶銑予備処理工程において、溶銑にCaO源と酸素源を添加して溶銑中の珪素の酸化反応と溶銑の脱燐反応を生じさせ、該反応で生成した珪酸と燐酸を含むスラグを回収して固化させることにより、珪酸と燐酸を含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグを得ることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
[11] 上記[10]の製造方法において、溶銑予備処理工程が溶銑脱燐工程であることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
[12] 上記[10]又は[11]の製造方法において、溶銑予備処理工程において溶銑にCaO源を添加するとともに、その添加量を調整することで回収するスラグの塩基度(CaO/SiO)を調整することを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかの製造方法で得られた珪酸燐酸肥料用原料を用いて珪酸燐酸肥料を製造することを特徴とする珪酸燐酸肥料の製造方法。
[14] 上記[13]の製造方法において、珪酸燐酸肥料用原料を破砕処理及び/又は整粒する工程を有することを特徴とする珪酸燐酸肥料の製造方法。
[15] 上記[13]又は[14]の製造方法において、珪酸燐酸肥料用原料にバインダーを添加して造粒する工程を有することを特徴とする珪酸燐酸肥料の製造方法。
本発明の珪酸燐酸肥料用原料は、珪酸の溶解性が優れ且つ肥効成分となる適量の燐酸を含むため優れた肥料特性を有するとともに、アルカリ分が少ないため、酸性土壌が減少しつつあるわが国の農地に非常に好適且つ有用な肥料を得ることができる。しかも溶銑予備処理で回収したスラグをそのまま利用できるため、極めて安価に製造することできる。
また、請求項3に係る珪酸燐酸肥料用原料は、作物の珪酸と燐酸の吸収量に対応した最適な組成を有するため、農地に対して作物に必要とされる珪酸と燐酸を同時に投入することができ、施肥の省力化を図ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、このような優れた特性を有する珪酸燐酸肥料用原料を安定的に且つ安価に製造することができる。
以下、本発明の珪酸燐酸肥料用原料及びその製造方法の詳細と好ましい実施形態について説明するとともに、その珪酸燐酸肥料用原料から得られる珪酸燐酸肥料及びその製造方法についても説明する。
本発明の珪酸燐酸肥料用原料は、高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収されるスラグであって、溶銑中の珪素の酸化物である珪酸と燐の酸化物である燐酸とを含み、且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグからなるものである。ここで、本発明において可溶性珪酸並びに可溶性CaO(石灰)とは0.5molの塩酸溶液に可溶な珪酸並びにCaO(石灰)を指し、またク溶性燐酸とは2%クエン酸溶液(pH2)可溶分の燐酸を指す。なお、分析法は肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)に従う。
上記のようなスラグとしては、特に高炉溶銑の脱燐処理工程で回収される溶銑脱燐スラグが好ましい。この溶銑脱燐スラグは、通常可溶性珪酸を10mass%以上含有するとともに、適量の燐酸(通常、ク溶性燐酸:2mass%以上)を含有し、さらにカルシウム、鉄分(通常、T.Fe:1.5mass%以上)なども含有している。このため燐酸が珪酸の多量体を切断してク溶性燐酸珪酸化合物、例えば、シリコカーノタイト(5CaO・P・SiO)やナーゲルシュミタイト(7CaO・P・2SiO)が生成して珪酸の溶解特性を高めるとともに、燐酸、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄分が肥効成分として働き、珪酸燐酸肥料として優れた効果を発揮する。また、スラグに従来技術のような特別な処理を加えなくても、溶銑予備処理工程で回収されるスラグをそのまま珪酸燐酸肥料用原料とすることができるため、低コストで製造できる。
珪酸燐酸肥料用原料となるスラグは、可溶性珪酸を10mass%以上、好ましくは20mass%以上含有するものを用いる。また、このスラグは珪酸の溶解特性を高め且つ燐酸による肥効を得るためク溶性燐酸を2mass%以上、好ましくは3mass%以上含有することが望ましい。通常、溶銑脱燐スラグは珪酸及び燐酸を含有し、且つ珪酸の可溶率及び燐酸のク溶率ともに70%以上あるため、可溶性珪酸を10mass%以上、ク溶性燐酸を2mass%以上含有し、肥料として優れた溶解特性を有している。
上述のように珪酸燐酸肥料用原料となるスラグは可溶性珪酸の含有量が高いことが好ましいが、本発明者らによる検討の結果、可溶性珪酸の含有量を高め、且つアルカリ分の溶解量を抑制する上で、スラグ(特に、溶銑脱燐スラグ)の塩基度(CaO/SiO)に最適な条件が存在することが判った(以下、「塩基度」と記載した場合にはCaO/SiO(質量比)を意味するものとする)。
図1のX(●:塩酸可溶性)は高炉溶銑の脱燐処理工程で回収された種々の塩基度を有するスラグについて、塩基度と珪酸可溶率(=(可溶性珪酸量/全珪酸量)×100)との関係を調べた結果である。また、図2のX(●:塩酸可溶性)は図1の結果をスラグ中の可溶性珪酸含有量で整理して示したものである。これによれば、全体としてスラグ塩基度が高くなると珪酸可溶率が高くなる。これは、スラグ中の石灰分が珪酸ネットワークを切断して珪酸の溶解性を増すためであり、スラグ塩基度1.0で約80%、スラグ塩基度1.3でほぼ100%の珪酸溶解率が得られている。一方、スラグ塩基度が高くなるとスラグに含有される全珪酸量が減少するため、可溶性珪酸含有量は減少する傾向があるが、スラグ塩基度が0.7以上の範囲では、可溶性珪酸を10mass%以上含有させることが可能である。さらに、スラグ塩基度を0.9〜1.5の範囲に調整することで、可溶性珪酸の含有量が20mass%を超え、珪酸燐酸肥料としてより有用なものとなる。
スラグ塩基度と珪酸可溶率及び可溶性珪酸含有量との関係は図1及び図2に示すとおりであり、スラグ塩基度が1.0未満でも所望の珪酸可溶率と可溶性珪酸含有量が確保できる塩基度の範囲はあるが、溶銑脱燐スラグが得られる溶銑脱燐工程での脱燐効率の観点からは、スラグ塩基度が1.0未満では十分な脱燐効率が得られず、その結果、ク溶性燐酸含有量が低下してしまう。したがって、以上述べたような珪酸の溶解性、可溶性珪酸含有量及びク溶性燐酸含有量の観点から、本発明ではスラグ塩基度の下限を1.0とする。
一方、可溶性珪酸は0.5mol塩酸溶液という強酸性の環境下での溶解性を測定する肥料公定分析法に基づいた評価方法であるが、実際の多くの土壌はpH7程度の中性環境下であるために、植物に利用されやすい珪酸の形態として、上述した可溶性珪酸の含有量に加えて、pH7付近での珪酸の溶解性も重要である。
図1のY(○:燐酸緩衝液溶解性)は、高炉溶銑の脱燐処理工程で回収された種々の塩基度を有するスラグについて、塩基度と燐酸緩衝液中珪酸溶解率(=(燐酸緩衝液中可溶性珪酸量/全珪酸量)×100)との関係を調べた結果である。また、図2のY(○:燐酸緩衝液溶解性)は図1の結果をスラグ中の燐酸緩衝液中可溶性珪酸量で整理して示したものである。これによれば0.02M燐酸緩衝液(pH7)中での珪酸溶解率は、塩基度が大きくなるに従って増加し、珪酸は中性領域でも溶解するようになる。
しかしながら、塩基度が高くなって珪酸が溶解しやすくなると、これに伴ってアルカリ分も溶解しやすくなることが判った。図3は、高炉溶銑の脱燐処理工程で回収された種々の塩基度を有するスラグを0.02M燐酸緩衝液(pH7)中で溶解させた場合において、スラグ塩基度と溶解後の燐酸緩衝液pHとの関係を調べた結果を示したものである。この調査の結果、pH7の燐酸緩衝液で珪酸燐酸肥料を溶解した後の溶液pHは、塩基度1.5以上のスラグを溶解させた場合に急激に上昇し、pH8.0を超えることが明らかになった。このことから、さきに述べたように酸性土壌があまり多くなく、アルカリ分の投入を控える必要がある現状の農業においては、塩基度1.5以上のスラグは肥料用原料として適していないことになる。このため本発明ではスラグ塩基度を1.5未満とするものであり、これによってアルカリ分の少ない肥料を得ることができる。また、図3の結果からして、スラグ塩基度のより好ましい上限は1.4、特に好ましくは1.3である。
次に、珪酸燐酸肥料用原料中における珪酸と燐酸の含有割合について説明する。一般に、珪酸質肥料の施用量は、窒素、燐酸、加里など他の肥料の施用量に比べて多い。これは、珪酸質肥料が用いられるのは、水稲などのように珪酸吸収量が大きい作物が多いためである。ここで、作物の肥料成分吸収量に基づく一般的な肥料設計では、珪酸質肥料は可溶性珪酸(S−SiO)として1kg/a〜8kg/a程度を施用するのに対して、燐酸肥料はク溶性燐酸(C−P)として0.8kg/a程度の施用で十分である。したがって、同一肥料中に含有されるク溶性燐酸(C−P)と可溶性珪酸(S−SiO)の質量比[C−P/S−SiO]を0.1〜0.8の範囲に調整することで、燐酸と珪酸を同一肥料で投入することができ、省力化農業に適した肥料とすることができる。このため本発明の珪酸燐酸肥料用原料は、スラグ中のク溶性燐酸(C−P)と可溶性珪酸(S−SiO)との質量比[C−P/S−SiO]を0.1〜0.8の範囲に調整することが好ましい。このような質量比[C−P/S−SiO]に調整するには、塩基度を1.0以上、1.5未満の範囲においてなるべく高めにし、溶銑の脱燐効率を高めることが有効である。
上記のような作物の肥料成分吸収量に基づく肥料中成分の好適な割合からして、肥料用原料が可溶性珪酸を10mass%含有する場合には、ク溶性燐酸は1〜8mass%含有すればよく、また、可溶性珪酸を20mass%含有する場合には、ク溶性燐酸は2〜16mass%含有すればよいことになる。ク溶性燐酸の含有量が1mass%未満であると燐酸不足による障害が出る可能性があり、一方、16mass%を超えると過剰施用になり、施用量に見合う効果が期待できない。
また、スラグ塩基度が1.0以上、好ましくは1.1以上のものは冷却時に粉化(崩壊)しやすく、肥料にする際の粉砕処理を軽減又は省略できるという利点がある。これはスラグ成分中の2CaO・SiO(ダイカルシウムシリケート)が冷却の際に変態によって体積膨張し、これによりスラグが粉化するためである。したがって、この点においても、本発明の肥料用原料は肥料化の製造コストが少なくて済む利点がある。
図4は、スラグ塩基度と冷却時の粉化性(粉化指数)との関係を示したもので、粉化指数とは、冷却後のスラグを65mmの篩を通したときの5mm以下の粒の割合(mass%)を示している。図4によれば、スラグ塩基度が1.0以上、特に1.1以上の範囲において高い粉化指数が得られている。一方、スラグ塩基度が1.0未満では2CaO・SiO以外の化合物の生成量が多くなり、2CaO・SiOの割合が減少するため粉化性は低下する。
次に、スラグ中に含まれる他の成分に関する好ましい条件について説明する。
従来一般に行われている脱燐処理ではCaOの滓化を促進するため脱燐剤の一部としてCaF(ホタル石)が添加されているが、このCaFの添加によりスラグ中のフッ素濃度が高まると1mass%のFに対して約11mass%のPがアパタイトとして固定されることになり、ク溶性(クエン酸可溶性)の燐酸濃度が低下し、珪酸燐酸肥料としての役割を果たせなくなるという問題がある。このため溶銑脱燐スラグはF含有量が可能な限り少ないことが望ましく、好ましくは実質的にFを含まない(すなわち、不可避的不純物として含まれるFを除き、脱燐剤に由来するFを含まない)ことが望ましい。溶銑脱燐スラグが実質的にFを含まない場合、不溶性化合物であるフッ素アパタイト(Ca(POF)が少なく且つリン酸カルシウム、シリコカーノタイト(5CaO・P・SiO)又はナーゲルシュミタイト(7CaO・P・2SiO)が増加するので、ク溶性燐酸の割合が高まることになる。
したがって、溶銑脱燐スラグが得られる脱燐処理では、CaFを実質的に含まないCaOを主体とした脱燐剤(但し、不可避的不純物として少量のFが含まれることは妨げない)のみを使用することが好ましく、これにより得られる脱燐スラグは珪酸とともに燐酸を含有し、且つ実質的にFを含有しないことにより燐酸の溶解特性が極めて優れたものとなる。
なお、以上述べたFに関する好ましい条件は、溶銑脱燐スラグ以外のスラグを用いる場合も同様である。
脱燐処理において脱燐剤として添加されるCaOは、アルカリ分としての肥料成分である。しかし、先に述べたように昨今ではアルカリ分の少ない珪酸質肥料が求められているため、可溶性CaO含有量を少なくすることが求められている。したがって、珪酸の溶解性を向上させる可溶性CaO量は30mass%以下とすることが好ましい。一方、可溶性CaO量の下限は、スラグ中のSiO含有量とスラグ塩基度との関係からして10mass%程度となる。
スラグに含まれるAlは植物にとって無用な成分であり、スラグ中のAl含有量が多いと肥料の有効成分が相対的に少なくなる。また、Alは珪酸の溶出性を阻害するとともに、土壌中の燐酸を固定して植物が利用できない形態にするおそれがあるので、極力少ない方がよい。Al含有量が10mass%を超えると、それらの問題が顕在化するおそれがあるので、Al含有量は10mass%以下、好ましくは5mass%以下とすることが望ましい。
スラグに含まれる他の成分の中で肥料として有効な成分もある。MgO(苦土)、MnO(マンガン)は肥料保証成分であるが、スラグに含有されるMgO、MnOのほとんどがク溶性であり植物にとって有効である。MgO、MnOともに含有量が少ないと植物の吸収障害が生じるが、一方において含有量が過剰の場合、十分に吸収されずに含有量に見合う効果が得られないだけでなく、却って過剰吸収による障害を生じることがある。このため通常の植物の燐酸とMgO、MnOの吸収割合から、MgOは1〜5mass%、MnOは1〜7mass%程度の含有量とすることが望ましい。
以上述べた本発明の珪酸燐酸肥料用原料は、そのままで或いは破砕(粉砕)処理及び/又は整粒(粒度調整)を施した上で珪酸燐酸肥料とすることができる。また、上記珪酸燐酸肥料用原料、特に破砕処理及び/又は整粒された珪酸燐酸肥料用原料は、適当なバインダーを用いた造粒工程を経て珪酸燐酸肥料とすることが好ましく、このような珪酸燐酸肥料は施肥の時の飛散、雨水による流出、地面の通水性や通気性の阻害といった問題が生じにくい。また、形状が規則的で且つ球状に近く、角張っていないため、取り扱い性も良好である。
また、本発明の珪酸燐酸肥料用原料に他の添加成分を配合し、珪酸燐酸肥料としてもよい。
本発明の珪酸燐酸肥料用原料が溶銑脱燐スラグからなる場合について、その好ましい製造方法を説明する。
溶銑脱燐スラグは高炉溶銑の脱燐処理で生成するスラグであり、この脱燐処理は、溶銑に対して脱燐剤として石灰源と酸素源を添加して行われる。石灰源としては通常は生石灰が用いられるが、これに限定されるものではない。また、酸素源としては、気体酸素源(酸素ガス又は酸素含有ガス)及び/又は固体酸素源(例えば、鉄鉱石、ミルスケール等の酸化鉄)が用いられる。また、先に述べたように脱燐剤としてはCaFを実質的に含まないものを用いることが好ましい。
この脱燐処理では、処理前の溶銑中の燐濃度、処理後の目標燐濃度、上述した好ましいスラグ塩基度に応じて脱燐剤の添加量が決定される。
脱燐処理を行う容器に特別な制約はないが、通常は溶銑鍋等の取鍋型容器、トピードカー、転炉型容器等を用いて行われる。脱燐処理は前工程(例えば、脱珪工程)で生じたスラグを分離した溶銑に対してなされる。
また、酸素源の供給方法に特別な制約はなく、気体酸素の場合には送酸ランスによる上吹きや溶銑中へのインジェクション、或いは底吹きなどの任意の方法で送酸を行うことができ、また、固体酸素源の場合には浸漬ランスによるインジェクションや上置き装入などの任意の方法で溶銑中への供給を行うことができる。なお、気体酸素を供給する場合、脱燐処理を転炉型容器や溶銑鍋などを用いて実施する場合には送酸ランスによる上吹きが、また、トーピードを用いて実施する場合には浸漬ランスによる溶銑中へのインジェクションが一般的である。
また、石灰源の供給方法にも特別な制約はなく、浸漬ランスによる溶銑中へのインジェクションや上置き装入などの任意の方法で溶銑中への供給を行うことができる。浸漬ランスによる溶銑中へのインジェクションは、上述した固体酸素源とともに行ってもよい。また、脱燐効率を高めるために石灰源を溶銑の浴面上方からキャリアガスを用いて浴面に投射する(吹き付ける)こともできる。このキャリアガスとしては、窒素や不活性ガス或いは先に述べた気体酸素を用いることができる。
また、石灰源と酸素源を供給する浴面又は浴中の位置は任意であるが、脱燐効率を高めるために石灰源と酸素源を浴面又は浴中の同一位置に供給することもできる。また、同様の目的で脱燐剤の一部又は全部に石灰源と酸素源を一体化したFeO−CaO系脱燐剤を使用することができる。
脱燐処理は転炉型容器を用いて行った方が特に大きな効果(脱燐効率)が得られる。これは、転炉型容器は取鍋やトーピードに較べてフリーボードが大きいために撹拌動力を大きくすることができ、これにより迅速な滓化とPの物質移動が生じるためである。通常、転炉型容器で行われる脱燐精錬では、送酸ランス等から酸素を吹錬する。
また、脱燐反応効率をさらに向上させるためには溶銑をガス撹拌することが好ましい。このガス撹拌は、例えばインジェクションランスや底吹きノズルなどを通じて窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを溶銑中に吹き込むことにより行われる。このような撹拌ガスの供給量としては、十分な浴撹拌性を得るために0.02Nm/min/溶銑ton以上とし、また、浴の撹拌が強すぎると生成したFeOを溶銑中のCが還元する速度が大きくなり過ぎるためのため0.3Nm/min/溶銑ton以下とすることが好ましい。
脱燐処理における脱燐処理効率を高めるためには、処理前の溶銑中Si濃度がなるべく低い方が好ましく、またこれによりスラグ量も少なくなるため、燐酸濃度の高い脱燐スラグを得ることができる。
このようにして溶銑は脱燐処理され、溶銑上には珪酸燐酸肥料組成の脱燐スラグが生成する。脱燐処理終了後、溶銑脱燐スラグを溶銑保持容器から取り出し、冷却して固化させる。冷却・固化は、溶銑保持容器から取り出す際に行ってもよいし、容器に収納した後、その容器から取り出す際に行ってもよい。
冷却固化の方法としては、融体又は過冷却液体温度領域を冷却する場合には、例えば、生成した溶銑脱燐スラグに高圧空気を吹きつけて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(風砕法)、溶銑脱燐スラグに高圧水を吹きつけて飛散させ、冷却するとともに粒状化する方法(水砕法)、厚鋼板上に生成した溶銑脱燐スラグを流出させ、厚鋼板による強制冷却と空気への放熱により冷却する方法、などの方法を採ることができる。また、徐冷する場合には、スラグを滓ポットに受け、その後、スラグ処理場に排滓する。
このような冷却固化を経て珪酸燐酸肥料用原料である溶銑脱燐スラグが得られる。
以上のようにして製造される珪酸燐酸肥料用原料は、粒度が適当であればそのまま珪酸燐酸肥料とすることができるが、冷却固化後の形状が塊状等の場合には、破砕(粉砕)処理及び/又は整粒(篩い分けなどにより粒度調整)を行い珪酸燐酸肥料とする。また、場合によっては他の添加成分を配合して珪酸燐酸肥料としてもよい。
珪酸燐酸肥料用原料の破砕(粉砕)方法に特別な制限はなく、どのような方法を採用してもよい。例えば、ジョークラッシャー、ロッドミル、フレッドミル、インペラブレーカーなどの粉砕機を用いて粉砕処理することができる。また、整粒は任意の篩い分け装置などを用いて行えばよく、珪酸燐酸肥料用原料を粉砕処理した後、整粒を行ってもよい。
また、破砕処理及び/又は整粒された珪酸燐酸肥料用原料は、適当なバインダーを用いた造粒工程を経て珪酸燐酸肥料とすることが好ましく、このようにして造粒された珪酸燐酸肥料は、施肥時の飛散、雨水による流出、地面の通水性や通気性の阻害といった問題を生じにくい。また、形状が規則的で且つ球状に近く、角張っていないため、取扱い性も良好である。
造粒方法に特別な制限はなく、一般的な造粒方法を採用することができるが、例えば、上記粉砕処理によって得られた粉砕物とバインダーとを混合機で混合し、適量の水を加えながら造粒機で造粒し、しかる後、乾燥するという方法を採ることができる。
造粒機としては、一般的に使用されるもの、例えば、回転皿型造粒機、回転円筒型造粒機等を用いることができ、造粒後に所定の粒度範囲に入らないものは直接又は粉砕などの処理をした後に再度混合機に戻し、原料の一部として再利用する連続造粒方法を採ることが好ましい。
図5は、珪酸燐酸肥料用原料の造粒工程の一例を示すもので、上記粉砕処理によって得られた粉砕物(珪酸燐酸肥料用原料)1がショベルローダー等によりホッパー2に装入され、計量された粉砕物1がホッパー2からコンベア3を介してドラム式回転型造粒機4に供給される。このドラム式回転型造粒機4には容器6に貯留されたバインダー5も所定量供給され、ドラム式回転型造粒機4が回転することにより粉砕物1とバインダー5とが混合されて造粒される。その後、造粒物はドライヤー7で乾燥され、エレベーター8により篩い装置9に供給されて篩い分けされ、さらにクーラー10で冷却されて造粒肥料となる。なお、クーラー10で冷却後に篩い分けして造粒肥料とすることも可能である。
図6は、珪酸燐酸肥料用原料の造粒工程の他の例を示すもので、上記粉砕処理によって得られた粉砕物1がホッパー12に装入され、計量された粉砕物1がホッパー12からミキサー15に装入される。また、容器14に貯留されたバインダー13も所定量ミキサー15に装入される。そして、ミキサー15において粉砕物1とバインダー13とが混合され、この混合物が皿形造粒機16に供給され、この皿形造粒機16において造粒される。皿形造粒機16で造粒された造粒物はベルトコンベヤー17に載せられ、後は図5の工程と同様、ドライヤー7で乾燥され、エレベーター8により篩い装置9に供給されて篩い分けされ、さらにクーラー10で冷却されて造粒肥料となる。
造粒工程で用いるバインダーにも特別な制限はなく、例えば、リン酸、粘土、ベントナイト、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、糖蜜、リグニン、硫酸マグネシウム、デンプン等の中から選ばれる1種以上を単独で又は混合して用いることができるが、造粒性と施肥後における肥料粒子の崩壊性の面で、デンプン、硫酸マグネシウム、リグニンが適しており、これらの中から選ばれる1種以上をバインダーの主成分として用いることが好ましい。
珪酸燐酸肥料用原料を造粒して造粒物である肥料を製造する場合、バインダーに要求される特性としては、(1)優れた造粒性が得られること、(2)施肥後において肥料粒子(造粒物)が容易に崩壊して土壌中に分散できること、(3)製造中及び流通から施肥までの取り扱い中に粒子が崩壊しないような硬度を有すること、(4)バインダー成分が土壌を含めた環境に悪影響を与えないこと、などが挙げられ、上記デンプン、硫酸マグネシウム、リグニンはこれらの特性をすべて満足している。また、そのなかでもデンプンを用いた場合には、造粒された肥料粒子の硬度が特に高く、また、デンプンは雨や土壌中の水分で溶解して適度な速度で肥料粒子を崩壊させるため、特に好ましい。また、デンプンは水分を加えることにより糊化し、その後乾燥させることにより固化するので、造粒性にも優れており、さらに、土中微生物等により分解されるので、植物や環境に悪影響を及ぼすこともない。
バインダーとして使用されるデンプンは、トウモロコシ、タピオカ、小麦、馬鈴薯、コメ等を原料としたものが挙げられる。これらのデンプンは、原料によって構成成分であるアミロース(d−グルコースが長い直鎖状に結合したもの)とアミロペクチン(d−グルコースが枝分かれ状に結合したもの)の割合が異なり、モチ米やモチトウモロコシ等ではアミロペクチンの割合が多い。さらに、デンプンの種類としては、そのままの生デンプンでも、熱や酸、アルカリ、塩、酵素等で処理した加工デンプンでもよい。これらのデンプンは、その種類に関わらず、糊化する性質を有しているものが造粒バインダーとして適している。
このようにして造粒された珪酸燐酸肥料の平均粒径は0.5〜6mmが好ましい。平均粒径が0.5mm未満では施肥する時に風に吹き飛ばされたりして取り扱い性が悪くなり、一方、6mmを超えると均一に散布することが困難になる。より好ましい粒径は1〜5mmである。
Si濃度が0.15mass%の溶銑に対して溶銑鍋を用いて脱燐処理を実施し、珪酸燐酸肥料用原料である脱燐スラグを製造した。この脱燐処理では浸漬ノズルを用いて脱燐剤(生石灰)を浴中にインジェクションするとともに、送酸ランスにより酸素の上吹を行った。また、上記インジェクションのキャリアガスにより浴の撹拌を行った。
脱燐処理後、生成したスラグを珪酸燐酸肥料用原料として回収した。これらのスラグの組成を表1及び表2に示すが、実施例の珪酸燐酸肥料用原料はいずれも燐酸を含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸含有量が10mass%以上となっている。
Figure 2004345940
Figure 2004345940
次に、表1及び表2に示すスラグのうち比較例1(塩基度0.49)、実施例1(塩基度1.07)、実施例5(塩基度1.49)の各スラグ(肥料用原料)を用い、珪酸及び燐酸の植物による吸収量を水稲の幼植物栽培実験で評価した。各スラグの粉砕物である肥料に、試薬で燐酸(P)を加え、質量比[C−P/S−SiO]が0.8になるように調整した。各試験区(ポット)に土壌と珪砂500gを入れ、これに上記肥料を可溶性珪酸添加量が100mgとなるように添加した。比較のため、肥料を添加しない試験区(ポット)を用意した。また、窒素(N)及びカリ(KO)を、それぞれ試薬として各試験区当たり80mg添加した。実験は5連で実施し、作物には水稲を用い、播種して22日後の水稲の乾燥重量と珪酸と燐酸の吸収量を測定した。
その結果を表3に示す。各肥料の質量比[C−P/S−SiO]を0.8に揃え、各試験区には同じ可溶性珪酸添加量となるように肥料を施用したが、塩基度0.49の肥料を用いた試験区では珪酸の吸収量が低く、施肥の効果が低いのに対して、塩基度1.07、塩基度1.49の肥料を用いた試験区では珪酸及び燐酸の吸収量が多く、施肥の効果が高いことが判る。
Figure 2004345940
溶銑脱燐スラグの塩基度と珪酸溶解性との関係を示すグラフ 溶銑脱燐スラグの塩基度と可溶性珪酸含有量との関係を示すグラフ 溶銑脱燐スラグの塩基度とスラグを燐酸緩衝液に溶解した後の溶液pHとの関係を示すグラフ 回収されたスラグの塩基度と冷却時の粉化性との関係を示すグラフ 本発明の珪酸燐酸肥料用原料の造粒工程の一例を示す説明図である。 本発明の珪酸燐酸肥料用原料の造粒工程の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1…粉砕物、2…ホッパー、3…コンベア、4…ドラム式回転型造粒機、5…バインダー、6…容器、7…ドライヤー、8…エレベーター、9…篩い装置、10…クーラー、12…ホッパー、13…バインダー、14…容器、15…ミキサー、16…皿形造粒機、17…ベルトコンベヤー

Claims (15)

  1. 高炉溶銑の溶銑予備処理工程で回収されるスラグであって、溶銑中の珪素の酸化物である珪酸と燐の酸化物である燐酸とを含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグからなることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料。
  2. スラグがク溶性燐酸を2mass%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の珪酸燐酸肥料用原料。
  3. スラグ中のク溶性燐酸(C−P)と可溶性珪酸(S−SiO)の質量比[C−P/S−SiO]が0.1〜0.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の珪酸燐酸肥料用原料。
  4. スラグ中の可溶性CaOの含有量が30mass%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の珪酸燐酸肥料用原料。
  5. スラグが溶銑脱燐スラグであることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の珪酸燐酸肥料用原料。
  6. スラグが実質的にフッ素を含まないスラグであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の珪酸燐酸肥料用原料。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6に記載の珪酸燐酸肥料用原料からなる又は該珪酸燐酸肥料用原料を主原料としたことを特徴とする珪酸燐酸肥料。
  8. 珪酸燐酸肥料用原料が破砕処理及び/又は整粒されたものであることを特徴とする請求項7に記載の珪酸燐酸肥料。
  9. 珪酸燐酸肥料用原料にバインダーを添加して造粒することにより得られた造粒物であることを特徴とする請求項7又は8に記載の珪酸燐酸肥料。
  10. 高炉溶銑の溶銑予備処理工程において、溶銑にCaO源と酸素源を添加して溶銑中の珪素の酸化反応と溶銑の脱燐反応を生じさせ、該反応で生成した珪酸と燐酸を含むスラグを回収して固化させることにより、珪酸と燐酸を含み、塩基度(CaO/SiO)が1.0以上、1.5未満で且つ可溶性珪酸を10mass%以上含有するスラグを得ることを特徴とする珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
  11. 溶銑予備処理工程が溶銑脱燐工程であることを特徴とする請求項10に記載の珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
  12. 溶銑予備処理工程において溶銑にCaO源を添加するとともに、その添加量を調整することで回収するスラグの塩基度(CaO/SiO)を調整することを特徴とする請求項10又は11に記載の珪酸燐酸肥料用原料の製造方法。
  13. 請求項10、11又は12の製造方法で得られた珪酸燐酸肥料用原料を用いて珪酸燐酸肥料を製造することを特徴とする珪酸燐酸肥料の製造方法。
  14. 珪酸燐酸肥料用原料を破砕処理及び/又は整粒する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の珪酸燐酸肥料の製造方法。
  15. 珪酸燐酸肥料用原料にバインダーを添加して造粒する工程を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の珪酸燐酸肥料の製造方法。
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