JPWO2002053347A1 - 発泡射出成形方法 - Google Patents

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Abstract

金型キャビティの内壁面に溶融樹脂排出手段を有する金型を提供し、発泡性の熱可塑性樹脂を射出して該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして、該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それにより、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する発泡射出成形方法が開示される。これにより金型キャビティの内壁面の形状を高精度に転写し、寸法精度が高く、軽量の発泡成形品を高い生産性で経済的に成形できる。

Description

技術分野
本発明は熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法に関する。更に詳しくは、本発明は、実質的に無発泡の表皮層を有する発泡成形品を成形するための熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、該金型キャビティの内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で該金型キャビティに射出して該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、(3)該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、ことを特徴とする発泡射出成形方法に関する。本発明の発泡射出成形方法によれば、金型キャビティ内壁面形状の転写性が良好で、無発泡の表皮層と高発泡の発泡層を有する成形品を再現性良く、効率的、経済的に製造することができるだけでなく、成形品の表皮層の厚さおよび成形品の発泡倍率を容易に制御することができる。本発明の発泡射出成形方法によれば、弱電機器、電子機器などのハウジング、各種自動車部品、各種日用品などの種々の優れた熱可塑性樹脂発泡射出成形品を安価に提供することができる。また、本発明の発泡射出成形方法は、通常の熱可塑性樹脂だけでなく、熱安定性が低い難燃剤を含む、高い樹脂温度で成形することが困難な樹脂組成物や、流動性が低く従来の方法では射出成形が困難な樹脂にも有利に適用できる。
従来技術
従来、発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂を発泡させて得られる発泡成形品を製造するための発泡射出成形方法が知られている。発泡剤としては、一般に、アゾジカルボンアミド(ADCA)やN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などが用いられる。発泡剤の使用量は、一般に、樹脂100重量部に対して1〜5重量部の範囲である。
従来の発泡射出成形方法の代表例としては、ショートショット法が挙げられる。ショートショット法では、発泡剤を含有させた溶融樹脂を金型キャビティ容積よりも少ない体積で該金型キャビティに射出する。金型キャビティに射出された溶融樹脂のうち金型キャビティ内壁面に最初に接する部分は直ちに冷却固化されて固化層を形成し、後から金型キャビティ内に入る溶融樹脂は固化層に沿って金型キャビティの中央部を流れ、流動先端(フローフロント)に達してから金型キャビティ内壁面に向かい、金型キャビティ内壁面に接触して冷却され、固化層を形成する。即ち、いわゆるファウンテンフローと呼ばれる流動挙動をする。溶融樹脂の射出終了後は、該溶融樹脂の発泡により該溶融樹脂が金型キャビティの端部にまで進行し、金型キャビティを充填して発泡成形品を形成する。このショートショット法では、流動中の溶融樹脂の先端部でも発泡が生じるため、成形品樹脂表面が荒れた状態になるという欠点を有するものの、最もシンプルな成形方法であり、広く使用されている。
一方、外観が良好でヒケやソリの少ない厚肉発泡成形品を得る手法として、日本国特公昭62−16166号公報に示されるような、一般にカウンタプレッシャ成形法と呼ばれている成形法がある。これは発泡剤を含んだ溶融樹脂を圧縮空気を満たした金型キャビティにショートショットで射出し、次いで該キャビティ内の圧縮空気を金型外に開放し、キャビティ内の溶融樹脂への圧力を低く保って樹脂を冷却する成形法であり、樹脂充填時のフローフロントでの発泡を抑制することで成形品の表面には発泡模様がなく、内部のみ発泡した成形品を作る技術である。カウンタプレッシャ成形法は、発泡性溶融樹脂を無発泡状態で金型キャビティにほぼ満たした後、成形品内部の溶融樹脂が冷却され、冷却に伴う体積収縮分が発泡するものである。このため、樹脂に発泡性を持たせる目的で樹脂中に含ませる発泡剤の量は、体積収縮を発泡で補える最低限とすることが基本的な考え方である。そのため、当該方法では高い圧力で樹脂を金型キャビティ内壁面に押し付けることがないために、金型表面の転写性が低く、外観品質に劣り、また、体積収縮分しか発泡しないために、成形品の軽量化にも限界がある。また樹脂中に含ませる発泡剤の量が多すぎる場合は、金型から成形品を取り出した後も発泡し、成形品に膨張や変形が発生するため、金型キャビティ内での極めて長い冷却時間を必要とする問題がある。
また、古くからあるアイデアとして、発泡性溶融樹脂を金型キャビティ内に射出充填後、該溶融樹脂中にガス体を注入し、一旦中空体を成形し、該中空体の表層部が固化した後、注入したガス体を金型外へ放出し、発泡性溶融樹脂を中空部へ発泡させる方法がある(日本国特公昭53−25352号公報(米国特許第4,129,635号に対応))。しかしながら中空部を形成するために用いたガス供給口からガスを開放しようとすると配管等での圧力損失が大きく中空部を形成したガス体の放出に時間がかかる。結果として、中空部からのガス体の放出を行なう間に中空部内面の溶融樹脂の固化が進み、充分な大きさの発泡層を形成できない。また発泡性溶融樹脂中のガス吸収量が多い上に、中空部内面が発泡する状態においてガスを開放しようとすると、ガスの供給口でもあるガス開放口の周辺までも発泡してしまう。その結果、中空体を形成したガス体を金型外に速やかに開放できなくなり、中空部にガス体の圧力が残存することとなる。ついには、金型を開く時や成形品を取り出す時に、成形品が破裂するという問題が発生する。
最近でも上記と同様に中空体を形成した後に発泡させる方法が提案されている。すなわち、日本国特開平7−32405号公報(米国特許第5,900,198号と米国特許第5,948,446号に対応)や日本国特開2000−94468号公報である。前者の文献では、発泡性溶融樹脂を高圧ガスで加圧した金型キャビティ内に注入するに際し、その注入中又は注入後に該溶融樹脂中に高圧ガスを注入して中空部を形成した後、注入した高圧ガスを金型外へ排出し、発泡性溶融樹脂を中空部へ発泡させることによって、射出成形品の厚肉部に中空部を形成し、さらに表面層と中空部の間に発泡セルを点在させた、表面にひけの出ない樹脂成形品を得る方法が開示されている(日本国特開平7−32405号公報)。しかし、この方法も、上記の日本国特公昭53−25352号公報(米国特許第4,129,635号に対応)と同じくガス排出に時間を要するため、充分な大きさの発泡層を形成することが出来ない上に、ガス排出口付近の発泡によりガス抜けが悪くなるため残存ガスの圧力による成形品の破裂現象を引き起こす問題がある。
一方、後者の文献(日本国特開2000−94468号公報)では、発泡剤を含んだ溶融樹脂を金型キャビティに射出充満させた後、該溶融樹脂に加圧ガスを注入して該溶融樹脂の一部を樹脂排出用キャビティ(スピルオーバー・キャビティ)に排出し、中空部を形成した後、該中空部内の加圧ガスを排出して圧力を下げることによって、表面部分の実質的無発泡層とその内部に発泡部を備えた、良好な外観と高強度・高剛性を確保した軽量成形品を得る方法が開示されている。しかし、この方法においても、樹脂排出用キャビティに溶融樹脂を排出した時点では中空部内のガスは高圧のままであるため、その後該ガスを排出しても前者の文献の方法と同様の問題がある(即ち、充分な大きさの発泡層を形成することができず、また、残存ガスの圧力による成形品の破裂現象が起きる)。
このように、従来の発泡成形方法においては、優れた外観及び寸法精度を保持したまま、高発泡倍率による軽量化と成形サイクルの短縮を図ることの出来る発泡射出成形方法はなかった。
さらに、一度の成形で多数の成形品を得るような成形方法を行う場合を考えると、従来の発泡成形法においては次のような問題がある。複数個の成形品を同時に成形するための金型を用いて2つ以上の成形品を同時に成形しようとする場合、それらの発泡倍率を同じにするためには、それぞれの金型キャビティ内への樹脂充填量、および樹脂圧力のバランスを均等にしなければならない。特に4つ以上の成形品を同時に成形しようとする場合、従来の成形方法においては、ほとんどの場合、上記のバランスがとれず、同じ発泡倍率の製品がとれない問題がある。また同じ金型内で異なる容積の複数の発泡成形品を得るような場合には、さらに上記バランスをとることが困難である。このように、発泡成形での多数個取りは量産において採用されていないのが実状である。
本発明の課題は、熱可塑性樹脂発泡成形品の発泡射出成形方法において、金型キャビティ内壁面の形状を高精度に転写し、寸法精度が高く、軽量の発泡成形品を高い生産性で経済的に成形する方法を提供することにある。
発明の概要
このような状況下、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、意外にも、熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、該金型キャビティの内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で該金型キャビティに射出して該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、(3)該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、ことを特徴とする発泡射出成形方法によって上記目的を達成できることを見出した。すなわち、上記の発泡射出成形方法によれば、金型キャビティ内壁面形状の転写性が良好で、無発泡の表皮層と高発泡の発泡層を有する成形品を再現性良く、効率的、経済的に製造することができるだけでなく、成形品の表皮層の厚さおよび成形品の発泡倍率を容易に制御することができることを見出した。この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の1つの目的は、金型キャビティ内壁面形状の転写性が良好で、無発泡の表皮層と高発泡の発泡層を有する成形品を再現性良く、効率的、経済的に製造することができるだけでなく、成形品の表皮層の厚さおよび成形品の発泡倍率を容易に制御することができる、優れた発泡射出成形方法を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら行う以下の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様によると、熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口に通じており、
該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の95〜110%の範囲、好ましくは98〜105%の範囲であり、
これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
(3)該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして
(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
ことを特徴とする発泡射出成形方法が提供される。
本発明の他の1つの態様によると、熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口及び所望によりガス入口に通じており、
該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の55〜110%の範囲、好ましくは60〜100%の範囲であり、
これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
(3)上記樹脂入口または上記ガス入口を通じて該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に加圧ガスを注入して該発泡性溶融樹脂塊にガス充填中空部を形成し、それによって該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の外表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の外表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、
工程(3)は、工程(2)の間、工程(2)の完了後、または工程(2)の間と完了後に行ない、そして
(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部と該ガス充填中空部内の加圧ガスの少なくとも一部を、該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力と該ガス充填中空部内の加圧ガスの圧力によって、該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
ことを特徴とする発泡射出成形方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口に通じており、
該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の95〜110%の範囲であり、
これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
(3)該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして
(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
ことを特徴とする発泡射出成形方法。
2.工程(3)での該発泡性溶融樹脂塊への加圧を、追加の発泡性溶融樹脂を該金型キャビティに射出して該発泡性溶融樹脂塊に所定の樹脂保圧をかけることによって行なうことを特徴とする前項1に記載の方法。
3.工程(2)の前で工程(1)の後に、該金型キャビティに加圧ガスを導入して、該金型キャビティの圧力を、工程(2)で射出された該発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力とすることを特徴とする前項1または2に記載の方法。
4.工程(2)の前で工程(1)の後に該金型キャビティに導入する該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする前項3に記載の方法。
5.該金型キャビティの該溶融樹脂排出手段が開閉弁であり、該金型が、該開閉弁を介して該金型キャビティに通じる溶融樹脂排出用キャビティを有しており、該溶融樹脂排出用キャビティの容積が、工程(4)で該開閉弁を通じて該金型キャビティの外側に排出される該発泡性溶融樹脂塊の該一部の体積より大きいことを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の方法。
6.該溶融樹脂排出用キャビティが該金型の外側に通じる通気口を有することを特徴とする前項5に記載の方法。
7.該発泡性溶融樹脂が、溶融樹脂とそれに溶解した少なくとも1種のガス状発泡剤からなり、該少なくとも1種のガス状発泡剤が二酸化炭素ガスと窒素ガスからなる群から選ばれることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の方法。
8.該発泡性溶融樹脂の該発泡剤の含有量が0.05〜10重量%であることを特徴とする前項7に記載の方法。
9.熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
(1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口及び所望によりガス入口に通じており、
該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
(2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の55〜110%の範囲であり、
これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
(3)上記樹脂入口または上記ガス入口を通じて該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に加圧ガスを注入して該発泡性溶融樹脂塊にガス充填中空部を形成し、それによって該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の外表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の外表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、
工程(3)は、工程(2)の間、工程(2)の完了後、または工程(2)の間と完了後に行ない、そして
(4)該発泡性溶融樹脂塊の一部と該ガス充填中空部内の加圧ガスの少なくとも一部を、該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力と該ガス充填中空部内の加圧ガスの圧力によって、該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
ことを特徴とする発泡射出成形方法。
10.工程(3)で用いる該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする前項9に記載の方法。
11.工程(2)の前で工程(1)の後に、該金型キャビティに加圧ガスを導入して、該金型キャビティの圧力を、工程(2)で射出された該発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力とすることを特徴とする前項9または10に記載の方法。
12.工程(2)の前で工程(1)の後に該金型キャビティに導入する該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする前項11に記載の方法。
13.該金型キャビティの該溶融樹脂排出手段が開閉弁であり、該金型が、該開閉弁を介して該金型キャビティに通じる溶融樹脂排出用キャビティを有しており、該溶融樹脂排出用キャビティの容積が、工程(4)で該開閉弁を通じて該金型キャビティの外側に排出される該発泡性溶融樹脂塊の該一部の体積より大きいことを特徴とする前項9〜12のいずれかに記載の方法。
14.該溶融樹脂排出用キャビティが該金型の外側に通じる通気口を有することを特徴とする前項13に記載の方法。
15.該発泡性溶融樹脂が、溶融樹脂とそれに溶解した少なくとも1種のガス状発泡剤からなり、該少なくとも1種のガス状発泡剤が二酸化炭素ガスと窒素ガスからなる群から選ばれることを特徴とする前項9〜14のいずれかに記載の方法。
16.該発泡性溶融樹脂の該発泡剤の含有量が0.05〜10重量%であることを特徴とする前項15に記載の方法。
上記のように、本発明の方法には、工程(3)における金型キャビティ内の溶融樹脂塊への加圧に加圧ガスを用いない(樹脂保圧をかけることなどによって行なう)第1の方法と、工程(3)における金型キャビティ内の溶融樹脂塊への加圧に加圧ガスを用いる第2の方法がある。なお、第1の方法においては、工程(2)での発泡性溶融樹脂の射出量は、所定の射出温度圧力条件下で測定して金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の95〜110%の範囲、好ましくは98〜105%の範囲である。また、第2の方法においては、工程(2)での発泡性溶融樹脂の射出量は、所定の射出温度圧力条件下で測定して金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の55〜110%の範囲、好ましくは60〜100%の範囲である。発泡性溶融樹脂の射出量が金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の100%を超えることが可能な理由は、射出圧力で溶融樹脂が圧縮されるからである。本発明でいう「射出温度」とは成形機のシリンダ温度のことであり、射出される溶融樹脂の温度にほぼ等しい。また、本発明でいう「射出圧力」とは、溶融樹脂を射出するのに要する圧力である。以下、上記のように定義される溶融樹脂の射出量を以下しばしば、「金型キャビティ充填率」と称する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが従来技術の問題を解決するため鋭意検討した結果、特定量の二酸化炭素ガスを溶融樹脂に溶解させておくと、成形中にのみ二酸化炭素ガスが可塑剤と発泡剤の両方の働きをし、成形後の成形品は変形せずに二酸化炭素ガスが大気中に放散するため、樹脂性能を変えることなく溶融樹脂の粘度を低下させ、かつ固化を抑制し、発泡射出成形を容易にできることを見出し、また、溶融樹脂が高い発泡性を持つために、金型表面状態が成形品に転写するように保圧した後であっても、表皮層に包まれた発泡性溶融樹脂塊の一部を発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により表皮層の一部を破って溶融樹脂排出手段を通じて金型キャビティの外側へ十分に排出できることを見いだした。また該溶融樹脂塊の該一部の排出が極めて短時間に行われるため、溶融樹脂が固まらないうちに急激な発泡を生ぜしめることができることから、高い発泡倍率を達成できること、しかもこの時の気化熱により溶融樹脂が急激に冷却されるため、冷却時間が少なくて済み成形サイクルの短縮が図れることを見いだした。そして、得られた発泡成形品は、実質的に無発泡の表皮層と該表皮層に包まれた発泡層を有し、表面外観及び寸法精度に優れることを見いだした。更に、本発明者らは、二酸化炭素ガス以外の発泡性ガス(例えば窒素ガス)を用いた場合でも、同様な効果が得られることも見いだした。これらの知見に基づき、本発明を完成した。
本発明の方法は、二酸化炭素ガスに代表される発泡性ガスを溶融樹脂に溶解することにより、固化温度を低下させ、樹脂の溶融流動性を向上させることと、発泡性溶融樹脂塊を射出圧力や高圧ガスにより金型キャビティ内壁面に押し付けた後に発泡性溶融樹脂塊の一部を該溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出手段を通じて金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、金型キャビティ内の発泡性溶融樹脂塊を発泡させることを組み合わせることにより、外観や寸法精度に優れ、高度に発泡した成形品を得る発泡射出成形法である。
即ち、熱可塑性樹脂に二酸化炭素ガス等の発泡性ガスを溶解させることにより同じ射出温度において、溶融樹脂の粘度が熱可塑性樹脂本来の粘度よりも大幅に低下し、固化温度を低下させ、高い流動性と発泡性が得られる。この状態で金型キャビティに該溶融樹脂をカウンタプレッシャ法で射出充填すると、金型キャビティ内の加圧ガスによって溶融樹脂の発泡が抑えられた状態で溶融樹脂が充填される。さらに溶融樹脂を加圧しながら金型表面に押し付けると、上記したように該溶融樹脂は発泡性ガスを含むことで低粘度化しており、また樹脂がフルショットで充填されているため、もしくは高圧のガスでガス充填中空部を形成し、ガス圧で保圧されているために金型キャビティ内壁面に強く押し付けられ、該金型キャビティ内壁面形状が良好に溶融樹脂塊表面に転写される。
本発明の方法においては、この段階で溶融樹脂塊の表面部分のみを冷却固化して表皮層を形成する。この表皮層は、樹脂が緻密に充填された、無発泡または微発泡(発泡倍率1.01倍以下)な構造を有する。一旦固化した表皮層ではその後に発泡が生じないため、本発明の方法では表面に発泡模様のない高品質の成形品が得られることになる。また表皮層の厚さは上記冷却固化の時間を調整することで容易に制御することができる。上記冷却固化の時間は通常0.1秒〜2秒の範囲内が好ましい。
表皮層が形成された段階では、該表皮層に包まれた内部の溶融樹脂塊は発泡性ガスの溶解により固化温度が低下していることにより、十分な発泡性を維持している。本発明の方法では、溶融樹脂塊の一部を溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出手段を通じて金型キャビティの外側に瞬時に排出、開放し、金型キャビティ内の溶融樹脂塊を発泡させるか、もしくは、溶融樹脂塊の一部とガス充填中空部内の加圧ガスの少なくとも一部を、溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力とガス充填中空部内の加圧ガスの圧力により溶融樹脂排出手段を通じて金型キャビティの外側に瞬時に排出、開放し、金型キャビティ内の溶融樹脂塊を発泡させる。
上記したように、本発明の方法によれば表皮層の厚みや発泡倍率を容易に制御することができる。発泡層の発泡倍率として1.05〜4.0の成形品を良好に成形することができる。また表皮層の厚さが成形品の最大肉厚の20%以下である、あるいは厚さが1mm以下の薄い表皮層を有して、かつ連続気泡構造(open−cellular structure)を有する発泡層を有する軽量の成形品を良好に成形することができる。
本発明の成形方法で使用される熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンなどの熱可塑性のプラスチック材料、およびこれらを2種以上混合した組成物、これらに各種充填材を配合したものである。ここでいうスチレン系樹脂とは、スチレンを必須原料とするホモポリマー、コポリマーおよびこれらのポリマーと他の樹脂より得られるポリマーブレンドであり、ポリスチレンまたはABS樹脂であることが好ましい。ポリスチレンとは、スチレンホモポリマーである。また、ポリスチレン樹脂相中にゴムが分布した構造を有する、いわゆるゴム強化ポリスチレンも好ましく用いられる。
特に、本発明の方法においては、発泡性ガス特に二酸化炭素ガスを溶解させたときに大きく溶融粘度が低下する熱可塑性樹脂が好ましく、非晶性の熱可塑性樹脂ではスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂などが好ましい。特にポリカーボネートは二酸化炭素の溶解度が高いだけでなく、熱分解したときに二酸化炭素を生じることから、溶融樹脂に発泡剤として二酸化炭素ガスが含まれていると分解反応の平衡がずれ、分解反応速度が遅くなる利点もあり、本発明の方法に好適である。また結晶性の熱可塑性樹脂では、ガラス繊維等の無機フィラーを10重量%以上含んだポリアミド系樹脂組成物が好ましく、ポリアミド系樹脂としては芳香環を有するものが特に好適である。
また、本発明の方法では、各種の難加工性樹脂、例えば樹脂の分子量が従来の方法で射出成形するには大きすぎる、もしくは無機の充填材等が多く非常に流動性が悪い熱可塑性樹脂、熱安定性が悪く、熱分解を起こしやすい樹脂、軟化温度が高く著しく高温度にして成形する必要がある樹脂、熱分解しやすい難燃剤などの添加物を配合した樹脂なども多量の二酸化炭素等の発泡性ガスを溶解することにより使用できる(上記の「多量の発泡性ガス」とは、例えば、発泡性ガス重量と樹脂重量の合計に対して0.2重量%以上を意味する)。
本発明の方法では、一般に押出成形には使用されるが、従来の方法で射出成形するには流動性が悪い熱可塑性樹脂、従来の方法で射出成形するには分子量が大きすぎる熱可塑性樹脂、従来の方法で射出成形するには軟化温度が高すぎる熱可塑性樹脂なども、同様に多量の発泡性ガス(例えば、発泡性ガス重量と樹脂重量の合計に対して0.2重量%以上)を溶解することにより良好に使用できる。これらの例として次の熱可塑性樹脂がある。
(1) メルトフローレートが1.0以下のアクリル樹脂。
(2) メルトフローレートが1.5以下のポリスチレン。
(3) メルトフローレートが2.0以下のゴム強化ポリスチレン。
(4) メルトフローレートが3.0以下のABS樹脂。
(5) メルトフローレートが6.0以下のポリカーボネート。
(6) ポリフェニレンエーテル、あるいはポリフェニレンエーテルが60重量%以上含まれるポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
(7) メルトフローレートが5.0以下のポリアセタール。
(8) メルトフローレートが5.0以下のポリエチレン。
(9) メルトフローレートが5.0以下のポリプロピレン。
(10)易分解性難燃剤(例えばヘキサブロモビフェニルエーテル、トリブロモフェノール、塩素化ポリエチレン)を配合した熱可塑性樹脂。
ここで、メルトフローレートはJIS K7210に記載の測定法で測定した値であり、測定条件は各樹脂に一般に使用されている該JIS記載の測定条件であり、アクリル樹脂は条件15で、ポリスチレンとゴム強化ポリスチレンは条件8で、ABS樹脂は条件11で、ポリカーボネートは条件20で、ポリアセタールとポリエチレンは条件4で、ポリプロピレンは条件14でそれぞれ測定した値であり、単位はg/10分である。
一般に、熱可塑性樹脂の分子量が大きいほど、成形品の耐化学薬品性、耐衝撃性などが良くなるが、成形時の流動性が悪くなり、射出成形が困難になる。押出成形には射出成形ほど高い流動性が必要とされないため、分子量の大きな重合体が一般に使用されており、本発明の方法では、これらの押出成形に使用され、射出成形には使用されない高分子量の重合体も多量の二酸化炭素を溶解することと、発泡性溶融樹脂塊を加圧により金型壁面に押し付けた後に該溶融樹脂塊の一部を該溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出手段を通じて金型キャビティの外側に排出して該溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、金型キャビティ内の該溶融樹脂塊を発泡させること、を組み合わせて用いることにより、薄肉部を有する外観に優れた発泡成形品を成形することができる。
また、射出成形するには軟化温度が高すぎる熱可塑性樹脂の例として、ポリフェニレンエーテル、あるいはポリフェニレンエーテルとポリスチレンもしくはゴム強化ポリスチレンの重量混合比が100:0〜60:40のポリフェニレンエーテル樹脂組成物が挙げられる。ポリフェニレンエーテルは成形性が悪く、一般にポリスチレンもしくはゴム強化ポリスチレンを40重量%を越える量を配合して使用されている。ところが、本発明の成形法によれば、ポリスチレンもしくはゴム強化ポリスチレンの配合量が40重量%以下の場合においても多量の二酸化炭素等の発泡性ガス(例えば、発泡性ガス重量と樹脂重量の合計に対して0.2重量%以上)を溶解すれば使用可能である。
また軟化温度が高い、分解温度が低いなど、溶融樹脂が十分な流動性をもつまで加熱すると分解したり劣化して物性低下を起こす樹脂に対しても、本発明の方法は有効で、低い樹脂温度で高い流動性を得ることができる。一般には、熱可塑性樹脂が非晶性熱可塑性樹脂の場合、溶融温度として、「発泡性ガスを含まない熱可塑性樹脂のガラス転移温度+150℃」以下の温度で成形することが可能であり、熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂の場合、溶融温度として、「発泡性ガスを含まない熱可塑性樹脂の融点+100℃」以下の温度で成形することが可能である。
本発明で熱可塑性樹脂に溶解させて用いる発泡性ガス(ガス状発泡剤)としては、該熱可塑性樹脂に溶解させた時に溶融粘度を低下させる可塑剤としての効果を持つものであれば特に制限はないが、熱可塑性樹脂に対する溶解度が大きく、樹脂や金型、成形機素材を劣化させないこと、環境に対し危険性がないこと、安価であること、また成形後に成形品から速やかに揮発することなどの制約を満たすものが好ましい。ガス状発泡剤の例としては、二酸化炭素ガス、窒素ガス、炭素数1〜5の飽和炭化水素、および炭素数1〜5の飽和炭化水素の水素原子の一部をフッ素で置換して得られるフルオロアルカン、例えばフロン、等が挙げられる。これらの中で、二酸化炭素ガスと窒素ガスが好ましく、二酸化炭素ガスが最も好ましい。窒素ガスは樹脂に対する溶解性が二酸化炭素ガスよりも低く、可塑剤効果は少ないものの、高温になるほど樹脂への溶解度が増加する温度特性を有するために、高い発泡圧力を得ることができる。
なお金型キャビティに射出する発泡性溶融樹脂中の発泡性ガス(ガス状発泡剤)の含有量を直接測定することは難しいため、本発明では、射出成形直後の成形品の重量と、成形品を、非晶性樹脂にあってはガラス転移温度以下の熱風乾燥機中に24時間以上放置し、もしくは結晶性樹脂にあっては融点よりも約30℃低い熱風乾燥機中に24時間以上放置し、成形品中に含まれていた発泡性ガス量を放散させた成形品の重量の差を、金型キャビティに射出した発泡性溶融樹脂の発泡性ガスの含有量とした。射出成形中に逃げる発泡性ガス量は成形法により若干異なるが、特に本発明の好ましい態様である、発泡性ガスに二酸化炭素ガスを用い、金型キャビティを加圧する加圧ガスとして二酸化炭素ガスを用いたカウンタプレッシャ法で成形する場合には、成形直後の成形品中の発泡性ガス即ち二酸化炭素ガスの量をもって発泡性溶融樹脂中の発泡性ガス(二酸化炭素)の含有量としてもほとんど差異は生じない。
発泡性ガス特に二酸化炭素ガスは熱可塑性樹脂によく溶解して良好な可塑剤になって熱可塑性樹脂の流動性を向上させるとともに、発泡剤として機能する。本発明の方法に用いる発泡性溶融樹脂は、溶融樹脂とそれに溶解した少なくとも1種のガス状発泡剤からなる。本発明では、発泡性溶融樹脂のガス状発泡剤の含有量は、好ましくは0.05重量%〜10重量%の範囲である。0.05重量%以上であれば樹脂の溶融流動性を顕著に向上させ、かつ発泡させることができ、更に好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上である。また発泡性溶融樹脂のガス状発泡剤の含有量の最大量は10重量%程度であることが望ましい。これはガス状発泡剤(特に二酸化炭素ガス)を溶融樹脂に多量に溶解するには装置上の制約が多くなったり、カウンタプレッシャ法で成形する場合において、必要なカウンタガス圧力(溶融樹脂射出前に金型キャビティを加圧ガスであらかじめ加圧する圧力)が非常に高くなったりするためである。発泡性溶融樹脂のガス状発泡剤の含有量は好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。成形品の発泡倍率を増すには、発泡性溶融樹脂中のガス状発泡剤(例えば二酸化炭素)の溶解量を増して、溶融樹脂の粘度を下げるとともに溶融樹脂の発泡性を高めることが好ましい。
熱可塑性樹脂に発泡性ガス(ガス状発泡剤)を溶解させる方法として、次の二つの方法が好ましい。ここでは、発泡性ガスとして二酸化炭素ガスを用いた場合を例にとって説明する。
一つは、予め粒状や粉状の樹脂を二酸化炭素ガス雰囲気中において二酸化炭素を吸収させてから射出成形機に供給する方法で、二酸化炭素の圧力や雰囲気温度、吸収させる時間により吸収量が決まる。例えば、二酸化炭素ガスの圧力を2〜10MPaとし、室温で3〜8時間樹脂に吸収させると、樹脂の二酸化炭素ガスの含有量は0.1〜10重量%となる。この方法では、可塑化時に樹脂が加熱されるに従って樹脂中の二酸化炭素ガスの一部が揮散するため、溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は予め吸収させた量よりも少なくなる。そのため、成形機のホッパなど樹脂の供給経路も二酸化炭素ガス雰囲気にすることが望ましい。
もう一つの方法は、成形機のシリンダ内で樹脂を可塑化する間、または可塑化した後で樹脂に二酸化炭素ガスを溶解する方法で、成形機のホッパ付近を二酸化炭素ガス雰囲気にしたり、スクリュの中間部や先端、シリンダから可塑化樹脂に二酸化炭素ガスを注入する。スクリュやシリンダ中間部から二酸化炭素ガスを注入する場合には、注入部付近のスクリュ溝深さを深くして樹脂圧力を低くすることが好ましい。また二酸化炭素ガスを注入後、樹脂中に均一に溶解、分散させるため、スクリュにダルメージや混連ピンなどのミキシング機構を付けたり、樹脂流路にスタティクミキサを設けることが好ましい。射出成形機としては、インラインスクリュ方式でもスクリュプリプラ方式(スクリュ予備可塑化装置付ラム式射出成形機を用いる)でも使用できるが、スクリュプリプラ方式は樹脂を可塑化する押出し機部分のスクリュデザインや二酸化炭素の注入位置の変更が容易であることから、特に好ましい。
熱可塑性樹脂中の二酸化炭素ガスは熱可塑性樹脂が固化した後に成形品を大気中に放置すれば徐々に大気中に放散する。
本発明の方法では、工程(2)(溶融樹脂の射出)の前に、金型キャビティに加圧ガスを導入して、金型キャビティの圧力を、工程(2)で射出された発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力とすること、つまり、カウンタプレッシャ法で射出成形することが良好な外観を得るためにも好ましい。なお、「工程(2)で射出された発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力」(キャビティに導入する加圧ガスの圧力)は、発泡性溶融樹脂が有する発泡圧力によって異なるが、通常3PMa〜10PMa、好ましくは5PMa〜8PMaである。キャビティに導入する加圧ガスの圧力は、成形品表面に発泡模様が生じない最低圧力であれば良く、一工程に使用するガスの量を最小限に抑え、金型キャビティのシールやガス供給装置の構造を簡単にするためにもガス圧力は必要最低限に近い圧力とする方が良い。
カウンタプレッシャ法で金型キャビティに圧入するガスとして、空気や二酸化炭素ガス、窒素ガスをはじめとして、樹脂に対して不活性な各種ガスの単体あるいは混合物が使用できるが、熱可塑性樹脂への溶解度の高いガス、例えば、二酸化炭素ガス、窒素ガス、炭素数1〜5の飽和炭化水素、および炭素数1〜5の飽和炭化水素の水素原子の一部をフッ素で置換して得られるフルオロアルカン、例えばフロン、などが好ましい。二酸化炭素ガスは金型キャビティ内壁面形状の成形品への転写性を向上させる効果が高いので特に好ましい。樹脂に非晶性樹脂を用い、溶融樹脂の射出前に金型キャビティを二酸化炭素ガスで加圧する場合、本発明者らが既に日本国特開平10−128783号公報(EP826477A2に対応)や日本国特開平11−245256号公報に示したように、キャビティ内圧力を高めた方が良好な転写性が得られるため、高度な転写性が要求される場合には、成形機の型締め力や金型のシール性能に応じ、ガス圧力を高めることが好ましい。金型キャビティ内に導入する加圧ガスの二酸化炭素含有量は、高い方が好ましく、80重量%以上が特に好ましい。
本発明の方法では好ましくはガス加圧された金型キャビティ内に溶融樹脂を射出充填した後、該溶融樹脂が発泡しない高い圧力で該溶融樹脂を金型キャビティ内壁面に押し付け、金型キャビティ内壁面の表面形状を溶融樹脂塊に転写させるとともに溶融樹脂塊の表面が冷却固化して無発泡の表面層が形成するまで保持する。溶融樹脂射出充填前に金型キャビティ内に供給した加圧ガスは、成形品表面のスワールマークの有無や、金型キャビティ内壁面形状の転写状況を見て、樹脂射出充填中から樹脂射出充填終了後、樹脂加圧終了までの適当な時期を選定して開放する。樹脂加圧終了後に金型キャビティ内に加圧ガスが残っていると、加圧ガスにより樹脂表面が押され、凹みを生じたり、表面が発泡により白っぽくなることがあり望ましくない。
本発明の方法の好ましい態様では、カウンタプレッシャ法により、成形品表面にスワールマークのない発泡成形品を得ることができるが、特に良好な外観を要求されない内部機構部品などにおいては、カウンタプレッシャ法を用いずに成形することも可能である。この場合、表面にスワールマークは生じるが、工程(3)での溶融樹脂塊への加圧を樹脂保圧をかけることによって行なうことにより、無発泡で寸法精度の高い表皮層を有し、内部が高度に発泡した軽くて強度や寸法精度の高い成形品を得ることができる。
またサンドイッチ成形法(sandwich molding)を用い、非発泡性の溶融樹脂を射出充填後、発泡性の溶融樹脂を射出充填し、発泡層を形成して、無発泡層の間に発泡層がサンドイッチされた構造の成形品を製造する場合も、特にカウンタプレッシャ法は必要ない。
また、本発明の方法の工程(3)での溶融樹脂塊の加圧方法としては金型キャビティに追加の溶融樹脂を射出して樹脂保圧をかける方法、金型キャビティ内の溶融樹脂中にガスなどの圧力流体を注入する方法、キャビティ容積を減少させる射出圧縮法(injection compression molding)などが挙げられる。溶融樹脂塊の加圧のための圧力は、該溶融樹脂表面が金型キャビティ内壁面に押し付けられ、金型キャビティ内壁面の表面形状を十分転写しながら固化するように設定する。特に金型キャビティの加圧ガスに二酸化炭素を用いる場合には、高い圧力にするほど高度な転写性を得ることができる。溶融樹脂塊を加圧するための圧力は、通常、数MPa〜200MPaの範囲で、溶融樹脂の流動特性に応じて調整する。また溶融樹脂塊への加圧時間は、該溶融樹脂表面が固化するまでの最低時間でよく、あまり長いと、後に発泡させる溶融部分の厚みが減少したり、樹脂温度が下がり粘度が高くなるため、十分な発泡状態が得られにくくなる。溶融樹脂塊への加圧時間は、通常0.1秒〜2秒の範囲である。
日本国特開平11−245256号公報に示されるように、金型キャビティを二酸化炭素ガスで加圧した後に溶融樹脂を充填する場合、溶融樹脂の冷却を金型内で行うにあたり、充填工程中に二酸化炭素が溶融樹脂中に溶解したことによって低下した該溶融樹脂表面の固化温度より35℃低い温度以上の金型温度であり、かつ、熱可塑性樹脂が本来有する固化温度より5℃低い温度以下の金型温度で冷却することにより、金型キャビティ内壁表面形状を溶融樹脂塊表面に高度に転写することができる。
溶融樹脂塊の加圧を溶融樹脂塊中に加圧ガスなどの圧力流体を注入することによって行なう場合において、ガス充填中空部を形成するのに用いるガスとしては、本発明において溶融樹脂中に含有させる発泡性ガス(ガス状発泡剤)や金型キャビティを予め加圧するガスとして使用できるガスと同じものが使用できる。これらの中空部形成ガス、ガス状発泡剤及び金型キャビティ加圧ガス、全て同じガスを用いても良いが、必ずしも同じである必要はなく、任意の組合せが可能である。中空部を形成する加圧ガスとしては、溶融樹脂のガラス転移温度(Tg)や固化温度の低下効果に優れることおよび溶融樹脂への溶解性に優れることから、二酸化炭素ガスが好ましい。
また、本発明は、一旦溶融樹脂をフルショットした後、溶融樹脂塊の一部を金型キャビティの外側(例えば樹脂排出用キャビティ3)に排出して溶融樹脂塊への圧力を低下させて発泡層を形成するので、1つの金型で2つ以上の発泡成形品を同時に成形しようとする場合や1つの金型で体積の異なる2つ以上の発泡成形品を得る場合に、成形品の発泡倍率を容易に均一化することができ、容易に多数個取りの発泡成形が可能である。
以下、図面に基づいて本発明をさらに説明する。
図1(a)〜図1(c)は、得られる成形品が厚肉の棒形状の場合の、本発明の第1の方法の実施態様の1例を模式的に示す説明図である。
図1(a)〜図1(c)において、1は固定半型1aと可動半型1bとから構成された金型で、この固定半型1aの内壁面と可動半型1bの内壁面により、金型キャビティ2と樹脂排出用キャビティ3とが形成されている。金型キャビティ2は製品となる成形品を成形するための金型1内の空間である。また金型キャビティ2の外側にある樹脂排出用キャビティ3は、製品としての成形品の成形を目的としていない金型1内の空間であって、上記金型キャビティ2と開閉弁4(溶融樹脂排出手段)によって開閉される連絡通路5によって連通している。開閉弁4としては、油圧、空気圧、磁気、モータなどによって開閉作動するものを用いることができる。なお、12は射出ノズル、13は射出ノズル12に内蔵される加圧ガスノズルである。また樹脂排出用キャビティ3にはカウンターガスの供給孔と排出孔となる通気口14を有し、かつ通気口14はカウンターガス供給三方弁16に配管で接続されている。また加圧ガスを直接金型キャビティ2内の溶融樹脂塊中に注入可能とする、ガス注入口18が設けられている。
まず、図1(a)と図1(b)に示されるように、開閉弁4を閉鎖した状態で、射出ノズル12から金型キャビティ2内に発泡性溶融樹脂8を射出してキャビティ2に溶融樹脂塊を形成する。発泡性溶融樹脂8は、スプルー6およびランナー7を通って、金型キャビティ2へと射出充填されるものとなっている。この実施態様では、発泡性溶融樹脂8を射出する前に、カウンターガスの供給孔14からガス体を供給して金型キャビティ2を加圧しておき、それから、熱可塑性樹脂にガス状発泡剤(例えば二酸化炭素ガス)を含有させた発泡性溶融樹脂8を射出ノズル12から金型キャビティ2内に射出充填する。溶融樹脂8による金型キャビティ充填率は95%〜110%の範囲である。
また樹脂充填完了の直前もしくは直後に金型キャビティ2内の加圧ガスを樹脂排出用キャビティ3の通気口14につながるカウンターガス供給三方弁16を開き速やかに大気に開放する。なお、開閉弁4は、閉めた状態では、溶融樹脂は通過できないが気密ではないのでガスは通過できる。金型キャビティ2内のカウンター加圧ガスの開放がされないとカウンターガス圧力が樹脂の充填に伴い高圧化し、金型キャビティ2末端等で樹脂充填不良が生じたり、もしくは樹脂表面にガスが大量に吸収されるため樹脂表面に発泡による白化等の不良現象が発生する。
ついで該溶融樹脂塊に追加の溶融樹脂を射出して加圧しながら所定時間保持することにより、金型キャビティ内壁表面に接する溶融樹脂塊8の表面が冷却固化され実質的に無発泡の表皮層10を形成する。この冷却固化の時間を長くすると表皮層は厚肉になる。
ついで、図1(c)に示されるように、金型キャビティ2から樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を開放すると、表皮層10に包まれた溶融樹脂塊8自体の有する発泡圧力によって該溶融樹脂塊の一部および溶融樹脂中から揮散する発泡ガスが連絡通路5を通じて溶融樹脂排出用キャビティ3に排出されるため、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8の体積が減少して溶融樹脂塊8への圧力が低下し、それによって発泡層9が形成される。
なお発泡層9の形成時には溶融樹脂塊8の一部は表皮層10の一部を破って溶融樹脂排出キャビティ3に排出されるため、表皮層10はこれを妨げない程度に薄く形成しておくことが好ましい。この観点から、表皮層10の厚さは通常0.1mm〜1mm程度が好ましい。
また表皮層10を破るために、開閉弁4を開いてから溶融樹脂塊8を追加の溶融樹脂を射出して加圧することも有効である。また樹脂排出キャビティ3の容積は、発泡性溶融樹脂塊8の発泡圧力によって金型キャビティ2の外側に排出される該溶融樹脂塊の該一部によって密に充填されないように、排出される該溶融樹脂塊の該一部の体積より大きい容積に設定することが好ましく、さらには、樹脂排出キャビティ3の容積はできるだけ大きくすることが好ましい。
以上に述べたように、樹脂排出用キャビティ3に溶融樹脂が完全に充填されないようにしたり、もしくは溶融樹脂排出用キャビティ3に通気口14を設けることにより、金型内のカウンターガス、空気および発泡ガスが瞬時に開放されないという問題の発生を防止でき、また、減圧に時間がかかり十分な発泡状態が得られず、製品の軽量化が十分できないという問題が発生したりすることを防止できる。
図2(a)〜図2(c)は、得られる成形品が厚肉の棒形状の場合の、本発明の第2の方法の実施態様の1例を模式的に示す説明図である。
図2(a)〜図2(c)に示す実施態様では、発泡性の溶融樹脂8で金型キャビティ2の容積の約70%を満たした後に、溶融樹脂塊8中に該溶融樹脂塊の発泡を抑えられる圧力の加圧ガスを注入し、この加圧ガスで満たされた中空部11を形成する。本例における加圧ガスの注入は射出ノズル12に内蔵された加圧ガスノズル13から行われるものとなっており、溶融樹脂8と同様に、スプルー6およびランナー7を通って金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8中に注入されるものである。また加圧ガスの注入口としては、前記加圧ガスノズル13の他に、図1(a)に示されるような加圧ガス注入口18を金型キャビティのゲート近傍に直接設けても良い。
上記のように加圧ガスで満たされた中空部11を有する溶融樹脂8で金型キャビティ2を満たし、加圧ガスの注入圧を維持した状態で所定時間保持して表皮層10を形成する。次いで、加圧ガスの注入を制御するバルブ(図示しない)を閉じ、もしくは上記バルブを開けたままの状態で、開閉弁4を開放する。すると、ガス充填中空部11の周囲を囲んでいる表皮層10のうち、連絡通路5付近の表皮層10が、ガス充填中空部11と溶融樹脂排出用キャビティ3間の圧力差により破れて溶融樹脂排出キャビティ3側へ飛ばされ、中空部11内の加圧ガスが溶融樹脂排出用キャビティ3を通り、通気口14から速やかに開放される。これにより、中空部11内の圧力が急激に下がり、それまで中空部11内の加圧ガスの圧力により押さえられていた溶融樹脂8の発泡が中空部11の周囲で生じ、かつ発泡した溶融樹脂の一部および該溶融樹脂から揮散する発泡ガスも溶融樹脂排出用キャビティ3に排出され、図2(c)に示されるように、中空部11内およびその周辺が発泡した発泡層9となる。この中空部11内の急激な減圧は、上記のように溶融樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を用いる他、例えば金型キャビティ2に対して進退可能な注射針状のピン(図示されてない)を金型内に設けておき、中空部11の形成された溶融樹脂塊にこのピンを突き刺して、ピンの孔を介して中空部11内の加圧ガスを金型1外へ放出させることなどによっても行うことができる。溶融樹脂排出用キャビティ3の容積は中空部11を形成するガス圧力によって押し出される溶融樹脂や発泡により押し出される溶融樹脂により密に充填されない容積に設定することが好ましく、かつ該溶融樹脂排出用キャビティ3から瞬時にガスが金型外へ放出されることが好ましい。溶融樹脂8による金型キャビティ充填率は55%〜110%の範囲で任意に設定できる。
溶融樹脂排出用キャビティ3に溶融樹脂が完全に充填されないように配慮したり、もしくは溶融樹脂排出用キャビティ3に通気口14を設けることにより、中空部を形成する加圧ガスが十分開放されないという問題や、また、減圧に時間がかかり十分な発泡状態が得られず、製品の軽量化が十分できないという問題の発生を防止できる。
中空部を形成する加圧ガスとしては、上述の通り、二酸化炭素ガスが好ましい。二酸化炭素ガスを用いると、加圧ガスの注入後の保持時間を長くしても、ガス充填中空部11から周囲の溶融樹脂に二酸化炭素ガスがさらに吸収されるため、溶融樹脂の固化が抑制されるとともに良好な発泡状態が得やすくなる。
また中空部11を形成するガス体に二酸化炭素ガスを用い、開閉弁4を開放後も中空部11を形成するガス体の供給を継続し、溶融樹脂排出用キャビティ3に設けられた通気口14より金型外に開放することで、二酸化炭素ガスの断熱膨張により、発泡成形品内部が冷却される。これにより、本発明の方法の工程(4)の後の冷却固化時間を短く設定することが可能になる。もしくは金型温度を非晶性樹脂ではガラス転移温度(Tg)以上、結晶性樹脂においても融点温度付近まで高めても成形品の取り出しが可能となり、かつ外観も極めて良好な成形品が得られる。
上記発泡後、金型キャビティ2内の実質的に無発泡の表皮層を有する発泡樹脂塊を取り出し可能温度にまで冷却し、金型1を開いて成形品を取り出す。得られる成形品は、表皮層10が、上記発泡前に発泡を生じない温度にまで冷却されていることで、無発泡となり、内層が上記発泡による発泡層9となっている。
上記本発明の第1の方法と第2の方法のいずれにおいても、成形品表皮層にシルバー等の外観不良が発生する可能性を除くために、予め金型キャビティをガス体によって加圧しておくこと(カウンタプレッシャ法)が好ましい。
カウンタプレッシャ法を用いる場合は、必要なカウンターガス圧を得やすくするために、金型キャビティの周囲をシールした金型を用いることが好ましい。例えば図1(a)〜図3(c)に示される金型1では、金型キャビティ2に通じる金型内の各隙間をシールするためのO−リング15a〜15cが設けられている。従って、前述した第1の方法の1例において、カウンターガス供給孔14からカウンターガスを供給して金型2内をカウンターガスで満たした後、発泡性溶融樹脂を射出充填することで、射出時の溶融樹脂の発泡を容易に抑制することができる。またカウンターガス供給孔14は、溶融樹脂が侵入できない程度の狭いスリット状や小孔状、もしくはポーラス状として開口させることで、直接金型キャビティ2に開口させることもできる。
図3(a)〜図3(d)は、得られる成形品が大きな薄肉部の片側に厚肉部を有する形状の場合の、本発明の第2の方法の実施態様の1例を示す説明図である。開閉弁4を閉鎖した状態で、射出ノズル12から金型キャビティ2内に溶融樹脂8を射出する。溶融樹脂8は、スプルー6およびランナー7を通って、金型キャビティ2の厚肉部成形領域と薄肉部成形領域へと射出充填される。
本発明では発泡性ガス(ガス状発泡剤)(例えば二酸化炭素ガス)によって溶融樹脂8の溶融粘度が低下しているため、薄肉部にも溶融樹脂8が速やかに充填される。射出充填前に金型キャビティ2が加圧ガスで加圧されている場合は、樹脂充填完了の直前もしくは直後に金型キャビティ2内の加圧ガスを溶融樹脂排出用キャビティ3の通気口14につながるカウンターガス供給三方弁16(図示しない)を開き速やかに大気に開放する。
この実施態様の場合、溶融樹脂による金型キャビティ充填率は好ましくは95%〜110%で、さらに好ましくは98%〜105%である。
発泡性の溶融樹脂8を金型キャビティに射出充填した後に、溶融樹脂塊8中に該溶融樹脂の発泡を抑えられる圧力の加圧ガスを注入し、この加圧ガスで満たされた中空部11を形成する。本例における加圧ガスの注入は射出ノズル12に内蔵された加圧ガスノズル13から行われるものとなっており、溶融樹脂と同様に、スプルー6およびランナー7を通って金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8中に注入されるものである。またこの加圧ガスの注入は、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8の冷却収縮を補うものとして行われるもので、本例のように厚肉部を有する成形体の成形においては、図3(c)に示めされるように、厚肉部成形領域に重点的に注入される。厚肉部は樹脂ゲート近傍から樹脂の流動末端側まで連続した形で配置され、溶融樹脂排出用キャビティ3への連絡通路5に接続する。
また加圧ガスの注入口は前記加圧ガスノズル13の他、金型キャビティの前記厚肉部もしくは厚肉部近傍に直接設けても良い。この場合、加圧ガスの注入口は、溶融樹脂排出用キャビティ3への連絡通路5と反対側に設けるのが好ましい。また溶融樹脂の充填の際にフローフロントが該厚肉部を優先的に流れるようにするために、該厚肉部肉厚を薄肉部肉厚の1.5〜4倍程度に設定するのが好ましい。
上記のように加圧ガスで満たされた中空部11によって溶融樹脂塊8を金型キャビティ2の内壁面に押しつけ、その状態で所定時間保持して表皮層10を形成する。次いで、開閉弁4を開放する。すると、ガス充填中空部11の周囲を囲んでいる溶融樹脂の表皮層10の一部がガス充填中空部11と溶融樹脂排出用キャビティ3間の圧力差により破れて溶融樹脂排出キャビティ3側へ飛ばされ、中空部11内の圧力が急激に下がり、それまで中空部11内の加圧ガスの圧力により押さえられていた溶融樹脂8の発泡が中空部11の周囲で生じ、かつ発泡した溶融樹脂の一部および該溶融樹脂から揮散する発泡ガスも溶融樹脂排出用キャビティ3に排出され、図3(d)に示されるように、中空部11内およびその周辺が発泡した発泡層9となる。なお、ガス充填中空部11を形成せず、溶融樹脂8の自らの発泡圧力だけで溶融樹脂排出用キャビティ3に溶融樹脂の一部を排出、発泡させることもできる。
図4は本発明の方法に用いることのできる、グリップ形状成形品の4ヶ取りの金型の1例の可動半型の概略正面図である。図示されるように、キャビティ2のほかに樹脂排出用キャビティ3、開閉弁4、およびガス充填中空部を形成するためのガスの注入口18が設けられている。各々のガス注入口18はお互いにガス圧力が干渉しないよう独立して制御されている。
開閉弁4を閉鎖した状態で、射出ノズル12から各々の金型キャビティ2内を溶融樹脂で満たす。溶融樹脂8は、スプルー6およびランナー7を通って、金型キャビティ2へと射出充填されるものとなっている。
各キャビティ2の容積が同じ場合は該キャビティ2につながるランナー、ゲート寸法は各キャビティ2に溶融樹脂が均等に充填されるように設定することが好ましい。
またキャビティ2の配置によりランナー長が変わる場合やキャビティ容積が異なる場合は、各キャビティの樹脂充填完了タイミングが同じになるようにランナーの長さ、太さ、ゲート寸法を調整することが好ましい。
またガスの注入口18は各キャビティのゲート近傍に設けられており、ガスの注入口につながる配管はガスの圧力損失が均等になるよう均等の長さにすることが好ましい。
まず、溶融樹脂8を射出ノズル12から各金型キャビティ2内に射出充填し、該溶融樹脂塊を加圧しながら所定時間保持して表皮層10を形成した後、開閉弁4を開放すると、表皮層10に包まれた溶融樹脂塊8の発泡圧力により該溶融樹脂塊の一部および発泡ガスが連絡通路5を通じて溶融樹脂排出用キャビティ3に排出されるため、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8に発泡層9が形成される。一度各キャビティを完全に充填し、溶融樹脂の発泡圧力により溶融樹脂排出用キャビティ3に樹脂を排出するため、各キャビティの成形品は、同等の外観、発泡層を有している。
また本例において溶融樹脂を充填後、ガスにより中空を形成する場合は、すべてのキャビティ2に溶融樹脂を充填後、該溶融樹脂塊中にガスを注入して中空部を形成したのち、ガスの供給を停止、ついで開閉弁4を開き溶融樹脂排出用キャビティ3へ溶融樹脂の一部および中空部内のガスを排出し、発泡層9を形成する。溶融樹脂による金型キャビティ充填率が70%程度と比較的に少なく、ショートショットでガス充填中空部を形成する場合は、金型キャビティ充填率がキャビティ間で均等になるように、各キャビティにつながるランナー長さや断面寸法、ゲート寸法、ガスの配管長等に特に注意が必要である。
また溶融樹脂から発生する発泡ガスが外観にシルバー等の不良をもたらすおそれのある場合は、カウンタプレッシャ法を用いることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を用いて本発明の効果をさらに具体的に説明する。
図5に示されるような射出成形装置を用いて成形を行った。図5において射出成形機23は、日本国住友重機械工業製「SG260M−S」を使用した。射出成形機のスクリュシリンダ20はL/D=29のベントタイプとし、ベント部分を二酸化炭素ガスで加圧できるようになっている。二酸化炭素ガス源24または窒素ガス源24からガス供給制御装置19を介し供給する二酸化炭素ガスまたは窒素ガスの圧力を減圧弁で一定に保つことで、溶融樹脂に溶解する二酸化炭素ガス量または窒素ガス量を制御した。また可塑化から射出開始までの間、スクリュ背圧として溶融樹脂が発泡してスクリュが後退しない最低限の圧力を設定、保持した。
また金型1にはガス供給制御装置19とカウンターガス供給ライン22を介して、二酸化炭素ガス源24または窒素ガス源24から二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを供給できるようになっている。
実施例1
断面が20mm×20mmのほぼ正方形で、長さが300mmの棒状成形品を図1(a)〜図1(c)に示す方法で成形した。金型1は、棒状の金型キャビティ2の一端に断面が5mm×10mmのゲートを設け、ゲートと反対側の端部に断面が5mm×10mmで長さ15mmの連絡通路5と該連絡通路5の中央部に油圧で開閉する開閉弁4を設け、連絡通路5の先には断面が20mm×20mm、長さ600mmの溶融樹脂排出用キャビティ3がつながっている。
射出シリンダから8MPaの二酸化炭素をガラス繊維33%含有ポリアミド66(日本国旭化成製 レオナ(登録商標)1402G)に供給して、溶解しつつ、図1(a)、図1(b)に示すようにして射出成形した。シリンダ温度は280℃とし、射出圧力は120MPaとした。溶融樹脂による金型キャビティ充填率は100%とした。まず、金型1を閉じ射出ノズル12を金型1に圧接した後、カウンターガス供給孔14から圧力7MPaの二酸化炭素ガスを3秒間供給して加圧状態にした金型キャビティ2(金型温度80℃)に、二酸化炭素ガスを溶解した上記ガラス繊維含有ポリアミド樹脂(発泡性溶融樹脂)を1.5秒間で充填した。充填完了直後に、溶融樹脂排出用キャビティ3とカウンターガス供給孔14(通気口)を通じてカウンターガス圧を外部へ開放しつつ、シリンダ内樹脂圧力90MPaで3秒間保圧した後、上記連絡通路5の開閉弁4を開放し、溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂塊8自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出用キャビティ3に排出して溶融樹脂塊8への圧力を低下させ、発泡させた。発泡から60秒後に金型1を開いて得られた成形品を取り出した。こうして、実質的に無発泡の表皮層10を有し、内部に高発泡の発泡層を有する成形品が得られた。
また成形後の成形品の重量減少から求めた発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約1.0重量%であった。成形品の発泡倍率は1.4倍、表皮層の厚さは約1mmであった。
実施例2
条件を以下のように変更した他は実施例1と同様に行なった。金型キャビティ充填率を70%とし、発泡性溶融樹脂の射出完了後、射出ノズル12に内蔵されたガス注入口13から8MPaの二酸化炭素ガスを溶融樹脂塊8中に注入してガス充填中空部11を形成すると同時に、金型キャビティ2内のカウンターガスを開放し、溶融樹脂塊8への二酸化炭素ガスの注入とガス保圧を3秒間継続した後、二酸化炭素ガスの注入を停止し、溶融樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を開放して、溶融樹脂塊8の中空部11内の二酸化炭素ガスと該ガスに同伴されて押し出される溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂排出用キャビティ3に一気に排出し、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8を発泡させた。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約1.0重量%であった。成形品の発泡倍率は2.0倍と実施例1にくらべさらに軽量化できた。
実施例3
条件を以下のように変更した他は実施例1と同様に行なった。
金型キャビティ2については、実施例1と同形状であるが金型キャビティ2の内壁面は平均粗さ(Ra)13.2μmのシボ状とした。平均粗さ(Ra)は日本国、株式会社東京精密社製の平均粗さ測定機サーフコム570A(Surfcom570A)にて測定した。(平均粗さ(Ra)については、機械工学便覧 改訂第6版(日本国、社団法人日本機械学会発行;1977年)を参照できる。)
射出シリンダ20から二酸化炭素ガスをポリスチレン(日本国A&Mスチレン製「A&Mポリスチレン(登録商標)685」に10MPaで供給して溶解させつつ、実施例1と同様に金型キャビティ2に射出した。シリンダ温度は220℃とし、射出圧力は100MPaとした。二酸化炭素ガスで7MPaに加圧した金型キャビティ2(金型温度50℃)に二酸化炭素ガスを溶解した上記ポリスチレン(発泡性溶融樹脂)を1.5秒間で充填し、シリンダ内の樹脂圧力80MPaで3秒間保圧した後、連絡通路5の開閉弁4を開放し、溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂排出用キャビティ3に排出して、溶融樹脂塊8を発泡させた。発泡から60秒後に金型1を開いて得られた成形品を取り出した。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は3重量%であった。成形品の発泡倍率は2.6倍、表皮層の厚さは1.5mmであった。また成形品表面は平均粗さ(Ra)が13.1μmのシボ形状が転写されており、高度な転写性が得られ、表面には光沢むらやフローマークなどの表面不良は見られなかった。
実施例4
条件を以下のように変更した他は実施例1と同様に行なった。樹脂としてポリカーボネート(日本国帝人化成製「パンライト(登録商標)L1225」)を用いた。シリンダ温度300℃、射出圧力220MPa、金型温度80℃、シリンダへの二酸化炭素ガス供給圧は10MPa、金型キャビティ2へのカウンター圧は7MPaである。二酸化炭素ガスを溶解した上記ポリカーボネート樹脂を2秒間で充填し、充填完了直後にカウンターガス圧を外部へ開放しつつ、シリンダ内樹脂圧力180MPaで1秒間保圧した後、連絡通路5の開閉弁4を開放し、溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂塊8自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出用キャビティ3に排出して、溶融樹脂塊8を発泡させた。発泡から60秒後に金型1を開いて成形品を取り出した。こうして、実質的に無発泡の表皮層10を有し、内部に高発泡の発泡層を有する成形品が得られた。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約2.0重量%であった。成形品の発泡倍率は1.4倍、表皮層の厚さは約2mmであった。
実施例5
条件を以下のように変更した他は実施例1と同様に行なった。樹脂として芳香環成分を約10重量%有して結晶化速度を遅らせた、ガラス繊維33重量%を含有した半芳香族ポリアミド(日本国旭化成製「レオナ(登録商標)90G33」)を用いた。シリンダ温度280℃、射出圧力120MPa、金型温度80℃、シリンダへの二酸化炭素ガス供給圧は2MPa、金型キャビティへ2のカウンター圧は用いない。二酸化炭素ガスを溶解した上記ガラス繊維含有半芳香族ポリアミド樹脂を2秒間で充填し、シリンダ内樹脂圧力80MPaで1秒間保圧した後、連絡通路5の開閉弁4を開放し、溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂塊8自体が有する発泡圧力により溶融樹脂排出用キャビティ3に排出して、溶融樹脂塊8を発泡させた。発泡から60秒後に金型1を開いて成形品を取り出した。こうして、実質的に無発泡の表皮層10を有し、内部に高発泡の発泡層を有する成形品が得られた。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約0.1重量%であった。成形品の発泡倍率は1.4倍、表皮層の厚さは約2mmであった。
樹脂の結晶化速度が遅いことにより、かつフルショットで成形することにより外観に発泡模様は発生せず、高質外観が得られた。
実施例6
条件を以下のように変更した他は実施例2と同様に行なった。図3(a)〜図3(c)に示すような、肉厚2.5mmの平板(薄肉部)の一片に断面形状4mm×4mmのチャンネル(厚肉部)の付いたデザイン(薄板−チャンネルデザイン)を有するキャビティを有する金型を用いた。この際、溶融樹脂による金型キャビティ充填率は98%とし、溶融樹脂の充填完了後、射出ノズル12に内蔵された加圧ガスノズル13から8MPaの二酸化炭素ガスを溶融樹脂塊中に注入してガス充填中空部11を形成すると同時に、金型キャビティ2内のカウンターガスを外部へ開放し、2秒間二酸化炭素ガスの注入によるガス保圧を継続した後、二酸化炭素ガスの注入を停止し、溶融樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を開放して、溶融樹脂塊8の中空部11内の二酸化炭素ガスと該ガスに同伴されて押し出される溶融樹脂塊8の一部を溶融樹脂排出用キャビティ3に一気に排出し、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊8を発泡させた。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約1.0重量%であった。成形品の発泡倍率は1.2倍で厚肉部分だけでなく、薄肉部分も発泡した成形品を得た。
実施例7
図4に示す、直径22mm、端部アーム間の距離が180mmのグリップ形状を有する成形品4個取りの金型1を用い成形した。各金型キャビティ2へのランナー部距離はほぼ均等に設定してある。各々のキャビティ2には連絡通路を通じ溶融樹脂排出用キャビティ3が設けられ、連絡通路には各々開閉弁4を有している。各々の開閉弁4の動作タイミングは独立に制御可能である。溶融樹脂排出用キャビティ3の容積は約70CCで、外径が30mm、深さ100mmに設定してある。キャビティ2から溶融樹脂排出用キャビティ3へ連絡する連絡通路の断面形状は5mm×5mm、キャビティ2から連絡通路につながるキャビティ出口部の断面形状は5mm×5mmである。中空部11を形成するためのガス注入口18が各キャビティ2の樹脂ゲート直近に配置されている。各キャビティ2へのガス注入タイミング、圧力、ガスの保持時間は独立に制御可能としてある。
樹脂はポリプロピレン(日本国、日本ポリケム製「ノバテック(登録商標)TX1977K」)を用いた。シリンダ温度230℃、射出圧力120MPa、金型温度80℃、シリンダへの二酸化炭素ガス供給圧は10MPaとした。予め各キャビティ2を二酸化炭素ガスで7MPaに加圧し、各キャビティ2の金型キャビティ充填率が約75%になるように樹脂射出量を設定し、二酸化炭素ガスを溶解した上記ポリプロピレン樹脂を2秒間で充填した。この際、発泡性溶融樹脂の射出開始から1.5秒後に溶融樹脂塊中にガスを注入開始し、ガス充填中空部を形成しガス圧を3秒保持した。ガス充填中空部を形成するガスとしては8MPaの二酸化炭素ガスを用いた。次いで各々のガス供給側バルブを閉じ、溶融樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を開いた。これにより中空部内の加圧ガスと溶融樹脂塊の一部を溶融樹脂排出用キャビティ3に排出して、金型キャビティ2内の溶融樹脂塊を発泡させた。発泡から30秒後に金型を開いて成形品を取り出した。こうして、実質的に無発泡の表皮層を有し、内部に高発泡の発泡層を有する成形品が得られた。
溶融樹脂塊内にガス充填中空部を形成した段階で、各キャビティ2の間で中空部長さには最大で20mmのバラツキがあったが、発泡後の各キャビティ2からの成形品の発泡倍率(軽量化率)は、ほぼ2.2倍、表皮層の厚さは2.5mmと均一であった。
発泡性溶融樹脂中の二酸化炭素ガス量は約3.0重量%であった。
実施例8
溶融樹脂排出用キャビティ3に通じる開閉弁4を開放後もガス充填中空部11を形成した二酸化炭素ガスの供給を15秒間継続し、該二酸化炭素ガスを溶融樹脂排出用キャビティへ放出し、次いですぐに金型1を開き成形品を取り出した他は実施例2と同様にして行なった。成形品は表面部分が非発泡層で断面中央部に連続気泡構造(open−cellular structure)を有する発泡層が形成されていた。成形品表面温度は60℃と金型表面温度より20℃低く、二酸化炭素の断熱膨張による冷却効果が認められた。成形品の発泡倍率と表皮層の厚さは実施例2と同程度であった。
実施例9
金型キャビティ2を6MPaの窒素ガスで加圧し、射出シリンダ20から8MPaの窒素ガスを溶融樹脂に供給し、ガス充填中空部11を8MPaの窒素ガスで形成した他は実施例2と同様にして行なった。得られた成形品は実施例2と同程度の発泡倍率、外観であった。発泡性溶融樹脂中の窒素ガス量は約0.8重量%であった。
比較例1
溶融樹脂排出用キャビティ3につながる連絡通路5に設けられた開閉弁4を開かず、中空部11を形成した二酸化炭素ガスを射出ノズル12に内蔵した加圧ガスノズル13から開放しようとした他は実施例2と同様にして行なった。スプルー6、ランナー7に充填された発泡性溶融樹脂は発泡していたが、成形品内は発泡しておらず、かつ金型1を開く際に成形品が破裂した。これはスプルー6とランナー7に充填された発泡性溶融樹脂が先に発泡してしまい、溶融樹脂塊8のガス充填中空部11内の二酸化炭素ガスを開放できないためと考えられる。
比較例2
条件を以下のように変更した他は実施例2と同様に行なった。溶融樹脂排出用キャビティ3の長さを70mmとし、容積28CCに設定し、かつ溶融樹脂による金型キャビティ充填率を98%とした。樹脂を充填、加圧ガスを注入開始後、開閉弁4を開き、ガス圧により溶融樹脂排出用キャビティ3に溶融樹脂塊の一部を排出し、中空率約30%の中空体を形成した。この際、溶融樹脂排出用キャビティ3はガス圧に押された樹脂によって密に充填されていた。次いで中空部11を形成した二酸化炭素ガスを射出ノズル12に内蔵した加圧ガスノズル13から開放した。スプルー6とランナー7に充填された溶融樹脂は発泡していたが、成形品内は発泡しておらず、かつ金型1を開く際成形品が破裂した。これはスプルー6とランナー7の部分の溶融樹脂が先に発泡してしまい、溶融樹脂塊8のガス充填中空部11内の二酸化炭素ガスを開放できないためと考えられる。
比較例3
条件を以下のように変更した他は比較例2と同様に行なった。中空部11を形成する加圧ガスを金型キャビティ2に設けたガス注入口18から直接注入した。また同じガス注入口18から中空部11のガスを開放した。ガス注入口18近傍が発泡し、成形品内は発泡しておらず、かつ金型1を開く際成形品が破裂し、比較例2と同様の結果であった。
実施例10
金型キャビティ2を加圧する加圧ガスに窒素ガスを用いた他は実施例3と同様にして行なった。得られた成形品の表面は、発泡模様はないものの表面粗さは5〜8μmでシボ形状を充分に転写しておらず、金型キャビティ内壁面形状の転写性においては実施例3の方が優れるものであった。
発泡性溶融樹脂中の窒素ガス量は3重量%であった。成形品の発泡倍率は2.6倍、表皮層の厚さは1.5mmであった。
比較例4
溶融樹脂排出用キャビティ3を使用せず、射出後の冷却時間60秒後に金型1を開き成形品を取り出した他は実施例3と同様にして行なった。金型から取り出した成形品は、溶融樹脂中に溶解したガス状発泡剤の発泡力により大きく膨らみ、変形した。またこの変形を防止するためには冷却時間が120秒以上必要であった。
比較例5
金型キャビティ2を加圧ガスで加圧せず、かつ溶融樹脂による金型キャビティ充填率を80%とした他は比較例4と同様にして行なった。発泡倍率が1.2倍の成形品が得られるものの、成形品表面に発泡模様ができ外観が悪くなった。
比較例6
成形品外観を改善するため、溶融樹脂の射出前に金型キャビティ2を7MPaの二酸化炭素ガスで加圧した他は比較例5と同様にして行なった。得られた成形品は、金型キャビティ2内のゲート側からキャビティ容積約80%に対応するところまでは発泡模様がないものの、そこから流動末端対応部分に向けて発泡模様ができ外観が悪かった。
産業上の利用可能性
本発明の発泡射出成形方法によれば、金型キャビティ内壁面形状の転写性が良好で、無発泡の表皮層と高発泡の発泡層を有する成形品を再現性良く、効率的、経済的に製造することができるだけでなく、成形品の表皮層の厚さおよび成形品の発泡倍率を容易に制御することができる。本発明の発泡射出成形方法によれば、弱電機器、電子機器などのハウジング、各種自動車部品、各種日用品などの種々の優れた熱可塑性樹脂発泡射出成形品を安価に提供することができる。また、本発明の発泡射出成形方法は、通常の熱可塑性樹脂だけでなく、熱安定性が低い難燃剤を含む、高い樹脂温度で成形することが困難な樹脂組成物や、流動性が低く従来の方法では射出成形が困難な樹脂にも有利に適用できる。
【図面の簡単な説明】
図1(a)〜図1(c)は、本発明の第1の方法の1つの態様を示す概略図である。
図1(a)は、発泡性溶融樹脂を射出充填する前の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図1(b)は、溶融樹脂を射出充填完了した時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図1(c)は、溶融樹脂排出手段(開閉弁4)を開き、金型キャビティ内の溶融樹脂塊の一部を溶融樹脂排出用キャビティに排出して、発泡させた時の金型内部の状態を示す断面図である。
図2(a)〜図2(c)は、本発明の第2の方法の1つの態様を示す概略図である。
図2(a)は、発泡性溶融樹脂を射出充填中の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図2(b)は、溶融樹脂を射出充填完了後、加圧ガスを注入して溶融樹脂塊にガス充填中空部を形成した時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図2(c)は、溶融樹脂排出手段(開閉弁4)を開き、溶融樹脂塊の一部およびガス充填中空部内の加圧ガスを溶融樹脂排出用キャビティに排出して、発泡させた時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図3(a)〜図3(d)は、実施例6で用いた本発明の方法を示す概略図である。
図3(a)は、発泡性溶融樹脂を射出充填する前の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図3(b)は、溶融樹脂を射出充填完了した時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図3(c)は、溶融樹脂を射出充填完了後、加圧ガスを注入して溶融樹脂塊にガス充填中空部を形成した時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図3(d)は、溶融樹脂排出手段(開閉弁4)を開き、溶融樹脂塊の一部およびガス充填中空部内の加圧ガスを溶融樹脂排出用キャビティに排出して、発泡させた時の金型内部の状態を示す概略断面図である。
図4は、本発明の方法に用いることのできる4ヶ取り金型の1例の可動半型の概略正面図を示す。
図5は、実施例および比較例で用いた射出成形装置の概略図である。
符号の説明
1    金型
1a   固定半型
1b   可動半型
2    金型キャビティ
3    溶融樹脂排出用キャビティ
4    溶融樹脂排出手段(開閉弁)
5    連絡通路
6    スプルー
7    ランナー
8    発泡性溶融樹脂
9    発泡樹脂塊(発泡層)
10   表皮層
11   ガス充填中空部
12   射出ノズル
13   加圧ガスノズル
14   カウンターガス供給孔(通気口)
15a〜15c O−リング
16   カウンターガス供給三方弁
17   カウンターガス大気開放口に通じるライン
18   ガス注入口
19   ガス供給制御装置
20   射出シリンダ
21   発泡性溶融樹脂中へのガス供給ライン
22   金型へのカウンターガス供給ライン
23   射出成形機
24   二酸化炭素ガス源もしくは窒素ガス源
図1(a)〜図5において、類似の部材や部分は類似の参照番号で示されている。

Claims (16)

  1. 熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
    (1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
    該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口に通じており、
    該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
    (2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の95〜110%の範囲であり、
    これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
    (3)該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、そして
    (4)該発泡性溶融樹脂塊の一部を該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力により該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
    ことを特徴とする発泡射出成形方法。
  2. 工程(3)での該発泡性溶融樹脂塊への加圧を、追加の発泡性溶融樹脂を該金型キャビティに射出して該発泡性溶融樹脂塊に所定の樹脂保圧をかけることによって行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(2)の前で工程(1)の後に、該金型キャビティに加圧ガスを導入して、該金型キャビティの圧力を、工程(2)で射出された該発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力とすることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(2)の前で工程(1)の後に該金型キャビティに導入する該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 該金型キャビティの該溶融樹脂排出手段が開閉弁であり、該金型が、該開閉弁を介して該金型キャビティに通じる溶融樹脂排出用キャビティを有しており、該溶融樹脂排出用キャビティの容積が、工程(4)で該開閉弁を通じて該金型キャビティの外側に排出される該発泡性溶融樹脂塊の該一部の体積より大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 該溶融樹脂排出用キャビティが該金型の外側に通じる通気口を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 該発泡性溶融樹脂が、溶融樹脂とそれに溶解した少なくとも1種のガス状発泡剤からなり、該少なくとも1種のガス状発泡剤が二酸化炭素ガスと窒素ガスからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 該発泡性溶融樹脂の該発泡剤の含有量が0.05〜10重量%であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 熱可塑性樹脂の発泡射出成形方法であって、
    (1)固定半型及びそれと組み合わさった可動半型からなり、該固定半型の内壁面と該可動半型の内壁面によって規定される金型キャビティを有する金型を提供し、
    該金型キャビティは内壁面を有し、また、樹脂入口及び所望によりガス入口に通じており、
    該金型キャビティの該内壁面は溶融樹脂排出手段を有しており、
    (2)発泡性の熱可塑性樹脂を溶融状態で所定の射出温度圧力条件下に上記樹脂入口を通じて該金型キャビティに射出し、該発泡性溶融樹脂の量は、該所定の射出温度圧力条件下で測定して該金型キャビティの容積と同じ体積を有する該発泡性溶融樹脂の重量の55〜110%の範囲であり、
    これによって該金型キャビティ内に発泡性溶融樹脂塊を形成し、
    (3)上記樹脂入口または上記ガス入口を通じて該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊に加圧ガスを注入して該発泡性溶融樹脂塊にガス充填中空部を形成し、それによって該発泡性溶融樹脂塊に圧力をかけて該発泡性溶融樹脂塊の外表面を該金型キャビティの該内壁面に押し付けることにより、該発泡性溶融樹脂塊の外表面部分を固化させて、該発泡性溶融樹脂塊の表皮層を形成し、
    工程(3)は、工程(2)の間、工程(2)の完了後、または工程(2)の間と完了後に行ない、そして
    (4)該発泡性溶融樹脂塊の一部と該ガス充填中空部内の加圧ガスの少なくとも一部を、該発泡性溶融樹脂塊自体が有する発泡圧力と該ガス充填中空部内の加圧ガスの圧力によって、該溶融樹脂排出手段を通じて該金型キャビティの外側に排出して該発泡性溶融樹脂塊への圧力を低下させ、それによって、該金型キャビティ内の該発泡性溶融樹脂塊を発泡させて、実質的に無発泡の該表皮層を有する発泡樹脂塊を形成する、
    ことを特徴とする発泡射出成形方法。
  10. 工程(3)で用いる該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 工程(2)の前で工程(1)の後に、該金型キャビティに加圧ガスを導入して、該金型キャビティの圧力を、工程(2)で射出された該発泡性溶融樹脂がそのフローフロントで発泡を起こさない圧力とすることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
  12. 工程(2)の前で工程(1)の後に該金型キャビティに導入する該加圧ガスが二酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 該金型キャビティの該溶融樹脂排出手段が開閉弁であり、該金型が、該開閉弁を介して該金型キャビティに通じる溶融樹脂排出用キャビティを有しており、該溶融樹脂排出用キャビティの容積が、工程(4)で該開閉弁を通じて該金型キャビティの外側に排出される該発泡性溶融樹脂塊の該一部の体積より大きいことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 該溶融樹脂排出用キャビティが該金型の外側に通じる通気口を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 該発泡性溶融樹脂が、溶融樹脂とそれに溶解した少なくとも1種のガス状発泡剤からなり、該少なくとも1種のガス状発泡剤が二酸化炭素ガスと窒素ガスからなる群から選ばれることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 該発泡性溶融樹脂の該発泡剤の含有量が0.05〜10重量%であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
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