JP2002192549A - 発泡射出成形品 - Google Patents

発泡射出成形品

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JP2002192549A
JP2002192549A JP2000396892A JP2000396892A JP2002192549A JP 2002192549 A JP2002192549 A JP 2002192549A JP 2000396892 A JP2000396892 A JP 2000396892A JP 2000396892 A JP2000396892 A JP 2000396892A JP 2002192549 A JP2002192549 A JP 2002192549A
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molten resin
resin
foamed
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carbon dioxide
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JP2000396892A
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Hiroshi Yamaki
宏 山木
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型壁面の表面状態を高度に転写し、寸法精
度が高く、薄い表皮層と高発泡の発泡層を備えた軽量の
発泡射出成形品を、より安価に提供する。 【解決手段】 二酸化炭素を溶解させた溶融樹脂4を、
該溶融樹脂4のフローフロントで発泡が生じない圧力以
上に予めガス体で加圧した金型キャビティ3に射出充填
し、該溶融樹脂4を加圧しながら金型壁面に押し付けて
表皮層5を形成し、次いで可動側金型2を後退させて金
型キャビティ3の容積を拡大することにより、表皮層5
で包まれた溶融樹脂を発泡させて発泡層6を形成し、厚
さが成形品の最大肉厚の20%以下の表皮層5と、発泡
倍率が1.1〜4.0の高発泡の発泡層6を有する発泡
射出成形品とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂を発泡
射出成形してなる、非発泡の表皮層と、該表皮層に包ま
れた発泡層とを有する発泡射出成形品に関し、特に、表
皮層が薄く、発泡層の発泡倍率が高く、軽量な発泡射出
成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂に発泡用のガスを含
有させて発泡層を形成した発泡成形品が、軽量であるこ
とから、各種電子機器の筐体や事務機器のハウジングに
広く利用されている。
【0003】上記のような発泡成形品の成形法として
は、ショートショットによる発泡射出成形法が挙げられ
る。ショートショット法では、発泡用ガスを含有させた
溶融樹脂を金型キャビティ容積よりも少ない体積で該金
型キャビティに射出する。金型キャビティに射出された
溶融樹脂は金型壁面に接すると直ちに冷却固化されて固
化層を形成し、後から射出される溶融樹脂は金型キャビ
ティの中央部を流れ、流動先端(フローフロント)に達
してから金型壁面に向かい、金型壁面に接触して冷却さ
れ、固化層を形成する、いわゆるファウンテンフローを
する。溶融樹脂の射出終了後は、該溶融樹脂の発泡によ
り該溶融樹脂が金型キャビティの端部にまで進行し、金
型キャビティを充填して発泡成形品を形成する。このシ
ョートショット法では、流動中の溶融樹脂の先端部でも
発泡が生じるため、樹脂表面が荒れ、それがそのまま固
化層を形成し、得られる成形品の表面は荒れた状態には
なるが、最もシンプルな成形法であり、広く使用されて
いる。
【0004】一方、外観が良好でヒケやソリの少ない厚
肉発泡成形品を得る手法として、特公昭62−1616
6号公報に示されるような、一般にカウンタプレッシャ
成形法と呼ばれている成形法がある。これは発泡用のガ
スを含んだ溶融樹脂を圧縮空気を満たした金型キャビテ
ィ内に射出し、次いで該キャビティ内の圧縮空気を金型
外に開放し、キャビティ内圧力を低く保って樹脂を冷却
する成形法であり、樹脂充填時のフローフロントでの発
泡を抑制することで成形品の表面には発泡模様がなく、
内部のみ発泡した成形品を作る技術である。カウンタプ
レッシャ成形法は、溶融樹脂を非発泡状態でキャビティ
にほぼ満たした後、成形品内部の溶融樹脂が冷却され、
冷却に伴う体積収縮分が発泡するものである。この場
合、樹脂に発泡性を持たせる目的で樹脂中に含ませるガ
スの量は体積収縮を発泡で補える最低限とするのが基本
的な考え方といえる。しかし、当該方法では、高い圧力
で樹脂を金型表面に押し付けることがないために、金型
表面の転写性が低く、外観品質に劣り、体積収縮分しか
発泡しないために、部品の軽量化にも限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、外観
が良好で軽量の発泡成形品を提供することにあり、さら
には、金型表面状態が高度に転写され、寸法精度が高
く、軽量の発泡成形品をより安価に提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、非発泡の表皮
層と、該表皮層に包まれた発泡層とを有する熱可塑性樹
脂の発泡射出成形品であって、上記表皮層の厚さが当該
成形品の最大肉厚の20%以下であり、上記発泡層が表
皮層の内側より連続的に発泡し、発泡倍率が1.1〜
4.0であることを特徴とし、上記発泡層が軽石状であ
ることを好ましい態様として含むものである。
【0007】また、上記本発明の発泡射出成形品は、二
酸化炭素を0.2重量%以上溶解させた溶融熱可塑性樹
脂を、予め該溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きな
い圧力以上にガス体で加圧した金型キャビティに射出充
填し、該溶融樹脂に圧力をかけて金型壁面に押し付けて
表面を固化させて表皮層を形成した後、上記金型キャビ
ティ容積を拡大するか、或いは、上記表皮層に包まれた
溶融樹脂の一部を金型キャビティ外へ排出させることに
より、表皮層に包まれた溶融樹脂を発泡させて発泡層を
形成することにより、成形することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の発泡射出成形品は、非発
泡の表皮層と該表皮層に包まれた発泡層とを有し、該表
皮層の厚さが、当該成形品の最大肉厚の20%以下と薄
く、且つ、発泡層の発泡倍率が1.1〜4.0と高発泡
であることを特徴とする。
【0009】本発明者等は上記課題を解決するため鋭意
検討した結果、特定量の二酸化炭素を溶融樹脂に溶解さ
せておくと、成形中のみ二酸化炭素が可塑剤と発泡剤の
両方の働きをし、成形後の成形品は変形せずに二酸化炭
素が大気中に放散するため、樹脂性能を変えることなく
溶融樹脂の粘度を低減し、発泡射出成形を容易にできる
こと、また、樹脂が高い発泡性を持つために、金型表面
状態が成形品に転写するように保圧した後であっても十
分に発泡でき、薄い表皮層と高発泡の発泡層とを有する
発泡射出成形品を成形しうることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0010】即ち、上記本発明の発泡射出成形品は、二
酸化炭素を0.2重量%以上溶解させた溶融熱可塑性樹
脂を、予め該溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きな
い圧力以上にガス体で加圧した金型キャビティに充填
し、該溶融樹脂に圧力をかけて金型壁面に押し付けて表
面を固化させて表皮層を形成した後、上記金型キャビテ
ィ容積を拡大するか、或いは、上記表皮層に包まれた溶
融樹脂の一部を金型キャビティ外へ排出させ、表皮層に
包まれた溶融樹脂を発泡させて発泡層を形成することに
より、容易に且つ再現性良く成形することができる。
【0011】以下に、本発明の発泡射出成形品につい
て、上記の好ましい発泡射出成形法により成形する場合
を例に詳細に説明する。
【0012】熱可塑性樹脂に二酸化炭素を0.2重量%
以上溶解させることにより、同じ射出温度において、溶
融樹脂の粘度が熱可塑性樹脂本来の粘度よりも大幅に低
下し、高い流動性が得られる。この状態で金型キャビテ
ィに該溶融樹脂をカウンタプレッシャ法で射出充填する
と、金型キャビティ内の加圧ガスによって溶融樹脂の発
泡が抑えられた状態で溶融樹脂が充填される。さらに、
溶融樹脂を加圧しながら金型壁面に押し付けると、上記
したように該溶融樹脂は二酸化炭素を含むことで低粘度
化しており、また、フルショットで充填されているため
に金型壁面に強く押し付けられ、該金型壁面形状が良好
に溶融樹脂表面に転写される。
【0013】本発明にかかる発泡射出成形法において
は、この段階で溶融樹脂の表面付近のみを冷却固化して
表皮層を形成する。一旦固化した表皮層では発泡が生じ
ないため、かかる成形法では表面に発泡模様のない成形
品が得られることとなる。また、表皮層の厚さは上記冷
却固化の時間を調整することで容易に制御することがで
きる。
【0014】表皮層が形成された段階では、該表皮層に
包まれた内部の溶融樹脂は固化しておらず十分に発泡し
うるため、ここで金型キャビティ容積を拡大するか、或
いは、溶融樹脂の一部を金型キャビティ外へ排出させて
該溶融樹脂の発泡に必要な空間を形成する。前者におい
ては、金型を構成する可動側金型を強制的に後退させ
る、或いは、可動側金型の圧力を開放して溶融樹脂の発
泡により該金型を後退させることによって金型キャビテ
ィ容積を拡大させ、発泡に必要な空間を金型キャビティ
内に形成する。また、後者においては、スクリュやプラ
ンジャを後退させた射出成形機、或いは、金型キャビテ
ィに連絡する排出キャビティと金型キャビティとを連絡
させることにより、溶融樹脂の発泡力によってその一部
を上記射出成形機或いは排出キャビティに排出させ、溶
融樹脂の体積を低減して発泡に必要な空間を金型キャビ
ティ内に形成する。
【0015】上記いずれの場合も、金型キャビティに対
して十分な空間を形成することができ、また溶融樹脂に
は0.2重量%以上二酸化炭素が含有されているため、
高発泡の軽石状の発泡層を形成することができ、発泡倍
率も制御することができる。
【0016】また、金型キャビティ容積を拡大した場合
には体積膨張による冷却を伴い、金型キャビティ外へ溶
融樹脂の一部を排出させた場合には排出された溶融樹脂
分の熱量が低減するため、いずれの場合も短時間で成形
品が冷却される。さらに、表皮層に包まれた溶融樹脂の
発泡力が保圧となるため、発泡中の表皮層は金型壁面に
押し付けられ、金型キャビティ形状が良好に維持され
る。
【0017】上記したように、当該成形法によれば表皮
層の厚みや発泡層の発泡倍率を容易に制御することがで
きるため、本発明にかかる、発泡倍率(発泡倍率:熱可
塑性樹脂固有の密度/発泡層の密度)が1.1〜4.0
の発泡層、及び、厚さが成形品の最大肉厚の20%以
下、或いは厚さ1mm以下の薄い表皮層を容易に形成す
ることができる。
【0018】本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル
樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフ
ェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、
全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネ
ート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、
ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルケトンなどの熱可塑性のプラ
スチック材料、及びこれらを一種または二種以上混合し
た組成物、これらに各種充填材を配合した物である。こ
こでいうスチレン系樹脂とは、スチレンを必須原料とす
るホモポリマー、コポリマー及びこれらのポリマーと他
の樹脂より得られるポリマーブレンドであり、ポリスチ
レンまたはABS樹脂であることが好ましい。また、ポ
リスチレンとは、スチレンホモポリマーまたは、樹脂相
中にゴムが分布した、ゴム強化ポリスチレンである。
【0019】特に本発明においては、二酸化炭素を溶解
させた時に大きく溶融粘度が低下する熱可塑性樹脂が好
ましく、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェ
ニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂など
が好ましい。特にポリカーボネートは二酸化炭素の溶解
度が高いだけでなく、熱分解した時に二酸化炭素を生じ
ることから、溶融樹脂に二酸化炭素が含まれていると分
解反応の平衡がずれ、分解反応速度が遅くなる利点もあ
り、本発明に最適である。
【0020】本発明では、各種の難加工性樹脂、例えば
樹脂分子量が射出成形するには大き過ぎる熱可塑性樹
脂、熱安定性が悪く、熱分解を起こし易い樹脂、軟化温
度が高く、著しく高温度にして成形する必要がある樹
脂、熱分解し易い難燃剤などの添加物を配合した樹脂な
ども多量の二酸化炭素を溶解することにより使用でき
る。
【0021】本発明では一般の押出成形には使用される
が、流動性が射出成形するには悪い熱可塑性樹脂、射出
成形するには分子量が大きすぎる熱可塑性樹脂なども同
様に多量の二酸化炭素を溶解することにより良好に使用
できる。これらの例として、次の各熱可塑性樹脂があ
る。
【0022】(1)メルトフローレートが1.0以下、
好ましくは0.5以下のアクリル樹脂。 (2)メルトフローレートが1.5以下、好ましくは
1.0以下のポリスチレン。 (3)メルトフローレートが2.0以下、好ましくは
1.5以下のゴム強化ポリスチレン。 (4)メルトフローレートが3.0以下、好ましくは
2.5以下のABS樹脂。 (5)メルトフローレートが6.0以下、好ましくは
5.0以下のポリカーボネート。 (6)ポリフェニレンエーテル、或いはポリフェニレン
エーテルが60重量%以上、好ましくは70重量%以上
含まれる変性ポリフェニレンエーテル樹脂。 (7)メルトフローレートが5.0以下、好ましくは
3.0以下のポリアセタール。 (8)メルトフローレートが5.0以下、好ましくは
3.0以下のポリエチレン。 (9)メルトフローレートが5.0以下、好ましくは
3.0以下のポリプロピレン。 (10)易熱分解性難燃剤を配合した熱可塑性樹脂。
【0023】ここで、メルトフローレートはJIS K
7210に記載の測定法で測定した値であり、測定条件
は各樹脂に一般に使用されている該JIS記載の測定条
件であり、アクリル樹脂は条件15で、ポリスチレンと
ゴム強化ポリスチレンは条件8で、ABS樹脂は条件1
1で、ポリカーボネートは条件20で、ポリアセタール
とポリエチレンは条件4で、ポリプロピレンは条件14
でそれぞれ測定した値であり、単位はg/10分であ
る。
【0024】一般に分子量が大きい程、成形品の耐化学
薬品性、耐衝撃性などが良くなるが、成形時の流動性が
悪くなり、射出成形が困難になる。押出成形には射出成
形ほど高い流動性が必要とされないため、分子量の大き
な重合体が一般に使用されており、本発明ではこれらの
押出成形に使用され、射出成形には使用されない高分子
量の重合体も多量の二酸化炭素を溶解することと、溶融
樹脂を加圧により金型壁面に押しつけた後に発泡させる
ことを組み合わせて用いることにより、本発明の発泡射
出成形品に成形することができる。
【0025】射出成形するには軟化温度が高すぎる熱可
塑性樹脂の例として、ポリフェニレンエーテル、或いは
ポリフェニレンエーテルとポリスチレンもしくはゴム強
化ポリスチレンの重量混合比が100:0〜60:40
の変性ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。ポリ
フェニレンエーテルは成形性が悪く、一般にポリスチレ
ンもしくはゴム強化ポリスチレンを40重量%を超える
量を配合して使用されている。ところが、本発明にかか
る成形法によれば、ゴム強化ポリスチレンの配合量が4
0重量%以下の場合においても多量の二酸化炭素を溶解
すれば使用可能である。
【0026】また、軟化温度が高い、分解温度が低いな
ど溶融樹脂が十分な流動性を持つまで加熱すると、分解
したり、劣化して物性低下を起こす樹脂に対しても、本
発明にかかる成形法は有効で、低い樹脂温度で高い流動
性を得ることができる。一般には、熱可塑性樹脂が非晶
性熱可塑性樹脂の場合、溶融温度が二酸化炭素を含まな
い熱可塑性樹脂のガラス転移温度+150℃以下の温
度、熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂の場合、溶融温
度が二酸化炭素を含まない熱可塑性樹脂の融点+100
℃以下の温度で成形することが可能である。
【0027】熱可塑性樹脂に溶解させて溶融粘度を低下
させる可塑剤として、本発明にかかる成形法では二酸化
炭素を使用しているが、熱可塑性樹脂に対する溶解度が
大きく、樹脂や金型、成形機素材を劣化させないこと、
成形する環境に対し危険性がないこと、安価であるこ
と、また成形後に成形品から速やかに揮発することなど
の制約を満たす物であれば、場合によっては炭素数1〜
5の飽和炭化水素及びその一部水素をフッ素で置換した
フロン、水、アルコールなどの液体も二酸化炭素と併用
することができる。
【0028】尚、金型キャビティに射出する溶融樹脂中
の二酸化炭素量を直接測定することは難しいため、かか
る成形法では、二酸化炭素を含む樹脂を用いて射出成形
した成形直後における成形品の重量と、成形品を非晶性
樹脂にあってはガラス転移温度、結晶性樹脂にあっては
融点よりも約30℃低い熱風乾燥機中に24時間以上放
置し、成形品中に含まれていた二酸化炭素量が放散して
一定になった成形品の重量の差を、金型キャビティに射
出する溶融樹脂中の二酸化炭素量とした。射出成形中に
逃げる二酸化炭素量は成形法により若干異なるが、特に
本発明にかかる成形法の如くカウンタプレッシャ法で成
形する場合には、成形後の成形品中の二酸化炭素量をも
って、溶融樹脂中の二酸化炭素量としてもほとんど差異
は生じない。
【0029】二酸化炭素は熱可塑性樹脂に良く溶解して
良好な可塑剤になって熱可塑性樹脂の流動性を向上させ
るとともに、発泡剤として機能する。本発明にかかる成
形法で溶融状態の熱可塑性樹脂に溶解させる二酸化炭素
量は0.2重量%以上である。流動性を顕著に向上さ
せ、且つ成形品を発泡させるには0.2重量%以上が必
要であり、好ましくは0.5重量%以上である。また、
二酸化炭素の溶解量の最大量は10重量%程度である。
これは、二酸化炭素を多量に溶解するには装置上の制約
が多くなったり、カウンタプレッシャ法で成形する場合
においてカウンタガス圧力が非常に高くなったりするた
めであり、好ましい二酸化炭素溶解量は7重量%以下で
あり、さらに好ましくは5重量%以下である。成形品の
中空率を増すには、二酸化炭素量の溶解量を増し、溶融
樹脂の粘度を下げるとともに、樹脂の発泡性を高めるこ
とが好ましい。
【0030】熱可塑性樹脂に二酸化炭素を溶解させる方
法として、次の二つの方法が好ましい。一つは、予め粒
状や粉状の樹脂を二酸化炭素雰囲気中に置いて二酸化炭
素を吸収させて、射出成形機に供給する方法で、二酸化
炭素の圧力や雰囲気温度、吸収させる時間により吸収量
が決まる。この方法では、可塑化時に樹脂が加熱される
に従って樹脂中の二酸化炭素の一部が揮散するため、溶
融樹脂中の二酸化炭素量は予め吸収させた量よりも少な
くなる。そのため、成形機のホッパなど樹脂の供給経路
も二酸化炭素雰囲気にすることが望ましい。他の方法
は、成形機のシリンダ内で樹脂を可塑化する時、または
可塑化した樹脂に二酸化炭素を溶解させる方法で、成形
機のホッパ付近を二酸化炭素雰囲気にしたり、スクリュ
の中間部や先端、シリンダから可塑化樹脂に二酸化炭素
を注入する。スクリュやシリンダの中間部から二酸化炭
素を注入する場合には、注入部付近のスクリュ溝深さを
深くして、樹脂圧力を低くすることが好ましい。また、
二酸化炭素を注入後、樹脂中に均一に溶解、分散させる
ため、スクリュにダルメージや混練ピンなどのミキシン
グ機構を付けたり、樹脂流路にスタティックミキサを設
けることが好ましい。射出成形機としては、インライン
スクリュ方式でもスクリュプリプラ方式でも使用できる
が、スクリュプリプラ方式は、樹脂を可塑化する押出し
機部分のスクリュデザインや二酸化炭素の注入位置の変
更が容易であることから、特に好ましい。
【0031】熱可塑性樹脂中の二酸化炭素は、熱可塑性
樹脂が固化した後に成形品を大気中に放置すれば徐々に
大気中に放散する。
【0032】本発明にかかる成形法では、予め金型キャ
ビティを、溶融樹脂の射出充填中に該溶融樹脂のフロー
フロントで発泡が起きない圧力以上にガスで加圧するカ
ウンタプレッシャ法で射出成形する。キャビティに封入
するガス圧力は、成形品表面の発泡模様が消える最低圧
力であれば良く、一工程に使用するガスの量を最小限に
抑え、金型キャビティのシールやガス供給装置の構造を
簡単にするためにもガス圧力は必要最低限に近い圧力の
方が好ましい。
【0033】カウンタプレッシャ法で金型キャビティに
圧入するガスとして、空気や窒素をはじめとして、樹脂
に対して不活性な各種ガスの単体或いは混合物が使用で
きるが、熱可塑性樹脂への溶解度の高い二酸化炭素、炭
化水素及びその一部の水素をフッ素で置換したものなど
が好ましく、二酸化炭素は金型壁面の成形品への転写性
を向上させる効果が高く、特に好ましい。樹脂に非晶性
樹脂を用い、キャビティを二酸化炭素で加圧する場合、
特開平10−128783号公報、特開平11−245
256号公報に示したように、キャビティ内ガス圧力を
高めた方が、良好な転写性が得られるため、高度な転写
性が要求される場合には、成形機の型締め力や金型のシ
ール性能に応じ、ガス圧力を高めることも良好に使用で
きる。金型キャビティ内のガスの、二酸化炭素含有量は
高い方が好ましく、80容量%以上が特に好ましい。
【0034】本発明にかかる成形法ではガス加圧された
金型キャビティ内に溶融樹脂を射出充填した後、該溶融
樹脂が発泡しない高い圧力で該溶融樹脂を金型壁面に押
し付け、金型壁面の表面形状を成形品に転写させるとと
もに成形品の表面が冷却固化して非発泡の表示層が形成
されるまで保持する。溶融樹脂充填前に金型キャビティ
内に供給した加圧ガスは、成形品表面のスワールマーク
の有無や、金型壁面形状の転写状況を見て、樹脂充填中
から樹脂充填終了後、樹脂加圧終了までの間の適当な時
期を選定して開放する。樹脂加圧終了後に金型キャビテ
ィ周辺に加圧ガスが残っていると、加圧ガスにより樹脂
表面が押され、凹みを生じることがあり望ましくない。
【0035】本発明にかかる成形法ではカウンタプレッ
シャ法により、成形品表面にスワールマークのない発泡
成形品を得ているが、特に良好な外観を要求されない内
部機構部品などにおいては、カウンタプレッシャ法を用
いずに成形することも可能である。この場合、表面には
スワールマークが生じるが、樹脂の保圧により、非発泡
で寸法精度の高い表皮層を有し、内部が高度に発泡した
軽くて強度や寸法精度の高い成形品を得ることができ
る。
【0036】また溶融樹脂の加圧方法としては金型キャ
ビティに溶融樹脂を補充する樹脂保圧、溶融樹脂中や溶
融樹脂と金型壁面との界面にガスなどの圧力流体を注入
する方法、キャビティ体積を減少させる射出圧縮法など
が挙げられる。溶融樹脂加圧時の圧力は、該溶融樹脂表
面が金型壁面に押し付けられ、金型壁面の表面形状をを
十分転写しながら固化するように設定し、特に、金型キ
ャビティの加圧ガスに二酸化炭素を用いる場合には、高
い圧力にするほど高度な転写性を得ることができる。ま
た、溶融樹脂の加圧時間は、該溶融樹脂表面が固化する
までの最低時間で良く、あまり長いと、後に発泡させる
溶融部分の厚みが減少したり、樹脂温度が下がり粘度が
高くなるため、十分な発泡状態が得られなくなる。
【0037】特開平11−245256号公報に示され
るように、金型キャビティを二酸化炭素で加圧した後に
溶融樹脂を充填する場合、溶融樹脂の冷却を、充填工程
中、二酸化炭素によって低下した該溶融樹脂の表面の固
化温度−35℃以上、熱可塑性樹脂固有の固化温度−5
℃以下の温度の金型で行うことにより、金型表面状態を
溶融樹脂表面に高度に転写することができる。
【0038】上記した発泡射出成形法を図1〜4に一例
を挙げて具体的に説明する。図1及び図2は金型キャビ
ティ容積を拡大して発泡層を形成する成形法、図3及び
図4は金型キャビティ外へ溶融樹脂の一部を排出させて
発泡層を形成する成形法、の一例における金型の断面模
式図である。図中、1は固定側金型、2は可動側金型、
3は金型キャビティ、4は溶融樹脂、5は表皮層、6は
発泡層、7は薄肉部、21は金型コア、31は射出成形
機、32はスクリュ、33はランナ、34は発泡した溶
融樹脂、41は排出キャビティ、42は連絡通路、43
は連絡通路42を開閉するバルブである。
【0039】図1の成形法について説明する。図1
(a)は溶融樹脂4の充填前の状態である。この状態で
ガス加圧された金型キャビティ3に熱可塑性樹脂に二酸
化炭素を溶解した溶融樹脂4を射出充填する(b)。本
成形法では二酸化炭素によって溶融樹脂4の溶融粘度が
低下しているため、薄肉部7にも速やかに溶融樹脂4が
充填される。この状態で上記したように溶融樹脂4に加
圧しながら所定時間保持することにより、溶融樹脂4の
金型1、2壁面に接する表面が冷却固化されて表皮層5
が形成される。この冷却固化の時間を長くすると表皮層
5は厚くなる。次いで、可動側金型2を後退させて金型
キャビティ3の容積を拡大することにより、溶融樹脂4
にかかる圧力が低下し、表皮層5に包まれた内部の溶融
樹脂4が発泡し、発泡層6が形成される(c)。また、
可動側金型2にかかる圧力を開放することによっても、
溶融樹脂4にかかる圧力が低下し、表皮層5に包まれた
内部の溶融樹脂4が発泡し、該発泡によって可動側金型
2が後退し、金型キャビティ3の容積が拡大し、発泡層
6が形成される。本実施形態では、薄肉部7で囲まれた
凹部内で金型キャビティ3の容積が拡大されるため、表
皮層5の表面に発泡層6が露出することがなく、良好な
外観が得られる。
【0040】図2は、金型キャビティ3の容積を拡大す
る別の実施形態を示す図であり、移動側金型2に設けた
金型コア21を後退させることで金型キャビティ3の容
積を拡大させ、発泡層6を形成する。本例では成形品に
曲げ剛性を必要とする部分に厚肉発泡層を形成せしめる
ことができ、成形品の剛性を増大させることができる。
【0041】図1と図2に示す成形法では、溶融樹脂4
に二酸化炭素が含有されて流動性が向上しているため、
薄肉部7にも十分に充填される。薄肉部7を発泡させる
には、溶融樹脂4を充填後、直ちに金型キャビティ3の
容積を拡大する必要がある。図1、2において可動側金
型2、金型コア21を溶融樹脂4の発泡により後退させ
る場合には、後退量をバネなどで制限することにより、
発泡倍率を制御することが好ましい。
【0042】次に、図3、図4の成形法について説明す
る。図3は射出成形機31に、図4は排出キャビティ4
1にそれぞれ溶融樹脂4を排出させて金型キャビティ3
内における溶融樹脂4の体積を減少させて発泡層を形成
する方法である。
【0043】図3において、(a)は溶融樹脂4を充填
する前の状態を示す。この状態で、射出成形機31より
ガス加圧された金型キャビティ3に熱可塑性樹脂に二酸
化炭素を含有させた溶融樹脂4を射出充填する(b)。
この状態で溶融樹脂4を加圧しながら所定時間保持し、
溶融樹脂4の金型1、2壁面に接する表面を冷却固化し
て表皮層5を形成する。次いで、射出成形機31のスク
リュ32を後退させると、溶融樹脂4にかかる圧力が開
放されるため、溶融樹脂4の発泡力によって該溶融樹脂
4の一部34が射出成形機31に逆流し、金型キャビテ
ィ3内の溶融樹脂4の体積が減少して発泡層6が形成さ
れる。
【0044】尚、図3の方法では溶融樹脂34を逆流さ
せるためにランナ33として太いものを使用する必要が
ある。さらにゲートを機械的に開閉できるバルブゲート
方式のホットランナを使用することが好ましい。
【0045】また、図4においては、金型に予め金型キ
ャビティ3に隣接して、該金型キャビティ3とはバルブ
43によって開閉が制御された連絡通路42を介して連
絡された排出キャビティ41が形成されている(a)。
この状態で、連絡通路42を閉じ、ガス加圧された金型
キャビティ3に熱可塑性樹脂に二酸化炭素を含有させた
溶融樹脂4を充填し(b)、溶融樹脂4を加圧しながら
所定時間保持して表皮層5を形成した後、バルブ43を
開くと、表皮層5に包まれた溶融樹脂4の発泡力によっ
て該溶融樹脂4の一部34が通路42を介して排出キャ
ビティ41に排出され、金型キャビティ3内の溶融樹脂
4の体積が減少して発泡層6が形成される。尚、発泡層
6の形成時には溶融樹脂4は表皮層5の一部を破って排
出キャビティ41に排出されるため、表皮層5はこれを
妨げない程度に薄く形成しておくことが望ましい。ま
た、表皮層5を破るためにバルブ43を開き、溶融樹脂
4をさらに加圧することも有効である。
【0046】図4において、溶融樹脂34排出後の金型
キャビティ3内圧を制御するために、排出キャビティ4
1内にバネで排出樹脂量を規制する構造や、バルブ43
の開口面積を変えられる構造とすることが好ましいが、
樹脂粘度、成形品の断面積やバルブ43の開口面積、樹
脂排出時の流動距離を適切な値とすることにより、樹脂
排出時の流動抵抗を利用してキャビティ3内圧を適当な
範囲に保つことも可能である。排出キャビティ41の数
は、成形品厚みや樹脂粘度に応じて決まり、薄肉部品や
溶融粘度の高い樹脂ほど樹脂排出時の樹脂流動抵抗が大
きいため、排出キャビティ41の数を増す必要がある。
また、排出キャビティ41の位置は、より多くの樹脂を
排出するために厚肉部分に設けることが好ましい。
【0047】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明の効果をさらに
具体的に説明する。
【0048】〔二酸化炭素〕純度99%以上の二酸化炭
素を使用した。
【0049】〔射出成形機〕射出成形機は住友重機械工
業製「SG260M−S」を使用した。射出成形機のス
クリュシリンダはL/D29のベントタイプとし、ベン
ト部分を二酸化炭素で加圧できるようにし、供給する二
酸化炭素の圧力を減圧弁で一定に保つことで、溶融樹脂
に溶解する二酸化炭素量を制御した。可塑化から射出開
始までの間、スクリュ背圧として、溶融樹脂が発泡して
スクリュが後退しない最低限の圧力を設定、保持した。
【0050】〔熱可塑性樹脂中への二酸化炭素の溶解〕
成形機ベント部分の二酸化炭素供給圧力を10MPaと
して、可塑化した熱可塑性樹脂に二酸化炭素を溶解させ
た。
【0051】〔溶融樹脂中の二酸化炭素量の測定〕溶融
樹脂に溶解した二酸化炭素量は、成形品の成形後の重量
減少から求めた。即ち、成形直後に成形品の重量を測定
した後、成形品を約24時間大気中に放置し、次に、ポ
リスチレンにおいては80℃、他の樹脂においては12
0℃の真空乾燥機中に48時間放置し、成形品中に含ま
れていた二酸化炭素量が放散して一定になった成形品の
重量を測定し、これらの差を溶融樹脂中に含まれていた
二酸化炭素量とした。
【0052】〔射出シリンダ温度の設定〕射出シリンダ
温度は、ポリカーボネートについては300℃、変性ポ
リフェニレンエーテル、ポリアミド66については28
0℃、ポリスチレンについては220℃とした。
【0053】(実施例1)図1に示す箱状の成形品を形
成した。金型キャビティは、該箱状の底面が200mm
×200mmで厚みは2〜10mmで可変であり、立ち
上がり面(薄肉部7)の高さが40mmで厚みが約1.
2mmで、底面の中央にダイレクトゲートがある。
【0054】射出シリンダに二酸化炭素を供給し、ポリ
カーボネート(帝人化成製「パンライトL1225」)
に二酸化炭素を溶解させ、図1に示した方法で成形品を
発泡射出成形した。成形品の底面となる金型キャビティ
の厚みを3mmとし、二酸化炭素で7MPaに加圧状態
にした金型キャビティ(金型温度80℃)に二酸化炭素
を溶解した上記ポリカーボネートを2秒間で充填し、シ
リンダ内樹脂圧力180MPaで1秒間保圧した後、約
1秒で可動側金型を3mm後退させて6mmの厚みとし
て発泡させた。金型キャビティを加圧した二酸化炭素は
樹脂充填完了と同時に開放した。この成形法により底面
が発泡し、薄肉の立ち上がり面が十分に充填された偏肉
発泡成形品を得た。発泡から1分間冷却した後、金型を
開いて成形品を取り出した。
【0055】また発泡射出成形後の成形品の重量減少か
ら求めた溶融樹脂中の二酸化炭素量は2重量%であっ
た。発泡層の発泡倍率は2.9倍、表皮層の厚さは0.
7mmであった。
【0056】(実施例2)断面が20mm×20mmの
ほぼ正方形で、長さが300mmの棒状成形品を図4の
方法で成形した。金型は、上記棒状の金型キャビティの
一端に5mm×10mmのゲートを設け、ゲートから正
方形断面まで30mmにわたって断面形状を直線的に変
えた。ゲートと反対側の棒の端部に断面が5mm×10
mmで長さ15mmの連絡通路と、該連絡通路の中央部
にバルブを設け、連絡通路の先には断面が20mm×4
0mm、長さ200mmの排出キャビティがつながって
いる。
【0057】射出シリンダから二酸化炭素をガラス繊維
33%含有ポリアミド66(旭化成工業製「レオナ14
02G」)に供給して溶解させつつ、図4の方法で成形
品を発泡射出成形した。二酸化炭素で7MPaに加圧状
態にした金型キャビティ(金型温度60℃)に二酸化炭
素を溶解したポリアミド66を1.5秒間で充填し、シ
リンダ内樹脂圧力90MPaで5秒間保圧した後、上記
連絡通路のバルブを開放し、溶融樹脂を排出キャビティ
に排出させて発泡させた。この成形法により内部に高発
泡の発泡層を有する成形品が得られた。発泡から3分間
冷却した後、金型を開いて成形品を取り出した。
【0058】また発泡射出成形後の成形品の重量減少か
ら求めた溶融樹脂中の二酸化炭素量は1.8重量%であ
った。発泡層の発泡倍率は2.8倍、表皮層の厚さは2
mmであった。
【0059】(実施例3)射出シリンダから二酸化炭素
を変性ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成工業製「ザ
イロン300H」)に供給して溶解させつつ、実施例1
と同じ金型を用い、図1の方法で成形品を発泡射出成形
した。底面の金型キャビティ厚みを5mmとし、二酸化
炭素で7MPaに加圧状態にした金型キャビティ(金型
温度70℃)に二酸化炭素を溶解した上記変性ポリフェ
ニレンエーテル樹脂を2秒間で完全に充填し、直ちに可
動側金型を5mm後退させて10mmの厚みとして発泡
させた。この成形法により底面が発泡し、薄肉の立ち上
がり面が十分に充填された偏肉発泡成形品を得た。発泡
から2分間冷却した後、金型を開いて成形品を取り出し
た。
【0060】また発泡射出成形後の成形品の重量減少か
ら求めた溶融樹脂中の二酸化炭素量は2.3重量%であ
った。発泡層の発泡倍率は2.3倍、表皮層の厚さは
0.5mmであった。
【0061】(実施例4)断面が35mm×25mmで
長さが300mmの棒状の成形品を図4の方法で成形し
た。金型としては、実施例2と同様の構造とし、排出キ
ャビティを40mm×40mm×220mmとした。ま
た、金型キャビティを構成する金型壁面は平均粗さ(R
a)が13.2μmのシボ状とした。
【0062】射出シリンダから二酸化炭素をポリスチレ
ン(A&Mポリスチレン製「A&Mポリスチレン68
5」)に供給して溶解させつつ、図4の方法で成形品を
発泡射出成形した。二酸化炭素で7MPaに加圧状態に
した金型キャビティ(金型温度50℃)に二酸化炭素を
溶解した上記ポリスチレンを1.5秒間で充填し、シリ
ンダ内樹脂充填圧力80MPaで5秒間保圧した後、上
記連絡通路のバルブを開放し、溶融樹脂を排出キャビテ
ィに排出させて発泡させた。この成形法により内部に高
発泡の発泡層を有する成形品が得られた。発泡から3分
間冷却した後、金型を開いて成形品を取り出した。
【0063】得られた成形品の重量減少から求めた溶融
樹脂中の二酸化炭素量は2.9重量%であった。発泡層
の発泡倍率は2.6倍、表皮層の厚さは2mmであっ
た。また、得られた成形品表面は平均粗さ(Ra)が1
3.1μmのシボ形状が転写されており、高度な転写性
が得られ、表面には光沢ムラやフローマークなどの表面
不良は見られなかった。
【0064】(実施例5)実施例4と同じ金型キャビテ
ィを備えた金型を用い、樹脂充填圧力後に保圧した後、
射出スクリュを容積にして400cm3分後退させて溶
融樹脂を発泡させる以外は実施例4と同様にして成形を
行った。成形品は発泡から3分間冷却した後に、金型を
開いて取り出した。
【0065】発泡層の発泡倍率は2.4倍、表皮層の厚
さは2mmであった。
【0066】(比較例1)実施例1に使用した二酸化炭
素溶解のポリカーボネートを使用し、図1に示した金型
で、金型キャビティに加圧二酸化炭素を供給せずに底面
の金型キャビティ厚みを最初から10mmとし、二酸化
炭素を溶解したポリカーボネートを該金型キャビティを
満たすに不十分な量で射出して発泡射出成形した(ショ
ートショット)。この成形法では薄肉の立ち上がり面が
樹脂で十分に充填されていなかった。また表面に発泡模
様も観察され、成形品表面より内部まで連続して発泡し
ており、実質的に表皮層が形成されていなかった。
【0067】(比較例2)実施例2に使用した二酸化炭
素溶解のガラス繊維33%含有ポリアミド66を使用し
た以外は比較例1と同様にして発泡射出成形を行った。
得られた成形品は、薄肉の立ち上がり面が樹脂で十分に
充填されていなかった。また表面に発泡模様も観察さ
れ、成形品表面より内部まで連続して発泡しており、実
質的に表皮層が形成されていなかった。
【0068】
【発明の効果】上記したように、本発明の発泡射出成形
品は、非発泡の薄い表皮層と高発泡の発泡層を有する軽
量な発泡射出成形品であり、弱電機器、電子機器、事務
機器などのハウジング、各種自動車部品、各種日用品、
などの熱可塑性樹脂発泡射出成形品を安価に提供するこ
とができる。また、本発明の発泡射出成形品は、特定の
成形法により成形することで、特に、携帯用パソコン、
携帯電話等のモバイル電子機器の、局所的に厚肉部を有
する薄肉筐体などの用途では、成形が容易になり、成形
品の品質が向上したり、軽量化、製品デザインの自由度
の増大等が期待できる。また、これらの偏肉成形品の金
型表面の転写性が良くなり、シャープエッジの再現性も
良くなり、さらに成形品の残留応力も低減し、成形品の
反り、ねじれが少なくなり、寸法精度も向上させること
ができる。
【0069】また、熱安定性が悪く、高い樹脂温度で成
形することが困難な難燃剤を含む樹脂であっても、上記
特定の成形法によれば良好に成形して本発明の成形品と
することができ、設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡射出成形品の好ましい成形法の一
例における金型の断面模式図である。
【図2】本発明の発泡射出成形品の好ましい成形法の他
の例における金型の断面模式図である。
【図3】本発明の発泡射出成形品の好ましい成形法にお
ける金型の断面模式図である。
【図4】本発明の発泡射出成形品の好ましい成形法にお
ける金型の断面模式図である。
【符号の説明】
1 固定側金型 2 可動側金型 3 金型キャビティ 4 溶融樹脂 5 表皮層 6 発泡層 7 薄肉部 21 金型コア 31 射出成形機 32 射出スクリュ 33 ランナ 34 溶融樹脂 41 排出キャビティ 42 連絡通路 43 バルブ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非発泡の表皮層と、該表皮層に包まれた
    発泡層とを有する熱可塑性樹脂の発泡射出成形品であっ
    て、上記表皮層の厚さが当該成形品の最大肉厚の20%
    以下であり、上記発泡層が表皮層の内側より連続的に発
    泡し、発泡倍率が1.1〜4.0であることを特徴とす
    る発泡射出成形品。
  2. 【請求項2】 上記発泡層が軽石状である請求項1に記
    載の発泡射出成形品。
  3. 【請求項3】 二酸化炭素を0.2重量%以上溶解させ
    た溶融熱可塑性樹脂を、予め該溶融樹脂のフローフロン
    トで発泡が起きない圧力以上にガス体で加圧した金型キ
    ャビティに射出充填し、該溶融樹脂に圧力をかけて金型
    壁面に押し付けて表面を固化させて表皮層を形成した
    後、上記金型キャビティ容積を拡大して表皮層に包まれ
    た溶融樹脂を発泡させて発泡層を形成した請求項1また
    は2に記載の発泡射出成形品。
  4. 【請求項4】 二酸化炭素を0.2重量%以上溶解させ
    た溶融熱可塑性樹脂を、予め該溶融樹脂のフローフロン
    トで発泡が起きない圧力以上にガス体で加圧した金型キ
    ャビティに射出充填し、該溶融樹脂に圧力をかけて金型
    壁面に押し付けて表面を固化させて表皮層を形成した
    後、上記表皮層に包まれた溶融樹脂の一部を金型キャビ
    ティ外へ排出させることにより、該溶融樹脂を発泡させ
    て発泡層を形成した請求項1または2に記載の発泡射出
    成形品。
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