JP4909153B2 - 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 Download PDF

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本発明は熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
軽量性かつ剛性を求められる自動車部品や家電部品には、熱可塑性樹脂発泡成形体が用いられている。熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法としては、金型間のキャビティに発泡剤を含む溶融状熱可塑性樹脂を供給し、金型間のギャップを拡大してキャビティ容積を増大し、樹脂を発泡させる方法がある。
例えば特許文献1では、雄金型及び雌金型の少なくともいずれか一方の型面に吸引口を有する真空引き用通路が設けられた金型が嵌合して形成せられたキャビティ内に、加熱発泡性熱可塑性樹脂を溶融状態で充填し、型面にそって成形体の表面層がほぼ形成せられた直後に、この表面層を真空引きしながらキャビティ容積を増大することにより、発泡性熱可塑性樹脂を発泡させる方法である。
また、熱可塑性樹脂発泡成形体を製造する他の方法としては、特許文献2に開示されている方法も挙げられる。すなわち、金型間にゴム製のシール部材を配置してキャビティをガスシール状態とし、その後、シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティの容積を小さくし、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ内を昇圧し、昇圧したキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出し、その後、キャビティ内のガス圧を開放し、キャビティ容積を増大して発泡を行わせる射出発泡成形方法である。
特開平7−9461号公報 特開2006−159898号公報
しかしながら前者の製造方法で得られる発泡体には、ゲート近傍にシルバーストリークと呼ばれる外観不良が発生することがあり、後者の製造方法では、シルバーストリークの発生は抑えられるが、型に倣った所望の形状の成形品が得られないという問題があった。
本発明は、シルバーストリークと呼ばれる外観不良が改良され、かつ型に倣った所望の形状の成形品が得られる熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供する。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法は、(1)一対の金型間に形成されるキャビティ内の圧力を、大気圧を越えるまで昇圧する工程と、(2)発泡剤を含有させた溶融状熱可塑性樹脂を昇圧されたキャビティ内に供給開始し、溶融状熱可塑性樹脂の供給開始時にまたは供給中にキャビティ内の圧力の減圧を開始し、キャビティ内の圧力を、大気圧を下回るまで減圧した後に溶融状熱可塑性樹脂のキャビティ内への供給を完了する工程と、(3)減圧された状態において一方の金型を移動して前記キャビティの容積を拡大する工程と、を備える。
本発明によれば、昇圧されたキャビティ内に対して溶融状熱可塑性樹脂の供給を開始することで、樹脂注入ゲート近傍における成形体のシルバーストリークを低減することができる。また、樹脂供給完了前にキャビティ内を大気圧以下に減圧することで、型に倣った所望の形状の成形品が得られる。そして、この減圧状態において、キャビティの容積を拡大することで、外観がきれいな発泡成形体が得られることとなる。
ここで、熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂が好適であり、特にプロピレン系樹脂が好適である。
本発明の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法によれば、シルバーストリークと呼ばれる外観不良が改良され、かつ型に倣った所望の形状の成形品が得られる。
以下、本発明について説明する。尚、以下の説明は本発明の一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係る成形装置100は、図1に示すように、雄金型20、雌金型30、射出機60、加圧ポンプ7、真空ポンプ6等を主として有する。雄金型20および雌金型30は、通常そのいずれか一方がプレス装置40等に接続されて移動可能とされ、他方は固定され、全体として縦方向または横方向に開閉可能となっている。なお、図1では、一例として雄金型20がプレス装置40に接続され、両金型20、30は横方向に開閉可能となっている。かかる雄金型20、雌金型30は、雄金型外周面20aおよび雌金型内周面30aを摺動させながら互いに嵌合して、互いに対向するキャビティ形成面20b、30bによりキャビティV(図2参照)を形成することができ、さらには、この状態から金型の開閉方向に相対的に移動することでキャビティVの容積を縮小または拡大できる構造となっている。
雌金型30にはキャビティVに連通するガス出入路24が設けられている。かかるガス出入路24には、自由にその開閉が制御できるような開閉弁が設けられていてもよく、また、必要に応じて吸引力を調整するための制御機構が設けられていてもよい。このガス出入路24は、ラインL1、バルブ10、及びラインL2を介して加圧ポンプ7に接続されている。また、バルブ10には、ラインL3を介して真空チャンバ8及び真空ポンプ6が接続されている。バルブ10は、手動もしくは自動により、ラインL1とラインL2との連通と、ラインL1とラインL3との連通とを切り替えるものである。
雄金型20の雄金型外周面20aには、例えば深さ1mm程度のガスランナー23がキャビティ形成面20bを取り囲むように設けてあり、さらに、雄金型20の雄金型外周面20aには、例えば、深さ20μm、幅5mmのガス抜き用の溝22が、周方向に例えば50mm間隔で、それぞれキャビティVとガスランナー23とを連通するように形成されている。また雌金型内周面30aのさらに外側の対向面30cには、Oリング50が配置され、このOリング50が、雄金型外周面20aのさらに外側の対向面20cと接触することによりキャビティVがシールされ、キャビティVへのガスの流入及びキャビティVからのガスの流出が防止されるようになっている。
また、雌金型30には、キャビティ形成面30bと金型の外部とを連通する樹脂供給路38が形成されており、この樹脂供給路38には射出機60が接続されている。なお、樹脂供給路38は、雌金型30及び雄金型20のいずれに形成されていても良く、両方に形成されていても良く、その設置場所や数は、成形体の形状や大きさによって適宜決定される。この樹脂供給路38の外側出口及びその近傍には任意に制御可能な開閉弁62を設け、射出機60のシリンダ内に貯えられた溶融状熱可塑性樹脂の供給、停止が任意に制御できるようにしておくことが好ましい。
本発明の方法を実施方法について、図1〜図3を参照して説明する。まず、雌金型30と雄金型20とを嵌合させて図2のようにキャビティVを形成し、加圧ポンプ7を稼動させてキャビティV内の圧力を大気圧を超える圧まで昇圧する(図3参照)。溶融状熱可塑性樹脂を供給する前に、キャビティV内の圧力を大気圧以上にしておかないと、特に、樹脂供給路38の樹脂注入ゲート39近傍におけるシルバーストリークを抑制できず、良好な外観を有する成形物を得ることができない。昇圧する圧力については、大気圧以上であれば特に制限されないが、安全性を鑑みて0.2〜2MPa程度であることが好ましい。
続いて、発泡剤を含有させた溶融状熱可塑性樹脂Rを、射出機60から昇圧されたキャビティV内へ樹脂供給路38を介して供給する。
キャビティV内への発泡剤を含有させた溶融状熱可塑性樹脂の供給は、より安定的に良好な発泡成形体を得るために、両金型を閉じた状態での射出充填による方法が必要である。更には、発泡前に成形されるべき成形体厚みより小さいキャビティ間隔となるように両金型をあらかじめ十分に閉じた状態で溶融状熱可塑性樹脂の供給を開始することが好ましい。
溶融状熱可塑性樹脂がキャビティV内へ供給開始されると同時に(図3の実線A参照)、または供給中に(図3の点線B参照)、キャビティV内の圧力の減圧を開始し、溶融状熱可塑性樹脂の供給が完了するまでにキャビティV内の圧力を大気圧以下にまで減圧する。キャビティV内の圧力の減圧を開始するタイミングは、より良好な外観を得るために、キャビティV内へ溶融状熱可塑性樹脂の供給を開始してから速やかに減圧開始するのが好ましく、キャビティV内へ供給開始されると同時に減圧を開始することがより好ましい。また減圧速度についても、より良好な外観を得るために速やかに行うことが好ましい。
また、溶融状熱可塑性樹脂のキャビティV内への供給を完了する前にキャビティ内の圧力を大気圧を下回る圧まで減圧しておく必要がある。キャビティ内への供給を完了する前にキャビティ内を大気圧を下回る圧まで減圧しておかないと、型に倣った形状の成形品を得ることができない。減圧状態下の圧力については大気圧未満であれば良く、特に制限されないが、0.04MPa以下であることが好ましい。
減圧方法としては、具体的には、例えば、真空ポンプ6を稼動させて、あるいは、予め真空ポンプ6により十分に減圧にされた真空チャンバ8とキャビティVとを連通させることにより、キャビティV内の減圧を行うことができる。
溶融状熱可塑性樹脂が供給されたキャビティVは、キャビティ形成面20b,30bに接する溶融状熱可塑性樹脂の表面を固化させてスキン層を形成させる。一般に金型温度は用いる熱可塑性樹脂により適宜決定されるが、通常20〜80℃程度、好ましくは30〜60℃程度である。
所定のスキン層が形成された後、雄金型20をプレス装置によりキャビティVのギャップが広がるように移動させ、キャビティVを成形体の厚み方向に拡大すると(図4参照)、供給された溶融状熱可塑性樹脂中に閉じ込められていた気泡核が膨張しながら発泡層を形成し、樹脂成形体FRは全体として金型の開き方向、すなわち厚み方向に厚みを増す。
キャビティ間隔が発泡後の最終成形体厚みになった時点でキャビティ容積の拡大動作を停止し、キャビティ間隔をこの厚みに保持しつつ、成形体を冷却する。このとき、キャビティ間隔を一旦最終成形体厚みより大きくなるようにキャビティ容積を拡大した後、熱可塑性樹脂の発泡層の一部がまだ溶融状態にある間に最終成形体厚みになるまでキャビティ容積を縮小してもよい。この場合には、発泡成形体表面とキャビティ形成面20b,30bとの密着性をよりよくすることができ、金型形状をより忠実に再現するとともに、冷却効率を上げることもできる。またキャビティV内の減圧の停止は、稼動させていた真空ポンプ等を手動または自動で停止させる必要があるが、停止するタイミングは、型に倣った形状の成形品を得るために冷却中は減圧を継続して行い、冷却完了後に停止させることが望ましい。
冷却が完了した後、金型を開放し、最終成形体である熱可塑性樹脂発泡成形体を金型より取り出せば、シルバーストリークと呼ばれる外観不良が改良され、かつ型に倣った所望の形状の成形品が得られる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されずさまざまな変形態様が可能である。例えば、金型の形状は成形体形状等に応じて種々のものを利用することができる。
また、本発明の製造方法は、ガスアシスト成形、メルトコア成形、インサート成形、2色成形等の如何なる方法と組み合わされて実施されてもよい。
また、本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡成形体の形状は、特に限定されない。
また、本発明で得られる熱可塑性樹脂発泡成形体の発泡倍率も特に限定されるものではないが、通常1.4倍以上であり、好ましくは1.5倍以上である。発泡倍率の上限は特に限定されないが、通常10倍以下である。発泡倍率は、後述する発泡剤の添加量や、キャビティ容積の拡大量により制御することができる。
使用する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性エステル系樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、これらのうち2種類以上を用いてもよい。これら熱可塑性樹脂の中で、オレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーの混合物が好ましく使用される。
オレフィン系樹脂とはオレフィン由来の繰返し単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1などの炭素原子数が20以下のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンの中から選ばれる少なくとも2種類のモノマーを共重合してなる共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能な他の不飽和単量体と前記α−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
α−オレフィンと共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸のアルキルエステル誘導体;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸または酸無水物;アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、マレイン酸のモノまたはジエチルエステル、N−フェニルマレイミド、N,N’−メタフェニレンビスマレイミド等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸の誘導体等が挙げられる。
本発明では、オレフィン系樹脂としてプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体が挙げられる。これら単独重合体または共重合体は、単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。ここで、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを挙げることができる。
エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体を用いる場合は、プロピレン由来の繰返し単位を、該共重合体100重量%に対して少なくとも50重量%含む共重合体を用いる。また、該共重合体がプロピレン単位以外に2種以上の単量体由来の繰返し単位を有する場合には、そのプロピレン単位以外の単量体由来の繰返し単位の合計量は35重量%以下であることが好ましい。共重合体中のエチレンや炭素原子数4〜12のα−オレフィン由来の繰返し単位の量によって、該共重合体の柔軟性や耐衝撃性を制御することができる。プロピレン系樹脂が共重合体である場合、該共重合体は、ランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体でもよい。
また本発明では、オレフィン系樹脂として、例えば上記プロピレン系樹脂とエチレン・α−オレフィン共重合体との共重合体との混合物を用いることも好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、例えば、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等との共重合体が挙げられる。好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体ゴム(EHR)、エチレン・オクテン共重合体ゴム(EOR)が挙げられる。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレン由来の繰返し単位の含量は、通常、50〜90重量%であり、60〜90重量%であることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレン由来の繰返し単位含量は、13C−NMR法に基づき測定することができる。
エチレンとα−オレフィンの共重合体の密度は通常、0.85〜0.89g/cm3であり、0.86〜0.88g/cm3であることが好ましい。なお、前記密度は、JIS−K7112に基づき測定される値である。
さらに、本発明で用いる熱可塑性樹脂として、上記オレフィン系樹脂にビニル芳香族化合物含有エラストマーを添加したものを用いても良い。
ビニル芳香族化合物含有エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、少なくとも2種類以上のビニル芳香族化合物含有エラストマーを併用されていてもよい。
ビニル芳香族化合物含有エラストマーとは、ビニル芳香族化合物をモノマーの一種として用いて、重合して得られたエラストマーであり、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられ、ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されていることが好ましい。また、ビニル芳香族化合物含有エラストマー100重量%とした場合に、ビニル芳香族化合物モノマー由来の繰返し単位の含有量が10〜20重量%であることが好ましい。
使用するビニル芳香族化合物含有エラストマーは、JIS−K6758に基づき230℃で測定されるMFRが1〜50g/10分であることが好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂には、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、硫酸バリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム等の無機充填材やアルミフレーク等の光輝材等を0.05〜30重量%の範囲で配合されていてもよい。(ただし、熱可塑性樹脂の全量を100重量%とする。)
また、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素補足剤、滑剤、分解剤、金属不活性剤、難燃剤、有機顔料、無機顔料、有機充填剤、無機抗菌剤、有機抗菌剤、結晶核剤などを熱可塑性樹脂に配合して用いてもよい。
本発明で使用される発泡剤は、特に限定されるものではなく、公知の化学発泡剤や物理発泡剤を使用することができる。
化学発泡剤は、使用する熱可塑性樹脂の溶融温度以下では分解せず、熱可塑性樹脂の溶融温度以上で分解または反応するものであれば特に限定されず、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、2種以上を併用してもよい。
化学発泡剤として使用できる無機化合物としては、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウムなどが挙げられ、有機化合物としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などが挙げられる。ポリカルボン酸としては、クエン酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。アゾ化合物としては、アゾジカルボンアミドなど、スルホンヒドラジド化合物としては、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。ニトロソ化合物としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどが挙げられる。
物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素等の不活性ガス、ブタン、ペンタン等のフロン系以外の揮発性有機化合物などが挙げられる。物理発泡剤は2種以上を併用してもよく、化学発泡剤と物理発泡剤を併用してもよい。
本発明で用いられる発泡剤は、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスは、使用する樹脂に対し反応性を示さず、樹脂を劣化させる恐れのない、常温常圧でガス状の無機物質であることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、二酸化炭素、窒素、これらの混合物は安価であり安全性が高いため、好ましく用いられ、超臨界状態の二酸化炭素、超臨界状態の窒素、これらの混合物が、より好ましく用いられる。
発泡剤を含有させた溶融状熱可塑性樹脂を得る方法としては、熱可塑性樹脂と化学発泡剤とを混合して溶融混練する方法や、溶融状熱可塑性樹脂に物理発泡剤を射出成形装置のノズルまたはシリンダ内に注入する方法が挙げられる。シリンダ内に注入する方法が、溶融状態の熱可塑性樹脂と物理発泡剤を均一に混合、分散、溶解させ、発泡成形体を全体的に均一な発泡状態とし、また成形サイクルを短縮する観点から好ましい。
本発明の発泡剤の添加量としては、熱可塑性樹脂に対し、0.05〜10重量部添加することが好ましく、さらに0.1〜8重量部添加することがより好ましい。
本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡成形体は、インサート成形、接着などの方法により公知の表皮材を貼合して加飾発泡成形体としてもよい。表皮材としては、織布、不織布、編布、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーからなるフィルム、シート等が例示される。さらに、これらの表皮材に、ポリウレタン、ゴム、熱可塑性エラストマー等の非発泡シートを積層した複合表皮材を使用してもよい。表皮材には、さらにクッション層を設けることができる。かかるクッション層を構成する材料は、ポリウレタンフォーム、EVAフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等が例示される。
本発明の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法によれば、シルバーストリークと呼ばれる外観不良が改良され、かつ型に倣った所望の形状の成形品が得られる。本発明の方法により得られる熱可塑性樹脂発泡成形体は、自動車用や家電用、その他の工業用製品などの用途に好適に使用することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る成形装置の概略構成図である。 図2は、図1の成形装置においてキャビティ内に樹脂を供給した状態を示す概略構成図である。 図3は、本発明の成形体の製造方法におけるキャビティ内の圧力の時間変化と、種々の操作との関係を示すタイムチャートである。 図4は、図2の状態からさらにキャビティ容積を拡大した状態を示す概略構成図である。
符号の説明
6:真空ポンプ、7:加圧ポンプ、10:バルブ、20:雄金型、22:ガス抜き溝、23:ガスランナー、24:ガス出入路、30:雌金型、38:樹脂供給路、39:樹脂注入ゲート、50:Oリング、100:成形装置、V:キャビティ。

Claims (3)

  1. 一対の金型間に形成されるキャビティ内の圧力を、大気圧を越えるまで昇圧する工程と、
    発泡剤を含有させた溶融状熱可塑性樹脂を前記昇圧されたキャビティ内に供給開始し、前記溶融状熱可塑性樹脂の供給開始時にまたは供給中に前記キャビティ内の圧力の減圧を開始し、前記キャビティ内の圧力を、大気圧を下回るまで減圧した後に前記溶融状熱可塑性樹脂の前記キャビティ内への供給を完了する工程と、
    前記減圧された状態において一方の前記金型を移動して前記キャビティの容積を拡大する工程と、
    を備える熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
  3. 前記オレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂である請求項2に記載の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
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