JPWO2002040479A1 - 抗ヘリコバクター剤 - Google Patents
抗ヘリコバクター剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2002040479A1 JPWO2002040479A1 JP2002543489A JP2002543489A JPWO2002040479A1 JP WO2002040479 A1 JPWO2002040479 A1 JP WO2002040479A1 JP 2002543489 A JP2002543489 A JP 2002543489A JP 2002543489 A JP2002543489 A JP 2002543489A JP WO2002040479 A1 JPWO2002040479 A1 JP WO2002040479A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substituted
- alkyl
- group
- independently
- heterocyclic group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 *c(c(*)c(c1c2c(C(N3*)=O)c(*)c(*)c1C(N1*)=O)C1=O)c2C3=O Chemical compound *c(c(*)c(c1c2c(C(N3*)=O)c(*)c(*)c1C(N1*)=O)C1=O)c2C3=O 0.000 description 3
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07D—HETEROCYCLIC COMPOUNDS
- C07D471/00—Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00
- C07D471/02—Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00 in which the condensed system contains two hetero rings
- C07D471/06—Peri-condensed systems
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P1/00—Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
- A61P1/04—Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for ulcers, gastritis or reflux esophagitis, e.g. antacids, inhibitors of acid secretion, mucosal protectants
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Public Health (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Oncology (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
本発明は、抗ヘリコバクター作用を有する化合物を提供することを課題とする。本発明は、以下の構造で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物およびそれらを含む医薬組成物を提供する。本発明は、単独で抗ヘリコバクター剤として有用である。
Description
技 術 分 野
本発明は、抗ヘリコバクター活性を有する化合物およびそれを含有する抗ヘリコバクター医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、例えば、抗潰瘍剤、抗消化器炎症剤として有用である。
背 景 技 術
胃潰瘍および十二指腸潰瘍などに対する潰瘍治療剤としては、抗ガストリン剤、ヒスタミンH2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビターなど種々の型の薬剤が開発されている。しかし、このような薬剤はいずれも、投薬を中止した後の潰瘍の再発率の高さが問題視されている。
一方で、Helicobacter pyloriは、ヘリコバクター属に属する細菌で、強酸性の胃内においても生息し得る菌として同定された。この菌は、ヘリコバクター属に属するグラム陰性らせん菌であり、ヒトの胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の原因の一つであることが確認されている(Campylobacter pylori and peptic ulcer disease.Gastroenterology 96:615−625(1989))。Helicobacter pyloriはまた、1994年には、世界保健機構(WHO)から胃ガンの危険因子としても承認されている。
そして臨床試験において、このヘリコバクター属に属するグラム陰性らせん菌を上部消化器組織より根絶すると潰瘍が治り、さらに潰瘍の再発率が低くなるものと示唆されている(Graham DYら、Ann.Intern.Med.116:705−708(1992);Marshall BJら、Lancet 2:1437−1442(1988);木平(Kihira,K.)ら、臨床と微生物、Vol.24、No.3、335−339(1997);佐藤(Satoh,K.)ら、Helicobacter pyloriの最新知見(日本消化器病学会編、中山書店)、265−273;瀧本(Takimoto,T)ら、Helicobacter pyloriの最新知見(日本消化器病学会編、中山書店)、287−293)。そういった中、消化性潰瘍治療において、抗菌剤を使用をすることが開始され、現在では、その適応範囲は、消化性潰瘍のみならず、慢性胃炎、早期の胃ガン(例えば、胃ガンの処置において切除後に使用される)、消化不良を含む消化器の疾患または障害に拡大されている(木平(Kihira,K.)ら、臨床と微生物、Vol.24、No.3、335−339(1997))。
しかし、既存の抗菌剤を含むこれまでに使用される化合物は、単独では、効果が十分でないか、または全くなく、充分な除菌効果は得られない。実際、H.pyloriは、インビトロ試験で、ペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、ニトロイミダゾールなどの抗生物質に感受性があるが、インビボでの実験では,これらの抗生物質は、単独では除菌効果が得られない。Chibaらの除菌についての合剤効果の報告によると、単剤での平均除去率は18.6%、2剤で48.5%、および3剤では82%となっている(Chiba Nら、Am J Gastoenterol 87:1716−1727(1992))。単剤で充分な除菌効果が得られないことの原因としては、経口投与された抗生物質の抗菌活性が胃酸により減弱され、消失すること、粘液層内に存在する菌体に対して有効な濃度の抗生物質が到達しないこと、H.pyloriが薬剤耐性を獲得することなどが考えられている(Axon,AT、Scand J Gastroenterl 29:16−23(1994))。
こういった理由から、消化性潰瘍治療では、現時点では単剤の抗生物質による除菌治療は行われていない。例えばビスマス製剤と2種の抗生物質(例:メトロニダゾール(metronidazole)/アモキシリン(amoxicillin)およびメトロニダゾール/テトラサイクリン(tetracycline))による三剤併用療法が行われている(Am. J. Gastroenterol.(1992))。またヘリコバクターピロリ除菌のガイドラインでは、プロトンポンプインヒビター(オメプラゾール(omeprazole)等)と抗生物質(例えば、アモキシリン等)の併用が第一選択であると提唱されている(NIH consensus development conference. 1994. Helicobacter pylori in peptic ulcer diseases. JAMA 272:65−69)。
(発明が解決しようとする課題)
上記のような併用療法では、悪心、下痢等の副作用の問題があり、またコンプライアンスの著しい低下を招く恐れもある。よって、単独でも十分に有効な新規抗ヘリコバクター剤の開発が求められている。また、従来の抗生物質を改良する方法で得られた新規の抗生物質は、耐性克服の面で問題が多い。このため、全く新しい系の抗菌剤の開発を行う必要が存在する。
発 明 の 要 旨
上記目的を達成するために、本発明は以下を提供する。
本発明は、以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物を提供することにより上記課題を解決した。
ここで、上記式中、
R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択される。
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される。
好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して置換されたアルキルであり得、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択され得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得る。
1つの実施形態において、本発明はまた、上記化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、上記化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、抗ヘリコバクター医薬組成物を提供する。
本発明の組成物はまた、他の抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含み得る。本発明の化合物または組成物はまた、これらの薬剤の薬効を増強させる目的でも使用される。
本発明の組成物を用いて、種々の疾患を処置し得る。本発明の組成物は、好ましくは胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎を処置するのに有用であるが、他の疾患(例えば、胃ガン、消化不良などの他の消化器疾患)を処置することにおいても有用であり得る。
本発明の組成物が対象とする病原体としては、ヘリコバクターが挙げられる。ヘリコバクターの具体例は、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
別の局面において、本発明は、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を予防するための方法を提供する。該方法は、
a) 以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であって、ここで、R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され、そして
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物を含む処方物を、該疾患に罹患する被験体に投与する工程、
を包含する。
好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して置換されたアルキルであり得、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択され得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得る。
別の実施形態において、前記処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含有し得る。
他の実施形態において、前記処方物は、抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含み得る。より好ましくは、このさらなる薬剤は、少なくとも2種含まれ得る。
別の実施形態において、上記疾患は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎または胃癌であり得る。
別の実施形態において、前記ヘリコバクターは、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
他の局面において、本発明は、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を防止するための、本発明の化合物の使用を提供する。
発 明 の 詳 細 な 説 明
本明細書の全体にわたり、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、[an」、「the」など、独語の場合の「ein」、「der」、「das」、「die」などおよびその変化形、仏語の場合の「un」、「une」、「des」、「le」、他の言語における対応する冠詞、形容詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる定義で用いられることが理解されるべきである。
「アルキル」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n+1−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によってアルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11アルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換されたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換されたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアルキル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH3−)、エチル(C2H5−)、n−プロピル(CH3CH2CH2−)、イソプロピル((CH3)2CH−)、n−ブチル(CH3CH2CH2CH2−)、n−ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘキシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘプチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−オクチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ノニル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−デシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、−C(CH3)2CH2CH2CH(CH3)2、−CH2CH(CH3)2などが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「シクロアルキル」とは、環式構造を有するアルキルをいう。「置換されたシクロアルキル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルキルのHが置換されたシクロアルキルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルキル、C3〜C5シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C9シクロアルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C11シクロアルキル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C4置換されたシクロアルキル、C3〜C5置換されたシクロアルキル、C3〜C6置換されたシクロアルキル、C3〜C7置換されたシクロアルキル、C3〜C8置換されたシクロアルキル、C3〜C9置換されたシクロアルキル、C3〜C10置換されたシクロアルキル、C3〜C11置換されたシクロアルキルまたはC3〜C12置換されたシクロアルキルであり得る。例えば、シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシルなどが例示される。
「アルケニル」とは、エチレン、プロピレンのような、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n−1−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってアルケニルのHが置換されたアルケニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルケニル、C2〜C4アルケニル、C2〜C5アルケニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C7アルケニル、C2〜C8アルケニル、C2〜C9アルケニル、C2〜C10アルケニル、C2〜C11アルケニルまたはC2〜C12アルケニル、C2〜C3置換されたアルケニル、C2〜C4置換されたアルケニル、C2〜C5置換されたアルケニル、C2〜C6置換されたアルケニル、C2〜C7置換されたアルケニル、C2〜C8置換されたアルケニル、C2〜C9置換されたアルケニル、C2〜C10置換されたアルケニル、C2〜C11置換されたアルケニルまたはC2〜C12置換されたアルケニルであり得る。ここで、例えばC2〜C10アルキルとは、炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルケニルを意味し、ビニル(CH2=CH−)、アリル(CH2=CHCH2−)、CH3CH=CH−などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルケニルとは、C2〜C10アルケニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「シクロアルケニル」とは、環式構造を有するアルケニルをいう。「置換されたシクロアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルケニルのHが置換されたシクロアルケニルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルケニル、C3〜C5シクロアルケニル、C3〜C6シクロアルケニル、C3〜C7シクロアルケニル、C3〜C8シクロアルケニル、C3〜C9シクロアルケニル、C3〜C10シクロアルケニル、C3〜C11シクロアルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C3〜C4置換されたシクロアルケニル、C3〜C5置換されたシクロアルケニル、C3〜C6置換されたシクロアルケニル、C3〜C7置換されたシクロアルケニル、C3〜C8置換されたシクロアルケニル、C3〜C9置換されたシクロアルケニル、C3〜C10置換されたシクロアルケニル、C3〜C11置換されたシクロアルケニルまたはC3〜C12置換されたシクロアルケニルであり得る。例えば、好ましいシクロアルケニルとしては、1−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニルなどが例示される。
「アルキニル」とは、アセチレンのような、分子内に三重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n−3−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルキニル」とは、以下に規定する置換基によってアルキニルのHが置換されたアルキニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルキニル、C2〜C4アルキニル、C2〜C5アルキニル、C2〜C6アルキニル、C2〜C7アルキニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C9アルキニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C11アルキニル、C2〜C12アルキニル、C2〜C3置換されたアルキニル、C2〜C4置換されたアルキニル、C2〜C5置換されたアルキニル、C2〜C6置換されたアルキニル、C2〜C7置換されたアルキニル、C2〜C8置換されたアルキニル、C2〜C9置換されたアルキニル、C2〜C10置換されたアルキニル、C2〜C11置換されたアルキニルまたはC2〜C12置換されたアルキニルであり得る。ここで、例えば、C2〜C10アルキニルとは、例えば炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意味し、エチニル(CH≡C−)、1−プロピニル(CH3C≡C−)などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルキニルとは、C2〜C10アルキニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「アルコキシ」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n+1O−で表される(ここで、nは1以上の整数である)。「置換されたアルコキシ」とは、以下に規定する置換基によってアルコキシのHが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、C1〜C2アルコキシ、C1〜C3アルコキシ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C5アルコキシ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C7アルコキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C9アルコキシ、C1〜C10アルコキシ、C1〜C11アルコキシ、C1〜C12アルコキシ、C1〜C2置換されたアルコキシ、C1〜C3置換されたアルコキシ、C1〜C4置換されたアルコキシ、C1〜C5置換されたアルコキシ、C1〜C6置換されたアルコキシ、C1〜C7置換されたアルコキシ、C1〜C8置換されたアルコキシ、C1〜C9置換されたアルコキシ、C1〜C10置換されたアルコキシ、C1〜C11置換されたアルコキシまたはC1〜C12置換されたアルコキシであり得る。ここで、例えば、C1〜C10アルコキシとは、炭素原子を1〜10個含む直鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CH3O−)、エトキシ(C2H5O−)、n−プロポキシ(CH3CH2CH2O−)などが例示される。
「炭素環基」とは、炭素のみを含む環状構造を含む基であって、前記の「シクロアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「置換されたシクロアルケニル」以外の基をいう。炭素環基は芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換された炭素環基」とは、以下に規定する置換基によって炭素環基のHが置換された炭素環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基であり得る。炭素環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基であり得る。炭素環基としては、フェニル基、および以下、
から水素原子が1個欠失したものが例示される。ここで、水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
「ヘテロ環基」とは、炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで,ヘテロ原子は、O、SおよびNからなる群より選択され、同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていても2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換されたヘテロ環基」とは、以下に規定する置換基によってヘテロ環基のHが置換されたヘテロ環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基の1つ以上の炭素原子をヘテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基の炭素原子を1つ以上ヘテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが例示される。好ましいヘテロ環基としては以下、
から水素原子が1個欠失したものが例示される。ここで、水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
本明細書において、炭素環基またはヘテロ環基は、下記に定義されるように1価の置換基で置換され得ることに加えて、2価の置換基で置換され得る。そのような二価の置換は、オキソ置換(=O)またはチオキソ置換(=S)であり得る。
置換されたヘテロ環基は、例えば、
であり得る。
「ハロゲン」とは、周期表17族に属するフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。
「ヒドロキシ」とは、−OHで表される基をいう。「置換されたヒドロキシ」とは、ヒドロキシのHが下記で定義される置換基で置換されているものをいう。
「チオール」とは、ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基(メルカプト基)であり、−SHで表される。「置換されたチオール」とは、メルカプトのHが下記で定義される置換基で置換されている基をいう。
「シアノ」とは、−CNで表される基をいう。「ニトロ」とは、−NO2で表される基をいう。「アミノ」とは、−NH2で表される基をいう。「置換されたアミノ」とは、アミノのHが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
「カルボキシ」とは、−COOHで表される基をいう。「置換されたカルボキシ」とは、カルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
「チオカルボキシ」とは、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基をいい、−C(=S)OH、−C(=O)SHまたは−CSSHで表され得る。「置換されたチオカルボキシ」とは、チオカルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
「アシル」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アシル基の代表例としては、アセチル(CH3CO−)、ベンゾイル(C6H5CO−)などが挙げられる。「置換されたアシル」とは、アシルの水素を以下に定義される置換基で置換したものをいう。
「アミド」とは、アンモニアの水素を酸基(アシル基)で置換した基であり、好ましくは、−CONH2で表される。「置換されたアミド」とは、アミドが置換されたものをいう。
「カルボニル」とは、アルデヒドおよびケトンの特性基である−(C=O)−を含むものを総称したものをいう。「置換されたカルボニル」は、下記において選択される置換基で置換されているカルボニル基を意味する。
「チオカルボニル」とは、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原子に置換した基であり、特性基−(C=S)−を含む。チオカルボニルには、チオケトンおよびチオアルデヒドが含まれる。「置換されたチオカルボニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたチオカルボニルを意味する。
「スルホニル」とは、特性基である−SO2−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルホニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたスルホニルを意味する。
「スルフィニル」とは、特性基である−SO−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルフィニル」とは、下記において選択される置換基で置換されているスルフィニルを意味する。
「アルキルチオ」とは、アルキル基に硫黄原子が結合した基をいい、一般に−S−Rで表される(ここで、Rはアルキルから水素が1個欠失した基である)。
「アリールチオ」とは、アリール基に硫黄原子が結合した基をいい、一般に−S−Rで表される(ここで、Rはアリールから水素が1個欠失した基である)。
「アリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいい、本明細書において、炭素環基に包含される。
本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子を2つ除去して2価の置換基に置換することも可能である。本明細書における置換基は、好ましくは、以下のように定義される。
R1またはR2が置換されている場合、
R1は、R1A−(R1B)nで表され、そしてR2は、R2A−(R2B)nで表され、ここで、R1AおよびR2Aは、独立して、それぞれ、R1およびR2からn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1BまたはR2Bは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
R1BまたはR2Bが置換されている場合、
R1Bは、R1C−(R1D)nで表され、そしてR2Bは、R2C−(R2D)nで表され、ここで、R1CおよびR2Cは、独立して、それぞれ、R1BおよびR2Bからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1DまたはR2Dは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
R1DまたはR2Dが置換されている場合、
R1Dは、R1E−(R1F)nで表され、そしてR2Dは、R2E−(R2 F)nで表され、ここで、R1EおよびR2Eは、独立して、それぞれ、R1DおよびR2Dからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1FまたはR2Fは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
ここで、R1FまたはR2Fが置換されている場合は、
R1Fは、R1G−(R1H)nで表され、そしてR2Fは、R2G−(R2H)nで表され、ここで、R1GおよびR2Gは、独立して、それぞれ、R1FおよびR2Fからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1HまたはR2Hは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
ここで、R1HまたはR2Hが置換されている場合は、R1FまたはR2Fについての置換と同様に置換され得、その後の置換基についても同様に置換され得る。
なお、いうまでもなく、上述した置換基の数nは、すべて同一ではなく、それぞれ独立して選択され得る。nが2以上の場合、()nで示される各置換基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
1つの実施形態において、R1およびR2の好ましい置換基としては、メチル、エチル、n−ブチル、ベンジル、−OCOCH3、または以下の基が挙げられる。
X1、X2、Y1およびY2は、それぞれ独立して、上記の任意の置換基であり得る。好ましくは、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択され得る。X1、X2、Y1またはY2が置換されている場合、置換基としては上記R1BまたはR2Bなどが例示される。より好ましくは、X1、X2、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素、−Cl、−Br、−OCH3、−OCF3、−N(CH3)2、−NH2、−SC2H5、−S(n−プロピル)、−NO2、−CO2H、−SCH2CH2OH、−SPh、SO2N(CH2CH2OH)2、COCH3、COPh(ここで、Phはフェニル基である)、
からなる群より選択される基を有する。X1およびX2、またはY1およびY2はまた、一緒になって環を形成して、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基を形成し得る。
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。好ましくは、R1およびR2は同時に以下の置換基であり得る。
上記において、Z1は水素、アルキル、置換されたアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アシル、置換されたアシル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アミド、置換されたアミドからなる群から選択される。
Z2は水素、アルキル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基からなる群から選択される。
nは1〜4の整数である。
W1、W2およびW3は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アシル、置換されたアシル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アミド、置換されたアミドからなる群から選択される。また、2つの置換基が一緒になってイミノ、置換されたイミノ、ヒドロキシイミノ、アルキルイミノを形成していてもよい。
mは1以上の整数である。
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物の別の好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物のさらにより好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法を組合せを用いて合成され得る。そのような方法としては、以下に示すような反応ルートが挙げられるがそれらに限定されない。
なお、X1、X2、Y1およびY2は、上記反応に準じて、化合物(I)の基本骨格を構築した後に、適宜当業者に周知な反応を利用して導入し得る。ここで、R1−NH2および/またはR2−NH2はAcOH中の存在下または非存在下、ジメチルスルホキシド(DMSO),N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)中で反応させることができる。また、R1−NH2および/またはR3−NH2の塩を原料として用いる場合には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの塩基を混在させて反応を行い得る。
本明細書において、「除菌」とは、一般に、ある組織もしくは器官、またはその一部領域からある細菌を減少させるか、または実質的に消失もしくは完全に消失させることをいう。「除菌活性」とは、その活性をいう。本明細書の1つの実施形態において、除菌または除菌活性は、Helicobacter属の細菌を除去することである。好ましくは、除菌または除菌活性は、H.pyloriを除菌することである。除菌活性は、インビトロまたはインビボでのアッセイにより測定され得る。1つの実施形態において、除菌活性は、H.pylori感染マウスモデルを用いて、調査対象となる薬剤または候補化合物のようなサンプルを投与し、投与後に胃または十二指腸のような消化器における菌数を計数する方法を用いて評価し得る。除菌活性のアッセイの例示としては、本明細書において後述する実施例に記載される方法が挙げられる。
本発明の化合物は、単独で使用され得る。本発明の化合物はまた、他の医薬もしくは賦形剤とともに使用され得る。本発明の化合物と共に用いられ得る医薬としては、例えば、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の医薬が使用可能である。具体的には、抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬が挙げられるがそれらに限定されない。本発明の化合物と併用される抗菌剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗菌剤が使用可能である。具体的には、従来の天然もしくは合成の抗生物質(例えば、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、クロラムフェニコール、ポリペプチド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、ポリエン系抗生物質など)、抗真菌剤、抗ウイルス剤、サルファ剤またはキノロン系抗菌剤などが挙げられるがそれらに限定されない。粘膜防御因子増強剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤とともに用いられる任意の粘膜防御因子増強剤が使用可能である。具体的には、塩酸ベネキサート、プラウノトール、ソファルコンなどが挙げられるがそれらに限定されない。抗ガストリン剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗ガストリン剤が使用可能である。具体的には、プログルミド、オキセサゼインなどが挙げられるがそれらに限定されない。抗H2レセプターアンタゴニストとしては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗H2レセプターアンタゴニストが使用可能である。具体的には、シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなどが挙げられるがそれらに限定されない。プロトンポンプインヒビターとしては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意のプロトンポンプインヒビターが使用可能である。具体的には、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントブラソール、パリプラゾール、レノミプラゾールが挙げられるがそれらに限定されない。ビスマス製剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意のビスマス製剤が使用可能である。具体的には、コロイダルビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスなどが挙げられるがそれらに限定されない。胃腸薬としては、、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の胃腸薬が使用可能である。具体的には、制酸、鎮痛、健胃などの効果を示す種々の薬剤が挙げられるがそれらに限定されない。
本発明の化合物は、ヘリコバクター属の細菌に特異的に作用することから、従来の抗生物質の投与の際に問題であった消化管内の良性細菌を殺傷することを低減または回避し得、その結果、良性細菌を殺傷することによる副作用を低減または回避し得る。
本発明の化合物または組成物は,ヘリコバクター属の細菌に特異的に作用することから、その成分単独でも抗ヘリコバクター剤として充分有効であり得る。単独で用いれば、従来の抗ヘリコバクター剤において併用されていた他の医薬品による副作用の心配がない。具体的には、用いられる抗菌剤として、ペニシリン系抗生物質,マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ニトロイミダゾール系およびキノロン系抗菌剤などを併用する際には、消化器内の良性細菌を殺傷することによる下痢などの副作用が報告されていたが、そのような副作用の心配がなくなる。これは、従来の抗生物質では達成されていない効果であり、本発明の格別の効果の1つである。
本発明の組成物は、ヘリコバクター属の細菌に関連する種々の疾患を処置し得る。本明細書において、「ヘリコバクターに起因する疾患」とは、ヘリコバクター属の細菌が直接または間接的に関与して引き起こす疾患または障害、あるいは医学的状態をいう。ヘリコバクターに起因する疾患の例としては、消化器疾患が挙げられる。好ましくは、本発明の組成物は、ヘリコバクターに起因する疾患の例として胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎を処置するに有用であるが、ヘリコバクターに起因する疾患である他の疾患(例えば、胃ガン、消化不良などの他の消化器疾患)を処置することにおいても有用であり得る。
本発明の組成物が対象とする病原体としては、ヘリコバクター属の細菌が挙げられる。本発明の組成物が特に対象とするヘリコバクターは、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
本明細書において用いられる「処方物」とは、薬物を用いて治療するために本発明の化合物を含有させることによって調製された物をいう。処方物は、治療、予防または再発防止の種々の状況において、医師などの医療従事者または製薬従事者が分量、形態などを変えて生産することができる。
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、あるいはそれらを含む医薬組成物を、被験体に投与することによって、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、治療、予防および/または再発を防止するための方法を提供する。ここで、その被験体は、ヘリコバクターに起因する疾患に罹患した患者または、その疾患に罹患すると疑われるかもしくはその疾患に罹患もしくは将来再発する可能性を有する被験体であり得る。
投与方法は、一般に、最新の日本薬局方、米国薬局方、または他の国における等価物を参酌して決定することができる。そのような投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口経路以下が挙げられるがそれらに限定されない。本発明の化合物、組成物または処方物は、任意の簡便な経路によって投与され得(例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚(例えば、経口粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)内膜を介した吸収、そして他の生物学的に活性な薬剤とともに投与され得る。
経口投与製剤としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤等の液体製剤等、種々の剤形が挙げられる。非経口投与製剤の場合は、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射などの注射用溶液または懸濁液として用いることが出来る。また、軟膏などの経皮投与用製剤、坐剤等の非経口製剤として用いることもできる。
本発明の化合物の投与量は、被験体の年齢、体重、症状または投与方法などにより異なり、特に限定されないが、通常成人1日あたり、経口投与の場合、0.01mg〜10gであり、好ましくは、0.1mg〜1g、1mg〜100mg、0.1mg〜10mgなどであり得る。非経口投与の場合、0.01mg〜1gであり、好ましくは、0.01mg〜100mg、0.1mg〜100mg、1mg〜100mg、0.1mg〜10mgなどであり得る。
以上のように、本発明について、その詳細を種々の形態で記載したが、本明細書における具体的な実施形態および実施例は、単なる例示であって、本発明の範囲は、例示される特定の実施形態または実施例には決して限定されないことが理解される。
実 施 例
(実施例1:化合物2の製造)
(N,N’−ビス−(2−ピリジル)ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド(2)の合成)
ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(1)10.73g(40.0mmol)のDMF溶液40mlに、2−アミノピリジン11.29g(120.0mmol)と、クロロトリメチルシラン25.4ml(200.0mmol)を加え、160℃で6時間加熱した。室温まで放冷後、固体を濾取し、酢酸エチルで洗浄した。乾燥後、得られた固体(6.36g)に1N水酸化ナトリウム水溶液20mlを加えて洗浄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、DMSO:水にて再結晶し化合物2(0.78g)を得た。
物理的データは以下のとおりである。
融点(mp)>300℃ 注記:2000−5041−024−01。1H−NMR(DMSO−d6)δppm:7.60(ddd,J=7.8,4.9,1.0,2H)、7.67(dd,J=7.8,1.0,2H),8.10(ddd,J=7.8,7.8,2.0,2H),8.68−8.70(m,2H),8.76(s,4H)。
(実施例2:インビトロ試験)
まず、上記で合成した本発明の化合物(2)の活性をインビトロにおいて調べた。抗菌活性については、寒天平板希釈法を用いた。寒天平板希釈法は当該分野において周知の方法である。
具体的には、本発明の化合物を含む試験化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、滅菌蒸留水で2倍段階希釈により本発明の化合物を含む試験化合物の抗菌活性サンプルを調製した。培地には、H.pyloriおよびH.felisに対する抗菌活性調査用には、7%ウマ血液を添加したBHI(Brain Heart infusion)寒天を用い、調製しておいた本発明の化合物を含む試験化合物の抗菌活性サンプル1ミリリットルの培地を9ミリリットルを加え、混和することにより抗菌活性測定用寒天平板を作製した。また、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniaeおよびStaphylococcus aureusに対する抗菌活性調査用にはMH(Mueller Hinton)寒天培地を、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisに対する抗菌活性調査用には、10%ウマ血清を添加したMH寒天培地を用い、H.pylori、H.felisのときと同様の方法で抗菌活性測定用寒天平板を作製した。供試した被験菌の内、H.pylori、H.felisについては7%牛胎児血清添加BHI液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。各々の培養菌液は同培地で106CFU/ml(コロニー形成単位/ミリリットル)に調製し、調製した菌液5μlを抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃,10%炭酸ガス培養器中で4日間培養した。Pseudomonas aeruginosa,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniaeとStaphylococcus aureusについてはMH液体培地、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisについては10%ウマ血清添加MH液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃で一夜培養した。各々の培養菌液は培養に用いたのと同じ培地で106CFU/mlに調製し、調製した菌液5マイクロリットルを各々の抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃で一夜培養した。
被験菌に対する抗菌活性(MIC;Minimum Inhibitory Concentration,最小発育阻止濃度)は、接種した菌の発育が肉眼的に観察されなかった化合物の最高希釈濃度とした。
結果をMIC(最小阻止濃度)により示す。
本実施例の結果、本発明の1つの化合物の抗菌スペクトルは、Helicobacter属菌に選択的であり、H.pyloriに対するMICは、0.1μg/ml〜0.39μg/mlであった。また、アモキシシリン、クラリスロマイシン、メトロニダゾールなどの薬剤とは交叉性を示さない特徴を有していた。
次に、本発明の他の化合物についても、同様にMICを調べた。結果を次の表2にまとめる。なお、ここで使用した化合物の構造は以下のとおりである。
上記の表2のように、本発明の化合物は、いずれも、H.pyloriに対して有効であり、その他の細菌に対しては調べた濃度において効果を有しないことが明らかになった。従って、本発明の化合物は、一般に、H.pylori選択的な抗菌剤であると考えられる。
(実施例3:本発明の化合物のインビボ試験)
次に、本発明に化合物がインビボにおいて除菌活性を有するか調べた。マウスに日本クレア(株)由来のICR系5週齢を用いた。このマウスにH.pylori ATCC43504株を感染させた(0日目とする)。マウスがH.pyloriに感染したことを確認した後、20日目〜22日目にかけて1日2回(午前9時および午後5時)、以下の表3に示す投与量を各マウスに投与した。投与最終日の翌日の23日目に、マウスを解剖して、胃内の菌数を測定した。菌数測定は、採取した胃にリン酸緩衝液を加え乳剤とし、この乳剤をHelicobacter属以外の菌の増殖を抑制する目的で各種薬剤を添加した7%ウマ血液添加寒天培地に接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器で7日間培養し、菌の発育の有無で除菌活性を判定した。表3に試験条件およびその結果を示す。
このインビボ実験の結果、本発明の化合物(化合物2)は、20mg/kg投与において試験した全例(3/3)で除菌効果が認められた。他方、対象薬剤として用いたアモキシシリンおよびクラリスロマイシンは、40mg/kg投与においても除菌効果は観察されなかった。
(実施例4:種々の合成実施例)
実施例1に記載の手法に従って、本発明の化合物をさらに合成した。合成した化合物のうちいくつかについて、融点および1H−NMRを測定した。NMRは、以下の条件を用いて行った:
1H−NMR値は、重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、重クロロホルムCDCl3)、重ピリジン(pyridin−d5)、重トリフルオロ酢酸(CF3COOD)溶媒中テトラメチルシランを内部標準として測定した。δ値は、ppmで、結合定数(J)はHzで表記した。データ中、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、quintは五重線、sextは六重線、mは多重線、brは、幅広線を意味する。
ここで合成した化合物は、以下の一般式を有し、
R1およびR2は、以下の表4に示されるとおりである。各化合物について、測定されたものについて、融点およびNMRの結果を示す。
(実施例5:さらなる化合物のインビトロ試験)
実施例4において製造した化合物のうちR1およびR2が同時に以下の置換基のものについてインビトロ試験を行った。
(ここで、R1およびR2は、同時に
のいずれかであるか、または
のいずれかである。)
試験化合物の抗菌活性は、96穴マイクロプレートを用いた微量液体希釈法によって調べた。簡潔に説明すると、ジメチルスルホキシドに溶解した本発明の化合物の1mg/mlを調製する。この試験化合物の1mg/ml溶液100μlを,前もってマイクロプレートに分注しておいた増殖用培地(β−シクロデキストリン;0.1%と牛胎児血清;5%を含むコロンビア液体培地)の1穴目の100μlに加え混和後,2穴目以降適時2倍段階希釈法により試験化合物の希釈混和液を調製する。この希釈混和液に106CFU/mlに調製したH.pylori(ATCC43629株)菌液100ulを加え混和後,37℃,10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。
被検菌に対する抗菌活性(MIC)は波長660nmでの吸光度で判定した。つまり,抗菌活性試験用培地の吸光度を基準に,抗菌活性試験用培地の吸光度を超えなかった試験化合物の最高希釈濃度とした。
インビトロで活性を測定した結果を、以下の表にMIC(μg/ml)で表す。
表から明らかなように、R1およびR2がヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり、特に、R1およびR2が独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルであるときに、または独立して置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであるときに、好ましいヘリコバクター殺菌活性を有することが実証された。この化合物は、毒性もなく、安全な医薬品として使用することができる。
産業上の利用可能性
本発明によって、新規な構造の抗ヘリコバクター性の化合物が提供される。本発明は、単独の成分として本発明の化合物を含む抗ヘリコバクター剤を提供する。単独成分として使用し得ることにより、合剤での消化性潰瘍などの疾患処置における副作用を著しく減少させることができる。本発明の化合物または組成物は、ヘリコバクターを特異的に殺傷し、除菌し得、効果的に消化性疾患(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎を含む)を処置し得る。
本発明は、抗ヘリコバクター活性を有する化合物およびそれを含有する抗ヘリコバクター医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、例えば、抗潰瘍剤、抗消化器炎症剤として有用である。
背 景 技 術
胃潰瘍および十二指腸潰瘍などに対する潰瘍治療剤としては、抗ガストリン剤、ヒスタミンH2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビターなど種々の型の薬剤が開発されている。しかし、このような薬剤はいずれも、投薬を中止した後の潰瘍の再発率の高さが問題視されている。
一方で、Helicobacter pyloriは、ヘリコバクター属に属する細菌で、強酸性の胃内においても生息し得る菌として同定された。この菌は、ヘリコバクター属に属するグラム陰性らせん菌であり、ヒトの胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の原因の一つであることが確認されている(Campylobacter pylori and peptic ulcer disease.Gastroenterology 96:615−625(1989))。Helicobacter pyloriはまた、1994年には、世界保健機構(WHO)から胃ガンの危険因子としても承認されている。
そして臨床試験において、このヘリコバクター属に属するグラム陰性らせん菌を上部消化器組織より根絶すると潰瘍が治り、さらに潰瘍の再発率が低くなるものと示唆されている(Graham DYら、Ann.Intern.Med.116:705−708(1992);Marshall BJら、Lancet 2:1437−1442(1988);木平(Kihira,K.)ら、臨床と微生物、Vol.24、No.3、335−339(1997);佐藤(Satoh,K.)ら、Helicobacter pyloriの最新知見(日本消化器病学会編、中山書店)、265−273;瀧本(Takimoto,T)ら、Helicobacter pyloriの最新知見(日本消化器病学会編、中山書店)、287−293)。そういった中、消化性潰瘍治療において、抗菌剤を使用をすることが開始され、現在では、その適応範囲は、消化性潰瘍のみならず、慢性胃炎、早期の胃ガン(例えば、胃ガンの処置において切除後に使用される)、消化不良を含む消化器の疾患または障害に拡大されている(木平(Kihira,K.)ら、臨床と微生物、Vol.24、No.3、335−339(1997))。
しかし、既存の抗菌剤を含むこれまでに使用される化合物は、単独では、効果が十分でないか、または全くなく、充分な除菌効果は得られない。実際、H.pyloriは、インビトロ試験で、ペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、ニトロイミダゾールなどの抗生物質に感受性があるが、インビボでの実験では,これらの抗生物質は、単独では除菌効果が得られない。Chibaらの除菌についての合剤効果の報告によると、単剤での平均除去率は18.6%、2剤で48.5%、および3剤では82%となっている(Chiba Nら、Am J Gastoenterol 87:1716−1727(1992))。単剤で充分な除菌効果が得られないことの原因としては、経口投与された抗生物質の抗菌活性が胃酸により減弱され、消失すること、粘液層内に存在する菌体に対して有効な濃度の抗生物質が到達しないこと、H.pyloriが薬剤耐性を獲得することなどが考えられている(Axon,AT、Scand J Gastroenterl 29:16−23(1994))。
こういった理由から、消化性潰瘍治療では、現時点では単剤の抗生物質による除菌治療は行われていない。例えばビスマス製剤と2種の抗生物質(例:メトロニダゾール(metronidazole)/アモキシリン(amoxicillin)およびメトロニダゾール/テトラサイクリン(tetracycline))による三剤併用療法が行われている(Am. J. Gastroenterol.(1992))。またヘリコバクターピロリ除菌のガイドラインでは、プロトンポンプインヒビター(オメプラゾール(omeprazole)等)と抗生物質(例えば、アモキシリン等)の併用が第一選択であると提唱されている(NIH consensus development conference. 1994. Helicobacter pylori in peptic ulcer diseases. JAMA 272:65−69)。
(発明が解決しようとする課題)
上記のような併用療法では、悪心、下痢等の副作用の問題があり、またコンプライアンスの著しい低下を招く恐れもある。よって、単独でも十分に有効な新規抗ヘリコバクター剤の開発が求められている。また、従来の抗生物質を改良する方法で得られた新規の抗生物質は、耐性克服の面で問題が多い。このため、全く新しい系の抗菌剤の開発を行う必要が存在する。
発 明 の 要 旨
上記目的を達成するために、本発明は以下を提供する。
本発明は、以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物を提供することにより上記課題を解決した。
ここで、上記式中、
R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択される。
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される。
好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して置換されたアルキルであり得、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択され得る。
さらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得る。
1つの実施形態において、本発明はまた、上記化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、上記化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、抗ヘリコバクター医薬組成物を提供する。
本発明の組成物はまた、他の抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含み得る。本発明の化合物または組成物はまた、これらの薬剤の薬効を増強させる目的でも使用される。
本発明の組成物を用いて、種々の疾患を処置し得る。本発明の組成物は、好ましくは胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎を処置するのに有用であるが、他の疾患(例えば、胃ガン、消化不良などの他の消化器疾患)を処置することにおいても有用であり得る。
本発明の組成物が対象とする病原体としては、ヘリコバクターが挙げられる。ヘリコバクターの具体例は、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
別の局面において、本発明は、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を予防するための方法を提供する。該方法は、
a) 以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であって、ここで、R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され、そして
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物を含む処方物を、該疾患に罹患する被験体に投与する工程、
を包含する。
好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して置換されたアルキルであり得、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択され得る。
さらに好ましい実施形態において、上記方法では、R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであり得る。
別の実施形態において、前記処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含有し得る。
他の実施形態において、前記処方物は、抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含み得る。より好ましくは、このさらなる薬剤は、少なくとも2種含まれ得る。
別の実施形態において、上記疾患は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎または胃癌であり得る。
別の実施形態において、前記ヘリコバクターは、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
他の局面において、本発明は、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を防止するための、本発明の化合物の使用を提供する。
発 明 の 詳 細 な 説 明
本明細書の全体にわたり、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、[an」、「the」など、独語の場合の「ein」、「der」、「das」、「die」などおよびその変化形、仏語の場合の「un」、「une」、「des」、「le」、他の言語における対応する冠詞、形容詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる定義で用いられることが理解されるべきである。
「アルキル」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n+1−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によってアルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11アルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換されたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換されたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアルキル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH3−)、エチル(C2H5−)、n−プロピル(CH3CH2CH2−)、イソプロピル((CH3)2CH−)、n−ブチル(CH3CH2CH2CH2−)、n−ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘキシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘプチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−オクチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ノニル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−デシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、−C(CH3)2CH2CH2CH(CH3)2、−CH2CH(CH3)2などが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「シクロアルキル」とは、環式構造を有するアルキルをいう。「置換されたシクロアルキル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルキルのHが置換されたシクロアルキルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルキル、C3〜C5シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C9シクロアルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C11シクロアルキル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C4置換されたシクロアルキル、C3〜C5置換されたシクロアルキル、C3〜C6置換されたシクロアルキル、C3〜C7置換されたシクロアルキル、C3〜C8置換されたシクロアルキル、C3〜C9置換されたシクロアルキル、C3〜C10置換されたシクロアルキル、C3〜C11置換されたシクロアルキルまたはC3〜C12置換されたシクロアルキルであり得る。例えば、シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシルなどが例示される。
「アルケニル」とは、エチレン、プロピレンのような、分子内に二重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n−1−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってアルケニルのHが置換されたアルケニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルケニル、C2〜C4アルケニル、C2〜C5アルケニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C7アルケニル、C2〜C8アルケニル、C2〜C9アルケニル、C2〜C10アルケニル、C2〜C11アルケニルまたはC2〜C12アルケニル、C2〜C3置換されたアルケニル、C2〜C4置換されたアルケニル、C2〜C5置換されたアルケニル、C2〜C6置換されたアルケニル、C2〜C7置換されたアルケニル、C2〜C8置換されたアルケニル、C2〜C9置換されたアルケニル、C2〜C10置換されたアルケニル、C2〜C11置換されたアルケニルまたはC2〜C12置換されたアルケニルであり得る。ここで、例えばC2〜C10アルキルとは、炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルケニルを意味し、ビニル(CH2=CH−)、アリル(CH2=CHCH2−)、CH3CH=CH−などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルケニルとは、C2〜C10アルケニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「シクロアルケニル」とは、環式構造を有するアルケニルをいう。「置換されたシクロアルケニル」とは、以下に規定する置換基によってシクロアルケニルのHが置換されたシクロアルケニルをいう。具体例としては、C3〜C4シクロアルケニル、C3〜C5シクロアルケニル、C3〜C6シクロアルケニル、C3〜C7シクロアルケニル、C3〜C8シクロアルケニル、C3〜C9シクロアルケニル、C3〜C10シクロアルケニル、C3〜C11シクロアルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C3〜C4置換されたシクロアルケニル、C3〜C5置換されたシクロアルケニル、C3〜C6置換されたシクロアルケニル、C3〜C7置換されたシクロアルケニル、C3〜C8置換されたシクロアルケニル、C3〜C9置換されたシクロアルケニル、C3〜C10置換されたシクロアルケニル、C3〜C11置換されたシクロアルケニルまたはC3〜C12置換されたシクロアルケニルであり得る。例えば、好ましいシクロアルケニルとしては、1−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニルなどが例示される。
「アルキニル」とは、アセチレンのような、分子内に三重結合を一つ有する脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n−3−で表される(ここで、nは2以上の正の整数である)。「置換されたアルキニル」とは、以下に規定する置換基によってアルキニルのHが置換されたアルキニルをいう。具体例としては、C2〜C3アルキニル、C2〜C4アルキニル、C2〜C5アルキニル、C2〜C6アルキニル、C2〜C7アルキニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C9アルキニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C11アルキニル、C2〜C12アルキニル、C2〜C3置換されたアルキニル、C2〜C4置換されたアルキニル、C2〜C5置換されたアルキニル、C2〜C6置換されたアルキニル、C2〜C7置換されたアルキニル、C2〜C8置換されたアルキニル、C2〜C9置換されたアルキニル、C2〜C10置換されたアルキニル、C2〜C11置換されたアルキニルまたはC2〜C12置換されたアルキニルであり得る。ここで、例えば、C2〜C10アルキニルとは、例えば炭素原子を2〜10個含む直鎖または分枝状のアルキニルを意味し、エチニル(CH≡C−)、1−プロピニル(CH3C≡C−)などが例示される。また、例えば、C2〜C10置換されたアルキニルとは、C2〜C10アルキニルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
「アルコキシ」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にCnH2n+1O−で表される(ここで、nは1以上の整数である)。「置換されたアルコキシ」とは、以下に規定する置換基によってアルコキシのHが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、C1〜C2アルコキシ、C1〜C3アルコキシ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C5アルコキシ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C7アルコキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C9アルコキシ、C1〜C10アルコキシ、C1〜C11アルコキシ、C1〜C12アルコキシ、C1〜C2置換されたアルコキシ、C1〜C3置換されたアルコキシ、C1〜C4置換されたアルコキシ、C1〜C5置換されたアルコキシ、C1〜C6置換されたアルコキシ、C1〜C7置換されたアルコキシ、C1〜C8置換されたアルコキシ、C1〜C9置換されたアルコキシ、C1〜C10置換されたアルコキシ、C1〜C11置換されたアルコキシまたはC1〜C12置換されたアルコキシであり得る。ここで、例えば、C1〜C10アルコキシとは、炭素原子を1〜10個含む直鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CH3O−)、エトキシ(C2H5O−)、n−プロポキシ(CH3CH2CH2O−)などが例示される。
「炭素環基」とは、炭素のみを含む環状構造を含む基であって、前記の「シクロアルキル」、「置換されたシクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「置換されたシクロアルケニル」以外の基をいう。炭素環基は芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換された炭素環基」とは、以下に規定する置換基によって炭素環基のHが置換された炭素環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基であり得る。炭素環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基であり得る。炭素環基としては、フェニル基、および以下、
から水素原子が1個欠失したものが例示される。ここで、水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
「ヘテロ環基」とは、炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで,ヘテロ原子は、O、SおよびNからなる群より選択され、同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていても2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。「置換されたヘテロ環基」とは、以下に規定する置換基によってヘテロ環基のHが置換されたヘテロ環基をいう。具体例としては、C3〜C4炭素環基、C3〜C5炭素環基、C3〜C6炭素環基、C3〜C7炭素環基、C3〜C8炭素環基、C3〜C9炭素環基、C3〜C10炭素環基、C3〜C11炭素環基、C3〜C12炭素環基、C3〜C4置換された炭素環基、C3〜C5置換された炭素環基、C3〜C6置換された炭素環基、C3〜C7置換された炭素環基、C3〜C8置換された炭素環基、C3〜C9置換された炭素環基、C3〜C10置換された炭素環基、C3〜C11置換された炭素環基またはC3〜C12置換された炭素環基の1つ以上の炭素原子をヘテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基はまた、C4〜C7炭素環基またはC4〜C7置換された炭素環基の炭素原子を1つ以上ヘテロ原子で置換したものであり得る。ヘテロ環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが例示される。好ましいヘテロ環基としては以下、
から水素原子が1個欠失したものが例示される。ここで、水素の欠失位置は、化学的に可能な任意の位置であり得、芳香環上であってもよく、非芳香環上であってもよい。
本明細書において、炭素環基またはヘテロ環基は、下記に定義されるように1価の置換基で置換され得ることに加えて、2価の置換基で置換され得る。そのような二価の置換は、オキソ置換(=O)またはチオキソ置換(=S)であり得る。
置換されたヘテロ環基は、例えば、
であり得る。
「ハロゲン」とは、周期表17族に属するフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。
「ヒドロキシ」とは、−OHで表される基をいう。「置換されたヒドロキシ」とは、ヒドロキシのHが下記で定義される置換基で置換されているものをいう。
「チオール」とは、ヒドロキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基(メルカプト基)であり、−SHで表される。「置換されたチオール」とは、メルカプトのHが下記で定義される置換基で置換されている基をいう。
「シアノ」とは、−CNで表される基をいう。「ニトロ」とは、−NO2で表される基をいう。「アミノ」とは、−NH2で表される基をいう。「置換されたアミノ」とは、アミノのHが以下で定義される置換基で置換されたものをいう。
「カルボキシ」とは、−COOHで表される基をいう。「置換されたカルボキシ」とは、カルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
「チオカルボキシ」とは、カルボキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基をいい、−C(=S)OH、−C(=O)SHまたは−CSSHで表され得る。「置換されたチオカルボキシ」とは、チオカルボキシのHが以下に定義される置換基で置換されたものをいう。
「アシル」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アシル基の代表例としては、アセチル(CH3CO−)、ベンゾイル(C6H5CO−)などが挙げられる。「置換されたアシル」とは、アシルの水素を以下に定義される置換基で置換したものをいう。
「アミド」とは、アンモニアの水素を酸基(アシル基)で置換した基であり、好ましくは、−CONH2で表される。「置換されたアミド」とは、アミドが置換されたものをいう。
「カルボニル」とは、アルデヒドおよびケトンの特性基である−(C=O)−を含むものを総称したものをいう。「置換されたカルボニル」は、下記において選択される置換基で置換されているカルボニル基を意味する。
「チオカルボニル」とは、カルボニルにおける酸素原子を硫黄原子に置換した基であり、特性基−(C=S)−を含む。チオカルボニルには、チオケトンおよびチオアルデヒドが含まれる。「置換されたチオカルボニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたチオカルボニルを意味する。
「スルホニル」とは、特性基である−SO2−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルホニル」とは、下記において選択される置換基で置換されたスルホニルを意味する。
「スルフィニル」とは、特性基である−SO−を含むものを総称したものをいう。「置換されたスルフィニル」とは、下記において選択される置換基で置換されているスルフィニルを意味する。
「アルキルチオ」とは、アルキル基に硫黄原子が結合した基をいい、一般に−S−Rで表される(ここで、Rはアルキルから水素が1個欠失した基である)。
「アリールチオ」とは、アリール基に硫黄原子が結合した基をいい、一般に−S−Rで表される(ここで、Rはアリールから水素が1個欠失した基である)。
「アリール」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいい、本明細書において、炭素環基に包含される。
本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えることをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置換することも可能であり、そして水素原子を2つ除去して2価の置換基に置換することも可能である。本明細書における置換基は、好ましくは、以下のように定義される。
R1またはR2が置換されている場合、
R1は、R1A−(R1B)nで表され、そしてR2は、R2A−(R2B)nで表され、ここで、R1AおよびR2Aは、独立して、それぞれ、R1およびR2からn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1BまたはR2Bは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
R1BまたはR2Bが置換されている場合、
R1Bは、R1C−(R1D)nで表され、そしてR2Bは、R2C−(R2D)nで表され、ここで、R1CおよびR2Cは、独立して、それぞれ、R1BおよびR2Bからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1DまたはR2Dは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
R1DまたはR2Dが置換されている場合、
R1Dは、R1E−(R1F)nで表され、そしてR2Dは、R2E−(R2 F)nで表され、ここで、R1EおよびR2Eは、独立して、それぞれ、R1DおよびR2Dからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1FまたはR2Fは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
ここで、R1FまたはR2Fが置換されている場合は、
R1Fは、R1G−(R1H)nで表され、そしてR2Fは、R2G−(R2H)nで表され、ここで、R1GおよびR2Gは、独立して、それぞれ、R1FおよびR2Fからn個の水素が脱離した(n+1)価の基であり;
R1HまたはR2Hは、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され得る。
ここで、R1HまたはR2Hが置換されている場合は、R1FまたはR2Fについての置換と同様に置換され得、その後の置換基についても同様に置換され得る。
なお、いうまでもなく、上述した置換基の数nは、すべて同一ではなく、それぞれ独立して選択され得る。nが2以上の場合、()nで示される各置換基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
1つの実施形態において、R1およびR2の好ましい置換基としては、メチル、エチル、n−ブチル、ベンジル、−OCOCH3、または以下の基が挙げられる。
X1、X2、Y1およびY2は、それぞれ独立して、上記の任意の置換基であり得る。好ましくは、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択され得る。X1、X2、Y1またはY2が置換されている場合、置換基としては上記R1BまたはR2Bなどが例示される。より好ましくは、X1、X2、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素、−Cl、−Br、−OCH3、−OCF3、−N(CH3)2、−NH2、−SC2H5、−S(n−プロピル)、−NO2、−CO2H、−SCH2CH2OH、−SPh、SO2N(CH2CH2OH)2、COCH3、COPh(ここで、Phはフェニル基である)、
からなる群より選択される基を有する。X1およびX2、またはY1およびY2はまた、一緒になって環を形成して、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基を形成し得る。
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。好ましくは、R1およびR2は同時に以下の置換基であり得る。
上記において、Z1は水素、アルキル、置換されたアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アシル、置換されたアシル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アミド、置換されたアミドからなる群から選択される。
Z2は水素、アルキル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基からなる群から選択される。
nは1〜4の整数である。
W1、W2およびW3は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アシル、置換されたアシル、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アミド、置換されたアミドからなる群から選択される。また、2つの置換基が一緒になってイミノ、置換されたイミノ、ヒドロキシイミノ、アルキルイミノを形成していてもよい。
mは1以上の整数である。
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物の別の好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物のさらにより好ましい実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
別の実施形態において、R1およびR2は、独立して、以下の置換基であり得る。
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法を組合せを用いて合成され得る。そのような方法としては、以下に示すような反応ルートが挙げられるがそれらに限定されない。
なお、X1、X2、Y1およびY2は、上記反応に準じて、化合物(I)の基本骨格を構築した後に、適宜当業者に周知な反応を利用して導入し得る。ここで、R1−NH2および/またはR2−NH2はAcOH中の存在下または非存在下、ジメチルスルホキシド(DMSO),N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)中で反応させることができる。また、R1−NH2および/またはR3−NH2の塩を原料として用いる場合には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの塩基を混在させて反応を行い得る。
本明細書において、「除菌」とは、一般に、ある組織もしくは器官、またはその一部領域からある細菌を減少させるか、または実質的に消失もしくは完全に消失させることをいう。「除菌活性」とは、その活性をいう。本明細書の1つの実施形態において、除菌または除菌活性は、Helicobacter属の細菌を除去することである。好ましくは、除菌または除菌活性は、H.pyloriを除菌することである。除菌活性は、インビトロまたはインビボでのアッセイにより測定され得る。1つの実施形態において、除菌活性は、H.pylori感染マウスモデルを用いて、調査対象となる薬剤または候補化合物のようなサンプルを投与し、投与後に胃または十二指腸のような消化器における菌数を計数する方法を用いて評価し得る。除菌活性のアッセイの例示としては、本明細書において後述する実施例に記載される方法が挙げられる。
本発明の化合物は、単独で使用され得る。本発明の化合物はまた、他の医薬もしくは賦形剤とともに使用され得る。本発明の化合物と共に用いられ得る医薬としては、例えば、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の医薬が使用可能である。具体的には、抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬が挙げられるがそれらに限定されない。本発明の化合物と併用される抗菌剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗菌剤が使用可能である。具体的には、従来の天然もしくは合成の抗生物質(例えば、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、クロラムフェニコール、ポリペプチド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、ポリエン系抗生物質など)、抗真菌剤、抗ウイルス剤、サルファ剤またはキノロン系抗菌剤などが挙げられるがそれらに限定されない。粘膜防御因子増強剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤とともに用いられる任意の粘膜防御因子増強剤が使用可能である。具体的には、塩酸ベネキサート、プラウノトール、ソファルコンなどが挙げられるがそれらに限定されない。抗ガストリン剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗ガストリン剤が使用可能である。具体的には、プログルミド、オキセサゼインなどが挙げられるがそれらに限定されない。抗H2レセプターアンタゴニストとしては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の抗H2レセプターアンタゴニストが使用可能である。具体的には、シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなどが挙げられるがそれらに限定されない。プロトンポンプインヒビターとしては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意のプロトンポンプインヒビターが使用可能である。具体的には、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントブラソール、パリプラゾール、レノミプラゾールが挙げられるがそれらに限定されない。ビスマス製剤としては、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意のビスマス製剤が使用可能である。具体的には、コロイダルビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスなどが挙げられるがそれらに限定されない。胃腸薬としては、、従来の抗ヘリコバクター剤と共に用いられる任意の胃腸薬が使用可能である。具体的には、制酸、鎮痛、健胃などの効果を示す種々の薬剤が挙げられるがそれらに限定されない。
本発明の化合物は、ヘリコバクター属の細菌に特異的に作用することから、従来の抗生物質の投与の際に問題であった消化管内の良性細菌を殺傷することを低減または回避し得、その結果、良性細菌を殺傷することによる副作用を低減または回避し得る。
本発明の化合物または組成物は,ヘリコバクター属の細菌に特異的に作用することから、その成分単独でも抗ヘリコバクター剤として充分有効であり得る。単独で用いれば、従来の抗ヘリコバクター剤において併用されていた他の医薬品による副作用の心配がない。具体的には、用いられる抗菌剤として、ペニシリン系抗生物質,マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ニトロイミダゾール系およびキノロン系抗菌剤などを併用する際には、消化器内の良性細菌を殺傷することによる下痢などの副作用が報告されていたが、そのような副作用の心配がなくなる。これは、従来の抗生物質では達成されていない効果であり、本発明の格別の効果の1つである。
本発明の組成物は、ヘリコバクター属の細菌に関連する種々の疾患を処置し得る。本明細書において、「ヘリコバクターに起因する疾患」とは、ヘリコバクター属の細菌が直接または間接的に関与して引き起こす疾患または障害、あるいは医学的状態をいう。ヘリコバクターに起因する疾患の例としては、消化器疾患が挙げられる。好ましくは、本発明の組成物は、ヘリコバクターに起因する疾患の例として胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎を処置するに有用であるが、ヘリコバクターに起因する疾患である他の疾患(例えば、胃ガン、消化不良などの他の消化器疾患)を処置することにおいても有用であり得る。
本発明の組成物が対象とする病原体としては、ヘリコバクター属の細菌が挙げられる。本発明の組成物が特に対象とするヘリコバクターは、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisであり得る。
本明細書において用いられる「処方物」とは、薬物を用いて治療するために本発明の化合物を含有させることによって調製された物をいう。処方物は、治療、予防または再発防止の種々の状況において、医師などの医療従事者または製薬従事者が分量、形態などを変えて生産することができる。
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、あるいはそれらを含む医薬組成物を、被験体に投与することによって、ヘリコバクターに起因する疾患を処置、治療、予防および/または再発を防止するための方法を提供する。ここで、その被験体は、ヘリコバクターに起因する疾患に罹患した患者または、その疾患に罹患すると疑われるかもしくはその疾患に罹患もしくは将来再発する可能性を有する被験体であり得る。
投与方法は、一般に、最新の日本薬局方、米国薬局方、または他の国における等価物を参酌して決定することができる。そのような投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口経路以下が挙げられるがそれらに限定されない。本発明の化合物、組成物または処方物は、任意の簡便な経路によって投与され得(例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚(例えば、経口粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)内膜を介した吸収、そして他の生物学的に活性な薬剤とともに投与され得る。
経口投与製剤としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤等の液体製剤等、種々の剤形が挙げられる。非経口投与製剤の場合は、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射などの注射用溶液または懸濁液として用いることが出来る。また、軟膏などの経皮投与用製剤、坐剤等の非経口製剤として用いることもできる。
本発明の化合物の投与量は、被験体の年齢、体重、症状または投与方法などにより異なり、特に限定されないが、通常成人1日あたり、経口投与の場合、0.01mg〜10gであり、好ましくは、0.1mg〜1g、1mg〜100mg、0.1mg〜10mgなどであり得る。非経口投与の場合、0.01mg〜1gであり、好ましくは、0.01mg〜100mg、0.1mg〜100mg、1mg〜100mg、0.1mg〜10mgなどであり得る。
以上のように、本発明について、その詳細を種々の形態で記載したが、本明細書における具体的な実施形態および実施例は、単なる例示であって、本発明の範囲は、例示される特定の実施形態または実施例には決して限定されないことが理解される。
実 施 例
(実施例1:化合物2の製造)
(N,N’−ビス−(2−ピリジル)ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド(2)の合成)
ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(1)10.73g(40.0mmol)のDMF溶液40mlに、2−アミノピリジン11.29g(120.0mmol)と、クロロトリメチルシラン25.4ml(200.0mmol)を加え、160℃で6時間加熱した。室温まで放冷後、固体を濾取し、酢酸エチルで洗浄した。乾燥後、得られた固体(6.36g)に1N水酸化ナトリウム水溶液20mlを加えて洗浄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、DMSO:水にて再結晶し化合物2(0.78g)を得た。
物理的データは以下のとおりである。
融点(mp)>300℃ 注記:2000−5041−024−01。1H−NMR(DMSO−d6)δppm:7.60(ddd,J=7.8,4.9,1.0,2H)、7.67(dd,J=7.8,1.0,2H),8.10(ddd,J=7.8,7.8,2.0,2H),8.68−8.70(m,2H),8.76(s,4H)。
(実施例2:インビトロ試験)
まず、上記で合成した本発明の化合物(2)の活性をインビトロにおいて調べた。抗菌活性については、寒天平板希釈法を用いた。寒天平板希釈法は当該分野において周知の方法である。
具体的には、本発明の化合物を含む試験化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、滅菌蒸留水で2倍段階希釈により本発明の化合物を含む試験化合物の抗菌活性サンプルを調製した。培地には、H.pyloriおよびH.felisに対する抗菌活性調査用には、7%ウマ血液を添加したBHI(Brain Heart infusion)寒天を用い、調製しておいた本発明の化合物を含む試験化合物の抗菌活性サンプル1ミリリットルの培地を9ミリリットルを加え、混和することにより抗菌活性測定用寒天平板を作製した。また、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniaeおよびStaphylococcus aureusに対する抗菌活性調査用にはMH(Mueller Hinton)寒天培地を、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisに対する抗菌活性調査用には、10%ウマ血清を添加したMH寒天培地を用い、H.pylori、H.felisのときと同様の方法で抗菌活性測定用寒天平板を作製した。供試した被験菌の内、H.pylori、H.felisについては7%牛胎児血清添加BHI液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。各々の培養菌液は同培地で106CFU/ml(コロニー形成単位/ミリリットル)に調製し、調製した菌液5μlを抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃,10%炭酸ガス培養器中で4日間培養した。Pseudomonas aeruginosa,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniaeとStaphylococcus aureusについてはMH液体培地、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisについては10%ウマ血清添加MH液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃で一夜培養した。各々の培養菌液は培養に用いたのと同じ培地で106CFU/mlに調製し、調製した菌液5マイクロリットルを各々の抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃で一夜培養した。
被験菌に対する抗菌活性(MIC;Minimum Inhibitory Concentration,最小発育阻止濃度)は、接種した菌の発育が肉眼的に観察されなかった化合物の最高希釈濃度とした。
結果をMIC(最小阻止濃度)により示す。
本実施例の結果、本発明の1つの化合物の抗菌スペクトルは、Helicobacter属菌に選択的であり、H.pyloriに対するMICは、0.1μg/ml〜0.39μg/mlであった。また、アモキシシリン、クラリスロマイシン、メトロニダゾールなどの薬剤とは交叉性を示さない特徴を有していた。
次に、本発明の他の化合物についても、同様にMICを調べた。結果を次の表2にまとめる。なお、ここで使用した化合物の構造は以下のとおりである。
上記の表2のように、本発明の化合物は、いずれも、H.pyloriに対して有効であり、その他の細菌に対しては調べた濃度において効果を有しないことが明らかになった。従って、本発明の化合物は、一般に、H.pylori選択的な抗菌剤であると考えられる。
(実施例3:本発明の化合物のインビボ試験)
次に、本発明に化合物がインビボにおいて除菌活性を有するか調べた。マウスに日本クレア(株)由来のICR系5週齢を用いた。このマウスにH.pylori ATCC43504株を感染させた(0日目とする)。マウスがH.pyloriに感染したことを確認した後、20日目〜22日目にかけて1日2回(午前9時および午後5時)、以下の表3に示す投与量を各マウスに投与した。投与最終日の翌日の23日目に、マウスを解剖して、胃内の菌数を測定した。菌数測定は、採取した胃にリン酸緩衝液を加え乳剤とし、この乳剤をHelicobacter属以外の菌の増殖を抑制する目的で各種薬剤を添加した7%ウマ血液添加寒天培地に接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器で7日間培養し、菌の発育の有無で除菌活性を判定した。表3に試験条件およびその結果を示す。
このインビボ実験の結果、本発明の化合物(化合物2)は、20mg/kg投与において試験した全例(3/3)で除菌効果が認められた。他方、対象薬剤として用いたアモキシシリンおよびクラリスロマイシンは、40mg/kg投与においても除菌効果は観察されなかった。
(実施例4:種々の合成実施例)
実施例1に記載の手法に従って、本発明の化合物をさらに合成した。合成した化合物のうちいくつかについて、融点および1H−NMRを測定した。NMRは、以下の条件を用いて行った:
1H−NMR値は、重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、重クロロホルムCDCl3)、重ピリジン(pyridin−d5)、重トリフルオロ酢酸(CF3COOD)溶媒中テトラメチルシランを内部標準として測定した。δ値は、ppmで、結合定数(J)はHzで表記した。データ中、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、quintは五重線、sextは六重線、mは多重線、brは、幅広線を意味する。
ここで合成した化合物は、以下の一般式を有し、
R1およびR2は、以下の表4に示されるとおりである。各化合物について、測定されたものについて、融点およびNMRの結果を示す。
(実施例5:さらなる化合物のインビトロ試験)
実施例4において製造した化合物のうちR1およびR2が同時に以下の置換基のものについてインビトロ試験を行った。
(ここで、R1およびR2は、同時に
のいずれかであるか、または
のいずれかである。)
試験化合物の抗菌活性は、96穴マイクロプレートを用いた微量液体希釈法によって調べた。簡潔に説明すると、ジメチルスルホキシドに溶解した本発明の化合物の1mg/mlを調製する。この試験化合物の1mg/ml溶液100μlを,前もってマイクロプレートに分注しておいた増殖用培地(β−シクロデキストリン;0.1%と牛胎児血清;5%を含むコロンビア液体培地)の1穴目の100μlに加え混和後,2穴目以降適時2倍段階希釈法により試験化合物の希釈混和液を調製する。この希釈混和液に106CFU/mlに調製したH.pylori(ATCC43629株)菌液100ulを加え混和後,37℃,10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。
被検菌に対する抗菌活性(MIC)は波長660nmでの吸光度で判定した。つまり,抗菌活性試験用培地の吸光度を基準に,抗菌活性試験用培地の吸光度を超えなかった試験化合物の最高希釈濃度とした。
インビトロで活性を測定した結果を、以下の表にMIC(μg/ml)で表す。
表から明らかなように、R1およびR2がヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素であり、特に、R1およびR2が独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルであるときに、または独立して置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノであるときに、好ましいヘリコバクター殺菌活性を有することが実証された。この化合物は、毒性もなく、安全な医薬品として使用することができる。
産業上の利用可能性
本発明によって、新規な構造の抗ヘリコバクター性の化合物が提供される。本発明は、単独の成分として本発明の化合物を含む抗ヘリコバクター剤を提供する。単独成分として使用し得ることにより、合剤での消化性潰瘍などの疾患処置における副作用を著しく減少させることができる。本発明の化合物または組成物は、ヘリコバクターを特異的に殺傷し、除菌し得、効果的に消化性疾患(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎を含む)を処置し得る。
【0038】
きと同様の方法で抗菌活性測定用寒天平板を作製した。供試した被験菌の内、H.pylori、H.felisについては7%牛胎児血清添加BHI液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。各々の培養菌液は同培地で106CFU/ml(コロニー形成単位/ミリリットル)に調製し、調製した菌液5μlを抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃,10%炭酸ガス培養器中で4日間培養した。Pseudomonas aeruginosa,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniaeとStaphylococcus aureusについてはMH液体培地、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisについては10%ウマ血清添加MH液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃で一夜培養した。各々の培養菌液は培養に用いたのと同じ培地で106CFU/mlに調製し、調製した菌液5マイクロリットルを各々の抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃で一夜培養した。
被験菌に対する抗菌活性(MIC;Minimum Inhibitory Concentration,最小発育阻止濃度)は、接種した菌の発育が肉眼的に観察されなかった化合物の最高希釈濃度とした。
結果をMIC(最小発育阻止濃度)により示す。
きと同様の方法で抗菌活性測定用寒天平板を作製した。供試した被験菌の内、H.pylori、H.felisについては7%牛胎児血清添加BHI液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器中で48時間培養した。各々の培養菌液は同培地で106CFU/ml(コロニー形成単位/ミリリットル)に調製し、調製した菌液5μlを抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃,10%炭酸ガス培養器中で4日間培養した。Pseudomonas aeruginosa,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniaeとStaphylococcus aureusについてはMH液体培地、Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisについては10%ウマ血清添加MH液体培地9ミリリットルに、各々の冷凍保存菌液1ミリリットルを接種し、37℃で一夜培養した。各々の培養菌液は培養に用いたのと同じ培地で106CFU/mlに調製し、調製した菌液5マイクロリットルを各々の抗菌活性測定用寒天培地に接種し、37℃で一夜培養した。
被験菌に対する抗菌活性(MIC;Minimum Inhibitory Concentration,最小発育阻止濃度)は、接種した菌の発育が肉眼的に観察されなかった化合物の最高希釈濃度とした。
結果をMIC(最小発育阻止濃度)により示す。
【0039】
本実施例の結果、本発明の1つの化合物の抗菌スペクトルは、Helicobacter属菌に選択的であり、H.pyloriに対するMICは、0.1μg/ml〜0.39μg/mlであった。また、アモキシシリン、クラリスロマイシン、メトロニダゾールなどの薬剤とは交叉性を示さない特徴を有していた。
次に、本発明の他の化合物についても、同様にMICを調べた。結果を次の表2にまとめる。なお、ここで使用した化合物の構造は以下のとおりである。
本実施例の結果、本発明の1つの化合物の抗菌スペクトルは、Helicobacter属菌に選択的であり、H.pyloriに対するMICは、0.1μg/ml〜0.39μg/mlであった。また、アモキシシリン、クラリスロマイシン、メトロニダゾールなどの薬剤とは交叉性を示さない特徴を有していた。
次に、本発明の他の化合物についても、同様にMICを調べた。結果を次の表2にまとめる。なお、ここで使用した化合物の構造は以下のとおりである。
【0040】
上記の表2のように、本発明の化合物は、いずれも、H.pyloriに対して有効であり、その他の細菌に対しては調べた濃度において効果を有しないことが明らかになった。従って、本発明の化合物は、一般に、H.pylori選択的な抗菌剤であると考えられる。
上記の表2のように、本発明の化合物は、いずれも、H.pyloriに対して有効であり、その他の細菌に対しては調べた濃度において効果を有しないことが明らかになった。従って、本発明の化合物は、一般に、H.pylori選択的な抗菌剤であると考えられる。
【0041】
(実施例3:本発明の化合物のインビボ試験)
次に、本発明に化合物がインビボにおいて除菌活性を有するか調べた。マウスに日本クレア(株)由来のICR系5週齢を用いた。このマウスにH.pylori ATCC43504株を感染させた(0日目とする)。マウスがH.pyloriに感染したことを確認した後、20日目〜22日目にかけて1日2回(午前9時および午後5時)、以下の表3に示す投与量を各マウスに投与した。投与最終日の翌日の23日目に、マウスを解剖して、胃内の菌数を測定した。菌数測定は、採取した胃にリン酸緩衝液を加え乳剤とし、この乳剤をHelicobacter属以外の菌の増殖を抑制する目的で各種薬剤を添加した7%ウマ血液添加寒天培地に接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器で7日間培養し、菌の発育の有無で除菌活性を判定した。表3に試験条件およびその結果を示す。
このインビボ実験の結果、本発明の化合物(化合物2)は、20mg/kg投与において試験した全例(3/3)で除菌効果が認められた。他方、対象薬剤として用いたアモキシシリンおよびクラリスロマイシンは、40mg/kg投与に
(実施例3:本発明の化合物のインビボ試験)
次に、本発明に化合物がインビボにおいて除菌活性を有するか調べた。マウスに日本クレア(株)由来のICR系5週齢を用いた。このマウスにH.pylori ATCC43504株を感染させた(0日目とする)。マウスがH.pyloriに感染したことを確認した後、20日目〜22日目にかけて1日2回(午前9時および午後5時)、以下の表3に示す投与量を各マウスに投与した。投与最終日の翌日の23日目に、マウスを解剖して、胃内の菌数を測定した。菌数測定は、採取した胃にリン酸緩衝液を加え乳剤とし、この乳剤をHelicobacter属以外の菌の増殖を抑制する目的で各種薬剤を添加した7%ウマ血液添加寒天培地に接種し、37℃、10%炭酸ガス培養器で7日間培養し、菌の発育の有無で除菌活性を判定した。表3に試験条件およびその結果を示す。
このインビボ実験の結果、本発明の化合物(化合物2)は、20mg/kg投与において試験した全例(3/3)で除菌効果が認められた。他方、対象薬剤として用いたアモキシシリンおよびクラリスロマイシンは、40mg/kg投与に
Claims (28)
- 以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であって、ここで、
R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され、そして
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。 - R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。
- R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。
- R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物。
- 以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であって、ここで、
R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され、そして
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリアを含有する、
医薬組成物。 - R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルである、請求項7に記載の医薬組成物。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基である、請求項7に記載の医薬組成物。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素である、請求項7に記載の医薬組成物。
- R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
- R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノである、請求項7に記載の医薬組成物。
- 抗ヘリコバクター医薬組成物である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
- 対象疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎である、請求項7に記載の医薬組成物。
- 前記ヘリコバクターが、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisである、請求項13に記載の抗ヘリコバクター医薬組成物。
- 抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤の薬効を増強するための、請求項7に記載の医薬組成物。
- ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を予防するための方法であって、該方法は、
a) 以下の式
で示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であって、ここで、R1およびR2は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒドロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニトロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択され、そして
X1、X2、Y1およびY2は、独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、ニトロ、カルボキシ、置換されたカルボキシ、アシル、置換されたアシルおよび置換されたスルホニルからなる群より選択される、化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物を含む処方物を、該疾患に罹患する被験体に投与する工程、
を包含する、方法。 - R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルである、請求項18に記載の方法。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、独立して、アルキル、ハロゲンおよび水素からなる群より選択される置換基である、請求項18に記載の方法。
- R1およびR2は、独立して、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基、アルキルまたは置換されたアルキルであり、X1、X2、Y1およびY2は、すべて水素である、請求項18に記載の方法。
- R1およびR2は、独立して、ピリジル、置換されたピリジル、ピリミジル、置換されたピリミジル、ピラジル、置換されたピラジル、キノリル、置換されたキノリル、イソキノリルおよび置換されたイソキノリルからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- R1およびR2は、独立して、置換されたアルキルであり、該置換されたアルキルの置換基は、ピリジル、ヒドロキシ、置換されたカルボキシ、アルコキシまたは置換されたアミノである、請求項18に記載の方法。
- 前記処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含有する、請求項18に記載の方法。
- 前記処方物は、抗菌剤、粘膜防御因子増強剤、抗ガストリン剤、H2レセプターアンタゴニスト、プロトンポンプインヒビター、ビスマス製剤および胃腸薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤をさらに含む、請求項18に記載の方法。
- 前記疾患は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍または胃炎である、請求項18に記載の方法。
- 前記ヘリコバクターは、Helicobacter pyloriまたはHelicobacter felisである、請求項18に記載の方法。
- ヘリコバクターに起因する疾患を処置、予防または再発を防止するための、請求項1〜6に記載の化合物の使用。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000347348 | 2000-11-14 | ||
JP2000347348 | 2000-11-14 | ||
PCT/JP2001/009929 WO2002040479A1 (fr) | 2000-11-14 | 2001-11-13 | Agents de traitement des infections a helicobacter |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2002040479A1 true JPWO2002040479A1 (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=18821093
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002543489A Withdrawn JPWO2002040479A1 (ja) | 2000-11-14 | 2001-11-13 | 抗ヘリコバクター剤 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040116493A1 (ja) |
EP (1) | EP1340755A4 (ja) |
JP (1) | JPWO2002040479A1 (ja) |
AU (1) | AU2002214284A1 (ja) |
WO (1) | WO2002040479A1 (ja) |
Families Citing this family (27)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003095453A1 (fr) * | 2002-05-13 | 2003-11-20 | Shionogi & Co., Ltd. | Composes a activite antihelicobacter |
KR100561357B1 (ko) * | 2003-11-21 | 2006-03-16 | 삼성전자주식회사 | 나프탈렌테트라카르복시디이미드 유도체 및 이를 이용한전자사진 감광체 |
KR100739683B1 (ko) * | 2004-04-09 | 2007-07-13 | 삼성전자주식회사 | 나프탈렌테트라카르복실산 디이미드 유도체를 포함한유기감광체 및 이를 채용한 전자사진 화상형성장치 |
US7479557B2 (en) | 2004-06-10 | 2009-01-20 | Agency For Science, Technology +Research | DNA threading intercalators |
US7511142B2 (en) | 2004-07-28 | 2009-03-31 | Agency For Science, Technology And Research | Mediator-modified redox biomolecules for use in electrochemical determination of analyte |
US7462720B2 (en) * | 2004-09-02 | 2008-12-09 | Agency Science Tech & Res | Determination of nucleic acid using electrocatalytic intercalators |
KR100667787B1 (ko) | 2004-12-31 | 2007-01-11 | 삼성전자주식회사 | 나프탈렌테트라카르복실산 디이미드 유도체를 포함하는전자사진 감광체 및 이를 채용한 전자사진 화상형성장치 |
CN100351254C (zh) * | 2005-01-13 | 2007-11-28 | 吉林大学 | 含有酰亚胺结构双酚单体的合成方法 |
KR100739693B1 (ko) | 2005-02-14 | 2007-07-13 | 삼성전자주식회사 | 피리딘 치환 비대칭 나프탈렌테트라카르복실산 디이미드 유도체를 포함하는 전자사진 감광체 및 이를 채용한 전자사진화상형성장치 |
KR100739694B1 (ko) | 2005-02-16 | 2007-07-13 | 삼성전자주식회사 | 비대칭 나프탈렌테트라카르복실산 디이미드 유도체를 포함하는 전자사진 감광체 및 이를 채용한 전자사진 화상형성장치 |
DE102005034685A1 (de) * | 2005-07-25 | 2007-02-08 | Langhals, Heinz, Prof. Dr. | Naphthalinamidinimide und Piperazino-Bisimide |
EP1931637A4 (en) * | 2005-09-15 | 2009-09-16 | Painceptor Pharma Corp | METHODS FOR MODULATING NEUROTROPHIN-INDUCED ACTIVITY |
EP2000856B1 (en) | 2007-06-04 | 2011-02-02 | Ricoh Company, Ltd. | Electrophotographic photoreceptor, image forming apparatus, and process cartridge |
JP5386884B2 (ja) | 2007-09-10 | 2014-01-15 | 株式会社リコー | ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、及び該ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を用いた電子写真感光体 |
US8380109B2 (en) * | 2008-01-11 | 2013-02-19 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus and process cartridge |
JP6468825B2 (ja) * | 2013-12-26 | 2019-02-13 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置およびイミド化合物 |
US10596164B2 (en) | 2014-04-15 | 2020-03-24 | Nederlandse Organisatie Voor Toegepast-Natuurwetenschappelijk Onderzoek Tno | Anti-clostridium compounds |
EP3800187A1 (en) * | 2015-03-31 | 2021-04-07 | Sony Corporation | Organic image sensor comprising specific naphthalenediimide compound |
CN107531637B (zh) * | 2015-03-31 | 2021-10-22 | 索尼公司 | 用于在有机光电二极管中的有机光电转换层的n和p活性材料 |
JP6481650B2 (ja) * | 2016-03-29 | 2019-03-13 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 電子写真感光体 |
CN106518871B (zh) * | 2016-10-12 | 2018-10-23 | 华南师范大学 | 一种羰基共轭杂环化合物及制备与应用 |
JP7155588B2 (ja) * | 2018-04-11 | 2022-10-19 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | イミド化合物並びにこれを用いた電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 |
US10514621B2 (en) * | 2018-04-11 | 2019-12-24 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Electrophotographic photoreceptor, process cartridge, image forming apparatus, and imide compound |
GB201814093D0 (en) * | 2018-08-30 | 2018-10-17 | Univ Court Univ Of Glasgow | Photochromic and electrochromic compounds |
JPWO2020075761A1 (ja) * | 2018-10-10 | 2021-09-24 | コニカミノルタ株式会社 | イミド誘導体、それを含有する発光性組成物、発光性薄膜及び発光性粒子 |
CN109438457B (zh) * | 2018-12-17 | 2020-08-04 | 北京理工大学 | 一种二酰亚胺基大环化合物的合成方法 |
CN110818718A (zh) * | 2019-10-18 | 2020-02-21 | 北京工业大学 | 一种稠环芳酰亚胺类衍生物化合物及其制备方法与应用 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE1195762B (de) * | 1962-09-12 | 1965-07-01 | Bayer Ag | Verfahren zur Herstellung von neuen Naphthalin-1, 4, 5, 8-tetracarbonsaeurediimiden |
US3544303A (en) * | 1968-04-03 | 1970-12-01 | Stanford Research Inst | Aromatic carboximides as herbicides |
DE2951349A1 (de) * | 1979-12-20 | 1981-07-02 | Bayer Ag, 5090 Leverkusen | Naphthalintetracarbonsaeurediimide als elektrische halbleiter und photoleiter |
DE3620332A1 (de) * | 1986-06-18 | 1987-12-23 | Bayer Ag | Verfahren zur herstellung von tetrachlornaphthalintetracarbonsaeuredianhydrid und -diimid, sowie die neue verbindung 2.3.6.7-tetrachlornaphthalin-1.4.5.8.- tetracarbonsaeurediimid |
US4814366A (en) * | 1986-10-07 | 1989-03-21 | Mitsubishi Chemical Industries Limited | Thermoplastic polyester resin composition |
JPH02252585A (ja) * | 1989-03-28 | 1990-10-11 | Mitsubishi Kasei Corp | 画像の保護方法 |
JPH02255789A (ja) * | 1989-03-29 | 1990-10-16 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 有機電場発光素子 |
CA2174582A1 (en) * | 1995-05-05 | 1996-11-06 | Alexander Chucholowski | Sulphuric acid esters of amino-sugars |
DE59608872D1 (de) * | 1995-10-12 | 2002-04-18 | Ciba Sc Holding Ag | Naphthalinlactamimid-Fluoreszenzfarbstoffe |
JP2000113504A (ja) * | 1998-10-05 | 2000-04-21 | Mitsui Chemicals Inc | 光記録媒体 |
JP3369515B2 (ja) * | 1999-07-28 | 2003-01-20 | 京セラミタ株式会社 | フタロシアニン結晶及びその製造方法と、これを含有した電子写真感光体 |
-
2001
- 2001-11-13 JP JP2002543489A patent/JPWO2002040479A1/ja not_active Withdrawn
- 2001-11-13 US US10/416,718 patent/US20040116493A1/en not_active Abandoned
- 2001-11-13 EP EP01982772A patent/EP1340755A4/en not_active Withdrawn
- 2001-11-13 WO PCT/JP2001/009929 patent/WO2002040479A1/ja not_active Application Discontinuation
- 2001-11-13 AU AU2002214284A patent/AU2002214284A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20040116493A1 (en) | 2004-06-17 |
WO2002040479A1 (fr) | 2002-05-23 |
EP1340755A1 (en) | 2003-09-03 |
EP1340755A4 (en) | 2004-03-17 |
AU2002214284A1 (en) | 2002-05-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPWO2002040479A1 (ja) | 抗ヘリコバクター剤 | |
WO2018188641A1 (zh) | 一种mor激动剂与kor激动剂的药物组合物及其用途 | |
CN105682655B (zh) | 抗微生物化合物 | |
CZ200442A3 (cs) | Nové heterocyklické sloučeniny jakožto selektivní inhibitory bakteriální DHFR a jejich použití | |
ES2390611T3 (es) | Agente de erradicación de Helicobacter pylori que tiene actividad inhibidora sobre la secreción de ácido gástrico | |
ZA200100913B (en) | New compounds. | |
BRPI0916475A2 (pt) | imidazo[1,2-a]piridina substituída, de fórmula i ou um sal farmaceuticamente aceitável da mesma, processo para a preparação da imidazo[1,2-a]piridina substituída, composição farmacêutica, e, uso da imidazo[1,2-a]piridina substituída | |
KR20100100584A (ko) | 장질환 치료용 이소소르비드 모노니트레이트 유도체 | |
JP2005501870A (ja) | 治療効果を有する新規なイミダゾピリジン化合物 | |
JP2004508295A (ja) | 抗菌剤として有用な新規な化合物 | |
US11952330B2 (en) | Antibiotic ammonium compounds and methods for the treatment of bacterial infections | |
US6653333B2 (en) | Remedies or preventives for digestive diseases containing diaminotrifluoromethylpyridine derivatives | |
US10953004B2 (en) | Combination therapy for proliferative diseases | |
JPH0930970A (ja) | 抗菌剤 | |
JP2008534506A (ja) | 急性骨髄性白血病の治療又は予防法 | |
JP2021525269A (ja) | 疼痛処置のための化合物、それを含む組成物及びそれを使用する方法 | |
CN107531613B (zh) | 苯并脂肪环取代烷基胺类化合物及其用途 | |
WO2008094203A2 (en) | Polar ester prodrugs of heterocyclic hybrid antibacterial compounds and salts thereof | |
WO2021049600A1 (ja) | 抗菌作用を有する医薬組成物 | |
JP2017535606A (ja) | パントテンアミド類似体 | |
BR122023026497A2 (pt) | Uso de um composto e método para produzir um composto | |
KR20210017026A (ko) | 설폰아마이드 유도체 화합물 및 이의 우레아제 억제제로서의 용도 | |
WO2002018344A1 (fr) | Nouveaux derives esteriques ou amidiques | |
JP4848091B2 (ja) | ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体を含有する消化器疾患治療剤又は予防剤 | |
US20120022097A1 (en) | Compositions and Methods for Treating Cancer |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050201 |