JPWO2002026688A1 - 含フッ素エステル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、工業的に有用な含フッ素エステル化合物、および、酸フルオリド化合物等の含フッ素化合物の製造方法を提供する。すなわち本発明は、水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とのエステルであってフッ素化されうる構造を有するエステル化合物を、液相中でフッ素化して含フッ素エステル化合物を製造する際に、エステル化合物と前記アシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物においてフッ素化を行うことを特徴とする含フッ素エステル化合物の製造方法である。

Description

<技術分野>
本発明は、工業的に有用な含フッ素エステル化合物、および、酸フルオリド化合物等の含フッ素化合物の製造方法に関する。
<背景技術>
炭化水素系化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化した含フッ素エステル化合物は、フッ素樹脂原料の前駆体等として有用である。C−H含有炭化水素系化合物をフッ素化する方法として、三フッ化コバルトを用いる方法、フッ素(F)を用いて直接フッ素化する方法、または、電解槽中で、フッ化水素を電気分解してフッ素化反応を行う方法(以下、ECF法という)が知られている。
フッ素を用いて液相でフッ素化反応を行う場合には、通常の場合、液相を形成する反応溶媒として、フッ素とは反応せずフッ素を溶解する溶媒(たとえばペルフルオロ化合物からなる溶媒)が用いられる。従来の方法で採用される反応溶媒としては、CClFCClF(以下、R−113という。)等の塩素化フッ素化炭化水素や、ペルフルオロ炭化水素、クロロペルフルオロポリエーテル等のフッ素系溶媒がある(特表平4−500520号公報)。これらの溶媒のうち塩素化フッ素化炭化水素は、オゾン層破壊係数が大であることから製造が制限され、将来は入手できなくなる問題があった。また、フッ素化反応の基質としてしばしば用いられる炭化水素系化合物は、溶媒に対する溶解性が低いために、フッ素化反応をきわめて薄い濃度で行うことになり、生産効率が悪い問題や、反応には不利な懸濁系での反応になる問題があった。
<発明の開示>
本発明者らは、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の、フッ素樹脂の原料モノマー等に変換し得るペルフルオロエステル類を、液相中でのフッ素化反応を用いて製造しようとした場合に、エステル化合物と該エステル化合物の構造に対応するアシルフルオリド類を用いると、フッ素化反応の収率を低下させる等の不都合を生じさせることなく、反応プロセスがきわめて効率的になることを見いだした。特に、フッ素化反応の基質として特定の構造を有する部分フッ素化エステル類を採用すると、液相に対する基質の溶解性が向上し、容積効率が高くなり、かつ、反応操作が容易になり、この部分フッ素化エステルの構造に対応するペルフルオロアシルフルオリド類との液状混合物においてフッ素化反応を行うと、より効率的な反応プロセスが実施できることを見いだした。すなわち本発明は以下の製造方法を提供する。
1.水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とのエステルであってフッ素化されうる構造を有するエステル化合物を、液相中でフッ素化して含フッ素エステル化合物を製造する際に、エステル化合物と前記アシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物においてフッ素化を行うことを特徴とする含フッ素エステル化合物の製造方法。
2.エステル化合物が、水酸基を有する化合物にアシルフルオリド基を有する化合物をエステル化反応させて製造される化合物である上記の製造方法。
3.該水酸基を有する化合物の水酸基の全てをエステル化するために必要な化学量論量より多い量であり、かつ、反応生成物中に未反応のアシルフルオリド基を有する化合物が残る程度の量のアシルフルオリド基を有する化合物を用いてエステル化反応させることによりエステル化合物とアシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物を得る上記の製造方法。
4.エステル化合物が下記化合物(3)であり、アシルフルオリド基を有する化合物が下記化合物(2)であり、含フッ素エステル化合物が下記化合物(4)である上記の製造方法。
FCORBF(2)
CHROCORBF(3)
AFCFR1FOCORBF(4)
ただし、RおよびRAFは、それぞれ同一でも異なっていてもよい1価有機基であり、RとRAFとが異なる場合のRAFはRがフッ素化された1価有機基である。RBFは、ペルフルオロ1価飽和有機基である。Rは水素原子または1価有機基である。R1Fは、Rが水素原子である場合にはフッ素原子、Rが1価有機基である場合のRとR1Fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい1価有機基であり、RとR1Fとが異なる場合のR1Fは、Rがフッ素化された1価有機基である。
5.化合物(3)と化合物(2)との液状混合物が、下記化合物(1)と該化合物(1)に対して過剰量の化合物(2)を反応させて得た反応生成物である上記の製造方法。
CHROH(1)
ただし、RおよびRは上記と同じ意味を示す。
6.上記の製造方法で得た化合物(4)において、エステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下記化合物(5)および/または下記化合物(2)の製造方法。
AFCOR1F(5)
BFCOF(2)
ただし、RAFおよびR1Fは、上記と同じ意味を示す。
7.化合物(4)のエステル結合の分解反応を、化合物(3)と化合物(2)との液状混合物のフッ素化反応により得た化合物(4)と化合物(2)との液状混合物において行う上記の製造方法。
8.化合物(4)と化合物(2)との液状混合物に、化合物(2)以外に溶媒を添加することなくエステル結合の分解反応を行う上記の製造方法。
9.前記の製造方法で得た化合物(2)の一部または全部、またはR1Fがフッ素原子である場合には化合物(5)および/または化合物(2)の一部または全部を、化合物(1)と反応させる化合物(2)として用いる上記の製造方法。
10.RAFとRBFとが同一構造の基である上記の製造方法。
11.液相中でのフッ素化を、液相中でフッ素と反応させることにより行う上記の製造方法。
12.液相中でのフッ素化を、化合物(2)以外の溶媒を存在させることなく行う上記の製造方法。
<発明を実施するための最良の形態>
本明細書における有機基とは、炭素原子を必須とする基をいい、飽和の基であっても、不飽和の基であってもよい。フッ素に置換されうる原子としては、炭素に結合する水素原子が挙げられる。
フッ素に置換されうる原子団としては、炭素−炭素不飽和二重結合や炭素−炭素不飽和三重結合等が挙げられる。たとえば、有機基中に炭素−炭素二重結合が存在する場合には、液相中でのフッ素化により該炭素−炭素二重結合にフッ素が付加して炭素−炭素単結合になりうる。また、有機基中に炭素−炭素三重結合が存在する場合には、液相中でのフッ素化により該炭素−炭素三重結合にフッ素が付加して、炭素−炭素単結合や炭素−炭素二重結合が形成されうる。また、飽和有機基とは、該基中の炭素−炭素結合が単結合のみからなる基をいう。
1価有機基としては、1価炭化水素基、ヘテロ原子含有1価炭化水素基、ハロゲン化1価炭化水素基、およびハロゲン化(ヘテロ原子含有1価炭化水素)基から選ばれる基が好ましく、1価有機基が飽和の基である場合には、飽和の基である場合の該選ばれる基が好ましい。有機基としては、フッ素化反応時に用いる液相への溶解性の観点から、その炭素数が1〜20であるのが好ましく、特に炭素数が1〜10であるのが好ましい。
ここで炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基が好ましい。また、脂肪族炭化水素基中には、炭素−炭素結合として、単結合、二重結合、または三重結合が存在していてもよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または環構造を部分的に有する構造のいずれであってもよい。
1価飽和有機基としては、1価飽和炭化水素基が好ましい。1価飽和炭化水素基としては、アルキル基が挙げられ、その構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環である構造のいずれであってもよい。
アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。直鎖構造であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。分岐構造であるアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。環構造であるアルキル基としては、たとえば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、脂環式スピロ構造の基等が挙げられ、3〜6員環のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
環部分を有するアルキル基としては、上記環構造のアルキル基で置換された(直鎖構造または分岐構造の)アルキル基、または該アルキル基の環基部分がさらに(直鎖構造または分岐構造の)アルキル基で置換された基が挙げられ、アルキル基の水素原子の1個以上が3〜6員環のシクロアルキル基で置換された基が好ましく、シクロペンチルメチル基、シクロヘキチルエチル基、エチルシクロヘキシルメチル基等が特に好ましい。他の基としては、芳香環を有するアルキル基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基)、複素環を有するアルキル基(たとえば、ピリジルメチル基、フルフリル基等)が挙げられる。
ハロゲン化された基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子が好ましく、とりわけ化合物の有用性の観点からフッ素原子、またはフッ素原子と塩素原子が好ましい。
本明細書において、ハロゲン化とは水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換されたことをいう。部分ハロゲン化とは水素原子の一部がハロゲン原子に置換されたことをいう。すなわち、部分ハロゲン化基の基中には、水素原子が存在する。ペルハロゲン化とは水素原子の全てがハロゲン化されたことをいう。すなわち、ペルハロゲン化基の基中には水素原子が存在しない。ハロゲン化、部分ハロゲン化、ペルハロゲン化の用語の意味は、ハロゲン原子が特定される場合においても同様の意味である。
ハロゲン化飽和炭化水素基とは、上記飽和炭化水素基中に存在する水素原子の1個以上がハロゲン原子によって置換された基をいう。ハロゲン化飽和炭化水素基中には水素原子が存在していても存在しなくてもよい。ハロゲン化飽和炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、またはフッ素原子と塩素原子が好ましい。
部分ハロゲン化飽和炭化水素基とは、上記飽和炭化水素基中に存在する水素原子の一部がハロゲン原子によって置換された基をいう。部分ハロゲン化飽和炭化水素基中には、水素原子が存在する。
ペルハロゲン化飽和炭化水素基とは、飽和炭化水素基中に存在する水素原子の全てがハロゲン原子によって置換された基をいう。ペルハロゲン化飽和炭化水素基中には水素原子は存在しない。ハロゲン化基およびペルハロゲン化基中に存在するハロゲン原子は、1種であっても2種以上であってもよい。
ハロゲン化飽和炭化水素基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、環構造でも、環部分を有する構造であってもよい。ハロゲン化飽和炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。ハロゲン化1価飽和炭化水素基としては、フルオロアルキル基またはフルオロ(部分クロロアルキル)基等が挙げられる。
ペルハロゲン化1価飽和炭化水素基としては、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロ(部分クロロアルキル)基(すなわち、部分クロロアルキル基中の水素原子の全てがフッ素化された基)が好ましい。なお、ペルフルオロ(部分フルオロアルキル)基は、ペルフルオロアルキル基と同じであり、ペルフルオロ(部分フルオロアルキレン)基は、ペルフルオロアルキレン基と同じである。
ヘテロ原子含有飽和炭化水素基とは、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子等のヘテロ原子と、炭素原子と、水素原子とからなる基をいう。そして、ヘテロ原子は、ヘテロ原子そのものであっても、ヘテロ原子同士またはヘテロ原子と他の原子が結合してヘテロ原子団となっていてもよい。ヘテロ原子およびヘテロ原子団は、いずれも熱分解反応によって変化しないものが好ましい。ヘテロ原子としては、エーテル性酸素原子(C−O−CのO)、=O等が挙げられ、エーテル性酸素原子が特に好ましい。ヘテロ原子含有飽和炭化水素基の炭素数は1〜20が好ましい。ヘテロ原子含有飽和炭化水素基としては、前記飽和炭化水素基の炭素−炭素原子間に2価ヘテロ原子または2価ヘテロ原子団が挿入された基、または前記飽和炭化水素基中の炭素原子にヘテロ原子が結合した基、または前記飽和炭化水素基の結合末端の炭素原子に2価ヘテロ原子または2価ヘテロ原子団が結合した基が好ましい。
ヘテロ原子含有基としては、化合物の有用性の点からエーテル性酸素原子含有基が特に好ましい。特に入手しやすさ、製造しやすさ、および生成物の有用性の点から、1価の基としてはエーテル性酸素原子を含むアルキル基(たとえば、アルコキシアルキル基等。)が好ましい。また、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された環部分を有する1価脂肪族炭化水素基としては、たとえば、ジオキソラン骨格を有するアルキル基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、前記1価脂肪族炭化水素基で挙げたアルキル基中に存在する水素原子の1個がアルコキシ基に置換された基が好ましい。該アルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましい。アルコキシアルキル基としては、エトキシメチル基、1−プロポキシエチル基、2−プロポキシエチル基等が挙げられる。
ハロゲン化(ヘテロ原子含有飽和炭化水素)基としては、フルオロ(ヘテロ原子含有飽和炭化水素)基またはフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有飽和炭化水素))基が好ましい。ハロゲン化(ヘテロ原子含有飽和炭化水素)基の炭素数は1〜20が好ましい。
ペルハロゲン化(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素))基が好ましく、ペルフルオロ(ヘテロ原子含有アルキル)基またはペルフルオロ(部分クロロ(ヘテロ原子含有アルキル))基が特に好ましく、ペルフルオロ(アルコキシル)基またはペルフルオロ(部分クロロ(アルコキシル))基がとりわけ好ましい。これらの基の具体例としては、後述する具体的な化合物中に示される。
本発明におけるエステル化合物は、水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基(FC(O)−基)を有する化合物とのエステルでありフッ素化されうる構造を有する化合物である。該エステル化合物は、水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とをエステル化反応させた特に形成する構造の化合物であれば、特にその入手方法は限定されない。たとえば、該エステル化合物としては、水酸基を有する化合物と、ClC(O)−基やBrC(O)−基、およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の化合物をエステル化反応させた化合物が挙げられる。また本発明におけるエステル化合物は、エステル化反応後に、エステル結合以外の部分に他の化学変換を加えて得られた化合物であってもよい。該化学変換としては、炭素−炭素二重結合(C=C)に塩素を付加させてvic−ジクロロ構造(CCl−CCl)にする反応が挙げられる。また、エステル化合物中のエステル結合の数は特に限定されない。
エステル化合物は、水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とのエステル化反応により製造した化合物であるのが好ましい。この場合の水酸基を有する化合物としては、1個以上の水酸基を有する化合物が採用でき、アシルフルオリド基を有する化合物としては、1個以上のアシルフルオリド基を有する化合物が採用できる。
エステル化合物としては、水酸基を1個有する化合物とアシルフルオリド基を1個有する化合物とのエステル化反応により製造した化合物であるのが好ましく、特に下記化合物(3)が好ましい。化合物(3)としては、Rが水素原子である場合の下記化合物(3A)およびRが1価有機基(R10)である場合の下記化合物(3B)が挙げられる。
CHROCORBF(3)
CHOCORBF(3A)
CHR10OCORBF(3B)
は1価有機基であり、原料が入手しやすいことから、水素原子を含有する基であることが好ましく、さらに水素原子を有する飽和の基であるのが、目的とする反応を収率よく実施でき、目的化合物の有用性の点からも好ましい。
さらに、Rとしては、1価飽和炭化水素基、部分ハロゲン化1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基、または部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基が好ましい。特にRがアルキル基、部分クロロアルキル基、アルコキシアルキル基、または部分クロロ(アルコキシアルキル)基であるのが好ましい。
は、目的とする化合物のRAFの構造に応じて適宜変更されうる。本発明の方法は、Rの構造が異なる種々の構造を採用できる点が利点の一つである。
BFはペルフルオロ1価有機基であり、1価飽和炭化水素基、部分ハロゲン化1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基、および部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基から選ばれる基の基中に存在する水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわち、ペルフルオロ化された基)であるのが好ましく、特にアルキル基、部分ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、および部分ハロゲン化(アルコキシアルキル)基から選ばれる基の基中に存在する水素原子の全てがフッ素原子に置換された基であるが好ましい。
は水素原子または1価有機基を示す。Rが1価有機基である場合には、アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
本発明における化合物(3)は、後述するフッ素化反応、特にフッ素を用いた反応の実施しやすさの点から、化合物中のフッ素含有量は、30質量%以上であるのが好ましく、特に30〜86質量%であるのが好ましくは、さらに30〜76質量%であるのが好ましい。フッ素含有量が少なすぎると液相中への溶解性が極端に低くなり、フッ素化反応の反応系が不均一になり、連続反応で実施する化合物(3)をうまく反応系中フィードすることができない問題がある。また、フッ素含有量の上限は限定されないが、あまりに高すぎるものは、化合物(3)の入手が困難であり、価格が高く経済的ではない問題がある。
さらに、化合物(3)の分子量は200〜1000であるのが、気相中での好ましくないフッ素化反応を防止し、液相中でのフッ素化反応を円滑に行いうる点で好ましい。分子量が小さすぎると化合物(3)が気化しやすくなるため、液相でのフッ素化反応時に気相中で分解反応が起こるおそれがある。一方、分子量が大きすぎると化合物(3)の精製が困難になるおそれがある。
化合物(3A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CH(CHOCOCFCF
CH(CHOCH(CH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF
CH(CHOCH(CH)CHOCH(CH)CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CH=CHCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF
CH=CHCHO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CHCl=CClO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CHClCHClCHCHOCOCFCFClCFCl。
化合物(3B)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(CHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF
CH=CHCHCH(CH)OCOCF(CF)O(CFCF
化合物(3)は、化合物(1)と化合物(2)とのエステル化反応により製造される化合物であるのが好ましい。化合物(1)としては、Rが水素原子である場合の下記化合物(1A)およびRが1価有機基(R10)である場合の下記化合物(1B)が挙げられる。ただし、R、R、R10、およびRBFは、前記と同じ意味を示す。
CHROH(1)
FCORBF(2)
CHOH(1A)
CHR10OCORBF(1B)
化合物(1A)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CHCHOH、
CHCHCHOH、
CH=CHCHOH、
CHCHCHCHOH、
CHClCHClCHCHOH、
CHCHCHOCH(CH)CHOH、
CH=CHCH(OCH)CHOH、
CH=CHCHOCHCHCHOH、
CHCl=CClO(CHOH、
CFClCFClCHCHOH。
化合物(1A)は、容易に入手可能であるか、または公知の方法により容易に合成できる化合物である。たとえば、3,4−ジクロロ−1−ブタノールは、US4261901などに記載される公知の方法で容易に合成できる。また、2−アルコキシアルコール類は、J.Am.Chem.Soc.,49,1080(1927)、Bull.Soc.Chim.Fr.,1813(1960)、Can.J.Chem.,43,1030(1965)、Synthesis,280(1981)などに記載される公知の方法で、容易に合成できる。
また化合物(1B)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CH=CHCHCH(CH)OH、
(CHCHOH。
化合物(1)は、入手の容易さの点から、Rがフッ素原子を含まない基である化合物が好ましい。また、Rがフッ素原子を含む基である場合の化合物(1)は、フッ素含量が20%未満である化合物が好ましく、特に10%未満である化合物であるのが好ましい。
化合物(2)におけるRBFは、ペルフルオロ1価飽和有機基である。化合物(2)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CFCFCOF、
CF(CFCOF、
CFClCFClCFCOF、
CF(CFOCF(CF)COF、
CF(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COF。
化合物(2)自身はフッ素化されないためにフッ素化反応の液相を形成する液状溶媒としても好都合に使用できる。
化合物(1)と化合物(2)のエステル化反応によって化合物(3)を製造する方法は、目的とする化合物(3)のRAFに応じたRを有する化合物(1)として種々の構造のものが入手できることから、種々の構造の化合物(3)が製造できる。さらに該化合物(3)を用いてフッ素化を行うことにより、従来の方法では入手が困難であった化合物(4)を製造できる。従来の方法では入手が困難であった化合物(4)としては、RAF−部分の構造が複雑であるものや、気相フッ素化反応で製造すると多種類の副生成物が生じる低分子量の含フッ素エステル化合物が挙げられる。
本発明においては、エステル化合物と前記アシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物においてフッ素化を行う。この液状混合物は、種々の方法で入手したエステル化合物をアシルフルオリド基を有する化合物に含ませることによって入手してもよい。しかし、本発明における液状混合物は水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とのエステル化反応により入手するのが好ましい。
たとえば、該エステル化反応において、水酸基を有する化合物の水酸基の全てをエステル化するために必要な化学量論量より多い量であり、かつ、未反応のアシルフルオリド基を有する化合物が反応生成物中に残る程度の量であるアシルフルオリド基を有する化合物を用いて、エステル化反応をすることにより、エステル化合物とアシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物を入手するのが好ましい。
たとえば、化合物(3)と化合物(2)との液状混合物を入手する場合には、化合物(1)を化合物(2)とエステル化反応させる際に、化合物(1)に対して化学量論的量よりも多い量(以下、「過剰量」という)の化合物(2)の存在下に反応を行うことにより、該反応生成物は化合物(3)と化合物(2)との液状混合物となりうる。エステル化反応は高転化率で進行しうる反応であることから、化合物(2)を過剰量用いてエステル化反応を実施した場合には、化合物(1)の実質的に全てが反応に消費され、反応生成物はエステル化反応で生成する化合物(3)と、未反応の化合物(2)との液状混合物になりうる。この場合において、化合物(2)は化合物(1)に対して1.1倍モル以上を用いるのが好ましく、特に1.1〜10倍モル以上を用いるが好ましい。
アシルフルオリド基を有する化合物(たとえば化合物(2))を過剰量用いて水酸基を有する化合物(たとえば化合物(1))とのエステル化反応を実施する方法では、水酸基を有する化合物の実質的に全てが反応に消費されうる。したがって、つぎのフッ素化反応を実施する前において、反応生成物中の水酸基を有する化合物の除去工程を省略できる利点がある。また、つぎのフッ素化反応において、水酸基が、取り扱いに注意を要する−OF基に変換されるのを防止できる利点もある。すなわち、化合物(1)と過剰量の化合物(2)とのエステル化反応生成物を液状混合物とする方法を採用した場合には、エステル化反応後の化合物(1)を分離する工程を実施しなくても、次のフッ素化反応を実施できる有利な方法である。
化合物(1)と化合物(2)とのエステル化反応は、化合物(2)以外の溶媒(以下、溶媒1という。)の存在下に実施してもよいが、化合物(2)の過剰量を用い、かつ溶媒1の不存在下に実施するのが、作業効率の点から好ましい。溶媒1を特に用いなくても、過剰量の化合物(2)は溶媒としても作用するため、エステル化反応は充分に進行しうる。
また、化合物(1)と化合物(2)との反応ではHFが発生するため、HFの捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(フッ化ナトリウム等)を反応系中に存在させてもよい。HFの捕捉剤は、化合物(1)または化合物(2)が酸に不安定である場合には使用するのが特に好ましい。また、HFの捕捉剤を使用しない場合には、HFを窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好ましい。アルカリ金属フッ化物を用いる場合の量は化合物(2)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。
化合物(1)と化合物(2)との反応における反応温度は、通常の場合、−50℃以上であるのが好ましく、+100℃以下または溶媒の沸点温度以下が好ましい。また、該反応の反応時間は原料の供給速度と反応に用いる化合物量に応じて適宜変更されうる。反応圧力(ゲージ圧、以下同様)は常圧〜2MPaが好ましい。
本発明においては、エステル化合物とアシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物においてフッ素化を行う。たとえば、エステル化合物が化合物(3)である場合には、化合物(3)と化合物(2)との液状混合物においてフッ素化反応を行う。化合物(2)は、フッ素化反応の液相として機能しうる。
アシルフルオリド基を有する化合物は、エステル化合物と類似または共通の構造を有する化合物であることから、エステル化合物を良好に溶解しうる化合物である。特に化合物(2)は、RBFが含フッ素の基であることから、これを必須とする液状混合物にはフッ素が良好に溶解しうる。また化合物(2)は化合物(3)と一部の構造が類似または共通であることから化合物(3)の良溶媒である。
液状混合物中の化合物(2)は、化合物(3)に対して5倍質量以上にするのが好ましく、特に10〜100倍質量にするのが好ましい。また、フッ素化反応においては、化合物(2)が消費されるため、適宜フッ素化反応の反応系中に化合物(2)を添加して該量となるように調節するのが好ましい。
また、化合物(2)中のRBFの構造は、化合物(1)中のRの構造と関係させながら、化合物(3)がフッ素化時に液相中に溶解しやすいように調節するのが好ましい。たとえば、化合物(3)において、該化合物(3)のフッ素含有量が30質量%以上になるように、RBFの構造を調節するのが好ましい。また後で説明するRが水素原子である場合において、RBFをRAFと同一になるように選択した場合には、反応生成物の分離工程を簡略化できることから、特に好ましい。
液状混合物をエステル化反応により調製した場合には、エステル化反応の反応粗生成物は、そのままを用いることができるが、必要に応じて後処理を行ってもよい。該粗生成物の後処理方法としては、粗生成物をそのまま蒸留する方法、粗生成物を希アルカリ水などで処理して分液する方法、粗生成物を適当な有機溶媒で抽出した後に蒸留する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等が挙げられる。また、該粗生成物中に水酸基を有する化合物(たとえば、化合物(1))が含まれていた場合には、該化合物(1)できるだけ除去するのが望ましい。水酸基を有する化合物は、液相中に10%以下であるのが好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下とするのがとりわけ好ましい。
本発明におけるフッ素化反応とは、エステル化合物中に、1原子以上のフッ素原子が導入される反応をいう。フッ素化反応は、液相反応で実施する。該フッ素化反応としては、ECF法、コバルトフッ素化法、またはフッ素(F)と反応させる方法が挙げられる。このうち、収率が高く、エステル化合物のフッ素化を有利に進行させうる、液相中でフッ素と反応させる方法(以下、液相フッ素化法という)によるのが好ましい。
液相フッ素化法におけるフッ素としては、フッ素ガスをそのまま用いても、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。窒素ガス中のフッ素ガス量は特に限定されず、10vol%以上とするのが効率の点で好ましく、20vol%以上とするのが特に好ましい。
液相フッ素化反応の液相としては、アシルフルオリド基を有する化合物を必須とする。化合物(3)のフッ素化においては、液相としてこの化合物(2)を必須とする。さらにフッ素化反応の基質である化合物(3)や、フッ素化反応で生成する化合物(4)も、液相となりうる。また、液相フッ素化反応の液相としては、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)以外の溶媒(以下、溶媒2という)を含ませてもよいが、本発明の効果を最大限に発揮させるためには、溶媒2は使用しないのが好ましい。
液相フッ素化反応の反応形式は、バッチ方式または連続方式が好ましい。また化合物(3)の液相フッ素化反応は、下記フッ素化法1またはフッ素化法2の方法で実施するのが好ましく、特に反応収率と選択率の点からは、フッ素化法2が好ましい。またフッ素ガスは、バッチ方式で実施する場合においても、連続方式で実施する場合においても、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したものを使用してもよい。
[フッ素化法1]反応器に、化合物(3)と化合物(2)との液状混合物を仕込み、撹拌を開始する。つぎに、所定の反応温度と反応圧力下で、フッ素ガスを反応器中の液相に連続的に供給しながら反応させる方法。
[フッ素化法2]反応器に化合物(2)を仕込み、撹拌を開始する。つぎに所定の反応温度と反応圧力下で、化合物(3)と化合物(2)の液状混合物とフッ素ガスとを反応器中の液相に所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法。
フッ素化法2における化合物(3)と化合物(2)との液状混合物は、化合物(1)を過剰量の化合物(2)と反応させた反応生成物をそのまま、または必要に応じてさらに化合物(2)を加えたものを用いればよい。また、フッ素化法2において化合物(3)を希釈する際には、化合物(3)の濃度を20質量%以下とするのが好ましく、特に10質量%以下とするのが好ましい。
フッ素化反応に用いるフッ素量は、バッチ方式で反応を実施する場合にも、連続方式で実施する場合にも、エステル化合物中の水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量となるようにフッ素を存在させた状態で反応を行うのが好ましく、特に1.5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)となるようにフッ素を使用するのが選択率の点から好ましい。またフッ素量は、反応の開始時点から終了時点まで常に過剰当量に保つのが好ましい。
フッ素化反応の反応温度は、通常は−60℃以上かつエステル化合物の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から−50℃〜+100℃が特に好ましく、−20℃〜+50℃がとりわけ好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、0〜2MPaが、反応収率、選択率、工業的な実施のしやすさの観点から特に好ましい。
さらに、フッ素化反応を効率的に進行させるためには、反応系中にC−H結合含有化合物を添加する、または、紫外線照射を行う等の操作を行うのが好ましい。該操作を行った場合には、反応系中に存在するエステル化合物を効率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。
C−H結合含有化合物としては、エステル化合物以外の有機化合物であり、特に芳香族炭化水素が好ましく、とりわけベンゼン、トルエン等が好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、エステル化合物中の水素原子に対して0.1〜10モル%であるのが好ましく、特に0.1〜5モル%であるのが好ましい。また、このC−H含有化合物を溶媒で希釈して添加する場合には、希釈溶媒もアシルフルオリド基を有する化合物(たとえば化合物(2))であるのが好ましい。
C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ素ガスが存在する状態で添加するのが好ましい。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては、0.01〜5MPaが好ましい。
フッ素化反応において、水素原子がフッ素原子に置換された場合には、HFが副生する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。該HF捕捉剤としては、前述のものと同様のものが用いられ、NaFが好ましい。
反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、エステル化合物中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが特に好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(a)冷却器(10℃〜室温に保持するのが好ましく、特には約20℃に保持するのが好ましい。)(b)NaFペレット充填層、および(c)冷却器(−78℃〜+10℃に保持するのが好ましく、−30℃〜0℃に保持するのが好ましい)を(a)−(b)−(c)の順に直列に設置するのが好ましい。なお、(c)の冷却器からは凝集した液を反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。
本発明のフッ素化では、含フッ素エステル化合物が生成する。フッ素化反応では、エステル化合物の炭素骨格に対応する構造の含フッ素エステル化合物が生成する。ただし、エステル化合物中に炭素−炭素不飽和結合がある場合には、該不飽和結合の1個以上にフッ素原子が付加して結合状態が変化していてもよい。たとえば、化合物(3)のフッ素化では化合物(4)が生成する。化合物(4)は化合物(3)の分子中に1原子以上のフッ素原子が導入された化合物である。
化合物(4)中のRAFはRに対応する基である。Rがフッ素化されうる水素原子や不飽和結合を有する1価有機基であって該基がフッ素化された場合のRAFは、Rがフッ素化された基である。また、Rがフッ素化されない1価有機基である場合やフッ素化されうる基であってもフッ素化されなかった場合には、Rと同一の基である。RAFとRにおいてはフッ素化反応の前後で炭素原子の並び方に変更はない。また、RBFは化合物(3)中のRBFと同一の基である。R1Fは、Rが水素原子である場合のR1Fはフッ素原子である。Rが1価有機基である場合のR1FはRとそれぞれ同一でも異なっていてもよい1価有機基であり、RとR1Fとが異なる場合のR1FはRがフッ素化された1価有機基である。
含フッ素エステル化合物は、エステル化合物がペルフルオロ化された化合物であるのが好ましい。化合物(4)のRAFは、化合物(3)におけるRが水素含有基である場合が化合物の入手しやすさの点で好ましいことから、フッ素化された基であるのが好ましく、特にペルフルオロ化された基であるのが好ましい。
化合物(4)としては、下記化合物(4A)および下記化合物(4B)が挙げられる。ここで、RAF、RBFは、前記と同じ意味を示す。
AFCFR1FOCORBF(4)
AFCFOCORBF(4A)
AFCFR10FOCORBF(4B)
さらに、RAFは、Rが1価飽和炭化水素基、部分ハロゲン化1価飽和炭化水素基、エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素基、または部分ハロゲン化(エーテル性酸素原子含有1価飽和炭化水素)基であり、RAFがこれらのRに存在する水素原子の全てがフッ素原子に置換された基であるのが好ましく、特に、Rがアルキル基、部分クロロアルキル基、アルコキシアルキル基、または部分クロロ(アルコキシアルキル)基であり、RAFがこれらのRに存在する水素原子の全てがフッ素原子に置換された基であるのが好ましい。
また、化合物(4B)のR10Fは、R10と同一であっても異なっていてもよい1価有機基であり、異なる場合にはR10がフッ素化された1価有機基である。R10FはR10がペルフルオロ化された1価有機基であるのが好ましく、ペルフルオロアルキル基であるのが特に好ましく、トリフルオロメチル基であるのが化合物の有用性の点でとりわけ好ましい。
化合物(4A)の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
CF(CFOCOCFCF
CF(CFOCF(CF)CFOCOCF(CF)OCFCFCF
CF(CFOCF(CF)CFOCF(CF)CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CFCFCF(OCF)CFOCOCF(CF)OCFCFCF
CFCFCFO(CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CFClCFClO(CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFCF
CFClCFClCFCFOCOCFCFClCFCl。
化合物(4B)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(CFCFOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF
CFCFCFCF(CF)OCOCF(CF)O(CFCF
フッ素化反応の反応生成物である含フッ素エステル化合物は、そのまま、または他の化合物に化学変換されることにより有用に用いうる。含フッ素エステル化合物が、分解されうるエステル結合を有する化合物である場合、特に化合物(4)である場合には、エステル結合の分解反応を行うことにより、他の化合物に導いてもよい。
ここで、フッ素化反応の生成物中には、含フッ素エステル化合物が含まれる。また、フッ素化反応をアシルフルオリド基を有する化合物の存在下に行った場合に、該アシルフルオリド基を有する化合物がフッ素化されない化合物である場合には該化合物と同一の化合物、アシルフルオリド基を有する化合物がフッ素化された場合にはフッ素化されたアシルフルオリド基を有する化合物、がフッ素化反応の生成物中に含まれる。また、HF補捉剤や溶媒2を用いた場合にはこれらも反応生成物中に存在しうる。
含フッ素エステル化合物において、エステル結合の分解反応を行う際には、フッ素化反応の反応生成物から含フッ素エステル化合物を精製して取り出してもよく、または、反応生成物をそのまま次のエステル結合分解反応に用いてもよく、特に後者においてエステル結合の分解反応を行うのが好ましい。精製をする場合には、粗生成物をそのまま常圧または減圧下に蒸留する方法等が挙げられる。
化合物(4)においてエステル結合の分解反応を行った場合には、下記化合物(5)および前記化合物(2)が生成する。該化合物(5)としては、化合物(5A)と化合物(5B)が挙げられる。ただし、RAF、R1F、およびR10Fは、前記と同じ意味を示す。
AFCOR1F(5)
AFCOF(5A)
AFCOR10F(5B)
化合物(5B)は含フッ素ケトンとして、それ自体が溶剤等として有用な化合物である。また、還元反応により含フッ素アルコールに導くこともできる。また、化合物(5A)は、フッ素樹脂モノマーや含フッ素アルコールの原料として有用な化合物である。
化合物(5A)の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
CFCFCOF、
CF(CFCOF、
CFClCFClCFCOF、
CFCFCFOCF(CF)COF、
CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF、
CF(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COF、
CFClCFClO(CFCOF。
また化合物(5B)の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
(CFC(O)、
CFCFCFC(O)(CF)。
エステル結合の分解反応は、加熱することによりエステル結合を分解する、または、求核剤の存在もしくは求電子剤の存在下にエステル結合を分解する、ことにより実施するのが好ましい。
加熱することによりエステル結合を分解する場合(以下、熱分解という)、含フッ素エステル化合物の沸点とその安定性により熱分解反応の形式を選択するのが好ましい。たとえば、気化しやすい含フッ素エステル化合物を熱分解する場合には、気相で連続的に分解させて、生成物を含む出口ガスを凝縮、回収する気相熱分解法を採用しうる。
気相熱分解法の反応温度は50〜350℃が好ましく、50〜300℃が特に好ましく、とりわけ150〜250℃が好ましい。また、反応には直接は関与しない不活性ガスを反応系中に共存させてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。不活性ガスは含フッ素エステル化合物に対して0.01〜50vol%程度を添加するのが好ましい。不活性ガスの添加量が多いと、生成物回収量が低減することがある。
また気相熱分解法においては、管型反応器を用いるのが好ましい。管型反応器を用いる場合の滞留時間は、空塔基準で0.1秒〜10分程度が好ましい。反応圧力は特に限定されない。また、含フッ素エステル化合物が高沸点化合物の場合には、減圧下で反応を実施するのが好ましい。特に含フッ素エステル化合物が低沸点化合物である場合には、生成物の分解が抑制され、かつ反応率が高くなることから、加圧下で反応を実施するのが好ましい。
管型反応器を用いて気相反応を行う場合には、反応を促進させる目的で、反応管中にガラス、アルカリ金属の塩、またはアルカリ土類金属の塩を充填するのが好ましい。エステル結合の分解反応を含フッ素エステル化合物と、アシルフルオリド基を有する化合物または該化合物のフッ素化物との混合物において行う場合には、これらの充填物は、アシルフルオリド基を有する化合物の分解反応を促進させないものから選択するのが好ましい。
アルカリ金属の塩またはアルカリ土類金属の塩としては、炭酸塩またはフッ化物が好ましい。ガラスとしては、一般的なソーダガラスが挙げられ、特にビーズ状にして流動性を上げたガラスビーズが好ましい。アルカリ金属の塩としては、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸リチウムが挙げられる。アルカリ土類金属の塩としては、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムまたは炭酸マグネシウム等が挙げられる。さらに、反応管中にガラス、アルカリ金属の塩、またはアルカリ土類金属の塩を充填させる場合に、ガラスビーズや、炭酸ナトリウムの軽灰等であって、粒径が100〜250μm程度であるものを用いると、流動層型の反応形式を採用できることから特に好ましい。
一方、含フッ素エステル化合物が気化しにくい化合物である場合には、反応器内で液のまま加熱する液相熱分解法を採用するのが好ましい。この場合の反応圧力は限定されない。通常の場合、エステル結合分解反応の生成物は、含フッ素エステル化合物より低沸点であることから、生成物を気化させて連続的に抜き出す反応蒸留形式による方法で得るのが好ましい。また加熱終了後に反応器中から一括して生成物を抜き出す方法であってもよい。この液相熱分解法の反応温度は50〜300℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。
液相熱分解法でエステル結合の分解反応を行う場合には、フッ素化反応の反応生成物をそのまま用いて反応を行うのが作業性の点で好ましい。該反応生成物には、溶媒を加えてもよいが、溶媒は加えないのが好ましい。たとえば、化合物(2)と化合物(3)との液状混合物のフッ素化反応では、化合物(2)と、化合物(4)が生成物中に含まれるが、エステル結合の分解反応は、化合物(2)と化合物(4)の混合物において行い、化合物(2)以外の溶媒(以下、溶媒3という。)は存在させないのが好ましい。この場合、化合物(2)は適宜添加しうる。化合物(2)は、エステル結合の分解反応における液相としても作用しうる。
また、化合物(4)自体が液状である場合には、無溶媒でエステル結合の分解反応を行ってもよい。無溶媒で行う方法は、容積効率や副生成物抑制の観点から好ましい。一方、溶媒3を用いる場合は、化合物(4)と反応せず、かつ化合物(4)と相溶性のあるもので、生成物と反応しないものから選択するのが好ましい。
溶媒3の具体例としては、ペルフルオロトリアルキルアミンなどの不活性溶媒、クロロフルオロカーボン類等のなかでも高沸点であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(たとえば、商品名:フロンルーブ)等が好ましい。
また、含フッ素エステル化合物を液相中で求核剤または求電子剤と反応させる方法で、エステル結合の分解反応を行う場合も、無溶媒で行っても、溶媒の存在下に行ってもよい。化合物(4)において該反応を溶媒の存在下で行う場合には、化合物(2)の存在下で行うのが好ましい。求核剤としてはFが好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のFが好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF、KF、CsFがよく、これらのうち経済性の面からNaFが、反応効率の点からはKFが特に好ましい。
化合物(4)を求核剤(たとえばF)と反応させる方法でエステル結合の分解反応を行う場合には、化合物(4)のエステル結合中に存在するカルボニル基にFが求核的に付加し、RAFCFR1Fが脱離するとともに化合物(2)が生成する。RAFCFR1FからはさらにFが脱離して化合物(5)が生成する。ただし、分解反応の条件によっては、化合物(4)がさらに分解して他の化合物(たとえば不飽和化合物)が生成することもある。脱離したFは別の化合物(4)と同様に反応する。したがって、反応の最初に用いる求核剤は触媒量であってもよく、過剰に用いてもよい。すなわちF等の求核剤の量は化合物(4)に対して1〜500モル%が好ましく、10〜100モル%が特に好ましく、とりわけ5〜50モル%が好ましい。反応温度は、−30℃〜溶媒または化合物(4)の沸点までの間が好ましく、−20℃〜250℃が特に好ましい。この方法も、反応蒸留形式で実施するのが好ましい。
含フッ素エステル化合物が化合物(4A)である場合には、エステル分解反応の反応生成物中には、通常の条件では化合物(5A)とともに、化合物(2)が含まれる。また、化合物(2)の存在下でエステル結合の分解反応を行った場合には、反応生成物中に化合物(2)が含まれる。
該反応生成物中の化合物(5A)と化合物(2)は、通常の分離方法で容易に分離できるが、化合物(5A)が化合物(2)と同一構造となるように原料化合物を選択した場合、すなわち化合物(4A)においてRAFとRBFとが同一構造になるように基の構造を選択した場合、には、反応生成物である化合物(5A)と化合物(2)が同一化合物であるために、反応生成物の分離の手間を省くことができる。
本発明方法における好ましい態様としては、RAFとRBFとが同一構造になるように基の構造を選択し、化合物(3A)を過剰量の化合物(2)を必須とする液相中でフッ素化し、該フッ素化で生成する化合物(4A)と化合物(2)の混合物を、次のエステル結合の分解反応に導く方法が挙げられる。該方法においては、エステル結合の分解反応の生成物である化合物(5A)と、化合物(2)とが同一化合物になり、生成物を分離精製する工程を簡略化できる。また、各反応に溶媒を用いる場合にも、化合物(2)のみを溶媒として採用することにより、使用する溶媒の種類を減らすことができ、後処理が省略できる。
また、他の好ましい態様としては、化合物(1)を化合物(2)とエステル化反応させる際に、過剰量の化合物(2)の存在下に反応うことにより化合物(3)と化合物(2)の液状混合物を得て、これをフッ素化反応に用いる方法が挙げられる。該方法によれば、フッ素化反応前に化合物(1)を除去する手間も省くことができる。さらに、フッ素化反応で生成した化合物(4)と化合物(2)の混合物においてエステル結合の分解する反応を行う方法が挙げられる。これらの一連の反応は、同一の反応器内で行うこともできる。
さらに他の好ましい態様として、エステル結合の分解反応生成物から得た化合物(5A)または化合物(2)を、化合物(1)と反応させる化合物(2)として再利用する方法が挙げられる。該方法は連続して化合物(5A)を製造できる方法である。すなわち、該化合物(4A)と化合物(2)の液状混合物を用いてエステル結合の分解反応を行った反応生成物から化合物(2)を得て、該化合物(2)の一部または全部を再び化合物(1A)との反応に用いることにより、化合物(5A)を連続製造することができる。この方法は、安価に入手が可能な原料化合物(1A)から所望の化合物(5A)を連続製造できる方法である。
<実施例>
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下において、ガスクロマトグラフィをGCと、ガスクロマトグラフィ質量分析をGC−MSと、ミリリットルをmLと記す。NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト範囲として示した。13C−NMRにおける基準物質CDClの基準値は、76.9ppmとした。19F−NMRによる定量ではCを内部標準に用いた。
[例1]
<例1−1>CFCFCFOCF(CF)COOCHCH(CH)OCHCHCHとCFCFCFOCF(CF)COFとの液状混合物の製造例
CHCHCHOCH(CH)CHOH(620.1g)をフラスコに入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。CFCFCFOCF(CF)COF(3604g)を内温を25〜35℃に保ちながら8時間かけて滴下した。滴下終了後、CFCFCFOCF(CF)COOCHCH(CH)OCHCHCHとCFCFCFOCF(CF)COFとを含む反応生成物に、窒素ガスのバブリングを続けながら室温で2時間撹拌することにより、標記液状混合物を得た。該液状混合物をそのまま例1−2の反応に用いた。
<例1−2>CFCFCFOCF(CF)COOCFCF(CF)OCFCFCFの製造例
3Lのニッケル製オートクレーブに、CFCFCFOCF(CF)COF(2340g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.5時間吹き込んだ後、窒素ガスで20vol%に希釈したフッ素ガス(以下、20%フッ素ガスと記す。)を、流速8.91L/hで3時間吹き込んだ。
つぎに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1−1で得た液状混合物(106g)を45.6時間かけて注入した。
ついで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるCFCFCFOCF(CF)COF溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら18mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。つぎに圧力を常圧にし、反応器内温度を40℃に保ちながら、上記のベンゼン溶液を6mL注入し、オートクレーブのベンゼン注入口を閉め、さらにオートクレーブの出口バルブを閉め、圧力が0.20MPaになったところでオートクレーブのフッ素ガス入口バルブを閉めて、1時間撹拌を続けた。さらに、同様の操作を1回くり返した。
ベンゼンの注入総量は0.309g、CFCFCFOCF(CF)COFの注入総量は30mLであった。さらに、窒素ガスを2.0時間吹き込んだ。反応後、蒸留精製して標記化合物(85.3g)とCFCFCFOCF(CF)COFとを含む反応生成物を得た。反応生成物中の標記化合物の分析結果を、以下に示す。
沸点:46〜51℃/5.2kPa。
ハイレゾルーションマススペクトル(CI法)664.9496(M+H.理論値:C12HF24=664.9492)。
19F−NMR(564.6MHz、溶媒CDCl/C、基準:CFCl)δ(ppm):−80.6(1F),−80.8 および −80.9(3F),−81.6〜−83.1(2F),−82.6(6F),−82.8(3F),−86.7(1F),−87.4(1F),−87.5(1F),−130.6(4F),−132.2(1F),−145.7 および −145.9(1F)。
13C−NMR(150.8MHz、溶媒CDCl/C、基準:CDCl)δ(ppm):100.26 および 100.28,102.8,106.8,107.0,116.0,116.2,116.5 および 116.6,117.4,117.5,117.9,117.9,152.2 および 152.3。
<例1−3>CFCFCFOCF(CF)COFの製造例
例1−2で得たCFCFCFOCF(CF)COOCFCF(CF)OCFCFCF(83.0g)を含む反応生成物を、NaF粉末(1.1g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌を行いながらオイルバス中で140℃で15時間加熱した。フラスコ上部に70℃に温度調節した還流器を通して液状サンプル(81.3g)を回収した。液状サンプルを蒸留精製して得た生成物をGC−MSで分析することによって、CFCFCFOCF(CF)COFの生成を確認した。
<例1−4>CFCFCFOCF(CF)COFの連続製造例
例1−3の方法で得たCFCFCFOCF(CF)COF(81.2g)と、CHCHCHOCH(CH)CHOH(14.0g)とを用いて、例1−1と同様に反応させることにより、CFCFCFOCF(CF)COOCHCH(CH)OCHCHCHとCFCFCFOCF(CF)COFとを含む液状混合物(94.0g)を得た。該液状混合物おいて、次に、例1−2および例1−3と同様の反応を行うことにより標記化合物を得た。
[例2]
<例2−1>CH=CHCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCFの製造例
CH=CHCH(OCH)CHOH(270g)をNaF(334g)とともに20℃の冷媒を循環させた還流器をもつ2L耐圧反応器中に仕込み、−10℃で撹拌した。反応器中に窒素ガスをバブリングすることにより、反応によって副生するHFを上部還流器より系外に排出しながら、FCOCF(CF)OCFCFCF(1055g)を1.5時間かけて滴下した。この際、反応器の内温が0℃以下になるように温度を調節した。滴下終了後30℃で18時間撹拌し反応を終了した。
反応終了後の粗液中に含まれるNaFを濾別することにより粗生成物(981g)を得た(収率86.4%)。NMRによる分析の結果、標記混合物をFCOCF(CF)OCFCFCFとの液状混合物として得た。標記化合物の分析結果は以下のとおりである。
H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl,基準:TMS)δ(ppm):3.29(s,3H),3.85〜3.90(m,1H),4.24〜4.45(m,2H),5.34(s,1H),5.39(d,J=8.4Hz,1H),5.59〜5.71(m,1H)。
19F−NMR(282.7MHz,溶媒:CDCl,基準:CFCl)δ(ppm):−81.8(3F),−82.6(3F),−79.9〜−87.5(2F),−130.2(2F),−132.3(1F)。
<例2−2>CHClCHClCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCFとFCOCF(CF)OCFCFCFとの液状混合物の製造例
例2−1の方法で得たCH=CHCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF(981g)を含む液状混合物を、0℃に冷却したジムロートを取り付けた2Lの3つ口フラスコ中に仕込み、−10〜0℃で撹拌を行いながら塩素ガスを0.8g/分の速度で導入し反応を行った。170gの塩素ガスを導入した時点で反応を終了し粗液1084gを得た。
得られた粗液を6〜7mmHgの減圧下に蒸留精製し744gの生成物を得た。NMRおよびガスクロマトグラフによる分析の結果、CHClCHClCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCFとFCOCF(CF)OCFCFCFをGC純度98%含む液状混合物の生成を確認した。CHClCHClCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCFとFCOCF(CF)OCFCFCFの分析結果は以下のとおりである。
H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl,基準:TMS)δ(ppm):3.45(d,J=1.5Hz) and 3.47(s) and 3.55(d J=0.6Hz) total 3H,3.56〜3.80(m,2H),3.82〜4.12(m,2H),4.43〜4.57(m,1H),4.65(dd,J=6.3Hz,11.4Hz) and 4.89(ddd,J=42.4Hz,12.0Hz,3.0Hz) and 5.49(q,J=5.1Hz) total 1H。
19F−NMR(376.0MHz,溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−79.93〜−80.65(1F),−81.72〜−81.80(3F),−82.47〜−82.56(3F),−86.46〜−87.22(1F),−130.07〜−130.19(2F),−132.26〜−132.47(1F)。
<例2−3>CFClCFClCF(OCF)CFOCOCF(CF)OCFCFCFの製造例
3Lのニッケル製オートクレーブに、CFCFCFOCF(CF)COF(3523g)を加えて撹拌し、5℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを3.5時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、流速26.52L/hで1時間吹き込んだ。
つぎに該流速で20%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例2−1と例2−2の方法で得たCHClCHClCH(OCH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF(415g)を含む液状混合物を22.5時間かけて注入した後、反応粗液(261g)を抜き出した(操作1)。同様に下表に示す操作2〜3を行った。つぎに、オートクレーブ内の温度を25℃にして、22時間保った後に、フッ素ガスの吹き込みを止めて、窒素ガスを3.0時間吹き込み、反応粗液(3530g)を抜き出した。
反応粗液をあわせてGC−MSで分析した結果、CFCFCFOCF(CF)COFと標記化合物を主成分とする混合物であり、標記化合物(1A)の収率は71%であった。
Figure 2002026688
[例3]
<例3−1>(CHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFとFCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの液状混合物の製造例
(CHCHOH(7.0kg)を反応器に入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。FCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF(61.0kg)を反応器内温を25〜30℃に保ちながら25時間かけて添加した。添加終了後、反応器内温を30℃に保ちながら24時間撹拌し、標記液状混合物を粗液として65.1kg得た。GCによる(CHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの純度は98%であった。
<例3−2>(CFCFOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの製造例
4Lのニッケル製オートクレーブに、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF(4992g)を加えて撹拌し、20℃に保った。オートクレーブガス出口には0℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを2.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで50%に希釈したフッ素ガス(以下、50%フッ素ガスと記す。)を、流速50.10L/hで2.0時間吹き込んだ。
つぎにオートクレーブ内温を25℃にして、該流速で50%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例3−1で得た(CHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF(208g)含む液状混合物を3.5時間かけて注入した後、反応粗液(262g)を抜き出した(操作1)。同様に下表に示す操作2〜8を行った。
Figure 2002026688
操作8が終了した反応器内部には4950gの反応粗液が残っていた。操作1〜8で抜き出した反応粗液をあわせてGC−MSにより分析した結果、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COFと標記化合物とを主成分とする混合物であった。各操作において抜き出した反応粗液中に含まれる標記化合物のGC収率を表に示す。
[例4]CFCFCFOCF(CF)CFOCOCF(CF)OCFCFCFの製造例
4Lのニッケル製オートクレーブ反応器に、CFCFCFOCF(CF)COF(5113g)を加えて撹拌し、20℃に保った。オートクレーブガス出口には0℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを1.5時間吹き込んだ後、50%フッ素ガスを、流速100.37L/hで1.5時間吹き込んだ。
つぎに、オートクレーブ内温を25℃にして、該流速で50%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例1−1と同様の反応で得たCHCHCHOCH(CH)CHOCOCF(CF)OCFCFCF(190g)を含む液状混合物を8時間かけて注入した後、反応粗液(262g)を抜き出した(操作1)。同様に下表に示す操作2〜7を行った。
Figure 2002026688
操作7が終了した反応器内部には4720gの反応粗液が残っていた。操作1〜7で抜き出した反応粗液をGC−MSで分析した結果、CFCFCFOCF(CF)COFと標記化合物が主成分とする混合物であった。各操作において抜き出した反応粗液中に含まれる標記化合物のGC収率を表に示す。
[例5]
<例5−1>CH=CHCHOCHCHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFとCFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COFとの液状混合物の製造例
CH=CHCHOCHCHCHOH(11.6kg)とCFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF(50.8kg)を用いて例1−1と同様の反応を行い、標記の液状混合物を得た。CH=CHCHOCHCHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFのGC純度は98%であった。
<例5−2>CFCFCFOCFCFCFOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFの製造例
4Lのニッケル製オートクレーブ反応器に、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF(5003g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを2.0時間吹き込んだ後、50%フッ素ガスを、流速65.33L/hで1.0時間吹き込んだ。
つぎに、該流速で50%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例5−1の方法で得たCH=CHCHOCHCHCHOCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF(214g)を含む液状混合物を8時間かけて注入した後、反応粗液(264g)を抜き出した(操作1)。同様に下表に示す操作2〜10を行った。ただし、操作3以降の操作においては、50%フッ素ガスの流速を98.00L/hに変更した。
Figure 2002026688
操作10が終了した反応器内部には4770gの反応粗液が残った。操作1〜10で抜き出した反応粗液をあわせてGC−MSにより分析した結果、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COFと標記化合物が主成分として混合物であった。各操作において抜き出した反応粗液中に含まれる標記化合物のGC収率を表に示す。
[例6]
<例6−1>CH=CHCHCH(CH)OCOCF(CF)OCFCFCFの製造例
CH=CHCHCH(CH)OH(13.08kg)を反応器に入れ、窒素ガスをバブリングさせながら撹拌した。FCOCF(CF)OCFCFCF(54.29kg)を内温を25〜30℃に保ちながら5時間かけて仕込んだ。仕込み終了後、窒素ガスをバブリングさせながら、内温30〜50℃で70時間攪拌した。
得られた粗液(58.32kg)を精製することなく次工程で使用した。GCによる純度は96.6%であった。NMRスペクトルデータは以下のとおりであった。
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.32(d,J=6.0Hz,3H),2.30〜2.50(m,2H),5.07〜5.21(m,3H),5.61〜5.76(m,1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−79.6(1F),−81.3(3F),−82.0(3F),−86.3(1F),−129.4(2F),−131.5(1F)。
<例6−2>CFCFCFOCF(CF)COOCH(CH)CHCHClCHClの製造例
20℃の還流器を備えた5Lのフラスコ内に、例6−1で得たCFCFCFOCF(CF)COOCH(CH)CHCH=CH(5000g)を含む粗液を仕込み、反応器を−30℃に冷却した。次にClを連続的に供給して反応液にバブリングさせ、反応熱による温度上昇が10℃以下となるようにClの供給速度を制御した。反応が進行して発熱が見られなくなったところで、反応を終了した。反応終了後、反応器の温度を室温にして、窒素ガスを反応液に24時間バブリングさせて過剰のClをパージ除去し、FCOCF(CF)OCFCFCFと標記化合物とを含む粗液(5900g)を得た。GC分析の結果、CFCFCFOCF(CF)COOCH(CH)CHCHClCHClの収率は95%であった。
<例6−3>CFClCFClCFCF(CF)OCOCF(CF)OCFCFCFの製造例
4Lのニッケル製オートクレーブ反応器に、溶媒としてのCFCFCFOCF(CF)COF(4732g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを2.0時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、流速144.30L/hで1.0時間吹き込んだ。
つぎに、流速144.30L/hで20%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例6−2の方法で得たCFCFCFOCF(CF)COOCH(CH)CHCHClCHCl(740g)を含む粗液を22時間かけて注入した後、反応粗液(820g)を抜き出した(操作1)。反応粗液中に含まれる標記化合物GCの純度(溶媒は除く)は28%であった。同様に下表に示す操作2〜7を行った。操作7を終了した反応器内部には3731gの反応粗液が残っていた。
Figure 2002026688
[例7]
<例7−1>CHCl=CClO(CHOHの製造
500mLの4つ口フラスコにテトラヒドロフラン(THF、160mL)、水素化ナトリウム(60%、24g)を仕込み撹拌し、氷冷下、HO(CHOH(260g)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。次に、CHCl=CCl(66g)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、浴温70℃で2.5時間撹拌した。放冷後、氷冷下、水(400mL)、塩化メチレン(400mL)を加え、分液し、塩化メチレン層を有機層として得た。さらに有機層を水(400mL)で洗浄し、乾燥して、標記化合物を分離した。標記化合物の分析結果は以下のとおり。
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.37〜1.79(m,6H)、3.64(t,J=6.3Hz,2H)、4.00(t,J=6.5Hz,2H)、5.47(s,1H)。
<例7−2>CHCl=CClO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)CFOCFCFCFの製造例
例7−1と同様の方法で得たCHCl=CClO(CHOH(1.3kg)とトリエチルアミン(2.5kg)を反応器に入れ、氷浴下撹拌した。CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF(3.4kg)を内温を10℃以下に保ちながら10時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、水30Lを内温15℃以下で加えた。
得られた粗液を分液し、下層を水50Lで2回洗浄、分液をし、モレキュラーシーブで脱水した後、ろ過し、標記液状混合物を得た。標記化合物のGC純度は92%であった。
CHCl=CClO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)CFOCFCFCFの分析結果は以下のとおりである。
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.41〜1.83(m,6H),4.00(t,J=6.0Hz,2H),4.29〜4.45(m,2H),5.48(s,1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−79.9(1F),−81.4(3F),−82.2(3F),−86.5(1F),−129.5(2F),−131.5(1F)。
<例7−3>CFClCFClO(CFOCOCF(CF)OCFCF(CF)CFCFCFの製造例
3Lのニッケル製オートクレーブに、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COF(3807g)を加えて撹拌し、20℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを1.5時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、流速205.23L/hで1.5時間吹き込んだ。
つぎに、オートクレーブ内温を25℃にして、該流速で20%フッ素ガスの吹き込みを続けながら、例7−2で得たCHCl=CClO(CHOCOCF(CF)OCFCF(CF)CFCFCF(169g)を5時間かけて注入した後、反応粗液(262g)を抜き出した(操作1)。同様に下表に示す操作2〜6を行った。
Figure 2002026688
操作6が終了した反応器内部には3386gの反応粗液が残っていた。操作1〜6で抜き出した反応粗液をあわせてGC−MSにより分析した結果、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COFと標記化合物を主成分とする混合物であった。各操作において抜き出した反応粗液中に含まれる標記化合物のGC収率を表に示す。
[例8]CFClCFClCFCFOCOCFCFClCFClの製造例
4Lのニッケル製オートクレーブ反応器に、溶媒としてのCFClCFClCFCOF(3600g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には−10℃に保持した冷却器を設置した。窒素ガスを2.0時間吹き込んだ後、50%フッ素ガスを、流速201.42L/hで1.0時間吹き込んだ。つぎに、20%フッ素ガスを流速201.42L/hで吹き込みながら、反応器内温を5℃に変更し、CHClCHClCHCHOCOCFCFClCFCl(590g)を含むCFClCFClCFCOFとの液状混合物を18時間かけて注入した後、反応粗液(534g)を抜き出した(操作1)。該反応粗液中に含まれる標記化合物のGC純度(ただし、溶媒を除く)は11%であった。同様に下表に示す操作2〜6を行った。
Figure 2002026688
つぎに、反応器内温を25℃に保ちながら、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを流速240.57L/hで24時間吹き込み、さらに窒素ガスで50%に希釈したフッ素ガスを流速95.84L/hで8時間吹き込んだ。つぎに反応粗液270gを抜き出した。反応粗液中に含まれる標記化合物の純度は70%(ただし、溶媒は除く)であった。
つぎに、窒素ガスで50%に希釈したフッ素ガスを流速126.26L/hで吹き込み、反応器内温を25℃に保ちながら、CHClCHClCHCHOCOCFCFClCFCl(249g)を含むCFClCFClCFCOFとの液状混合物を10時間かけて注入した。反応粗液を275g抜き出した。反応器内部には2634gの反応粗液が残った。反応粗液中に含まれる標記化合の純度は86%(ただし、溶媒は除く)であった。
<産業上の利用の可能性>
本発明の方法によれば、エステル化合物の溶解性に優れ、フッ素化反応の液相としても作用しうるアシルフルオリド基を有する化合物の存在下でエステル化合物のフッ素化反応を行うことにより、高収率で含フッ素エステル化合物を製造できる。
フッ素化反応に用いるエステル化合物とアシルフルオリド基を有する化合物の液状混合物は、過剰量のアシルフルオリド基を有する化合物と、水酸基を有する化合物とのエステル化反応で入手できる。該エステル化反応は、反応生成物中の水酸基含有化合物化合物の残存量を少なくできる点でも好都合である。また、エステル化反応後の精製工程工程を簡略化できる利点がある。
また、フッ素化反応生成物中は、含フッ素エステル化合物とともにアシルフルオリド基を有する化合物との混合物となりうる。含フッ素エステル化合物がエステル結合が分解されうる化合物(4)等である場合に、該分解反応をのフッ素化反応の生成物をそのまま用いて実施する方法は、効率的な方法である。
さらに、本発明の方法において、RAFとRBFとが同一になるように基を選択したときには、エステル結合の分解反応で生成する含フッ素エステル化合物(5A)と化合物(2)とが同一の化合物となるため、生成物の分離精製が簡略化できる。
また、化合物(4)のエステル結合の分解反応生成物から得た化合物(2)を化合物(1)と反応させる化合物(2)として用いる方法は、所望の化合物(4)および化合物(5)を効率良く連続製造できる方法として有利な方法である。
また、本発明の方法は、各反応ごとに溶媒を準備する必要なしに実施できる方法である。また次の工程を行う場合に、該工程前に溶媒を分離しなくても実施できる方法である。さらに、R−113などの環境上好ましくない溶媒を使用しなくても実施できる有利な方法である。

Claims (12)

  1. 水酸基を有する化合物とアシルフルオリド基を有する化合物とのエステルであってフッ素化されうる構造を有するエステル化合物を、液相中でフッ素化して含フッ素エステル化合物を製造する際に、エステル化合物と前記アシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物においてフッ素化を行うことを特徴とする含フッ素エステル化合物の製造方法。
  2. エステル化合物が、水酸基を有する化合物にアシルフルオリド基を有する化合物をエステル化反応をさせて製造される化合物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 該水酸基を有する化合物の水酸基の全てをエステル化するために必要な化学量論量より多い量であり、かつ、反応生成物中に未反応のアシルフルオリド基を有する化合物が残る程度の量であるアシルフルオリド基を有する化合物を用いてエステル化反応させることによりエステル化合物とアシルフルオリド基を有する化合物との液状混合物を得る請求項2に記載の製造方法。
  4. エステル化合物が下記化合物(3)であり、アシルフルオリド基を有する化合物が下記化合物(2)であり、含フッ素エステル化合物が下記化合物(4)である請求項1または2に記載の製造方法。
    FCORBF(2)
    CHROCORBF(3)
    AFCFR1FOCORBF(4)
    ただし、RおよびRAFは、それぞれ同一でも異なっていてもよい1価有機基であり、RとRAFとが異なる場合のRAFはRがフッ素化された1価有機基である。RBFは、ペルフルオロ1価飽和有機基である。Rは水素原子または1価有機基である。R1Fは、Rが水素原子である場合にはフッ素原子、Rが1価有機基である場合のRとR1Fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい1価有機基であり、RとR1Fとが異なる場合のR1Fは、Rがフッ素化された1価有機基である。
  5. 化合物(3)と化合物(2)との液状混合物が、下記化合物(1)と該化合物(1)に対して過剰量の化合物(2)を反応させて得た反応生成物である請求項4に記載の製造方法。
    CHROH(1)
    ただし、RおよびRは上記と同じ意味を示す。
  6. 請求項4または5の製造方法で得た化合物(4)において、エステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下記化合物(5)および/または下記化合物(2)の製造方法。
    AFCOR1F(5)
    BFCOF(2)
    ただし、RAFおよびR1Fは、上記と同じ意味を示す。
  7. エステル結合の分解反応を、化合物(3)と化合物(2)との液状混合物のフッ素化反応により得た化合物(4)と化合物(2)との液状混合物において行う請求項6に記載の製造方法。
  8. 化合物(4)と化合物(2)との液状混合物に、化合物(2)以外に溶媒を添加することなくエステル結合の分解反応を行う請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法で得た化合物(2)の一部または全部、またはR1Fがフッ素原子である場合には化合物(5)および/または化合物(2)の一部または全部を、化合物(1)と反応させる化合物(2)として用いる請求項5に記載の製造方法。
  10. AFとRBFとが同一構造の基である請求項4〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 液相中でのフッ素化を、液相中でフッ素と反応させることにより行う請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 液相中でのフッ素化を、化合物(2)以外の溶媒を存在させることなく行う請求項4〜11のいずれかに記載の製造方法。
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