JPS647774B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、電気掃除機の集塵室内の有害微生物
殺傷方法および電気掃除機に係り、集塵室に捕捉
された塵埃中に含まれるダニなどの有害微生物を
殺傷する方法およびその構造に関する。

（従来の技術） 家庭の床、畳、じゆうたんなどには、イエダ
ニ、ハダニ、ツメダニ等のダニ類が生息してお
り、これらのダニ類は、電気掃除機を用いて掃除
を行なう際、塵埃とともに掃除機本体の集塵室内
に集められる。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の電気掃除機においては、このようにして
集塵室内に集められたダニ類は、集塵室内に貯溜
した塵埃を捨てずに長期間放置しておいたような
場合、集塵室内で繁殖しながら掃除機本体外へ脱
出するため、非常に不衛生であつた。

そこで、従来、特開昭59−207124号公報に示さ
れているように、集塵室内に着脱自在に装着され
内部に塵埃が貯溜される紙袋フイルターに殺虫剤
を浸透させておくことによつて、ダニ類を殺傷す
るようにした構造が採られている。しかしなが
ら、この従来の構造では、上述のように殺虫剤を
必要とする問題がある。また、紙袋フイルターを
用いずに、掃除機本体内に形成された集塵室内に
直接塵埃を貯溜する構造とした電気掃除機におい
ては、上記特開昭59−207124号公報に示されてい
るような構造でダニ類を殺傷することはもとより
不可能である。

また、従来、実開昭57−12158号公報あるいは
実開昭51−154065号公報に記載されているよう
に、床面等に熱風を吹き付けて、床面などに存在
するかびや細菌などの殺除や消毒を行なうことを
目的とした電気掃除機が提案されている。

しかし、実開昭57−12158号公報に記載の電気
掃除機は、吸塵盤内にドライヤーを設け、このド
ライヤーの熱風を畳やじゆうたん面に吹き付ける
ものである。したがつて、熱風を発生する手段と
してのドライヤーを設ける必要があり、構造の複
雑化、吸塵盤の大型化等の問題がある。また、か
びや細菌などの殺除は被掃除面である畳やじゆう
たん面に限られているものであり、集塵室内のダ
ニ類などの有害微生物を殺傷するものではない。

また、実開昭51−154065号公報に記載の電気掃
除機は、掃除機本体の排気口からの排気風を別に
設けた加熱器で加熱して熱風としふとんに噴射さ
せて、このふとんの消毒等を行なうものである。
すなわち、叩打機に加熱器を設け、掃除機本体か
らの排気風をこの加熱器を通過させて加熱し叩打
機内に噴出させてふとんに吹き付け、加熱したふ
とんを突起ローラーによつて叩いて塵を叩き出し
て吸塵するものであつて、技術的には実質的に前
記実開昭57−12158号公報記載のものと同一であ
る。すなわち、前記実開昭57−12158号公報に記
載されているドライヤーにおける図示されていな
い熱風吹き付け用のフアンに代えて、掃除機本体
からの排気風を利用しているにすぎないものであ
る。そして、ふとんの塵の吸塵を行なうことから
排気風の大部分はフレキシブルパイプを介して叩
打機と掃除機本体とを還流させられているが、加
熱器からの熱風はふとんを加熱してふとんの消毒
等を行なうもので、電動送風機の排気風を集塵室
内に還流させて加熱し、この還流する排気風によ
つて集塵室内のダニ類等の有害微生物を殺生する
というものではない。また熱風を発生させる手段
としての加熱器はやはり必要であり、叩打機の構
造の複雑化、大型化等の問題がある。なお、前記
実開昭57−12158号公報に示されているものと同
様消毒は叩打機と対向するふとん面に限られるも
のである。

また、実開昭50−154668号公報には、電気掃除
機において、主フイルターを透過して掃除機の本
体ケース内に蓄積した微細塵が、掃除機の運転開
始時の風圧のシヨツクにより浮き上がり排気口よ
り吹き出すことを防止するために、本体ケースに
蓄積塵埃の排出口を設けて、掃除機の運転開始時
（掃除開始時）に、ダストケースの吸込口に一端
側を接続したホースの反対側を前記排出口に接続
した後ブロアモータを運転し、蓄積塵埃を風圧に
より浮き上がらせ、排気風を蓄積塵埃とともに排
出口からホース、吸込口を介してダストケース内
に還流させてこの蓄積塵埃を主フイルターで捕捉
することが記載されている。しかし、この実開昭
50−154668号公報に記載の方法は、本体ケース内
に蓄積された微細塵の排気口からの吹き出しを防
止することを目的として、掃除開始時にごく短時
間排気風を還流させるものであり、還流される排
気風により集塵室内のダニ類などの有害微生物を
殺傷するものではない。

本発明は、このような問題点を解決しようとす
るもので、電気掃除機において、殺虫剤や別途に
加熱器を用いることなく、集塵室内に貯溜された
塵埃中のダニなどの有害微生物を殺傷することが
できるようにすることを目的とするものである。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本発明の電気掃除機の集塵室内の有害微生物殺
傷方法は、電動送風機からの排気風を集塵室に還
流させてこの集塵室内に捕捉された塵埃中のダニ
などの有害微生物を殺傷することができる温度に
加熱し、所定の時間この加熱された排気風を前記
集塵室内に還流させるものである。

また、本発明の電気掃除機は、電動送風機を内
蔵しこの電動送風機の吸込側に連通する集塵室を
内部に設けかつこの集塵室に連通する吸込口を設
けるとともに前記電動送風機の排気側に連通する
接続口を設けた掃除機本体と、前記吸込口と前記
接続口とを連通接続させて前記電動送風機からの
排気風を前記集塵室に還流させる還流手段と、排
気風の還流時前記電動送風機を所定の時間運転後
停止させる電動送風機制御手段とを備えたもので
ある。

（作用） 本発明の電気掃除機の集塵室内の有害微生物殺
傷方法は、電動送風機からの排気風を集塵室に還
流させることにより有害微生物を殺傷可能な温度
まで加熱するとともに、この加熱された排気風を
所定の時間すなわち有害微生物を殺傷可能な時間
集塵室に還流させて、集塵室内に捕捉された塵埃
中のダニなどの有害微生物を殺傷するものであ
る。

本発明の電気掃除機は、還流手段により掃除機
本体の吸込口と接続口とを連通接続させた状態で
電動送風機を運転することにより、排気風を還流
させ、すなわち、電動送風機からの排気風を電動
送風機、接続口、還流手段、吸込口および集塵室
を順次介して再び電動送風機に至る循環気流を生
じさせ、この循環気流を電動送風機内を通過させ
て有害微生物を殺傷可能な温度に加熱させること
によつて、集塵室の温度を上昇させて、この集塵
室内に貯溜された塵埃中のダニなどの有害微生物
を殺傷する。その際、電動送風機制御手段が電動
送風機を所定の時間運転後停止させることによつ
て、前記循環気流の過度の加熱を防止して、電動
送風機の焼損や掃除機本体の変形などを防止する
ものである。

（実施例） 本発明の一実施例を第１図ないし第４図につい
て説明する。

まず、この実施例の電気掃除機の構成を説明す
る。

１は掃除機本体で、前面に通風口２を開口した
本体ケース３と、この本体ケース３の前側に着脱
自在に取着される後面を開口した集塵ケース４と
で構成されている。

前記集塵ケース４の前面側には、円筒形状の吸
込口５が設けられ、集塵ケース４の内部には、こ
の吸込口５と前記通風口２とに連通する集塵室６
が形成されている。また、この集塵室６の後端部
には、その後面の開口を介して挿脱されるフイル
ター７が着脱自在に装着されている。さらに、こ
の集塵ケース４には、その上面後端部にクランプ
８が回動自在に設けられているとともに、このク
ランプ８の下方に位置して把手部９が形成されて
おり、下面後端部に係止部１０が突出形成されて
いる。

一方、前記本体ケース３の前面には、その上端
部と下端部とに係合受部１１，１２がそれぞれ形
成され、これら係合受部１１，１２に前記集塵ケ
ース４のクランプ８と係止部１０とがそれぞれ係
合されることによつて、この集塵ケース４が本体
ケース３に着脱自在に取着されるようになつてい
る。

前記本体ケース３の内部には、その通風口２に
吸気側を連通して電動送風機１３が配設され、こ
の電動送風機１３はその前側と後側で、本体ケー
ス３内に立設された保持壁１４，１５により保持
された環状のパツキング１６と、同じく本体ケー
ス３内に立設された保持壁１７により保持された
支持体１８とにより支持されている。そして、本
体ケース３内で、電動送風機１３の吸気側と排気
側とは前記パツキング１６により気密に仕切られ
ている。

また、前記本体ケース３の若干傾斜した後面に
は、前記電動送風機１３の排気側に連通する複数
の溝状の排気口１９が開口形成されているととも
に、この排気口１９の上方に位置して同じく電動
送風機１３の排気側に連通する後面半円形でかつ
筒状の接続口２０が突出成形されており、この接
続口２０内には上下方向に延びる整流板部２１が
形成されている。そして、これら排気口１９およ
び接続口２０の前面側を覆つてスポンジ状の排気
フイルター２２か設けられている。

また、前記本体ケース３内には、前記電動送風
機１３に電源を供給するための電源コード２３を
巻取つて収納するコードリール装置２４が設けら
れている。また、前記本体ケース３の上面には、
前記電動送風機１３を起動ないし停止するための
操作スイツチ２５が設けられているとともに、こ
の操作スイツチ２５を操作するための第１の押し
ボタン２６と、前記コードリール装置２４を起動
して電源コード２３を巻取るための第２の押しボ
タン２７とがそれぞれ設けられている。

さらに、前記本体ケース３の内部には、第４図
に示すように前記操作スイツチ２５と電気的に並
列に接続され、このスイツチ２５を切つてから所
定時間後に前記電動送風機１３を停止するための
電動送風機制御手段としての遅延タイマースイツ
チ２８が設けられている。

第２図において、３１は還流手段としての可撓
ホースで、蛇腹状で屈曲自在のホース本体３２
と、このホース本体３２の一端に設けられた円筒
形状の図示しない吸込口接続部と、前記ホース本
体３２の他端に設けられた屈曲した円筒形状の接
続口接続部３４とからなつている。そして、前記
吸込口接続部が、前記掃除機本体１の吸込口５の
内周側に着脱自在に嵌合接続され、前記接続口接
続部３４が、前記掃除機本体１の接続口２０の外
周側に着脱自在に嵌合接続されるようになつてい
る。

つぎに、この実施例の作用について説明する。

掃除時には、ホース３１の接続口接続部３４に
延長管および吸込口体を着脱自在に順次接続す
る。そうして、電動送風機１３の駆動により、吸
込口体から塵埃が吸込まれ、延長管およびホース
３１を介して掃除機本体１の集塵室６内に導か
れ、フイルター７によりこの集塵室６内に貯溜さ
れる。また、電動送風機１３からの排気風は、排
気口１９および接続口２０を介して掃除機本体１
外へ排出される。

そして、掃除後などに、集塵室６内に貯溜した
塵埃中のダニ類を殺傷してその消毒を行なうに
は、延長管をホース３１の接続口接続部３４から
脱して、この接続口接続部３４を第２図に示すよ
うに掃除機本体１の接続口２０に接続する。この
とき、ホース３１の吸込口接続部は掃除機本体１
の吸込口５に接続したままにしておく。この状態
で、電動送風機１３を駆動すると、電動送風機１
３からの排気風が接続口２０からホース３１を介
して集塵室６へ還流され、電動送風機１３から接
続口２０、ホース３１、吸込口５および集塵室６
を介して再び電動送風機１３に至る循環気流が生
ずる。

ところで、電動送風機１３の掃除時の駆動状態
の温度上昇は20〜25℃であるから、通常の掃除時
における排気風の温度は40〜50℃となる。一方、
上述のように循環気流を生じさせた場合には、こ
の循環気流が電動送風機１３を通過することによ
つて加熱され、その温度は50℃以上に達し、集塵
室６内の温度も50℃以上に達する。また、ダニは
50℃以上の温度では２〜３分に死滅するから、上
述のように循環気流を生じさせることにより、集
塵室６内のダニを殺傷することができる。

すなわち、殺虫剤あるいは別に設けた外部熱源
などを用いることなく、集塵室６内の塵埃中のダ
ニなどの有害微生物を殺傷することができる。

なお、このとき、ホース３１の接続口接続部３
４が接続される接続口２０は後面半円形状として
あるので、ホース３１の接続口接続部３４からは
外気も取入れられて、循環気流の急激な温度上昇
が防止され、したがつて、急激な温度上昇による
電動送風機１３の焼損などを防止できる。

また、とくに上記実施例の構成によれば、既存
の電気掃除機にほとんど設計変更を加えることな
く、掃除機本体１に電動送風機１３の排気側と連
通する接続口２０を形成するだけで、電動送風機
１３の排気風を集塵室６に還流させることができ
るので、簡単な構造で安価に、集塵室６中のダニ
などの有害微生物を殺傷できる。

このような集塵室６の熱消毒は、電動送風機１
３を起動ないし停止させるための操作スイツチ２
５をオンにした状態でも行なうことができるが、
オフにした状態でも行なうことができる。すなわ
ち、操作スイツチ２５をオフにしてから、電動送
風機１３は遅延タイマースイツチ２８の作動によ
り所定時間例えば３分間以上継続的に運転した後
に停止するので、例えば、掃除終了直後にホース
３１の接続口接続部３４を掃除機本体１の接続口
２０に接続し、ついで操作スイツチ２５をオフに
して、集塵室６の熱消毒を行なうことができる。

このようにすれば、電動送風機１３を停止し忘
れるおそれはない。そして、前述のようにダニを
死滅させるには３分間以上循環気流を発生させれ
ば十分であるが、電動送風機１３は遅延タイマー
スイツチ２８により３分間以上運転した後自動的
に停止するから、実際に集塵室６の消毒を十分に
行なえるとともに、循環気流および電動送風機１
３の過度の温度上昇を防止でき、したがつて掃除
機本体１の熱による変形や電動送風機１３の寿命
低下などを防止でき、安全である。

なお、電動送風機制御手段としては、所定温度
に達した時点でオフになるバイメタルスイツチな
どを用いてもよい。

電動送風機制御手段を遅延タイマースイツチ２
８とした場合には、温度に関係なく、排気風を還
流させる所定時間を任意に設定できる利点があ
る。

これに対して、電動送風機制御手段をバイメタ
ルスイツチとした場合には、このバイメタルスイ
ツチが所定温度に達した時点で動作するものであ
るため、周囲の雰囲気温度に関係なく、たとえ
ば、夏あるいは冬などに間係なく、集塵室６内の
熱消毒を安定的に確実に行なうことができる利点
がある。

また、第２図に示すように、掃除機本体１の上
面に、例えば電動送風機１３の駆動時にホース３
１の接続口接続部３４が接続口２０に接続された
際に点灯する表示部４１を設けてもよい。このよ
うな表示部４１を設ければ、集塵室６の消毒中で
あることがはつきりと表示されるので、使用者に
とつて便利である。

〔発明の効果〕

本発明の方法によれば、電動送風機からの排気
風を集塵室へ還流させて有害微生物の殺傷が可能
な温度まで加熱し、所定の時間この加熱された排
気風を集塵室内に還流させるので、この加熱され
た排気風によつて集塵室中のダニなどの有害微生
物を殺傷することができ、衛生的である。そし
て、排気風を集塵室に還流させるだけでよいの
で、殺虫剤あるいは別の加熱器などを用いること
なく、容易にかつ簡単な構造で、集塵室中のダニ
などの有害微生物を殺傷することができる。

さらに、本発明の電気掃除機によれば、電動送
風機の吸込側と排気側とにそれぞれ連通する掃除
機本体の吸込口と接続口とを連通接続させる還流
手段により、排気風を還流させることができ、し
かも、排気風の還流時電動送風機を所定の時間運
転後停止させる電動送風機制御手段を設けたの
で、ダニなどの有害微生物の殺傷に必要な時間を
自動的に確保できるため、常に安定した集塵室の
熱消毒が行なえるとともに、電動送風機が自動的
に停止することにより、電動送風機を停止させ忘
れることを防止でき、従つて電動送風機の過度の
温度上昇による寿命低下および掃除機本体の熱変
形などを防止でき、安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の電気掃除機の一実施例を示す
一部を切り欠いた側面図、第２図は同上斜視図、
第３図は同上背面図、第４図は同上配線図であ
る。 １……掃除機本体、５……吸込口、６……集塵
室、１３……電動送風機、２０……接続口、２８
……電動送風機制御手段（遅延タイマースイツ
チ）、３１……還流手段（可撓ホース）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電動送風機からの排気風を集塵室に還流させ
   てこの集塵室内に捕捉された塵埃中の有害微生物
   を殺傷することができる温度に加熱し、所定の時
   間この加熱された排気風を前記集塵室内に還流さ
   せることを特徴とする電気掃除機の集塵室内の有
   害微生物殺傷方法。 ２ 電動送風機を内蔵しこの電動送風機の吸込側
   に連通する集塵室を内部に設けかつこの集塵室に
   連通する吸込口を設けるとともに前記電動送風機
   の排気側に連通する接続口を設けた掃除機本体
   と、 前記吸込口と前記接続口とを連通接続させて前
   記電動送風機からの排気風を前記集塵室に還流さ
   せる還流手段と、 排気風の還流時前記電動送風機を所定の時間運
   転後停止させる電動送風機制御手段と、 を備えたことを特徴とする電気掃除機。 ３ 電動送風機制御手段をタイマースイツチとし
   たことを特徴とする特許請求の範囲第２項記載の
   電気掃除機。 ４ 電動送風機制御手段をバイメタルスイツチと
   したことを特徴とする特許請求の範囲第２項記載
   の電気掃除機。