JPS6349209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、炊飯ジヤーの調圧装置、殊に炊飯
中発生する蒸気を所定の制限下で放出させること
により、炊飯器中の飯器内を所定圧に保つ調圧装
置に関する。

この種の調圧装置は、蒸気放出による水分の調
節も相俟つて、ご飯をおいしく炊き上げるのに有
用である。しかし、前記蒸気を放出させるために
飯器蓋に設けられている蒸気放出筒が、器体蓋の
蒸気放出用貫通孔部に露出し、かつ蒸気放出孔を
外部に開口している。このため、保温中や不使用
時に虫やほこりが調圧装置部内に侵入することが
あるし、保温中蒸気放出筒部が外気によつて冷や
され、接触する飯器内蒸気を結露させて、結露水
が飯器内のご飯上に滴下し、その滴下部分のご飯
が冷水の影響により白色化しておいしくなくなる
白ボゲ現象が生じる。

一方、蒸気放出筒の器体蓋外に通じる蒸気放出
口にバイメタルの感温動作によつて開閉されるス
ライドシヤツタを設けたものが実公昭50−29636
号公報で知られている。

しかしこのものではバイメタルが所定温度で蒸
気放出口を開放し、以下では閉じると云つても、
バイメタルの動作特性上温度の変化に変形位置が
変わるので、所定の広さを持つた蒸気放出口を開
閉するのに時間が掛かり、所定温度を境に応答性
よく開閉することはできない。

このため保温中の防塵や防虫になお不安であ
る。

またスライドシヤツタは器体蓋内に設けられて
水平に移動するだけであるので、変化が見にくく
作動しているのかどうかと云つた不安を使用者に
与えるきらいもある。

この考案は、蒸気放出筒の器体蓋外への蒸気放
出口を開放、閉塞する可動部材を、該可動部材と
固定部材間に設けられる形状記憶合金製感熱動作
部材によつて、その温度感知動作で少なくとも炊
飯の際の所定時期中蒸気放出口開放状態に保ち、
他は蒸気放出口閉塞状態に保つようにし、かつ開
放状態へは閉塞状態位置から器体蓋外への動きに
よつて変化するようにすることで、前記従来の欠
点を解消し得る炊飯ジヤーの調圧装置を提供する
ことを目的とするものである。

この考案の構成を、図に示される実施例におい
て説明すれば、第１図の場合、蒸気放出筒１は、
飯器蓋２に一体に付設された基部１ａと、該基部
１ａに対し螺着３されたキヤツプ部１ｂとで形成
されている。基部１ａは、薄板筒４を内周に嵌め
合せられると共に、上端がキヤツプ部１ｂ内周に
形成してる上向き段部を弁座５としている。キヤ
ツプ部１ｂは、その周壁の弁座５より上方位置
に、また天板部に、それぞれ蒸気放出口６が形成
される一方、天板部の中央孔７に、前記弁座５に
着座するピストン動作式調圧弁８の弁棒８ａを上
下動自在に嵌挿保持している。飯器蓋２の基部１
ａ形成部周りの上面に、器体蓋９に形成されてい
る蒸気放出用貫通孔１０の口金１１下端と圧接す
る皿形パツキング１２が当てがわれていて、皿形
パツキング１２の底部にパツキング１２の内外を
連通させる連通孔１３が設けられている。１ｃは
蒸気入口２２、おねば返送孔２３を持つおねば留
め室、１ｄはその開閉用キヤツプである。

蒸気放出筒１は、器体蓋９の貫通孔１０を通じ
て、蒸気放出口６を器体蓋９外へ開口させている
が、貫通孔１０内で上下動自在な外キヤツプ１４
を被せられている。外キヤツプ１４は、その周壁
に蒸気逃し孔１５が、また天板中央に弁棒８ａ上
端の頭部８ｂと対向する蒸気逃し孔１６がそれぞ
れ形成されており、第１図実線の下動位置では、
蒸気逃し孔１６が弁棒頭部８ｂに載つて閉じられ
ると共に、蒸気逃し孔１５が貫通孔１０内に没し
口金１１に螺合２１した口リング１７により閉じ
られて、蒸気放出口６を閉塞する蒸気放出口閉塞
状態となるのに対し、第１図仮想線の上動位置で
は、蒸気逃し孔１５および１６が貫通孔１０外に
開かれ、蒸気放出口６を蒸気逃し孔１５，１６を
通じ器体蓋９外へ開放する蒸気放出口開放状態と
なる、蒸気放出口６開閉用の可動部材をなしてい
る。

外キヤツプ１４と皿形パツキング１２との間に
コイルスプリング状の形状記憶合金製感熱動作部
材１８が、外キヤツプ１４を受載するように設け
られている。感熱動作部材１８は、通常第１図実
線の収縮状態にあつて、外キヤツプ１４を前記蒸
気放出口閉塞状態高さに保持し、炊飯時の蓋ない
しその付帯物や、それらの周りの雰囲気や蒸気に
よる高温度を感知したときのみ第１図仮想線の伸
長状態となつて、外キヤツプ１４を前記蒸気放出
口開放状態高さに保持するようにしている。

これにより、蒸気放出口６は、炊飯中のみ開放
されると共に、外キヤツプ１４は調圧弁８の上動
域外に位置してその上下調圧動作を邪魔しない。
したがつて調圧弁８は、その自重や閉止ばねが働
かされているときはそのばね力を含めて、飯器１
９内が所定圧に達するまでは、弁座５への着座状
態を保ち、蒸気放出筒１自体をその内部で閉塞
し、所定圧以上になると押し上げられて弁座５か
ら離れると共に、周壁の蒸気放出口６を飯器１９
内に連通させて、飯器１９内蒸気が蒸気放出口６
および外キヤツプ１４の蒸気逃し孔１５を通じて
器体蓋９外へ流出するようにし、またこの蒸気流
出により飯器１９内が所定圧以下になると下動し
て弁座５の着座すると云う、通常のピストン調圧
動作を行うことができ、炊飯を首尾よく達成させ
る。

非使用中はもとより保温中でも、蓋ないしその
付帯物や、それらの周りの雰囲気や蒸気の温度
が、炊飯中よりも格段に低くなるので、感熱動作
部材１８は第１図実線の収縮状態となつて、外キ
ヤツプ１４が蒸気放出口閉塞状態に下動させられ
る。このため、蒸気放出筒１内に、虫やほこりが
侵入することはないし、外気によつて蒸気放出筒
１部が外気によつて冷やされることが充分防止さ
れ、飯器１９内蒸気が蒸気放出筒１内に結露し、
またその結露水が飯器１９内ご飯上に滴下してご
飯を白化させるようなことがない。また飯器１９
内の熱が外部に放出され難く、保温効率の向上も
達成される。外キヤツプ１４を透明にすると、弁
８の動作を使用者に視認させ得る。

保温中、飯器１９内が所定圧以上になることが
あると、調圧弁８は外キヤツプ１４を伴つて若干
上動させられて、蒸気放出口６の一部を飯器１９
内に連通させるから、飯器１９内蒸気が外キヤツ
プ１４内に流出して、皿形パツキング１２の連通
孔１３から飯器蓋２および器体蓋９間を通じ、器
体蓋９およびそれが施されている器体２０との間
から外部へと抜けるので、異状高圧の発生は避け
られる。

第２図の場合は、蒸気放出筒１の基部１ａの天
板の連通孔３３と、この天板中央に上下動軸３１
を嵌挿保持され、基部１ａに対し上下動自在に被
さるキヤツプ部１ｂの周壁にやや大きく形成され
ている蒸気放出口６によつて、飯器内蒸気を適当
な流出抵抗を与えながら所定の制限下で放出さ
せ、飯器内を所定圧に調圧するようにしている。
したがつて、前記実施例のような調圧弁は不要で
ある。

基部１ａおよびキヤツプ部１ｂの天板間に、前
記同様の形状記憶合金製感熱動作部材１８が設け
られ、通常キヤツプ部１ｂが器体蓋９の貫通孔１
０内に没した蒸気放出口閉塞状態（第２図実線）
に保持し、炊飯時はキヤツプ部１ｂが貫通孔１０
から突出した蒸気放出口開放状態（第２図仮想
線）に保持するようにしてあり、蒸気放出筒１自
体のキヤツプ部１ｂが蒸気放出口６開閉用の作動
部材となつて、感熱動作部材１８による前記動作
で、前記実止例と同様な作用効果を奏し、構造が
単純化し、また感熱動作部材１８が蒸気温度を感
知してより適正なタイミングで作動し易い特徴を
持つ。

キヤツプ部１ｂの天板には保温中の異常昇圧を
防止する小孔３２が設けられている。

第３図では、器体蓋９の貫通孔１０に、その上
端に装着されている口リング１７の一部へ軸４１
により枢着した蓋体４２が設けられ、この蓋体４
２が口リング１７との間に作用させた棒状の形状
記憶合金製感熱動作部材４３の感熱により、通常
は口リング１７全体に被さつて器体蓋９外面に密
着し貫通孔１０を閉じる蒸気放出口閉塞状態（第
３図実線）に保持され、炊飯時は貫通孔１０を開
く蒸気放出口開放状態（第３図仮想線）に保持さ
れるようにしている。

この場合、蒸気放出筒１の蒸気放出口６の開閉
が、貫通孔１０の開閉によつてなされるから、第
１図の場合同様な蒸気放出筒１を採用してはいる
が、他のどのような形式の蒸気放出筒を用いても
よいし、それとは全く無関係に付設し得る。ま
た、不使用時および保温中は、貫通孔１０自体が
完全に閉じられてしまうから、虫やほこりの侵入
防止が確実であるし、保温効果も一層向上する。

蓋体４２は、実線の蒸気放出口閉塞状態で調圧
弁８を押え込み、弁８が弁座５から外れない閉じ
状態に拘束しておくようなことも必要に応じて行
える。その場合の異常昇圧は、飯器蓋の一部が飯
器口縁から若干持ち上げられることで解消しても
よい。

感熱動作部材４３は、その一部を口リング１７
の一部に係止され、他端側を蓋体４２とそれに止
着した板ばね４５の自由端側との間に挾持される
ことによつて、蒸気放出口６開閉用の可動部材で
ある蓋体４２を感熱温度に応じて無理なく開閉す
るようにしている。キヤツプ部１ｂには外キヤツ
プ１４が係着４６されている。

第４図の場合、器体蓋９の貫通孔１０に、蒸気
逃し孔１５付き外キヤツプ１４を、その蒸気逃し
孔１５部を出没させるよう上下動自在に組合せた
蓋体５１が、口金１１とそれに螺合２１した口リ
ング１７との間に挾着固定して設けられており、
外キヤツプ１４を蓋体５１に対し、コイルスプリ
ング状の形状記憶合金製感熱動作部材５２により
連結して支持し、通常部材５２は伸長状態にあつ
て、外キヤツプ１４をその蒸気逃し孔１５が蓋体
５１内に没する蒸気放出口閉塞状態（第４図仮想
線）に、また炊飯時部材５２は収縮状態になつ
て、外キヤツプ１４をその蒸気逃し孔１５が蓋体
５１外へ臨出する蒸気放出口開放状態（第４図実
線）に、それぞれ保持するようにしている。

この場合も、第３図の実施例と同様な特徴を発
揮することができる。蒸気放出筒１は、蒸気放出
口６とおねば留め室１ｃとだけ持つ最も単純な形
態のものが採用されている。蓋体５１には、外キ
ヤツプ１４が蒸気放出口閉塞状態にあるとき開か
れる異常昇圧防止用の小孔３２が設けられてい
る。

第５図，第６図の場合、器体蓋９の貫通孔１０
の上端に蒸気逃し孔１６を持つた天板６１を設
け、この天板６１を覆う蓋体６２を、天板６１の
一側へ軸６３により枢着して、蒸気逃し孔１６を
開閉できるようにすると共に、蓋体６２はばね６
４により孔１６を閉じる蒸気放出口閉塞状態（第
５図）に常時あるよう付勢され、天板６１にばね
６４の一端と共に止着６５されている板状の形状
記憶合金製感熱動作部材６６が、炊飯時の温度感
知によつてのみ、蓋体６２をばね６４に坑し第６
図の如く持ち上げ、蒸気逃し孔１６を開く蒸気放
出口開放状態とするようにしている。蒸気放出筒
１は第４図のものと同様のものが用いられている
が、どのような形式のものでもよい。蓋体６２に
は昇圧防止用の小片３２が設けられている。

第７図，第８図に示される場合は、第１図に示
されるような蒸気放出筒１を採用し、それに収容
している調圧弁８の弁棒８ａ上端に、器体蓋９の
貫通孔１０を開閉する蓋体７１を結合７２し、キ
ヤツプ部１ｂの天板と調圧弁８との間に、コイル
スプリング状の形状記憶合金製感熱動作部材５２
を介装し、通常部材５２は伸長状態にあつて、弁
８を弁座５への着座状態に適当なばね圧をもつて
保持し、蓋体７１を貫通孔１０を閉じる蒸気放出
口閉塞状態とするのに対して、炊飯時部材５２は
高温感知によつて収縮され、キヤツプ部１ｂ天板
と弁８との間で働かなくなり、弁８は炊飯中飯器
内が設定圧以上になる都度、蓋体７１を伴つて上
動し、蓋体７１を貫通孔１０が開く蒸気放出口開
放状態としながら調圧動作を行う。

器体蓋９の貫通孔１０下端周りには、口金１１
によつてスカート状パツキング７３が装着され、
飯器蓋２表面に圧着するようにしており、保温中
の異常昇圧時は、弁８が部材５２のばね力に坑し
若干押し上げられると共に蓋体７１を少し押し開
くことによつて、飯器内蒸気を放出させて、異常
昇圧を解消するようにしている。蓋７１には異常
昇圧防止用小孔３２が形成されていて、蓋体７１
が貫通孔１０を閉じているときは、キヤツプ部１
ｂ天板の突起７４と嵌り合つて閉じられている
が、蓋体７１が少しでも上動させられると、隙間
ができるか完全に開放されるようにしている。

この考案によれば、蒸気放出筒の器体蓋外への
蒸気放出口を開放、閉塞する可動部材を、該可動
部材と固定部材間に設けられる形状記憶合金製感
熱動作部材の所定温度での形状変化特性によつ
て、その温度感知動作で少なくとも炊飯の際の所
定時期中蒸気放出口開放状態に確実に保ち、他は
蒸気放出口開放状態に確実に保つようにしたか
ら、炊飯中は蒸気放出筒を通じた飯器内調圧が適
確になされると共に、不使用時および保温中は蒸
気放出口を閉塞状態とすることで、蒸気放出筒へ
の虫やほこりの侵入を確実に防止することができ
る。

特に可動部材の閉塞状態から開放状態への変化
は、閉塞状態位置から器体蓋外へ突出するように
なされるので、その状態変化は炊飯状態の変化と
して正しく炊飯動作していることを外部から容易
に確認でき炊飯途中で正しく動作しているかどう
かと云つた不安を与えるようなことも解消され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図から第５図はそれぞれ各別のこの考案の
実施例を示す炊飯ジヤーの部分断面図、第６図は
第５図の実施例の蒸気放出口開放状態を示す一部
断面図、第７図は他の実施例の部分断面図、第８
図は第７図の実施例の蒸気放出口開放状態を示す
一部断面図である。 １…蒸気放出筒、２…飯器蓋、６…蒸気放出
口、８…調圧弁、９…器体蓋、１０…蒸気放出用
透孔、｛１ａ…キヤツプ部、１４…外キヤツプ、
４２，６２，７１…蓋体、｝（蒸気放出口開閉用の
可動部材）、１８，４３，５２，６６…形状記憶
合金製感熱動作部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 飯器蓋の一部に、器体蓋の貫通孔を通じて飯器
   内蒸気を放出する蒸気放出筒を設けた炊飯ジヤー
   の調圧装置において、 前記蒸気放出筒の器体蓋外への蒸気放出口に、
   この蒸気放出口を閉じ状態位置から器体蓋外に突
   出して、開き状態に位置させる可動部材と この可動部材と固定部材間に設けられ温度感知
   により少なくとも炊飯の際の所定温度で、前記可
   動部材を開き状態に保ち、他は閉じ状態に保つ形
   状記憶合金製感熱動作部材とを備えたことを特徴
   とする炊飯ジヤーの調圧装置。