JP3692527B2 - 保温釜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯時に鍋内で発生した蒸気を、蓋体に設けた蒸気口から外部に放出する保温釜に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来の保温釜の一例を、図6〜図8に基づいて説明する。保温釜の全体構成を示す図6において、101は保温釜本体、102は保温釜本体101内に着脱自在に収容される鍋であり、加熱手段である加熱コイル103からの交番磁界により、鍋102の外側面に接合した磁性金属からなる発熱体104が発熱して、鍋102ひいては鍋102内の被炊飯物が加熱されるようになっている。また、105は鍋102の底部に弾発的に接触して、この底面の温度を検出する鍋温度検出手段としての温度センサである。一方、106は保温釜本体101の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、この蓋体106は保温釜本体101の上方後部において、ヒンジ107により回動可能に枢設される。
【0003】
前記蓋体106には、蒸気口に相当する蒸気抜筒体111が着脱可能に設けられる。この蒸気抜筒体111は図7および図8にも示すように、鍋102の内部に連通する筒状の蒸気通路112と、蒸気抜筒体111の上端部上面に設けられ、前記蒸気通路112と連通する蒸気排気孔113と、蒸気通路112から放出する蒸気圧に応じて蒸気排気孔113を開閉する上下動自在な弁体114とにより概ね構成される。そして、炊飯時に鍋102内で発生した蒸気(図8の矢印S参照)は、蓋体106に設けた蒸気通路112を通じて蒸気抜筒体111内に進入し、ここで弁体114を上方に押し上げて蒸気排気孔113を開放することにより、蒸気排気孔113から外部に放出されるようになっている。なお、図7は弁体114の自重により蒸気排気孔113を閉成した状態、図8は蒸気通路112からの蒸気により弁体114が押し上げられて、蒸気排気孔113を開放した状態を示している。
【0004】
次に、従来の保温釜における炊飯時および保温時の加熱制御の一例を説明する。炊飯が始まると、米の吸水を促進するためのひたし炊きが所定時間行われ、その後、本炊飯行程に移行する。この本炊飯行程では、当初加熱量を最大にして加熱コイル103を連続通電する。その後、蒸気排気孔113からのふきこぼれを防止するために、鍋102内の被炊飯物が沸騰する前に、加熱コイル103の加熱量をそれまでよりも弱くする。そして、鍋102の底面温度の上昇が100〜120秒の間に2.5℃以下になったら、鍋102内の沸騰を検知する。
【0005】
本炊飯行程において、鍋102内の水温が沸騰点付近になると蒸気が発生し始め、鍋102の内圧が上昇する。そして、鍋102から蒸気通路112を通じて蒸気抜筒体111に進入した蒸気が、弁体114を上方に押し上げて蒸気排気孔113を開放する。このとき、鍋102の内外が蒸気排気孔113により連通されるため、蒸気排気孔113から外部に蒸気が放出されると、鍋102の内圧が徐々に低下し、弁体114を押し上げる力が次第に弱まる。そして、弁体114がその自重により降下して元の位置に戻り、蒸気排気孔113を閉成すると、鍋102の内圧が再び上昇し、弁体114を押し上げる。こうして、鍋102内から蒸気が発生している間は、弁体114により蒸気排気孔113が開状態となるか、あるいは開閉を繰り返すようになる。
【0006】
鍋102内の沸騰を検知した後も、加熱コイル103の加熱量をそのままとし、沸騰状態を継続する。そして、鍋102内の水分が殆ど無くなり、鍋102の底面温度が沸騰点を越えて急激に上昇するようになったら、本炊飯行程を完了してむらし行程に移行する。鍋102内の水分が殆ど無い状態では、鍋102から蒸気抜筒体111に蒸気が殆ど進入しなくなり、蒸気排気孔113も閉成したままとなる。よって、加熱コイル103の加熱量を落とす沸騰検知直前から本炊飯行程完了までが、実質的に蒸気排気孔113の開状態または開閉繰り返しの期間となる。
【0007】
むらし行程に移行すると、加熱コイル103を一時的に通電して追い炊きを行なう。そして、所定時間のむらし行程が終了すると、一連の炊飯は完了となり、保温行程に自動的に移行する。この保温行程では、鍋102の底面温度に応じて加熱コイル103による加熱が調節され、鍋102が一定温度に保持される。
【0008】
ところで、ご飯を美味しく炊くためには、沸騰を検知するまで強い火力すなわち加熱量で炊き上げることが望まれる。しかし、従来の保温釜では、鍋の内圧の変化に伴う弁体114の昇降により、蒸気排気孔113の開口面積を調整するものであるから、蒸気抜筒体111内の蒸気通路112が狭いと、鍋102内の圧力が高くなり、ふきこぼれが生じ易くなり、このふきこぼれを防止するために蒸気通路112を広くすると保温時に蒸気抜筒体111内が冷え易く、また、鍋102内のご飯の水分が蒸発し易くなる問題がある。
【0009】
また、上記蒸気抜筒体111では、弁体114が上昇することにより蒸気排気孔113が開口するものであるから、万一、蒸気抜筒体111の上に物を乗せると、弁体114の上昇が妨げられ、鍋102内の圧力が上昇した際に動作不良を起こす虞がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、炊飯時におけるふきこぼれを防止し、蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気抜動作が影響を受けない保温釜を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1における保温釜では、内部に下側,中側および上側の3分割された空間を形成した蒸気口の上面に複数の蒸気放出孔を設け、特定の蒸気放出孔に蒸気弁を配置し、炊飯の蒸気発生時に蒸気弁を降下して蒸気放出口の開口面積を拡大することにより、炊飯時には蒸気放出孔が広くなってふきこぼれを防止する。また、蒸気弁が降下することで開口面積を拡大するため、万一蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気弁の動作に影響を受けることがない。
【0012】
また、本発明の請求項2における保温釜では、炊飯が終了し保温になった後、蒸気口内部温度が設定温度以下になったら、蒸気弁を元の位置に復帰させ、蒸気放出孔の開口面積が小さくなるように構成したから、保温時には蒸気放出孔の開口面積が小さくなって蒸気口の冷えを低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項3における保温釜では、蒸気口内部に、炊飯時に設定温度以上で弾性部材が伸びて蒸気弁を下げると共に、弾性部材の線材間の隙間が拡大し、線材間の隙間から蒸気を通過する構成であることにより、弁体動作信号となる蒸気が直接弾性部材に当たるので、蒸気の発生を捕らえ、確実に蒸気弁を動作することができる。また、弾性部材の線材間の隙間から蒸気を通過する構成により、蒸気が発生すると蒸気通路が拡大し、蒸気通過抵抗が小さくなり、この点でもふきこぼれを防止することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4における保温釜では、炊飯後、保温になって形状を記憶する弾性部材が設定温度以下になるとバネが縮み、バネの線材間の隙間がほとんど無くなって、蒸気通路を狭くすると共に、付勢手段が蒸気弁を上げて該蒸気弁を元の位置に復帰させる構成なので、蒸気放出孔の他、蒸気口内部の蒸気通路も狭くするので、蒸気口内を一層冷え難くすることができる。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、本発明の保温釜の一実施例について図1〜図5を参照しながら説明する。保温釜の全体構成を示す図5において、1は保温釜本体で、この保温釜本体1は、その外郭をなす外ケース2と、外ケース2の内側にある有底筒状の内ケース3とにより構成される。鍋収容部に相当する内ケース3には、米や水などの被炊飯物を収容する鍋4が着脱自在に収容される。この鍋4は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料にした鍋本体5と、この鍋本体5の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体6とにより構成される。また、鍋4の発熱体6に対向して位置する内ケース3の外面の側面下部および底面部には、鍋4の少なくとも側面下部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル7が設けられる。さらに、内ケース3の底部中央には、前記鍋4の底面に弾発的に接触してこの底面の温度を検出する鍋温度検出手段としての温度センサ8が設けられる。
【0016】
保温釜本体1内の後方の位置には、加熱コイル7による加熱調節などの制御を行なう加熱制御手段としての制御ユニット11が配設される。この制御ユニット11は、各種基板などを装備したものであり、内ケース3の外面に近接して位置している。そして、制御ユニット11から加熱コイル7に高周波電流を供給すると、加熱コイル7から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体6が加熱し、鍋4ひいては鍋4内の被炊飯物が加熱されるようになっている。なお、12は同じく保温釜本体1内に設けられた電源供給用のコードリールである。
【0017】
15は、保温釜本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体である。この蓋体15は、保温釜本体1の上方後部においてヒンジ16により回動可能に枢設され、保温釜本体1の前上部に設けられたクランプ17により閉じた状態に保持される。そして、蓋体15は、その上面をなす外蓋18と、外蓋18の下側に固定された内側カバー19と、内側カバー19の下側に固定され蓋体15の内面を構成する放熱板20とを主たる構成要素としている。また、蓋体15の下面には、この下面との間に所定の隙間を形成して、前記鍋4の上面開口部を直接覆う内蓋21が着脱自在に装着される。
【0018】
さらに、蓋体15の中央部には、この蓋体15の下面から上面へ通じ炊飯時などに鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出させるための蒸気口たる蒸気抜筒体31が設けられている。つぎに、この蒸気抜筒体31の構成について、図1〜図3に基づいて説明する。前記内蓋21には、鍋4の上部開口部に対応する位置に開口孔32が形成され、この開口孔32に対応して前記外蓋18には、蒸気口収容部33が一体に形成されている。この蒸気口収容部33は、外蓋18の上面部から下方へ延出し、上側で穴をなすものである。また、蒸気口収容部33の下部中央には、前記内蓋21の開口孔32に上から対向する開口孔34が形成されている。なお、これら開口孔32,34の周辺部には、蒸気口収容部33の下端部と内蓋21の上面との間に介在してその隙間を密閉状態にシールするシリコーンゴムなどの弾性体からなる環状の蒸気口パッキン35が取り付けられている。
【0019】
そして、前記蒸気口収容部33の中に前記蒸気抜筒体31が上側から着脱自在に収容されている。この蒸気抜筒体31は、上面を開口した椀状の蒸気口ケース36により下部を形成すると共に、この蒸気口ケース36の上部開口を覆って着脱自在に取り付けられた蒸気口キャップ37により上部を形成し、これら蒸気口ケース36及び蒸気口キャップ37はポリプロピレン製である。また、この蒸気口キャップ37は、キャップ上部材38とキャップ下部材39とからなる。これらキャップ上部材38とキャップ下部材39との間には、上部が閉成した略筒状の蒸気弁40が配置され、この蒸気弁40はポリプロピレン製や金属製のものが用いられ、弁取付部材41により昇降可能に取付けられている。前記蒸気口ケース36の下部中央には前記開口孔32に連通する蒸気通路筒部42が立設され、この蒸気通路筒部42の上部を覆うように前記蒸気弁40が配置されている。図2に示すように、前記キャップ上部材38の上面には、その中央に径大な中央蒸気放出孔43を開口し、この中央蒸気放出孔43の周囲に相互に等間隔で且つ中央蒸気放出孔43の中心から等しい位置に径小な蒸気放出孔44を複数開口し、前記蒸気弁40は、上限位置と下限位置との間における昇降により前記中央蒸気放出孔43との間の開口面積を調整するものである。また、蒸気弁40とキャップ下部材39との間には、該蒸気弁40を上方に付勢して中央蒸気放出孔43を閉成状態にする付勢手段としての付勢コイルスプリング45が設けられ、さらに、キャップ上部材38と蒸気弁40との間には、設定温度すなわち昇温時設定温度(上方設定温度)になった時に付勢コイルスプリング45の付勢に抗して蒸気弁40を下方に変位させ、中央蒸気放出孔43を開放状態に作動させる作動部材としての作動コイルスプリング46が配置されている。なお、作動部材としては、例えば感熱応動部材である反転バイメタルを利用してもよい。
【0020】
前記蒸気抜筒体31の構成をさらに説明すると、前記キャップ下部材39の中央には、前記蒸気通路筒部42の上端を覆う下筒部51が下方に突設されると共に、該蒸気通路筒部42より径小な上筒部52が上方に突設され、該キャップ下部材39の底面部39Aは中央側に向って緩やかに低くなる傾斜をなし、前記上筒部の周囲で底面部39Aの低い位置に通孔53が形成されている。また、キャップ下部材39の底面部39Aの周囲側には複数の通孔54が形成され、この通孔54に前記弁取付部材41の爪部55が着脱可能に嵌合する。尚、爪部55は弁取付部材41の周囲下端に複数部分的に設けられているから、前記通孔54と爪部55との間には隙間があり、通孔54を蒸気が通過可能となっている。また、弁取付部材41の中央下面には段部56の外側に案内筒部57を形成し、さらに、弁取付部材41の上部中央には前記案内筒部57より径小な案内孔58を形成しており、この案内孔58に沿って前記蒸気弁40が昇降する。尚、弁取付部材41の中央上面と前記キャップ上部材38との下面との間には隙間があり、また、前記案内筒部57の下端と底面部39Aとの間には隙間がある。前記蒸気弁40の下端周囲にリング部59が設けられていると共に、このリング部59の周囲に上向きの摺動筒部60が設けられており、この摺動筒部60が前記案内筒部57内に沿って昇降する。また、前記付勢コイルスプリング45は、蒸気弁40の上面と底面部39Aとの間に配置され、前記作動コイルスプリング46は、前記案内孔58の下面周囲とリング部59の上面との間に配置されている。前記キャップ下部材39の上部内周面に凸状の内係合部61を形成すると共に、この内係合部61に係合する外係合部62を前記キャップ上部材38に形成し、内係合部61の下に外係合部62を引っ掛けて回転させながら締め込むことにより、キャップ上部材38とキャップ下部材39とをねじ式回転よる係合によって一体化及び分解可能としている。また、蒸気口ケース36の上部外側面には、高さ2.5mm程度の螺旋状の4本の凸部63が形成されている。一方、前記蒸気口キャップ37のキャップ上部材38の外周部には下方へ延びる筒状の縦リブ64が形成されており、この縦リブ64の下部内側面の4箇所に幅10mm、長さ2mm程度に延びた爪部65が形成されている。そして、蒸気口ケース36の凸部63に蒸気口キャップ37の爪部65を引っ掛けて回転させながら締め込むことにより、蒸気口ケース36と蒸気口キャップ37が着脱可能に結合されるようになっている。その際、蒸気口ケース36の上部開口部の面がキャップ上部材38の下面に押し当てられ、これにより、蒸気口ケース36と蒸気口キャップ37が密閉される。このような結合の構成であれば、炊飯時に発生する蒸気の熱で蒸気口ケース36や蒸気口キャップ37が熱収縮して直径が変化しても密閉状態が保たれるので、蒸気漏れはしない。そのため、パッキンなども不要である。蒸気口ケース36と蒸気口キャップ37の分離は、蒸気口ケース36に対して蒸気口キャップ37を逆向きに回すのみでよく、分離することにより、ユーザは容易に蒸気抜筒体の内部まで洗うことができる。尚、図中66は、前記蒸気口パッキン35に着脱可能に嵌入する取付筒部であり、蒸気口ケース36の下面に形成され、また、この蒸気口ケース36の下部で前記取付筒部66と連通する位置におねば戻し孔67が形成されている。
【0021】
図3及び図4に示すように、前記通孔53は複数設けられており、また、前記蒸気弁40には高さ方向略中央から前記摺動筒部60の端部に至る切欠き通孔71を形成すると共に、高さ方向略中央から前記リング部59に至る通孔72を形成しており、これら切欠き通孔71及び通孔72は複数形成することができる。また、前記案内筒体57に、下端が開口した切欠き通孔73を複数形成し、さらに、弁取付部材41の周囲には、キャップ下部材39の上方に位置する通孔74が複数形成されている。そして、前記蒸気抜筒体31は、蒸気口ケース36とキャップ下部材39との間に形成される下側の第1の空間75と、キャップ下部材39と蒸気弁40,弁取付部材41との間に形成される中側の第2の空間76と、弁取付部材41とキャップ上部材38との間に形成される上側の第3の空間77とにほぼ3分割され、該蒸気抜筒体31の内部に、鍋4内から発生した蒸気を蒸気放出孔43,44から外部に排出する蒸気通路78が設けられている。
【0022】
本実施例における作動コイルスプリング46は、形状を記憶する弾性部材であって、所定の温度に加熱すると記憶した元の形状に戻る形状記憶合金バネにより構成される。そして、作動コイルスプリング46の温度が昇温時設定温度(上方設定温度)である90℃以上に上昇すると、作動コイルスプリング46の付勢力が付勢コイルスプリング46の付勢力よりも大きくなって、図4に示すように、上面がほぼ案内孔58の高さまで降下し、中央蒸気放出孔43の開口面積が最大となり、作動コイルスプリング46の温度が前記昇温時設定温度よりも低い降温時設定温度(下方設定温度)である80℃以下に低下すると、作動コイルスプリング46の付勢力が付勢コイルスプリング45の付勢力よりも小さくなって、図3に示すように、中央蒸気放出孔43を閉成するようになっている。
【0023】
ここで、蒸気通路78内に設けることにより弁体となる作動コイルスプリング46の作用を主として詳述すると、炊飯時に、鍋4内の温度が沸騰点に達し、被炊飯物から蒸気が発生し、この蒸気は蒸気通路筒部42から上筒部52を通過して蒸気弁40内に進入し、通孔71,72を通って作動コイルスプリング46に直接当たり、該作動コイルスプリング46の線材間の隙間を通り、通孔72又は案内筒部57の下端を通って、切欠き通孔73から第3の空間77に上昇し、蒸気放出孔44から外部に放出される。また、蒸気の一部は、蒸気通路筒部42から上筒部52を通過して蒸気弁40内に進入し、通孔53を通って第1の空間75に降下し、さらに、通孔53から第3の空間77に至り、蒸気放出孔44から外部に放出される。そして、温度が上昇し、作動コイルスプリング46の温度が上方設定温度以上である90℃以上になると、作動コイルスプリング46の付勢力が付勢コイルスプリング45の付勢力よりも大きくなって、図4に示すように、蒸気弁40が降下し、作動コイルスプリング46が伸びてその線材間の間隔が大きくなる。このように、作動コイルスプリング46が蒸気により熱を直接的に受けて伸長方向に作動するため、蒸気弁40内から作動コイルスプリング46の線材間の隙間を通って外部に至る蒸気通路78が、作動コイルスプリング46部分において拡大し、蒸気弁40内が外気により冷やされる。したがって、蒸気と共にうまみ成分であるおねばが蒸気通路筒部42内を上昇しても、蒸気弁40内が外気により冷やされるため、第3の空間77から外部にこぼれたり飛び散ったりすることがない。この場合、蒸気弁40はリング部59が底面部39Aに当接する下限位置まで降下可能であり、この位置で中央蒸気放出孔43の開口面積が最大となり、蒸気は第3の空間77から周囲の蒸気放出孔44のみならず比較的径大な中央蒸気放出孔43からも外部に放出され、同時に蒸気通路78は外部と連通する部分が蒸気放出孔44と中央蒸気放出孔43となって外部と連通する面積が拡大し、第2の空間76側が冷え易くなり、これによってもふきこぼれや飛び散りが防止される。そして、蒸気通路筒部42を上昇したおねばは、通孔53から第1の空間75内に落下し、さらに、おねば戻し孔67から鍋4内に落下する。
【0024】
一方、炊飯が完了し、保温状態となり、蒸気抜筒体31内の温度が低下して、保温開始から所定時間が経過した時点で作動コイルスプリング46が下方設定温度以下となる。すると、作動コイルスプリング46の付勢力が急激に弱くなり、バイアスバネである付勢コイルスプリング45の付勢力によって、蒸気弁40が上昇して図3に示す元の位置に復帰し、この位置は摺動筒体60が段部56に当接した上限位置であって、元の位置に復帰することにより中央蒸気放出孔43が閉成する。このように、それまで大きく開口して蒸気を外部に逃がしていた中央蒸気放出孔43が、保温開始後所定時間が経過すると閉じられ、また、作動コイルスプリング46が縮まり、線材間の間隔が狭まり、結果、外部に至る蒸気通路78が縮小するから、鍋4内におけるご飯の乾燥やエネルギーのロスが防げ、適切な保温を行うことができる。
【0025】
以上のように本実施例では、蓋体15に蒸気口たる蒸気抜筒体31を設け、この蒸気抜筒体31の内部には、鍋4内から発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路78を設け、この蒸気通路78内に温度で該蒸気通路78の大きさを可変する弁体を設け、この弁体はその線材間を蒸気が通る形状記憶合金バネから形成され、このバネは上方設定温度以上で伸びて線材間が広がると共に、下方設定温度以下で縮んで線材間が狭まるように構成したから、温度で該蒸気通路78の大きさを可変する弁体たる作動コイルスプリング45を備えたことにより、炊飯時と保温時で蒸気通路78の大きさを可変し、炊飯時には蒸気通路78を大きくしてふきこぼれなく炊飯を行い、保温時には蒸気通路78を狭くして、蒸気抜筒体31内部の冷えや鍋4内からの水分の放出を低減することができる。
【0026】
また、前記作動コイルスプリング46は形状記憶合金バネから形成され、炊飯時に上方設定温度以上で作動コイルスプリング46が伸びてその線材間の隙間が拡大し、その隙間から蒸気を通過する構成にしたため、弁体動作信号となる蒸気が作動コイルスプリング46に直接当たるので、蒸気の発生を捕らえ、確実に蒸気通路78を拡大することができる。また、炊飯後、保温になって下方設定温度以下になると、形状記憶合金バネである作動コイルスプリング46が縮み、線材間の隙間がほとんど無くなって、蒸気通路78を狭くする構成にしたため、蒸気通路78内の温度低下に対して確実に蒸気通路78を狭くして冷え難くすることができる。
【0027】
以上のように本実施例では蓋体15に蒸気口たる蒸気抜筒体31を設け、内部に下側,中側および上側の3分割された第1の空間 75 ,第2の空間 76 及び第3の空間 77 を形成した蒸気抜筒体31に複数の蒸気放出孔43,44を設け、これら蒸気放出孔43,44のいずれかに蒸気弁40を配置し、この蒸気弁40を下降させて中央蒸気放出孔43の開口面積を拡大するように構成したから、炊飯時には蒸気放出孔が広くなってふきこぼれを防止することができ、また、蒸気弁40が降下することで開口面積を拡大するため、万一蒸気抜筒体31に物が乗った場合でも、蒸気弁40の動作に影響を受けることがない。
【0028】
また、蒸気抜筒体31が下方設定温度以下になったら、蒸気弁40を元の位置に復帰させ、中央蒸気放出孔43の開口面積を縮小するから、保温時には蒸気放出孔の開口面積が小さくなって蒸気抜筒体31の冷えを低減することが可能になる。
【0029】
また、蒸気抜筒体31の内部に、鍋4内から発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路78を設け、この蒸気通路78内に形状記憶合金バネである作動コイルスプリング46を設け、この作動コイルスプリング46は上方設定温度以上で伸びて蒸気弁40を押し下げると共に、該作動コイルスプリング46の線材間の隙間が拡大し該隙間を蒸気が通過するように構成したから、炊飯時に、弁体動作信号となる蒸気が直接作動コイルスプリング46に当たるので、蒸気の発生を捕らえ、確実に蒸気通路78を拡大することができ、また、作動コイルスプリング46の線材間の隙間から蒸気を通過する構成により、蒸気が発生すると蒸気通路78が拡大し、蒸気通過に伴う抵抗が小さくなり、この点でもふきこぼれを防止することができる。
【0030】
また、下方設定温度以下になったら、作動コイルスプリング46が縮んで線材間が狭まると共に、付勢手段たる付勢コイルスプリング45が蒸気弁40を押し上げて該蒸気弁40を元の位置に復帰するように構成したから、炊飯後、保温になって形状記憶合金バネである作動コイルスプリング46が下方設定温度以下になると該作動コイルスプリング46が縮み、該作動コイルスプリング46の線材間の隙間がほとんど無くなって、蒸気通路78を狭くすると共に、付勢コイルスプリング45が蒸気弁40を押し上げて該蒸気弁40を元の位置に復帰させる構成なので、蒸気放出孔の他、蒸気抜筒体31内部の蒸気通路78も狭くするので、蒸気抜筒体31内を一層冷え難くすることができる。
【0031】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1の保温釜によれば、炊飯時におけるふきこぼれを防止し、蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気抜動作が影響を受けない保温釜を提供できる。
【0033】
本発明の請求項2の保温釜によれば、炊飯時におけるふきこぼれを防止し、蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気抜動作が影響を受けず、さらに、保温時等においてご飯が冷めにくくなる。
【0034】
本発明の請求項3の保温釜によれば、炊飯時におけるふきこぼれを防止し、蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気抜動作が影響を受けず、さらに、保温時等においてご飯が冷めにくくなる。
【0035】
本発明の請求項4の保温釜によれば、炊飯時におけるふきこぼれを防止し、蒸気口に物が乗った場合でも、蒸気抜動作が影響を受けず、さらに、保温時等において一層ご飯が冷めにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の保温釜の一実施例を示す保温釜の蒸気抜筒体回りの断面図である。
【図2】 同上蒸気抜筒体の上面の平断面図である。
【図3】 同上蒸気弁が元の位置の状態における蒸気抜筒体の断面図である。
【図4】 同上蒸気弁が降下した状態における蒸気抜筒体の断面図である。
【図5】 同上保温釜の全体断面図である。
【図6】 従来の保温釜の一実施例を示す保温釜の全体断面図である。
【図7】 同上蒸気排気孔を閉じた状態における蒸気抜筒体の断面図である。
【図8】 同上蒸気排気孔を開いた状態における蒸気抜筒体の断面図である。
【符号の説明】
4 鍋
15 蓋体
31 蒸気抜筒体(蒸気口)
40 蒸気弁
43 中央蒸気放出孔
44 蒸気放出孔
45 付勢コイルスプリング(付勢手段)
46 作動コイルスプリング(形状を記憶する弾性部材)
78 蒸気通路
Claims (4)
- 蓋体に蒸気口を設け、この蒸気口に複数の蒸気放出孔を設け、これら蒸気放出孔のいずれかに蒸気弁を配置し、この蒸気弁を下降させて前記蒸気放出孔の開口面積を拡大するように構成すると共に、前記蒸気口は内部に下側,中側および上側の3分割された空間を形成したことを特徴とする保温釜。
- 前記蒸気口が設定温度以下になったら、前記蒸気弁を元の位置に復帰させ、前記蒸気放出孔の開口面積を縮小することを特徴とする請求項1記載の保温釜。
- 前記蒸気口の内部に、鍋内から発生する蒸気を外部に排出する蒸気通路を設け、この蒸気通路内に形状を記憶する弾性部材を設け、この弾性部材は設定温度以上で伸びて前記蒸気弁を下げると共に、該弾性部材の線材間の隙間が拡大し該隙間を蒸気が通過するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の保温釜。
- 設定温度以下になったら、前記弾性部材が縮んで前記線材間が狭まると共に、付勢手段が前記蒸気弁を上げて該蒸気弁を元の位置に復帰するように構成したことを特徴とする請求項3記載の保温釜。
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