JP4088519B2 - 炊飯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭用あるいは業務用に使用される炊飯器に関するものであり、ご飯を美味しく炊き上げ、かつ美味しく保温しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の炊飯器は、例えば特開平07−39456号公報のように、内釜の底部に当接する温度センサ、および蓋体の蒸気当接面又は蒸気通路に設けられた蓋温度センサを設け、これらの温度情報を元に加熱を制御するものが一般的である。
【0003】
また、赤外線センサを使用した参考例として、別の従来例である特開平10−137114号公報を示す。これには蓋体に赤外線センサを搭載する発明が見られるが、この目的は赤外線センサで水位線を検知して炊飯量を炊飯開始前に判断するものである。
【0004】
【特許文献1】
「特開平07−039456号公報」
【特許文献2】
「特開平10−137114号公報」。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記第1の従来例では、内釜に当接する温度センサは、炊飯・保温のために加熱している内釜の底面温度を測定しており、内釜内部の米飯温度よりも、加熱量に大きく左右され、正確に米飯温度を検出することが出来ない場合があった。また、加熱を停止すれば、いずれ内部の米飯温度に近づくが、適切に炊飯・保温するために長時間加熱を停止するわけには行かず、正確な米飯温度の検出が困難であった。さらに、従来の内釜の底面温度の検出では炊飯量が多くても少なくても、加熱により内釜底の温度が上がるため、初期に精度よく炊飯量の判断をすることは困難であった。
【0006】
また、蓋体に設けた蓋温度センサは、蒸気の発生で急激に蓋体の温度が上昇することをとらえて、沸騰点を判断するのには適するが、沸騰したか否かのみの検出であり、沸騰時以外の米飯温度を検出することはできないものであった。
【0007】
さらに、参考例として提示した前記第2の従来例に示すものは、赤外線センサを蓋体に設けているが、その機能は水位線検知による合数判断とされているものである(尚、超音波センサならば距離(水面の高さ)を検出することができるが、赤外線センサに距離を測定する機能はなく、なぜ水位線検知ができるのか、技術的な説明がなく具体性がない)。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、蓋体に、内釜下方に向け赤外線温度センサユニットを設け、この赤外線温度センサユニットは、少なくとも下部から側面までを継目のない一体で形成し、さらに蓋内面部材にシールパッキンを介して取り付けたものである。
【0009】
また、蓋内面部材の下方に着脱自在な内蓋を設け、シールパッキンには全周下方に突出させてシール壁を設け、内蓋取り付け時にはシール壁が内蓋に密着する構造となし、内蓋にはシール壁との密着部より小さく、赤外線温度センサユニットと対向する穴部を設けた。
【0010】
さらに、前記内蓋の穴部には筒状で黒色の視野角調整壁を設け、赤外線温度センサユニットへの赤外線の入射角を調整するように構成したものである。
【0011】
前記本発明の構成によれば、赤外線温度センサユニットが内釜の下方に向けて配置してあるので、従来の釜底や蓋の温度の検出と異なり、内釜内の水面の表面温度、またはご飯の表面温度を直接検出することができる。この直接の温度情報で加熱制御手段を通じて加熱手段で炊飯・保温の制御を行うので、炊飯中の米、保温中のご飯に対し適切な温度に制御することができるものである。
【0012】
この優れた作用を持つ赤外線温度センサユニットは炊飯中の蒸気やご飯の澱粉質を含む露に耐える構造とすることが必要であるが、本発明では赤外線温度センサユニットを蓋内面部材にシールパッキンを介して設けている。赤外線温度センサユニットのセンサケースを、少なくとも下部から側面までを継目のない一体で形成しているので、シールパッキンのシール部下方では継目がなく、赤外線温度センサユニット内に蒸気が侵入することがない。またシールパッキンで蓋内面部材上部へ蒸気が侵入することを防止でき、信頼性が高い赤外線温度センサユニットを提供できるものである。
【0013】
また、着脱自在な内蓋を設けたものにおいては、前記シールパッキンのシール壁が内蓋に密着してシールするので、蒸気はシールパッキン内から拡散することはなく、内蓋裏面全体や蓋内面部材の広範囲を結露で汚したり、蒸気が外部に漏れたりすることはない。赤外線温度センサユニットは内蓋の穴部から内釜内部の水やご飯の赤外線を受けることができ、温度検出にも問題がない。
【0014】
さらに、内蓋の下方に筒状で黒色の視野角調整壁を設けることにより、この筒状の高さを深く、内径を狭くするほど、赤外線温度センサユニットへ入射する赤外線の入射角を調整することができ、水面の正しい範囲の温度を測定できるので、赤外線温度センサユニットの精度を向上させることができるものである。
【0015】
本構成とすることで、内蓋を着脱して清掃する際に視野角調整壁を洗うことができ、シールパッキン内の赤外線温度センサユニットは蓋内面部材から突出するので、容易に拭き掃除ができ、常に清潔に保たれるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、本体と、本体に着脱自在に収納する内釜と、内釜を加熱する加熱手段と、加熱手段の加熱を制御する加熱制御手段と、内釜の上部開口を覆う蓋体とを有する炊飯器において、前記蓋体に、内釜内部の下方に向け赤外線温度センサユニットを設け、この赤外線温度センサユニットのセンサケースは、少なくとも下部から側面までを継目のない一体形状となし、さらに、赤外線温度センサユニットは蓋体の蓋内面部材にシールパッキンを介して取り付けた構成としたものである。
【0017】
また、蓋内面部材の下方に着脱自在な内蓋を設け、前記シールパッキンには全周下方に突出させてシール壁を設け、前記内蓋の取り付け時にはシール壁が内蓋に密着する構造となし、さらに内蓋にはシール壁との密着部より小さく、赤外線温度センサユニットと対向する穴部を設けたものである。
【0018】
さらに、前記内蓋の穴部には筒状で黒色の視野角調整壁を設け、赤外線温度センサユニットへの赤外線の入射角を調整するようにしたものである。
【0019】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す炊飯器の断面図である。図2は同じく要部拡大断面図である。
【0020】
図において、1は本体、2は保護枠、3は内釜、4は加熱手段、5は釜底温度センサ、6はヒンジ軸、7は蓋体、7aは蓋枠、7bは蓋カバー、7cは蓋内面部材、7dは蓋加熱手段、7eは蓋温度センサ、7fは蒸気排出口、8は蓋シールパッキン、9は内蓋、9aは穴部である。10は赤外線温度センサユニットで、10aはセンサケース、10bは主サーミスタ、10cは副サーミスタ、11はシールパッキン、11aはシール壁、12は視野角調整壁、13は制御部、14は加熱制御手段である。
【0021】
その構成は、本体1にはその内壁をなす保護枠2が取り付けられ、内釜3が着脱自在に挿入される。保護枠2底部、側面部には内釜3を加熱する加熱手段4が設けられている。加熱手段4はヒーターでも良いが、本実施例では電磁誘導加熱により、内釜3に高周波磁界を加えて発熱させる誘導加熱コイルを加熱手段4としている。保護枠2の底部には釜底温度センサ5が設けられ、内釜3底面に密着して熱的に結合し、内釜3底面の温度を検出するように構成されている。
【0022】
本体1にはヒンジ軸6にて回転自在に支持され、内釜3の上部開口を塞ぐ蓋体7が設けられている。蓋体7の構成は蓋枠7aの上方に外郭を成す蓋カバー7bが設けられ、蓋枠7aの下方には金属製の蓋内面部材7cと、蓋内面部材7cに設けられた蓋加熱手段7d、蓋内面部材7cの温度を検出する蓋温度センサ7eが設けられている。また、蓋体7を貫通するように蒸気排出口7fが設けられている。蓋枠7aには内釜3上端に当接し、蒸気をシールする蓋シールパッキン8を有する内蓋9が着脱自在に取り付けられ、蓋内面部材7cと対向し、蓋内面部材7cからの輻射熱で内蓋9が加熱されるように設けられている。
【0023】
蓋内面部材7cには穴が設けられ、赤外線温度センサユニット10がシールパッキン11を介して下方に突出して固定されている。シールパッキン11には全周下方にシール壁11aが設けられ、内蓋9に密着してシールする。内蓋9には穴部9aが設けられ、この穴部9aはシール壁11aとの密着部よりは小さい径で、上方の赤外線温度センサユニット10と対向した位置に設けられている。また、穴部9aには筒状で黒色の視野角調整壁12が設けられている。
【0024】
赤外線温度センサユニット10は下方から側面上部まで一体の筒状で、赤外線吸収部材からなるセンサケース10aと、この裏面に設けられた主サーミスタ10b、副サーミスタ10cからなっている。
【0025】
本体1の内部には制御部13を設け、制御部13には釜底温度センサ5、蓋温度センサ7e、主サーミスタ10b、副サーミスタ10cが接続され、温度情報を制御部13に入力する。制御部13には加熱制御手段14が設けられ、加熱手段4、蓋加熱手段7dが接続され、加熱を制御する。
【0026】
次に赤外線温度センサユニット10での温度検出原理について説明する。副サーミスタ10cはセンサケース10aの温度を検出している。センサケース10aは赤外線を吸収する部材で構成されており、保持部材(シールパッキン11)から露出している部分においては内釜3内部の赤外線を吸収し、センサケース10aの温度が影響を受け、主サーミスタ10bは副サーミスタ10cと異なる温度を検出する(主サーミスタ10bはセンサケース10aの薄肉部に取り付けられているので、内釜3内部の赤外線量を副サーミスタ10cよりも敏感に検知できる)。制御部13は双方のサーミスタの温度差を演算することにより、赤外線量を対向部の温度として判断するものである。この際、内釜3側から見て視野角調整壁12によりセンサケース10aが見えなくならない範囲が、赤外線温度センサユニット10の温度検出範囲である。従って視野角調整壁12の穴径と深さの設定により、内釜3の、どの範囲の温度を検出するかを設計時に設定できる。
【0027】
次に炊飯、保温、清掃の一連の動作にそって、本実施例の赤外線温度センサユニット10の作用について説明する。
【0028】
使用者が炊飯のため内釜3に所望量の米と適量の水を入れ、内釜3を本体1に挿入する。蓋体7を閉め炊飯スイッチ(図示せず)を操作すると、制御部13の指令で炊飯動作が開始する。本実施例では、加熱を開始する前に、赤外線温度センサユニット10により水面の初期水温を検出する。図1に三角形状に示した範囲から入射する赤外線を赤外線温度センサユニット10で検出することにより非接触で温度を検出するものであり、図1の状態では米の面でなく、赤外線温度センサユニット10に近い水面の温度を検出している。
【0029】
次に、加熱制御手段14により加熱手段4に通電し、内釜3を加熱する。加熱により米が急速に水を吸う糊化温度60℃に至らぬよう、短時間(本実施例では1分間)の加熱が終了した時点で、再び赤外線温度センサユニット10で水面の温度を検出する。制御部13は初期水温との差を演算し、温度差が大きいほど炊飯量が少ないと判断し、温度差によって炊飯量を数段階に判断する。これは炊飯量が少ない時ほど、短時間の加熱でも水面温度が上昇し、多量の場合は底部のみ温度が上がって、水面部は温度が変わらない特性を利用したものである。
【0030】
従来の釜底温度センサ5による炊飯量の判断では、加熱手段4で加熱している内釜3の底部の温度を検出するため、内釜3内部が糊化温度60℃を超えるほど加熱を継続しないと判断が出来ない。本実施例によれば炊飯の初期に少量の加熱で判断できるので、早期から炊飯量に適した加熱制御を行うことができるものである。
【0031】
以降の炊飯量に適した加熱制御の進行過程においても、赤外線温度センサユニット10は水温の正確な検出の手段として用いられるが、釜底温度センサ5および蓋温度センサ7eからの温度情報も用いられ、加熱制御手段14による火加減制御で美味に炊飯が仕上げられる。
【0032】
炊飯が完了すると、保温に移行する。内釜3内部には既に水はなく、赤外線温度センサユニット10の検出対象は保温ご飯の表面温度になる。保温は温度を高く保持するほど、ご飯の乾燥が早く、黄色く変色する。逆に低いと菌の繁殖を許すこととなり、ご飯が腐る。従って菌が繁殖しない範囲でなるべく低い温度にご飯を保つことが重要である。従来の釜底温度センサ5による温度検出では、直接ご飯の温度を検出していないので、ご飯の温度と釜底温度センサ5の温度の温度差相関を考慮する必要があるが、外気温の変化や加熱手段4での加熱により、この相関が変化する問題があった。このため菌の繁殖しないギリギリの温度に保つことは困難で、高めの温度に維持する制御を行っていた。本発明によれば、赤外線温度センサユニット10で保温ご飯の表面温度を直接検出するので、外気温や加熱の影響を受けずにご飯の温度を検出、加熱量を制御して一定の低い温度に保つことができる。しかも、ご飯をよそうため蓋体7を開いた時、一番影響を受けて温度が下がるご飯の表面の温度を検出しているため、素早く加熱量を調整して元の温度に戻す事ができる。
【0033】
次に、保温ご飯がなくなり、清掃する場合について説明する。内釜3は本体1から外して洗い、内蓋9も蓋枠7aから外して、視野角調整壁12、蓋シールパッキン8とともに洗うことができる。この時内蓋9を外すと、赤外線温度センサユニット10のセンサケース10aが蓋内面部材7cから突出した形で蓋体7側に残るので、容易に拭ける状態になり、清掃性の良いものとなる。シール壁11aによって蒸気が内蓋9裏面全体に至らないようにしているので、清掃範囲が狭く、清掃が容易である。
【0034】
なお、本実施例に限らず、内蓋及びこれに付随する穴部、視野角調整壁を設けずに、蓋内面部材にシールパッキンを介して底部から側面まで継目のない赤外線温度センサユニットを設ける特許請求の範囲第1項の構成のみでも、蒸気の侵入を防ぐ信頼性の高い構成を提供することが出来、有効である。この場合、内蓋に当接するシール壁も必要がなくなるものである。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明では、赤外線温度センサユニットは、少なくとも下部から側面までを継目のない一体で形成し、蓋内面部材にシールパッキンを介して設けたので、赤外線温度センサユニット内に蒸気が侵入することがなく、信頼性の高い赤外線温度センサユニットが提供できる。
【0036】
さらに、内蓋にシールパッキンのシール壁が密着するので汚れる範囲が狭く、赤外線温度センサユニットの下端部が突出するので清掃性が高いものが提供できるものである。
【0037】
加えて、内蓋の穴部に視野角調整壁を設ければ、温度検出する範囲も容易に設定でき、精度を向上できるほか、内蓋とともに視野角調整壁を容易に洗うことができるものである。
【0038】
以上より本発明は、信頼性の高い赤外線温度センサユニットを設けたことにより、美味しいご飯を炊くことができ、美味しく保温をすることができる炊飯器を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す炊飯器の断面図である。
【図2】同じく要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1:本体、3:内釜、4:加熱手段、5:釜底温度センサ、7:蓋体、7c:蓋内面部材、9:内蓋、9a:穴部、10:赤外線温度センサユニット、10a:センサケース、11:シールパッキン、11a:シール壁、12:視野角調整壁、14:加熱制御手段。
Claims (2)
- 本体と、この本体に着脱自在に収納する内釜と、内釜を加熱する加熱手段と、加熱手段の加熱を制御する加熱制御手段と、内釜の上部開口を覆う蓋体とを有する炊飯器において、前記蓋体に、内釜内部の下方に向けて赤外線温度センサユニットを設け、この赤外線温度センサユニットのセンサケースは、少なくとも下部から側面までを継目のない一体形状として蓋体の蓋内面部材にシールパッキンを介して取り付け、さらに、前記蓋内面部材の下方に着脱自在な内蓋を設け、前記シールパッキンには全周下方に突出させて設けたシール壁を設け、前記内蓋取り付け時には前記シール壁が内蓋に密着する構造となし、前記内蓋には前記シール壁との密着部より小さく、前記赤外線温度センサユニットと対向する穴部を設けたことを特徴とする炊飯器。
- 前記内蓋の穴部には筒状で黒色の視野角調整壁を設け、赤外線温度センサユニットへの赤外線の入射角を調整するようにしたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
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