JPS6317396Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、アルミニウム材を主体とした電磁調
理器用器物に関する。

（従来技術） 電磁調理用鍋などは磁性体からできている器物
でないと発熱しないので、従来は主として鉄製あ
るいは鉄ホーロー製のものが使用されている。し
かし、これらの材質物は重量がある上に形も大き
くなつて使用しにくい。

そこで器物の主材料をアルミニウム製となし、
励磁力をあげるために受熱面に鋼板を配するとい
う手段が考えられるものであるところ、アルミニ
ウム製品は近年、その表面に陽極酸化皮膜を形成
して商品価値を高めるということが行われ、ま
た、市場においても要求されており、アルミニウ
ム製の電磁調理器用器物を製造するにあたつて
も、ただ単に励磁力を備えさせるだけでなく、陽
極酸化皮膜処理を施して製造しなければならな
い。

（考案が解決しようとする問題点） そこでアルミニウム材に陽極酸化皮膜を形成し
ておき、該皮膜上にステンレス鋼等磁性体を貼着
することが考えられるが、この手段の場合、ステ
ンレス鋼が陽極酸化皮膜に対して化学的親和力に
乏しく、貼着し難いという問題がある。

また、逆にアルミニウム材に対して予めステン
レス鋼を溶着させておき、その後に酸化皮膜を形
成させるという手段も考えられるが、この場合
は、ステンレス鋼の溶着部をゴム等で被覆して酸
化皮膜形成処理を行わねばならず、この結果製造
コストが著しく高くなる。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決する目的でなされ、
次の如き技術手段を採用する。

すなわち本考案は、受熱部を除き全表面に陽極
酸化皮膜層が形成されてなるアルミニウム製の器
物であつて、前記受熱部は、一旦形成された陽極
酸化皮膜層が破壊除去されてアルミニウム材の露
出した凹凸外表面とされ、この外表面にステンレ
ス層が熔射形成される構成としている。

（実施例） 以下、一実施例を示す図面に基き本考案を詳述
する。

第１図は一部を破断して示す一実施例の正面
図、第２図は受熱面の拡大断面図である。

図において、Ａは片手鍋であり、該鍋Ａは、そ
の受熱部１を除き、全表面に陽極酸化皮膜層が形
成され、更に受熱部１には第２図に示すように上
記陽極酸化皮膜層に代りステンレス層Ｓが形成さ
れている。

すなわち、片手鍋Ａを予めアルミニウム板ａで
形成し、該鍋Ａを陽極酸化皮膜処理して該鍋Ａの
全表面を一旦酸化皮膜層で覆い、次に受熱面１の
みを例えばサンドブラスト等の手段により、第２
図に示す如く、陽極酸化皮膜層を除去し且つアル
ミニウム板ａを粗面化した状態となし、この受熱
面１を150度Ｃに予熱しておいて該粗面２上にス
テンレス熔射を行いステンレス層Ｓを形成してい
る。

なお、本考案に係る器物は上記片手鍋Ａのほ
か、フライパン、湯沸しなどであつてもよいこと
は勿論である。

（考案の効果） 以上説明したように本考案は、受熱面以外の全
表面が陽極酸化皮膜層を有していて商品価値が高
く、受熱面にステンレス層が存していて励磁力を
備えている。

そして、受熱面にステンレス層が形成されてい
ない状態下に陽極酸化皮膜層が形成されて製造コ
ストが安くつき、他方ステンレス層は、陽極酸化
皮膜層が除去されて露出しているアルミニウム板
に溶着されるので、化学的親和力により強固に溶
着され、更に粗面は物理的に上記溶着力を一層強
固にする役割を果す。また、底部にステンレス層
が形成されているので、従来のアルミニウム製の
ものに比べ、使用時に外力が加わりやすい底部に
疵がつかない。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を破断して示す一実施例の正面
図、第２図は受熱面の拡大断面図である。 １……受熱部、２……粗面、ａ……アルミニウ
ム板、Ｓ……ステンレス熔射層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 受熱部を除き全表面に陽極酸化皮膜層が形成さ
   れてなるアルミニウム製の器物であつて、前記受
   熱部は、一旦形成された陽極酸化皮膜層が破壊除
   去されてアルミニウム材の露出した凹凸状外表面
   とされ、この外表面にステンレス層が熔射形成さ
   れるものであることを特徴とする電磁調理器用器
   物。