JPH11225880A - 電磁加熱調理用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】直接の被加熱面たる容器の外底とその周辺部た
る前記立ち上がりアール部に、磁性金属たる鉄の溶射層
を形成して電磁誘導性を付与するようにしてあるが、永
年使用しても鉄の溶射層が剥がれるおそれは殆どなく、
商品寿命が長く、しかも安全に使用できる電磁加熱調理
用容器を提供する。 【解決手段】非磁性体よりなる容器本体１の底部１ａ表
面及び底部から胴部１ｂへの立ち上がりアール部１ｃの
外周表面に同心状の溝２ａ、２ｂを形成し、底部と立ち
上がりアール部の表面に、磁性金属が溶射された前記溝
を埋めつくす磁性金属のコーティング層４を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は電磁誘導により加
熱される調理用容器に関する。

【０００２】

【従来技術とその問題点】電磁誘導加熱式の調理容器、
たとえば電磁誘導加熱式の鍋には鍋自体を鉄やステンレ
スなどの磁性材で構成したもののほかに、鍋自体は非磁
性体たる銅製とし、被加熱面たる外底、および底部から
胴部への立ち上がりアール部に磁性金属たる鉄を溶射し
て、電磁誘導用の鉄の層を形成したものがある。

【０００３】鉄やステンレスは磁性体で電磁誘導性があ
るので、電磁誘導加熱式鍋としてそのまま使用できる
が、如何せん熱伝導性が劣って熱の回り具合が良好でな
く、加熱調理にむらが生じ易いという難点がある。

【０００４】それで、熱伝導性が鉄の約５倍、ステンレ
スの約７倍で、熱回りの良好な銅で鍋本体を構成し、直
接の被加熱面たる鍋の外底とその周辺部たる前記立ち上
がりアール部に、磁性金属たる鉄の溶射層を形成して電
磁誘導性を付与するようにしたものがある。

【０００５】しかし、外底とその周辺立ち上がりアール
部に鉄の溶射層を形成したものでは、銅と鉄との熱膨張
率の差によって立ち上がりアール部の上縁がバリ状に鍋
の胴部から剥がれ、見た目に良好でないばかりか、洗う
ときなどに指や手を傷つける等して甚だ危険だという問
題点がある。

【０００６】本発明の目的は上記問題点を解決できるよ
うにしたことにあり、直接の被加熱面たる容器の外底と
その周辺部たる前記立ち上がりアール部に、磁性金属た
る鉄の溶射層を形成して電磁誘導性を付与するようにし
てあるが、永年使用しても鉄の溶射層が剥がれるおそれ
は殆どなく、商品寿命が長く、しかも安全に使用できる
電磁加熱調理用容器を提供できるようにした。

【０００７】

【本発明の手段】上記問題点を解決するために、本発明
に係る電磁加熱調理用容器は、非磁性体よりなる容器本
体の底部表面及び底部から胴部への立ち上がりアール部
の外周表面に同心状の溝を形成し、底部と立ち上がりア
ール部の表面に、磁性金属が溶射された前記溝を埋めつ
くす磁性金属のコーティング層を形成したものとしてあ
る。

【０００８】より具体的には、銅製容器本体の底部表面
及び底部から胴部への立ち上がりアール部の外周面に同
心状の溝を形成し、底部と立ち上がりアール部の表面
に、溶射により前記溝を埋めつくす鉄のコーティング層
を形成したものとしてあり、容器本体は鍋としてある。
また、溝の内面にはボンド層を形成して、その上に鉄の
コーティング層を形成し、さらに防錆層を形成する。

【０００９】

【作用】容器本体は非磁性体で電磁誘導性はないが、容
器本体の底部および周辺の立ち上がりアール部には磁性
金属のコーティング層を形成してあるので、容器は被加
熱部たる底部およびその周辺部に電磁誘導性があり、電
磁誘導式加熱調理器として使用できる。

【００１０】容器本体の底部およびアール部表面には溝
を形成してあり、磁性金属のコーティング層は溝を埋め
つくすように形成されているので、容器本体から剥がれ
るようなことはなく、特にアール部を被覆している部分
の上縁が容器本体より剥げるようなことはない。

【００１１】

【実施例】以下本発明に係る電磁加熱調理用容器の実施
例を詳述する。図において符号１は容器本体を示し、図
では鍋を示す。鍋はアルミニューム、銅などの非磁性体
製のものであるが、実施例では銅製のものとしてある。
鍋1の底部1aの表面、および底部から胴部1bにかけての
立ち上がりアール部1cの外周面には同心状に溝2ａ,2ｂ
を形成してある。

【００１２】しかして底部とアール部の表面にはアルミ
ブロンズ材よりなるボンド膜層３を溶射形成し、その上
に溶射にて鉄のコーティング層4を形成した上で亜鉛膜
よりなる防錆層５を形成してある。ここでボンド層３形
成したのは鉄のコーティング層４の銅鍋との接着強度
（結合強度）を大ならしめるためである。

【００１３】

【効果】容器本体は熱伝導性に優れている銅製とするこ
とにより熱回りがよく、むらのない加熱調理ができる。
磁性金属のコーティング層は溝を埋めつくすように形成
されているので、容器本体から剥がれるようなことはな
く、特に立ち上がりアール部を被覆している部分の上縁
が容器本体より剥げるようなことはなく、永年使用が可
能であり、かつ安全に使用できる。

【図面の簡単な説明】

【００１４】

【図１】本発明に係る電磁加熱調理用容器の正面図。

【００１５】

【図２】同容器の底面図。

【００１６】

【図３】同容器の一部拡大断面図。

【００１７】

【図４】従来の電磁加熱調理用容器の一部拡大断面図。

【００１８】

【符号の説明】

１：容器本体たる鍋 １a：底部 １b：胴部 １c：アール部 ２a：溝 ２b：溝 ３：ボンド層 ４：鉄のコーティング層 ５：亜鉛の防錆層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】非磁性体よりなる容器本体の底部の表面及
   び底部から胴部への立ち上がりアール部の外周面に同心
   状の溝を形成し、底部と立ち上がりアール部の表面に、
   磁性金属が溶射された前記溝を埋めつくす磁性金属のコ
   ーティング層を形成してなる電磁加熱調理用容器。
2. 【請求項２】容器本体が銅製で、磁性金属が鉄である請
   求項１に記載の電磁加熱調理用容器。
3. 【請求項３】容器本体が鍋である請求項１および２に記
   載の電磁加熱調理用容器。