JPS6127108Y2

JPS6127108Y2 -

Info

Publication number: JPS6127108Y2
Application number: JP1983095614U
Authority: JP
Priority date: 1983-06-20
Filing date: 1983-06-20
Publication date: 1986-08-13
Also published as: US4564001A; JPS603693U

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は電磁調理器用鍋に関するもので、カレ
ーやシチユーの様に対流の期待できないものを調
理する場合に均一加熱を可能とし、しかも放熱を
少なくすることを目的としている。アルミ層とス
テンレス層をロール圧接したいわゆるA1−SUS
クラツド材を用い、アルミ層が内側になるように
鍋をプレス成形する際、肌荒や剥離、破断を起さ
ない最適材料組成を提供することも本考案の目的
の一部である。電磁調理器ではトツププレートの下側にコイル
を配置し、該コイルで生じた磁力線によりトツプ
プレート上の鍋の底板内に渦電流を起こして鍋の
底板を発熱させるようになつている。従つて電磁
調理器用の鍋の材質は磁性体金属（例えば鉄、ス
テンレス等）に限られる。ところが磁性体金属は
熱伝導率が劣るため、カレーやシチユーのように
対流の期待できないものを深い鍋で調理する場合
には、鍋の底部（底板）のみが加熱される電磁調
理器を使用すると、鍋の側面温度が低いため加熱
が不均一になり、具合が悪い。即ち鍋を使う料理
の必須条件である均一加熱が不可能になる。従来鍋本体を熱伝導率の大きいアルミ等（アル
ミニウム合金を含む）で作り、その底板下面に鉄
板（磁性体）を張り付けた鍋はすでに知られてい
る。ところが熱伝導率が良いアルミ等の金属は、
反面加熱中の放熱が大きいため調理中に側板外面
からの放熱量が大きく、熱損失が大きいため均一
加熱が困難になる。一方、アルミ板の両面にステ
ンレス板を張り合わせた素材により鍋をプレス成
形したものも知られている。その場合は鍋の側板
内面がステンレスでできているため、せつかく熱
伝導率の良いアルミを通して側板上方まで熱が伝
わつても、側板内面の熱伝導率の低いステンレス
に遮断されて内容物に熱がよく伝わらず、同様の
不具合が避けられない。この対策として本件出願人は、鍋の外面を鉄、
ステンレス等のような磁性体で形成して高周波誘
導加熱を可能にすると共に側板外面からの放熱を
防ぎ、鍋の内面をアルミ等の熱伝導率の大きい金
属で形成して、側板上方への熱の伝導と、側板内
面から内容物への熱の伝導を向上させるようにし
た電磁調理器用鍋を既に提案している（実願昭57
−83036）。そして具体的に材料としてA1−SUSクラツド
材を用い、上記目的に沿う深底鍋、即ち底板の周
縁より円筒状の側板が起立している形式の鍋をア
ルミ層が内側になる姿勢でプレス成形したとこ
ろ、材料の組成によつては本考案の目的に沿う形
状にプレス成形できないことが見出された。一般
に電磁調理器に対する発熱効果の良いのは、フエ
ライト系のステンレスで、なかでも家庭用品に一
般的に使用されているのは後述する表２の組成の
SUS（例えば商品番号NAR−160）である。一方
アルミ鍋の分野で広く使用されているのはA3003
（組成は後述する）である。そこでA3003と表２
の組成のSUSのクラツド材を用いてアルミ層が内
側になる姿勢でプレス成形したところ、アルミ層
（A3003）のプレス後の肌荒れが著しく、使い物
にならないことが判明した。この対策として、試
行錯誤的に、アルミ材としてA3004を採用し、こ
れと表２の組成のステンレス材を組合わせたA1
−SUSクラツド材を採用したところ、A3004の再
結晶粒が小さいため、肌荒れしにくくなり、本考
案の目的に沿う深底鍋をきれいにプレス成形する
ことができた。

【表】

【表】次に図面により説明する。第１図は本考案による電磁調理器用鍋の一実施
例を示しており、この実施例においては円形の底
板２と筒状の側板３を備え、これらは外面のステ
ンレス層４と内面のアルミ層５からなるクラツド
材でできている。アルミ層５の厚さはステンレス
層４の厚さより大きく、例えばステンレス層４の
厚さが0.1〜0.5mmの時、アルミ層５の厚さは0.5〜
3.0mm程度とすることができる。鍋１はプレス成
形により作ることができ、その場合の素材はステ
ンレス層４（組成は表２）とアルミ層５
（A3004）を平板の状態でロール圧接したものを
使用する。その場合のステンレス層４とアルミ層
５は圧接面において凹凸が機械的に結合してい
る。アルミ層５の内面には予め、又はプレス成形
後、アルマイト処理を施すか、四弗化樹脂（テフ
ロン）コーテイングを施す。アルマイト層の厚さ
は６〜10μ、テフロンコーテイングの厚さは20〜
30μ程度であるため、アルミ層５の内面部分にお
ける熱伝導率にはほとんど変化は生じない。側板
３の高さは底板２の直径をＤとした場合0.4D程
度に選ぶことができる。第１図に示す鍋１にカレー又はシチユーのよう
な粘度の高い内容物を例えば１／３程度入れて、
電磁調理器のトツププレート６上に置き、下方の
コイル（図示せず）に通電して調理を開始する。
そうするとコイルで発生した磁力線が底板２の下
面のステンレス層４内に渦電流を生じ、底板２が
速い加熱速度で加熱される。底板２のステンレス
層４で生じた熱は、直ちに底板２のアルミ層５を
へて内容物に加えられると共に、アルミ層５を通
して側板３に伝わり、側板３の内面から内容物を
包み込むように加熱する。以上説明したように本考案においては、鍋１の
外面が表２の組成のステンレス層４で形成され、
内面が熱伝導率の大きいアルミ層５（A3004）で
形成されているため、内容物に対する均一加熱が
できていると共に、側板３からの放熱を可及的に
防止することができる。即ち底板２の下面はステ
ンレス層４でできているため高周波誘導加熱が可
能である。そして底板２のアルミ層５は側板３の
内面にも連続しているため、底板２の部分で発生
した熱は速やかに側板３側へ伝わり、側板３の内
面から内容物を包み込むように均一加熱すること
ができる。側板３の内面のアルミ層５は直接に、
又は極めて薄いアルマイト皮覆又はテフロンコー
テイングをへて内容物と接触するため、内容物に
対する熱伝導率が悪くなることはない。又側板３
は外周に熱伝導率の低いステンレス層４を備えて
いるため、側板３の部分から外方への放熱が少く
なり、側板３の内面から内容物を加熱する際の熱
の有効率を高めることができる。アルミ材として
A3004を、ステンレスとして表２の組成のものを
採用して両者を組合わせるようにしたので、本考
案の目的に沿う深底鍋をプレス成形した場合に
も、アルミ層に肌荒れが発生せず、きれいに仕上
る。即ち均一な品質の鍋を容易に量産することが
できる。第１図に示す構造の鍋１に１／３だけ水を入れ
て調理を開始した場合、底部で沸騰が生じた時、
側板３の上端は直接手で掴めない程度まで加熱さ
れる。ところが従来構造のステンレス製鍋につき
同様のテストを行うと、底板上で沸騰が生じた時
にも側板上端を手で掴むことが可能であつた。本考案を具体化する時、ステンレス層４の厚さ
は0.01mm以上であれば高周波誘導加熱が可能であ
る。一方、アルミ層５の厚さは側板３側へ熱をよ
く伝えるためと、内容物の均一加熱のためにステ
ンレス層４より厚い方がよく、0.5〜3.0mm程度が
適当である。なおステンレスの組成％は、Ｃ−
0.015〜0.025、Si−0.49〜1.0、Mn−0.54〜1.0、
Ｐ−0.026〜0.040、Ｓ−0.003〜0.005、Cr−16.0
〜19.0、Cu−0.3〜0.8、Nb−0.3〜0.8の範囲内で
あれば充分満足な結果が得られることが確認され
ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による電磁調理器用鍋の縦断面
図である。１……鍋、２……底板、３……側板、４……ス
テンレス層、５……アルミ層。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

底板の周縁より円筒状の側板が起立している鍋
を、外側のステンレス層と内側のアルミ層が一体
化したクラツド材で形成すると共に、上記ステン
レスの組成％をＣ−0.015〜0.025〜Si−0.49〜
1.0、Mn−0.54〜1.0.P−O.026〜0.040、Ｓ−
0.003〜0.005、Cr−16.0〜19.0、Cu−0.3〜0.8、
Nb−0.3〜0.8、アルミの組成％をSi−0.30以下、
Fe−0.7以下、Cu−0.25以下、Mn−1.0〜1.5、
Mg−0.8〜1.3、Zn−0.25以下、AI−残部とした
ことを特徴とする電磁調理器用鍋。