JPS6242578Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両の排気装置の一部である排気管
のボデーへの架装構造に関するものである。

自動車用のエンジンから排出される排気ガスを
外部に放出する排気装置はエグゾーストマニホー
ルド、フロントパイプ、触媒コンバータ（又はサ
ブマフラー）、センターパイプ、マフラー及びテ
ールパイプから成り立つている。この排気装置の
車両に対する平面的取まわしは主として触媒コン
バータとマフラーの架装位置で定まる。乗用車系
で代表される車両においては、種々の設計上の制
約により第１図に示すように、触媒コンバータ２
は車両の幅方向中央寄りでトランスミツシヨンハ
ウジング近辺に、又マフラー４は車両後部外側寄
りに架装せざるを得ない。そしてこの触媒コンバ
ータ２とマフラー４とを、クランク状に曲つたセ
ンターパイプ３で接続している。このような排気
装置は、第２図に示す４個所において即ち、触媒
コンバータ２の前端部２ａ、センターパイプ３の
屈曲部３ａ、マフラー４のインレツトパイプ４ａ
及びマフラー４のアウトレツトパイプ４ｂにおい
て、マウント部材７を介してボデーのフロアパネ
ル８に対して弾性的に架装されており、さらにフ
ロントパイプ１の先端（図示せず）においてエン
ジンのエグゾーストマニホールドの取付フランジ
（図示せず）に固定されている。又フロントパイ
プ１は、その中央部分にベローズ状の可撓部１ａ
が設けられており、主として曲げ変形と管軸方向
の伸縮を吸収できるようになつている。ところ
が、このような排気管の架装構造においては、悪
路走行の場合などに重量の大きいマフラー４と、
架装点の１つであるセンターパイプ屈曲部３ａと
の、上下方向の相対的変位が大きくなる。一方、
触媒コンバータ２とマフラー４とは、そのボデー
への架装安位置が車幅方向に隔つているので、上
述の相対変位が生じると、センターパイプ屈曲部
３ａより前方に捩り変形が加えられる。そしてこ
の捩り変形は、フロントパイプ１の可撓部１ａの
耐久性が低下する原因となつていた。

さらに、この排気装置は、ボデーに対するマウ
ント部材も含めると、エンジンの振動をボデーに
伝える１つの振動伝達経路を構成する。即ち、エ
ンジン振動は排気装置の共振により増幅され、各
架装点におけるマウント部材７を経てボデーのフ
ロアーパネル８に伝達されてこもり音などの車内
騒音を発生する。第２図に示した４つの架装点
は、排気装置をバランスよく支持することから定
まるものであつて、いずれも省略することができ
ない。然しながら、振動伝達の観点からみると、
特にセンターパイプ屈曲部３ａはフロアーパネル
８のほぼ中央部に位置し、フロアーパネル８に対
して最も振動を伝達しやすい個所であり、ここを
架装点とすることは振動騒音低減のためには不利
であつた。

又、センターパイプ３はその長さがほぼ1.5ｍ
となるため、排気音周波数が120Hz前後で気柱共
鳴が発生し、この周波数近辺で十分な消音効果が
得られないという問題もあつた。

この考案は、以上の諸問題点を解決して排気装
置をバランスよく確実に支持し、かつ振動伝達の
観点からも問題も少なく、消音効果も十分に得ら
れるような排気管架装構造を提供することを目的
とする。

つぎに、この考案について図面により詳細に説
明する。

第３図は、この考案による排気管架装構造を示
す模式図であつて、触媒コンバータ２とマフラー
４とは従来の場合と同様に、夫々トランスミツシ
ヨンハウジング近辺と車両後部外側寄りとにあつ
て、車両幅方向に実質的に間隔をおいて配置され
ている。フロントパイプ１はその中央付近にベロ
ーズ状に成形された可撓部１ａを持ち、エンジン
のエグゾーストマニホールドのフランジにその先
端部分（図示せず）が固定され、後端部分は触媒
コンバータ２の先端に剛に連通接続されている。
そして、触媒コンバータ２とマフラー４とは、従
来と同様にクランク状に曲つたセンターパイプ３
によりやはり剛に連通接続されており、マフラー
４の後部から突出するアウトレツトパイプ４ｂに
はテールパイプ５が接続されている。センターパ
イプ３には、その屈曲部３ａにおいて車両の幅方
向にフロアーパネル８に沿つて伸びる側枝管６が
溶接等により気密に連通接合されている。この側
枝管６は先端部６ａがフロアーパネル８の外側周
辺部分に達する長さを持ち、先端において密閉さ
れている。そしてこの排気装置は、触媒コンバー
タ前端部２ａ、側枝管先端部６ａ、マフラー４の
インレツトパイプ４ａ及びマフラー４のアウトレ
ツトパイプ４ｂにおいて従来と同様のマウント部
材７によりフロアーパネル８に対して弾性的に架
装されている。

以上の構成においては、先ず第１に、センター
パイプ３に対してマフラー４と反対側に伸びる側
枝管６を一体に設け、その先端部６ａを架装点と
したことにより悪路走行などの場合でも、センタ
ーパイプ屈曲部３ａより前方に加えられる捩り変
形が減少し、フロントパイプ１の可撓部１ａの耐
久性が向上する。即ち、側枝管６の先端部６ａで
架装することにより、その先端部６ａに対してマ
ウント部材７から作用する反力が、センターパイ
プ３の屈曲点３ａに関するマフラー４からの捩り
モーメントを打消す方向に働きその結果捩り変形
が減少する。

第２に側枝管６を設けたことにより、振動が伝
わりにくいフロアパネル８の外側周辺部分を、フ
ロアパネル８に対する振動伝達点とすることがで
きるので、車内振動騒音低減に大きな効果をもた
らす。さらにセンターパイプ３はその屈曲部３ａ
においてほぼ等しい共鳴周波数を持つ側枝管６が
開口しているので、いわゆる共鳴減衰の効果が得
られ排気抵抗を増加することなく共鳴周波数に合
致する排気の消音効果を高めることができる。

尚、以上の実施例においては側枝管６をセンタ
ーパイプ３の屈曲部３ａにおいて連通接合した
が、接合点としては屈曲点３ａに限定されるもの
ではなく、その近傍であればよいことは言うまで
もない。又、側枝管６はマフラー４と反対側に取
付けたがマフラー４側に取付けても同様の効果が
得られることも明らかである。以上説明したよう
に、この考案により自動車の排気装置の捩り変形
に対する信頼性を向上させ、エンジンの振動を車
室に伝えにくくし且つ十分な排気消音効果を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車用排気装置の平面的取ま
わしを示す概略の全体平面図、第２図は第１図の
排気装置の架装構造説明図、第３図はこの考案に
係る架装構造の説明図である。 ２……触媒コンバータ、３……センターパイ
プ、３ａ……センターパイプ屈曲部、４……マフ
ラー、６……側枝管、６ａ……先端部（閉じた端
部）、８……フロアパネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデーのフロアパネルに対する触媒コンバータ
   とマフラとの架装位置が車両の幅方向において相
   違し、触媒コンバータとの接続部から後方へ延び
   た後、側方へ曲る折曲部を有しマフラに接続され
   たクランク形のセンタパイプを有する自動車用排
   気装置において、前記センタパイプの折曲部に車
   両の側方へほぼ水平に伸びる側枝管の一端を連通
   接合し、この側枝管の閉じた端部を前記フロアパ
   ネルの側部において架装したことを特徴とする排
   気管の架装構造。