JP3900239B2 - エンジンの排気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車の車体前部に搭載されたエンジンの排気マニホールドから車体下面に沿って車体後方へ延びて大気に開放する排気管を車体に弾性的に支持したエンジンの排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジンの排気装置の一例について図5を参照して説明する。図5に示すように、排気装置1は、車体(図示せず)の前部に搭載されたエンジン(図示せず)の排気マニホールド2に、略L字形の第1パイプ3の一端が連結され、第1パイプ3の他端に、自在管継手4を介して、第2パイプ5の一端が連結されている。第2パイプ5は、車体下面に沿って後方へ延ばされ、その他端がセンタパイプ6の一端に接続されている。センタパイプ6の他端側は、車体後部へ延ばされ、消音器(図示せず)を介して大気に開放されている。
【0003】
第2パイプ5の前部は、ハンガーブラケット7を介してマフラハンガ8によって車体に弾性的に支持されている。第2パイプ5には、空燃比をフィードバック制御するために排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ9が取付けられている。また、排気マニホールド2の集合部には、触媒コンバータを設けたマニバータ10が一体的に形成されている。
【0004】
この構成により、エンジンの振動を自在管継手4によって吸収することにより、第2パイプ5及びセンタパイプ6を振動から保護するとともに、騒音の発生を防止している。また、第2パイプ5から車体に伝達される振動をマフラハンガ8によって吸収している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の排気装置1では、次のような問題があった。第2パイプ5から後方の排気管は、振動、騒音を車体に伝達しないように、マフラハンガ8等によって弾性的に支持されているため、車両の悪路走行時、急旋回時等において、慣性によって大きく変位することがある。このため、O2センサ9に接続されるリード線は、通常、車体側に配線されているが、第2パイプ5が大きく変位したとき、引張られて断線しないように、充分長くしておく必要があり、製造コストが高くなる。また、マフラハンガ8の取付位置がエンジンに近いため、エンジンの振動がマフラハンガ8によって充分吸収されず、車体(特にフロアパネルを介して乗員の足元)に伝達されて車室内の騒音を増大させる原因となる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、振動に対する充分な耐久性を確保するとともに、エンジンの振動を車体に伝達しにくくして、静粛性を向上させることができる排気装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、車体の前部に搭載されたエンジンの排気マニホールドの下方に延びる集合部に触媒コンバータを配設すると共に該集合部の下流側端部に第1パイプを連結し、該第1パイプの下流側端部に第2パイプを連結し、該第2パイプ及びその下流側を前記車体の下面に沿って該車体の後部に延出させて大気に開放させると共に車体に弾性的に支持させたエンジンの排気装置において、
前記触媒コンバータの軸方向を上下方向に指向させ、前記第1パイプを略L字形に形成し、該第1パイプと前記第2パイプとを自在管継手によって連結し、前記第2パイプの下流部にフレキシブルパイプを配設し、
前記自在管継手はガスケットを介して前記第1パイプの管フランジと前記第2パイプの管フランジとを気密的に接続してボルトによって結合することにより前記ボルトの周囲に配設されたばねによって互いに前後方向に押圧し、
前記第2パイプに、前記触媒コンバータの後方で前記フレキシブルパイプよりも前記自在管継手に近接させて、ボス部を前記触媒コンバータの軸方向に突設し、前記エンジンに連結された変速機に前記ボス部を弾性支持手段を介して結合して前記第2パイプを前記変速機に弾性的に支持させ、前記ボス部の突出部分に隠れるように前記第2パイプの前記ボス部の後方に O 2 センサを配設したことを特徴とする。
このように構成したことにより、同一の振動系であるエンジン及び変速機の振動は、自在管継手及び弾性支持手段を介して、排気管に伝達され、さらに、フレキシブルパイプを介して、以後の排気管に伝達され、この際、自在管継手、弾性支持手段及びフレキシブルパイプによって吸収される。また、自在管継手によって、排気マニホールド及び排気管の熱膨張を吸収するとともに、排気管の移動を適度に規制する。更に、弾性支持手段によって排気管を変速機に支持させたので、排気管の車体への支持部が少なくなる。
重量物である触媒コンバータを支持剛性の高い排気マニホールドによって、エンジンの近くで支持することができる。弾性支持手段によってO2センサの変位が規制される。また、弾性支持手段によって、O2センサが飛石等から保護される。
請求項2の発明に係るエンジンの排気装置は、上記請求項1の構成において、前記弾性支持手段は、前記ボス部の上面に取付けられる板状のインシュレータと、該インシュレータに取付けられるブラケットと、前記変速機に取付けられるマウントと、前記ブラケットと前記マウントとの間に介装される板状のインシュレータとを備えていることを特徴とする。
このように構成したことにより、ボス部とブラケットとの間及びブラケットとマウントとの間のインシュレータによって振動を吸収する。
請求項3の発明に係るエンジンの排気装置は、上記請求項2の構成において、前記第2パイプにほぼ直交する方向に前記マウントを延出して前記ボス部から突出させ、前記マウントの延出方向に沿って前記 O 2 センサを配置したことを特徴とする。
このように構成したことにより、マウントによって O 2 センサが保護される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のエンジンの排気装置11は、車体(図示せず)の前部に搭載されたエンジン(図示せず)の排気マニホールド12の下方へ延びる集合部側の端部に、略L字形の第1パイプ13の一端が連結され、第1パイプ3の他端に、自在管継手14を介して、第2パイプ15の一端が連結されている。第2パイプ15は、車体下面に沿って後方へ延ばされ、その他端がセンタパイプ16の一端部に接続されている。センタパイプ16の他端部には、図2に示すように、消音器17の入口パイプ18が接続され、消音器17の出口パイプ19は、車体の後部において大気に開放されている。
【0009】
排気マニホールド12の集合部には、マニバータ20(触媒コンバータ)が設けられている。図3に示すように、マニバータ20は、排気マニホールド12の集合部に一体的に形成された略円筒状のケース部21内に触媒ハニカム22及びハニカムサポータ23を収容して構成されており、ケース部21のフランジに、ガスケット24を介して第2パイプ13のフランジがボルト25及びナット26によって結合されている。また、排気マニホールド12には、フロントO2センサ27が取付けられている。
【0010】
自在管継手14は、図4に示すように、第1パイプ13と第2パイプ15とを弾性体からなるテーパ状のガスケット28を介して気密的に接続し、これらの管フランジ29、30をボルト31によって結合して、ばね32によって互いに押圧している。このように、ばね力によって、第1パイプ13と第2パイプ15との間に、ある程度の傾きを許容するとともに、これらを適度な支持剛性をもって結合して、振動が伝わりにくい構造としている。
【0011】
第2パイプ15には、エンジンに結合された変速機(図示せず)に対向させて、その前部側の部位に、取付ボス33が溶接されており、この取付ボス33に、インシュレータ34及びカバー35を介してブラケット36がボルト37及びナット38によって取付けられている。変速機のケースには、マウント39がボルト40及びナット41によって取り付けられている。そして、ブラケット36、マウント39及びインシュレータ34によって弾性支持手段が構成され、ブラケット36とマウント39とがボルト42によって結合されて、第2パイプ15が変速機に弾性的に支持されている。
【0012】
第2パイプ15の取付ボス33の後部側近傍には、リヤO2センサ43が取付けられている。第2パイプ15の後端部には管フランジ44が設けられ、管フランジ44の近傍に可撓性を有するフレキシブルパイプ45が設けられている。第2パイプ15の後端部の管フランジ44には、センタパイプ16の前端部に設けられた管フランジ46がガスケット47を介して、ボルト48及びナット49によって結合されている。管フランジ44、46は、マフラハンガ50及びボルト51によって車体に弾性的に支持されている。
【0013】
センタパイプ16の管フランジ46の近傍には、サブマフラ52が設けられている。センタパイプ16の後端部の管フランジ53には、メインマフラ17の入口パイプ18の先端部に設けられた管フランジ54がガスケット55を介して、ボルト56及びナット57によって結合されている。
【0014】
メインマフラ17は、3つのマフラハンガ58、59、60及びボルト61、62、63、64によって車体に弾性的に支持されている。メインマフラ17の出口パイプ19の先端部には、テールパイプ65が取付けられている。
【0015】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
エンジン及び変速機は、エンジンマウント等によって車体に弾性的に支持されて同一の振動系となり、これらの振動は、自在管継手14、マウント39及びブラケット36を介して第2パイプ15に伝達されるが、自在管継手14のガスケット28及びばね32と、ブラケット36のインシュレータ34によって吸収され、さらに、これ以後に伝達される振動は、フレキシブルパイプ45によって吸収されるので、マフラハンガ50、58、59、60を介して車体に伝達される振動を低減することができ、車体の振動及び騒音を減少させることができる。
【0016】
エンジンの発熱による排気マニホールド12及び第1パイプ13等の熱膨張は、自在管継手14によって吸収されるので、熱応力の発生を抑制して、排気管の損傷を防止することができる。自在管継手14のガスケット28及びブラケット36のインシュレータ34は、第2パイプ15の移動を適度に規制するので、ガスケット28及びインシュレータ34の変形量が小さく、これらの耐久性を高めることができる。また、重量物であるマニバータ20は、支持剛性の高い排気マニホールド12と一体に形成されて、エンジンに支持されているので、マニバータ20によって第1及び第2パイプが振られることがなく、ガスケット28及びインシュレータ34の負担を軽減することができる。
【0017】
リヤO2センサ43は、マウント39及びブラケット36による支持部の近傍に取り付けられているので、振動による変位が小さく配線等の耐久性を向上させることができる。また、ブラケット36及びマウント39によって、リヤO2センサを飛び石等から保護することができる。
【0018】
重量物であるフレキシブルパイプ45及びサブマフラ52は、マフラハンガ50によって支持された管継手(管フランジ44、46)の近傍に配置されており、さらに、フレキシブルパイプ45は、比較的支持剛性の高い自在管継手14、マウント39及びブラケット36によって支持されているので、フレキシブルパイプ45及びサブマフラ52の振動を抑制することができる。
【0019】
また、第2パイプ15をブラケット36及びマウント39によって変速機の一箇所に支持したことにより、少ない支持部によって、排気装置を効果的に支持することができ、排気装置の振動を抑制するとともに、車体に伝達される振動及び騒音を低減することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係るエンジンの排気装置によれば、同一の振動系であるエンジン及び変速機の振動は、自在管継手及び弾性支持手段を介して、排気管に伝達され、さらに、フレキシブルパイプを介して、以後の排気管に伝達され、この際、自在管継手、弾性支持手段及びフレキシブルパイプによって吸収される。その結果、車体に伝達される振動及び騒音を低減することができる。また、自在管継手によって、排気マニホールド及び排気管の熱膨張を吸収するとともに、排気管の移動を適度に規制することができる。更に、弾性支持手段によって排気管を変速機に支持させたので、排気管の車体への支持部が少なくなり、車体に伝達される振動及び騒音を低減することができる。
重量物である触媒コンバータを支持剛性の高い排気マニホールドによって、エンジンの近くで支持することができるので、排気管の振動を抑制することができる。弾性支持手段によってO2センサの変位を規制することができ、リード線を短縮することができる。また、弾性支持手段によって、O2センサを飛石等から保護することができる。
請求項2の発明に係るエンジンの排気装置によれば、ボス部とブラケットとの間及びブラケットとマウントとの間のインシュレータによって振動を吸収することができる。
また、請求項3の発明に係るエンジンの排気装置によれば、マウントによって O 2 センサを飛石等から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの排気装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の第2パイプに接続されるセンタパイプ以後の排気管を示す分解斜視図である。
【図3】図1の装置の要部の分解斜視図である。
【図4】図1の装置の自在管継手を拡大して示すたて断面図である。
【図5】従来のエンジンの排気装置の斜視図である。
【符号の説明図】
11 排気装置
12 排気マニホールド
13 第1パイプ(排気管)
14 自在管継手
15 第2パイプ(排気管)
16 センタパイプ(排気管)
20 マニバータ(触媒コンバータ)
34 インシュレータ(弾性支持手段)
36 ブラケット(弾性支持手段)
39 マウント(弾性支持手段)
43 リヤO2センサ
44 管フランジ(管継手)
45 フレキシブルパイプ
46 管フランジ
52 サブマフラ

Claims (3)

  1. 車体の前部に搭載されたエンジンの排気マニホールドの下方に延びる集合部に触媒コンバータを配設すると共に該集合部の下流側端部に第1パイプを連結し、該第1パイプの下流側端部に第2パイプを連結し、該第2パイプ及びその下流側を前記車体の下面に沿って該車体の後部に延出させて大気に開放させると共に車体に弾性的に支持させたエンジンの排気装置において、
    前記触媒コンバータの軸方向を上下方向に指向させ、前記第1パイプを略L字形に形成し、該第1パイプと前記第2パイプとを自在管継手によって連結し、前記第2パイプの下流部にフレキシブルパイプを配設し、
    前記自在管継手はガスケットを介して前記第1パイプの管フランジと前記第2パイプの管フランジとを気密的に接続してボルトによって結合することにより前記ボルトの周囲に配設されたばねによって互いに前後方向に押圧し、
    前記第2パイプに、前記触媒コンバータの後方で前記フレキシブルパイプよりも前記自在管継手に近接させて、ボス部を前記触媒コンバータの軸方向に突設し、前記エンジンに連結された変速機に前記ボス部を弾性支持手段を介して結合して前記第2パイプを前記変速機に弾性的に支持させ、前記ボス部の突出部分に隠れるように前記第2パイプの前記ボス部の後方に O 2 センサを配設したことを特徴とするエンジンの排気装置。
  2. 前記弾性支持手段は、前記ボス部の上面に取付けられる板状のインシュレータと、該インシュレータに取付けられるブラケットと、前記変速機に取付けられるマウントと、前記ブラケットと前記マウントとの間に介装される板状のインシュレータとを備えていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気装置。
  3. 前記第2パイプにほぼ直交する方向に前記マウントを延出して前記ボス部から突出させ、前記マウントの延出方向に沿って前記 O 2 センサを配置したことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの排気装置。
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