JPS6232035B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、二つの金属製品を接合する場合そ
の接合部の接合面をシールする方法に係り、殊に
二つの金属製品の少なくとも一方が金属板成形品
である場合特に好適な金属製品接合部のシール方
法を提供するものである。

従来、二つの金属製品を接合する場合、本明細
書で後に詳記するように、その接合部の近くに液
状又はペースト状のシーリング剤（シール材）を
施すのが普通であつたが、その手段によれば種々
の不都合があつた。

本発明方法によると、複数の金属棒、金属パイ
プ又は金属板を所定断面形に成形した形材製の棒
体を、金属板成形体であるコネクタによつて連結
する場合等に、液状又はペースト状のシーリング
剤を用いることなく、棒体とコネクタとの接合面
を気密にシールして、湿気や水分の浸入によつて
錆が生じるのを防ぐ等、その接合部に生じる障害
を防止する。

この発明の方法は、二つの金属製品の接合面間
に、圧縮性に富み熱可塑性ある材料から成るシー
ト状のシール材を介在させて上記二つの金属製品
の接合面を重合させ、その重合部を押圧すること
によりシート状のシール材を圧縮した状態でその
接合部を接合した後、同部分をシール材の溶融温
度程度まで加熱することにより、シール材を軟化
溶融させて、同部分を完全にシールすることを基
本的な特徴とする。

本発明を添付図面によつて説明するのに、添付
図面は、本発明の方法を自動車のドリツプレール
リテーナの接合部のシールに適用する場合を例に
図示したものである。

第１図において、ドリツプレールリテーナは、
金属板を所定断面形に成形した棒状の３本のリテ
ーナ本体１ａ，１ｂ及び１ｃの各接続端を、金属
板の成形品であるコネクタ２によつて接合したも
のである。

リテーナ本体１（ａ〜ｃ共通）及びコネクタ２
は、いずれも厚さ0.4〜0.8mm程度の金属板の成形
品である。

コネクタ２の両端部とリテーテ本体１の端部と
の間は、第２図に拡大して示すように、両者の接
合面相互に溶融接着しているシール層３０によつ
て気密にシールされている。この実施例におい
て、リテーナ本体１は、ほぼ平板状の本体部分１
１の両側に側面部１２，１２を有し、更にその端
縁が内向きの折返し縁１３，１３に形成されてお
り、また片側の折返し縁先端は更に延長されて延
長板部１４を備える形の断面形に成形されてい
る。コネクタ２の断面形状は、上記リテーナ本体
の外面形状と密に重合して嵌合する形に成形され
ている。２１は平板状部分、２２はコネクタ側面
部、２３はコネクタ折返し縁である。

上記シール層３０は、リテーナ（以下「本体」
の字句省略）１とコネクタ２との間の接合部にお
いて、両者の接合面の間に介在させて圧縮したシ
ール材が、加熱により溶融した結果作られたもの
である。

同部分を更に拡大して示した第３図に、シール
材３の一例が示されている。第３図は、リテーナ
１とコネクタ２の間に介在させて圧縮するシール
材３を、その圧縮前の状態で示している。なお、
図示シール材は、リテーテ１とコネクタ２とがス
ポツト溶接その他の溶接手段によつて接合される
場合のものである。

シール材３は、圧縮性に富みかつ熱可塑性ある
材料から成るシートで作られるもので、図示のも
のは厚さ３mmの塩化ビニール発泡シートを所要の
形に整えたものである。被接合物がリテーナ１と
コネクタ２とのような棒状体どうしであるような
場合、それらの接合部Ｊ（第１図）は、両者の端
縁１０，２０間に形成されるが、シール材３は、
好ましくは、最終的にその接合面全域をシールし
得るような原形を備える大きさを有する。第３図
において、シール材は両面接着テープ４によつて
リテーナの接合面に保持され、平板状シール部３
１、側面シール部３２及び折返し縁シール部３３
が形成されている。３４は溶接用の切欠部で、リ
テーナとコネクタと（被接合２金属製品）の間
に、被接触面１５，２４を提供する。第３図にお
いてはシール材の後部（図面右側）の一部を切除
してリテーナ端縁１０を見せているが、一部を鎖
線で示すように圧縮され溶融すると、接合部全域
に広がり得るように延びている。折返し縁シール
部３３の幅は、折返し縁１３の幅よりは狭い。

次に、上記のようなシール材を介在させて行う
本発明の金属製品接合部のシール方法を、第４図
の実施例によつて説明する。

第４図は、二つの金属製品の双方が金属板成形
品である前記リテーナの端部とコネクタ２の端部
とを重ね合わせた接合部Ｊを、スポツト溶接によ
つて接合する場合を示したものである。以下第４
図について説明する。

リテーナ端縁１０で終るリテーナ１の接合端
と、コネクタ端縁２０で終るコネクタ２の接合端
が一定長さ部分で重合するが、ａ図は、その接合
面１６，２５間に、切欠部３４を設けた合成樹脂
発泡シートのシール材３を未圧縮のまま介在させ
た状態を示したものである。シール材は、これを
強く圧縮するとその厚みがたやすく減少するの
で、前記断面形のリテーナ１とコネクタ２のよう
な場合は、両者が弾性変形し得る範囲でｂ図のよ
うにシール材を圧縮できる。次に、シール材の切
欠部３４相当位置をその両面から一対のスポツト
溶接用電極５，５で押圧すると、シール材は更に
圧縮されて横に広がり、ｃ図３ａのように両者の
端縁１０，２０近くまで延伸されると共に押圧中
心の両被接触面１５，２４が接触する。そして、
通電により溶接Ｗされる。被接合体が板金製であ
ると、図のように弾性変形する。

ｃ図のように接合された接合部Ｊを加熱炉等に
よりシール材の溶融温度程度まで加熱すると、シ
ール材は軟化溶融して両接合面と密に接着した薄
膜化し、ｅ図のように被接合体は原形に復帰し
て、その接合面間が前記シール層３０で気密にシ
ールされた状態になる。

以上で本発明の基本的な方法は完了するが、第
４図実施例は、その間にコーテイング層を施す工
程ｄ図を設けた場合である。ｃ図のように接合さ
れた被接合体１，２は、その接合部を含む製品の
外面全体（場合によつては接合部を含む所要部分
の外面）に、たとえばブタジエン系塗料の電着塗
装により、同部分をカバーするコーテイング層６
を施す。

ｄ図のようにコーテイング６を施した成品を加
熱炉中で150゜〜190℃、たとえば178℃で約12分
加熱することにより塗層６の焼付けを行うと、圧
縮されたシール材３ａも前記のとおり軟化溶融状
態となり、両接合面１６，２５間を気密にシール
する。

加熱温度及び加熱時間は、シール材が充分に軟
化し得る温度以上であることが必要だが、シール
材が溶融により接合面外に流出する程の長時間高
温であつてはならない。通常の熱可塑性材料及び
コーテイング用塗料の場合、加熱の温度及び時間
は130℃以上200℃未満及び７〜15分程度である。

以上の説明から分るとおり、シール材は加熱溶
融するまでは固形物であり、取扱い易くするため
には一定以上の厚さを持たせることが好ましいた
め、シール材は、これを発泡させることによりか
さ比重が小さく圧縮性の大きいものとするのがよ
い。本発明で使用するシール材の好ましいかさ比
重は0.08〜0.3の範囲である。これにより、被接
合物が第２図のような断面形を有する場合でも両
被接合体の間に挾み込むことができる。

なお、被接合体の接合部を接合する手段として
は前記スポツト溶接に限らず、プロジエクシヨン
溶接等異なる溶接によつてもよく、更には、リベ
ツト、ビス、タツピングスクリユー等による機械
的接合手段によつてもよい。機械的接合による場
合は前記切欠部３４を省略できるが、シール材溶
融後のシールを確実とするためには切欠部３４で
提供される被接触面１５，２４を完全に接触させ
た上でその部分を接合するのがよい。接合点の押
圧は、前記電極による押圧力や機械的接合工具に
よる押圧のみに限らず、他の押圧手段で補助し得
ることは言うまでもない。

以上自動車のドリツプレールリテーナの製作を
例に本発明方法を説明したが、自動車の車体を構
成する多数の部品はそれぞれが３次元的に複雑な
形をなし、一体成形し難い場合が多い。これらは
複数に分割成形して相互に接合することが行われ
る。その他、フエンダと裏側板材との接合部等部
品相互の接合部や、第５図以下に例示するよう
な、部品本体とその補強材との接合部等も、要所
はシールすることにより発錆を防止する必要があ
る。これら接合部が風雨にさらされて接合面間に
雨水が浸入したり、温度変化で露がたまつたりす
ると、たちまち錆を生じて強度を減じ、または外
観を損じて車の耐用期間を短かくする。

第６図及び第７図は、それぞれ第５図−線
及び−線断面を示したもので、第５図は自動
車のドア７の見取り図である。第６図及び第７図
において、７１はインナパネル、７２は補強材、
７３はアウタパネル、７４はサツシユであつて、
接合部Ｊ，Ｊ……で接合されている。これら接合
部もそれぞれ防錆上シールされる。７５，７６は
ヒンジブレース、７７はサツシユインフオースを
示す。上記インナパネル７１と補強材７２等は、
それぞれ本発明の二つの被接合体１，２に相当す
る。

従来品においてもこれら接合部はシール材を用
いてシールしていたのであるが（例えば、実公昭
54−34899号公報参照）、従来のシール材はゾルの
ような液状ないしペースト状物であつたため、こ
れを接合部の所要部分のみに正確に塗布し、また
取扱い中その位置を正確に維持することが困難で
あつた。またシール材が接合部外に流れ出すと、
その部分が塗装の障害となるため痕跡を残さない
ように拭取るが、この作業はまことに手数を要す
る不都合がある。また板金成形品の接合において
は成形品の板状部分に多数の歪があることが避け
られない。この場合には両接合面間に間隙を生じ
るため、液状ないしペースト状のシール材では完
全なシールができない欠点がある。

これに対して本発明で使用するシール材は有形
のシートであるから、被接合体の接合部の形状に
応じて予め適切な形に裁断したものを使用するこ
とにより、接合部の接合面間の正確な位置にその
シール材を介在させることが容易であり、シール
層が接合部外にはみ出したり接合部内に行渡らな
かつたりするおそれが絶無となる。また万一はみ
出し部分が生じても、鋭い刃物で所要部分を切断
することにより、はみ出し部分を容易に取除くこ
とができる。シール材を所定の位置に介在させる
には、第３図のように粘着剤層４でシール材を仮
止めするのが有利である。

また、接合が溶接によつて行われる場合、その
位置に予め切欠部を設けて置くことができるので
溶接結果を良好にすることができる効果がある。
そして溶接点の周囲が圧縮されたシール材で囲わ
れているため、溶接時の火花やガスが接合部外に
飛出してばりを生じさせることも防止できる。

更にコーテイング層６を施す場合は接合部のシ
ール性が一層確実となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明方法を実施する状態の一例を示し
たもので、第１図は本発明方法でシールされた接
合部を有する製品の見取り図、第２図は第１図
−線断面図、第３図は同様な切断線によつて手
前側を切除したリテーナ本体とシール材との要部
の部分的斜視図、第４図ａ〜ｅは本発明方法の順
次の工程の説明図、第５図は自動車ドアの見取り
図、第６図及び第７図はそれぞれ第５図の−
線及び−線による横断平面図である。 １＝リテーナ本体（被接合体）、２＝コネクタ
（被接合体）、３＝シール材、Ｊ＝接合部、Ｗ＝溶
接。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 二つの金属製品１，２の接合部の接合面間
   に、圧縮性に富みかつ熱可塑性ある材料から成る
   シート状のシール材３を介在させて該二つの接合
   面１６，２５を重合させる工程、次に該重合部を
   押圧して上記シート状のシール材を圧縮しながら
   該接合面を接合する工程及び該接合部を加熱して
   上記シール材を軟化溶融させることにより同部分
   をシールする工程の結合から成ることを特徴とす
   る金属製品接合部のシール方法。 ２ 特許請求の範囲第１項の方法において、前記
   二つの金属製品１，２の一方又は双方が金属板成
   形品であることを特徴とする金属製品接合部のシ
   ール方法。 ３ 特許請求の範囲第１項又は第２項の方法にお
   いて、前記接合面間に介在させるシール材のシー
   ト３が、一方の金属製品接合面に粘着剤により仮
   止めされていることを特徴とする金属製品接合部
   のシール方法。 ４ 特許請求の範囲第１項、第２項又は第３項の
   方法において、前記シール材が発泡性合成樹脂製
   であり、該シール材３がその発泡した合成樹脂シ
   ートであることを特徴とする金属製品接合部のシ
   ール方法。 ５ 特許請求の範囲第１項、第２項又は第３項の
   方法において、前記シート状のシール材３が前記
   二つの金属製品１，２の接合部のシールすべき接
   合面全域に行渡り得る大きさの原形を有し、前記
   加熱により軟化溶融したシール材が該シールすべ
   き接合面の全域に行渡つて同部分をシールするこ
   とを特徴とする金属製品接合部のシール方法。 ６ 特許請求の範囲第１項、第２項、第３項、第
   ４項又は第５項の方法において、前記シート状の
   シール材３がその一部に部分的な切欠部３４を有
   し、前記二つの金属製品の接合部を該シートの切
   欠部において溶接することを特徴とする金属製品
   接合部のシール方法。 ７ 特許請求の範囲第４項、第５項又は第６項の
   方法において、前記シール材が発泡性塩化ビニル
   であり、前記加熱の温度が130℃以上200℃未満で
   あることを特徴とする金属製品接合部のシール方
   法。 ８ 二つの金属製品１，２の接合部の接合面間
   に、圧縮性に富みかつ熱可塑性ある材料から成る
   シート状のシール材３を介在させて該二つの接合
   面１６，２５を重合させる工程、次に該重合部を
   押圧して上記シート状のシール材を圧縮しながら
   該接合面を接合する工程、次に上記接合部を含む
   前記金属製品の外面に同部分をカバーするコーテ
   イング層６を施す工程及び該コーテイング層を施
   した金属製品を加熱して該コーテイング層を金属
   製品面に固着させると共に前記シール材を軟化溶
   融させることにより同部分をシールする工程の結
   合から成ることを特徴とする金属製品接合部のシ
   ール方法。 ９ 特許請求の範囲第８項の方法において、前記
   二つの金属製品１，２の一方又は双方が金属板成
   形品であることを特徴とする金属製品接合部のシ
   ール方法。 １０ 特許請求の範囲第８項又は第９項の方法に
   おいて、前記接合面間に介在させるシール材のシ
   ート３が、一方の金属製品接合面に粘着剤により
   仮止めされていることを特徴とする金属製品接合
   部のシール方法。 １１ 特許請求の範囲第８項、第９項又は第１０
   項の方法において、前記シール材が発泡性合成樹
   脂製であり、該シール材３がその発泡した合成樹
   脂シートであることを特徴とする金属製品接合部
   のシール方法。 １２ 特許請求の範囲第８項、第９項又は第１０
   項の方法において、前記シート状のシール材３が
   前記二つの金属製品１，２の接合部のシールすべ
   き接合面全域に行渡り得る大きさの原形を有し、
   前記加熱により軟化溶融したシール材が該シール
   すべき接合面の全域に行渡つて同部分をシールす
   ることを特徴とする金属製品接合部のシール方
   法。 １３ 特許請求の範囲第８項、第９項、第１０
   項、第１１項又は第１２項の方法において、前記
   シート状のシール材３がその一部に部分的な切欠
   部３４を有し、前記二つの金属製品の接合部を該
   シートの切欠部において溶接することを特徴とす
   る金属製品接合部のシール方法。 １４ 特許請求の範囲第８項、第９項、第１０
   項、第１１項、第１２項又は第１３項の方法にお
   いて、前記コーテイング層６が電着塗装によつて
   施された塗料層であることを特徴とする金属製品
   接合部シール方法。 １５ 特許請求の範囲第１１項、第１２項又は第
   １３項の方法において、前記シール材が発泡性塩
   化ビニルであり、前記加熱の温度が130℃以上200
   ℃未満であることを特徴とする金属製品接合部の
   シール方法。