JPS6224846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両の複筒型油圧緩衝器において、減
衰力の調整装置の改良に関する。

（従来の技術とその解決すべき問題点） 運転条件に応じて減衰力を調整することを可能
とした油圧緩衝器として、例えば特開昭54−
117486号公報に開示されたものは、ピストンに減
衰弁と並列に可変オリフイスを設け、オリフイス
開度を外部からの操作により増減して、減衰抵抗
を調整している。

しかしながら、この場合は、仮に可変オリフイ
スを全閉したとしても、減衰弁からの油流がある
ため、オリフイス全閉と全開での減衰力の調整巾
はそれほど大きくできず、このため広範囲の運転
条件に対応して常に最適な減衰特性が得られると
は限らなかつた。

そこで本出願人により、特願昭56−172375号と
して、移動作動油の全量を減衰力調整手段を通過
させるようにして、減衰力の調整巾を大きくとれ
るようにして、広範な運転条件に対応して常に最
適な減衰力を得るようにしたものが提案されてい
る。

いまこれを、第１図にもとづいて説明する。

アウターシエル１の内部には、同心的にアウタ
ーシリンダ２とインナーシリンダ３とが配置さ
れ、インナーシリンダ３に摺動自由にピストン４
が収装される。

ピストン４のピストンロツド５は軸受６を貫通
して外部に延び、車体側へ図示しないブラケツト
を介して連結される。

アウターシエル１の下部にはブラケツト８が固
設され、図示しない車軸が連結されるとともに、
アウター、インナーシリンダ２，３の下部にはベ
ースバルブ９が取り付けられる。

ピストン４の上下に油室Ａ，Ｂが形成され、イ
ンナーシリンダ３とアウターシリンダ２との間に
油室Ｃが形成され、油室ＡとＣとは軸受６の通路
１０を介して連通する。

アウターシリンダ２とアウターシエル１との間
には上部をガス室Ｅとしたリザーバ室Ｄが形成さ
れ、このリザーバ室Ｄはベースバルブ９のバルブ
室Ｆと通路１１を介して常時連通する。

ピストン４には伸側と圧側でそれぞれ一方向に
開く減衰弁１２，１３が並列に配置され、これら
減衰弁１２，１３には減衰力調整手段１５を経由
して作動油が流通する。

この調整手段１５はピストンロツド５を貫通し
て回転する操作ロツド１６の先端に、異なつた口
径の複数のオリフイス１７をもつ円盤１８が取り
付けられ、ロツド１６の回転により、各減衰弁１
２，１３とそれぞれ連通する通口１９，２０の通
路有効径（オリフイス径）を増減する。

なお、２１は通口１９，２０および円盤１８を
収めたケースで、ピストンロツド５に螺合してい
る。

一方、ベースバルブ９は、インナー、アウター
シリンダ３，２に固定したバルブケース２２の内
孔２３に、スプール２４が摺動自由に収装され
る。

スプール２４はスプリング２５で上方に向けて
付勢され、油室Ｂの圧力とバルブ室Ｆの圧力のバ
ランスする位置へ移動する。

スプール２４の中心には油室Ｂとバルブ室Ｆと
を結ぶ通口２６が設けられ、この通口２６を圧側
行程でスプリング２８に押されてチエツク弁２７
が閉じる。

２９はチエツク弁２７の支持枠である。

スプール２４には通口２６と外周を連通する側
路３０が設けられ、この側路３０はバルブケース
２２に形成した油室Ｃと連通する通孔３１とスプ
ール２４の変位に伴い選択的に接続する。つま
り、この場合通路１０、油室Ｃ、通孔３１、バル
ブ室Ｆ、及び側路１１が一連となつて上部油室Ａ
とリザーバ室Ｄとを連通する連通路を形成してお
り、スプール２４はその途中に位置し、下部油室
Ｂからの圧力に応じて前記チエツク弁２７の背面
に当たるバルブ室Ｆとリザーバ室Ｄとに面する側
路を開閉する。

スプール２４の外周とバルブケース２２の内周
との間にはダツシユポツト室３４が形成され、ス
プール２４の急な上方移動を緩和している。

いま、ピストンロツド５の伸側行程では、縮小
する上部油室Ａの圧力は高まり、拡大する油室Ｂ
の力は低下しようとする。

このため、ベースバルブ９のスプール２４はス
プリング２５とバルブ室Ｆの油圧により上方へ移
動して、側路３０と通孔３１との連通を断つ一
方、拡大する油室Ｂにはチエツク弁２７が開いて
リザーバ室Ｄから通路１１、バルブ室Ｆを経由し
て作動油を導入する。

一方、上部油室Ａの作動油は、これと常通する
油室Ｃが上記のように通孔３１の連通を断たれて
密閉して高圧化するため、伸側減衰弁１２を経て
下部油室Ｂに流入する。

このとき、減衰弁１２と直列に通口１９が配置
されているので、作動油には全て通口１９から可
変的なオリフイス１７を通る。

したがつて、このオリフイス１７の開度を円盤
１８を回わして調整することにより、実質的な減
衰力をオリフイス径に応じて大巾に調整できるの
である。

次に、ピストンロツド５が侵入する圧側行程で
は、前記と逆に下部油室Ｂの圧力が高まり、上部
油室Ａの圧力が低下する。

このため、ベースバルブ９のチエツク弁２７は
閉じるとともにスプール２４はスプリング２５を
たわませつつ下方へ移動し、図のように側路３０
を通孔３１と接続する。

したがつて縮小する油室Ｂの作動油は、全てが
ピストン４の通口２０から圧側減衰弁１３を通つ
て上部油室Ａへと流入し、かつピストンロツド５
の侵入体積分の油は、油室Ｃが前記にように通孔
３１、側路３０を介してバルブ室Ｆからリザーバ
室Ｄへと連通しているため、通路１０からこの経
路によりリザーバ室Ｄへと流れ出す。

したがつて、この圧側においても、油室Ｂの作
動油は全てオリフイス１７を経由することにな
り、上記伸側と同様にオリフイス径を変えること
により、大幅な減衰力を変化させられるのであ
る。

ところがこの場合、ベースバルブ９のチエツク
弁２７が、油室Ｂの内圧に応じて上下動するスプ
ール２４の上面に形成されたシート部３６に着座
するようになつていたため、ピストン４の作動に
伴つてスプール２４が変位するとチエツク弁２７
も共に上下に変位すると同時にそのスプリング２
８が伸縮して設定荷重の変動を起こすため、チエ
ツク２７を介しての通口２６と油室Ｂとの間の密
閉性能が低下してリークを起こし、この結果とし
て減衰力が不安定になる恐れがあつた。

本考案はこのような従来の問題点を解消するこ
とを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案では、シリン
ダの内部に摺動自由にピストンを収装してその上
下に上部油室と下部油室とを、また前記シリンダ
とその外側のアウタシエルとの間にリザーバ室を
各々画成する一方、前記上部油室とリザーバ室と
を連通する連通路を形成する。前記シリンダの下
部にはベースバルブを設け、このベースバルブに
はピストン伸側作動時にのみ開き下部油室とリザ
ーバ室とを連通るチエツク弁と、同じく圧側作動
時に下部油室の上昇油圧に応動して前記上部油室
からの連通路の途中に位置し前記チエツク弁の背
面においてリザーバ室に面する側路を開くスプー
ルとを備える。さらに、前記ピストンには減衰力
可変手段を設ける。そして、本考案の顕著な特徴
として、前記スプールをベースバルブの円筒状の
バルブケースの内周に摺動自由に収める一方、こ
のバルブケースの上部に前記チエツク弁のシート
部を形成し、かつその外側に下部油室の圧力をス
プールの肩部に導くポートを配設した。

（作用） 上記構成によれば、スプールが変位してもこれ
がチエツク弁と干渉したり、チエツク弁の設定荷
重に影響を及ぼしたりすることが無くなるのでの
で、チエツク弁は伸側行程でのみ確実に所期の作
動をし、すなわち従来見られたチエツク弁の不整
作動に原因する減衰力の変動が解消される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第２図にもとづいて説
明するが、第１図と同一部分には同符号を付す。

シリンダ下部のベースバルブ９は、円筒状のバ
ルブケース２２がシリンダ２，３に固定される。

その内周に摺動自由にスプール２４が収めら
れ、このスプール２４は、その最上昇位置をバル
ブケース２２の内周段部３８で規制される。

バルブケース２２の環状頂面にはチエツク弁２
７のバルブシート部４０が形成される。このシー
ト部４０の外側に位置してバルブケース２２には
ポート３９が形成され、スプール２４の肩部４２
に油室Ｂの圧力を作用させている。

チエツク弁２７のスプリング２８は、バルブケ
ース２２に固定した支持枠２９に係止する。

スプール２４の内周にはバルブケース２２の下
端に挾持されたスプールガイド４１が配設され、
このスプールガイド４１とスプール２４の間にス
プリング２５が介装されるとともにダツシユポツ
ト室３４が形成される。なお、その他の点は、通
路１０、油室Ｃ、通孔３１、バルブ室Ｆ、及び側
路３０等がリザーバ室Ｄと上部油室Ａとを連通す
る連通路を形成していることなども含めて第１図
と同様なので、その説明を省略する（通路１０と
上部油室Ａは第１図を参照）。

このようにして構成されているので、スプール
２４が下部油室Ｂの圧力に応じて上下動しても、
チエツク弁２７とは一切干渉することがなく、油
室Ｂの圧力が下がる伸側行程のみ開弁するのであ
る。

スプール２４にはシート部４０の外側に穿つた
ポート３９を介して油室Ｂの圧力がその上面肩部
４２に作用するので、バルブ室Ｆとの圧力差に応
じてスプール２４は変位し、従来と同様に側路３
０と通孔３１の連通を開閉する。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、チエツク弁バル
ブシート部を、バルブケースの上部に設け、その
内側スプールにはバルブケースに形成したポート
を介して肩部に油室の圧力を作用させるようにし
たので、スプールの変位時にチエツク弁が干渉を
受けることがなく、チエツク弁の踊りを防いで正
確な開閉動作が得られ、減衰力の変動を防止でき
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の断面図、第２図は本考案の
実施例の断面図である。 １……アウターシエル、２……インナーシリン
ダ、４……ピストン、５……ピストンロツド、９
……ベースバルブ、１０……通路、１２，１３…
…減衰弁、１５……減衰力調整手段、１６……操
作ロツド、１８……円盤、１９，２０……通口、
２２……バルブケース、２４……スプール、２５
……スプリング、２４……通口、２７……チエツ
ク弁、３０……側路、３１……通孔、３９……ポ
ート、４０……バルブシート部、４２……肩部、
Ａ，Ｂ，Ｃ……油室、Ｄ……リザーバ室、Ｆ……
バルブ室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダの内部に摺動自由にピストンを収装し
   てその上下に上部油室と下部油室とを、また前記
   シリンダとその外側のアウタシエルとの間にリザ
   ーバ室を各々画成する一方、前記上部油室とリザ
   ーバ室とを連通する連通路を形成するとともに、
   シリンダ下部にベースバルブを設け、このベース
   バルブはピストン伸側作動時にのみ開き下部油室
   とリザーバ室とを連通するチエツク弁と、同じく
   圧側作動時に下部油室の上昇油圧に応動して前記
   上部油室からの連通路の途中に位置し前記チエツ
   ク弁の背面においてリザーバ室に連通する側路を
   開くスプールとを備え、かつピストンには減衰力
   可変手段を設けた複筒型油圧緩衝器であつて、前
   記スプールをベースバルブの円筒状のバルブケー
   スの内周に摺動自由に収める一方、このバルブケ
   ースの上部に前記チエツク弁のシート部を形成
   し、かつその外側に下部油室の圧力をスプールの
   肩部に導くポートを配設したことを特徴とする複
   筒型油圧緩衝器の減衰力調整装置。