JPS6119208Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、とくにALC板を用いた建造物に
使用して好適なALC板におけるネジ締結構造。

従来、ALC板を用いた建造物の壁に足場や看
板等の重量物を取りつけるには、第１図に示した
ように壁を構成するALC板１に貫通孔２を設
け、この貫通孔２へボルト３を通してこのボルト
へ足場や看板の取付部材４を固着させるという工
法を採つていた。

しかるに、この工法に依ると、必ず建物の壁の
内側に人がいて、ボルト３に貫通孔２へ挿通させ
てやり、ナツト締付時にボルト３が回転しないよ
うに押えているが、或いは壁の外側より貫通孔２
を介して挿入されたボルト３へナツト５を捻子着
させなくてはならず、現場が狭くて人間が入つた
り、手を挿入させたりすることが難かしい場所で
は、この作業が困難となるという欠点があると共
に、足場等の取付部材４をボルト３へ取りつけて
ナツト５で締めつけた後には、壁にヒビが入つた
り、表面がくずれて貫通孔２の回りが傷んでしま
うという欠点があつた。

この考案の目的は、人が建物の外側に居るだけ
でボルトの取付作業を行うことができる、とくに
ALC板に用いて好適なALC板におけるネジ締結
構造を提供せんとするにある。

以下はこの考案を図面に示す一実施態様に基づ
いて詳細に説明すると、第２図において、建物の
壁を構成するALC板１０には、貫通孔１１が設
けられており、この貫通孔１１の一側端部（この
側が壁の内側となる）には、例えば合成樹脂製の
固定具本体１２が嵌着されている。この固定具本
体１２は、とくに第３図イ，ロに示したように、
一部に雌捻子１２ａを刻設したボルト取付孔１２
ｂを設けた筒状の胴部１２ｃと、この胴部１２ｃ
の外側軸方向に設けられた回転防止用の突条１２
ｄ，１２ｄと、胴部１２ｃの一側端部に設けられ
た鍔部１２ｅと（尚、この鍔部１２ｅはボルトに
よる締付けにより固定具本体１２が壁の中に喰い
込んでしまつたり、割れてしまつたりしないよう
な大きさと強度を備えていることが望まれる。）
ボルト取付孔１２ｂの一端部を仮に閉塞する仮閉
壁１２ｆとから成る。そして、この仮閉壁１２ｆ
にはボルト取付孔１２ｂの内径と一致する円形の
キザミ１２ｇが設けられており、所定の押圧力が
加わると取れるようになつている。尚、突条１２
ｄ，１２ｄはこれを突起としても良い。

貫通孔１１の他側端部（この側が壁の外側とな
る）には、同じく合成樹脂製のスリーブ体１３が
嵌着されている。このスリーブ体１３は、とくに
第４図イ，ロに示したように、ボルト挿通孔１３
ａを設けた筒状の胴部１３ｂと、この胴部１３ｂ
の外側軸方向に設けられた回転防止用の突条１３
ｃ，１３ｃと、胴部１３ｂの一側端部に設けられ
た鍔部１３ｄと、ボルト挿通孔１３ａの鍔部側端
部を仮に閉塞している仮閉壁１３ｅとから成り、
この仮閉壁１３ｅは極めて薄く構成されており、
押圧力が加わると簡単に破れるようになつてい
る。

したがつて、ALC板１０に予じめ貫通孔１１
を設け、この貫通孔１１へ固定具本体１２とスリ
ーブ体１３を打込んでおいてから、これを用いて
壁部を構築し、足場や看板等を取りつける際に、
壁の外側において、例えばアングル部材等の取付
部材１４に設けた取付穴１４ａを介してボルト１
５の先端をスリーブ体１３の仮閉壁１３ｅへ当て
がい、押圧させると、この仮閉壁１３ｅは簡単に
切れ破れてボルト１５の挿入を許容し、このボル
ト１５の先端は貫通孔１１内を進んで固定具本体
１２の雌捻子１２ａを設けたボルト取付孔１２ｂ
の入口に当接するので、この雌捻子１２ａへボル
ト１５を捻子着させると、足場等の取付部材１４
は壁の内側へ人を配することなく、簡単に壁へし
つかりと取りつけることができるものである。第
５図はこの状態を示している。

尚、ボルト１５が壁の厚さよりも長い場合に
は、ボルト１５の先端が仮閉壁１２ｆに突き当つ
てもどんどん捻子着させて行くことにより、該仮
閉壁１２ｆがキザミの部分より破れて取れてボル
ト１５の通行を許容することになる。第５図はこ
の状態を示している。

第６図は、スリーブ体１３のボルト挿通孔１３
ａを埋めるための栓体１６を示し、足場のように
工事完了後に撤去させるものの場合には、スリー
ブ体１３のボルト挿通孔１３ａが開口したまま残
るので、第７図に示したようにこの栓体１６を用
いてこれを埋めるものである。

尚、この栓体１６はこれが存在しないと、この
考案の目的を達成できないというものではない
が、この栓体１６があると、空埋めに別な部材を
用いる必要がないので便利である。

以上詳細に説明したようにこの考案に依れば、
とくにALC板で構築した建物の外側に人を配す
るのみで、足場や看板等を簡単にしかも堅固に取
りつけることができることの他、上述した固定具
本体とスリーブ体をALC板に設けて貫通孔へ取
り付けた状態でボルトを使用した場合には貫通孔
が開口して残ることがないので、後の吹付塗装等
の作業が行い易く、また、足場等の場合でこのボ
ルト固定具を使用してボルトを撤去した場合にも
壁の外側がくずれて汚なくなるこがない等々の作
用効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来工法の側断面図、第２図はこの考
案に係る固定具の使用例を示す分解断面図、第３
図のうちイは固定具本体の一部断面図、ロは同側
断面図、第４図のうちイはスリーブ体の一部断面
図、ロは同側断面図、第５図はボルトを取りつけ
て見た断面図、第６図は栓体の使用例を示す断面
図、第７図は栓体の斜視図である。 １，１０……ALC板、２，１１……貫通孔、
３，１５……ボルト、４，１４……取付部材、１
２……固定具本体、１２ａ……雌捻子、１２ｂ…
…ボルト取付孔、１２ｃ……胴部、１２ｄ……突
条、１２ｆ……仮閉壁、１３……スリーブ体、１
３ｅ……仮閉壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建造物を構成するALC板に設けた貫通孔の両
   端部に各々嵌入固定される、筒状の固定具本体と
   同じく筒状のスリーブ体とから成り、前記固定具
   本体には、鍔部と、回転防止用突起と、雌捻子を
   有するボルト取付孔と、このボルト取付孔の一端
   部を塞ぐ仮閉壁を設け、前記スリーブ体には、ボ
   ルト挿通孔と、このボルト挿通孔の一端部を塞ぐ
   仮閉壁とを設け、前記各仮閉壁はボルトの先端に
   よる押圧によつて簡単に破断される構造としたこ
   とを特徴とする、ALC板における締結構造。