JPH0334492Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車ボデー等へパネル等の部材を取
付けるのに使用するスクリユーグロメツトに関す
る。

従来の技術 スクリユーグロメツトは、軸部とフランジとか
ら成り、軸部を自動車ボデーの取付孔へ挿通して
係止させ、またパネルの取付孔にねじを貫通させ
てこのねじを軸部の中空孔へねじ込んでパネルを
ボデーへ取付けるものとして知られている。この
スクリユーグロメツトは、ボデーが薄板で成る場
合においてナツトを固着することなくパネルをね
じ止めできるので便利なものである。

考案が解決しようとする問題点 一般にスクリユーグロメツトでは、タツピンね
じ等を用いており、またそのねじ込み作業もイン
パクトレンチ（またはスクリユードライバー）等
を用いている。このため、ボデーの取付孔が丸孔
である場合、スクリユーグロメツトがねじと一緒
に回転し、十分な固着が得られない。

これに対処して、ボデーは角孔にすることが行
われている。また、丸孔にした場合には、その近
傍にもう１つの孔を形成し、スクリユーグロメツ
トの横方向延長突起を形成してその孔に係止させ
てグロメツトの回転を防止することも行われてい
る。

しかし、これらの孔の形成は、ボデーにプレス
加工させることを余儀なくさせ、また余分な孔を
形成させるのでその分の工数も上る。従つて、簡
単なドリル加工による丸孔１つで十分に強い固着
力を得ることのできるスクリユーグロメツトの出
現が望まれる。

本考案の目的は、取付孔が丸孔であつてもねじ
込み作業の際、共回りをしないスクリユーグロメ
ツトを提供するにある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によるスク
リユーグロメツトは、上端のフランジとは反対側
の下端の中空の栓体を配置し、この栓体はねじの
螺入によつて軸部下端を半径方向外方へ押し拡げ
るように形成され、また栓体の外周面には環状の
溝が、本体の中空軸部の内周面には周方向に一定
長延びる肩部が形成されて栓体が本体に入り込む
とその肩部全体が溝に嵌合して栓体と本体を確実
に連結するように形成されており、栓体の上部は
くさび形状になつており、本体の軸部の下部には
栓体の進入により外方へ拡開するように一対の、
上下方向に延びるスリツトが形成され、各スリツ
トには、上端が本体軸部に設けられ下端が自由端
になつていて、進入してくる栓体上部を本体軸部
内に導くように案内するガイド片が設けられてお
り、栓体側面には、栓体が本体に連結した状態で
スリツトの中に入るようになつた回り止め用の突
起が形成されている。従つて、本体のボデーに対
する固着力は強く、パネルの取外しや交換時にお
いてねじを取外しても栓体の落下がなく、再使用
も確実になされる。

実施例 以下本考案の実施例について、図面を参照しな
がら説明する。

第１図ａ〜ｉにおいて、本考案によるスクリユ
ーグロメツトは、本体１と中空の栓体２とから成
り、本体１は中空の軸部３と上端のフランジ４と
を備え、栓体２は軸部３の下端に位置している。
なお、本体１と栓体２とは当初半環状の薄肉部６
により連結されて一体に形成され、プラスチツク
材料で成るのが好ましい。

本体軸部３は中空に形成され、その上方の内径
がねじ外径よりやや大径に形成されるのが好まし
く、これによりねじの挿入が容易になる。栓体２
は、第１図ａに示すように、本体軸部３に向けて
喰い込むくさび形状にされるのが好ましい。また
本体軸部３の下方部分は、該栓体２の形状に相補
的な形状に形成されるのが好ましく、また軸部３
の側面には下端から上方に向けて延びるスリツト
７が形成されるのが好ましい。これらにより、栓
体２は軸部３の下端から軸部３に入り込み易くな
り、軸部下端部８，８を半径方向へ拡げ易くな
る。また軸部３の外側には、自動車ボデー等の取
付孔に係合する係合突出部９，９が形成され、仮
止めに供される。更に、栓体２の内側には雌ねじ
１０が形成されるのが好ましく、ねじの回転時の
初期においても、共回りの力を小さくできる。

本体軸部３と栓体２には、栓体２が本体軸部３
に入り込んだ状態で両者を相互に連結する手段が
それぞれ形成されている。栓体２の外周面には、
その周全体に渡る環状の溝１２が形成されてい
る。また、軸部３の内周面には、その周面に渡つ
て延びる一定長の肩部１３が形成されている。こ
の肩部１３は、第１図ｆに示されるように、スリ
ツト７の部分を除いて軸部３の内周面のほぼ全体
に長く形成されるのが好ましく、栓体と本体の係
止力を強くしている。特に、肩部１３を一定長さ
に形成したことにより、その係止力が強く、再使
用時においても強い結合力を得ることができる。

また、本体軸部３の上下方向に延びるスリツト
７には、上端が本体軸部に設けられ、下端が自由
端になつていて、進入してくるくさび状栓体２の
上部を徐々に本体軸部３の内側に案内するガイド
片１４が設けられている。すなわち、このガイド
片１４は、栓体２のくさび状先端部を本体軸部３
の中空部に引き入れるよう案内して、進入してく
るくさび状ガイド片１４の先端部を軸部３の内側
に導いている。このガイド片１４は、一対のスリ
ツト７の各々に設けられているので、栓体２の直
径方向に対向する２つのくさび状先端部を確実に
軸部３の内側に導き入れる。従つて、栓体２は本
体１の軸部３の内側に案内され、栓体２の外側に
形成された環状溝１２が本体軸部３の内側に形成
された肩部１３に係止して、栓体２と本体１を確
実に係止する。更に、栓体２の溝１２の一部には
軸方向に延びるリブ状の突起１５が形成されてい
る。この突起１５は、本体軸部３のスリツト７に
対応して設けられ、栓体２が本体軸部３に入り込
んだ状態でスリツト７に入り込み、栓体と本体と
の相体回転を防止する。これにより、ねじ込み及
びねじ外しの際において、栓体が本体に対して空
回りすることを防止できる。

第２図は、本考案によるスクリユーグロメツト
を用いて、自動車ボデー２２にパネル２３を取付
ける手順を示している。先ず、矢印のように、
ボデー２２の取付孔２４に栓体２及び本体軸部３
が挿通され、フランジ４の下面と軸部３の係合突
出部９，９によりグロメツトがボデーに係止され
る。次に矢印に示すように、パネル２３の取付
孔２５を軸部３の中空部に合せ、矢印及びに
示すように、ねじ２６をインパクトレンチ（ある
いはスクリユードライバー）等によりねじ込む。
なお、ねじ２６はパネル２３の取付孔２５に挿通
させて後に軸部３にあてがうようにしてもよい。

ねじ２６の回転により、先ずねじ先端は栓体２
の雌ねじ１０に螺合し、この雌ねじ内をねじ２６
は進み、ねじ２６の頭部２７がパネル２３に接面
し、これを押す。更にねじ２６を回転すると、次
第に栓体２が上方に引込まれ、薄肉部６を破断す
る。

薄肉部６の破断後、栓体２のくさび形先端が、
相補形状の本体軸部下端８，８の斜面に当り、第
３図に示すようにスリツト７を中心に本体軸部３
の下部を外方へ押し拡げる。この拡開により本体
１がボデー２２へ強く固着される。更にねじ２６
を回転すると、栓体２がガイド片１４による案内
を受けながら上方へ引込まれ、突起１５がスリツ
ト７に入り込むようになる。この突起１５は、ね
じ２６と栓体の雌ねじ１０との摩擦力によるねじ
と栓体の共回りが、栓体の本体に対する押し付け
力で阻止できない場合に有効に作用し、ねじ２６
の回転により栓体２を十分に引上げることがで
き、このため本体１のボデー２２に対する固着力
を強力なものにすることができる。従つてボデー
の取付孔２５は丸孔であつてもねじ２６とともに
回転することがなくなる。

栓体２をねじ２６の回転により十分に引上げる
と、栓体２の外周面の環状溝１２が本体軸部３の
内側の肩部１３に至り、肩部１３が溝１２に嵌合
する（第４図）。この嵌合によつて、本体１と栓
体２は相互に連結され、ねじ２６を取除いても栓
体２が本体１から脱落することはない。特に、溝
１２は栓体２の外周面全体に形成され、肩部１３
も一定の長さを有しており、その係合面積が大き
いので連結力が大きく、再使用時においてねじ２
６を強く押し込んだとしても栓体が本体から脱落
することはなく、再使用の点において利点があ
る。

なお、肩部１３が溝１２に嵌合した後、更にね
じ２６を回転させて、本体１のボデー２２に対す
る固着力を強くしてもよいことは勿論である。取
付完了の状態を第５図にも示す。

第６図ａ〜ｉは、本考案の第２の実施例を示し
ている。このスクリユーグロメツトは、栓体２の
下端部が閉じた形状に形成されている点を除い
て、第１の実施例と同じである。このように栓体
２の下端を閉じることにより、ねじ２６の先端を
覆うことができ、作業時の危険を少なくすること
ができる。そして、ねじ２６を栓体で包むように
したために、ねじ２６に対して防水効果が得ら
れ、第７図に示すように、本体フランジ４とボデ
ー２２との間にパツキン２８を介在させると、水
密シール性が向上する。

考案の効果 本考案によれば、スリツトを有する本体軸部
に、ガイド付きのくさび形状栓体を喰い込ませる
とともに、スリツト中に入る回り止め用突起が栓
体に設けられているめ、ねじの締め込みにより本
体の固着力が上り、これにより共回りトルクが上
つても十分にそれに対抗できる。従つて、取付孔
が丸孔であつてもそのまま使用でき、自動車ボデ
ーの取付孔の成形を簡単にドリル加工でき、プレ
ス型等の不便さを解消できる。

また、栓体と本体を取付け後も連結できるよう
にしたため、再組付けにおいても栓体を拾つてあ
てがう不便がなくなり、特にボデー等の取付け部
材の裏面が袋状になつているとき、極めて好適な
ものとなる。そして、本考案において、栓体と本
体の連結力は強く、再使用時においてねじを栓体
に押しつけても栓体が脱落することがなく、再使
用時の作業が極めて楽に行える。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｉは本考案の一実施例によるスクリ
ユーグロメツトを示しており、同図ａは正面図、
同図ｂは平面図、同図ｃは底面図、同図ｄは右側
面図、同図ｅは同図ａのｅ−ｅ線断面図、同図ｆ
は同図ａのｆ−ｆ線断面図、同図ｇは同図ａのｇ
−ｇ線断面図、同図ｈは同図ｂのｈ−ｈ線断面
図、同図ｉは同図ｂのｉ−ｉ線断面図、第２図は
第１図のスクリユーグロメツトを用いた組付手順
を示す説明図、第３図は組付けの途中を示す断面
図、第４図及び第５図は組付け完了状態を示す断
面図及び正面図、第６図ａ〜ｉは本考案の他の実
施例によるスクリユーグロメツトを示しており、
同図ａは正面図、同図ｂは平面図、同図ｃは底面
図、同図ｄは右側面図、同図ｅは同図ａのｅ−ｅ
線断面図、同図ｆは同図ａのｆ−ｆ線断面図、同
図ｇは同図ａのｇ−ｇ線断面図、同図ｈは同図ｂ
のｈ−ｈ線断面図、同図ｉは同図ｂのｉ−ｉ線断
面図、第７図は第６図のスクリユーグロメツトの
取付完了状態の断面図である。 符号の説明、１……本体、２……栓体、３……
本体軸部、４……フランジ、６……薄肉部、７…
…スリツト、１０……雌ねじ、１２……環状溝、
１３……肩部、１４……ガイド片、１５……突
起、２２……自動車ボデー、２３……パネル、２
６……ねじ、２８……パツキン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 板状部材の取付孔に軸部を挿通して係止さ
   せ、ねじを前記軸部の中空部に螺入することに
   よつて前記板状部材に固く連結されるスクリユ
   ーグロメツトにおいて、中空の軸部と上端のフ
   ランジとを備えた本体と、該本体の下端に位置
   し、前記ねじの螺入によつて本体軸部の下端か
   ら上方へ入り込み該軸部を半径方向外方へ押し
   拡げる中空の栓体とから成り、栓体が本体軸部
   に入り込んだとき栓体と本体を相互に連結する
   係止手段が設けられ、該係止手段は、栓体の外
   周面に形成された環状の溝と、本体の中空軸部
   の内周面に形成されたその内周方向に延びる一
   定長の肩部とで成り、該肩部はその全体が前記
   栓体の溝に対して嵌合するように形成され、栓
   体の上部はくさび形状になつており、本体の軸
   部の下部には栓体の進入により外方へ拡開する
   ように一対の、上下方向に延びるスリツトが形
   成され、各スリツトには、上端が本体軸部に設
   けられ下端が自由端になつていて、進入してく
   る栓体上部を本体軸部内に導くように案内する
   ガイド片が設けられており、栓体側面には、栓
   体が本体に連結した状態でスリツトの中に入る
   ようになつた回り止め用の突起が形成されてい
   ることを特徴とするスクリユーグロメツト。 (2) 栓体は、その下端が閉じていて中に入るねじ
   を露出させないようになつている実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載のスクリユーグロメツ
   ト。 (3) 当初、本体の軸部の端部と栓体のくさび形状
   の端部が薄肉部分で連結されたプラスチツク材
   料の一体成形品で成る実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のスクリユーグロメツト。