JPH1143580A - 塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂組成物

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JPH1143580A
JPH1143580A JP9202833A JP20283397A JPH1143580A JP H1143580 A JPH1143580 A JP H1143580A JP 9202833 A JP9202833 A JP 9202833A JP 20283397 A JP20283397 A JP 20283397A JP H1143580 A JPH1143580 A JP H1143580A
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井 久 幸 岩
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Mitsuhiro Murayama
山 三 弘 村
Yukito Zanka
華 幸 仁 残
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形時の加工性、外観、曲げ弾性率、耐
衝撃性、引張り伸び、表面硬度、耐熱性、塗装性に優
れ、金型汚染性が抑制された熱可塑性重合体組成物を提
供する。 【解決手段】 下記(A)〜(G)成分よりなる塗装性
と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂組成物。 (A)成分:プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂 50〜74.7重量% (B)成分:エチレン・オクテンランダム共重合体 5〜10重量% (C)成分:エチレン・ブテンランダム共重合体 5〜10重量% (D)成分:PE又はPSとEPR又はEBRとのジブロック又はトリブロッ ク構造を有するエラストマー 0.3〜 5重量% (E)成分:タルク 15〜25重量% (F)成分:ヒンダードアミン (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜 2重量部 (G)成分:(RCOO)Xの金属塩(X=Zn、Mg、Ca) (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜 4重量部

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン・エチ
レンブロック共重合体樹脂、低結晶性エチレン・オクテ
ン共重合体、低結晶性エチレン・ブテン共重合体、ブロ
ック構造を有する特定のエラストマー、タルク及び特定
の添加剤により構成され、射出成形時の成形加工性が良
好で、外観が優れ、曲げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸
び、表面硬度、耐熱性が良好で、かつ塗装性にも優れ、
金型汚染性の抑制された、特に自動車内装部品等の射出
成形品に好適な、塗装性と金型汚染性が改良された熱可
塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂に、エチレン・プロ
ピレン共重合体や各種エチレン系共重合体及びタルクを
加えて、耐衝撃性や剛性を高めようという試みは従来よ
り数多く行われている。例えば、優れた耐衝撃性を有す
る特公昭63−42929号、特開昭64−150号、
特開昭64−66263号、特開平1−204946号
の各公報に記載の樹脂組成物が知られている。しかし、
上記特公昭63−42929号公報に記載の組成物で
は、格段に高い結晶性のポリプロピレンを用いていない
ために十分な曲げ弾性率や耐熱性が得られていない。
【0003】また、特開昭64−150号、特開昭64
−66263号及び特開平1−204946号の各公報
に記載の組成物では、タルクの配合量が少ないためにバ
ンパーの様な用途には適しているが、内装材に使用する
には曲げ弾性率が大幅に不足したものである。また、エ
チレン・α−オレフィン共重合体と多量の無機充填剤を
配合した特公平4−159345号公報に記載の組成物
が知られているが、比重が大きく自動車を軽量化すると
の観点から好ましくない。
【0004】一方、上記のような欠点を改良する試みと
して、特開平7−53843号公報に記載の組成物が提
案されているが、低圧で、ハイサイクル成形が要求され
る用途においては、更に高流動性である材料が要求され
ており、この様な高度な要求性能を満足するためには、
該組成物は流動性が不十分である。また、内装材につい
ては、その商品性を高めるために多くの場合塗装を施し
ているが、その塗膜はポリプロピレン系材料との塗膜密
着力が弱く、特に油脂が介在する特殊な場合の塗膜密着
性をも考慮すると、より密着性の高い材料が望まれてい
るのが現状である。この様な課題を解決する材料として
は、特願平7−30030号、特願平8−240790
号等として提案したが、内装材用の塗装性については何
等記載がされていない。また、タルクを配合したポリプ
ロピレン系複合材は、成形加工における性能においても
非常に高度なものが要求されてきており、特に生産現場
においては、連続生産を行っていく際に、金型にブリー
ド物が詰まり、製品グロスが高くなるという悪影響を及
ぼすことが、特に自動車内装材において指摘されてい
る。このような問題点を解決しつつ物性を維持するプロ
ピレン重合体が、特開平5−209094号公報及び特
開平6−17982号公報に提案されているが、該公報
には耐候性処方について述べられておらず、一般に耐候
性向上に用いられる安定剤がこの様な問題点に悪影響を
与えることに鑑み、未だ解決する点が残されているのが
現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題を解決しつつ、高流動性で、かつ良好な物性を発現
し、成形加工性、塗装性にも優れ、且つ金型汚染性が抑
制されたインストルメントパネルを始めとする自動車内
装部品に好適な熱可塑性樹脂組成物を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高流動性で極
めて高い結晶性を有するプロピレン単独重合体部分を備
えたプロピレン・エチレンブロック共重合体に、特定の
結晶性を有するエラストマー成分、結晶性をほとんど有
していないエラストマー成分、相溶化剤成分としてのブ
ロック構造を有するエラストマー、タルク、及び特定の
添加剤を特定の比率で配合することにより、高流動性
で、成形加工性に優れ、良好な外観と物性を発現し、か
つ塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂組成物
が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の塗装性と金型汚染性が
改良された熱可塑性樹脂組成物は、下記(A)〜(G)
成分より構成されていることを特徴とするものである。 (A)成分: プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(MFR)が 20〜200g/10分で、同部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.9 8以上であり、かつブロック共重合体のMFRが10〜100g/10分で、そ の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5〜7 であるプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂 50〜74.7重量% (B)成分: 40〜60℃に融解点を持ち、MFRが0.5〜15g/10 分であるエチレン・オクテンランダム共重合体 5〜10重量% (C)成分: 35℃以上に融解点を持たず、MFRが0.5〜15g/10 分であるエチレン・ブテンランダム共重合体 5〜10重量% (D)成分: 80〜110℃に融解点を持ち、MFRが0.5〜20g/1 0分、ポリエチレン結晶部が20〜40重量%、ランダムエラストマー部が60 〜80重量%である、下記式[I]及び/又は式[II]で表わされるブロック 構造を有するエラストマー、又は、MFRが15g/10分以下、ポリスチレン 部が10〜40重量%、ランダムエラストマー部が60〜90重量%である、下 記式[III]、[IV]及び/又は式[V]で表わされるブロック構造を有す るエラストマー 0.3〜5重量% ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリエチレン ・・・・[I] ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・・・[II] ポリスチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリスチレン ・・[III] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・ポリスチレ ン ・・・[IV] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・・[V]
【0008】 (E)成分: 平均粒径が5μm以下であり、比表面積が3.5m2 /g以上 であるタルク 15〜25重量% (F)成分:
【0009】
【化2】
【0010】 構造を有するヒンダードアミン (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜2重量部 (G)成分: 下記一般式[I]で表わされる金属塩 一般式[I] (RCOO)X (但し、式中のRは分子量290〜500の1価の炭化水素基、XはZn、Mg 、又はCaを表わす。) (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜4重量部
【0011】
【発明の実施の形態】
[I] 熱可塑性樹脂組成物 (1) 構成成分 (A) プロピレン・エチレンブロック共重合体((A)成
分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂
組成物を構成するプロピレン・エチレンブロック共重合
体樹脂((A)成分)は、メルトフローレート(MF
R:230℃、2.16kg荷重)が10〜100g/
10分、好ましくは20〜80g/10分、特に好まし
くは30〜60g/10分のものが用いられる。プロピ
レン・エチレンブロック共重合体のMFRが上記範囲未
満であると流動性が不足し、薄肉成形品を成形する際に
大きな型締め力のある成形機を必要とするか、或いは、
成形温度を高くする必要性が生じるので、生産性に悪影
響を及ぼす。逆に、プロピレン・エチレンブロック共重
合体のMFRが上記範囲を超過する場合、耐衝撃性等の
特性が低下する。上記プロピレン・エチレンブロック共
重合体のMFRは、重合時に調整したもの、或いは、重
合後にジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサ
イド等の有機過酸化物で調整したものであっても良い。
【0012】また、プロピレン・エチレンブロック共重
合体の分子量分布を表わすブロック共重合体の重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/M
n)は5〜7、好ましくは5.5〜6.5の範囲のもの
が用いられる。これら範囲外のものでは耐衝撃性が低下
する。上記分子量分布を表わす重量平均分子量と数平均
分子量の比(Mw/Mn)は、GPC(Gel Per
meation Chromatography)によ
り求められる値である。
【0013】該プロピレン・エチレンブロック共重合体
中のプロピレン単独重合体部分のMFRは20〜200
g/10分、好ましくは30〜150g/10分、特に
好ましくは40〜100g/10分であり、同部分のア
イソタクチックペンタッド分率(P)が0.98以上、
好ましくは0.985以上のものである。上記プロピレ
ン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独重合
体部分のMFRが上記範囲未満であると流動性が不十分
となり、また、MFRが上記範囲を超過すると耐衝撃性
が低下する。
【0014】また、上記プロピレン・エチレンブロック
共重合体中のプロピレン単独重合体部分のアイソタクチ
ックペンタッド分率(P)が上記範囲未満では曲げ弾性
率が不十分であるので不適当である。なお、ここでアイ
ソタクチックペンタッド分率(P)とは、13C−NMR
を用いて測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッ
ド単位でのアイソタクチック分率である。
【0015】また、プロピレン・エチレンブロック共重
合体中のエチレン含量は2〜8重量%のものが好まし
く、該ブロック共重合体中のエラストマー部分のエチレ
ン含量は30〜50重量%のものが好ましい。エチレン
含量が上記範囲未満では耐熱性が劣る傾向があり、ま
た、上記範囲を超えるものは曲げ弾性率や表面硬度が不
足する傾向にある。上記エチレン含量は赤外吸収スペク
トルより算出してより求められる。
【0016】プロピレン・エチレンブロック共重合体の
製造 上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造に
は、高立体規則性触媒が用いられる。上記触媒の製造例
としては、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還
元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して
得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合
物及び芳香族カルボン酸エステルとを組み合わせる方法
(特開昭56−100806号公報、特開昭56−12
0712号公報、特開昭58−104907号の各公報
参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタン
と各種の電子供与体を接触させる担持型触媒を用いる方
法(特開昭57−63310号公報、特開昭63−43
915号公報、特開昭63−83116号の各公報参
照)等の公知の方法を例示することができる。上記触媒
の存在下、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プ
ロセスを適用して、プロピレンとエチレンとを用いて重
合することにより得られる。
【0017】配合量比 上記プロピレン・エチレンブロック共重合体((A)成
分)の配合量は、本発明の塗装性と金型汚染性が改良さ
れた熱可塑性樹脂組成物中の(A)〜(E)成分の合計
量中に50〜74.7重量%、好ましくは53〜72重
量%、特に好ましくは55〜70重量%の割合で含有さ
せることが重要である。該配合量が上記範囲未満である
と曲げ弾性率が低下し、逆に上記範囲を超過する場合は
耐衝撃性が低下する。
【0018】(B) エチレン・オクテンランダム共重合体
((B)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物を構成するエチレン・オクテンランダム共重合
体((B)成分)は、耐衝撃性を向上しつつ、かつ良好
な表面硬度、良好な塗装性を発現させる目的で用いられ
る。また、後記(C)成分及び(D)成分と併用するこ
とによって、更に高度な物性バランスと塗装性を兼ね備
えた材料を構築することができる。
【0019】この(B)成分は、示差走査熱量計(DS
C)による測定で40〜60℃、好ましくは40〜55
℃に融解点を持つエラストマーである。融解点が上記範
囲を超える場合は塗装性が劣り、逆に上記範囲未満であ
ると表面硬度が不十分となる。この際、オクテンの含有
量に関わらず融解点が上記温度範囲内にあるものであれ
ば良いが、好ましくはオクテン含量は15〜19mol
%、更に好ましくは16〜18mol%のものが塗装性
及び表面硬度の観点から好適である。なお、ここでオク
テン含量とは、Macromolecule(198
2)15,353〜360及び同1402〜1406の
記載に基づき13C−NMRにおいて算出した値である。
【0020】このエチレン・オクテンランダム共重合体
のメルトフローレート(MFR;230℃、2.16k
g荷重)は0.5〜15g/10分、好ましくは0.7
5〜9g/10分、特に好ましくは1〜6g/10分の
範囲のものが用いられる。上記エラストマーのMFRが
上記範囲未満の場合には耐衝撃性が不十分となり、上記
範囲を超過する場合はロックウエル硬度が不十分とな
る。上記エチレン・オクテンランダム共重合体は、1種
類である必要はなく、2種類以上の混合物であっても良
い。
【0021】また、(B)成分の密度は0.90g/c
3 以下、中でも0.86〜0.89g/cm3 、特に
0.865〜0.880g/cm3 のものが耐衝撃性及
び表面硬度の面から好適に用いられる。上記(B)成分
の密度は160℃にてプレス成形した1mm厚のシート
を50mm×50mm×1mm厚に打ち抜きアニールす
ることなしに密度勾配管を用いて測定した。
【0022】エチレン・オクテンランダム共重合体の製
(B)成分のエチレン・オクテンランダム共重合体は、
ハロゲン化チタンのようなチタン化合物と、アルキルア
ルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルコキシア
ルミニウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム
錯体、アルキルアルミニウム、又は、アルキルアルミニ
ウムクロリド等とを組合せてなる、いわゆるチーグラー
型触媒、WO−91/04257号公報等に記載されて
いるメタロセン化合物等によって重合することができる
が、とりわけメタロセン化合物を用いて共重合した場合
により好ましい効果を得ることができる共重合体が得ら
れる。共重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリ
ー法等の製造プロセスを適用して共重合することができ
る。
【0023】配合量比 上記エチレン・オクテンランダム共重合体((B)成
分)の配合量は、本発明の塗装性と金型汚染性が改良さ
れた熱可塑性重合体組成物中の(A)〜(E)成分の合
計量中に5〜10重量%、好ましくは6〜9重量%の割
合で含有させることが重要である。該配合量が上記範囲
未満では耐衝撃性、塗装性が低下し、逆に上記範囲を超
過すると曲げ弾性率が低下する。
【0024】(C) エチレン・ブテンランダム共重合体
((C)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物を構成するエチレン・ブテンランダム共重合体
((C)成分)は、耐衝撃性を向上しつつ、かつ良好な
塗装性を発現させる目的で用いられる。また、上記
(B)成分、後記(D)成分とを併用することによっ
て、更に高度な物性バランスと塗装性を兼ね備えた材料
を構築することができる。この(C)成分は、示差走査
熱量計(DSC)による測定で35℃以上に融解点を持
たない、実質上非晶性のエラストマーである。35℃以
上に融解点を持つものであると、塗装性が不十分とな
る。このエチレン・ブテンランダム共重合体のメルトフ
ローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は
0.5〜15g/10分、好ましくは1〜8g/10
分、特に好ましくは2〜7g/10分の範囲のものが用
いられる。上記エラストマーのMFRが上記範囲未満の
場合には耐衝撃性が不十分となり、上記範囲を超過する
場合はロックウエル硬度が不十分となる。上記エチレン
・ブテンランダム共重合体は、1種類である必要はな
く、2種類以上の混合物であっても良い。
【0025】エチレン・ブテンランダム共重合体の製造 上記エチレン・ブテンランダム共重合体は、上記(B)
成分と同様に、チーグラー型触媒、フィリップス型触
媒、メタロセン触媒等のイオン重合触媒の存在下に、気
相流動床法、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適
用して、エチレンとブテンを共重合することにより得ら
れるものであり、ブテンの含有量に関わらず実質上非晶
性のエラストマー状のものであれば良い。このブテン含
有量は25重量%を超過するもの、特に30重量%を超
過するものが、耐衝撃性改良の観点から良好であるので
好ましい。上記ブテン含有量はMacromolecu
les(1982)15,353〜360及び1402
〜1406に記載されている13C−NMRに準拠して測
定し求められる。
【0026】配合量比 上記エチレン・ブテンランダム共重合体((C)成分)
の配合量は、本発明の塗装性と金型汚染性が改良された
熱可塑性重合体組成物中の(A)〜(E)成分の合計量
中に5〜10重量%、好ましくは6〜9重量%の割合で
含有させることが重要である。該配合量が上記範囲未満
では耐衝撃性、耐油脂汚染塗装性が劣り、逆に上記範囲
を超過すると曲げ弾性率が低下する。
【0027】(D) ブロック構造を有するエラストマー
((D)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂
組成物を構成するブロック構造を有するエラストマー
((D)成分)は、上記(B)成分及び(C)成分の耐
衝撃改良効果をより有効に発現させるためのもので、少
量の添加であってもその効果を発現することができる。
【0028】ブロック構造を有するエラストマーの物性 このブロック構造を有するエラストマー((D)成分)
の内、下記式[I]及び[II]で表わされるものの融
解点は、示差走査熱量計(DSC)による測定で80〜
110℃、好ましくは90〜105℃の範囲内であるこ
とが重要である。この融解点が上記範囲外のものである
と耐衝撃性が不十分となる。また、そのメルトフローレ
ート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は0.5
〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分
の範囲のものが用いられる。MFRが上記範囲外の場合
は耐衝撃性が不十分となる。このブロック構造を有する
エラストマー((D)成分)の内の、下記式[I]及び
[II]で表わされるものは、ポリエチレン構造とエラ
ストマー構造とを必須成分として含有し、そのどちらか
の構造が欠如していても上記性能を十分に発現すること
はできない。
【0029】該ブロック構造を有するエラストマーは、
下記式に示すようなトリブロック構造[I]であって
も、ジブロック構造[II]であってもかまわない。 ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリエチレン ・・・・[I] ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・・・[II] 上記ポリエチレン構造を有する結晶部分の比率は、20
〜40重量%、好ましくは23〜35重量%である。ま
た、エラストマー構造を有する部分の比率は、60〜8
0重量%、好ましくは65〜77重量%であり、好適に
は、そのブテン構造の含量(1,2重合比率)が、好ま
しくは60〜90重量%、特に好ましくは65〜85重
量%のものである。いずれの比率であっても、この範囲
外であると耐衝撃性が劣る傾向がある。上記1,2重合
比率は赤外吸収スペクトルの測定結果から算出した。
【0030】更に、このブロック構造を有するエラスト
マー((D)成分)の内、式[III]、[IV]及び
[V]で表わされるもののメルトフローレート(MF
R:230℃、2.16kg荷重)は、15g/10分
以下、好ましくは0.3〜15g/10分の範囲のもの
が用いられる。上記エラストマーのMFRが上記範囲外
の場合には耐衝撃性が不十分となる。このブロック構造
を有するエラストマー((D)成分)の内の、式[II
I]、[IV]及び[V]で表わされるものは、ポリス
チレン構造とエラストマー構造とを必須成分として含有
し、そのどちらかの構造が欠如していても上記性能を十
分に発現することはできない。該ブロック構造を有する
エラストマーは、下記式に示すようなトリブロック構造
[III]、[IV]であっても、ジブロック構造
[V]であってもかまわない。 ポリスチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリスチレン ・・[III] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・ポリスチレ ン ・・・[IV] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・・[V] 上記ポリスチレン構造を有する部分の比率は、10〜4
0重量%、好ましくは15〜35重量%である。また、
エラストマー構造を有する部分の比率は、60〜90重
量%、好ましくは65〜85重量%のものである。いず
れの比率であっても、この範囲外であると耐衝撃性が劣
る傾向がある。
【0031】ブロック構造を有するエラストマーの製造 これらエラストマーの製法については特に限定されるこ
とはないが、例えば、式[I]及び[II]に示すもの
に付いては、特開平8−269264号公報に記載され
ているような、いわゆる、リビング重合を用いることが
できる。例えば、n−ブチルリチウムを重合開始剤とし
てシクロヘキサン等の溶媒中でブタジエンの1、4重合
を高比率で行った後、テトラヒドロフランの様な、極性
溶媒を添加して溶媒の極性を操作することにより1、2
重合の生成比率を向上させることができる。この段階で
水素添加の操作を行えば、式[II]に示すジブロック
構造のエラストマーが得られる。また、これらをカップ
リング剤を用いてカップリング処理した後に水素添加の
操作を行えば、式[I]に示すトリブロック構造のエラ
ストマーが得られる。本発明に用いる、この式[I]及
び[II]で表わされるものについては、1、2重合の
比率が、好ましくは60〜90重量%、特に好ましくは
65〜85重量%のものである。この1、2重合の比率
が上記範囲以外であると上記性能を十分に発現させるこ
とができない傾向がある。また、例えば式[III]で
表わされるものに付いては、米国特許第3,595,9
42号及び第4,188,432号の各明細書に記載の
方法により製造することができる。すなわち、スチレン
−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を、コバルト
又はニッケルのアルコキシドをアルキルアルミニウム化
合物で還元してなる触媒の存在下に25〜175℃の温
度で水素化することにより、ブタジエン部分だけ選択的
に水素化され、エチレンとブテンとの共重合体に相当す
る構造となる。
【0032】配合量比 上記ブロック構造を有するエラストマー((D)成分)
の配合量としては、本発明の塗装性と金型汚染性が改良
された熱可塑性重合体組成物中の(A)〜(E)成分の
合計量中に0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重
量%、特に好ましくは0.75〜3重量%の割合で含有
させることが重要である。上記配合量が多すぎるとロッ
クウエル硬度が低下し、逆に配合量が少なすぎると上記
の効果が無くなる。
【0033】(E) タルク((E)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物を構成するタルクとしては、平均粒径が5μm
以下、好ましくは0.5〜3μmであり、かつ比表面積
が3.5m2 /g以上、好ましくは3.5〜6m2 /g
のものである。これらが上記範囲外のものでは曲げ弾性
率が低下するので好ましくない。該平均粒径の測定は、
液相沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型
等)によって測定した粒度累積分布曲線から読み取った
累積量50重量%の粒径値である。また、比表面積の測
定は、空気透過法(例えば、島津製作所製SS−100
型恒圧通気式比表面積測定装置等)による測定値から求
めることができる。これらのタルクは、例えば、乾式粉
砕した後、乾式分級することによって製造することがで
きる。タルクは、重合体との接着性或いは分散性を向上
させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング
剤、有機シランカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属
塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用い
ても良い。
【0034】配合量比 該タルク((E)成分)の配合量としては、本発明の塗
装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合体組成物中
の(A)〜(E)成分の合計量中に15〜25重量%、
好ましくは17〜23重量%の割合で含有させることが
重要である。タルクの配合量が上記範囲未満では曲げ弾
性率が不足し、上記範囲を超える場合は引張り伸びが低
下する。
【0035】(F) ヒンダードアミン((F)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物中には、耐侯剤として
【0036】
【化3】
【0037】構造を有するヒンダードアミンが用いられ
る。このヒンダードアミンは、好ましくはペンタメチル
ピペリジル構造を有するヒンダードアミンであり、具体
的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジル−2−ブチル−2−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
マロネート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテ
トラカーボキシレート、トリス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)−モノステアリル−
1,2,3,4−ブタンテトラカーボキシレート、同じ
くジステアレート、トリステアレート、及び上記の化合
物の混合物、トリス(1,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカーボ
キシレート/β,β,β´,β´−テトラメチル−3,
9−[2,4,8,10−テトラオキサピロ(5,5)
ウンデカン]ジエタノール縮合物、N,N´−ビス(3
−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス
[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン縮合物等を挙げることができる。これら
のヒンダードアミン化合物は、金型を汚染しないで耐候
性を発揮することができるので好ましい。
【0038】配合量比 これらヒンダードアミン系添加剤((F)成分)の配合
量は、(A)〜(E)成分の合計量100重量部に対し
て、0.05〜2重量部、好ましくは0.08〜0.5
重量部、特に好ましくは0.1〜0.3重量部である。
配合量が上記範囲を超過する場合は金型汚染に悪影響を
及ぼし、逆に、上記範囲未満であると実用的耐候性が低
下する。
【0039】(G) 金属塩((G)成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物には、分散剤として下記一般式[I]で表わさ
れる金属塩が用いられる。 一般式[I] (RCOO)X (但し、式中のRは分子量290〜500、好ましくは
290〜400の1価の炭化水素基、XはZn、Mg、
又はCaを表わす。) 上記金属塩は、タルクの分散剤及び着色する際の顔料分
散剤として用いられ、金型汚染性を高度に防止するため
には、上記一般式[I]で表わされる金属塩を使用する
ことが重要である。上記Rの分子量が上記範囲未満であ
ると金型が汚染され易い。逆に、上記範囲を超過すると
タルクや顔料の分散性が劣る。具体的には、ベヘン酸カ
ルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、モン
タン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネ
シウム、メリシン酸カルシウム、メリシン酸マグネシウ
ム、メリシン酸亜鉛、セロチン酸カルシウム、セロチン
酸マグネシウム、セロチン酸亜鉛、リグノセリン酸カル
シウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸
亜鉛を挙げることができる。これら金属塩の中では、ベ
ヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜
鉛、モンタン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、モンタン
酸マグネシウム等を用いることが好ましい。
【0040】配合量比 これら金属塩((G)成分)の配合量は、(A)〜
(E)成分の合計量100重量部に対して、0.05〜
4重量部、好ましくは0.1〜2重量部、特に好ましく
は0.2〜1重量部である。配合量が上記範囲を超過す
る場合は金型汚染に悪影響を及ぼし、逆に、上記範囲未
満であると顔料、タルク等の分散性が不足して物性に悪
影響を与える。
【0041】(H) 付加的成分(任意成分) 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性重合
体組成物中には、上記(A)〜(G)の必須の構成成分
の他に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、他
の付加的成分(任意成分)を添加することができる。こ
の様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール
系、硫黄系、燐系等の酸化防止剤;ベンゾフェノン系、
ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤;有機アルミニ
ウム化合物、有機燐化合物、ソルビトール系化合物等の
核剤;各種分散剤;キナクリドン、ペリレン、フタロシ
アニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質;
繊維状チタン酸カリウム、繊維状マグネシウムオキシサ
ルフェート、繊維状硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム
等のウィスカー;炭素繊維やガラス繊維等の物質を例示
することができる。中でも、酸化防止剤としての、トリ
ス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト等のトリアリールフォスファイトは、耐加水分解性、
高温時の加工安定性や金型汚染性の防止に効果的であ
る。
【0042】(2) 熱可塑性樹脂組成物の製造 (A) 混 練 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂
組成物は、上記構成成分を通常の、押出機、バンバリー
ミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニー
ダーブラベンダー等を用いて、設定温度180〜250
℃にて混練することにより製造されるが、これらの中で
も押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ま
しい。 (B) 成形加工 本発明の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑性樹脂
組成物の成形加工法は、特に限定されるものではない
が、奏される発明の効果から見て射出成形法を用いるこ
とが適している。
【0043】[II] 熱可塑性重合体組成物の物性 上記方法によって製造された本発明の塗装性と金型汚染
性が改良された熱可塑性樹脂組成物は、射出成形時の加
工性が良好で、曲げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸び、表
面硬度、耐熱性の優れた下記の物性を示すことができ、
かつ、自動車内装材用塗料に対して良好な塗装性を発現
すると共に、金型汚染性が十分抑制される。 (a) MFR:20g/10分以上、更に好ましくは25
g/10分以上 (b) 曲げ弾性率:20,000kg/cm2 以上、更に
好ましくは23,000〜28,000kg/cm2 (c) アイゾット(IZOD)衝撃値:15kg・cm/
cm以上、好ましくは18kg・cm/cm以上 (d) 引張り伸び:400%以上、更に好ましくは500
%以上 (e) ロックウエル硬度:75以上、更に好ましくは80
以上 (f) 熱変形温度:120℃以上、好ましくは130℃以
【0044】[III] 用 途 上記の性能を発現できる素材であることから、種々の成
形品に加工することができるが、中でも自動車内装部品
等の射出成形品、特にインストルメントパネル、ドアト
リム、ピラートリム、コンソールボックス等に用いるこ
とが好ましい。
【0045】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明を更
に具体的に説明する。 [I] 測定法 (1) MFR: ASTM−D1238に準拠し、2.
16kg荷重にて230℃の温度で測定した。 (2) アイソタクチックペンタッド分率(P): 13
−NMRを用いてMacromolecule,8,6
87(1975)に記載の方法に基づいて測定した。 (3) 重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/M
n): GPC(GelPermeation Chr
omatography)により測定した。 (4) 融解点: DSCにて180℃まで加熱してサン
プルを融解させた後、10℃/minの速度で−100
℃まで冷却し、更に10℃/minの速度で昇温して得
られたデータより融解点を求めた。 (5) 曲げ弾性率: ASTM−D790に準拠し、2
3℃において曲げ速度2mm/分で測定した。
【0046】(6) 耐衝撃性: ASTM−D790に
準拠し、23℃でのアイゾット衝撃値で評価した。 (7) 引張り伸び: ASTM−D638に準拠して、
23℃で引張り速度10mm/分の速度で測定し、評価
した。 (8) 表面硬度: ASTM−D785に準拠し、23
℃におけるロックウエル硬度をRスケールで評価した。 (9) 熱変形温度: ASTM−D648に準拠し、
4.6kg荷重を用いて測定した。 (10) 塗装性(耐油脂汚染性): 100トンの成形機
を用い、シボ加工(トヨタ自動車グレインC担当)を施
した金型で120mm□×3mmtなる形状のテストピ
ースを成形し、これに自動車内装材用塗料(オリジン電
気社製:プラネットPP−7)を塗布し、60℃の温度
で5分間加熱処理した後、牛脂試薬(ナカライテクス社
製牛脂)を2g/cm2 の割合で塗布して、80℃の温
度で7日オーブン内で加熱処理した。得られたテストピ
ースにカッターにて2mm平方のマスを作成し、これに
ニチバンセロテープを貼り付け、引き剥がすことによ
り、塗膜の剥がれを観察し、密着性を下記の基準で評価
した。 ○: 全く剥がれないもの △:一部剥がれるもの ×:全て又は殆どが剥がれるもの (11) 金型汚染性:180〜220μmの深さのシボ
に、更に艶消しために全体的に0.5〜15μmの深さ
のシボ加工を施した金型で、350mm×100mm×
3mmtなる形状のテストピースを2,000ショット
成形して、1ショット目と2,000ショット目の金型
シボ加工部のグロスの変化を測定し、その変化量が1.
0以下の場合を○、1.0を超える場合を×と判定し
た。 (12) 耐候性:フェードメーター(スガ試験機社製FA
L−AU・H型試験機、ブラックパネル83℃、雨無し
条件)にて1,000時間以内にクラックが生じたもの
を×、生じなかったものを○と判定した。
【0047】[II] 実験例 実施例1〜8及び比較例1〜15 表1〜表7に示す原材料を、表8〜表9に示す組成の割
合で配合し、更に、テトラキス[メチレン−3−(3
´,5´−ジ−t−ブチル−4´ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン(チバガイギー社製IRGAN
OX1010)0.1重量部、及び、トリス−(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.05重
量部を各々配合して、川田製作所製スーパーミキサーで
5分間混合した後、神戸製鋼所製FCM二軸混練機にて
210℃の設定温度で混練造粒することにより熱可塑性
重合体組成物を得た。その後、この熱可塑性重合体組成
物を型締圧350トン及び100トンの射出成形機にて
成形温度210℃で成形し、各種試験片を作成して、上
記各種測定法に従って、MFR、曲げ弾性率、アイゾッ
ト衝撃強度、引張り伸び、表面硬度、熱変形温度、耐油
脂汚染性、金型汚染性、耐候性の測定を行った。その評
価結果を表10〜表11に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【発明の効果】高流動性で極めて高い結晶性を有するプ
ロピレン単独重合体部分を備えたプロピレン・エチレン
ブロック共重合体樹脂に、各特定の、エチレン・オクテ
ンランダム共重合体、エチレン・ブテン共重合体、ブロ
ック構造を有するエラストマー、タルク、ヒンダードア
ミン及び金属塩を、特定の割合で配合・混練することに
より得られる本発明の塗装性と金型汚染性が改良された
熱可塑性重合体組成物は、射出成形時の加工性が良好
で、外観にも優れ、曲げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸
び、表面硬度、耐熱性、耐候性、塗装性(耐油脂汚染
性)も良好で、かつ金型汚染性が抑制されているので、
特に自動車内装部品等の射出成形品に、好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/08 C08L 23/08 23/18 23/18 (72)発明者 傍 島 好 洋 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社四日市技術センター内 (72)発明者 村 山 三 弘 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社四日市技術センター内 (72)発明者 残 華 幸 仁 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社四日市技術センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)〜(G)成分より構成されてい
    ることを特徴とする、塗装性と金型汚染性が改良された
    熱可塑性樹脂組成物。 (A)成分: プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(MFR)が 20〜200g/10分で、同部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.9 8以上であり、かつブロック共重合体のMFRが10〜100g/10分で、そ の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5〜7 であるプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂 50〜74.7重量% (B)成分: 40〜60℃に融解点を持ち、MFRが0.5〜15g/10 分であるエチレン・オクテンランダム共重合体 5〜10重量% (C)成分: 35℃以上に融解点を持たず、MFRが0.5〜15g/10 分であるエチレン・ブテンランダム共重合体 5〜10重量% (D)成分: 80〜110℃に融解点を持ち、MFRが0.5〜20g/1 0分、ポリエチレン結晶部が20〜40重量%、ランダムエラストマー部が60 〜80重量%である、下記式[I]及び/又は式[II]で表わされるブロック 構造を有するエラストマー、又は、MFRが15g/10分以下、ポリスチレン 部が10〜40重量%、ランダムエラストマー部が60〜90重量%である、下 記式[III]、[IV]及び/又は式[V]で表わされるブロック構造を有す るエラストマー 0.3〜5重量% ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリエチレン ・・・・[I] ポリエチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・・・[II] ポリスチレン・(エチレン/ブテンランダムエラストマー)・ポリスチレン ・・[III] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・ポリスチレ ン ・・・[IV] ポリスチレン・(エチレン/プロピレンランダムエラストマー)・・[V] (E)成分: 平均粒径が5μm以下であり、比表面積が3.5m2 /g以上 であるタルク 15〜25重量% (F)成分: 【化1】 構造を有するヒンダードアミン (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜2重量部 (G)成分: 下記一般式[I]で表わされる金属塩 一般式[I] (RCOO)X (但し、式中のRは分子量290〜500の1価の炭化水素基、XはZn、Mg 、又はCaを表わす。) (A)〜(E)成分100重量部に対して0.05〜4重量部
  2. 【請求項2】低光沢を目的とした表面シボ加工を施した
    金型で成形体を成形した場合、該金型シボ加工グロスの
    変化量が2,000ショット後で1.0以下である、請
    求項1に記載の塗装性と金型汚染性が改良された熱可塑
    性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】組成物の物性が、MFR20g/10分以
    上、曲げ弾性率20,000kg/cm2 以上、アイゾ
    ット衝撃値15kg・cm/cm以上、引張り伸び40
    0%以上、ロックウェル硬度75以上、熱変形温度12
    0℃以上である、請求項1に記載の塗装性と金型汚染性
    が改良された熱可塑性樹脂組成物。
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