JP3196547B2 - ポリプロピレン複合組成物 - Google Patents

ポリプロピレン複合組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車内装部品用ポ
リプロピレン複合組成物に関し、更に詳しくは、高流動
性高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体、オ
レフィン系エラストマー及び無機充填材よりなり、ポリ
プロピレン単独成分の連続相中に分散するエラストマー
成分の凝集分散相は、粒子状で平均粒子径を0.1〜1
μmに微細分散させることにより、射出成形加工性、剛
性、耐衝撃性に優れ、脆化温度が低い等の物性バランス
に優れたポリプロピレン複合組成物を提供するもので、
特に自動車内装用大型薄肉部品に良好に利用出来る組成
物である。
【0002】
【従来の技術】自動車内装用の素材には、デザインの自
由度、軽量化、リサイクル性等の観点から、ポリプロピ
レンが広く使用されている。従来の自動車内装用ポリプ
ロピレンは、剛性、耐衝撃性等の物性バランスの必要性
から流動性が低く、射出成形加工性には十分と言えない
場合があり、その利用に制限をうける問題がある。特
に、近年の自動車は高性能で重量化しており、燃費性能
の改善から、内装部品の一体化成形、成形部品の大型
化、薄肉化が進み射出成形加工性、剛性、耐衝撃性に優
れた高流動性のポリプロピレン複合組成物が要望されて
いる。
【0003】ポリプロピレンの物性を改良する方法とし
ては、各種エラストマーや各種充填材が利用されてい
る。耐衝撃性を改良する具体的な方法として熱可塑性エ
ラストマーをブレンドする方法、剛性を改良する方法と
して無機充填材を混合する組成物等が広く知られてい
る。しかし、熱可塑性エラストマーをブレンドする方法
では、衝撃強度が向上する反面、剛性の低下が伴い問題
である。無機充填材を混合する方法では、剛性が大きく
改良されるものの衝撃強度は低下する傾向にあり、物性
バランスが悪くなる。そこで熱可塑性エラストマーと無
機充填材を併用する組成物が多く提案されている。
【0004】例えば、特願平1−268739号公報、
特願平1−310568号公報、特願平3−19502
0公報号、特願平3−223857号公報等に開示され
ている組成物が挙げられる。しかしながら、これらの提
案組成物は、エラストマー成分が少ない場合、剛性と耐
衝撃性の物性バランスが不十分で引張伸びも低く、高速
衝撃性に劣る。或いは、エラストマー成分を多量に含有
する組成物では剛性が低く、自動車内装用の大型成形品
に不適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ポリプ
ロピレンの剛性、耐衝撃性等の物性バランス向上にエラ
ストマーの分散状態が大きく依存することに着目し、更
に、ポリプロピレンの剛性の低下が小さく、且つ耐衝撃
性改良効果の高いエラストマー成分とその分散形態と、
分散粒子径を解決課題として鋭意研究した。その結果、
高流動性高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合
体にエチレン・プロピレン共重合体とエチレン・ブテン
共重合体の2種類を特定の配合比率でエラストマー成分
とし、高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体
単独成分の連続相中に分散するエラストマー凝集相が粒
状で微細な分散状態と成すことにより、剛性、耐衝撃性
が飛躍的に向上し脆化温度が低下することを見出だし、
この発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、この発明は、下記
の高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体
[イ]、エラストマー成分[ロ]及び無機充填剤[ハ]
の各成分からなり、その配合量は[イ]+[ロ]+
[ハ]に対して[イ]が70〜50重量部、[ロ]が1
5〜25重量部、[ハ]が15〜25重量部で、ポリプ
ロピレン単独成分の連続相中に分散するエラストマー成
分の凝集分散相は、粒子状で平均粒子径を0.1〜1μ
mに微細分散していることを特徴とするポリプロピレン
複合組成物
【0007】[イ]成分:120℃における1,2,4
−トリクロロベンゼン不溶分の重量割合が50%以上の
多段階重合で得られる高結晶性プロピレン・エチレンブ
ロック共重合体であって(a)、(b)の2成分で構成
し、(a)と(b)との配合比率が30/70〜70/
30の範囲にあり、(a)成分はメルトフローレートが
10〜50g/10分、エチレン含有量1〜4重量%の
高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体、
(b)成分はメルトフローレートが50〜150g/1
0分、エチレン含有量5〜10重量%の高結晶性プロピ
レン・エチレンブロック共重合体、
【0008】[ロ]成分:(c)、(d)の2成分で構
成するエラストマー成分からなり、(c)成分は、プロ
ピレン含量が20〜30重量%、ムーニー粘度ML1+4
(100 ℃)10〜50のエチレン・プロピレン共重合
体、(d)成分は、ブテン含有量が15〜25重量%の
エチレン・ブテン共重合体であり、(c)と(d)の配
合比率が70/30〜30/70の範囲で、[イ]の高
結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体のメルト
フローレートと[ロ]のエラストマー成分のメルトフロ
ーレートの比[イ]/[ロ]が4〜30の範囲にあるエ
ラストマー成分、 [ハ]成分:粒状又は板状の無機充填材、である。
【0009】この発明で用いる高結晶性プロピレン・エ
チレンブロック共重合体は、高立体規則性触媒の存在下
に多段階で重合させることによって製造され、メルトフ
ローレート(以下、この発明ではMFRと記載)が10
〜150g/10分、120℃における1,2,4−ト
リクロロベンゼン(以下、この発明ではTCBと記載)
不溶分の重量割合が50%以上の高結晶性プロピレン・
エチレン共重合体であって、下記の(a)と(b)の2
成分より構成される。
【0010】(a)成分は、第一段で、プロピレンホモ
ポリマー部分(プロピレンの単独重合体)を製造し、引
続いて第2段以降で単独重合体の存在下にプロピレンと
エチレンを共重合することにより製造されるが、第2段
のプロピレン/エチレンの割合が80〜75/20〜2
5(重量%比)、1段目/2段目の重合比率が86〜9
5/14〜5%、最終重合品のMFRが10〜50g/
10分、一段目重合品のMFR/最終重合品のMFR比
が1.5〜3の範囲にコントロールされたエチレン含量
1〜4重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体
である。
【0011】(b)成分は、第1段で、プロピレンホモ
ポリマー部分を、第2段でプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合部分を重合するが,第2段のプロピレン/エチ
レンの割合が60〜40/40〜60(重量%比)、第
1段/第2段の重合比率が80〜90/20〜10%、
最終重合品のMFRが50〜150g/10分、第一段
重合品のMFR/最終重合品のMFR比が1.5〜3の
範囲にコントロールされたエチレン含量5〜10重量%
のプロピレン・エチレンブロック共重合体である。更
に、TCBにて分別を行った際、30℃におけるTCB
可溶分の重量割合が10%以下が好ましく、120℃に
おけるTCB不溶分が50%以上にあることが必要であ
る。
【0012】この発明のポリプロピレン複合組成物の剛
性、耐熱性を向上させるためには、(a)及び(b)成
分中のプロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペ
ンダッド分率の高いことが好ましく、0.950以上が
推奨される。アイソタクチックペンダッド分率とは、
A.ZambelliらによってMacromolec
ules,,925(1973)に発表されている方
法、すなわち13C−NMRを使用して測定される結晶性
ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタ
クチック連鎖、すなわちプロピレンモノマ−単位が5個
連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノ
マ−単位の分率である。但し、NMR吸収ピ−クの帰属
については、Macromolecules,,68
7(1975)によった。
【0013】かかる高結晶性プロピレン・エチレンブロ
ック共重合体は、例えば、特開平5−65321号公報
に開示された方法により製造することができる。
【0014】(a)成分の高結晶性プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体が、第2段のプロピレン/エチレン
の割合が80〜75/20〜25(重量%比)、第1段
/第2段の重合比率が86〜95/14〜5%の範囲で
は、ランダム性の高いエチレン・プロピレンブロック共
重合体が生産され、ポリプロピレン単独成分の連続相中
に分散するエチレン−プロピレンブロック共重合部分の
凝集分散相は、粒子状で平均粒子径が1μm以下に微細
分散し、更にエラストマー成分との相溶性が良くなり微
細に分散する。この条件以外では、エラストマー凝集分
散相の微細分散が困難となり、剛性及び成形品の表面硬
度が大きく低下し、本発明の効果が得られない。
【0015】また、MFRが10g/10分未満では、
流動性に劣り射出成形の際の流動距離が短く、成形品の
外観、射出成形加工性が悪く薄肉成形が困難である。M
FRが50g/10分を越える場合には、衝撃強度が低
下し好ましくない。好ましいMFRは、15〜30g/
10分の範囲である。
【0016】また、(b)成分の高結晶性プロピレン・
エチレンブロック共重合体が、第2段のプロピレン/エ
チレンの割合が60〜30/40〜70(重量%比)、
第1段/第2段の重合比率が80〜90/20〜10
%、エチレン含量5〜10重量%の範囲では、ブロック
性の高いプロピレン・エチレンブロック共重合体とな
り、エラストマー成分と良く相溶し、脆化温度の改良効
果が大きくなる。エチレン含量が5%未満では、衝撃強
度の改良効果が小さく、10%を越えるとエラストマー
凝集分散相の粒子径が大きくなり、剛性及び成形品の表
面硬度が大きく低下し、本発明の効果が得られない。
【0017】また、MFRが50g/10分未満では、
組成物の流動性が低下し射出成形の際の流動距離が短
く、成形品の外観、射出成形加工性が悪く薄肉成形が困
難となり、MFRが150g/10分を越える場合に
は、衝撃強度等の機械的強度が低下し好ましくない。好
ましいMFRは、60〜100g/10分の範囲であ
る。
【0018】この発明で、高結晶性プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体を単独で組成物の原料に用いた場
合、本発明の効果が得られない。即ち、(a)成分を単
独で用いた場合、衝撃強度が低く、特に低温衝撃性に劣
り、多量のエラストマー成分を配合する必要があり経済
的でないばかりか物性バランスの悪いものとなる。一
方、(b)成分を単独で用いた場合、エラストマー凝集
分散相が粗大に分散し、剛性及び成形品の表面硬度が大
きく低下し、本発明の効果が得られない。そして、プロ
ピレン・エチレンブロック共重合体(a)と(b)の配
合比率が30/70〜70/30の範囲が物性バランス
に優れ、好ましくは40/60〜60/40である。こ
の配合比率以外では、物性バランスの悪いものとなる。
【0019】ここで、この発明で用いたTCBによる分
別は、L.WildらがPolymer Prepri
nts Am.Chem.Soc.,18,182(1
977)の中で直鎖状低密度ポリエチレンの分別に用い
る昇温溶出分別法に準拠して行った。すなわち、所定量
のポリプロピレン樹脂と酸化防止剤をTCBに加熱溶解
し、この溶液を海砂を満たし160℃の温度に保たれた
ステンレス製カラム中に充填した後、室温までカラムの
温度を下げて、ポリプロピレン樹脂を結晶化させる。
【0020】このカラムを再度30℃まで昇温した後、
カラムに接続された配管より30℃に温められたTCB
を流入して可溶分を取り出す。この可溶分をTCB溶液
にメチルアルコールを追添し、可溶分を析出沈降させ、
分別濾過、乾燥して30℃における可溶分を得る。更
に、120℃におけるTCB不溶分は、30℃の場合と
同様に、120℃でのTCB可溶分を取り出した後、カ
ラムの温度を160℃まで昇温し、以下同様にして得る
ことができる。
【0021】30℃におけるTCB可溶分は、実質的に
非晶質であり10%を越える場合は剛性に劣り、好まし
くは7%以下である。120℃におけるTCB不溶分
は、特に高結晶性な部分であり、50%以下では剛性、
耐熱変形性に劣り、好ましくは55%以上である。
【0022】この高結晶性プロピレン・エチレンブロッ
ク共重合体は、50〜70重量部配合される。この範囲
以外では、衝撃強度と剛性及び表面硬度の物性バランス
が悪くなり好ましくない。
【0023】この発明で用いられるエラストマー成分
[ロ]は、下記の(c)、(d)2成分で構成され、
(c)成分は、プロピレン含量が20〜30重量%、ム
ーニー粘度ML1+4 (100 ℃)10〜50のエチレン・
プロピレン共重合体である。プロピレン含量が20〜3
0重量%、ムーニー粘度ML1+4 (100 ℃)10〜50
の範囲にある場合、特にエチレン・ブテン共重合体との
併用に於いて衝撃強度の改良性が高く、エラストマー成
分の凝集分散相は、粒子状で微細分散し、好適である。
ムーニー粘度がこの範囲以外では、エラストマー成分の
凝集分散相が層状或いは粗大な粒子となり分散する。好
ましいムーニー粘度は、20〜45の範囲である。
【0024】(d)成分は、ブテン含有量が15〜25
重量%のエチレン・ブテン共重合体であり、このエチレ
ン・ブテン共重合体は、エチレンと1−ブテンを、通常
の触媒いわゆるチーグラーナッタ触媒を用いて重合した
共重合体であって、共重合体中のブテン含量は、赤外線
分光法によって測定される値で、15〜25重量%、好
ましくは17〜22重量%、MFRが、1〜20g/1
0分、好ましくは2〜10g/10分である。
【0025】共重合体中のブテン含量が15重量%未満
では、衝撃強度の改良効果が低く、25重量%を越える
と剛性、硬度が低下し、剛性、耐衝撃強度のバランスが
悪くなる。一方、MFRが1g/10分未満のものを用
いると分散性に問題が有り、20g/10分を越えると
層状に分散しやすくなり、いずれも粒状で微細な分散状
態と成し得ない。
【0026】(c)と(d)の配合比率が70/30〜
30/70の範囲で、好ましくは、60/40〜40/
60の範囲である。そして、[イ]の高結晶性プロピレ
ン・エチレンブロック共重合体のメルトフローレートと
[ロ]のエラストマー成分のメルトフローレートの比
[イ]/[ロ]が4〜30の範囲にあることが必要であ
る。メルトフローレート比が4未満では、射出成形品に
おけるポリプロピレン単独成分の連続相中に分散するエ
ラストマー成分の凝集分散相は、層状となり易く、メル
トフローレート比が30以上では、エラストマー成分の
分散粒子が1μm以上に粗大な物となり、いずれも物性
バランスの悪いものとなる。
【0027】このエラストマー成分は、15〜25重量
部配合、好ましくは、17〜20重量部である。15重
量部未満では、衝撃強度の改良効果が小さく、25重量
部を越えると剛性、表面硬度が低下し、剛性と衝撃強度
のバランスが悪くなり好ましくない。
【0028】この発明で用いられる粒状又は板状の無機
充填剤の具体例としては、タルク、マイカ、クレー、ワ
ラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイソ
ウ土、塩基性硫酸マグネシウム等が挙げられ、これら1
種以上を適宜使用することが出来る。更に、無機充填剤
は、各種処理剤で表面処理されても良い。表面処理とし
ては、例えばシランカップリング剤系、高級脂肪酸塩
系、有機チタネート系等の各種処理が挙げられる。
【0029】好ましい無機充填剤としては、平均粒子径
が0.3〜5μmの微粉タルクである。最も好ましいの
は、平均粒子径が0.5〜2μmである。平均粒子径が
0.3μm以下では、タルクの2次凝集が起こり分散性
が悪くなり、5μmを越えると剛性と衝撃強度が低下す
る。ここで平均粒子径は、液相沈降方式の光透過法によ
る粒度分布測定装置により測定した粒度の累積分布曲線
における50%の点での粒径値である。この無機充填剤
は、15〜25重量部配合される。好ましくは、17〜
20重量部であり、25重量部を越えると衝撃強度が低
下し、剛性と衝撃強度のバランスが悪くなり好ましくな
い。
【0030】この発明の大きな特徴は、特定の高結晶性
プロピレン・エチレンブロック共重合体に配合するエラ
ストマー成分として、エチレン・プロピレン共重合体と
エチレン・ブテン共重合体を特定の配合比率で併用し、
更にMFRを限定することにより、ポリプロピレン単独
成分の連続相中に分散するエラストマー成分の凝集分散
相は、粒子状で平均粒子径を0.1〜1μmに微細分散
していることである。
【0031】この発明でいうエラストマー凝集分散相
(ドメイン)の平均粒子径とは、樹脂の超薄切片法によ
る透過型電子顕微鏡写真(拡大率×10000)を撮影
して求める。電子顕微鏡写真に写った分散粒子は完全な
円形でないため、画像処理装置(旭化成製:IP−10
00)を用い、規定処理の凝集分散相について、その円
相当径を求め、その平均値を平均粒子径とした。
【0032】高結晶性プロピレン・エチレンブロック共
重合体のポリプロピレン単独成分の連続相(マトリック
ス)中に分散するエラストマー凝集分散相が、粒子状で
平均粒子径が0.1〜1μmの範囲に微細分散させるこ
とにより、剛性と衝撃強度のバランスに優れる。平均粒
子径が0.1μm以下および1μm以上では、物性バラ
ンスが悪い。好ましくは、平均粒子径が0.2〜0.8
μmである。
【0033】この発明のポリプロピレン複合組成物の製
造方法は、溶融混練法で機械的混練機を用いペレット化
する方法により製造することができる。例えば、本発明
の樹脂組成物を構成する各成分をヘンシェルミキサー、
ブレンダー等で予備混合し、そして、必要に応じて酸化
防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔
料、帯電防止剤、金属劣化防止剤、結晶造核剤、高級脂
肪酸塩、難燃剤等の各種添加剤を適宜配合することがで
きる。又、エラストマー成分を予備混合に先立ち予め溶
融混練して用いても構わない。
【0034】次いで2軸押出機を使用し、180〜25
0℃の温度範囲条件下にて溶融混練することが好まし
い。より好ましい製造方法は、2軸押出機において、1
80〜250℃に加熱され、スクリューでの剪断混練速
度が100m/分以上の条件下で高速溶融混練すること
である。
【0035】このようにして得られたポリプロピレン複
合組成物は、射出成形法により種々の大型成形部品に用
いられる。特に、自動車内装用成形部品のインストルメ
ントパネル、その周辺部品、フロアーコンソール、ドア
ートリム、コラムカバー、ドアーアームレスト等に有用
である。
【0036】
【実施例】この発明のポリプロピレン複合組成物を以下
に実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、これ
ら実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比
較例で用いた試験方法は、次の方法によった。
【0037】メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準拠。温度;230℃、荷重;
2.16Kgf 曲げ弾性率 ASTM D790に準拠。 アイゾット衝撃値 ASTM D256に準拠。 脆化温度 ASTM D746に準拠。
【0038】高速面衝撃強度の測定 厚み3mmの射出成形平板を用い、東洋精機(株)落錘
グラフィックインパクトテスターB型により、衝撃破壊
時の全吸収エネルギーを測定。 衝撃速度:5m/秒、ストライカーの径:1インチ。
【0039】エラストマー凝集分散相の分散状態及び平
均粒子径の測定 厚み3mmの射出成形による短冊成形品の中央部分の一
部を切出し、四酸化ルテニウムで染色を施した後、超ミ
クロトームを使用して、樹脂流動方向の超薄切片を切出
し、透過型電子顕微鏡(日立製)を用い、平均的な凝集
分散相のミクロ構造を観察する。次いで、拡大倍率10
000倍で撮影して、視野の大きさ縦220×横180
mmの写真を作成した。写真には、無機充填剤(例えば
タルク)と四酸化ルテニウムで染色されたエラストマー
成分が黒い凝集分散相として写り観察される。タルク
は、細長く燐片状にそしてエラストマー成分は、粒子状
或いは層状等にほぼ均一に分散した様子が観察される。
【0040】電子顕微鏡写真に写った分散粒子は完全な
円形でないため、画像処理装置(旭化成製:IP−10
00)を用い、凝集分散相の最小除去面積を0.01μ
2として画像処理し、エラストマーの凝集分散相を大
きいものから最大500ケ選び出し、その円相当径の平
均値を求め、凝集分散相の平均粒子径とした。
【0041】総合評価 無機充填配合量と曲げ弾性率との関係、エラストマー成
分配合量とアイゾット値との関係を比較し、バランスの
良い場合を◎、悪い場合を×として評価した。
【0042】実施例1〜3、比較例1〜8 用いた高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合
体、エチレン・プロピレン共重合体、及びエチレン・ブ
テン共重合体は、第1、2表に記載する物を用い、無機
充填剤として、タルク;[日本タルク(製):ミクロエ
ースP−4;平均粒径=1μm]を用い、第3表に示す
配合組成内容で、他に組成物に対し、ペンタエリスリチ
ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒ
ドロキシフェニル)プロピネート]0.3PHR、トリ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
0.2PHR、ステアリン酸マグネシウム0.2PHR
を添加し、ヘンシェルミキサーにて1分間の予備混合を
行い、該混合物を高速2軸押出機[(株)神戸製鋼所製
NCM90]を用い、ローター回転数を900rpm,
混練温度180〜200℃で押出、ペレット状の組成物
を得た。得られたペレットを射出成形にて物性試験用試
験片に成形し、各種の物性測定を実施し、その結果を第
3表にまとめて示す。
【0043】第1表に記載する高結晶性プロピレン・エ
チレンブロック共重合体は、特開平5−65321号公
報に記載される立体規則性の高い高活性触媒、重合条件
を応用して第1表に示すA−1〜A−4の高結晶性プロ
ピレン・エチレンブロック共重合体を重合して用いた。
【0044】比較例1 実施例3の組成で、ポリプロピレンにA−1を単独で用
いると凝集分散相が小さくなるが、低温耐衝撃性が低
く、脆化温度の高いものである。
【0045】比較例2 実施例1の組成で、ポリプロピレンにA−2を単独で用
いた場合、凝集分散相が大きくなり、耐衝撃性に優れる
が剛性に劣る。
【0046】比較例3、4 実施例2の組成で、エラストマーの配合比率を変えた場
合、いずれに偏っても物性バランスに劣る。
【0047】比較例5 エラストマー成分にポリプロピレンとのMFR比を30
以上とした場合、凝集分散相の粒径が大きくなり物性バ
ランスに劣る。
【0048】比較例6 エラストマー成分にポリプロピレンとのMFR比を4以
下とした場合、凝集分散相がが層状となり物性バランス
に劣る。
【0049】比較例7 実施例3の組成で、ポリプロピレン(a)に替り、エチ
レン含量が7%のA−3を用いた場合、凝集分散相が大
きくなり物性バランスに劣る。
【0050】比較例8 実施例3の組成で、ポリプロピレン(b)に替り、12
0℃TCB不容分が50%以下のA−4を用いた場合、
剛性が低く、物性バランスに劣る。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】以上のように、特定の高流動性の高結晶
性プロピレン・エチレンブロック共重合体に2種のオレ
フィン系エラストマー成分と無機充填剤を配合したポリ
プロピレン複合組成物は、ポリプロピレン単独成分の連
続相中に分散するエラストマー凝集分散相を粒子状で1
μm以下に微細分散させることにより、高い物性バラン
スを達成し、特に自動車内装用部品の軽量大型薄肉成形
品に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2におけるポリプロピレン複合組成物の
エラストマー分散状態を表す粒子構造(拡大率;1万
倍)の電子顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 野村 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 西尾 武純 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−254649(JP,A) 特開 平5−59250(JP,A) 特開 昭59−184249(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 C08L 23/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の高結晶性プロピレン・エチレンブ
    ロック共重合体[イ]、エラストマー成分[ロ]及び無
    機充填剤[ハ]の各成分からなり、その配合量は[イ]
    +[ロ]+[ハ]に対して[イ]が70〜50重量部、
    [ロ]が15〜25重量部、[ハ]が15〜25重量部
    で、ポリプロピレン単独成分の連続相中に分散するエラ
    ストマー成分の凝集分散相は、粒子状で平均粒子径を
    0.1〜1μmに微細分散していることを特徴とするポ
    リプロピレン複合組成物。 [イ]成分:120℃における1,2,4−トリクロロ
    ベンゼン不溶分の重量割合が50%以上の多段階重合で
    得られる高結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合
    体であって(a)、(b)の2成分で構成し、(a)と
    (b)との配合比率が30/70〜70/30の範囲に
    あり、(a)成分はメルトフロ−レ−トが10〜50g
    /10分、エチレン含有量1〜4重量%の高結晶性プロ
    ピレン・エチレンブロック共重合体、(b)成分はメル
    トフローレートが50〜150g/10分、エチレン含
    有量5〜10重量%の高結晶性プロピレン・エチレンブ
    ロック共重合体、 [ロ]成分:(c)、(d)の2成分で構成するエラス
    トマー成分からなり、(c)成分は、プロピレン含量が
    20〜30重量%、ムーニー粘度ML1+4 (100 ℃)1
    0〜50のエチレン・プロピレン共重合体、(d)成分
    は、ブテン含有量が15〜25重量%のエチレン・ブテ
    ン共重合体であり、(c)と(d)の配合比率が70/
    30〜30/70の範囲で、[イ]の高結晶性プロピレ
    ン・エチレンブロック共重合体のメルトフローレートと
    [ロ]のエラストマー成分のメルトフローレートの比
    [イ]/[ロ]が4〜30の範囲にあるエラストマー成
    分、 [ハ]成分:粒状又は板状の無機充填材。
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