JPH0718151A - ポリプロピレン組成物 - Google Patents

ポリプロピレン組成物

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JPH0718151A
JPH0718151A JP5161962A JP16196293A JPH0718151A JP H0718151 A JPH0718151 A JP H0718151A JP 5161962 A JP5161962 A JP 5161962A JP 16196293 A JP16196293 A JP 16196293A JP H0718151 A JPH0718151 A JP H0718151A
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尾 武 純 西
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村 孝 夫 野
Mikio Hashimoto
本 幹 夫 橋
Satoru Moriya
屋 悟 守
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 剛性、耐熱性低温における耐衝撃性、靱性に
も優れたポリプロピレン組成物の提供。 【構成】 (A)プロピレンブロック共重合体85〜5
5重量%と、(B)エチレン・1-ブテンランダム共重合
体10〜30重量%と、(C)微粉末タルク5〜15重
量%とからなる。の混練物であるか、下記の条件下で熱
処理されたもの(i) ASTM D790に準拠して、ク
ロスヘッド速度2mm/min の条件で測定される曲げ弾性
率(FM)が23000kg/cm2以上であり、(ii)AS
TM D256の方法に準拠して、6.4mm厚のノッチ
付試験片で測定される23℃でのアイゾット衝撃強度
(IZ)が40kg・cm/cm以上であり、(iii) ASTM
D648に準拠して、荷重4.6kg/cm2の条件下で
測定される熱変形温度(HDT)が150℃以上であ
り、(iv)ASTM D746に準拠して測定される低温
脆化温度(BTc)が−30℃以下であり、(v) X線小
角散乱法で測定される長周期が200Å以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、剛性、耐熱性に優れると
ともに耐衝撃性特に低温における耐衝撃性、靱性にも優
れたポリプロピレン組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】結晶性ポリプロピレンは、剛性、
耐熱性、表面光沢性などに優れているが、耐衝撃性には
劣るという問題点があった。
【0003】このため従来、ポリプロピレンの耐衝撃性
を向上させる方法が種々提案されており、たとえば結晶
性ポリプロピレンに、ポリエチレン、ゴム状物質などの
改質剤を配合する方法が知られている。このようなゴム
状物質としては、一般的に非晶性あるいは低結晶性のエ
チレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、ポリ
イソブチレン、ポリブタジエンなどが用いられている。
【0004】本発明者らは、耐衝撃性改良剤としてゴム
状物質特に非晶性あるいは低結晶性のエチレン・プロピ
レンランダム共重合体(EPR)が配合されたポリプロ
ピレン組成物について研究したところ、耐衝撃性に優れ
た組成物を得るには、一般的に知られているタイプのポ
リマーアロイではなく、エチレン・プロピレンランダム
共重合体(ゴム成分)をマトリックスとし、ポリプロピ
レン(結晶成分)を分散相とするモレキュラー・コンポ
ジット的なアロイ(ポリプロピレン組成物)を形成する
必要があることを見出した。しかしながらこのようなモ
レキュラー・コンポジット的なアロイを形成しようとし
ても、従来公知のポリプロピレンとエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体とでは、ポリプロピレン中の非晶成
分の一部がゴム成分中に混和して、ゴム成分はポリプロ
ピレンの非晶成分に拘束されてしまい、耐衝撃性改良効
果が発現しにくい。このためポリプロピレン組成物の耐
衝撃性を改善するためには、ポリプロピレン組成物中に
多量のエチレン・プロピレンランダム共重合体などのゴ
ム状物質を含有させる必要があるが、ゴム状物質を多量
に含有するポリプロピレン組成物は、耐衝撃性が改善さ
れるものの、剛性、耐熱性および表面硬度が大きく低下
してしまうという問題点があった。
【0005】このため上記のようなゴム状物質ととも
に、剛性を付与するためにタルクなどの無機充填剤を含
有するポリプロピレン組成物が提案されている(特開昭
60−58459号公報、特開昭60−60154号公
報、特開昭61−233048号公報、特開昭61−3
6348号公報、特開昭62−235350号公報、特
開昭63−122751号公報、特開昭63−1503
43号公報、特開平1−149845号公報、特開平1
−204947号公報、特開平1−271450号公報
等参照)。
【0006】しかしながら多量のゴム状物質を含有する
ポリプロピレン組成物は、無機充填剤の配合による剛性
の向上には限界があって、高剛性が要求される用途には
利用できないという問題点があった。
【0007】このような非晶性あるいは低結晶性エチレ
ン・プロピレンランダム共重合体に代えて、他のエチレ
ン・α−オレフィン共重合体をポリプロピレンに配合し
て耐衝撃性に優れたポリプロピレン組成物を得ようとす
る試みもなされている。たとえば特公昭58−2569
3号公報、特公昭58−38459号公報には、結晶性
ポリプロピレンと、1-ブテンから誘導される構成単位が
15モル%以下であるエチレン・1-ブテン共重合体とを
含む組成物が開示されており、また特開昭61−243
842号公報には、結晶性ポリプロピレンと、チタン不
均一系触媒を用いて得られるエチレン・1-ブテン共重合
体とを含むポリプロピレン組成物が開示されている。こ
れら公報に開示されているポリプロピレン組成物は、耐
衝撃性、剛性が改善されているが低温における耐衝撃
性、靱性はさらなる向上が望まれている。
【0008】また特公昭63−42929号公報には、
結晶性ポリプロピレンと、1-ブテンから誘導される構成
単位が25〜10重量%でありかつ極限粘度[η]が
1.5dl/g以下であるエチレン・1-ブテン共重合体と
を含むポリプロピレン組成物が開示されているが、この
ポリプロピレン組成物は耐衝撃性が不十分である。
【0009】さらに特開平3−250040号公報にお
いては、1-ブテンから誘導される構成単位が10〜90
重量%のエチレン・1-ブテンブロック共重合体をポリプ
ロピレンの耐衝撃性改良剤として用いているが、このエ
チレン・1-ブテンブロック共重合体はポリプロピレンと
の相溶性に劣っており、耐衝撃性改良効果は不十分であ
る。
【0010】このため剛性、耐熱性に優れるとともに耐
衝撃性特に低温における耐衝撃性、靱性にも優れたポリ
プロピレン組成物の出現が望まれている。
【0011】
【発明の目的】本発明は、剛性、耐熱性に優れるととも
に耐衝撃性特に低温における耐衝撃性、靱性にも優れた
ポリプロピレン組成物を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【発明の概要】本発明に係るポリプロピレン組成物は、 (A)(1) ASTM D1238に準拠して測定される
メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷
重)が、10〜60g/10分であり、(2) 常温n-デカン
可溶成分を3〜13重量%の量で含有し、(3) ポリプロ
ピレン成分は、MFRが20〜80g/10分であり、13
C−NMR法により求められるペンタッドアイソタクテ
ィシティ(I5)が0.97以上であり、(4) この常温n
-デカン可溶成分は、極限粘度[η]が4〜12dl/g
であり、エチレンから誘導される構成単位を30〜60
モル%の量で含有するプロピレン系ブロック共重合体6
0〜85重量%と、 (B)(1) 1-ブテンから誘導される構成単位を15〜2
5モル%の量で含有し、(2) デカリン極限粘度[η]が
1.8〜3.5dl/gであり、(3) ガラス転移温度(T
g)が−55℃以下であるか、あるいはDSC法により
主ピークとして測定される融点が90℃以下であり、
(4) X線回折法によって測定される結晶化度が20%未
満であり、かつ(5) 13C−NMR法により求められるラ
ンダム性パラメータ(B値)が1.0〜1.4であるエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体10〜25重量%
と、 (C)無機充填剤5〜15重量%とからなり、(i) メル
トフローレート(MFR)が8g/10分以上であり、(i
i)ASTM D790に準拠して、クロスヘッド速度2
mm/min の条件で測定される曲げ弾性率(FM)が20
000kg/cm2以上であり、(iii) ASTM D256
の方法に準拠して、6.4mm厚のノッチ付試験片で測定
される23℃でのアイゾット衝撃強度(IZ)が20kg
・cm/cm以上であり、かつ(iv)ASTM D648に準
拠して、荷重4.6kg/cm2の条件下で測定される熱変
形温度(HDT)(4.6kg荷重)が135℃以上であ
ることを特徴としている。
【0013】また本発明に係るポリプロピレン組成物
は、上記のようなポリプロピレン組成物が、さらに13
5〜165℃で、20〜180分間熱処理されていても
よく、この熱処理されたポリプロピレン組成物は、(i)
ASTM D790に準拠して、クロスヘッド速度2mm
/min の条件で測定される曲げ弾性率(FM)が230
00kg/cm2以上であり、(ii)ASTM D256の方
法に準拠して、6.4mm厚のノッチ付試験片で測定され
る23℃でのアイゾット衝撃強度(IZ)が40kg・cm
/cm以上であり、(iii) ASTM D648に準拠し
て、荷重4.6kg/cm2の条件下で測定される熱変形温
度(HDT)が150℃以上であり、(iv)ASTM D
746に準拠して測定される低温脆化温度(BTc)が
−30℃以下であり、かつ(v) X線小角散乱法で測定さ
れる長周期が200Å以上であることを特徴としてい
る。
【0014】
【発明の具体的説明】本発明に係るポリプロピレン組成
物は、(A)プロピレンブロック共重合体と、(B)エ
チレン・1-ブテンランダム共重合体と、(C)微粉末タ
ルクとからなる。
【0015】以下、まず本発明に係るポリプロピレン組
成物を形成する際に用いられる各成分について具体的に
説明する。(A)プロピレンブロック共重合体 本発明で用いられる(A)プロピレンブロック共重合体
は、高結晶性のホモポリプロピレン成分と、常温(23
℃)n-デカン可溶成分であるエチレン・プロピレン共重
合ゴム成分とからなることが好ましい。
【0016】このような本発明で用いられる(A)プロ
ピレンブロック共重合体は、下記のような条件を満たす
特定のプロピレンブロック共重合体である。 (1) ASTM D1238に準拠して、230℃、2.
16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MF
R)が、10〜60g/10分、好ましくは15〜40g
/10分である。
【0017】MFRが10g/10分未満であるプロピレ
ンブロック共重合体から形成される組成物は、流動性が
低く、成形性が劣り、大型品の成形ができないことがあ
り、一方MFRが60g/10分を超えるプロピレンブロ
ック共重合体から形成される組成物はIZ衝撃強度に劣
る傾向にある。
【0018】(2) 23℃n-デカン可溶成分を3〜13重
量%、好ましくは4〜10重量%の量で含有している。
23℃n-デカン可溶成分量が3重量%未満のプロピレン
ブロック共重合体から形成される組成物は、IZ衝撃強
度に劣ることがあり、一方n-デカン可溶成分量が13重
量%を超えるプロピレンブロック共重合体から形成され
る組成物は、剛性に劣ることがある。
【0019】(3) 該プロピレンブロック共重合体のポリ
プロピレン成分は、メルトフローレート(MFR)が、
20〜200g/10分、好ましくは20〜80g/10
分、より好ましくは20〜60g/10分である。
【0020】ポリプロピレン成分のMFRが20g/10
分未満であるプロピレンブロック共重合体から形成され
る組成物は、流動性が低く、成形性に劣り、大型品の成
形ができないことがあり、一方ポリプロピレン成分のM
FRが200g/10分を超えるプロピレンブロック共重
合体から形成される組成物はIZ衝撃強度に劣ることが
ある。
【0021】このポリプロピレン成分は、13C−NMR
法により求められるペンタッドアイソタクティシティI
5 が、0.97以上、好ましくは0.98以上である。
ポリプロピレン成分のI5 が、0.97未満であるプロ
ピレンブロック共重合体から形成される組成物は剛性に
劣る傾向にある。
【0022】(4) 上記の23℃n-デカン可溶成分は、1
35℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が4〜1
2dl/g、好ましくは5〜8dl/gである。ポリプロピ
レン成分の極限粘度[η]が4dl/g未満であるプロピ
レンブロック共重合体から形成される組成物はIZ衝撃
強度に劣ることがあり、一方ポリプロピレン成分の極限
粘度[η]が12dl/gを超えるプロピレンブロック共
重合体から形成される組成物は流動性が低く成形性に劣
ることがある。
【0023】またこの23℃n-デカン可溶成分は、エチ
レンから誘導される構成単位を30〜60モル%、好ま
しくは35〜45モル%の量で含有している。23℃n-
デカン可溶成分中のエチレンから誘導される構成単位が
30モル%未満または60モル%を超えるプロピレンブ
ロック共重合体から形成される組成物は、IZ衝撃強度
に劣ることがある。
【0024】本発明で用いられる(A)プロピレンブロ
ック共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を、
該共重合体中に、2〜9モル%、好ましくは2〜8モル
%の量で含有していることが望ましい。
【0025】エチレンから誘導される構成単位が2モル
%未満であるプロピレンブロック共重合体から形成され
る組成物は、IZ衝撃強度に劣ることがあり、該構成単
位を9モル%を超えて含有するプロピレンブロック共重
合体から形成される組成物は剛性に劣ることがある。
【0026】なお上記のような23℃n-デカン可溶成分
は、試料(プロピレンブロック共重合体)5gを、沸騰
n-デカン200cc中に5時間浸漬して溶解した後、室温
まで冷却して、析出した固相をG4ガラスフィルターで
濾過した後、乾燥して測定した固相重量から逆算される
値である。
【0027】またエチレンから誘導される構成単位の含
有量は、プロピレンブロック共重合体またはn-デカン可
溶成分を、赤外線分光法、NMR法などの常法によって
それぞれ測定することにより求められる。
【0028】ペンタッドアイソタクティシティI5 は、
エイ・ザムベル(A.Zambelli )らにより、Macromolec
ules 6、925(1973) に提案された方法すなわち13C−N
MR法(核磁気共鳴法)によって測定されるポリプロピ
レン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック
分率であり、プロピレン単位が5個連続してアイソタク
ティック結合したプロピレンモノマー単位の分率であ
る。
【0029】上述のNMRの測定におけるピークの帰属
は、Macromolecules 8、687(1975)の記載に基づいて行
われる。また13C−NMRは、フーリエ変換NMR[5
00MHz(水素核測定時)]装置を用いて、周波数1
25MHzで、20000回の積算測定することによ
り、ジクナル検出限界を0.001まで向上させて測定
することができる。
【0030】本発明で用いられるプロピレンブロック共
重合体(A)におけるエチレン/プロピレン共重合成分
(23℃n-デカン可溶成分)は、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、エチレンおよびプロピレン以外の重合性モ
ノマーから誘導される構成単位を含有していてもよい。
【0031】このような他の重合性モノマーとしては、
具体的にたとえば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、
1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘ
キサドデセン、4-メチル-1- ペンテンなどのα−オレフ
ィン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、
ビニルノルボルナンなどのビニル化合物、酢酸ビニルな
どのビニルエステル、無水マレイン酸などの不飽和有機
酸またはその誘導体などが挙げられる。
【0032】本発明で用いられるプロピレン系ブロック
共重合体(A)は、ゴム部がエチレン、プロピレンおよ
び他の重合性モノマーの三元系共重合体と、ゴム部がエ
チレンとプロピレンとの二元系共重合体であるプロピレ
ン系ブロック共重合体との混合物であってもよい。
【0033】また本発明で用いられるプロピレンブロッ
ク共重合体(A)は、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチ
ル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘ
キセン、3,5,5-トリメチル-1- ヘキセン、ビニルシクロ
ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン
などの単独重合体または共重合体を、たとえば前重合に
より形成される前重合体として含有していると、結晶化
速度が大きい。
【0034】本発明で用いられる(A)プロピレンブロ
ック共重合体が上記のようなMFR値であると、後述す
るようにこれから形成されるポリプロピレン組成物は、
流動性に優れ、大型成形品の成形も容易である。なおメ
ルトフローレートが上記よりも大きいポリプロピレンを
含有するポリプロピレン組成物の成形品は、衝撃強度に
劣ることがある。
【0035】また(A)プロピレンブロック共重合体が
上記のような量でゴム成分を含有していると、これから
形成されるポリプロピレン組成物は、曲げ弾性率に優れ
るとともに衝撃強度、低温靱性にも優れるが、(A)プ
ロピレンブロック共重合体中のゴム成分の量が上記の量
よりも多いと、これから形成される組成物は、曲げ弾性
率に劣ることがあり、一方ゴム成分が上記の量よりも少
なすぎると、これから形成される組成物は、衝撃強度、
低温靱性に劣ることがある。
【0036】上記のような本発明で用いられるプロピレ
ンブロック共重合体は、種々の方法により製造すること
ができるが、たとえば立体規則性触媒を用いて製造する
ことができる。具体的には、固体状チタン触媒成分と有
機金属化合物触媒成分とさらに必要に応じて電子供与体
とから形成される触媒を用いて製造することができる。
【0037】本発明では、固体状チタン触媒成分として
は、具体的に、三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物
が、比表面積が100m2 /g以上である担体に担持さ
れた固体状チタン触媒成分、あるいはマグネシウム、ハ
ロゲン、電子供与体(好ましくは芳香族カルボン酸エス
テルまたはアルキル基含有エーテル)およびチタンを必
須成分とし、これらの必須成分が比表面積100m2
g以上である担体に担持された固体状チタン触媒成分が
挙げられる。これらのうち、特に後者の固体状チタン触
媒成分が好ましい。
【0038】また有機金属化合物触媒成分としては、有
機アルミニウム化合物が好ましく、有機アルミニウム化
合物としては具体的に、トリアルキルアルミニウム、ジ
アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウム
セスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなど
が挙げられる。なお有機アルミニウム化合物は、使用す
るチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することが
できる。
【0039】電子供与体としては、窒素原子、リン原
子、硫黄原子、ケイ素原子あるいはホウ素原子などを有
する有機化合物を使用することができ、好ましくは上記
のような原子を有するエステル化合物およびエーテル化
合物などが挙げられる。
【0040】このような触媒は、さらに共粉砕等の手法
により活性化されてもよく、また上記のようなオレフィ
ンが前重合されていてもよい。(B)エチレン・1-ブテンランダム共重合体 (1) 本発明で用いられる(B)エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体は、1-ブテンから誘導される構成単位を1
5〜25モル%、好ましくは15〜22モル%の量で含
有している。
【0041】1-ブテンから誘導される構成単位が15モ
ル%未満であるプロピレン系ブロック共重合体から形成
される組成物は、耐衝撃性に劣ることがあり、一方該構
成単位が25モル%を超えるプロピレン系ブロック共重
合体から形成される組成物は、剛性に劣ることがある。
【0042】本発明で用いられる(B)エチレン・1-ブ
テンランダム共重合体は、下記のような物性を有してい
る。 (2) 135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]
が、1.8〜3.5dl/g、好ましくは2.0〜3.0
dl/gである。
【0043】極限粘度[η]が1.8dl/g未満である
エチレン・1-ブテンランダム共重合体から形成される組
成物はIZ衝撃強度に劣ることがあり、一方極限粘度
[η]が3.5dl/gを超えるエチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体から形成される組成物は流動性が低く成形
性に劣ることがある。
【0044】(3) ガラス転移温度が、−55℃以下、好
ましくは−60℃以下であるか、あるいはDSC法によ
り主ピークとして測定される融点が、90℃以下、好ま
しくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下である。
【0045】ガラス転移温度が−55℃を超えるかまた
は融点が90℃を超えるエチレン・1-ブテンランダム共
重合体から形成される組成物はIZ衝撃強度に劣ること
がある。
【0046】(4) X線回折法によって測定される結晶化
度が、20%以下、好ましくは10%以下である。結晶
化度が20%を超えるエチレン・1-ブテンランダム共重
合体から形成される組成物はIZ衝撃強度に劣ることが
ある。
【0047】(5) 本発明で用いられる(B)エチレン・
1-ブテンランダム共重合体は、13C−NMR法により求
められる共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパ
ラメータ(B値)が1.0〜1.4である。
【0048】B値が1.0未満であるエチレン・1-ブテ
ンランダム共重合体から形成される組成物はIZ衝撃強
度に劣ることがあり、一方1.4を超えるエチレン・1-
ブテンランダム共重合体から形成される組成物は剛性に
劣ることがある。
【0049】このような(B)エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体におけるB値は、共重合体鎖中における各
モノマーから誘導される構成単位の組成分布状態を表す
指標であり、共重合体中の全dyad連鎖に対するエチ
レン−1-ブテン交互連鎖のモル分率を、エチレン含量
(モル分率)と1-ブテン含量(モル分率)との積の2倍
で割ったものである。すなわちB値は、下記式で求めら
れる。
【0050】
【数1】
【0051】(式中、PE およびPB は、それぞれエチ
レン・1-ブテン共重合体中に含有されるエチレン成分の
モル分率および1-ブテン成分のモル分率を示し、PBE
全dyad連鎖の1-ブテン−エチレン連鎖のモル分率を
示す。)このようなPE 、PB およびPBE値は、具体的
には、下記のようにして求められる。
【0052】10mmφの試料管中で約200mgのエチレ
ン・1-ブテン共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエン
に均一に溶解させ、この試料の13C−NMRスペクトル
を下記の測定条件下に測定する。
【0053】測定温度:120℃、 測定周波数:125MHz、 積算回数:5000回。
【0054】PE 、PB およびPBE値は、上記のように
して測定される13C−NMRスペクトルから、G.J.
Ray (Macromolecules, 10,773(1977))、J.C.Rand
all(Macromolecules, 15,353(1982))、J.Polymer S
cience ,Polymer PhysicsEd.,11,275(1973))、K.Ki
mura(Polymer,25,441(1984))らの報告に基づいて求め
ることができる。
【0055】なおこのB値は、エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体が完全交互共重合体であると2となり、完
全ブロック共重合体であると0となる。このB値が1.
0よりも小さい(B)エチレン・1-ブテンランダム共重
合体を含むポリプロピレン組成物は、耐衝撃性が低下す
る傾向にある。
【0056】上記のような(B)エチレン・1-ブテンラ
ンダム共重合体は、ポリプロピレンとの相溶性に優れ、
この共重合体を含有してなるポリプロピレン組成物は、
剛性に優れるとともに耐衝撃性に優れ、しかも流動性に
も優れているため、外観に優れた成形品を形成すること
ができる。
【0057】上記のような(B)エチレン・1-ブテンラ
ンダム共重合体は、バナジウム系触媒またはメタロセン
系触媒を用いて製造することができる。(C)微粉末タルク 本発明で用いられる(C)微粉末タルクとしては、ポリ
オレフィンなどの改質材として用いられている従来公知
のものが用いられる。
【0058】本発明では、この(C)微粉末タルクとし
て、平均粒径が0.5〜20μmであり、縦横と厚さの
比(アスペクト比)が2倍以上、好ましくは10倍以上
である微粉末タルクが好ましい。
【0059】またこの(C)微粉末タルクは、粒径5μ
m以上の粒子の含有率が5重量%以下であることが望ま
しい。ポリプロピレン組成物 本発明に係るポリプロピレン組成物は、上記のような
(A)プロピレン系ブロック共重合体を、60〜85重
量%、好ましくは65〜77重量%の量で、(B)エチ
レン・1-ブテンランダム共重合体を、10〜25重量
%、好ましくは15〜25重量%の量で、(C)無機充
填剤を、5〜15重量%、好ましくは8〜14重量%の
量で含有している。
【0060】本発明に係るポリプロピレン組成物は、こ
れら各成分の混練物であって、各成分から従来公知の樹
脂組成物を調製(混練)する方法によって得ることがで
きる。具体的には、各成分を同時にまたは逐次的に、た
とえばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラ
ーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して、混練
した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリ
ーミキサーなどで溶融混練することによって得られる。
【0061】これらのうちでも、多軸押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサーなどの混練性能に優れた装置を
使用すると、各成分がより均一に分散された高品質のポ
リプロピレン組成物を得ることができて好ましい。
【0062】このような本発明に係るポリプロピレン組
成物(混練物)は、下記のような特定の条件を満たして
いる。 (i) ASTM D1238に準拠して測定されるメルト
フローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重下)
が、8g/10分以上、好ましくは10〜50g/10分で
ある。
【0063】(ii)ASTM D790に準拠して、クロ
スヘッド速度2mm/min の条件で測定される曲げ弾性率
(FM)が20000kg/cm2以上、好ましくは200
00〜25000kg/cm2である。
【0064】(iii) ASTM D256の方法に準拠し
て、6.4mm厚のノッチ付試験片で測定される23℃で
のアイゾット衝撃強度(IZ)が20kg・cm/cm以上、
好ましくは25kg・cm/cm以上である。
【0065】(iv)ASTM D648に準拠して、荷重
4.6kg/cm2の条件下で測定される熱変形温度(HD
T)(4.6kg荷重)が135℃以上である。
【0066】本発明に係るポリプロピレン組成物は、原
料として用いた(A)プロピレン系ブロック共重合体の
結晶化速度が大きく、成形時にはポリプロピレン成分が
ゴム成分中に多くの非常に微細な結晶として分散してモ
レキュラー・コンポジット的なポリマーアロイを形成す
る。
【0067】このような本発明に係るポリプロピレン組
成物は、剛性、耐熱性および表面硬度に優れるとともに
耐衝撃性にも優れている。また本発明に係るポリプロピ
レン組成物は、上記のようなポリプロピレン組成物(混
練物)が、さらに特定の条件下で熱処理されていてもよ
い。熱処理に先立って、ポリプロピレン組成物は、射出
成形などにより成形されていてもよい。
【0068】本発明に係る熱処理されたポリプロピレン
組成物は、上記のようにして得られた混練物(あるいは
成形品)を、135〜165℃、好ましくは140〜1
55℃で、20〜180分、好ましくは30〜60分熱
処理することによって得られる。このような熱処理は、
オーブンなどにより行うことができる。またこの熱処理
は、成形品の塗装工程を利用して行うこともできる。
【0069】熱処理は、上記範囲内であれば温度および
時間などの条件をそれぞれ変えて実施することができ
る。なお熱処理時間が上記の時間より短いと、下記のよ
うな条件を充分に満たすポリプロピレン組成物(熱処理
物)が得られないことがある。
【0070】本発明に係る熱処理されたポリプロピレン
組成物は、下記のような特定の物性を有している。 (i) ASTM D790に準拠して、クロスヘッド速度
2mm/min の条件で測定される曲げ弾性率(FM)が2
3000kg/cm2以上、好ましくは23000〜250
00kg/cm2であり、(ii)ASTM D256の方法に
準拠して、6.4mm厚のノッチ付試験片で測定される2
3℃でのアイゾット衝撃強度(IZ)が40kg・cm/cm
以上、好ましくは45kg・cm/cm以上、特に好ましくは
50kg・cm/cm以上であり、(iii) ASTM D648
に準拠して、荷重4.6kg/cm2の条件下で測定される
熱変形温度(HDT)が150℃以上であり、(iv)AS
TM D746に準拠して測定される低温脆化温度(B
Tc)が−30℃以下であり、(v) X線小角散乱法で測
定される長周期が200Å以上、好ましくは205Å以
上である。
【0071】なおX線小角散乱法で測定される長周期と
は、ポリプロピレン組成物中に含まれるプロピレンブロ
ック共重合体の結晶部分(ホモプロピレン成分)に由来
する散乱周期であり、この周期が長いほどポリプロピレ
ン組成物は、剛性、耐熱性に優れ、かつ衝撃強度、低温
脆化温度に優れているといえる。
【0072】上記のような本発明に係る熱処理されたポ
リプロピレン組成物は、曲げ弾性率、熱変形温度、衝撃
強度、低温衝撃強度および低温靱性などのいずれにおい
ても飛躍的に優れている。
【0073】本発明に係るポリプロピレン組成物は、さ
らに本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、芳
香族カルボン酸アルミニウム塩、芳香族リン酸エステル
塩、ジベンジリデンソルビトールなどの核剤、紫外線吸
収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、微粉末
タルク以外の無機充填材、有機充填材、他の重合体たと
えばポリエチレン(PE)、プロピレン・エチレンラン
ダム共重合体(EPR)などを含有していてもよい。
【0074】
【発明の効果】本発明に係るポリプロピレン組成物は、
剛性、耐熱性に優れるとともに耐衝撃性特に低温におけ
る耐衝撃性、靱性などの諸物性が、従来公知のポリプロ
ピレン組成物に比べて格段に優れている。
【0075】このような本発明に係るポリプロピレン組
成物は、広範な用途に利用することができ、特にバンパ
ーなどの自動車用内外装材用途に好適に用いられる。
【0076】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0077】なお下記実施例において、各物性は以下の
ようにして測定した。 (1) MFR:ASTM D1238に準拠して測定し
た。 条件:230℃、2.16kg (2) 曲げ弾性率(FM):ASTM D790に準拠し
て測定した。
【0078】試験片 12.7mm(幅)× 6.4mm(厚さ)
× 127mm(長さ) スパン間 100mm 曲げ速度 2mm/分 (3) アイゾット衝撃強度(IZ):ASTM D256
に準拠して測定した。
【0079】温度 23℃ 試験片 12.7mm(幅)× 6.4mm(厚さ)× 64mm (長
さ) ノッチは機械加工 (4) 熱変形温度(HDT) ASTM D648に準拠して測定した。
【0080】荷重4.6Kg/cm2 (5) 低温脆化温度(BTc) ASTM D746に準拠して測定した。
【0081】試験片 2mm厚角板より打ち抜いた。 4.0 mm(幅)×2.0 mm(厚さ)×38.0mm(長さ) (6) X線小角散乱法による長周期の求め方。
【0082】理学電機(株)製 RU−200A型によ
ってX線小角散乱強度を測定し、ピークを示す散乱角度
から、Bragg の式に従って長周期を計算した。X線の波
長は1.5418Åである。
【0083】(7) 極限粘度[η]は、135℃、デカリ
ン中で測定した。また以下の実施例1〜4、比較例1〜
7において、ポリプロピレン組成物を調製する際に用い
た各成分は、以下のとおりである。 (A)プロピレン系ブロック共重合体 ブロックPP1: (1)MFR;20g/10分 (2)常温n-デカン可溶成分;5重量% (3)ポリプロピレン成分のMFR;28g/10分、ペン
タッドアイソタクティシティI5;0.98 (4)常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η];5.5dl
/g、エチレンから誘導される構成単位;40モル% ブロックPP2: (1)MFR;20g/10分 (2)常温n-デカン可溶成分;8重量% (3)ポリプロピレン成分のMFR;35g/10分、ペン
タッドアイソタクティシティI5;0.98 (4)常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η];7.0dl
/g、エチレンから誘導される構成単位;40モル% ブロックPP3: (1)MFR;20g/10分 (2)常温n-デカン可溶成分;5重量% (3)ポリプロピレン成分のMFR;28g/10分、ペン
タッドアイソタクティシティI5;0.95 (4)常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η];5.5dl
/g、エチレンから誘導される構成単位;40モル% ブロックPP4: (1)MFR;20g/10分 (2)常温n-デカン可溶成分;5重量% (3)ポリプロピレン成分のMFR;24g/10分、ペン
タッドアイソタクティシティI5;0.98 (4)常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η];3.0dl
/g、エチレンから誘導される構成単位;40モル% ホモPP :MFR;20g/10分 I5;0.98 EBR−1 :エチレン・1-ブテンランダム共重合体 (1) 1-ブテンから誘導される構成単位;19モル% (2) 極限粘度[η];2.5dl/g (3) ガラス転移温度(Tg);−64℃ (4) 結晶化度;5% (5) B値;1.1 EBR−2 :エチレン・1-ブテンランダム共重合体 (1) 1-ブテンから誘導される構成単位;11モル% (2) 極限粘度[η];2.5dl/g (3) ガラス転移温度(Tg);−53℃ (4) 結晶化度;15% (5) B値;1.1 EPR :エチレン・プロピレンランダム共重合
体 プロピレンから誘導される構成単位;20モル% 極限粘度[η];2.6dl/g ガラス転移温度(Tg);−54℃ 結晶化度;4% B値;1.1 PER :エチレン・プロピレンランダム共重合
体 プロピレンから誘導される構成単位;60モル% 極限粘度[η];3.0dl/g ガラス転移温度(Tg);−53℃ 結晶化度;10% B値;0.9 (C)タルク :平均粒径;2.5μm 粒径5μm以上の粒子の含有率;3重量%
【0084】
【実施例1〜4】表1に示す各成分をドライブレンド
し、2軸押出機用いて200℃で混練してポリプロピレ
ン組成物を得た。得られた各ポリプロピレン組成物から
樹脂温度200℃、金型温度40℃の条件下に射出成形
機にて、ASTM試験片を成形し、各試験片の上記のよ
うな物性を測定した。
【0085】結果を表1に示す。
【0086】
【比較例1〜7】実施例1において、表1に示すような
ポリプロピレン組成物に代えた以外は、実施例と同様に
してASTM試験片を成形し、各試験片の物性を測定し
た。
【0087】結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】また、表1〜表3の実施例と比較例の物性
値について、IZ衝撃強度とFMとのバランスを図1に
示す。実施例で得られた本発明に係るポリプロピレン組
成物は、比較例で得られたポリプロピレン組成物より
も、物性バランスが優れていることがわかる。
【0090】
【実施例5〜10】以下の実施例5〜10、比較例8〜
10において、ポリプロピレン組成物を調製する際に用
いた各成分は、下記のとおりである。
【0091】 PP−A*1) :プロピレンブロック共重合体 (1) MFR;20g/10分 エチレンから誘導される構成単位;5.9モル% (2) 23℃n-デカン可溶成分量;8重量% (3) ポリプロピレン成分のMFR;28g/10分 ペンタッドアイソタクティシティI5 ;0.98 (4) 23℃n-デカン可溶成分の極限粘度[η];5.5
dl/g エチレンから誘導される構成単位;40モル% PP−B*2) :プロピレンブロック共重合体 (1) MFR;20g/10分 エチレンから誘導される構成単位;7.0モル% (2) 23℃n-デカン可溶成分量;10重量% (3) ホモポリプロピレン成分のMFR;31g/10分 ペンタッドアイソタクティシティI5 ;0.98 (4) 23℃n-デカン可溶成分の極限粘度[η];5.5
dl/g エチレンから誘導される構成単位;40モル% ホモPP*3) :エチレンから誘導される構成単位0モル
% MFR;20g/10分 ペンタッドアイソタクティシティI5 ;0.98 EBR*4) :エチレン・1-ブテンランダム共重合体 MFR;0.8g/10分 1-ブテンから誘導される構成単位;18モル% エチレンから誘導される構成単位;82モル% デカリン極限粘度[η];2.3dl/g 融点(Tm);35℃ 結晶化度 ; 6% B値;1.1 EPR*5) :エチレン・プロピレンランダム共重合体 プロピレンから誘導される構成単位;19モル% エチレンから誘導される構成単位;81モル% MFR;0.8g/10分 タルク: 平均粒径2.5μm 粒径5μm以上の粒子の含有率 3重量%
【0092】
【実施例5】PP−A、EBRおよびタルクを表1に示
す割合でドライブレンドし、2軸押出機用いて200℃
で混練してポリプロピレン組成物を得た。得られたポリ
プロピレン組成物を東芝機械製55トンインラインスク
リュー射出成形機を用いシリンダー温度200℃、型温
40℃で射出成形してポリプロピレン組成物の試験片を
得た。この試験片を155℃のエアーオーブン中で1時
間熱処理を行った。
【0093】結果を表2に示す。上記のようにして得ら
れたポリプロピレン組成物(熱処理物)は、耐衝撃性
(IZ)、剛性(FM)、低温靱性(BTc)、耐熱性
(HDT)に優れていた。またX線小角散乱法により求
められる長周期は、210Åであった。
【0094】
【実施例6〜10】実施例5において、プロピレンブロ
ック共重合体、ブレンド比および熱処理条件を表2に示
すように代えた以外は、実施例5と同様にしてポリプロ
ピレン組成物の熱処理物を得た。
【0095】結果を表2に示す。上記のようにして得ら
れたポリプロピレン組成物(熱処理物)は、耐衝撃性
(IZ)、剛性(FM)、低温靱性(BTc)、耐熱性
(HDT)に優れていた。またX線小角散乱法により求
められる長周期は、いずれも200Å以上であった。
【0096】
【比較例8】実施例5において、EBRをEPRに代
え、さらに熱処理を行わなかった以外は、実施例5と同
様にしてポリプロピレン組成物の試験片を得た。
【0097】結果を表2に示す。実施例2の試験片に比
較して、耐衝撃性、剛性、耐熱性、低温靱性に劣ってい
た。またX線小角散乱法により求められる長周期は、1
60Åであった。
【0098】
【比較例9】実施例5において、EBRをEPRに代え
た以外は、実施例5と同様にしてポリプロピレン組成物
の試験片を得た。
【0099】結果を表2に示す。実施例5の試験片に比
較して、耐衝撃性、剛性、耐熱性、低温靱性に劣ってい
た。またX線小角散乱法により求められる長周期は、1
96Åであった。
【0100】
【比較例10】実施例5において、プロピレンブロック
共重合体をホモポリプロピレンに代えて、EBRおよび
タルクを表2に示すブレンド比で用いた以外は、実施例
5と同様にしてポリプロピレン組成物の試験片を得た。
【0101】結果を表2に示す。実施例5で得られた試
料に比較すると耐衝撃性、剛性、耐熱性、低温靱性に劣
る試料が得られた。またX線小角散乱法により求められ
る長周期は、198Åであった。
【0102】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレン組成物のIZ衝撃強度とFMと
のバランスを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋 本 幹 夫 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 守 屋 悟 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(1) ASTM D1238に準拠し
    て測定されるメルトフローレート(MFR:230℃、
    2.16kg荷重)が、10〜60g/10分であり、(2)
    常温n-デカン可溶成分を3〜13重量%の量で含有し、
    (3) ポリプロピレン成分は、MFRが20〜80g/10
    分であり、13C−NMR法により求められるペンタッド
    アイソタクティシティ(I5)が0.97以上であり、
    (4) 常温n-デカン可溶成分は、極限粘度[η]が4〜1
    2dl/gであり、エチレンから誘導される構成単位を3
    0〜60モル%の量で含有するプロピレン系ブロック共
    重合体60〜85重量%と、 (B)(1) 1-ブテンから誘導される構成単位を15〜2
    5モル%の量で含有し、(2) デカリン極限粘度[η]が
    1.8〜3.5dl/gであり、(3) ガラス転移温度(T
    g)が−55℃以下であるか、あるいはDSC法により
    主ピークとして測定される融点が90℃以下であり、
    (4) X線回折法によって測定される結晶化度が20%未
    満であり、かつ(5) 13C−NMR法により求められるラ
    ンダム性パラメータ(B値)が1.0〜1.4であるエ
    チレン・1-ブテンランダム共重合体10〜25重量%
    と、 (C)無機充填剤5〜15重量%とからなり、 (i) メルトフローレート(MFR)が8g/10分以上で
    あり、 (ii)ASTM D790に準拠して、クロスヘッド速度
    2mm/min の条件で測定される曲げ弾性率(FM)が2
    0000kg/cm2以上であり、 (iii) ASTM D256の方法に準拠して、6.4mm
    厚のノッチ付試験片で測定される23℃でのアイゾット
    衝撃強度(IZ)が20kg・cm/cm以上であり、かつ (iv)ASTM D648に準拠して、荷重4.6kg/cm
    2の条件下で測定される熱変形温度(HDT)(4.6k
    g荷重)が135℃以上であることを特徴とするポリプ
    ロピレン組成物。
  2. 【請求項2】(A)(1) ASTM D1238に準拠し
    て測定されるメルトフローレート(MFR:230℃、
    2.16kg荷重)が、10〜60g/10分であり、(2)
    常温n-デカン可溶成分を3〜13重量%の量で含有し、
    (3) ポリプロピレン成分は、MFRが20〜80g/10
    分であり、13C−NMR法により求められるペンタッド
    アイソタクティシティ(I5)が0.97以上であり、
    (4) この常温n-デカン可溶成分は、極限粘度[η]が4
    〜12dl/gであり、エチレンから誘導される構成単位
    を30〜60モル%の量で含有するプロピレン系ブロッ
    ク共重合体60〜85重量%と、 (B)(1) 1-ブテンから誘導される構成単位を15〜2
    5モル%の量で含有し、(2) デカリン極限粘度[η]が
    1.8〜3.5dl/gであり、(3) ガラス転移温度(T
    g)が−55℃以下であるか、あるいはDSC法により
    主ピークとして測定される融点が90℃以下であり、
    (4) X線回折法によって測定される結晶化度が20%未
    満であり、かつ(5) 13C−NMR法により求められるラ
    ンダム性パラメータ(B値)が1.0〜1.4であるエ
    チレン・1-ブテンランダム共重合体10〜25重量%
    と、 (C)無機充填剤5〜15重量%とからなるポリプロピ
    レン組成物(1)を、 135〜165℃で、20〜180分間熱処理すること
    により得られる、 (i) ASTM D790に準拠して、クロスヘッド速度
    2mm/min の条件で測定される曲げ弾性率(FM)が2
    3000kg/cm2以上であり、 (ii)ASTM D256の方法に準拠して、6.4mm厚
    のノッチ付試験片で測定される23℃でのアイゾット衝
    撃強度(IZ)が40kg・cm/kg以上であり、 (iii) ASTM D648に準拠して、荷重4.6kg/
    cm2の条件下で測定される熱変形温度(HDT)が15
    0℃以上であり、 (iv)ASTM D746に準拠して測定される低温脆化
    温度(BTc)が−30℃以下であり、かつ (v) X線小角散乱法で測定される長周期が200Å以上
    である ことを特徴とするポリプロピレン組成物。
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