JP3330784B2 - 自動車内装材用プロピレン重合体組成物 - Google Patents
自動車内装材用プロピレン重合体組成物Info
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Description
ン重合体組成物に関し、さらに詳しくは、成形性、耐熱
性に優れるとともに硬度、剛性に優れしかも衝撃強度に
も優れた成形体を形成しうる自動車内装材用プロピレン
重合体組成物に関するものである。
剛性、耐熱性、表面光沢性などに優れているが、耐衝撃
性には劣るという問題点があり、特にトリム、インスツ
ルメンタルパネル、コラムカバーなどの自動車内装材用
途に用いられるポリプロピレンには、耐衝撃性の向上が
望まれている。
プロピレン組成物が種々提案されており、たとえば結晶
性ポリプロピレンに、ポリエチレン、ゴム状物質などの
改質剤が配合されたポリプロピレン組成物が知られてい
る。このようなゴム状物質としては、一般的に非晶性あ
るいは低結晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合
体(EPR)、ポリイソブチレン、ポリブタジエンなど
が用いられている。
加により耐衝撃性を向上させるためには、ポリプロピレ
ンに多量のゴム状物質を含有させる必要がある。ゴム状
物質を多量に含有するポリプロピレン組成物は、耐衝撃
性が改善されるものの、剛性、耐熱性および表面硬度が
大きく低下してしまう。
に、剛性を付与するためにタルクなどの無機充填剤を含
有するポリプロピレン組成物が提案されている。しかし
ながら多量のゴム状物質を含有するポリプロピレン組成
物は、無機充填剤の配合による剛性の向上には限界があ
って、高剛性が要求される用途には利用できないという
問題点があった。
てなされたものであって、硬度、剛性に優れしかも衝撃
強度とともに成形性にも優れた自動車内装材用プロピレ
ン重合体組成物を提供することを目的としている。
重合体組成物は、 [A] (1) ASTM D1238に準拠して測定されるメルト
フローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が
50〜400g/10分であり、 (2) 常温n-デカン可溶成分を3〜13重量%の量で含有
し、該常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η]が5〜1
0dl/gであり、かつエチレンから導かれる単位を30
〜50モル%の量で含有し、 (3) ポリプロピレン成分のメルトフローレートが80〜
350g/10分(ただ し、80g/10分は除く)であ
り、かつ13C−NMR法により求められるペンタッドア
イソタクティシティ(I5)が0.973以上である、プ
ロピレンブロック共重合体53〜67重量%と、 [B] (1) 1-ブテンから導かれる単位を10〜25モル%の量
で含有し、 (2) 極限粘度[η]が1.5〜3.0dl/gであり、 (3) ガラス転移点(Tg)が−55℃以下であり、 (4) 融点(Tm)が90℃以下であり、かつ (5) X線回折法によって測定される結晶化度が20%未
満である、エチレン・1-ブテンランダム共重合体18〜
25重量%と、 [C]タルク15〜22重量%(ただし、15重量%は
除く)とからなり、 (i) メルトフローレート(MFR)が30g/10分以上
であり、 (ii)曲げ弾性率(FM)が25000kg/cm2 以上(た
だし、25000kg/cm 2 は除く)であり、 (iii) アイゾット衝撃強度(IZ;23℃)が20kg・
cm/cm以上であり、 (iv)ロックウエル硬度(Rスケール)が80以上であ
り、かつ (v) 該プロピレン重合体組成物の射出成形品では、プロ
ピレンブロック共重合体[A]成分が透過型電子顕微鏡
により、c軸方向に5nm〜20nm、a軸方向に5n
m〜20nmの大きさの微結晶として観察されることを
特徴としている。
用プロピレン重合体組成物について具体的に説明する。
単独重合のみならず、共重合を包含した意で用いられる
ことがあり、また「重合体」という語は、単独重合体の
みならず、共重合体を包含した意で用いられることがあ
る。
合体組成物は、特定の[A]プロピレンブロック共重合
体と、[B]エチレン・1-ブテンランダム共重合体と、
[C]タルクとから形成されており、後述するような物
性を有しているとともに、その射出成形品は特定のミク
ロ構造を有している。
ロピレン重合体組成物を形成する各成分について説明す
る。[A]プロピレンブロック共重合体 本発明では、下記のような特性を有する特定のプロピレ
ンブロック共重合体が用いられる。このプロピレンブロ
ック共重合体は、高結晶性のポリプロピレン成分と、常
温(23℃)n-デカン可溶成分であるエチレン・プロピ
レン共重合ゴム成分とから形成されていることが好まし
い。
ク共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM
D1238、230℃、2.16kg荷重下)は、50〜
400g/10分好ましくは50〜90g/10分である。
共重合体からは、流動性に優れ、大型品も成形すること
ができるようなプロピレン重合体組成物が得られる。な
おMFR値が400g/10分を超えるプロピレンブロッ
ク共重合体から形成される組成物は耐衝撃性(IZ衝撃
強度)に劣ることがある。
ク共重合体は、常温(23℃)n-デカン可溶成分を3〜
13重量%好ましくは4〜10重量%の量で含有してい
る。この常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η](13
5℃、デカリン中で測定)は、5〜10dl/g好ましく
は5〜8dl/gである。
ンから導かれる単位を30〜50モル%好ましくは35
〜45モル%の量で含有している。この常温n-デカン可
溶成分は、プロピレンブロック共重合体[A]中のゴム
成分であり、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分であ
ることが好ましい。
重合体は、上記のように極限粘度が高く、かつエチレン
単位を特定量で含有するゴム成分(常温n-デカン可溶成
分)を特定量で含有しており、このようなプロピレンブ
ロック共重合体からは、耐衝撃性(IZ衝撃強度)に優
れ、かつ剛性に優れたプロピレン重合体組成物を形成す
ることができる。
デカン可溶成分含量は、試料(プロピレンブロック共重
合体)5gを、沸騰n-デカン200cc中に5時間浸漬し
て溶解した後、室温まで冷却して、析出した固相をG4
ガラスフィルターで濾過した後、乾燥して測定した固相
重量から逆算して求めることができる。
重合体[A]の常温n-デカン可溶成分は、本発明の目的
を損なわない範囲で、エチレンおよびプロピレン以外の
重合性化合物から導かれる単位を含有していてもよい。
体的にたとえば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-
ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキ
サドデセン、4-メチル-1- ペンテンなどのα−オレフィ
ン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビ
ニルノルボルナンなどのビニル化合物、酢酸ビニルなど
のビニルエステル、無水マレイン酸などの不飽和有機酸
またはその誘導体などが挙げられる。
ク共重合体のポリプロピレン成分のメルトフローレート
(MFR)は、60〜450g/10分好ましくは80〜
350g/10分である。
R法により求められるペンタッドアイソタクティシティ
I5 は、0.97以上好ましくは0.973以上である。
ペンタッドアイソタクティシティI5 は、エイ・ザムベ
ル(A.Zambelli )らにより、Macromolecules 6、925
(1973) に提案された方法すなわち13C−NMR法(核
磁気共鳴法)によって測定されるポリプロピレン分子鎖
中のペンタッド単位でのアイソタクティック分率であ
り、プロピレン単位が5個連続してアイソタクティック
結合したプロピレンモノマー単位の分率である。
は、Macromolecules 8、687(1975)の記載に基づいて行
われる。また13C−NMRは、フーリエ変換NMR[5
00MHz(水素核測定時)]装置を用いて、周波数1
25MHzで、20000回の積算測定することによ
り、ジクナル検出限界を0.001まで向上させて測定
することができる。
であるプロピレンブロック共重合体からは、剛性に優れ
た組成物を得ることができる。上記のような本発明で用
いられる[A]プロピレンブロック共重合体は、エチレ
ンから導かれる単位を、該共重合体中に、2〜9モル%
好ましくは2〜8モル%の量で含有していることが望ま
しい。
有量は、プロピレンブロック共重合体またはn-デカン可
溶成分を、赤外線分光法、NMR法などの常法によって
それぞれ測定することにより求められる。
重合体[A]は、ゴム部がエチレン、プロピレンおよび
他の重合性モノマーの三元系共重合体と、ゴム部がエチ
レンとプロピレンとの二元系共重合体であるプロピレン
ブロック共重合体との混合物であってもよい。
ク共重合体[A]は、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチ
ル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘ
キセン、3,5,5-トリメチル-1- ヘキセン、ビニルシクロ
ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン
などの単独重合体または共重合体を、たとえば前重合に
より形成される前重合体として含有していると、結晶化
速度が大きい。
ンブロック共重合体は、種々の方法により製造すること
ができるが、たとえば立体規則性触媒を用いて製造する
ことができる。具体的には、固体状チタン触媒成分と有
機金属化合物触媒成分とさらに必要に応じて電子供与体
とから形成される触媒を用いて製造することができる。
は、具体的に、三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物
が、比表面積が100m2 /g以上である担体に担持さ
れた固体状チタン触媒成分、あるいはマグネシウム、ハ
ロゲン、電子供与体(好ましくは芳香族カルボン酸エス
テルまたはアルキル基含有エーテル)およびチタンを必
須成分とし、これらの必須成分が比表面積100m2 /
g以上である担体に担持された固体状チタン触媒成分が
挙げられる。これらのうち、特に後者の固体状チタン触
媒成分が好ましい。
機アルミニウム化合物が好ましく、有機アルミニウム化
合物としては具体的に、トリアルキルアルミニウム、ジ
アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウム
セスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなど
が挙げられる。なお有機アルミニウム化合物は、使用す
るチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することが
できる。
子、硫黄原子、ケイ素原子あるいはホウ素原子などを有
する有機化合物を使用することができ、好ましくは上記
のような原子を有するエステル化合物およびエーテル化
合物などが挙げられる。
により活性化されてもよく、また上記のようなオレフィ
ンが前重合されていてもよい。[B]エチレン・1-ブテンランダム共重合体 本発明では、下記に示すような特定のエチレン・1-ブテ
ンランダム共重合体(以下EBRともいう)が用いられ
る。
ンランダム共重合体は、1-ブテンから導かれる単位を1
0〜25モル%好ましくは12〜20モル%の量で含有
している。またエチレンから導かれる単位を、90〜7
5モル%好ましくは88〜80モル%の量で含有してい
ることが望ましい。
ンランダム共重合体の極限粘度[η]は、1.5〜3.0
dl/g好ましくは1.8〜2.5dl/gである。またメル
トフローレート(MFR)(ASTM D1238;2
30℃、2.16kg荷重で測定)は、0.1〜30g/10
分好ましくは0.1〜10g/10分であることが望まし
い。
るエチレン・1-ブテンランダム共重合体の融点(Tm)
は、90℃以下好ましくは80℃以下特に好ましくは7
0℃以下である。
のガラス転移点(Tg)は、−55℃以下好ましくは−
60℃以下である。 (5) X線回折法によって測定されるエチレン・1-ブテン
ランダム共重合体の結晶化度は、通常20%未満、好ま
しくは10%以下である。
エチレン・1-ブテンランダム共重合体の共重合モノマー
連鎖分布のランダム性を示すパラメータ(B値)は、
1.0〜1.4であることが望ましい。
値は、共重合体鎖中における各モノマーから導かれる単
位の組成分布状態を表す指標であり、共重合体中の全d
yad連鎖に対するエチレン−1-ブテン交互連鎖のモル
分率を、エチレン含量(モル分率)と1-ブテン含量(モ
ル分率)との積の2倍で割ったものであり、下記式で求
められる。
は、下記のようにして求められる。10mmφの試料管
中で約200mgのエチレン・1-ブテン共重合体を1m
lのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させ、この試
料の13C−NMRスペクトルを下記の測定条件下に測定
する。
z、 パルス繰り返し時間:4.2sec、パルス幅:7μs
ec、 積算回数:2000〜5000回。
して測定される13C−NMRスペクトルから、G.J.Ra
y (Macromolecules, 10,773(1977))、J.C.Randall
(Macromolecules, 15,353(1982))、J.Polymer Scien
ce ,Polymer Physics Ed.,11,275(1973))、K.Kimura
(Polymer,25,441(1984))らの報告に基づいて求めるこ
とができる。
ダム共重合体が完全交互共重合体であると2となり、完
全ブロック共重合体であると0となる。このB値が1.
0よりも小さいエチレン・1-ブテンランダム共重合体を
含むプロピレン重合体組成物は、耐衝撃性が低下する傾
向にある。
共重合体[B]は、プロピレンブロック共重合体[A]
との相溶性に優れている。本発明で用いられるエチレン
・1-ブテンランダム共重合体は、公知のバナジウム系触
媒またはメタロセン系触媒を用いて製造することができ
る。
ピレン重合体組成物を調製する際には、混練に支障がな
い限り、ペレット状、クラム状、ベール状などいかなる
形態で供給されてもよい。
μm特に0.2〜2.5μmの微粉末タルクが好ましく用
いられる。
粒子の含有量が、10重量%以下好ましくは8重量%の
以下であることが好ましい。なおタルクの平均粒径は、
液相沈降方法によって測定することができる。
も、アスペクト比(縦または横のいずれかの長さと厚み
の比を示す)の平均値が3以上、特に4以上であるタル
クが好ましく用いられる。
であっても予め表面処理されていてもよい。この表面処
理に例としては、具体的には、シランカップリング剤、
高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネ
ート、樹脂酸、ポリエチレングリコールなどの処理剤を
用いる化学的または物理的処理が挙げられる。
いると、ウェルド強度、塗装性、成形加工性にも優れた
プロピレン重合体組成物を得ることができる。自動車内装材用プロピレン重合体組成物 本発明に係る自動車内装材用プロピレン重合体組成物
は、上記のような[A]プロピレンブロック共重合体
と、[B]熱可塑性エラストマーと、[C]タルクとか
ら形成され、[A]プロピレンブロック共重合体を、5
3〜67重量%好ましくは55〜67重量%の量で、
[B]エチレン・1-ブテンランダム共重合体を、18〜
25重量%好ましくは18〜23重量%の量で、[C]
タルクを、15〜22重量%の量で含有している。
合体組成物は、上記のような量の各成分を混練すること
により得られるが、前述したように本発明で用いられる
EBR[B]は、プロピレンブロック共重合体[A]と
の相溶性に優れており、プロピレンブロック共重合体
[A]とEBR[B]とからは、耐熱性に優れるととも
に、硬度、剛性および衝撃強度のいずれにも優れた成形
品を形成することができる。またこのプロピレン重合体
組成物は、成形性にも優れており、外観に優れた成形品
を形成することができる。
ロピレン重合体組成物は、下記のような特性を有してい
る。 (i) メルトフローレート(MFR)(ASTM D12
38;230℃、2.16kg荷重下)が、30g/10分
以上好ましくは50〜400g/10分であり、(ii)曲げ
弾性率(FM)(ASTM D−790)が、2500
0kg/cm2 以上好ましくは25000〜27000kg/
cm2 であり、(iii) アイゾット衝撃強度(IZ)(AS
TM D−256)が、20kg・cm/cm以上であり、(i
v)ロックウエル硬度(HR)(ASTM D−648)
が80以上である。(v) プロピレン重合体組成物の射出
成形品では、プロピレンブロック共重合体[A]成分
は、透過型電子顕微鏡によりc軸方向に5nm〜20n
m、a軸方向に5nm〜20nmの大きさの微結晶とし
て観察される。
(TEM)による射出成形品中のプロピレンブロック共
重合体[A]微結晶の観察は、下記のように行なわれ
る。プロピレン重合体系組成物の射出成形品(角板)中
央部から採取した相構造観察用試料を、RuO4 (ルテ
ニウム酸)水溶液に常温で16〜24時間浸漬した後、
ウルトラミクロトームを用いて常温で、T−500〜2
000Åの厚みの超薄膜切片を作成する。この切片につ
いて、200kV日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡
H−8100を用いて観察し、射出成形品のプロピレン
ブロック共重合体[A]微結晶のa軸方向およびc軸方
向のサイズを求める。この際、射出成形時の樹脂流れ方
向に垂直で、射出試験片の厚み方向に平行な方向から観
察を行なう。
ピレン重合体系組成物の射出成形品について観察される
透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示し、図2に、この
写真で観察された結晶構造の模式図を示す。
共重合体[A]成分が結晶を形成し、この結晶部分と非
結晶部分とはナノメータレベルで分散構造を形成してお
り、モレキュラーコンポジット的なポリマーアロイを形
成している。
造を形成するプロピレン重合体組成物は、優れた硬度、
剛性、耐衝撃性などの機械的強度を発現することができ
る。本発明に係る自動車内装材用プロピレン重合体組成
物は、上記のようなプロピレンブロック共重合体[A]
とエチレン・1-ブテンランダム共重合体[B]とタルク
[C]とを、一般的に樹脂組成物の混練方法として広く
知られている方法によって混練することにより調製する
ことができる。
出機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ロールなどの
混練装置を用いることができる。上記のような各成分を
押出機などの混練装置で混練することにより混練物とし
て得られるプロピレン重合体組成物は、通常、ペレット
状に成形されて使用される。
製に際して成分[A]、[B]および[C]を混練装置
に添加する順序は限定されず、同時でもよく別々でもよ
い。また本発明では、プロピレンブロック共重合体
[A]とEBR[B]とタルク[C]とから予めEBR
[B]とタルク[C]とを高濃度に含有するマスターバ
ッチを調製し、このマスターバッチをプロピレンブロッ
ク共重合体[A]で希釈しながらブレンドコンパウンデ
ィングしたり、成形したりして最終的に上記のような組
成を有するプロピレン重合体組成物を調製することもで
きる。
は、混練性に優れており、プロピレン重合体組成物を容
易に形成することができる。本発明に係る自動車内装材
用プロピレン重合体組成物は、上述したような特性を有
しており、従来公知のプロピレン重合体またはプロピレ
ン重合体とエチレン・プロピレン共重合体との組成物な
どに比べて剛性および衝撃強度のいずれにも優れた成形
体を形成することができる。さらにこのプロピレン重合
体組成物は、塗装性、寸法安定性および外観にも優れた
成形体を形成することができる。
特に自動車内装材たとえばトリム、インスツルメンタル
パネル、コラムカバーなどに成形されて用いられる。さ
らに本発明に係る自動車内装材用プロピレン重合体組成
物は、各種添加剤を含有していてもよい。このような添
加剤としては、具体的には、フェノール系、イオウ系、
リン系などの酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、
銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、難
燃剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、紫外線吸
収剤、耐光安定剤、ウェルド強度改良剤などを挙げるこ
とができる。プロピレン重合体組成物は、上記のような
添加剤を含有することによって、物性バランス、耐久
性、塗装性、印刷性、耐傷付き性および成形加工性など
が一層向上された成形体を形成することができる。
ン重合体組成物は、核剤を含有していてもよい。核剤と
しては、従来知られている種々の核剤が特に制限される
ことなく用いられるが、中でも下記に挙げる核剤が好ま
しい。
数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3は水素もしく
は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3は同種
であっても異種であってもよく、R2同士、R3同士また
はR2とR3が結合して環状となっていてもよく、Mは、
1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数であ
る。)具体的には、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニ
ル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス-
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム
-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フ
ォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-i
-プロピル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチ
ウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4
-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシ
ウム-ビス[2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオ
ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート]
、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチ
ルフェニル) フォスフェート] 、マグネシウム-ビス
[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフ
ェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-
オクチルフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム-2,
2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォス
フェート、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-
t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-
t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フ
ォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-
ビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニル) フォスフェート、カ
ルシウム- ビス-(2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチ
ルフェニル)フォスフェート) 、マグネシウム-ビス[2,
2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォス
フェート] 、バリウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6
-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム
-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)
フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-
エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム(4,4'-ジメチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニ
ル) フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチ
ル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフェー
ト] 、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-
6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,
2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフ
ェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチ
ルフェニル) フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデ
ン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、
カルシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブ
チルフェニル) フオスフェート] 、マグネシウム-ビス
[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)
フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-
ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、
アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-
ブチルフェル)フォスフェート] およびアルミニウム-
トリス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート] およびこれらの組合せを例示す
ることができる。これらのうちではナトリウム-2,2'-メ
チレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェー
トが好ましい。
0の炭化水素基であり、Mは、1〜3価の金属原子であ
り、nは1〜3の整数である。)具体的には、ナトリウ
ム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナト
リウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナ
トリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、
ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェ
ート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォ
スフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フ
ォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニ
ル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチル
フェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチ
ルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t
-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの組合
せを例示することができる。これらのうちではナトリウ
ム-ビス(4-t-ブチルフェニル) フォスフェートが好ま
しい。
0の炭化水素基である。)具体的には、1,3,2,4-ジベン
ジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチ
ルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p
-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベン
ジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチ
ルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p
-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビ
トール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベン
ジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリ
デン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデ
ン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリ
デン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2-4-p-
クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジ
リデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロル
ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトー
ル、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリ
デンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-
クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジ
リデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび
1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよ
びこれらの組合せを例示することができる。これらのう
ちでは、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,
4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロ
ルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトー
ル、1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトール
およびこれらの組合せが好ましい。
や脂肪族カルボン酸の金属塩を用いることができ、具体
的には、安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸
アルミニウム塩やアジピン酸ナトリウム、チオフェネカ
ルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムな
どが挙げられる。またタルクのような無機化合物も核剤
として用いることができる。
共重合体[A]100重量部に対して、0.001〜1
0重量部、好ましくは0.01〜5重量部、特に好まし
くは0.1〜3重量部の量で組成物中に含有されていて
もよい。
ピレン重合体組成物の結晶化速度が向上され、結晶化時
に結晶粒子を微細化することができるとともに、より高
速で成形することができる。
重合体組成物は、上述したように特定の物性を有してお
り、耐熱性、硬度、剛性、衝撃強度にも優れ、さらに成
形性にも優れているとともに該組成物から得られる射出
成形品は特定のミクロ構造を有している。
装性、寸法安定性および外観にも優れた成形体を形成す
ることができる。本発明に係るプロピレン重合体組成物
は、特に自動車内装材たとえばトリム、インスツルメン
タルパネル、コラムカバーなどに成形されて用いられ
る。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各物性は下記のように測定した。 (i) メルトフローレート(MFR) ASTM D−1238に準拠して、230℃、2.1
6kg(ペレット)の条件下で測定した。 (ii) 曲げ弾性率(FM) ASTM D−790に準拠して、下記の条件にて曲げ
試験を行って求めた。
(幅)×127mm(長さ) スパン間;100mm 曲げ速度;2mm/分 測定温度;23℃ (iii) アイゾット衝撃値(IZ) ASTM D−256に準拠して、下記の条件にて衝撃
試験を行って求めた。
(厚さ)×64mm(長さ) ノッチは機械加工 測定温度;23℃ (iv)ロックウエル硬度(HR) ASTM D−648に準拠して、下記の条件にて試験
を行って求めた。
0mm(厚さ) 測定温度;23℃ (v) プロピレンブロック共重合体成分の微結晶サイズ プロピレン重合体組成物の射出成形品について前述した
方法によりプロピレンブロック共重合体成分の微結晶サ
イズを測定した。
を以下に示す。 [A]プロピレンブロック共重合体 実施例で用いたプロピレンブロック共重合体および比較
例で用いたプロピレン重合体を表1に示す。
レンブロック共重合体であり、PP−4は、ホモポリプ
ロピレンである。
体 EBR-1:(1) 1-ブテンから導かれる単位の含有量:1
7モル% エチレンから導かれる単位の含有量:83モル% (2) Tg:−63℃ (3) Tm:35℃ (4) [η]:1.5dl/g MFR:1.0g/10分 (5) 結晶化度(X線回折法):8.4% EBR-2:(1) 1-ブテンから導かれる単位の含有量:1
6モル% エチレンから導かれる単位の含有量:84モル% (2) Tg:−61℃ (3) Tm:41℃ (4) [η]:1.5dl/g MFR:1.0g/10分 (5) 結晶化度(X線回折法):10.1% EPR :エチレン・プロピレンランダム共重合体 (1) プロピレンから導かれる単位の含有量:19モル% (2) Tg:−54℃ (3) Tm:41℃ (4) [η]:1.7dl/g (5) 結晶化度(X線回折法):9.6% [C]タルク :平均粒径;2.5μm
二軸押出機により200℃で混練造粒して、表2に示す
プロピレン重合体組成物を得た。得られた組成物を、樹
脂温度230℃、金型温度40℃の条件下に、415to
n 射出成形機にて、ASTM試験片および3mm厚平板
(120mm×130mm)を成形して上記の物性を測
定した。結果を表2に示す。
レン重合体および表2に示す各成分を用いた以外は、実
施例1と同様にしてプロピレン重合体組成物を得た。結
果を表2に示す。
出成形品について透過型電子顕微鏡(TEM)で観察さ
れた構造(電子顕微鏡写真)を示す。
式図を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】[A] (1) ASTM D1238に準拠して測定されるメルト
フローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が
50〜400g/10分であり、 (2) 常温n-デカン可溶成分を3〜13重量%の量で含有
し、 該常温n-デカン可溶成分の極限粘度[η]が5〜10dl
/gであり、かつエチレンから導かれる単位を30〜5
0モル%の量で含有し、 (3) ポリプロピレン成分のメルトフローレートが80〜
350g/10分(ただ し、80g/10分は除く)であ
り、 かつ13C−NMR法により求められるペンタッドアイソ
タクティシティ(I5)が0.973以上である、 プロピレンブロック共重合体53〜67重量%と、 [B] (1) 1-ブテンから導かれる単位を10〜25モル%の量
で含有し、 (2) 極限粘度[η]が1.5〜3.0dl/gであり、 (3) ガラス転移点(Tg)が−55℃以下であり、 (4) 融点(Tm)が90℃以下であり、かつ (5) X線回折法によって測定される結晶化度が20%未
満である、 エチレン・1-ブテンランダム共重合体18〜25重量%
と、 [C]タルク15〜22重量%(ただし、15重量%は
除く)とからなり、 (i) メルトフローレート(MFR)が30g/10分以上
であり、 (ii)曲げ弾性率(FM)が25000kg/cm2 以上(た
だし、25000kg/cm 2 は除く)であり、 (iii) アイゾット衝撃強度(IZ;23℃)が20kg・
cm/cm以上であり、 (iv)ロックウエル硬度(Rスケール)が80以上であ
り、かつ (v) 該プロピレン重合体組成物の射出成形品では、プロ
ピレンブロック共重合体[A]成分が透過型電子顕微鏡
により、c軸方向に5nm〜20nm、a軸方向に5n
m〜20nmの大きさの微結晶として観察されることを
特徴とする自動車内装材用プロピレン重合体組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP17270295A JP3330784B2 (ja) | 1995-06-15 | 1995-06-15 | 自動車内装材用プロピレン重合体組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP17270295A JP3330784B2 (ja) | 1995-06-15 | 1995-06-15 | 自動車内装材用プロピレン重合体組成物 |
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JPH093296A JPH093296A (ja) | 1997-01-07 |
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Family
ID=15946769
Family Applications (1)
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-
1995
- 1995-06-15 JP JP17270295A patent/JP3330784B2/ja not_active Expired - Lifetime
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