JP4948776B2 - 成形品 - Google Patents

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本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物を成形した成形品、特に自動車用成形品に関する。
ポリプロピレン樹脂組成物は、安価でありながら、優れた軽量性、機械的強度、成形性等を有するので多くの樹脂成形品に使用されている。中でも、自動車においては、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダー等の外装部品およびインスツルメントパネル、グローブボックス、ドアライナー、ピラー等の内装部品等に利用されている。その一方でポリプロピレンは高い結晶性を有していることから、温度に対する寸法変化(線膨張係数)が非常に大きいことでも知られている。そして、この性質により、ポリプロピレン系材料を用いた部品、特にバンパー、インスツルメントパネル等の大型部品においては、成形品の合わせ目に隙間が生じたり、成形品組み付け時の組み付け性が低下したりするなどの問題が生じていた。
そこで、上記問題点を解決するために、アスペクト比の大きいフィラーを多量に添加して、線膨張係数の低下或いは寸法安定性の向上を図る方法が提案されている。例えば、特許文献1には、フィラーとしてワラストナイトを用いて、線膨張率を低下させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、特定の構造を有するプロピレン・エチレンランダム共重合体を26質量%以上含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体とタルクとを組み合わせて、物性バランスと寸法安定性とに優れた組成物を提供する方法が開示されている。
また、特許文献3には、サンドイッチ成形法で成形され、スキン層と該スキン層によって被覆されたコア層とが形成した長尺成形品が開示されている。そして、コア層に、スキン層に対する曲げ弾性率の比が3.0以上になるような特定のポリプロピレン樹脂を使用することで寸法安定性が良い製品が得られる、と記載されている。
特開2001−220472号公報 特開2002−97337号公報 特開平4−368844号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ワラストナイトを多量(5.0質量%以上)に添加しなければ目的の線膨張率を達成することはできないので、成形品が重くなり、特に、成形品が大型である自動車用途では問題になった。また、ワラストナイトはモース硬度が非常に大きいため、コンパウンド時或いは成形時にスクリューやバレルを摩耗させることがあった。
また、特許文献2に記載の方法では、ノンフィラーおよびタルク量の少ない系にて線膨張率の低下が充分でなく、寸法安定性を充分に発揮させ、高い組み付け性を確保するためには20質量%以上のタルクの充填が必要である。したがって、充分な寸法安定性にした場合には、成形品は重くなり、軽量化が困難になった。
さらに、特許文献3に記載の方法では、サンドイッチ成形法という特殊な成形法を採用しなければならず、自動車用成形品の製造で一般的に採用されている射出成形のように簡便に成形品を得ることができなかった。しかも、コア層の曲げ弾性率を3.0以上にするためには実質的にフィラーを多量に添加しなければならず、軽量化の観点では有効な方法とはいえなかった。
このようなことから、フィラーの添加量を減らして軽量化を図りつつ組み付け性に優れ、しかも簡便に得られる成形品の開発が望まれていた。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、軽量化できつつ組み付け性に優れ、しかも簡便に得られる成形品を提供することを目的とする。
本発明の成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分および結晶性ホモポリプロピレン成分を含有するポリプロピレン樹脂組成物からなる成形品において、
(1)広角X線測定における(040)面と(110)面のピーク強度比I(040)/I(110)が2.0より大きく、
(2)アスペクト比が4.0以上のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分を20体積%以上含有し、
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分が下記(a)〜(c)の条件を満たすことを特徴とする。
(a)エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー中のエチレン含有量が70質量%以上、80質量%未満。
(b)135℃、テトラリン中での固有粘度が1.0dl/g以上、3.0dl/g未満。
(c)ポリプロピレン樹脂組成物全体の質量を100質量%としたときのエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの含有量が10質量%以上、50質量%未満。
本発明の成形品においては、射出成形法で成形されたことが好ましい。
本発明の成形品は、自動車のバンパー、ドアトリム、ピラー、インスツルメントパネルのいずれか1種である。
また、本発明の成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンの少なくとも1種であることが好ましい
発明の成形品においては、ポリプロピレン樹脂組成物が、フィラーを5.0質量%未満の範囲で含有してもよい。
本発明の成形品は、流動方向の寸法安定性に優れ、具体的には流動方向の線膨張係数が9.0×10−5−1以下になるので、成形品同士の合わせ目に隙間が生じることを防ぎ、組み付け時の組み付け性が高い。また、フィラー含有量を少なくできるので自動車用に用いた場合には車体質量を軽量化できる。さらに、特殊な成形方法を採用しないで簡便に得ることができる。
以下本発明について更に詳細に説明する。
本発明の成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分および結晶性ホモポリプロピレン成分が含まれるポリプロピレン樹脂組成物からなるものである。
[ポリプロピレン樹脂組成物]
(エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの構成成分)
ポリプロピレン系樹脂組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンの種類としては炭素数3以上のオレフィンであれば特に制限されず、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、2−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらの中でも、安価で物性に優れることから、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー中のエチレン含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー全体の質量を100質量%としたときに、60質量%以上、80質量%未満、好ましくは70質量%以上、80質量%未満である。この範囲から外れた範囲、例えば60質量%未満では流動方向の寸法安定性が充分ではないことがあり、また80質量%以上では結晶性ホモポリプロピレンとの相溶性が低くなるため、機械的物性とりわけ耐衝撃性が低下する傾向にある。
(エチレン−α−オレフィン共重合体の固有粘度)
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーは、135℃、テトラリン中での固有粘度が好ましくは1.0dl/g以上、3.0dl/g未満の範囲、より好ましくは1.5dl/g以上、2.7dl/g未満の範囲である。固有粘度が1.0dl/g以上かつ3.0dl/g未満にあることで、射出成形時にエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを流動方向に配向させやすくなり、その配向によってエラストマーのアスペクト比をより大きくすることができる。その結果、流動方向の寸法安定性がより高くなる。
(エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量)
ポリプロピレン樹脂組成物中のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの含有量は、ポリプロピレン樹脂組成物全体の質量を100質量%としたときに、好ましくは10質量%以上、50質量%未満、より好ましくは20質量%以上、40質量%未満である。エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの含有量がこの範囲にあることで、耐衝撃性を損なわずに流動方向の寸法安定性を充分に高めることができる。これに対し、10質量%未満では、衝撃強度が低くなるおそれがあり、50質量%を超えると剛性が低くなるので成形品としての特性を満たさなくなる傾向にある。
(結晶性ホモポリプロピレン成分)
結晶性ホモポリプロピレン成分としては特に制限はないが、230℃、21.6Nでのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分以上かつ5.0g/10分未満の結晶性ホモポリプロピレンを下式(1)を満たす含有量で含むものが好ましい。
このような結晶性ホモポリプロピレン成分は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分と溶融粘度が近いため、せん断作用或いは伸長作用によりエラストマー成分の配向が促進される。したがって、上記結晶性ポリプロピレン成分を含有する場合には、エラストマー成分のアスペクト比が大きくなり、流動方向の寸法安定性がより高くなる。
Figure 0004948776
式1中、W、Wはそれぞれ結晶性ポリプロピレン成分、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのポリプロピレン樹脂組成物中の含有量(百分率)である。
(他のエラストマー成分)
ポリプロピレン樹脂組成物においては、上述したエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分および結晶性ホモポリプロピレン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で他のエラストマー成分を含んでもよい。
他のエラストマー成分としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
オレフィン系エラストマーとしては、オレフィンを主成分とする非晶性弾性共重合体が挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン共重合エラストマーあるいはα−オレフィンと非共役ジエンとが共重合した共重合エラストマーなどが挙げられる。ここで、非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
このようなオレフィン系エラストマーとしては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体エラストマーなどが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン類と共役ジエン化合物とのブロック共重合体が挙げられる。ここで、スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレンおよびこれらの組み合わせなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンおよびこれらの組み合わせなどが挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的に、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソプレンジブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。
これらのエラストマー成分の中でも、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマーが特に好ましく用いられる。エチレン−1−オクテン共重合体エラストマー中の1−オクテンの含有量は、通常、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマー全体の質量を100質量%としたときの10質量%以上、40質量%未満、好ましくは20質量%以上、30質量%未満の範囲であり、230℃、21.6NのMFRが1.0g/10分以上、40g/10分未満、好ましくは5.0g/10分以上、20g/10分の範囲である。
(他の重合体)
また、ポリプロピレン樹脂組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で他の重合体を含んでいてもよい。
他の重合体としては、公知の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン又はα−オレフィン単独重合体、エチレンまたは炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体、これらの混合物、ナイロン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、石油樹脂などが挙げられる。
エチレン又はα−オレフィン単独重合体としては、具体的に、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、結晶性ホモポリプロピレン以外のポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−へプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリスチレンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
また、エチレンまたは炭素数3〜10のα−オレフィン共重合体としては、2種類以上のエチレン又はα−オレフィンから成る共重合体であれば特に限定されないが、α−オレフィンとしてプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、無水マレイン酸およびこれらの組み合わせが好ましく用いられる。さらに、これらの中でも、エチレンとプロピレン、1−ブテンとの共重合体が好ましく使用される。
上記の単独重合体とエチレンまたは炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体との混合物としては特に制限はないが、結晶性ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物が特に好ましい。
また、熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂などが挙げられる。
(添加剤)
<結晶核剤>
ポリプロピレン樹脂組成物は、結晶核剤を含有していてもよい。結晶核剤を含有していれば、剛性、耐熱性を向上させることができる上に、線膨張係数の低下にも寄与する。また、結晶核剤を含有すると、結晶化速度が向上し、結晶化時に結晶粒子を微細化できるとともに、より高速で成形できるようになる。
結晶核剤としては、従来知られている種々の結晶核剤が特に制限されることなく用いられるが、中でも下記に挙げる芳香族リン酸エステル塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、カルボン酸金属塩、ロジン酸部分金属塩などが好ましい。
芳香族リン酸エステル塩は下記[化1]又は[化2]で表される化合物である。
Figure 0004948776
式中、Rは酸素、硫黄または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、それぞれ独立にR,Rは水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、RとRは同じでもよいし異なっていてもよく、R同士、R同士またはRとRが結合して環状になっていてもよい。また、Mは1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数である。
Figure 0004948776
式中、Rは水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、Mは1〜3価の金属原子、nは1〜3の整数である。
[化1]で表される芳香族リン酸エステル塩の具体例としては、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート) 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム- ビス-(2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート) 、マグネシウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'-ジメチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル)フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェル)フォスフェート] 、アルミニウム-トリス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] およびこれら2種以上の混合物を例示することができる。これらの中でも、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
[化2]で表される芳香族リン酸エステル塩の具体例としては、ナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの組み合わせを例示することができる。これらの中でも、ナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
また、ジベンジリデンソルビトール誘導体は、下記[化3]の一般式で表されるものである。
Figure 0004948776
式中、Rは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基である。
ジベンジリデンソルビトール誘導体の具体例としては、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2-4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの組み合わせを例示することができる。これらの中でも、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの組み合わせが好ましい。
ロジン酸部分金属塩とは、下記[化4]又は[化5]の一般式で表されるロジン酸と金属化合物との反応生成物であるロジン酸金属塩を含有するものである。また、ロジン酸部分金属塩は、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合物であってもよいし、未反応のロジン酸を全く含まないロジン酸金属塩であってもよい。
[化4]で表される化合物の具体例としてはデヒドロアビエチン酸などが挙げられ、[化5]で表される化合物の具体例としてはジヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
Figure 0004948776
Figure 0004948776
[化4]および[化5]中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基やシクロアルキル基又はアリール基であり、R、RおよびRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、R、R、Rがアルキル基であり、より好ましくはRがイソプロピル基、RおよびRがメチル基である。
前記[化4]で表される化合物の金属塩としては、下記[化6]の一般式で表される化合物が挙げられ、前記[化5]で表される化合物の金属塩としては、下記[化7]の一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004948776
Figure 0004948776
[化6]および[化7]中、R、RおよびRは、[化4]および[化5]と同様である。Mは1〜3価の金属イオンであり、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどの1価の金属イオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などの2価の金属イオン、アルミニウムなどの3価の金属イオンが挙げられる。これらの中でも、1価または2価の金属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンであることがより好ましい。nは前記金属イオンMの価数と同一の整数であり、1〜3である。
さらに、結晶核剤としては、芳香族カルボン酸の金属塩、脂肪族カルボン酸の金属塩を用いることができ、具体的には、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、タルクなどの無機化合物を結晶核剤として用いることもできる。
上記のような結晶核剤は、ポリプロピレン樹脂組成物100質量部に対して、通常0.001質量部以上2.0質量部未満の範囲、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部未満の範囲、特に好ましくは0.1質量部以上0.5質量部未満の範囲で含まれる。結晶核剤の含有量が0.001質量部未満では結晶核剤としての効果が充分ではなく、剛性、耐熱性を高めることができないし、線膨張係数の低下効果も充分ではない。また、2.0質量部以上では耐衝撃性が低下する傾向にある。
また、ポリプロピレン樹脂組成物はフィラーを、ポリプロピレン樹脂組成物を100質量%とした際の5.0質量%未満の範囲で含有してもよい。フィラー含有量が5質量%を超えると衝撃強度が低下する傾向にある。また、製品が重くなる傾向にあるため好ましくない。
ここで、フィラーとしては、例えば、タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイトなどの天然珪酸又は珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸又は珪酸塩などの粉末状フィラー、マイカなどのフレーク状フィラー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、エレスタダイトなどの繊維状フィラーガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状フィラーなどを用いることができる。
(他の添加剤)
さらに、ポリプロピレン樹脂組成物には、これまでに示した各成分に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの添加剤が含まれていてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを用いることができる。
上記のような添加剤は、通常、ポリプロピレン樹脂組成物100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部未満の範囲で含まれる。そして、このような範囲で添加剤が含まれる場合には、物性バランス、耐久性、塗装性、印刷性、耐傷付き性および成形加工性などがより一層向上した成形品を得ることができる。
(ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法)
ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、次の(A),(B)の方法が好ましい。
(A)2器以上のリアクターを有する反応装置において1段目またはそれ以降のリアクターで結晶性ホモポリプロピレンを合成し、2段目またはそれ以降のリアクターでエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを連続的に合成する方法(重合法)。この方法においては結晶性ホモポリプロピレン成分とエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分は化学結合していてもよいし、単なるブレンド物であってもよい。この重合法で製造されたポリプロピレン樹脂組成物のことを、ヘテロファジックポリプロピレンという。
(B)結晶性ホモポリプロピレン成分とエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分とを別々にブレンドし、押出機により溶融温度以上の温度で溶融混練する方法(混合法)。
これらの製造方法の中でも、コストおよびエラストマー成分の分散性等に優れることから、重合法がより好ましい。
<重合法>
重合法の具体例について説明する。この製造方法は、重合したポリマー成分を直ちに次のリアクターに移送できる装置を有した3段の気相反応装置を用いた連続多段重合法による方法である。
まず、第1段目のリアクターにて、プロピレンガス、予重合した触媒、および水素(分子量調整の目的で使用)を連続・定速で供給し、プロピレンを重合して結晶性ホモポリプロピレン成分を得る。この際、水素およびプロピレンガスのリアクター内の濃度を分析し、それらの濃度が一定になるように水素およびプロピレンガスを連続的に供給する。
第1段目のリアクターでの重合温度は20〜90℃、好ましくは50〜80℃である。重合圧力は1.0〜50MPa、好ましくは3.0〜15MPaである。また水素の供給量は供給されるプロピレンモノマーに対して0〜1.5モル倍、好ましくは0.0001〜1.3モル倍の比率である。
次いで、未反応モノマーをパージした後に、第1段目のリアクターで生成した結晶性ホモポリプロピレン成分および未反応モノマーを水素、プロピレンと共に第2段目のリアクターに導入して、結晶性ホモポリプロピレン成分を得る。この際に得られる結晶性ホモポリプロピレン成分は、第1段目のリアクターで得られるものと同じMFRのものであってもよいし、異なるMFRのものであってもよい。
第2段目のリアクターでの重合では、重合温度は20〜90℃、好ましくは50〜80℃である。また水素の供給量は第1リアクターから導入される未反応の水素量により変化するが、供給するプロピレンモノマーに対して0.0001〜2.0モル倍の比率で導入される。
更に第2リアクターで生成した結晶性ホモポリプロピレン成分を一定流量で未反応モノマーをパージした後に放出し、一定流量のガス状のエチレン、α−オレフィンおよび水素とともに第3リアクターに導入する。そしてエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分を重合する。
第3リアクターでの重合温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、重合圧力は2.0〜20MPaである。またエチレンの供給量は供給されるモノマー(エチレンおよびプロピレン)のモル量(エチレンのモル量+プロピレンのモル量)に対して0.20〜0.85モル倍、好ましくは0.40〜0.70モル倍である。水素の供給量は供給されるエチレンに対して0.001〜1.5モル倍である。
そして、未反応の反応性モノマーおよび揮発分を取り除くために、第3段目のリアクター内に存在する全てのポリマー粒子をスチームで処理して、ヘテロファジックポリプロピレン成分を製造する。
この連続多段重合における各重合温度、分子量制御剤等の各条件を適宜変更することで各種の目的のヘテロファジックポリプロピレン成分が得られる。
なお、各条件を変更して得た2種類以上のヘテロファジックポリプロピレンを、ポリプロピレン樹脂組成物の構成成分としてもよい。
上記重合法で使用される触媒は特に限定されず、例えば、以下の調製方法によって得られるオレフィン重合用触媒成分と有機金属成分とを組み合わせたものを用いることができる。
オレフィン重合用触媒成分は、(1)塩化マグネシウム・アルコキシシラン付加物、四塩化チタン・電子供与性化合物錯体、チタン化合物および電子供与性化合物を共粉砕する方法、(2)塩化マグネシウム・アルコキシシラン付加物と四塩化チタン・電子供与性化合物錯体とを接触させた後、チタン化合物および電子供与性化合物を逐次的に接触させる方法等により調製することができる。このようにして得られたオレフィン重合用触媒成分は、そのままオレフィン系重合体の製造に用いてもよいが、ろ過および洗浄等の操作により未反応物および副生成物を除去した後に用いることもできる。
上記チタン化合物としては、好ましくは四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン等のハロゲン化チタン、より好ましくはハロゲンを含む4価のチタン化合物、特に好ましくは四塩化チタンである。
また、上記電子供与性化合物としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物および酸素含有化合物の中から選ばれる化合物を少なくとも一種類以上用いることが好ましい。これらのうち、特にアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。電子供与性化合物の使用量は、重合の際に添加される有機アルミニウム化合物に対するモル比で0.001以上5未満、好ましくは0.01以上1未満の範囲内である。
<混合法>
混合法は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分と結晶性ホモポリプロピレン成分と必要に応じて添加剤等とを均一に混合する方法である。その具体的方法としては、合成樹脂製造で一般に採用されている方法を適用すればよい。例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサーのごとき混合機を使用してドライブレンドする方法、オープンロール、押出混合機、ニーダーおよびバンバリーのごとき混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。ここで、溶融する場合には、使用する各成分が溶融する温度にしなければならないが、必要以上に高い温度にすると樹脂が熱分解や劣化を起こすため、通常160℃以上350℃未満の範囲、好ましくは170℃以上260℃未満の範囲にする。
また、より一層均一なポリプロピレン樹脂組成物を得るには、これらの混合方法を2種以上併用するとよい。例えば、あらかじめドライブレンドして混合物を得た後、その混合物を溶融混合する。
また、ドライブレンドを併用する場合でも、溶融混合する方法を1種または2種以上併用する場合でも、成形品の製造を考慮すると、ペレタイザーを使用してポリプロピレン樹脂組成物をペレット状にすることが好ましい。
この混合法では、重合法で得られたヘテロファジックポリプロピレンに他の成分や添加剤を配合した後、溶融混合してもよい。すなわち、重合法と混合法とを併用してもよい。
[成形品]
上記ポリプロピレン樹脂組成物を成形することで成形品が得られる。
(成形方法)
成形方法としては、射出成形法(射出圧縮成形法、ガス注入射出成形法を含む)が好ましい。射出成形法はエラストマー成分の配向に最も有効な方法であり、寸法安定性を容易に高くできる。
以下、射出成形法の具体的条件を示す。
<成形条件>
・成形温度
成形温度(シリンダー設定温度)は特に制限されないがポリプロピレンの融点(約160℃)以上、分解温度(約300℃)以下の温度、即ち170℃以上290℃未満の範囲が好ましく、230℃以上260℃未満であることが更に好ましい。
・射出速度
射出速度については、使用する射出成形機における最高速度の10%以上95%未満の範囲が好ましく、20%以上60%未満の範囲が更に好ましい。10%未満ではショートショットが発生しやすくなり、95%以上ではバリが発生しやすくなる。
・金型冷却温度
金型冷却温度については、ポリプロピレン樹脂組成物の結晶化温度(約90℃)以下であれば特に制限されないが、20℃以上80℃未満の範囲が好ましく、30℃以上60℃未満であることが更に好ましい。20℃未満では溶融樹脂の固化速度が速すぎるためショートショットが発生しやすくなり、80℃以上では固化速度が遅すぎて成形サイクル時間が長くなり不経済になる傾向にある。
<金型>
・ゲート形状およびゲートの数
金型のゲート形状としては、流動抵抗の小さいゲート形状が好ましい。具体的にはファンゲート、フィルムゲート、ダイレクトゲート、サイドゲートが挙げられ、これらの中でも、ファンゲートが特に好ましい。また、金型のゲートの数が2つ以上のいわゆる多点ゲートの場合には、同じ種類のゲート2つ以上設けてもよいし、異なる種類のゲートを組み合わせて設けてもよい。
・ランナーシステム
またランナーについてはできるだけ圧力損失を小さくするような構造のものであることが好ましい。ランナーの圧力損失は下式(2)で表されることが知られている(三谷景造著,「射出成形金型」,シグマ出版発行,1997年,p191)。
Figure 0004948776
△P;損失圧力 [MPa]
μ;樹脂の粘性係数 [Ns/m2]
L;ランナーの長さ [m]
Q;樹脂の流量 [m3/s]
d;ランナーの直径 [m]
この式から圧力損失を小さくするランナー構造としては、(a)短いランナー、(b)太い直径、(c)樹脂の流量を上げ粘度を下げる構造、のものが好ましく、中でも、(c)樹脂の流量を上げ粘度を下げる構造がより好ましい。(c)樹脂の流量を上げ粘度を下げる構造にするには、ホットランナーにすればよい。ホットランナーのマニホールドおよびノズルブッシュ温度は上述の成形温度と同等の温度、即ち170℃以上290℃未満であることが好ましく、200℃以上250℃未満であることがより好ましい。
(成形品の種類)
成形品の種類としては自動車用のものが好ましく、中でも、バンパー、ドアトリム、ピラー、インスツルメントパネルのいずれか1種が好ましい。これらの製品はゲートから製品末端までの距離(流動長)が比較的長いため、溶融樹脂が金型内でせん断作用或いは伸張作用を受ける時間が長い。したがって、エラストマー成分の配向が促進され、本発明の効果をとりわけ発揮する。
(広角X線の測定)
そして、本発明の成形品は、広角X線の測定(反射法)における(040)面と(110)面のピーク強度比、I(040)/I(110)が2.0以上、好ましくは2.5以上のものである。
ポリプロピレンは単斜晶系の結晶形態を有しており、そのb軸の配向は(040)面と(110)面との強度比で定量的に表すことができる(藤山ら著、「プラスチックエージ」、第50巻、2004年、p130−140)。また、ポリプロピレンの射出成形品はc軸またはa*軸が流動方向(MD)または直角方向(TD)に平行に成長し、b軸が厚み方向(ND)と平行に成長することが知られている(M.Fujiyamaら著、「インターナショナル・ポリマー・プロセッシング(International Polymer Processing)」、第13巻、1998年、p284−290)。
また、b軸方向の線膨張係数はa*軸方向、c軸方向と比較すると格段に大きいことが知られている(F.Guら著、「ポリマー(Polymer)」、第43巻、2002年、p1473−1481)。そのため、b軸方向への結晶成長が多く、a*軸およびc軸の結晶成長が相対的に少ない場合には、厚み方向(ND方向)の線膨張係数が大きくなり、流動方向(MD方向)(a*軸またはc軸)および直角方向(TD方向)(c軸またはa*軸)の線膨張係数が低くなる。
このようなことから、(110)面と(040)面のピーク強度比I(110)/I(040)が2.0以上である場合には、厚み方向(ND方向)に選択的に結晶が成長しているので、この結晶に沿って膨張するが、流動方向の膨張は抑制される。そして、厚み方向の膨張は、成形品の組み付けなどに対して問題を生じさせないから、成形品の組み付け性が高くなる。
(110)面と(040)面のピーク強度比を2.0以上にするためには、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー中のエチレン含有量を60質量%以上80質量%未満にするのが簡便である。
広角X線の測定の際においては、測定試料としては、成形品を適切な大きさに切り出したものを使用するのが好ましい。また、試料は、厚み方向(ND方向)にX線が照射されるようにセットするのが好ましい。測定温度はポリプロピレンの溶融温度以下の温度が好ましく、中でも0℃から150℃の範囲、特に好ましくは10〜30℃である。また、各ピークは文献値(M.Fujiyamaら著、「インターナショナル・ポリマー・プロセッシング(International Polymer Processing)」、第13巻、1998年、p284−290)に基づいて同定し、それぞれのピーク面積をピーク強度とした。
また、本発明の成形品は、アスペクト比が4.0以上のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを20体積%以上、好ましくは40体積%以上含有する。アスペクト比が4.0以上のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを20体積%以上含有することで、成形品の流動方向の寸法安定性が高くなり、組み付け性が高くなる。
(アスペクト比の測定方法)
エラストマーのアスペクト比は、以下のように求められる。
図1のように透過型電子顕微鏡(TEM)写真におけるエラストマードメインの最も長い部分に直線を引き、その長さを測定する(a(mm))。また、この直線に直交する方向のエラストマードメインの長さを、間隔を開けて測定する(b(mm))。そして、式(3)によりアスペクト比(AR)を算出する。このようなアスペクト比は、せん断作用或いは伸張作用による変形の結果、生じたものである。
ここで、エラストマードメインとは、成形品中での、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分の集合部分のことである。
Figure 0004948776
(体積分率の測定方法)
TEM写真を画像処理によりデジタル化した後(図2参照)、上記の方法により算出したアスペクト比が4.0以上のエラストマードメインを選択(X)し、その面積の総和を面積計算ソフト((株)プラネトロン製Image−Pro)で求める。これを全体の面積で除して面積分率(SR)を下式(4)により算出する。そして、この面積分率(SR)が体積分率に近似するとみなして、体積分率を決定する。
Figure 0004948776
成形品が、(1)広角X線測定における(040)面と(110)面のピーク強度比I(040)/I(110)が2.0より大きく、(2)アスペクト比が4.0以上のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分を20体積%以上含有する(すなわち、SR値が20体積%以上である)ことで、流動方向の線膨張係数が低くなる。具体的には、−30℃〜100℃における流動方向の線膨張係数(JIS K 7197)が9.0×10−5−1以下になる。流動方向の線膨張係数がそのような範囲にあれば、流動方向の寸法安定性が高く、組み付け性に優れる。
また、成形品は、曲げ弾性率が800MPa以上であることが好ましい。成形品の曲げ弾性率が800MPa以上であれば成形品の剛性として充分であり、取り出し時の変形、ひけ等の発生を抑えることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[1]ヘテロファジックポリプロピレン成分(A)の調製
重合に用いた固体触媒は高立体規則性のZiegler−Natta触媒であって、MgCl上に2.5質量%のTiと内部ドナーとしてジイソブチルフタレートをヨーロッパ特許第674991号に記載の方法で担持させたものである。
(触媒および予備重合)
該固体触媒成分をトリエチルアルミニウム(TEAL)とジシクロペンチルメトキシシラン(DCPMS)との混合物に−5℃において5分間接触させた。ここで、TEAL/DCMP=15(質量比)、TEAL/Ti=65(モル比)とした。さらに、第一重合反応容器で反応させる前に、このようにして得られた触媒を液化プロピレン中に懸濁させ、20℃で20分間保持して予備重合し予備重合触媒を得た。
(重合)
重合は、重合したポリマー成分を直ちに次のリアクターに送ることができる装置を有した3段の気相リアクターを用いて実施した。
まず、第1段目のリアクターにて、重合温度70℃でプロピレンガスを上記予備重合触媒および水素(分子量調整の目的で使用)とともに連続・定速で供給して重合し、ポリプロピレンホモポリマーを得た。この際、水素、およびプロピレンモノマーは水素/プロピレン=0.003(モル比)となるように連続的に分析・供給した。
未反応モノマーをパージした後、第1段目のリアクターで得られたホモポリプロピレンを放出し、これを水素/プロピレン=0.65(モル比)のプロピレン、水素(分子量調整の目的で使用)とともに第2段目のリアクターに導入し、重合温度75℃で重合してホモポリプロピレン成分を得た。
未反応モノマーをパージした後、第2段目のリアクターで生成したポリマー成分を一定流量で放出し、これをエチレン/(エチレン+プロピレン)=0.55(モル比)のエチレン、プロピレンおよび、水素/プロピレン=0.04(モル比)の水素とともに第3段目のリアクターに導入し、重合温度65℃で重合してエチレン−プロピレン共重合体エラストマー成分を得た。次いで、第3段目のリアクター内のポリマー粒子から、反応性モノマーおよび揮発分を取り除くためにスチームで処理した。このようしてポリプロピレン成分(A−1)を得た。重合条件を表1に、得られたポリプロピレン成分の分析結果を表2に示す。
Figure 0004948776
Figure 0004948776
各重合条件を表1のように変更したこと以外はポリプロピレン成分(A−1)と同様にして(A−2)〜(A−4)を製造した。
[2]ポリプロピレン樹脂組成物の製造
表3(製造例1〜7)、表4(製造例8〜14)に示す配合処方で(A)〜(D)成分を配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドして均一に混合した。その混合物をKTX−30ニ軸押出し機(神戸製鋼製)を用い、下記混練条件にてポリプロピレン樹脂組成物を製造した。ここで、(B)成分(エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー)は表5に示すもの、(C)成分(その他のエラストマー成分)、(D)成分(その他の重合体)としては表6に示すものを使用した。
なお、全ての配合処方に共通して以下の添加剤を添加した。
イルガノックスB225(チバスペシャリティケミカルズ社):0.2質量部(A〜D成分の合計100質量部あたり)
ステアリン酸カルシウム(耕正社):0.05質量部(A〜D成分の合計100質量部あたり)
<混練条件>
シリンダー温度;120℃
回転数;550rpm
吐出量;2000kg/時間
Figure 0004948776
Figure 0004948776
Figure 0004948776
Figure 0004948776
[3]試験片作製、物性測定条件
ポリプロピレン樹脂組成物の物性を以下のようにして評価した。その結果を表7に示す。
(1)物性測定用試験片作製
射出成形機(Funuc α100C、(株)ファナック製)を用い、試験片金型により測定用試験片を作製した。成形条件を下記に示す。
<成形条件>
シリンダー温度;200℃
金型温度;40℃
射出圧力;90MPa
冷却時間;20秒
(2)曲げ弾性率
JIS K7203に準拠して測定した。
<試験片>
12.7mm(幅)×4.0mm(厚み)×127mm(長さ)
<試験条件>
温度;23℃
スパン間;60mm
曲げ速度;2.0mm/分
(3)熱変形温度
(1)の成形条件にて作製した試験片を用い、JIS K7207に準拠して測定した。
<試験片>
6.4mm(幅)×12.7mm(厚み)×127mm(長さ)
<試験条件>
荷重;0.45MPa
昇温速度;2.0℃/分
スパン間;100mm
(4)アイゾッド衝撃試験
機械切削にてノッチ加工した試験片を用いて、JIS K7110に準拠して測定した。試験は、23℃、10℃の2条件の雰囲気下でそれぞれ行った。
<試験片> 12.7mm(幅)×4.0mm(厚み)×64mm(長さ)
(5)成形収縮率
IS150射出成形機(東芝機械製)にて成形した140mm(流動方向に直交する方向の長さ)×300mm(流動方向の長さ)×3mm(厚み)の平板状の試験片を作製し、これを試料とした。これを23℃、相対湿度50%の恒温・恒湿室内で48時間静置した後に、流動方向の長さL、流動方向に直交する方向の長さLを計測し、次式により収縮率を求めた。
収縮率(MD)=(300−L)/300×1000
収縮率(TD)=(140−L)/140×1000
ここでMDは流動方向、TDは流動方向に直交する方向を表す。
<成形条件>
シリンダー温度;210℃
金型温度;40℃
射出時間;3.0秒
冷却時間;20秒
(6)加熱収縮率
(5)で使用した試験片を温度80℃のオーブン内に24時間放置し、更に温度23℃、相対湿度50%の恒温、恒湿環境内で24時間放置したものを、試料として(5)と同様に収縮率を測定した。
Figure 0004948776
[4]自動車成形品の製造(実施例1〜9,比較例1〜5)
IS350FX(東芝機械製)射出成形機を使用して表3および表4に示した組成のポリプロピレン樹脂組成物を成形して自動車用成形品を製造した。
<金型>
フロントピラー左右セット取り
ゲート;ファンゲート1点、
ランナー;ホットランナー使用
<成形条件>
射出圧力(一次圧力);55%
保圧;28%
総射出時間;7.8秒
冷却時間;28秒
スクリュー回転数;103rpm
ホットランナーのマニホールド温度、ノズルブッシュ温度;230℃
金型温度;40℃
保圧切替位置;12mm
保圧速度;30%
その他の条件について表8に示す。
Figure 0004948776
[5]自動車用成形品の評価
自動車用成形品を以下のように評価した。その結果を表9に示す。
(線膨張係数)
自動車用成形品から厚み3mmの試験片を樹脂の流動方向(MD)に沿って下記の大きさに切り出し、100℃のオーブン内に24時間放置したものを試料としてJIS K7197に準拠して測定した。
<試験装置> Ulvac MTS9000 (真空理工製)
<試験片> 5mm(幅)×3mm(厚み)×15mm(長さ)
<試験条件> 昇温速度;5℃/分
荷重 ;5.0g重
測定温度;−30℃〜100℃
(広角X線測定)
自動車用成形品を30×30mm角に切り出したものを測定試料とし、下記の条件で測定した。測定例として、図3に、実施例1の成形品における広角X線の測定チャートを示す。そして、この測定チャートのピーク強度比より、I(040)/I(110)を求めた。
<試験装置> Rigaku Cu−Kα線(Niフィルター)
<試験片> 30×30mm(厚みは任意)
<試験条件>
スリット構成;
受光スリット;1°
散乱スリット;1°
発散スリット;0.15mm
速度;4.0°/分
サンプリング;0.08°毎
モード;反射モード
(透過型電子顕微鏡測定)
<超薄切片作製>
自動車用成形品から10×3×3mmt程度に切り出した試験片を−70℃に冷却し、ミクロトームを用いてガラスナイフで粗面出しを行い、続いてサファイヤナイフを使用して精密面出しを行って試料を得た。得られた試料を四酸化ルテニウム0.5質量%水溶液に一昼夜浸し、バルク染色を行った。この染色サンプルを−100℃に冷却した後、ミクロトームを用いてダイヤモンドナイフで超薄切片(厚み約30nm)を作製し、コロジオン膜を貼った銅グリッド上に超薄切片を載せ、測定サンプルを調製した。そして、この顕微鏡写真を測定し、画像解析することでSR値を求めた。
<測定装置および測定条件>
<測定装置> 透過型電子顕微鏡JEM1200EX(日本電子データム)
<測定条件> 加速電圧;120kV
フィラメント;LaB単結晶
<倍率> 1万倍
(成形品の組み付け性)
成形品を温度23℃、相対湿度50%に保たれた室内に24時間放置して状態調整した。そして、その状態調整したものを検具に組み付けて、その組み付け状態を評価した。寸法公差内であれば○、公差外であれば×と判定した。
(熱サイクル後の成形品の組み付け性)
(1)で使用した成形品を下記サイクルを1サイクルとして10サイクル行い。温度23℃、相対湿度50%に保たれた室内で24時間放置後、(1)と同様にして組み付け性の測定を行った。
<装置> ヒートサイクルテスター(ダバイ製)
<サイクル> (a)23℃から80℃に1時間で昇温、(b)80℃で8時間維持、(c)80℃から−30℃に2時間で降温、(d)−30℃で6時間維持、(e)−30℃から23℃に1時間で昇温。
(衝撃性能試験)
衝撃性能試験;FMVSS201、ECE21に基づき、直径16.5cm、重さ6.8kgの頭部模型を用い、相対速度24.1km/時間で衝撃を加え、頭部模型の減速度の測定と打撃部分の観察を行った。その評価では、減速度が3m・秒より多く持続して666.4m/秒を超えることなく、打撃部分の観察において打撃点にシャープエッジが認められない場合には、○と判定した。また、減速度が3m・秒より多く持続して666.4m/秒以上であるか、打撃部分の観察において打撃点にシャープエッジが認められる場合には、×と判定した。
Figure 0004948776
実施例1〜実施例9の成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを含むものであり、広角X線測定における(040)面と(110)面の強度比I(040)/I(110)が2.0以上かつSR値が20体積%以上であったので、流動方向の線膨張係数が9.0×10−5以下になっており、流動方向の寸法安定性が高く、また、収縮性が低かった。その結果、成形品の組み付け性および熱サイクル後の組み付け性が良好であった。特に、実施例2〜9は物性バランスにも優れ、タルク23質量%充填グレード(比較例5)とほぼ同等の線膨張係数を有している。したがって、フィラーを含有させなくてもよいから、成形品を軽量化できる。
一方、比較例1〜4の成形品は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを含んでいたものの、広角X線測定における(040)面と(110)面の強度比I(040)/I(110)が2.0未満あるいはSR値が20体積%未満であったので、流動方向の寸法安定性が低かった。また、比較例5の成形品は、フィラーを含有していたので、寸法安定性は良好であったものの軽量化できなかった。
図4に実施例1の自動車用成形品の透過型電子顕微鏡写真を示し、図5に比較例1の自動車用成形品の透過型電子顕微鏡写真を示す。実施例1の自動車用成形品では、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー(黒い部分)が流動方向に高いアスペクト比で配向していることが判る。一方、比較例1の自動車用成形品では、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーが配向していないことが判る。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのアスペクト比の測定を説明する図である。 成形品の透過型電子顕微鏡写真を模式的に示す図である。 実施例1の成形品における広角X線パターンである。 実施例1の成形品の透過型電子顕微鏡写真である。 比較例1の成形品の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分および結晶性ホモポリプロピレン成分を含有するポリプロピレン樹脂組成物からなる成形品において、
    (1)広角X線測定における(040)面と(110)面のピーク強度比I(040)/I(110)が2.0より大きく、
    (2)アスペクト比が4.0以上のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分を20体積%以上含有し、
    エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー成分が下記(a)〜(c)の条件を満たすことを特徴とする成形品。
    (a)エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー中のエチレン含有量が70質量%以上、80質量%未満。
    (b)135℃、テトラリン中での固有粘度が1.0dl/g以上、3.0dl/g未満。
    (c)ポリプロピレン樹脂組成物全体の質量を100質量%としたときのエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの含有量が10質量%以上、50質量%未満。
  2. 射出成形法で成形されたことを特徴とする請求項1に記載の成形品。
  3. 自動車のバンパー、ドアトリム、ピラー、インスツルメントパネルのいずれか1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形品。
  4. エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形品。
  5. 前記ポリプロピレン樹脂組成物が、フィラーを5.0質量%未満の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形品。
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