JP2006307069A - 発泡体用樹脂組成物、発泡体、および発泡体の製造方法 - Google Patents

発泡体用樹脂組成物、発泡体、および発泡体の製造方法 Download PDF

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公一 草川
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Abstract

【課題】自動車用シール材などに使用可能な、比較的低発泡倍率(3倍以下)にもかかわらず、柔軟で、クッション性に優れた発泡品を提供することが可能とする。
【解決手段】有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)から、発泡体用樹脂組成物を構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発泡体用樹脂組成物、発泡体、および発泡体の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、発泡可能で柔軟なクッション性と圧縮永久歪の小さなオレフィン系熱可塑性エラストマー用組成物から構成され、各種シール材やガスケット材、例えば、自動車のエアコンダンパーシール材、また燃料電池用シール材やハードディスク駆動装置(HDD)用ガスケットなどを得るために好適に使用することができる発泡体用樹脂組成物、該樹脂組成物を発泡させてなる発泡体、および発泡体の製造方法に関するものである。
従来から、HDD用の筐体と蓋との間の気密や、燃料電池のセパレーター間の気密や、また自動車のエアコンダンパーのような開閉板の当たるフランジ部の気密には、ガスケット剤や各種シール材が必須であり、これらガスケット材や各種シール材には、非発泡で型内成形された各種ゴムや熱硬化性樹脂または従来組成の熱可塑性エラストマー等からなる成形品が用いられている。しかし、これらの成形品は、非発泡状の固体成形物であるため、高硬度で柔軟性に限界があり、使用上問題がある。前記シール用成形品の使用形態は、具体的には、HDDのダンパーシール部位の中で局部的に固定されて使われたり、HDDの筐体と蓋との間に介装された後、筐体と蓋とが組み付けボルトの締め込みにより固定されて使用されたり、燃料電池のセパレーター間に介装された後、セパレータとセパレータとが組み付けボルトの締め込みにより固定されて使用されている。前記使用上の問題とは、このような使用形態において、押さえたり締めたりする固定部付近から離れたシール部位にかけて、押さえのダンパ板や蓋、そしてセパレーターがミクロンオーダーのレベルで大きく撓み、シール用成形品の各部で圧縮率に差が生じる(圧縮応力も差が生じる)ことになり、その不均一性を従来のシール用成形品が緩和して均一なシール性を確保できず、最終的にシール材やガスケット材に重要な諸機能(耐エアーリーク性、耐透湿性、等)を維持できていないと言う問題である。
また、前記シール材料として、最近の環境問題に対応するために、リサイクル性に優れた幾つかのオレフィン系材料が使われるようになってきた。これらのオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、基本的には、市販のオレフィン系熱可塑性エラストマー、あるいはエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムとポリプロピレン(PP)との架橋剤を伴った部分架橋あるいは完全架橋させた機械的ブレンド物を用いている(特許文献1、2)。
しかし、これらのシール用材料を用いて得られた成形品では、成分中のPPの硬さが影響して製品硬度がシール材としては高くなり、そのままの使用するには柔軟性の不足が深刻であった。さらに、これらシール用材料を用いて得られた成形品は、圧縮永久歪においても、室温から高温領域で良好でなく、特に高温領域での耐熱性が乏しくなる傾向がある。
これらを解決する方法として、非発泡の固体状のシール材やガスケット材で、厚み(圧縮されて使われる)方向に異型形状(圧縮部の圧縮面を狭く(凸形状に))を持たせることで、硬さを局部的に柔らかく(応力を小さく)する方法(特許文献3)が提案されている。
これらに対して、最近、エアコンダンパーや燃料電池、HDD等の機能部品は、機能の高密度化かつコンパクト化(省スペース化)への傾向が益々強くなっており、そのため、その間に入るシール材やガスケット材も、微細化が求められている。これらの要求に応じるためには、シール材の形状は巾狭や薄さが本質的に重要となり、前記特許文献3に開示のような異型形状(凹凸形状)による柔軟対応には限界がある。
前述の最近のシール材やガスケット材に求められている事項をまとめると、(i)成形時に薄くて巾狭な形状でも容易に成形が可能であること、(ii)成形して得られた成形体は、必要機能特性が充分(均質)に発現し得るだけの柔軟なゴム弾性がなくてはならないこと、(iii)省スペース化の必要上、場合に応じてシール材やガスケット材の全体もしくは部分を3次元形状に成型可能であること、である。しかしながら、前述のように、従来提供されているシール成形体形成用材料では、前記要求事項を幅広く満足することができていない。したがって、前記要求事項を幅広く満足することができるシール材やガスケット材用の材料組成と、成形方法、成形体の具現化が切望されているのが、現状である。
特開2003−49949号公報 特開2003−173671号公報 特開2003−49949号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、自動車エアコン用ダンパーシール材や、燃料電池用シール材、ハードディスク駆動装置(HDD)用ガスケット材などに好適に使用できる、発泡可能で、成形後に、特に高温領域での耐熱性のある柔軟なゴム弾性や小さな圧縮永久歪を実現し得る発泡体用樹脂組成物(オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物)、該樹脂組成物を用いて得られた発泡体、および該発泡体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意、研究を重ねた結果、特定組成のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を発泡成形用樹脂組成物として用いることにより、3倍発泡以下(発泡してないものも含めて)で、適正な発泡倍率の射出成形により成形体を形成することができること、得られた発泡体は、最終的にダンパー開閉板とフランジ間や筐体と蓋間、またセパレーター間等で圧縮され、薄くて巾狭な所で局部的に押さえられたり、組み付けられたり、またこれらが3次元で用いられても、充分柔軟に圧縮率がとれ(撓みがなく)、かつ必要とされる機能面(耐透気性や耐透湿性や耐熱性)でも、その品質の均質性・耐久性を保ち得ることができることを、知見するに至った。
前記特定組成のオレフィン系熱可塑性エラストマーとは、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化手段を用いて混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)である。
したがって、本発明にかかる発泡成形用樹脂組成物は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化手段を用いて混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)から構成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかる発泡体は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化手段を用いて混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を発泡して得られたことを特徴とする。
また、本発明にかかる発泡体の製造方法は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化手段を用いて混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を調整する工程と、前記ゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を発泡させる工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
(発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物)
本発明者らが特定するに至った樹脂組成物は、比較的低発泡でありながらも、柔軟で、クッション性に優れた発泡体を得ることのできるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。このオレフィン系熱可塑性エラストマーは、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化手段を施されて混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)である。
本発明で言う「ミクロ凝集構造」とは、透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV:以下TEMと記す)を用い、三酸化オスミニウムや四酸化ルテニウム等の染色剤でゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を染色処理して観察されるゴム相と結晶相の凝集分散状態を、意味する。
ミクロ凝集構造におけるゴム相と結晶相の判断は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)単体のみに染色剤処理してTEM観察したものは、全面暗黒色であり、一方有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)単体のみで同様処理して観察したものは、全面明白色であったことから、ゴム成分相が暗黒色、結晶成分相が明白色と判断される。
したがって、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在する時は、連続相は暗黒色であり、この連続相の中にあって有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)は白色の不連続相として観察される。このようなミクロ凝集構造の状態にあれば、柔軟で、かつ歪特性に優れた3倍以下の発泡倍率に制御された発泡体の作成が容易である。逆に、ミクロ凝集構造が、有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が連続相(白色相)となった場合は発泡せず、その為柔軟性が劣り、ガスケット等の均一な圧締ができない。この場合、最終的に圧縮率を大きく取らざるを得ず、固定の仕方によっては局部的に圧縮応力が高くなり、歪特性を始めとする各種諸特性能の均質性に劣る傾向になる。
(有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A))
本発明で用いられる有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)は、炭素原子数2〜20のα−オレフィン含有量が50モル%以上の無定形ランダムな弾性共重合体または結晶化度が50%以下の弾性共重合体であって、2種類以上のα−オレフィンからなる非結晶性α−オレフィン、2種類以上のα−オレフィンと非共役ジエン共重合体である。
このようなオレフィン系共重合体ゴムの具体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。
(a)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(b)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(c)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[プロピレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(d)ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム
[ブテン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
上記α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
また、上記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
これらの共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1・4(100℃)]は10〜250、特に40〜150が好ましい。
また、上記(b)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、ヨウ素価が25以下であることが好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混合物においては、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計100重量部に対して、好ましくは30重量部以上100重量部未満、さらに好ましくは50重量部以上100重量部未満、特に好ましくは65〜95重量部の割合で用いられる。
また、これらの有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の割合で、特に好ましい割合から好ましくない割合になると、射出発泡特性に有効な混合物組成のミクロ凝集構造で、連続相の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が、不連続相の有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)と相逆転に移行して行き、発泡成形特性の制御安定性が低下するとともにそれから得られる成形体は高硬度の傾向となる。
(有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B))
本発明で用いられる有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)としては、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が用いられる。
上記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(イ)プロピレン単独重合体
(ロ)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(ハ)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(ニ)1−ブテン単独重合体
(ホ)1−ブテン単独重合体10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(ヘ)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(ト)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下のα−オレフィンとのランダム共重合体
上記α−オレフィンとしては、具体的には、上述したオレフィン共重合体ゴムを構成するα−オレフィンの具体例と同様のα−オレフィンが挙げられる。
本発明で用いられる、「有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)からの混合物」においては、有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の配合量は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計量100重量部に対して、好ましくは70重量部未満、さらに好ましくは50重量部未満、特に好ましくは5〜35重量部である。
また、これらの有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の割合で、特に好ましい割合から好ましくない割合になると、射出発泡成形特性に有効な混合物組成のミクロ凝集構造で、連続相の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と不連続相の有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が逆転に移行して行き、発泡性が全く悪くなる。
一般的に発泡成形性に与える基本的で重要な材料特性要素は、発泡成形時の溶融粘度の安定性である。つまり、発泡成形時における幅広い発泡温度領域に対し、発泡ガスを保持して、発泡膨張を持続し得る粘度特性が必要とされている。
従って、発泡温度領域に対する粘度依存性から材料組成を考えると、発泡特性に有効な材料組成は、雰囲気の圧力一定の場合、発泡時に変化する材料温度や、その温度に依存される材料粘度挙動が重要になる。良好な発泡には、発泡温度域に融点を持ち発泡ガスの内包保持力がなく、急激な粘度低下を招く結晶性樹脂成分よりも、粘度変化の緩慢な非晶性成分の方が有効な傾向がある。
つまり、材料系が結晶性樹脂と非晶性ゴムからなる混合物系の場合、発泡成形特性はその材料系の非晶ゴム成分の支配する連続相のミクロ凝集構造に有効に寄与されることが容易に予想される。したがって、発泡成形特性を有効に発現するためには、材料組成のミクロ凝集構造は、非晶ゴム成分の支配する連続相に制御される必要がある。
しかし、一般的に連続相と不連続相のミクロ凝集構造は、ゴム成分と結晶性樹脂成分からなる2成分混合系の場合、架橋剤の添加の有無や添加量、混合系中のそれぞれの成分比率、また混合時の剪断の度合いや温度等の条件により、各成分の溶融粘度や、界面張力の関係から決定されると考えられている。そのため、架橋剤の存在下、場合によっては非存在下でも、非晶性ゴムの有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と結晶性樹脂の有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)を、非晶ゴム配合比率がおよそ75%以下で混練りすると、その安定なミクロ凝集構造は、連続相が結晶性樹脂で、非連続相が非晶性ゴムになる傾向がある。このミクロ凝集構造は、発泡成形に適した凝集構造と反対の構造であり、必要な発泡成形特性が満たされないものとなる。特に、架橋剤の添加量を多くした際のゲル分率の高い組成系の場合は、非晶ゴム配合比率が75%以上でも、結晶性樹脂を連続相としたミクロ凝集構造が形成され易くなる傾向となる。
しかし、本発明では、鋭意検討した結果、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物で、ゲル分率が高くとも、ミクロ凝集構造において連続相が非晶ゴムとなる組成配合が見出された。
(相溶化手段)
ゲル分率が高くとも、ミクロ凝集構造において非晶ゴムが連続相となる他の組成配合としては、架橋反応温度の高い特定の架橋剤や、潤滑剤や、相溶化剤を適切な組み合わせで配合し、更に特定の材料温度制御で特定の剪断等が加えられて混練りされる、配合組成と混練り条件の組み合わせによる相溶化手段が用いられることが好ましい。前記相溶化手段の中でも特に、配合組成、つまり特定の架橋剤、潤滑剤、相溶化剤のうち相溶化剤(D)を配合されることが、最も望ましい。
前記その他の配合材料における特定の架橋剤とは、後の説明で用いられる架橋剤例を示すものであるが、その中でも、反応(1分間分解半減期)温度が、170℃以上のものを用いられるのが好まく、また潤滑剤としては、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系のオイルが好ましく用いられる。
(相溶化剤(D))
ゲル分率が高くとも、安定してミクロ凝集構造で連続相が非晶ゴム成分とされる適切な組成配合条件において、前述したように、最も効果的な組成配合類は相溶化剤であり、かかる相溶化剤としては、具体的には、非晶性や結晶性の相容性重合体が好ましく、特に好ましい非晶性では反応性の相溶性重合体が望ましい。
前記非晶性で反応性の相溶性重合体としては、α−オレフィンと非共役ジエン共重合体や、イソプレン系、ブタジエン系からなる単独もしくは、スチレン系とこれらを組み合わせてなる2元〜多元の共役ブロック共重合体や、これらの部分水添物およびこれらのエポキシ基や無水マレイン酸など化学修飾された共重合体を挙げることができる。
前記相溶性重合体として、さらに具体的には、液状ポリブタジエン、部分水素添加液状ポリブタジエン、液状イソプレン、部分水素添加液状ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンブロック共重合体部分水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体部分水素添加物などを挙げることができる。
また、非晶性で反応性の相溶性重合体は、非晶性で反応性であることから、ミクロ凝集構造的には非晶性ゴムの有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)に含まれることになる。また、結晶性の相溶性重合体としての具体的な例としては、ポリプロピレン系やポリエチレン系の低分子量ワックスが好ましく、分子量2000〜20000程度のものが特に好ましく用いられる。
(ゲル分率)
本発明で言うゲル分率とは、次のような測定手順にて求めた重量比率である。すなわち、発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマーを約1mm角サイズ大でカットして、0.5gに精秤したものを、ステンレスメッシュ(#600)中に包み、これを沸騰キシレン(138℃)中で3時間抽出し、その後、別に準備しておいた沸騰キシレンで充分洗浄し、続いてアセトンで置換し、80℃オーブン中で24時間乾燥させ、メッシュ中の抽出後の残存物の重量を秤量し、最初の重量に対する抽出後の残存物の重量比率を求める。この重量比率をゲル分率(%)とした。
本発明で用いる有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを、それぞれ単独で原料に使用した状態でゲル分率を測定すると、ゲル分率は0%になる。
発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて発泡成形加工するに当たって、例えば、射出成形時の発泡倍率を3倍以下とするとともに流動成形性に支障を来たさないようにするためには、オレフィン系熱可塑性エラストマーを構成する各組成分子の分子量や、分岐、部分架橋の状態を制御することが必要である。したがってこれらの配合組成状態の下での指標としてゲル分率を採用することができ、その好ましい範囲として10〜80%、さらに好ましくは20〜70%である。
ゲル分率が80%以上になると、3倍以下の発泡倍率を目指した場合、必要な発泡剤(ガスや化学発泡剤に代表される)をオレフィン系熱可塑性エラストマー中に均一に分散または溶解させることが難しくなり、発泡剤のエラストマー中への溶存性が悪くなる。その結果、発泡倍率の制御性が乏しくなり、かつオレフィン系熱可塑性エラストマーの流動粘度が高いため、型内および、ダイスでの発泡成形性に著しく劣る傾向となる。
ゲル分率10〜80%を実現する方法としては、過酸化物を用いる方法、電子線照射、硫黄加硫、シラン架橋等の公知の方法を用いることができる。これらの分岐、部分架橋法の中でも、過酸化物を用いる方法と電子線照射とが、簡易に制御し易いので、望ましい方法である。
前記過酸化物として好ましく用いられる具体例としては、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,−トリメチル−シ5クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレ−ト、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエ−ト、tert−ブチルペルベンゾエ−ト、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカ−ボネ−ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、n−ブリル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレ−トが好ましく、なかでも1,3ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
この過酸化物は、未発泡の発泡樹脂基材の全体100重量部に対して、通常0.1〜2.5重量部程度の配合が好ましく、実際的な配合量は発泡体の気泡径、ゲル分率、密度等のバランスを考慮して調整される。
本発明においては、上記過酸化物による分岐および部分架橋処理に際し、その助剤として、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−Nー4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパンN,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、アクリルメタクリレ−トのような多官能性メタクリレ−トモノマ−、ビニルブチラ−ト、ビニルステアレ−トような多官能性ビニルモノマ−を配合されることができる。
この助剤の配合量によっても、射出時の発泡基材樹脂の流動性や発泡性の調整を適宜されることができる。ただし、オレフィン系エラストマーの分岐および部分架橋を電子線、中性子線、α線、β線、γ線、X線、紫外線等の電離性放射線の照射により行う場合は架橋剤を配合しなくともよいが、電離性放射線の照射による分岐および部分架橋処理に際しその助剤として、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリメチプロパントリメタクリレ−ト、アクリルメタクリレ−トのような多官能性メタクリレ−トモノマ−、ビニルブチラ−ト、ビニルステアレ−トのような多官能性ビニルモノマーを配合されることができる。
また、これらのパルス核磁気共鳴によるT2(H1スピンースピン緩和)時間が50μ秒以上の運動性の成分組成であることが好ましい。
(T2(スピンースピン緩和)時間)
また、発泡倍率3倍以下でありながら柔軟性に優れた発泡成形用樹脂組成物としてのオレフィン系熱可塑性エラストマーは、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが、有機過酸化物の存在下または非存在下で、混練反応されたゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)であって、そのH1(プロトン)パルス核磁気共鳴によるT2(スピンースピン緩和)時間が50μ秒以下の運動性の成分組成と、T2時間が51〜400μ秒の運動性の成分組成、およびT2時間が401μ秒以上の運動性の成分組成の運動性の成分組成の容積分率が、それぞれ(A)+(B)=100%容積に対し、5〜40%、5〜50%、20〜90%の組成分率であることが、望ましい。
本発明で言うT2(スピンースピン緩和)時間とは、オレフィン系発泡成形用の樹脂組成物および発泡体を構成する樹脂混合物中の結晶成分や非晶成分および分岐含んだ分子運動性の容積分率を的確に評価できる定量値である。このT2時間は、室温(20〜30℃)でのH1(プロトン)パルス核磁気共鳴によるスピンースピン緩和時間であり、その測定方法は、日本電子(株)製JNM−MU25Aにより、パルスモードにソリッドエコー法を用いて行われる。本発明に示すT2時間は、前記装置および方法により求めた値である。
一般にポリプロピレン等の有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の結晶成分のT2(スピンースピン緩和)時間での運動性は、分子量や分子構造(一次から高次構造)の違いで明確には分別されないが、ほぼ50μ秒未満に入り、EPDMゴムの等の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)の非晶成分のT2(スピンースピン緩和)時間での運動性は、ほぼ150μ秒以上に入る。また、これら中でも柔軟性や、歪特性に有効な非晶成分の分子間の架橋や分岐で分子運動が拘束された場合のT2(スピンースピン緩和)時間での運動性になると、およそ50〜400μ秒の間に入ってくる。
2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒未満の運動性、51〜400μ秒の運動性、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率が、それぞれ5〜40%、5〜50%、20〜90%を満たすものであれば、射出時の流動性、発泡倍率が3倍以下での制御性、また薄くて巾狭な型内やダイス通しての発泡成形性、また発泡体の柔軟性や歪特性等の諸特性、等のバランスが容易に得られる。また、3倍発泡以上の発泡性の制御も可能ではあるが、薄くて巾狭な成形品ともなると、寸法精度や表面形状・外観の悪さが出てき、また成形できたとしても圧縮永久歪が大きく、外観や機能・品質面で良好なものが得られない。
しかし、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒未満の運動性、51〜400μ秒の運動性、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率が、それぞれ5%未満41%以上、かつ5%未満51%以上、かつ20%未満91%以上の場合は、射出時のベース材料への発泡剤の均一な分散、溶解、溶存が難しくなり、発泡倍率が制御できず、また流動性が著しく悪くなる。そのため、薄くて巾狭な型内やダイス内での成形性に劣る傾向となる。また、発泡成形時のガスの保持性が悪く発泡倍率の制御性が上がらず、不均質な発泡状態となると、柔軟に圧縮率のバランスがとれない。そうなると、最終的に圧縮率を大きく取ることで、ガスケットやシール性能を得なければならなくなる。その結果、必然的に圧縮応力が高く、歪特性を始めとする各種諸特性能に安定性が無くなり、劣る傾向となる。
T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒未満の運動性、51〜400μ秒の運動性、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率が、それぞれ5〜40%、5〜50%、20〜90%を満たす構成からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡用組成物の適当な分子運動性を付与する方法としては、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)から構成された混合物に、過酸化物を用いたり、電子線照射を行ったり、硫黄加硫を施したり、シラン架橋を施す等の手段を用いて、適当な分岐を施す方法を用いることができる。これらの方法の中でも、過酸化物を用いる方法と電子線を照射する方法とが、簡易に制御し易いので望ましい方法である。
(その他の添加物)
また、本発明で用いられる発泡基材樹脂には、必要に応じて、その他、耐候安定剤、耐熱安定剤、可塑剤、難燃剤、増粘剤、滑剤、着色剤、などのオレフィン系の熱可樹脂および熱可塑性エラストマー組成物に通常用いられる添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲において、添加されることができる。
また、この他に、発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマー中に充填材を配合することもできるが、そのような充填剤としては、具体的には、カーボンブラック、パルプ、繊維状チップ、カンテン等の有機充填材料、クレー、カオリン、シリカ、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ヴェントナイト、シラスバル−ン、ゼオライト、珪酸白土、セメント、シリカフュ−ム等の無機充填剤が挙げられる。
上記組成物の混練方法としては、V型ブラベンダー、タンブルブラベンダー、リボンブラベンダー、ヘンシェルブラベンダーなどの公知の混練機を用いて混練し、得られた混練物を、さらに、開放型のミクシングロ−ルあるいは非開放型のバンバリーミキサー、押出し機ニーダー、連続ミキサーなどの公知の混練機で混練分散させる方法が、好適に用いられる。このように混練工程中に、組成物を分岐・部分架橋反応させても良いし、分岐・部分架橋反応しないように混練りし、この混練物を改めてオーブンや熱プレス装置などで加熱することで、静的に分岐反応させても良い。
これらによって調整される未発泡の発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、公知のペレタイザーでペレット形状にして用いるのが望ましい。
(発泡性樹脂と発泡体)
本発明においては、発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に熱分解型発泡剤を発泡剤の分解温度以下で練り込むことで、未発泡の発泡性マスターバッチとして調整することもできる。
たとえば、発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマーと発泡剤をV型ブラベンダー、タンブルブラベンダー、リボンブラベンダー、ヘンシェルブラベンダーなどの公知の混練機を用いて、混練必要であれば、この混練に続いてさらに、押出機、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどで、熱分解型発泡剤の分解しない温度で混練り調整する。
発泡剤は、未発泡の発泡基材樹脂100重量部に対して、通常0.05〜25重量部の割合で用いられる。
これらによって調整される未発泡の発泡成形用オレフィン系熱可塑性エラストマーのマスターバッチは、公知のペレタイザーでペレット形状にして用いるのが望ましい。
前述したオレフィン系発泡樹脂基材に配合される発泡剤としては、熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤があり、かかる熱分解型発泡剤としては、具体的には、アゾジカーボンアミド(ADCA)、ジエチルアゾカルボキレート、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3−ジスルホンヒドラシドフェニルスルホン酸、N,N’−ジニトロソペンタメテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジンなどの有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの無機発泡剤等が挙げられる。特に有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメテトラミン、トリヒドラジノトリアジンが好ましく、無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウムが好ましい。また、炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムおよびグリセリン脂肪酸エステルを混合させて用いてもよい。これらの発泡剤は、単独または複数の組み合わせ、また、いわゆる分解助剤を併用して用いることができる。
また、発泡助剤、湿潤剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、老化防止剤、着色剤などの添加剤および充填剤は、上記混練のいずれかの段階において配合する。
また、熱分解型発泡剤による発泡に代えて、揮発性溶剤や水等の蒸気圧によって樹脂を発泡されることもできる。
さらに、ガスそのものを発泡樹脂基材に分散あるいは含浸させてることもでき、この場合二酸化炭素ガスや窒素ガスが発泡剤として挙げられる。具体的には、射出やスタンピング成形、または押出し成形時に、成形機から発泡基材樹脂を出す前に、二酸化炭素や窒素、揮発性溶剤や水等の蒸気を注入混練りし、分散させる方法を用いることができる。
射出または押出し前のこれら発泡剤の、注入混練り条件としては、超臨界状態または非超臨界状態のいずれの状態であってもよい。
射出または押出し前に発泡剤が混練分散された後、ノズルを通して発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマーが金型内またはダイスを経て発泡成形される。
射出成形の場合、ノズルを通して出された発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマーに対し、公知の型動作で成形が可能である。つまり、金型が型閉め状態への射出成形、またはスタンピング成形や、コアバック成形を用いられてもよい。
本発明の発泡成形用樹脂組成物は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが相溶化剤(D)の存在下で混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)から構成されており、前記ゲル分率を特定することによって、比較的低い発泡倍率(3倍以下)にもかかわらず、柔軟なクッション性に優れた発泡体を得ることができる。
したがって、本発明によれば、ハードディスク(HDD)用ガスケット材や燃料電池用シール材および自動車等のエアコンダンパーシール材などに使用可能な発泡成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、以下の実施例は、本発明を説明するための好適な例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
本発明の発泡体の成形に用いた射出成形機は、型締め力35トン、可塑化能力17kg/h、スクリュー径20mm、最大射出圧216MPa、最大射出率76cm3/sのタイプの装置を用いた。
同じく本発明の発泡体の成形に用いた金型は、深さ2mmで、巾2mmの内寸70mm×100mmサイズのガスケット材・シール材形状のものを、成形性(外観)評価用に用いた。また、深さ3.0mmの30mm×30mmサイズのシート形状のものを、各種物性測定用の成形に用いた。
(実施例1)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]75重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]25重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]0.5重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]0.3重量部の存在下で、水添イソプレンポリマー[相溶化剤]12重量部、低分子量PP[ワックス]5重量部とを合わせて、165℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーをえた。このエラストマーは、そのミクロ凝集構造においてゴム相が連続相となり結晶相が不連続相となっており、ゲル分率が35.6%であり、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、23%、28%、49%の各組成分率の組み合わせであった。この発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物を1.5重量部を混練りしてマスターバッチ(発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマー)を調整した。このマスターバッチを、230℃のシリンダー中で再度溶融分散させた後、上下金型から形成される型閉じされている金型に射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形品の発泡倍率が1.5倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、成形外観も良好で、感触も良好(A硬度:30)であり、圧縮永久歪は32%(JISK6262)であった。
かかる発泡特性は、図1に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、ゴム相が連続相であり、結晶相が不連続相であることと、ゲル分率が10%〜80%(35.6%)であることから得られたものである。
(実施例2)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]75重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]25重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]0.3重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]0.15重量部の存在下で、水添スチレン・イソプレンコポリマー[相溶化剤]12重量部、低分子量PP[ワックス]5重量部とを混合して、65℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造においてゴム相が連続相であり、結晶相が不連続相であり、ゲル分率が23.0%であり、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、20%、19%、61%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、230℃のシリンダー中で窒素ガスを0.1wt%溶融分散させた後、上下金型から形成される型閉じされている金型に発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマーを射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形品の発泡倍率が2.0倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、成形外観は良好で、感触も良好(A硬度:32)であり、圧縮永久歪は30%(JISK6262)であった。
かかる発泡特性は、図2に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、ゴム相が連続相であり、結晶相が不連続相であることと、ゲル分率が10%〜80%(23.0%)であることから得られたものである。
(実施例3)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]75重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]25重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]1.0重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]0.6重量部の存在下で、水添イソプレンポリマー[相溶化剤]12重量部、低分子量PP[ワックス]5重量部とを混合して、165℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造においてゴム相が連続相であり、結晶相が不連続相であり、ゲル分率が78.5%であり、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、27%、45%、28%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、230℃のシリンダー中で窒素ガスを0.05wt%を注入し、上下金型から形成される型閉じされている金型に発泡用レフィン系熱可塑性エラストマーを射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー成形品を取り出した所、成形品の発泡倍率が1.1(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、成形外観は良好で、感触も良好(A硬度:42)であり、圧縮永久歪は27%(JISK6262)であった。
かかる発泡特性は、図3に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、ゴム相が連続相であり、結晶相が不連続相であることと、ゲル分率が10%〜80%(78.5%)であることから得られたものである。
(比較例1)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]80重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]20重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]2.5重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]1.5重量部の存在下で、165℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造において結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であり、ゲル分率が81.2%であり、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、30%、55%、15%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物を3.0重量部を混練りしてマスターバッチ(発泡性熱可塑性エラストマー)を調製した。このマスターバッチを、230℃のシリンダー中で再度溶融分散させた後、状毛金型から形成される型閉じされている金型に射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形外観は悪く、発泡せず倍率1.0倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、感触は硬く(A硬度:60)、圧縮永久歪は55%(JISK6262)と大きかった。
かかる発泡特性は、図4に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であることと、ゲル分率が80%以上(81.2%)であることから得られたものである。
(比較例2)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]75重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]25重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]2.5重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]1.5重量部の存在下で、165℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造において結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であり、ゲル分率が85.4%でありT2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、42%、51%、7%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、230℃のシリンダー中で窒素ガスを0.1w%注入させた後、上下金型から形成される型閉じされている金型に射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形品の発泡倍率が1倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、成形外観は良くなく、感触は非常に硬く(A硬度:58)、圧縮永久歪は61%(JISK6262)と大きかった。
かかる発泡特性は、図5に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であることと、ゲル分率が80%以上(85.4%)であることから得られたものである。
(比較例3)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]90重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]10重量部とを、130℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造においてゴム相が不連続相であり、結晶相が連続相であり、ゲル分率が1.2%であり、T2(スピンースピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、4%、4%、92%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、230℃のシリンダー中で窒素ガスを0.1w%溶融分散させた後、上下金型から形成される型閉じされている金型に射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形品の発泡倍率が1.0倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、成形表面が凹凸が大きく目立った状態で外観不良であり、感触は非常に硬く(A硬度:55、圧縮永久歪は90%(JISK6262)と大きかった。
かかる発泡特性は、図6に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」に見るように結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であることと、ゲル分率が10%未満(1.2%)となっていることから得られたものである。
(比較例4)
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム[EPT;エチレン含量38モル%、ヨウ素価12、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)1.1g/10分]50重量部と、ポリプロピレン[PP;プロピレン含有量100%、MFR(ASTM 1238、190℃、2.16kg荷重)5.0/10分]]50重量部とを、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシンー3[過酸化物]1.0重量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート[助剤]0.9重量部の存在下で、165℃で混練りして、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーは、ミクロ凝集構造において、連続相が結晶相であり、不連続相がゴム相であり、ゲル分率が51.0%であり、T2(スピン−スピン緩和)時間で50μ秒以下、および51〜400μ秒、および401μ秒以上の運動性を持った成分組成の容積分率がそれぞれ、48%、40%、12%の各組成分率の組み合わせであった。この熱可塑性エラストマー100重量部に対して、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物を3.0重量部を混練り調整して、マスターバッチ(発泡性熱可塑性エラストマー)を調製した。このマスターバッチを、230℃のシリンダー中で再度溶融分散させた後、上下金型から形成される型閉じされている金型に射出した(射出条件は、射出スピード:200mm/s、金型温度:30℃)。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形品を取り出した所、成形表面は滑らかであったが、発泡倍率が1倍(発泡倍率:発泡後比重/発泡前比重)で、感触は硬くて良くなく(A硬度:80)、圧縮永久歪は90%(JISK6262)と大きかった。
かかる発泡特性は、ゲル分率は10%〜80%の間(51.1%)にあるものの、図7に示す「TEM写真によるミクロ凝集構造」から明らかなように、結晶相が連続相であり、ゴム相が不連続相であることから得られたものである。
以上の実施例および比較例の組成と評価を、それぞれ、以下の表1および表2に示した。表中の単位は重量部、発泡剤としてガスを用いた場合はwt%で示した。また、各実施例および比較例について、透過型電子顕微鏡(TEM)によるミクロ凝集構造を示す組織写真を図1から図7に示した。
Figure 2006307069
Figure 2006307069
以上のように、本発明によれば、ハードディスク(HDD)用ガスケット材や燃料電池用シール材および自動車等のエアコンダンパーシール材などに使用可能な、比較的低い発泡倍率(3倍以下)にもかかわらず、柔軟なクッション性に優れた発泡成形体を提供することができる。
実施例1において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例2において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例3において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例1において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例2において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例3において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例4において調製した成型用樹脂組成物のミクロ凝集構造を示す透過型電子顕微鏡写真を示す図である。

Claims (15)

  1. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)から構成されていることを特徴とする発泡体用樹脂組成物。
  2. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練りが相溶化手段を用いて行われたものであることを特徴とする請求項1に記載の発泡体用樹脂組成物。
  3. 前記相溶化手段が相溶化剤(D)であることを特徴とする請求項2に記載の発泡体用樹脂組成物。
  4. 相溶化剤(D)が非晶性の反応性重合体であることを特徴とする請求項3に記載の発泡体用樹脂組成物。
  5. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)の配合量が、該有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計100重量部に対して、30重量部以上100重量部未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
  6. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を発泡して得られたことを特徴とする発泡体。
  7. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練りが相溶化手段を用いて行われたものであることを特徴とする請求項6に記載の発泡体。
  8. 前記相溶化手段が相溶化剤(D)であることを特徴とする請求項7に記載の発泡体。
  9. 前記相溶化剤(D)が非晶性の反応性重合体であることを特徴とする請求項8に記載の発泡体。
  10. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)の配合量が、該有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計100重量部に対して、30重量部以上100重量部未満であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の発泡体。
  11. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とが混練り反応されることによって得られ、そのミクロ凝集構造において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が連続相として存在するとともに、この連続相の中に前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が不連続相として存在し、かつ、そのゲル分率(138℃沸騰キシレンで3時間抽出の不溶分の重量百分率)が10〜80%であるゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を調整する工程と、
    前記ゴム状オレフィン系軟質樹脂(C)を発泡させる工程と、
    を有することを特徴とする発泡体の製造方法。
  12. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練りを相溶化手段を用いて行うことを特徴とする請求項11に記載の発泡体の製造方法。
  13. 前記相溶化手段として相溶化剤(D)を用いることを特徴とする請求項12に記載の発泡体の製造方法。
  14. 前記相溶化剤(D)として非晶性の反応性重合体を用いることを特徴とする請求項13に記載の発泡体の製造方法。
  15. 前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)の配合量を、該有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計100重量部に対して、30重量部以上100重量部未満とすることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の発泡体の製造方法。



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