JP2008290282A - ポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 流動性がよいために薄肉射出充填および大型金型による成形が可能で、かつ、高発泡倍率であるがために軽量性に優れ、耐衝撃性が良好であるポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体を提供すること。
【解決手段】 メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満、メルトテンションが2cN以上、かつ歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂、特定の熱可塑性ゴム、ポリオレフィンワックス、発泡剤を射出成形機へ供給し、次いで金型内に射出して発泡成形して得られることを特徴とする射出発泡成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる射出発泡成形体に関する。
ポリプロピレン樹脂は、良好な物性及び成形性を有しており、また、環境にやさしい材料として急速にその使用範囲が拡大している。特に、自動車部品等では、軽量で剛性に優れたポリプロピレン樹脂製品が提供されている。そのような製品の一つに、ポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体がある。
ポリプロピレン系樹脂を高発泡化させる技術としては、型開き可能に保持された金型の空間内に発泡剤を含む樹脂を射出成形した後、金型を開くことにより前記空間を拡大して樹脂を発泡させるいわゆるコアバック法(Moving Cavity法)がある。
ポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体を自動車部品として使用する場合には、剛性が高く、かつ、高い耐衝撃性が求められることが多い。また、その大型部品となるとショートショット等の成形不良を起こしやすくなるために、前記した物性を極力維持しながら、使用する原料樹脂の流動性を高くする必要がある。
耐衝撃性を改良する方法として、ポリプロピレン樹脂に非晶性のゴム状物質を、ブレンドあるいは多段重合等によって加える方法が提案されている。また、流動性を改善するには、流動性向上剤などの加工助剤を使用することが挙げられる。
耐衝撃性および流動性を共に改良するために、熱可塑性樹脂にオレフィン系熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィンワックスを適用した技術がある(例えば、特許文献1、2)。これらの文献では、架橋型オレフィン系共重合体ゴムを主成分とし、ポリオレフィンワックスを添加することで流動性の向上した、柔軟性のあるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を提供している。ただし、当該文献はゴム成分が主成分であることから耐衝撃性と剛性のバランスが悪い。
熱可塑性樹脂にエラストマーおよびポリオレフィンワックスを添加した例は前記するとおり報告されているが、特にポリオレフィン系樹脂が主成分である射出発泡成形体において、その射出発泡性を維持した上、大型金型による成形に良好な流動性、および前記する部品に求められるに足る良好な耐衝撃性を有する射出発泡成形体を得る検討は、これまで行われていなかった。
特開2005−220229号公報 特開2006−307069号公報
本発明の目的は、流動性がよく、とりわけ大型金型による成形が可能であり、また、薄肉射出充填が可能で高発泡倍率であるがために、軽量性に優れ、耐衝撃性・表面性の良好なポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体を提供することである。
本発明者らは、特定のポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、およびポリオレフィンワックスを用いることで、射出発泡成形に適した溶融粘度や溶融張力を保持しながらも、なおかつゴム成分が均一に分散した射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が得られ、当該射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、高発泡倍率で大幅な軽量化が可能であり、耐衝撃性であり、かつ表面性の良好な射出発泡成形体が得られることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、(1)メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満、メルトテンションが2cN以上、かつ歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂、(2)(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよび(b)アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムから選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性ゴム、(3)ポリオレフィンワックス、および(4)発泡剤、を射出成形機へ供給し、次いで金型内に射出して発泡成形して得られる射出発泡成形体に関する。
好ましい態様としては、
(1)前記改質ポリプロピレン系樹脂が、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られたものである、
(2)前記(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムのα−オレフィン成分が、1−ヘキセンまたは1−オクテンである、
(3)前記(b)アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンゴム(SEBS)である、
(4)前記ポリオレフィンワックスが、メタロセン系触媒を用いて製造されたポリエチレンワックスである、
(5)平均気泡径が500μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚み10μm以上1000μm以下の非発泡層とを有する、発泡倍率が2倍以上10倍以下である、
前記記載の射出発泡成形体に関する。
本発明の射出発泡成形体は、溶融成形時の流動性が高く、且つ、メルトテンションも高いポリプロピレン系樹脂、特定の熱可塑性ゴムおよびポリオレフィンワックスを使用することにより、高発泡倍率であるがために軽量性に優れ、かつ、耐衝撃性と表面外観が良好である。また、前記ポリプロピレン系樹脂、前記熱可塑性ゴムおよび前記ポリオレフィンワックスを使用することにより、薄肉射出充填性が良好であるため、とりわけ大型の成形体を得やすい。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体の特徴は、特定のメルトフローレートおよびメルトテンションをもつ改質ポリプロピレン系樹脂、特定の熱可塑性ゴムおよびオレフィンワックスを使用することである。
本発明で使用する改質ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満、好ましくは15g/10分以上40g/10分以下であり、メルトテンションが2cN以上、好ましくは4cN以上で、かつ歪硬化性を示すものである。メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満であると、高発泡倍率であり気泡が均一の発泡成形体が得られる。また、メルトテンションが2cN以上の場合には、発泡倍率が2倍以上あり、均一微細な気泡の発泡成形体が得られる。
メルトフローレートとは、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したものを言い、メルトテンションとは、メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重を言う。
歪硬化性とは、溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇することとして定義され、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販のレオメーターにより測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えばメルトテンション測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できる。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激にメルトテンションが増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。改質ポリプロピレン系樹脂が歪硬化性を示し、メルトテンションが高い場合に発泡倍率が2倍以上の高発泡倍率の発泡成形体が得られ、射出成形時の溶融樹脂流動先端部で破泡しやすくなることによっておこるシルバーストリークが出にくくなる等の理由から表面平滑性に優れた発泡成形体が得られる。
このような改質ポリプロピレン系樹脂の製法としては、例えば線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射するか、または線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合するなどの方法が挙げられる。これらの方法によって得られた改質ポリプロピレン系樹脂は、分岐構造あるいは高分子量成分を含有する。これらの中で、本発明においては、線状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が、高価な設備を必要としないことにより安価に製造できる点から好ましい。また、本発明の効果が損なわれない範囲で、コストおよび流動性の向上を鑑み、前記改質ポリプロピレン系樹脂に、汎用の線状ポリプロピレン樹脂を使用して希釈してもよい。
この改質ポリプロピレン系樹脂の製造に用いられる原料のポリプロピレン系樹脂は、線状の分子構造を有している線状ポリプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えばチーグラー・ナッタ触媒)の存在下の重合で得られる。具体的には、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量%以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンは、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンが耐寒脆性向上、安価等という点で好ましい。
これら単量体を重合させた線状プロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマー等挙げられるが、中でも、射出発泡成形体に耐衝撃性を付与しやすいという点から、プロピレン−エチレンブロックコポリマーを使用することが好ましい。
また使用する線状ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレートが30g/10分以上60g/10分以下であることが好ましい。当該範囲であると、メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満の改質ポリプロピレン系樹脂が得やすい。
前記共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどがあげられるが、これらを単独または組み合わせ使用してもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレンが安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点からとくに好ましい。
前記共役ジエン化合物の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上20重量部以下が好ましく、0.05重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また20重量部を越える添加量においては効果が飽和してしまい、経済的でない場合がある。
前記共役ジエン化合物と共重合可能な単量体、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂や前記共役ジエン化合物からの水素引き抜き能を有するものが好ましく、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられ、1種または2種以上を用いることが出来る。
ラジカル重合開始剤の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下が好ましく、0.05重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また10重量部を越える添加量では、改質の効果が飽和してしまい経済的でない場合がある。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、とくに押出機が生産性の点から好ましい。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合、混練(撹拌)する順序、方法にはとくに制限はない。線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)したのち、共役ジエン化合物あるいはラジカル開始剤を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃が、線状ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。またその時間は一般に1〜60分が好ましい。
このようにして、本発明に用いる改質ポリプロピレン系樹脂を製造することができる。改質ポリプロピレン系樹脂の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明で用いられる熱可塑性ゴムは、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよびアルケニル芳香族化合物単位含有ゴムから選ばれた1種以上である。
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなるゴムであり、使用される炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの密度は、改質ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を高めるという観点や、得られる樹脂組成物の衝撃強度を高めるという観点から、0.85〜0.885g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.85〜0.88g/cmであり、更に好ましくは0.855〜0.875g/cmである。
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの190℃のMFRは、成形時の流動性、および衝撃強度の観点から、通常、0.1〜30g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分である。
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒、いわゆるメタロセン系触媒が挙げられる。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられ、好ましくは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体であり、より好ましくはブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体であり、より好ましくは共役ジエン部分の二重結合が85%以上水素添加されているブロック重合体である。
更に具体的に、アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムの製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、アルケニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムの分子量分布としては、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムに含有されるビニル芳香族化合物の平均含有量として、好ましくは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜19重量%である。
アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムの230℃のMFRとして、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
本発明で用いるポリオレフィンワックスとは、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの共重合体からなり、常温で固体であり、80〜120℃で、低粘度の液体となるものをいう。例えば、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等が挙げられる。ここでα−オレフィンとしては、炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜12のα−オレフィンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
ポリオレフィンワックスの製造には、公知の方法が用いられるが、例えば、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒を用いて製造される。
中でも、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体といった、エチレン単量体を含んでなるポリエチレンワックスを使用することが好ましく、ポリエチレンワックスの中でも、メタロセン系触媒を用いて製造されたものを使用することが好ましい。
前記ポリエチレンワックスは、数平均分子量が1000〜5000であることが好ましく、さらに好ましくは2000〜4000である。密度が870〜960kg/mであることが好ましく、融点が80〜140℃であることが好ましく、さらに好ましくは融点が90〜120℃の範囲にある。前記を満たすポリエチレンワックスを使用すれば、流動性の改良効果が大きく、表面外観良好な成形体が得られる傾向にある。
本発明で使用する射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、改質ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、およびポリオレフィンワックスを混合することで得ることが出来る。
本発明で使用する改質ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、およびポリオレフィンワックスの混合割合は、合計110重量部中、改質ポリプロピレン系樹脂は60重量部以上95重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは80重量部以上90重量部以下である。熱可塑性ゴムは5重量部以上40重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以上20重量部以下である。ポリオレフィンワックスが、3重量部以上20重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは4重量部以上10重量部以下である。前記配合量であれば、均一微細な気泡を有する、発泡倍率が2倍以上の発泡成形体が得られる傾向にある。また、薄肉部分を有する成形でショートショットが起こらず、大型成形が可能で、連続して安定した生産が行えるほか、耐衝撃性の良好な発泡成形体を安価に提供することが出来る傾向にある。
改質ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、ポリオレフィンワックスの混合方法は特に限定はなく、公知の方法で行うことが出来、例えば、ペレット状の樹脂をブレンダー、ミキサー等を用いてドライブレンドする、溶融混合する、溶剤に溶解して混合する等の方法が挙げられる。本発明においてはドライブレンドした上で射出発泡成形に供する方法が、熱履歴が少なくて済み、メルトテンションの低下が少なくなる為好ましい。
射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形機へ供給され、金型に射出して射出発泡成形に供される。改質ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、ポリオレフィンワックスの混合物に発泡剤を含有させて、射出成形機に供給してもよいし、改質ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ゴム、ポリオレフィンワックスの混合物を射出成形機に供給した後、発泡剤を添加してもよい。
本発明で使用できる発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤など射出発泡成形に通常使用できるものであればとくに制限はない。化学発泡剤は、通常、前記射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物と予め混合してから射出成形機に供給され、シリンダ内で分解して炭酸ガス等の気体を発生するものである。化学発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機系化学発泡剤があげられる。
物理発泡剤は、成形機のシリンダ内の溶融樹脂にガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能するものである。物理発泡剤としては、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用してよい。
これらの発泡剤の中では、通常の射出成形機が安全に使用でき、均一微細な気泡が得られやすいものとして、化学発泡剤としては無機系化学発泡剤、物理発泡剤としては窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスが好ましい。発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために必要に応じて、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルク、炭酸リチウムのような無機微粒子等の造核剤を添加してもよい。通常、上記無機系化学発泡剤は取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性の点から、10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチを作製し、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に添加し、使用されることが好ましい。
上記発泡剤の使用量は、最終製品の発泡倍率と発泡剤の種類や成形時の樹脂温度によって適宜設定すればよい。例えば、通常無機系化学発泡剤の場合は、本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは、0.5重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下の範囲で使用される。この範囲で使用することにより、経済的に発泡倍率が2倍以上、且つ均一微細気泡の発泡成形体が得られやすい。
さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用してもよい。必要に応じて用いられるこれらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用されるのはもちろんであるが、本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.01重量部以上10重量部以下使用される。
次に射出発泡成形体の製造方法について具体的に説明する。製造方法自体は公知の方法が適用でき、ポリプロピレン系樹脂のMFR、発泡剤の種類、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜成形条件を調整すればよい。通常、ポリプロピレン系樹脂の場合は樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜60分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行われる。また、金型内で発泡させる方法としては種々有るが、なかでも固定型と任意の位置に前進および後退が可能な可動型とから構成される金型を使用し、射出完了後、可動型を後退させて発泡させる、いわゆるコアバック法(Moving Cavity法)が、表面に非発泡層が形成され、内部の発泡層が均一微細気泡になりやすく、軽量性に優れ、剛性と耐衝撃性のバランスが良好な発泡成形体が得られやすいことから好ましい。可動型を後退させる方法としては、一段階で行ってもよいし、二段階以上の多段階で行ってもよく、後退させる速度も適宜調整してもよい。
このようにして得られる本発明の射出発泡成形体は、熱可塑性ゴム成分が、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.2μm以上3μm以下で均一分散している。また、射出発泡成形体は、平均気泡径が好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚みが好ましくは10μm以上1000μm以下、さらに好ましくは100μm以上500μm以下の非発泡層とを有する。
発泡層の平均気泡径が500μmを越える場合は優れた剛性が得られない場合がある。非発泡層の厚みが10μm未満では、剛性が低下する傾向があり、1000μmを越える場合は軽量性が得られにくい恐れがある。
また、本発明の発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは2倍以上10倍以下、さらに好ましくは2.5倍以上6倍以下である。発泡倍率が2倍未満では軽量性が得られ難く、10倍を越える場合には剛性の低下が著しくなる傾向がある。発泡倍率は、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を添加しない以外は発泡成形体と同条件で射出成形した非発泡成形体との比重の比から得られた値である。
さらに、本発明の発泡成形体の次式で示される軽量化率Lは、好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。
Figure 2008290282
ここで、Wは同じ剛性、具体的には曲げ弾性勾配を有する非発泡射出成形体の重量、Wは前記発泡成形体の重量である。軽量化率が20%未満の場合には本発明の特徴である大幅な軽量化が得られない傾向にあるといえる。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
(1)メルトフローレート:ASTM1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)メルトテンション:メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用した。230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重をメルトテンションとした。
(3)歪硬化性:上記メルトテンション測定時、引き取り速度を増加させたときに急激に引き取り荷重が増加し、破断に至った場合を「歪硬化性を示す」、そうでない場合を「歪硬化性を示さない」とした。
(4)射出発泡成形性:連続して20ショット成形したときにショートショットになった個数(不良個数)を求めて、次の3段階で評価した。
不良個数が0個・・・・・・・○
不良個数が1〜2個・・・・・△
不良個数が3個以上・・・・・×
(5)表面外観:発泡成形体の表面外観の程度を次の3段階で評価した。
金型転写性がよく、光沢(つや)のあるもの・・・・○
金型転写性はよいが、光沢(つや)のないもの・・・△
金型転写性が悪く、光沢(つや)のないもの・・・・×
(6)発泡倍率:発泡成形体の底面部から表面の非発泡層も含めた試片を切り出し、別途作製した肉厚3mmの非発泡成形体(参考例1)の底面部との比重の比から求めた。
(7)平均気泡径、非発泡層厚み:発泡成形体の底面部を厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真より求めた。平均気泡径については任意に選んだ20個の平均値とした。非発泡層は可動型側と固定型側の平均値とした。
(8)内部ボイド:発泡成形体の底面部を厚み方向に切断した断面を観察し、発泡層中の大きさ1mm以上のボイドの有無をしらべた。
内部ボイドがほとんどないもの・・・・・○
有るもの・・・・・・・・・・・・・・・×
(9)流動性:樹脂温度200℃、背圧5MPaで前記発泡剤を含まない樹脂組成物を溶融混練した後、30℃に設定された、キャビティクリアランスが2mm、幅20mm、最大流動長が2000mmのバーフロー金型を使用し、射出速度60mm/秒、射出圧70MPaで射出充填して取出した射出成形体の流動長を測定した。
(10)耐衝撃性:JIS−K7211に準拠して試験片(成形体底面から4cm角試片を切り出したもの)の、常温(23℃)における50%破壊エネルギーE50を求めた。
(11)軽量化率:軽量化率を求める発泡成形体の重量をW、後述の参考例にしたがって作製した、これと同じ曲げ弾性勾配を有する非発泡射出成形体の重量をWを予め図1から求めておき、式1から軽量化率Lを計算した。
Figure 2008290282
次に、実施例、比較例で使用したポリプロピレン系樹脂、発泡剤を以下に示す。
(A)改質ポリプロピレン系樹脂
MP−1:線状ポリプロピレン系樹脂としてメルトフローレート50g/10分のポリプロピレン・ホモポリマー100重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.7重量部の混合物を、ホッパーから50kg/時で45mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給してシリンダ温度200℃で溶融混練し、途中に設けた圧入部よりイソプレンモノマーを定量ポンプを用いて0.5kg/時の速度で供給し、ストランドを水冷、細断することにより得た改質ポリプロピレン系樹脂(メルトフローレート30g/10分、メルトテンション4cN、歪硬化性を示す)
(B)ゴム
TP−1:エチレン−1−オクテン共重合体ゴム(ダウケミカル日本製エンゲージ8200(密度0.87g/cm、MFR(190℃)5g/10分))
TP−2:スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)(旭化成ケミカルズ製タフテックH1062(密度0.89g/cm、MFR(230℃)4.5g/10分、スチレン顔料18重量%))
(C)ポリオレフィンワックス
EW−1:分子量2900、密度912kg/m、軟化点104.5℃、融点102℃である、メタロセン系触媒から製造したポリエチレンワックス(三井化学製エクセレックス30200BT)
(D)発泡剤
化学発泡剤マスターバッチ(永和化成製ポリスレンEE275、分解ガス量40ml/g)
(実施例1〜3)
改質ポリプロピレン系樹脂、オレフィン系熱可塑性ゴムおよびポリオレフィンワックスを表1に示す組成比で、かつ、発泡剤を7.5重量部加えてドライブレンドし、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
宇部興産機械(株)製「MD350S−IIIDP型」(シャットオフノズル仕様)の射出成形機で、樹脂温度200℃、背圧5MPaで前記発泡剤を含む樹脂組成物を溶融混練した後、60℃に設定された、φ2mmのピンゲートを有し、固定型と前進および後退が可能な可動型とから構成される、縦330mm×横230mm×高さ100mmの箱形状のキャビティ(立壁部:傾斜10度、クリアランス3mm、底面部:クリアランスt=1.5mm)を有する金型中に、射出速度100mm/秒で射出充填した。射出充填完了後に、底面部の発泡倍率が3倍になるように可動型を後退させて、キャビティ内の樹脂を発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してから発泡成形体を取り出した。射出発泡成形性、得られた発泡成形体の表面性および物性を表2に示す。
本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は流動性に優れ、連続成形時のショートショットが起こりにくく、射出充填性が良好であった。また、得られた発泡成形体の底面部の発泡倍率は3倍であり、表面に光沢(つや)があり表面外観良好であった。平均気泡径は約200μmで300μmの非発泡層(スキン層)を有しており、成形体内部のボイドもほとんどなかった。また、耐衝撃性が良好であり、箱形状の発泡成形体にもかかわらず、同等の剛性を有する非発泡成形体に対して、30%の軽量化率を達成した。
(参考例)
実施例において、改質ポリプロピレン系樹脂、発泡剤を使用せず射出充填し、60秒間冷却した後に非発泡成形体を取り出した。このとき、初期の金型底面部のクリアランスを変えることにより、底面部の肉厚の異なる成形体が得られた。
(比較例1)
ポリオレフィンワックスを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表2に示す。実施例と比較して、耐衝撃性は優れるが、流動性および表面外観が劣る。
(比較例2)
オレフィン系熱可塑性ゴムを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表2に示す。実施例と比較して、流動性は優れるが、耐衝撃性が劣る。
Figure 2008290282
Figure 2008290282
本発明の射出発泡成形体は、溶融成形時の流動性が高く、且つ、メルトテンションも高いポリプロピレン系樹脂を使用することにより、大幅な軽量化に必要な薄肉射出充填が可能であり、また、大型金型による射出発泡成形性が良好である。また、高発泡倍率であるがために軽量性、耐衝撃性が良好である。本発明は、ラゲージボックス、コンソールボックス、ツールボックス等の自動車内装材をはじめ、食品包装用容器、家電ハウジング、日用雑貨品のボックス類等に広く使用できる。
参考例における非発泡射出成形体の成形体重量と底面部から切り出した試片の剛性との関係を示した図である。

Claims (6)

  1. (1)メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分未満、メルトテンションが2cN以上、かつ歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂、(2)(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムおよび(b)アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムから選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性ゴム、(3)ポリオレフィンワックス、および(4)発泡剤、を射出成形機へ供給し、次いで金型内に射出して発泡成形して得られる射出発泡成形体。
  2. 前記改質ポリプロピレン系樹脂が、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られたものである請求項1記載の射出発泡成形体。
  3. 前記(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムのα−オレフィン成分が、1−ヘキセンまたは1−オクテンである請求項1記載の射出発泡成形体。
  4. 前記(b)アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンゴム(SEBS)である請求項1記載の射出発泡成形体。
  5. 前記ポリオレフィンワックスが、メタロセン系触媒を用いて製造されたポリエチレンワックスである請求項1記載の射出発泡成形体。
  6. 平均気泡径が500μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚み10μm以上1000μm以下の非発泡層とを有する、発泡倍率が2倍以上10倍以下であることを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載の射出発泡成形体。
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