JP5013717B2 - 熱可塑性エラストマー及びシール材並びにそれらの製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー及びシール材並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー及びシール材並びにそれらの製造方法に関する。
近年、電子機器製品の高性能化に伴い、その構成部品には高度な品質が求められるようになっている。
これら電気機器製品の中で、ハードディスクドライブ(HDD)を例に挙げて説明する。HDDに用いられるシール材(以後、HDDガスケットと言うことがある)には、オレフィン系やスチレン系の熱可塑性エラストマーが用いられてきており、これらのエラストマー中には、高粘度(即ち、高分子量)の炭化水素系鉱物系オイル(プロセスオイル)が使われている。このプロセスオイルは、原油に蒸留、溶剤脱れき、白土処理、溶剤脱ロウ、水素化処理などの精製処理を施すことで生産されている。しかしながら、前記精製処理では、原油中の硫黄化合物、窒素化合物、不飽和化合物が完全には除去されないため、前記プロセスオイルは、不純物を含み、また、広い分子量分布を持ったものである。このため、前記熱可塑性エラストマーを材料としたHDDガスケットには、前記プロセスオイル中に残存している硫黄化合物などの不純物により、HDDが腐食されるという問題があった。また、前記プロセスオイル中に残存している不飽和化合物は、熱安定性が悪い。このため、前記熱可塑性エラストマーを材料としたHDDガスケットには、HDDが長期間高温にさらされた場合に、前記不飽和化合物が分解劣化することで大量のガスが発生し、HDDの信頼性を低下させるという問題があった。なお、前記熱可塑性エラストマーにたとえ高粘度の(即ち、高分子量の)プロセスオイルを配合したとしても、前記プロセスオイルは、分子量分布が広いため低分子量成分を大量に含み、ベーキングなどの加熱手段を講じても、使用時のガスの発生要因を取り除くことは困難である。
また、下記特許文献1には、水添ブロック共重合体100質量部、40℃での動粘度が100mm/秒以上である非芳香族系軟化剤50〜1000質量部、及びプロピレン共重合体1〜100質量部からなるスチレン系熱可塑性エラストマーからなるガスケットが提案されている。しかしながら、本発明者らによる実験では、40℃での動粘度が100mm/秒以上の高粘度の軟化剤を用いたガスケットであっても、たとえベーキングなどの加熱手段を講じても、発ガスレベルを実用に供することができるレベルにすることは困難であった。また、40℃での動粘度が100mm/秒未満の軟化剤を用いたガスケットでは、発ガスレベルは更に悪化した。
そして、下記特許文献2には、EPDM100質量部、ポリプロピレン系樹脂10〜100質量部、可塑剤20〜130質量部及び架橋剤0.1〜10質量部の混合物からなるオレフィン系熱可塑性エラストマーの成型物が用いられたハードディスク用カバー一体型ガスケットが提案されている。しかしながら、このガスケットには、前記可塑剤が低分子量成分を大量に含むため、使用時にそれらがガスとして揮発してしまうという問題があった。
特開2001−114975号公報 特開2003−173671号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、硫黄化合物や窒素化合物を含まない熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに柔らかく、且つ、使用時のガスの発生量が低く抑えられたシール材及びその製造方法の提供を、その目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の熱可塑性エラストマーは、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含む熱可塑性エラストマーであって、硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含み、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下であることを特徴とする。
また、本発明のシール材は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含むシール材であって、硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含み、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下であることを特徴とする。
そして、本発明の熱可塑性エラストマーの製造方法は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練することで得られる混練反応物に、40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下である硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合する熱可塑性エラストマーの製造方法である。
さらに、本発明のシール材の製造方法は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練することで得られる混練反応物に、40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下である硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合し、この混練反応物を射出成形するシール材の製造方法である。
本発明の熱可塑性エラストマーに配合されるα−オレフィンのオリゴマー合成油(以下、単に合成油と言うことがある)は、硫黄化合物や窒素化合物を含まない。このため、これを射出成型することで得られる本発明のシール材(例えば、ガスケット)においては、従来のプロセスオイルが配合された熱可塑性エラストマーを材料としたガスケットと比較して、それを用いた電子機器製品の腐食を大幅に低減できる。また、前記合成油が配合されることにより、本発明のシール材(例えば、ガスケット)は、柔らかく、且つ、使用時のガスの発生が低く抑えられている。そして、本発明のシール材(例えば、ガスケット)においては、前記合成油に低粘度のものを用いても使用時にガスが大量に発生する恐れがない。このため、例えば、前記合成油に低粘度のものを用いれば、本発明の熱可塑性エラストマーの粘度を低下させることができ、この結果、極めて細いシール材(例えば、ガスケット)を精度良く射出成形することが可能となる。また、前記合成油に低粘度のものを用いる場合には、比較的少ない量の前記合成油の添加で、適当な粘度の熱可塑性エラストマー及び適当な硬度のシール材(例えば、ガスケット)を得ることができる。
次に、本発明の熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに本発明のシール材及びその製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明の熱可塑性エラストマー及びその製造方法について説明する。
前述のとおり、本発明の熱可塑性エラストマーは、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含む熱可塑性エラストマーであって、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含むことを特徴とする。なお、本発明において、前記混練反応物とは、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)及び前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)のそれぞれの単独架橋物、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との架橋反応物、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の分解物など複雑な成分を含む。また、本発明において、前記混練反応とは、混練中に反応すること及び混練後に反応することの双方を含む。
また、本発明の熱可塑性エラストマーの製造においては、前述のとおり、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練することで得られる混練反応物に、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合する。
本発明において、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)とは、2種類以上のα−オレフィンの共重合体又は1種類以上のα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体であって、且つ、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンの含有量が50モル%以上の無定型ランダムな弾性共重合体又は結晶化度が50%以下の弾性共重合体である。
ここで、前記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。
また、前記非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)の具体的な例としては、例えば、
(a)エチレン・α−オレフィン(エチレンを除く)共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(エチレンを除く)(モル比)=90/10〜50/50]
(b)エチレン・α−オレフィン(エチレンを除く)・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(エチレンを除く)(モル比)=90/10〜50/50]
(c)プロピレン・α−オレフィン(プロピレンを除く)共重合体ゴム
[プロピレン/α−オレフィン(プロピレンを除く)(モル比)=90/10〜50/50]
(d)ブテン・α−オレフィン(ブテンを除く)共重合体ゴム
[ブテン/α−オレフィン(ブテンを除く)(モル比)=90/10〜50/50]
などが挙げられる。ただし、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)は、これらの例に限定されない。
本発明においては、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)として、例えば、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、三井化学社製の商品名三井EPT、住友化学社製の商品名エスプレン、ダウケミカル日本社製の商品名エンゲージなどが挙げられる。
前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)のムーニー粘度(ML(1+4)、100℃)は、特に制限するものではないが、例えば、10〜250の範囲内であり、好ましくは、40〜150の範囲内である。また、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)に前記(b)のエチレン・α−オレフィン(エチレンを除く)・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合には、そのヨウ素価が25以下であることが好ましい。
前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とは、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は2種類以上の前記α−オレフィンの共重合体である。
前記α−オレフィンとしては、例えば、前述の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)におけるα−オレフィンと同様のものを用いることができる。
前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)の具体例としては、例えば、
(イ)プロピレン単独重合体
(ロ)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(ハ)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(二)1−ブテン単独重合体
(ホ)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(ヘ)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(ト)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下のα−オレフィンとのランダム共重合体
などが挙げられる。ただし、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)は、これらの例に限定されない。
本発明においては、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)として、例えば、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、住友化学社製の商品名住友ノーブレン、プライムポリマー社製の商品名プライムポリプロ(登録商標)などが挙げられる。
前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との配合比は、両者合計100質量部に対して、好ましくは、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が30質量部以上100質量部未満、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が0を超えて70質量部未満であり、より好ましくは、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が60質量部以上100質量部未満、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が0を超えて40質量部未満であり、さらに好ましくは、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)が65〜95質量部の範囲内、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)が5〜35質量部の範囲内である。
次に、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練する。ここで、前記混練とは、開放型のミキシングロールあるいは非開放型の加圧ニーダー、バンバリーミキサー、2軸押出機などの公知の混練機を用いて、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練分散させることをいう。
前記混練時の諸条件は、特に制限するものではないが、例えば、圧力が、0.2〜0.5Paの範囲内、温度が、150〜230℃の範囲内、混練時間が、8〜20分の範囲内である。
なお、前記混練に先立って、V型ブラベンダー、タンブラーミキサー、リボンブラベンダー、ヘンシェルミキサーなどの公知の混合機を用いて、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との粗混合を行ってもよい。ただし、前記粗混合を行うか否かは任意であり、前記粗混合は行わなくともよい。
次に、前記混練で得られた混練反応物に、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合する。
本発明において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)とは、各種のα−オレフィンの単独重合体又は2種類以上の前記α−オレフィンの共重合体である。
前記α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。
前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の具体例としては、例えば、1−デセン、1−オクテン、1−へキセンなどの単独重合体、エチレン・α−オレフィン(エチレンを除く)共重合体、2種以上のα−オレフィン共重合体などが挙げられる。ここで、前記単独重合体及び共重合体は、公知の方法で自作してもよいし、市販品を用いてもよい。
前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)には、減圧下加熱するなどして低沸点物の除去処理を施す。前記低沸点物の除去処理の条件としては、特に制限するものではないが、例えば、減圧度が、1Torr(133Pa)以下、温度が、120〜200℃の範囲内である。
前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)には、さらに、水素添加して実質的に飽和にする処理を施してもよい。ただし、前記水素添加処理を行うか否かは任意であり、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)に前記水素添加処理を施さなくともよい。
前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度は、特に制限するものではないが、例えば、10〜350mm/秒の範囲内である。この範囲内とすれば、前記混練物との相溶性がよいので、得られる熱可塑性エラストマーの粘度を大幅に低下でき、その後に射出成形を行う場合において、成形性を大幅に向上できる。また、前記動粘度は、好ましくは、40〜100mm/秒の範囲内である。この範囲内とすれば、より少ない添加量で低粘度の熱可塑性エラストマーを得ることができ、この熱可塑性エラストマーを射出成形すれば低硬度のシール材を得ることができる。なお、前記動粘度は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本発明に係る熱可塑性エラストマーにおいて、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.1以下であることが好ましい。そのようにすれば、本発明に係る熱可塑性エラストマーをシール材としたとき、その使用時の発ガス量を低く抑えることができる。なお、前記分子量分布は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
なお、本発明においては、前記混練物に、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合するのに代えて、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を、前記混練の前に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)又は、前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)に予め配合しておいてもよいし、混練反応時に配合してもよい。
前記混練反応は、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)及び前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)を高温で反応させることで行う。この際、前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)及び前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)を効率よく反応させるために架橋剤を添加することが好ましい。前記架橋剤としては、例えば、通常ゴムの加硫に用いられる架橋剤を用いることができる。具体的には、過酸化物を用いる方法、硫黄加硫、シラン架橋等の公知の方法で、前記混練反応を行うことができる。さらに、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系などの硬化剤を用いることでも、前記混練反応を行うことができる。なお、前記混練反応において、前記架橋剤を用いるかどうかは任意であり、前記架橋剤を用いなくともよい。また、前記混練反応は、電子線照射によっても行うことができる。これらの中でも、過酸化物を用いる方法と、電子線照射が制御しやすいので望ましい方法である。
前記混練反応は、前記混練工程中に前記過酸化物などの架橋剤を配合することで行ってもよいし、前記混練時には架橋反応を進行させず、前記混練後に混練物を改めてオーブンや熱プレス装置などで加熱することで、静的に行ってもよい。
本発明においては、前記混練反応に際し、架橋助剤として、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アクリルメタクリレート、ビニルブチラート、ビニルステアレートなどを配合してもよい。
このようにすることで、本発明の熱可塑性エラストマーを得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマーには、ゴム弾性改質剤(D)として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、これらの各種水添系ゴム、イソブチレンゴムなどを添加してもよい。前記ゴム弾性改質剤(D)は、前述の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との合計100質量部に対して、100質量部以下の量で添加することが好ましい。また、前記ゴム弾性改質剤(D)は、前述の有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練時に添加することが好ましい。
本発明においては、前記ゴム弾性改質剤(D)として、例えば、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の商品名タフテック、タフプレン(登録商標)、クラレ社製の商品名セプトンなどが挙げられる。
それ以外にも、本発明の熱可塑性エラストマーには、各種耐候安定剤、耐熱安定剤、可塑剤、難燃剤、増粘剤、滑剤、着色剤、導電性付与剤などの熱可塑性エラストマーに通常用いられる添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。例えば、本発明の熱可塑性エラストマーに、導電性付与剤、着色剤として、カーボンブラックを添加することができる。前記添加剤は、前記混練工程時に配合してもよいし、前記混練後の混練物に配合してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマーは、公知のペレタイザーでペレット形状にして用いることが好ましい。
次に、本発明のシール材及びその製造方法について説明する。
前述のとおり、本発明のシール材は、有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含むシール材であって、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含むことを特徴とする。
本発明のシール材は、前述の本発明の熱可塑性エラストマーを射出成形することで得ることができる。
前記射出成形は、例えば、公知の射出成形機を用いて行うことができる。前記射出成形時のシリンダー温度は、特に制限するものではないが、例えば、180〜250℃の範囲内であり、好ましくは、190〜230℃の範囲内である。
本発明のシール材の製造においては、前述の本発明の熱可塑性エラストマーの製造における混練工程で、熱分解型発泡剤をその分解温度以下で混練しておくことで、未発泡の発泡性マスターバッチとして調整しておき、これを射出成形時に発泡成形してもよい。前記熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカーボンアミドやクエン酸系化合物、炭酸水素ナトリウムなどを用いることができる。
また、前記射出成形時に発泡させる場合には、前述の熱分解型発泡剤による発泡に代えて、揮発性溶剤や水などによって前述の本発明の熱可塑性エラストマーを発泡させることもできる。また、ガスそのものを前述の本発明の熱可塑性エラストマーに分散あるいは含浸させることで発泡させることもでき、この場合、前記ガスとしては、二酸化炭素ガスや窒素ガスなどが挙げられる。具体的には、前記発泡は、射出成形時に、射出成形機から前述の本発明の熱可塑性エラストマーを取り出す前に、二酸化炭素ガスや窒素ガス、揮発性溶剤や水などの蒸気を注入して混練し、分散させることで行うことができ、前記注入、混練の条件としては、超臨界状態及び非超臨界状態のいずれの状態であってもよい。
次に、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例及び比較例に制限されない。なお、実施例及び比較例における各特性の測定方法は、下記に示すとおりである。
(α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の動粘度)
α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の動粘度は、JIS K 2283に準じて測定した。
(α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の分子量分布(Mw/Mn))
GPC法により、既知の分子量のポリスチレンで作成された検量線を用い、それとの比較で測定した。測定は、カラムとして東ソー社製、商品名G1000HXLを、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度40℃、流速1mL/分の条件で行った。
(熱可塑性エラストマーの粘度)
フローテスター(島津製作所社製、商品名FT500)を用いて、20kgの一定荷重、5℃/分の加熱速度でシリンダー内に詰めた熱可塑性エラストマーをノズルから流した時の、200℃における粘度を測定した。
(A硬度)
厚さ2mmの試験サンプルのA硬度をJIS K 7312に準じてショアA硬度計にて測定した。
(発ガス量)
3.5インチ形状のHDDガスケットを120℃で2時間ベーキング処理した後、Gerstel社製、TDSA/CIS4加熱装置にて120℃で10分間加熱処理し、前記加熱処理の際に発生したガス量(発ガス量)をAgilent社製、HP6890ガスクロマトグラフにより定量した。
(銅板腐食性)
バイアス瓶に3.5インチ形状のHDDガスケットを入れ、前記バイアス瓶の口に銅板を固定し、その状態で100℃で24時間加熱し、腐食の有無を観察した。
(圧縮永久歪み)
厚さ2mmの試験サンプルを、JIS K 7312により25%に圧縮し、70℃に22時間放置した後の値であり、この値が小さいほど復元性に優れることを示す(0%が完全復元)。
有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)(エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム;エチレン含有量38モル%、ヨウ素価12)75質量部、有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)(ポリプロピレン;メルトフローレート(MFR)5g/10分・200℃)25質量部、架橋剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシン−3、過酸化物)1.0質量部、架橋助剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート)0.8質量部を、3L加圧ニーダー(モリヤマ社製)にて180℃で8分間混練し、前記混練と同時に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練反応させ、熱可塑性エラストマーを得た。得られた熱可塑性エラストマーに40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部を混練しながら添加し、ペレタイザーを通してペレットを作製した。次に、射出成形機(日本製鋼所製55トン機、シリンダー温度200℃)を用いて、前記ペレットから厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを射出成形した。
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が63mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が63mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)20質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素
添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が46m
/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単
独重合体)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サ
ンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
比較例5)
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が31mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)(エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム;エチレン含有量38モル%、ヨウ素価12)63質量部、有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)(ポリプロピレン;MFR5g/10分・200℃)37質量部、ゴム弾性改質剤(D)(水添スチレン・イソプレン・スチレン樹脂;スチレン含量30%、MFR0.1以下/10分・200℃)25質量部、架橋剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ジブチルパーオキシ)ヘキシン−3、過酸化物)1.0質量部、架橋助剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート)0.8質量部、40℃での動粘度が63mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)35質量部を、3L加圧ニーダー(モリヤマ社製)にて200℃で10分間混練し、前記混練と同時に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練反応させ、熱可塑性エラストマーを得た。得られた熱可塑性エラストマーを、ペレタイザーに通してペレットを作製した。次に、射出成形機(日本製鋼所製55トン機、シリンダー温度200℃)を用いて、前記ペレットから厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを射出成形した。
40℃での動粘度が63mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)の配合量を70質量部としたこと以外は、実施例6と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
(比較例1)
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
(比較例2)
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が145mm/秒のプロセスオイル(出光興産社製、商品名ダイアナプロセスオイルPW150)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
(比較例3)
40℃での動粘度が100mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)10質量部に代えて、40℃での動粘度が408mm/秒のプロセスオイル(出光興産社製、商品名ダイアナプロセスオイルPW380)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
(比較例4)
40℃での動粘度が63mm/秒のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)(水素添加処理された1−デセン単独重合体)を配合しなかったこと以外は、実施例6と同様にして、厚さ2mmの試験サンプルと3.5インチ形状のHDDガスケットを得た。
実施例1〜4、比較例1及び比較例5の諸条件と物性とをまとめたものを図1に示す。
図1に示すとおり、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合した実施例1〜5においては、熱可塑性エラストマーの粘度が低く、射出成形性が極めて良好であった。また、厚さ2mmの試験サンプルのA硬度及び圧縮永久歪みも低い値であった。さらに、40℃での動粘度が40mm/秒以上のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合した実施例1〜4では、3.5インチ形状のHDDガスケットの発ガス量が30〜40μg/gと極めて低い値となった。これに対し、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合しなかった比較例1では、熱可塑性エラストマーの粘度が高すぎて射出成形性が悪く、3.5インチ形状のHDDガスケットの金型のウェルド部分が融着していなかった。また、厚さ2mmの試験サンプルのA硬度及び圧縮永久歪みも高い値であった。
比較例2及び3の諸条件と物性とをまとめたものを図2に示す。
図2に示すとおり、プロセスオイルを配合した比較例2及び3においては、プロセスオイルが高粘度であるために、試験サンプルのA硬度が実施例1〜5と比べて高くなった。また、3.5インチ形状のHDDガスケットの発ガス量も、配合したプロセスオイルが高粘度であるにもかかわらず高い値となった。これは、プロセスオイルの分子量分布が広く、低分子量成分を多く含んでいるためと考えられる。また、銅板腐食性が悪かったのは、プロセスオイル中に硫黄分が多量に存在しているためと考えられる。
実施例6、7及び比較例4の諸条件と物性とをまとめたものを図3に示す。
図3に示すとおり、ゴム弾性改質剤(D)を配合し、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の配合量を増やした実施例6、7において、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の配合量が増えるにしたがって厚さ2mmの試験サンプルの圧縮永久歪みが小さくなり復元性が良くなった。これは、ゴム弾性改質剤(D)がα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を大量に吸収でき、しかも架橋にも関与するためゴム弾性が高まったことによると考えられる。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)は、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の分子量分布が、1.1以下であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材の製造方法において、前記混練物に、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合するのに代えて、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を、前記混練の前に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とに予め配合しておいてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材の製造方法において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)は、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材の製造方法において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の分子量分布が、1.1以下であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー及びシール材の製造方法において、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上であることが好ましい。
本発明によれば、硫黄化合物や窒素化合物を含まない熱可塑性エラストマーを得ることができる。また、この熱可塑性エラストマーを射出成形することにより、柔らかく、且つ、使用時のガスの発生量が低く抑えられたシール材を得ることができる。本発明により得られたシール材は、例えば、HDDガスケットに好適に用いることができるが、その用途は制限されず、種々の電子機器製品や、クリーン度を求められる燃料電池用の各種シール材、自動車用のVOC(揮発性有機化合物)対策を目的とした各種シール材などに用いることができる。
実施例1〜5及び比較例1の諸条件と物性とをまとめた表である。 比較例2及び3の諸条件と物性とをまとめた表である。 実施例6、7及び比較例4の諸条件と物性とをまとめた表である。

Claims (10)

  1. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含む熱可塑性エラストマーであって、硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含み、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下である熱可塑性エラストマー。
  2. 前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)が、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー。
  3. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)との混練反応物を含むシール材であって、硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を含み、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)の40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下であるシール材。
  4. 前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)が、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つである請求項3に記載のシール材。
  5. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練することで得られる混練反応物に、40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下である硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合する熱可塑性エラストマーの製造方法。
  6. 前記混練反応物に、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合するのに代えて、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を、前記混練の前に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とに予め配合しておく請求項5に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  7. 前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)が、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つである請求項5又は6に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  8. 有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とを混練することで得られる混練反応物に、40℃での動粘度が、40mm/秒以上100mm/秒以下であり、且つ、分子量分布が、1.1以下である硫黄分濃度が1ppm以下のα−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合し、この混練反応物を射出成形するシール材の製造方法。
  9. 前記混練反応物に、α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を配合するのに代えて、前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)を、前記混練の前に前記有機過酸化物架橋型オレフィン系共重合体ゴム(A)と前記有機過酸化物分解型結晶性オレフィン樹脂(B)とに予め配合しておく請求項に記載のシール材の製造方法。
  10. 前記α−オレフィンのオリゴマー合成油(C)が、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも2種の共重合体、1−ブテンの単独重合体、1−へキセンの単独重合体、1−オクテンの単独重合体、1−デセンの単独重合体及び1−ドデセンの単独重合体からなる群から選択される少なくとも一つである請求項8又は9に記載のシール材の製造方法。
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