JPH11336526A - 消音器 - Google Patents

消音器

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JPH11336526A
JPH11336526A JP10143932A JP14393298A JPH11336526A JP H11336526 A JPH11336526 A JP H11336526A JP 10143932 A JP10143932 A JP 10143932A JP 14393298 A JP14393298 A JP 14393298A JP H11336526 A JPH11336526 A JP H11336526A
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政行 横井
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雅善 丹下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の排気騒音としては耳障りな高周波成分
の排気騒音を低減し、排気騒音の不快感を緩和する。 【解決手段】 インナプレートとアウタプレートの少な
くとも一方に、点状の凸部15と点状の凹部16を複数
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消音器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関の消音器として、図8に
示すように、シェル101とアウタプレート102,1
03により形成された本体を、インナプレート104,
105により拡張室106,107や共鳴室108に区
画し、更に排気ガスを導入するインレットパイプ109
と排気ガスを大気中に放出するアウトレットパイプ11
0、及び各室を連通するインナパイプ111を設けて構
成した消音器が一般に採用されている。
【0003】そして、上記アウタプレート102,10
3及びインナプレート104,105として従来図8及
び図9に示すように、プレス加工により成形した平板に
各パイプを挿通する連通穴112と、該連通穴112を
除いた平面部113に線状のリブ(ビード)114を設
けて、アウタプレート102,103及びインナプレー
ト104,105の面振動を抑制し、該面振動により生
じる異音と破損を防止するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアウタプレ
ート102,103及びインナプレート104,105
においては、リブ114以外の平面部113が広い範囲
に形成されているため、これらのプレートが平行に対向
配置された状態では、排気騒音の高周波成分が広い平面
部113で反射し、対向するプレート間を何度も往復す
る。したがって、ある特定周波数の排気騒音に対して鋭
い共鳴が生じるとともに残響時間が長くなり、更に鳴き
龍現象が生じるといった現象を起こし、消音器内で二次
的な騒音を発生する原因となっていた。
【0005】また、上記のようにリブ114を線状に設
けたものにおいては、そのリブ114の線方向に垂直な
方向で排気騒音の乱反射は起こるものの線方向には乱反
射が起こらない。したがって、反射した排気騒音の高周
波成分が十分に干渉せず、二次的な騒音を抑制するには
不十分であった。
【0006】そこで本発明は、アウタプレートやインナ
プレートの制振効果を高めるとともに、限られたプレー
ト面積を有効に利用して乱反射要素を多く形成して排気
騒音を上記従来のプレートよりも低減できる消音器を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載の第1の発明は、内部をインナプレ
ートにより複数の室に区画した消音器において、該イン
ナプレートとアウタプレートの少なくとも一方に、点状
の凸部または点状の凹部を複数設けたことを特徴とする
ものである。
【0008】本発明においては、点状の凸部または点状
の凹部に当たった排気騒音の高周波成分は、空間の全方
向に乱反射し干渉するため、二次的な騒音を抑制し、従
来のものに比べて排気騒音が低減される。
【0009】請求項2記載の第2の発明は、上記第1の
発明において、前記凸部または凹部をプレートの略全面
に設けたことを特徴とするものである。本発明において
は、プレートの略全面において上記の乱反射が行われ、
一層排気騒音が低減される。
【0010】請求項3記載の第3の発明は、内部をイン
ナプレートにより複数の室に区画した消音器において、
該インナプレートとアウタプレートの少なくとも一方
に、点状の凸部と点状の凹部を複数設けたことを特徴と
するものである。
【0011】本発明においては、凸部と凹部によって排
気騒音が更に不規則に乱反射する。請求項4記載の第4
の発明は、上記第3の発明において、前記凸部と前記凹
部を交互に配置したことを特徴とするものである。
【0012】本発明においては、凸部と凹部を交互に近
接して配置することにより、凸部の高さを、凹部の底面
からの高さとして高くすることができる。このように凸
部を高くすることにより広域な高周波域の排気騒音を低
減することができる。
【0013】請求項5記載の第5の発明は、上記第4の
発明において、前記凸部と凹部を結合したことを特徴と
するものである。本発明においては、凸部と凹部が曲面
で連なり、剛性の小さい平面の一般面をなくすことがで
きるため、そのプレートの面剛性が高くなり、プレート
の振動による異音や破損も防止できる。
【0014】請求項6記載の第6の発明は、上記第3又
は第4又は第5の発明において、前記凸部と凹部をプレ
ートの略全面に設けたことを特徴とするものである。本
発明においては、プレートの略全面において上記の乱反
射が行われ、上記の排気騒音効果が一層高まる。
【0015】請求項7記載の第7の発明は、上記第1〜
6のいずれかの発明において、対向するアウタプレート
とインナプレートまたは対向するインナプレート同士に
前記凸部または凹部を設けるか、または凸部と凹部を設
けたことを特徴とするものである。
【0016】このように凸部または凹部或いはこれら両
者を設けたプレートを対向配置することにより、上記の
排気騒音の低減効果が一層高まる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1乃至図7に示す実施例に基づ
いて本発明の実施の形態について説明する。図1はアウ
タプレート及びインナプレートに本発明を適用した消音
器の実施例を示す。
【0018】図1において、シェル1とアウタプレート
2,3により形成された本体内は複数の、図の実施例で
は2枚のインナプレート4,5により複数の、図の実施
例では3個の室6,7,8に区画されている。そして、
インレットパイプ9、アウトレットパイプ10、インナ
パイプ11が図1に示すように上記のプレートを貫通し
て配置されている。上記各部材は金属板で形成されてい
る。
【0019】上記アウタプレート2,3及びインナプレ
ート4,5には本発明の乱反射要素である凸部と凹部が
形成されているが、この乱反射要素について、インナプ
レート4を例として図2により詳述する。
【0020】図2(a)はインナプレート4の前面図
で、これにインレットパイプ9の連通穴12と、アウト
レットパイプ10の連通穴13とインナパイプ11の連
通穴14が貫通形成されている。
【0021】上記各連通穴12〜14を除く略全面に、
そのインナプレート4の一方の面(前面)に対して半球
面状の凸部15と半球面状の凹部16がプレス加工によ
り点在的に形成されている。なお、図2(a)において
凸部15を白丸で表示し、凹部16を黒丸で表示してい
る。更に、本実施例においては、凸部15同士、凹部1
6同士及び凸部15と凹部16を全て等間隔に形成して
これらの間に平面部17を形成し、かつ凹部16の周囲
を凸部15で囲むようにして配置されている。
【0022】インナプレート4の周囲にはシェル1への
嵌合用のフランジ18が折曲形成され、連通穴12〜1
4の周囲にはバーリング部19が折曲形成されている。
上記実施例は凸部15と凹部16の双方を形成した例で
あるが、プレートの一方の面(前面)に対して半球面状
の凸部15のみを複数設けてもよく、また、半球面状の
凹部16のみを複数設けてもよい。
【0023】以上のように、点状の凸部15または点状
の凹部16を形成することにより、この凸部15または
凹部16に当たった排気騒音の高周波成分は、空間の全
方向に乱反射して干渉するため、二次的な騒音を抑制
し、上記従来のものに比べ、排気騒音(消音器からの吐
出音と放射音)が低減される。特に車両の排気騒音とし
ては耳障りな高周波成分の排気騒音が主に低減されるた
め、排気騒音の不快感が緩和される。
【0024】更に、上記のように凸部15または凹部1
6を点状に形成することにより、これらを高密度に配置
することができ、高密度に配置することにより、高周波
成分の乱反射及び干渉を十分に起こして排気騒音を一層
低減できる。
【0025】更に、凸部15または凹部16或いは凸部
15と凹部16を近接して設けることにより、剛性の小
さな平面の一般面を少なくし、プレート2〜5の面剛性
を高め、プレート2〜5の振動による異音や破損を防止
できる。
【0026】更に、上記のように凸部15と凹部16の
双方を設けることにより、排気騒音が更に不規則に乱反
射するため、一層排気騒音が低減される。また、上記の
凸部15を高くすることにより広域な高周波域の排気騒
音を低減することが可能であるが、凸部15単独では加
工限界により高さが制限される。しかし、上記のように
凸部15と凹部16を近接して交互に配置することによ
り、凸部15の高さを高くしたことと同様な効果が得ら
れるとともに加工を容易化できる。
【0027】なお、上記プレートの全面に対する凸部1
5の比率、または凹部16の比率、更には凸部15と凹
部16との比率は、消音器の構成や各室の残響時間等に
より任意に設定する。更に、凸部15または凹部16の
配列はランダムでもよい。
【0028】図3は上記の凸部15と凹部16を交互に
配置した実施例を示す。この例においても、凸部15を
白丸で表示し、凹部16を黒丸で表示している。本実施
例は1個の凸部15の周囲を4個の凹部16が囲み、1
個の凹部16の周囲を4個の凸部15が囲むように配置
されている。更に、隣接する凸部15と凹部16間、凸
部15と凸部15間及び凹部16と凹部16間は夫々滑
らかな曲面で結合されている。更に、パイプを挿通する
バーリング19が凸部15または凹部16上に設けられ
ている。更に、上記凸部15と凹部16はプレートの全
面に設けても良いが、図3の実施例においては、消音器
の組立工程で、シェル1にプレート4を挿入する際に、
該プレート4の外周部に治具を押し当てるための平面部
20が、プレート4の外周部に設けられている。
【0029】本実施例においても、上記図2に示す実施
例と同様に凸部15と凹部16によって高周波成分が乱
反射し、高周波成分の排気騒音が低減される。更に、上
記のように凸部15と凹部16を結合することにより、
凸部15と凹部16が滑らかな曲線で連なる。したがっ
て、剛性の小さな平面の一般面をなくすことができるた
め、上記図2の実施例よりもプレート2〜5の面剛性が
更に高くなり、プレート2〜5の振動による異音や破損
も一層防止できる。
【0030】更に、上記のように、バーリング部19が
凸部15または凹部16上に設けられていることによ
り、パイプの振動(プレート2〜5に対するパイプの傾
動方向の振動)を抑制する効果もある。
【0031】なお、上記図2に示す実施例では、凸部1
5と凹部16をプレートの略全面に設けたが、この図2
に示す実施例においても、その凸部15と凹部16を、
図3に示すようにプレートの周囲に平面部を設けて配置
してもよい。また、図3に示す凸部15と凹部16も図
2に示すようにプレートの略全面に設けてもよい。
【0032】このように、凸部15と凹部16をプレー
トの略全面に設けると、上記各効果が一層大きくなる。
また、上記各実施例における凸部15と凹部16は半球
面状に形成したが、該凸部15及び凹部16は円錐状、
角錘状に形成してもよい。
【0033】更に、上記各実施例における凸部15の大
きさと凹部16の大きさを相違させてもよい。更に、排
気ガス流を整流し消音を図るため多数の小孔を形成した
インナプレートに対して本発明を適用してもよい。
【0034】図4は、従来の単なる平面状のインナプレ
ートを設けた消音器と、上記図3に示す凸部15と凹部
16を形成したインナプレート4,5を設けた本発明の
消音器を使用して、エンジン回転数が3000rpmに
おける排気音について、1/3オクターブ分析器により
各周波数の音圧レベルを測定した結果を示す。
【0035】この測定の結果、従来の消音器においては
Aの特性を示したのに対し、本発明の消音器においては
Bの特性を示した。この測定結果から明らかなように、
本発明の消音器においては、高周波成分の排気騒音が低
減された。
【0036】上記図1の実施例は、上記の凸部15と凹
部16を設けた両アウタプレート2,3と凸部15と凹
部16を設けた両インナプレート4,5を対向的に配置
して消音器を構成した例であるが、図5に示すように、
1枚のインナプレート5に上記の凸部15と凹部16を
設けてもよく、また、図6に示すように、対向するイン
ナプレート4,5に上記の凸部15と凹部16を設けて
もよく、更に、図7に示すように対向するアウタプレー
ト2(又は3)とインナプレート4(又は5)に上記の
凸部15と凹部16を設けてもよい。更に、上記プレー
トのうち、いずれのプレートに上記凸部15と凹部16
を設けるかは任意である。
【0037】上記図5に示すように1枚のプレートに凸
部15と凹部16を設けても、従来のものに比べて上記
の効果を発揮するが、上記のように対向するプレートに
凸部15と凹部16を設けることにより、上記の効果が
一層大きくなる。
【0038】
【発明の効果】以上のようであるから、請求項1記載の
発明によれば、特に、車両の排気騒音としては耳障りな
高周波成分の排気騒音が従来のものに比べて低減され、
排気騒音による不快感を緩和できる。
【0039】請求項2記載の発明によれば、凸部または
凹部をプレートの略全面に設けたことにより、上記の排
気騒音を一層低減できる。請求項3記載の発明によれ
ば、凸部と凹部によって排気騒音が更に不規則に乱反射
するため、一層排気騒音を低減できる。
【0040】請求項4記載の発明によれば、更に、高い
凸部によって広域な高周波域の排気騒音を低減すること
ができる。請求項5記載の発明によれば、更に、プレー
トの面剛性を高め、プレートの振動による異音や破損も
防止できる。
【0041】請求項6記載の第6の発明によれば、上記
請求項3,4,5の効果を一層高めることができる。そ
して請求項7記載の第7の発明によれば、上記の排気騒
音の低減効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全てのプレートに本発明の凸部と凹部を設けた
消音器の実施例を示す線断面図。
【図2】(a)は本発明の凸部と凹部の配置状態の第1
実施例を示すインナプレートの前面図、(b)は(a)
におけるC−C線断面図、(c)は(a)におけるD−
D線断面図。
【図3】(a)は本発明の凸部と凹部の配置状態の第2
実施例を示すインナプレートの前面図、(b)は(a)
におけるE−E線断面図、(c)は(a)におけるF−
F線断面図。
【図4】本発明のプレートを使用した消音器の消音特性
と従来の消音器の消音特性を示す図。
【図5】本発明の凸部と凹部を1個のインナプレートに
設けた実施例の消音器の線断面図。
【図6】本発明の凸部と凹部を対向する2個のインナプ
レートに設けた実施例の消音器の線断面図。
【図7】本発明の凸部と凹部を対向するアウタプレート
とインナプレートに設けた実施例の消音器の線断面図。
【図8】従来の消音器を示す断面図。
【図9】(a)は図8の消音器におけるインナプレート
の正面図、(b)は(a)におけるG−G線断面図。
【符号の説明】
2,3…アウタプレート 4,5…インナプレー
ト 15…凸部 16…凹部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 消音器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は消音器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関の消音器として、図7に
示すように、シェル101とアウタプレート102,1
03により形成された本体を、インナプレート104,
105により拡張室106,107や共鳴室108に区
画し、更に排気ガスを導入するインレットパイプ109
と排気ガスを大気中に放出するアウトレットパイプ11
0、及び各室を連通するインナパイプ111を設けて構
成した消音器が一般に採用されている。
【0003】そして、上記アウタプレート102,10
3及びインナプレート104,105として従来図7及
び図8に示すように、プレス加工により成形した平板に
各パイプを挿通する連通穴112と、該連通穴112を
除いた平面部113に線状のリブ(ビード)114を設
けて、アウタプレート102,103及びインナプレー
ト104,105の面振動を抑制し、該面振動により生
じる異音と破損を防止するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアウタプレ
ート102,103及びインナプレート104,105
においては、リブ114以外の平面部113が広い範囲
に形成されているため、これらのプレートが平行に対向
配置された状態では、排気騒音の高周波成分が広い平面
部113で反射し、対向するプレート間を何度も往復す
る。したがって、ある特定周波数の排気騒音に対して鋭
い共鳴が生じるとともに残響時間が長くなり、更に鳴き
龍現象が生じるといった現象を起こし、消音器内で二次
的な騒音を発生する原因となっていた。
【0005】また、上記のようにリブ114を線状に設
けたものにおいては、そのリブ114の線方向に垂直な
方向で排気騒音の乱反射は起こるものの線方向には乱反
射が起こらない。したがって、反射した排気騒音の高周
波成分が十分に干渉せず、二次的な騒音を抑制するには
不十分であった。
【0006】そこで本発明は、アウタプレートやインナ
プレートの制振効果を高めるとともに、限られたプレー
ト面積を有効に利用して乱反射要素を多く形成して排気
騒音を上記従来のプレートよりも低減できる消音器を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載の第1の発明は、内部をインナプレ
ートにより複数の室に区画し、該インナプレートとアウ
タプレートの少なくとも一方に、点状の凸部と点状の凹
部を複数設け、前記凸部と前記凹部を相互に取り囲むよ
うに交互に配置するとともに、前記凸部と前記凹部とを
曲面で結合したことを特徴とするものである。
【0008】本発明においては、点状の凸部と点状の凹
部に当たった排気騒音の高周波成分は、空間の全方向に
乱反射し干渉するため、二次的な騒音を抑制し、従来の
ものに比べて排気騒音が低減される。更に、プレートの
面剛性を高め、プレートの振動による異音や破損も防止
できる。
【0009】請求項2記載の第2の発明は、上記第1の
発明において、前記凸部と凹部をプレートの略全面に設
けたことを特徴とするものである。本発明においては、
プレートの略全面において上記の乱反射が行われ、一層
排気騒音が低減される。
【0010】請求項3記載の第3の発明は、前記第1ま
たは第2の発明において、凸部または凹部上に、パイプ
を挿通するバーリング部を設けたことを特徴とするもの
である。
【0011】本発明においては、パイプの振動が抑制さ
れる。請求項4記載の第4の発明は、上記第1〜3のい
ずれかの発明において、対向するアウタプレートとイン
ナプレートまたは対向するインナプレート同士に凸部と
凹部を設けたことを特徴とするものである。
【0012】このように凸部と凹部を設けたプレートを
対向配置することにより、上記の排気騒音の低減効果が
一層高まる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1乃至図6に示す実施例に基づ
いて本発明の実施の形態について説明する。図1はアウ
タプレート及びインナプレートに本発明を適用した消音
器の実施例を示す。
【0014】図1において、シェル1とアウタプレート
2,3により形成された本体内は複数の、図の実施例で
は2枚のインナプレート4,5により複数の、図の実施
例では3個の室6,7,8に区画されている。そして、
インレットパイプ9、アウトレットパイプ10、インナ
パイプ11が図1に示すように上記のプレートを貫通し
て配置されている。上記各部材は金属板で形成されてい
る。
【0015】上記アウタプレート2,3及びインナプレ
ート4,5には本発明の乱反射要素である凸部と凹部が
形成されているが、この乱反射要素について、インナプ
レート4を例として図2により詳述する。
【0016】図2(a)はインナプレート4の前面図
で、これにインレットパイプ9の連通穴12と、アウト
レットパイプ10の連通穴13とインナパイプ11の連
通穴14が貫通形成されている。
【0017】上記各連通穴12〜14及びプレート4の
外周部を除く全面に、そのインナプレート4の一方の面
(前面)に対して半球面状の凸部15と半球面状の凹部
16がプレス加工により点在的に形成されている。な
お、図2(a)において凸部15を白丸で表示し、凹部
16を黒丸で表示している。
【0018】これらの凸部15と凹部16は、1個の凸
部15の周囲を4個の凹部16が囲み、1個の凹部16
の周囲を4個の凸部15が囲むように配置されている。
更に、隣接する凸部15と凹部16間、凸部15と凸部
15間及び凹部16と凹部16間は夫々図2(b)
(c)に示すように滑らかな曲面で結合されている。更
に、連通穴12〜14の周囲には、パイプを挿通するバ
ーリング19が凸部15または凹部16上に位置して折
曲形成されている。更に、上記凸部15と凹部16はプ
レートの全面に設けても良いが、図2の実施例において
は、消音器の組立工程で、シェル1にプレート4を挿入
する際に、該プレート4の外周部に治具を押し当てるた
めの平面部20が、プレート4の外周部に設けられてい
る。
【0019】インナプレート4の周囲にはシェル1への
嵌合用のフランジ18が折曲形成されている。以上のよ
うに、点状の凸部15と点状の凹部16を形成すること
により、この凸部15と凹部16に当たった排気騒音の
高周波成分は、空間の全方向に不規則に乱反射して干渉
するため、二次的な騒音を抑制し、上記従来のものに比
べ、排気騒音(消音器からの吐出音と放射音)が低減さ
れる。特に車両の排気騒音としては耳障りな高周波成分
の排気騒音が主に低減されるため、排気騒音の不快感が
緩和される。
【0020】更に、上記のように凸部15と凹部16を
点状に形成することにより、これらを高密度に配置する
ことができ、高密度に配置することにより、高周波成分
の乱反射及び干渉を十分に起こして排気騒音を一層低減
できる。
【0021】更に、上記のように凸部15と凹部16を
結合することにより、凸部15と凹部16が滑らかな曲
面で連なる。したがって、剛性の小さな平面の一般面を
なくすことができるため、プレート2〜5の面剛性が高
くなり、プレート2〜5の振動による異音や破損も一層
防止できる。
【0022】更に、上記のように、バーリング部19が
凸部15または凹部16上に設けられていることによ
り、パイプの振動(プレート2〜5に対するパイプの傾
動方向の振動)を抑制する効果もある。
【0023】また、上記の凸部15を高くすることによ
り広域な高周波域の排気騒音を低減することが可能であ
るが、凸部15単独では加工限界により高さが制限され
る。しかし、上記のように凸部15と凹部16を近接し
て交互に配置することにより、凸部15の高さを高くし
たことと同様な効果が得られるとともに加工を容易化で
きる。
【0024】なお、凸部15と凹部16はプレート4の
略全面に設けてもよい。このように、凸部15と凹部1
6をプレートの略全面に設けると、上記各効果が一層大
きくなる。
【0025】また、上記実施例における凸部15と凹部
16は半球面状に形成したが、該凸部15及び凹部16
は円錐状、角錘状に形成してもよい。更に、上記実施例
における凸部15の大きさと凹部16の大きさを相違さ
せてもよい。
【0026】更に、排気ガス流を整流し消音を図るため
多数の小孔を形成したインナプレートに対して本発明を
適用してもよい。なお、上記プレートの全面に対する凸
部15の比率、または凹部16の比率、更には凸部15
と凹部16との比率は、消音器の構成や各室の残響時間
等により任意に設定する。
【0027】図3は、従来の単なる平面状のインナプレ
ートを設けた消音器と、上記図2に示す凸部15と凹部
16を形成したインナプレート4,5を設けた本発明の
消音器を使用して、エンジン回転数が3000rpmに
おける排気音について、1/3オクターブ分析器により
各周波数の音圧レベルを測定した結果を示す。
【0028】この測定の結果、従来の消音器においては
Aの特性を示したのに対し、本発明の消音器においては
Bの特性を示した。この測定結果から明らかなように、
本発明の消音器においては、高周波成分の排気騒音が低
減された。
【0029】上記図1の実施例は、上記の凸部15と凹
部16を設けた両アウタプレート2,3と凸部15と凹
部16を設けた両インナプレート4,5を対向的に配置
して消音器を構成した例であるが、図4に示すように、
1枚のインナプレート5に上記の凸部15と凹部16を
設けてもよく、また、図5に示すように、対向するイン
ナプレート4,5に上記の凸部15と凹部16を設けて
もよく、更に、図6に示すように対向するアウタプレー
ト2(又は3)とインナプレート4(又は5)に上記の
凸部15と凹部16を設けてもよい。更に、上記プレー
トのうち、いずれのプレートに上記凸部15と凹部16
を設けるかは任意である。
【0030】上記図4に示すように1枚のプレートに凸
部15と凹部16を設けても、従来のものに比べて上記
の効果を発揮するが、上記のように対向するプレートに
凸部15と凹部16を設けることにより、上記の効果が
一層大きくなる。
【0031】
【発明の効果】以上のようであるから、請求項1記載の
発明によれば、特に、車両の排気騒音としては耳障りな
高周波成分の排気騒音が従来のものに比べて低減され、
排気騒音による不快感を緩和できる。更に、凸部と凹部
によって排気騒音が更に不規則に乱反射するため、一層
排気騒音を低減できる。更に、プレートの面剛性を高
め、プレートの振動による異音や破損も防止できる。
【0032】請求項2記載の発明によれば、凸部または
凹部をプレートの略全面に設けたことにより、上記の排
気騒音を一層低減できる。請求項3記載の発明によれ
ば、更に、パイプの振動を抑制することができる。
【0033】そして請求項4記載の発明によれば、上記
の排気騒音の低減効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全てのプレートに本発明の凸部と凹部を設けた
消音器の実施例を示す線断面図。
【図2】(a)は本発明の凸部と凹部の配置状態の実施
例を示すインナプレートの前面図、(b)は(a)にお
けるE−E線断面図、(c)は(a)におけるF−F線
断面図。
【図3】本発明のプレートを使用した消音器の消音特性
と従来の消音器の消音特性を示す図。
【図4】本発明の凸部と凹部を1個のインナプレートに
設けた実施例の消音器の線断面図。
【図5】本発明の凸部と凹部を対向する2個のインナプ
レートに設けた実施例の消音器の線断面図。
【図6】本発明の凸部と凹部を対向するアウタプレート
とインナプレートに設けた実施例の消音器の線断面図。
【図7】従来の消音器を示す断面図。
【図8】(a)は図7の消音器におけるインナプレート
の正面図、(b)は(a)におけるG−G線断面図。
【符号の説明】 2,3…アウタプレート 4,5…インナプレー
ト 15…凸部 16…凹部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部をインナプレートにより複数の室に
    区画した消音器において、該インナプレートとアウタプ
    レートの少なくとも一方に、点状の凸部または点状の凹
    部を複数設けたことを特徴とする消音器。
  2. 【請求項2】 前記凸部または凹部をプレートの略全面
    に設けたことを特徴とする請求項1記載の消音器。
  3. 【請求項3】 内部をインナプレートにより複数の室に
    区画した消音器において、該インナプレートとアウタプ
    レートの少なくとも一方に、点状の凸部と点状の凹部を
    複数設けたことを特徴とする消音器。
  4. 【請求項4】 前記凸部と前記凹部を交互に配置したこ
    とを特徴とする請求項3記載の消音器。
  5. 【請求項5】 前記凸部と凹部を結合したことを特徴と
    する請求項4記載の消音器。
  6. 【請求項6】 前記凸部と凹部をプレートの略全面に設
    けたことを特徴とする請求項3又は4又は5記載の消音
    器。
  7. 【請求項7】 対向するアウタプレートとインナプレー
    トまたは対向するインナプレート同士に前記凸部または
    凹部を設けるか、または凸部と凹部を設けたことを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の消音器。
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