JPH11259076A - 吸音材構造 - Google Patents

吸音材構造

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JPH11259076A
JPH11259076A JP10065546A JP6554698A JPH11259076A JP H11259076 A JPH11259076 A JP H11259076A JP 10065546 A JP10065546 A JP 10065546A JP 6554698 A JP6554698 A JP 6554698A JP H11259076 A JPH11259076 A JP H11259076A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えばエンジン等の騒音を低減させるべく遮
音用パネルの音源側に装備される吸音材構造に関し、音
源の周波数に応じて吸音率を向上させ、騒音を確実に低
減できるようにする。 【解決手段】 遮音用パネル5の音源側に装備される多
孔質材からなる吸音材1において、吸音材1の内部に設
けられた容積室6と容積室6に連通し吸音材1の音源側
に開口する直管部7とからなるヘルムホルツ型共鳴器構
造を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばエンジン等
の騒音を低減させるべく遮音用パネルの音源側に装備さ
れる、吸音材構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば自動車のエンジン等の
周辺には、その騒音を低減させるべく吸音材を取り付け
るのが一般的である。ここで、図6は自動車のエンジン
の騒音を低減させるべく取り付ける吸音材の一般的な取
付部位を示す模式図である。
【0003】図6に示すように、自動車のエンジン(音
源)周辺には、エンジン10の騒音を低減させるべく複
数箇所に吸音材11が取り付けられている。これらの吸
音材11は、一般に、遮音用パネルとしてのカバー部
品、例えばエンジンカバー12,エンジンアンダーカバ
ー13等に取り付けられたり、車体パネルにフードイン
シュレータ14,ダッシュインシュレータ15等として
取り付けられたりしている。なお、図6中、符号16は
インストルメントパネルを示している。
【0004】このうち、エンジンカバー12を例に説明
すると、このエンジンカバー12は、図7に示すよう
に、エンジンカバー本体12Aのエンジン10側(音源
側)の表面に吸音材11を取り付けた構造になってい
る。ここで、吸音材11は、多孔質材からなり、例えば
粗毛フェルトやポリウレタンフォーム等で構成される。
この吸音材11には、図8に示すように、飛散防止,形
状保持,耐水性等の確保のため、その表側表面及び裏側
表面に表皮材17,17が貼り付けられている。なお、
表皮材17は、例えばポリエチレンテレフタラート(P
ET)不織布,アルミ箔等によって構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の吸音材11では、その吸音率は、図9に示すよう
に、周波数2KHz付近の領域で高くなっている。つま
り、従来の吸音材11では、周波数2KHz付近の領域
のエンジン騒音を低減できるようになっている。
【0006】一方、エンジン音は、図10に示すよう
に、一般に周波数2KHz以下の領域のものが多く、特
に周波数1KHz付近の領域のものが最も多い。このた
め、従来の吸音材11では、周波数2KHz以下の領域
のものが多いエンジン音によって生ずるエンジンの騒音
を十分に低減させることができないという課題がある。
【0007】エンジンの騒音を低減させる技術として
は、例えば、実公平7−8320号公報,特開平8−3
0277号公報,特開平8−207833号公報等に開
示された技術がある。しかしながら、いずれの技術もエ
ンジン音の周波数特性を考慮してエンジンの騒音を低減
させようとしたものではなく、上述の課題を解決しうる
ものではない。
【0008】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、音源の周波数に応じて吸音率を向上させ、騒
音を確実に低減できるようにした、吸音材構造を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の吸音材構造では、遮音用パネルの音源側に装
備される多孔質材からなる吸音材にヘルムホルツ型共鳴
器構造を形成する。このヘルムホルツ型共鳴器構造は、
吸音材の内部に設けられた容積室とこの容積室に連通し
吸音材の音源側に開口する直管部とから構成され、音源
側からの音を吸収する。
【0010】請求項2記載の本発明の吸音材構造では、
請求項1記載の構造において、ヘルムホルツ型共鳴器構
造を構成する吸音材の表面に、多孔質材を被覆して通気
を遮断するフィルム材を装着する。
【0011】
【発明の実施形態】以下、図面により、本発明の実施の
形態について説明する。本発明の一実施形態にかかる吸
音材構造について、図1〜図5を参照しながら説明す
る。本実施形態にかかる吸音材構造は、例えば自動車の
エンジン(音源)の騒音を低減させるべく自動車のエン
ジン周辺に配設されるエンジンカバー(遮音用パネル)
に取り付けられる吸音材に適用される(図6参照)。
【0012】本実施形態にかかる吸音材1は、図1に示
すように、表皮材2と、吸音材本体3と、フィルム材4
Aとから構成されており、この吸音材1はカバー部品と
してのエンジンカバー5に貼り付けられている。なお、
この吸音材1の厚さTは約15mm程度である。このう
ち、表皮材2は、飛散防止,形状保持,耐水性等の確保
のために吸音材1のエンジン側(音源側)の表面に貼り
付けられるものであり、例えばPET不織布,アルミ箔
等によって構成される。
【0013】吸音材本体3は、多孔質材からなり、例え
ば粗毛フェルトによって構成される。フィルム材4A
は、多孔質材からなる吸音材本体3を被覆して通気を遮
断するものであり、例えばPET不織布,ポリプロピレ
ン(PP)等によって構成される。このフィルム材4A
は、吸音材本体3の表面に装着され、吸音材1にヘルム
ホルツ型共鳴器構造8の容積室6が形成された箇所で
は、この容積室6の内壁面を被覆する。また、吸音材1
がエンジンカバー5に貼り付けられたら、吸音材本体3
とエンジンカバー5との間に介装される。
【0014】エンジンカバー5は、例えばポリアミド
(PA),ポリプロピレン等によって構成される。な
お、ここでは、吸音材1をエンジンカバー5に貼り付け
ているが接着しても良い。また、このように構成される
吸音材1には、ヘルムホルツ型共鳴器構造8が形成され
ている。
【0015】このヘルムホルツ型共鳴器構造8は、吸音
材1の内部に設けられた容積室(共鳴室)6と、容積室
6に連通し吸音材1のエンジン側に開口する直管部7と
から構成される。このうち、容積室6は、容積Vの空間
として形成され、その内部が空気層になっている。ま
た、直管部7は、直径d,長さLの穴として形成され
る。なお、吸音材1の厚さTが約15mmという条件下
では、容積Vは約15cm3 以下、直径dは約5mm以
下、長さLは約2mm以上に設定するのが好ましい。
【0016】また、この直管部7の内周面には、多孔質
材からなる吸音材本体3を被覆して通気を遮断するフィ
ルム材4Bが装着されている。このフィルム材4Bは、
上述のフィルム材4Aと同様に、例えばPET不織布,
ポリプロピレン等によって構成される。ここで、ヘルム
ホルツ型共鳴器構造8では、図2の概略図に示すよう
に、音速をc、直管部7の横断面積をS、直管部7の長
さをL、容積室6の容積をVとして、共鳴周波数fが次
式により求められる。
【0017】 共鳴周波数f=(c/2π)・(S/LV)1/2 このようなヘルムホルツ型共鳴器構造8では、吸音材1
に形成される容積室6の数や直管部7としての穴のサイ
ズを変えることで、共鳴周波数を任意に設定できるよう
になっている。これにより、吸音材1の吸音性能を示す
吸音率を任意に調整できることになる。
【0018】次に、吸音材1へのヘルムホルツ型共鳴器
構造8の形成方法について、図3を参照しながら説明す
る。まず、図3(A)に示すように、吸音材本体3に表
皮材2及びフィルム材3を積層して吸音材1を形成す
る。次いで、図3(B)に示すように、吸音材1を型9
A,9Bに挟んでプレス加工し、図3(C)に示すよう
に、吸音材1に容積室6を構成する凹部を形成する。
【0019】そして、図3(D)に示すように、凹形状
に成形された吸音材1に穴あけ加工を施して直管部7を
構成する穴を形成した後、図3(E)に示すように、穴
あけ加工によって表出した吸音材本体3の表面、即ち直
管部7としての穴の内周面に、多孔質材からなる吸音材
本体3を被覆して通気を遮断できるようにフィルム材4
Bを装着するとともに、カバー部品としてのエンジンカ
バー5を、例えば接着剤又は両面テープ等を用いて貼り
付けて、吸音材1にヘルムホルツ型共鳴器構造8を形成
する。
【0020】本実施形態にかかる吸音材構造は、上述の
ように構成されるため、以下のような作用,効果があ
る。吸音材本体3が例えば粗毛フェルトによって構成さ
れ、表皮材2が例えばPET不織布,アルミ箔等によっ
て構成されるため、従来の吸音材と同様に、この材料自
体の機能による吸音性能が発揮される。この場合、吸音
率は、図4(A)に示すように、周波数2KHz付近の
領域で高くなる。
【0021】また、吸音材1にヘルムホルツ型共鳴器構
造8が形成されているため、このヘルムホルツ型共鳴器
構造8を構成する容積室6内の空気層の共鳴による吸音
性能が発揮される。この場合、ヘルムホルツ型共鳴器構
造8の容積室6の容積V、直管部7の断面積S(即ち、
直径d)、長さLの適当な設定によって、吸音率は、図
4(B)に示すように、周波数1KHz付近の領域で高
くなるようにすることができる。
【0022】そして、これらが組み合わされると双方の
吸音性能が発揮され、その吸音率を、図4(C)に示す
ように、周波数1KHz付近の領域、及び周波数2KH
z付近の領域で高くすることができるため、エンジン騒
音のエネルギーを確実に吸収することができ、エンジン
騒音の低減効果を増すことができる。したがって、本実
施形態にかかる吸音材構造によれば、図5中、実線Bで
示す従来の吸音材の吸音率に対して、図5中、実線Aで
示すように、エンジン音の周波数のうち最も多い周波数
1KHz付近の領域における吸音率を向上させることが
でき、これにより、エンジンの騒音が確実に低減される
という利点がある。
【0023】また、ヘルムホルツ型共鳴器構造8の数や
配置状況や各ヘルムホルツ型共鳴器構造8の容積室6や
直管部7のサイズを変えることで共鳴周波数を任意に設
定でき、エンジン音の周波数に応じて吸音率を向上させ
ることができるため、エンジン音等の音源の周波数特性
が異なる場合であってもエンジン等から生ずる騒音を確
実に低減させることができるという利点がある。
【0024】なお、上述の本実施形態にかかる吸音材構
造では、自動車のエンジン騒音を低減させるための吸音
材1として説明しているが、これに限られるものではな
く、広く車両や乗物等の騒音を発生するもの全般に適用
しうるものである。また、上述の本実施形態にかかる吸
音材構造では、吸音材を遮音用パネルとしてのエンジン
カバーに取り付けられるものとして説明しているが、こ
れに限られるものではなく、エンジンアンダーカバーに
取り付けられるものにも適用しうるし、また、車体パネ
ルに取り付けられるフードインシュレータやダッシュイ
ンシュレータ等に適用することもできる。
【0025】また、上述の本実施形態にかかる吸音材構
造では、吸音材1の穴あけ加工によって表出した直管部
7としての穴の内周面には、多孔質材からなる吸音材本
体3を被覆して通気を遮断するフィルム材4Bを装着す
るようにしているが、表出した吸音材本体3の表面を通
気性のないものとすれば良い。また、本実施形態と同様
に、吸音材本体3を多孔質材により形成しながら、直管
部7の内周面の通気を遮断するフィルム材4Bを省略す
ることも考えられる。この場合、完全なヘルムホルツ型
共鳴器構造8とはならないが、ヘルムホルツ型共鳴器構
造8に近い吸音効果をより低コストで実現できる。
【0026】また、上述の本実施形態にかかる吸音材構
造では、吸音材本体3が溶融樹脂の入っている粗毛フェ
ルトにより構成されるため、吸音材1に容積室6を構成
する凹部を成形するのにプレス加工を行なうようにして
いるが、吸音材本体3をポリウレタンフォームにより構
成した場合は、吸音材1に予め容積室6を形成する凹部
を成形しておくこともできる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1,2記載
の本発明の吸音材構造によれば、ヘルムホルツ型共鳴器
構造が形成されているため、音源の周波数に応じて必要
な周波数域の吸音率を向上させることができ、これによ
り、音源からの騒音を確実に低減できるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる吸音材構造の全体
構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる吸音材構造のヘル
ムホルツ型共鳴器構造を説明するための模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる吸音材構造のヘル
ムホルツ型の共鳴器構造の形成方法を説明するための図
であり、(A)は表皮材,吸音材,フィルム材を積層し
て吸音材を形成する工程、(B)はプレス加工工程、
(C)は吸音材に容積室を構成する凹部を形成する工
程、(D)は吸音材に直管部としての穴を形成する工
程、(E)は吸音材にカバー部材としてのエンジンカバ
ーを貼り付ける工程をそれぞれ示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる吸音材構造による
効果を説明するための図であり、(A)は吸音材の材料
特性による吸音率、(B)は吸音材のヘルムホルツ型共
鳴器構造による吸音率、(C)は吸音材による全体の吸
音率をそれぞれ示している。
【図5】本発明の一実施形態にかかる吸音材構造による
効果を説明するための図である。
【図6】一般的な吸音材の取付位置を示す模式図であ
る。
【図7】従来のエンジンカバーに取り付けられた吸音材
を示す模式的断面図である。
【図8】従来の吸音材構造を示す模式的断面図である。
【図9】従来の吸音材構造による吸音率を説明するため
の図である。
【図10】一般的な自動車のエンジン音の周波数特性を
示す図である。
【符号の説明】
1 吸音材 2 表皮材 3 吸音材本体 4A,4B フィルム材 5 エンジンカバー(遮音用パネル) 6 容積室 7 直管部 8 ヘルムホルツ型共鳴器構造 10 エンジン(音源)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遮音用パネルの音源側に装備される多孔
    質材からなる吸音材において、 該吸音材の内部に設けられた容積室と該容積室に連通し
    該吸音材の該音源側に開口する直管部とからなるヘルム
    ホルツ型共鳴器構造が形成されていることを特徴とす
    る、吸音材構造。
  2. 【請求項2】 該ヘルムホルツ型共鳴器構造を構成する
    吸音材の表面に、該多孔質材を被覆して通気を遮断する
    フィルム材が装着されていることを特徴とする、請求項
    1記載の吸音材構造。
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