JP2007047560A - 電子機器の消音装置、該消音装置を備えた投写型表示装置、および電子機器の複合騒音を抑制する消音方法 - Google Patents

電子機器の消音装置、該消音装置を備えた投写型表示装置、および電子機器の複合騒音を抑制する消音方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構造で広帯域の騒音を低減する電子機器の消音装置と、小型・高輝度化に対応した静音型投写型表示装置を提供することにある。
【解決手段】通風ダクト内壁面28bと対向壁26bと側壁27bとで形成された空気層30bを間仕切板31bによって複数の微小セル32bに区分し、各セルに対応して対向壁26bに貫通穴33bを設けることにより、ダクト内壁にマトリックス配置された複数のヘルムホルツ型共鳴吸音器21b群が構築される。複数の異なる直径の貫通穴33b1 、貫通穴33b2 を設けたり、対向壁26bの厚さを連続して変化させたりすることによって複数の容積を有する共鳴器の首部が形成され、間仕切板31bの間隔を変化させたり、対向壁26bを傾斜配置したりすることによって異なった容積の空洞部が形成されるので、広周波数帯域に対応した吸音作用を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は電子機器の消音装置、投写型表示装置、および電子機器の複合騒音を抑制する消音方法に関し、特に通気ダクトの内部壁面に小型共鳴器群が形成された電子機器の消音装置に関する。
ビデオプロジェクタは、DMD(Digital Micro−mirror Device)や液晶パネルといった映像表示素子に光源からの光を照射することにより、映像表示素子上に生成したビデオ画像を、スクリーン上に拡大投影する投写型表示装置であり、現在ではホームシアタから業務用のプレゼンテーションにまで幅広く利用されている。
このうちDMDを用いたDLPプロジェクタ装置は、光源からの白色光をリフレクタで反射し、その反射光をカラーホイールでR/G/Bの3色に時分割し、同じく色光に同期して時分割駆動されるDMDにより、ビデオ信号に応じた光を画素毎に反射してスクリーン上に画像を表示する。
このDMDを構成する小型ミラーは通常アルミで形成され、ミラー単体の反射率は90%前後と高いものの、デバイスのミラーギャップ等の影響で実際の光利用効率は65%程度まで低下する。
高い光束密度を扱う場合、光損失は光エネルギーの吸収による発熱効果を生み、過度の高温は小型ミラーのヒンジ変形(金属クリープ現象)を加速してデバイスの長期信頼性に悪影響を及ぼすため、DMDパッケージの背面には冷却機構が用意されており、主に強制空冷により吸収した熱を効果的に取り除くように工夫されている。
一方、液晶プロジェクタ装置は、光源からの白色光をリフレクタで反射し、その反射光を偏光変換し、R/G/Bの各色光に分離して、対応する各液晶パネルへ入射させ、与えられた画像情報に従って光変調を行ったのち、色合成プリズムにおいて各色光束を合成してスクリーン上に画像を表示する。
TN(Twisted Nematic)液晶パネルは特定の直線偏光成分しか扱えないため、入射側偏光板において各色光束を所定の偏光方向(P偏光)に揃え、そのP偏光光は液晶パネルで変調されたのち、変調光のS偏光成分のみが出射側偏光板から透過される構造になっている。
このような構成の光変調部において、入射側偏光板と出射側偏光板は、各々1軸方向の偏光光のみを通過させ他の偏光光を遮蔽するため、吸光により発熱し易く、また液晶パネルも各画素境界にあるブラックマトリックスで透過光が吸収されるため、動作時に発熱を伴う。
これらの液晶パネルや偏光板には有機材料が用いられることも多く、長時間にわたり波長の短い光が照射されたり、高温に曝されたりすると、パネル配向膜がダメージを受けたり、偏光選択特性が低下したりするなど、その機能が著しく損なわれてしまうため、これらの光変調部には熱対策が必要となる。
入射側偏光板や出射側偏光板および液晶パネル(以後、まとめて液晶ユニットと称す)の温度上昇を抑制するために、従来用いられている冷却方法について簡単に説明する。図7は従来例の液晶プロジェクタ装置における液晶ユニット冷却部の説明図であり、(a)は外形斜視図、(b)は筐体内部の斜視図、(c)は光学システムの模式的斜視図、(d)は液晶ユニットの冷却構造を示す拡大斜視図である。図8は図7に示す従来例の強制空冷による液晶ユニット部の冷却動作を説明するための模式図である。
図7および図8において、空冷ファン5aは、液晶プロジェクタ筐体8の吸気口から外気を取り入れ、吸気ダクト6aを介して冷却空気10aをファン吐出口から液晶ユニット4の直下のダクト開口部9まで導風する。
このとき液晶ユニット4を構成する入射側偏光板11、液晶パネル12、出射側偏光板13の各部材は、それぞれ間隔をおいて配置され、その間隙を冷却空気10aが下方から上方へ通過することにより、被冷却面から発生熱が奪われて排熱が行われる。
またプロジェクタ装置の光源として利用される高圧水銀ランプ等の高輝度ランプは、点灯中に多量の熱を発生するが、バルブ温度が過度の高温になると発光管の破裂を招き、規定温度に達しなければ水銀未蒸発によるフリッカを引き起こすため、ランプバルブやリフレクタ、ランプユニット等を所定の温度に保ち、安定した発光が維持できるようにランプ冷却を行う必要がある。図9は従来例のDLPプロジェクタ装置におけるランプ冷却構成を示す斜視図であり、(a)は外形斜視図、(b)は主要部の模式的斜視図、(c)はランプ冷却構造を示す拡大斜視図である。
ランプユニット16の近傍には、図9に示すように排気ファン17が配置され、リフレクタ内部を冷却するバルブ冷却ファン(不図示)と組み合わされて、ランプユニット16を強制空冷する構造になっており、排気ダクト18aを介して高温になった冷却空気10bを筐体の外部へ排気している。
近年のプロジェクタ装置(投写型表示装置)に対する小型・高輝度化への要求によって、ランプ出力の増加と表示デバイスの小型化が促進され、その結果画像表示素子(液晶ユニット、DMD)へ入射される光束密度の増加が生じ、デバイスの熱負荷は上昇の一途をたどっている。
例えば、2000lmクラスの液晶プロジェクタ装置(1.0型−XGA)では、液晶ユニット部総発熱量は15W前後で出射側偏光板熱流束は0.6W/cm2 程度であるが、5000lmクラスの輝度になると液晶ユニット部の総発熱量は35W以上、出射側偏光板熱流束は1.4W/cm2 以上にまで到達する。
またランプ出力に関しても、2000lmクラスの液晶プロジェクタ装置(0.6型−XGA)で190Wに対し、同4000lmクラス(1.0型−XGA)の高輝度プロジェクタ装置では275Wの高出力ランプが使用されている。同様にDLPプロジェクタ装置に関しても、2000lmクラス(0.7型−DDR)の250Wに対し、3500lmクラス(0.9型−DDR)では350Wにランプ出力が増加している。ランプ発光効率は徐々に改善されつつあるものの、消費電力の増加はそのままランプ発熱量の増加につながるため、装置高輝度化への流れによって冷却性能向上の要求が高まっている。
冷却手段として強制空冷を採用する場合に、ファンの送風量を増加して発熱体の周りの風速を高めて、熱伝達効率を改善して伝熱量を増加させるとともに、排気熱輸送量を増やして冷却性能を引き上げることで、増大する熱負荷に対応することが行なわれる。
この場合、ファン風量の増加をファン回転数の増加によって行う場合は動作騒音の悪化を招くため、例えば大型ファンを採用して低回転で使用することにより静音化を図ったり、図10に示すように、通風ダクト6bの内部に高分子発泡剤(ポリウレタンフォーム)などの多孔質材20aを貼り付けて吸音を図ったりしている。図10は従来例の消音ダクトの構成を示す説明図であり、(a)は主要部の模式的斜視図、(b)は消音ダクトの構造を示す拡大斜視図である。特許文献1には吸気ダクトおよび排気ダクトの内面の他に筐体のカバーの内面にも吸音材を備えたプロジェクタ装置が開示されている。
特許文献2には、互いに間隔をおいて対向する平板状の1対の主壁部と両主壁部の外周を結合し両主壁部の間の内部空間を形成する副壁部とで遮音壁本体となし、両主壁部の間に略均等な間隔をおいて両主壁部を貫通し空気通路を形成する筒部を設け、筒部には空気通路と内部空間とを連通させる連通穴を設けた遮音壁を設計するのに際し、内部空間体積および空気通路数を騒音の中心周波数と音速の関係の式に従って決定することによって、連通穴と空気通路の背後空間とにより形成されるヘルムホルツ共鳴器における吸音の減衰作用を高めるようにした遮音壁の設計方法および遮音壁が開示されている。
また、特許文献3には外部部材および内部部材が空気層を介して対向配置され、内部部材は複数の貫通穴を有し、貫通穴部の厚さ、貫通穴の直径、および開口率が30Hz以下の音に対して貫通穴を通過する空気に粘性減衰効果を発生させるように設定され、ヘルムホルツ共鳴原理を用いて低周波数の音に対して比較的広い周波数帯域で高い防音効果が発効できる多孔質防音構造体の貫通穴の直径、開口率、貫通穴部の厚さの好ましい条件が開示されている。
ここでヘルムホルツ共鳴器とヘルムホルツ共鳴原理について説明する。図11はヘルムホルツ共鳴器の構成を示す模式図である。ヘルムホルツ共鳴器は、図11に示すように、大きな体積V0 をもつ空洞部22に小さい首部(クビ部)23がついたもので、この構造体の空気バネ振動の共振周波数(共鳴周波数)に一致した周波数の音響(騒音)が首部23を通過して内部の空洞部22へ伝わると、共鳴現象を生じて首部23の空気が激しく振動し、粘性損失により音のエネルギーの一部が熱エネルギに変換され吸音作用を生じる。
この時の共鳴周波数は次式で表される。
Figure 2007047560
H :共鳴周波数(Hz)
O :音速(m/s)
O :首部断面積(m2
t :首部長さ(m)
δ :管端補正係数(δ=r、または0.8d、または1.5r)
r :首部半径(m)
d :首部直径(m)
O :空洞部体積(m3
特許文献4には、ダクトにヘルムホルツ共鳴器を配置して消音効果を狙った従来例が開示されており、図12は特許文献4に開示された内燃機関の吸気騒音低減装置の概略構成図であり、(a)は特許文献4の発明の吸気騒音低減装置の概略構成図、(b)は特許文献4に記載の従来例の吸気騒音低減装置の概略構成図である。特許文献4の発明では、図12(a)に示すように共鳴器首部に吸音材を配置して消音作用の効果を高めているが、そこでの従来例として図12(b)に示すように、内燃機関の吸気騒音低減装置に共鳴器を利用している例が紹介されている。この場合、適用されるヘルムホルツ共鳴器121自体は同一であり、特許文献4の発明では共鳴器の首部123に吸音材124が設けられている。
特許文献5には、共鳴周波数を連続的に変化させ広帯域の騒音低減を狙った消音装置が開示されている。図13は特許文献5に開示された従来例の消音装置の概略構成図であり、(a)は消音装置の模式的斜視図、(b)は消音装置の模式的断面図である。ダクト128の音波は、分岐管134を介して消音装置130の共鳴箱131内の空洞部132に受け入れられる。分岐管134では切欠き部の開口周囲部に可動板135が摺動可能に当接しており、可動板135を回転させることで、切欠き部の開閉範囲が変更され、分岐管134と可動板135の弧状の板とで形成される首部の長さおよび首部先端の断面積を変化させることができ、これに対応した広い周波数帯域の騒音を低減できる。
特許文献6には従来例の複数の穴あき板による共鳴吸音による消音作用を狙った医療用酸素濃縮気体供給装置(PSA装置)が開示されている。図14は特許文献6に開示された従来例のPSA装置の概略構成図であり、(a)は消音装置の模式的斜視図、(b)は消音ボックスの模式的部分断面斜視図である。PSA装置140において、騒音源となるコンプレッサ142やファン143を防音ボックス内に収納し、かつ排気通路から発生する耳障りに感じる騒音の周波数帯域を狙って減衰させる消音ダクトを具備した消音ボックス144を付設し、このダクト内部に穴146を有する穴あき板145を壁面とする部屋147を設けて、この部屋147で共鳴を起こして空気と穴壁面との摩擦によって音エネルギーを熱エネルギーに変換して騒音を低減する。このような穴あき板による吸音は古くから建材でも利用されており、共鳴周波数は次式で示される。
Figure 2007047560
H :共鳴周波数(Hz)
O :音速(m/s)
β :穴開き板の開口率
h :穴開き板の厚さ(m)
d :穴の内径(m)
L :背後空気層の厚さ(m)
特開2001−68882号公報 特開2001−92468号公報 特開2005−18042号公報 特開平8−121142号公報 特開2005−30308号公報 特許3550338号公報
しかしながら、大型ファンを採用して低回転で運用することにより静音化を図る場合は、ファンの実装容積が増加するので装置小型化を阻害する要因となる。また、通風ダクト内部に高分子発泡剤(ポリウレタンフォーム)などの多孔質材を貼付して吸音を図る場合、1kHz〜5kHzの音域で十分な吸音効果を得るためには10mm〜30mm以上の多孔質材の厚みを必要とするため、ダクト内部の通風面積の確保が難しいといった課題がある。さらに吸気ダクト内部に多孔質材を適用する場合、例えば液晶ユニット冷却では、吸気フィルタを通過した後の空気がダクト内を通るため、経年変化による高分子材の劣化等により高分子材の屑が発生すると、液晶ユニット部が直接塵埃に曝されることになるため、画像品質や装置信頼性を損なう恐れがある。また排気ダクト内部に多孔質材を適用する場合、例えばリフレクタ近傍の空気温度は150℃以上、筐体排気前の空気温度でも最大80℃以上になることがあり、動作中の排気ダクトは高温環境に曝されるため、高分子材やその粘着材の劣化が問題となる。
特許文献2には、貫通穴と空気通路の背後空間とにより形成されるヘルムホルツ共鳴器における騒音の減衰作用を高めるようにした遮音壁の設計方法および遮音壁が開示されているが、共鳴吸音構造自体は住宅建材の防音壁などに古くから利用されており、このような吸音共鳴器は、空気共振(共鳴)によるエネルギー変換(振動エネルギー→熱エネルギー)を音響減衰に利用しているから、プロジェクタのファンノイズ低減を図るためには空気騒音の大きな位置(乱流運動エネルギーの高い箇所)即ちダクト内部に配置するのが最も効果的である。しかしながら、特許文献2に示されるような構造の共鳴吸音壁をプロジェクタの内部に配置しても十分なファンノイズ低減は得られない。それは、吸音共鳴器はその吸音原理上、構造寸法(穴径/首部長さ/空洞部体積等)で決定される共鳴周波数でのみ吸音作用を生じるからである。ファンノイズは翼通過周波数(翼枚数×回転数)とその高調波にディスクリート成分を有する回転騒音と、ランダムな圧力変動による連続的な広帯域騒音とから構成されており、単一波長の周波数成分のみを吸音すれば音響減衰が行なわれるものではなく、さらに投写型表示装置では静音動作のため環境温度に応じたファン回転数制御を行う場合もあり、騒音周波数も動作条件(室温)に応じて変動するので、消音ダクトにはある程度の吸音帯域幅を有するバンドパスフィルタとしての機能が求められるからである。
また、特許文献3は特に30Hz以下の低周波音に対応可能な多孔質防音構造体の貫通穴の直径、開口率、貫通穴部の厚さの好ましい条件を開示したものであり本発明と条件が異なる。複数帯域の吸音を複数の多孔質壁材を特定の間隔で保持して空洞部体積内に積層し、各々に異なる共鳴特性を持たせることで実現しているが、空洞部体積内を厚み方向に必要な吸音周波数ごとに分割するため、構造が複雑になるとともに消音周波数の増加に対応して消音構造体が大型化するのでプロジェクタの吸排気ダクトのような小型ダクトへの内部実装が困難となる。
特許文献4に開示された発明のヘルムホルツ共鳴器では、十分な消音作用(空気振動による粘性減衰効果)を確保するために、首部123の内径寸法が大きくならざるを得ず、必然的に空洞部122の体積が大型化してその外形寸法も大型化するため、プロジェクタ装置の通風ダクトのような小型の電子機器への実装には不向きである。
特許文献5に開示された発明の消音装置では、扇状の可動板を回動させて首部断面積を機械的に変化させることによって共鳴周波数を可変制御しているので共鳴周波数を騒音周波数に合わせることができるが、吸音周波数を広帯域化することはできない。
特許文献6に開示された発明のPSA装置では、部屋147の数が限られるので特定の吸音周波数には対応できるが、吸音周波数の広い範囲に対応させることは困難である。
本発明の目的は、簡易な構造で広帯域の騒音を低減する電子機器の消音装置を提供することであり、これによって小型・高輝度化に対応した静音型投写型表示装置を提供することにある。
本発明の電子機器の消音装置は、
通気ダクトを利用して電子機器の動作騒音を低減させる消音装置であって、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つは、内部に空気層を有する2層構造の壁体であり、2層構造の壁体の内部の空気層を複数のセルに分割する間仕切板と、2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面にそれぞれのセルに対応して設けられた貫通穴とを有する。
内部に空気層を有する2層構造の壁体は、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、そのダクト壁と直交するダクト壁と、ダクト壁の内壁面と対向して設けられて、側面がダクト壁と直交するダクト壁の内壁面と接続する対向壁とで構成されてもよく、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、ダクト壁の内壁面と対向して設けられて、少なくとも一つの側面がダクト壁と直交するダクト壁の内壁面と接続する対向壁と、直交するダクト壁と接続する側面以外の対向壁の周辺に設けられ対向するダクト壁の内壁面と接続して2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成されてもよく、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、ダクト壁の内壁面と対向して設けられた対向壁と、その対向壁の周辺に設けられダクト壁の内壁面と接続して2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成されてもよく、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、ダクト壁の外壁面と対向して設けられた対向壁と、その対向壁の周辺に設けられダクト壁の外壁面と接続して2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成されてもよい。
2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面には、2種類以上の異なる大きさの貫通穴が設けられていてもよく、貫通穴が形成される対向壁の厚さが連続的に変化していてもよい。
内部の空気層容積が異なる2種類以上のセルが設けられていてもよく、間仕切板が異なった間隔で配置されていてもよく、対向壁がダクト壁の内壁面に対して傾斜して設けられていてもよい。
2つ以上の異なった形状の貫通穴と、2つ以上の異なった内部空気層容積がセルに設けられていてもよく、2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面の空気層側の面に多孔質材料が貼り付けられていてもよい。
本発明の投写型表示装置は、
上述のいずれかに記載の電子機器の消音装置が通気ダクトに設けられていることを特徴とする。電子機器の消音装置が吸気ダクトに設けられていてもよく、排気ダクトに設けられていてもよい。
本発明の電子機器の複合騒音を抑制する消音方法は、
電子機器の複合騒音を抑制する消音方法であって、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁に形成された内部に空気層を有する2層構造の壁体と、その2層構造の壁体の内部の空気層を複数のセルに分割する間仕切板と、2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面にそれぞれのセルに対応して設けられた貫通穴とを有し、複数のセルに分割されたそれぞれの空気層と貫通穴内の空間とによって、動作騒音が吸収される複数の小型共鳴器群が形成される電子機器の消音装置を構成し、貫通穴内の空間の容積と、セルの空気層の容積との、少なくとも何れかを異なった容積とすることによって、少なくとも2つ以上の騒音周波数を吸収して複合騒音を抑制することを特徴とする。
上述した目的を達成するために、本発明の消音装置では、通風ダクトの内部構造に特徴を持たせている。すなわち、ダクト内部の壁面を2層構造とし、その層内を間仕切板によって複数のセルに区分し、各セルの通風に接する対向壁に貫通穴を設けることにより、ダクト内壁にマトリックス配置された複数のヘルムホルツ型共鳴吸音器群を構築している。
さらに本発明では、ダクト内部に構築された複数の共鳴器の首部長さを、対向壁の壁板厚として揃え、その貫通穴の穴径を変化させることで、消音周波数を装置音響特性に合わせて複数チャネルに設定できるようにしている。あるいは貫通穴径と空気層高さとを揃えて、セル部の区画面積を変化させることによって同様の効果を得ている。
また別の態様では、対向壁の壁板を斜めに固定することにより、共鳴器の空洞部体積が隣接するセル間で連続的に変化するように設定して、広周波数帯域において吸音作用が得られるように工夫している。あるいは対向壁の壁板の板厚を連続的に変化させ、共鳴器の首部長さが隣接するセル間で連続的に変化するように設定することにより、同様の効果を得ている。さらに対向壁の壁板の空洞部側の面に多孔質材を貼付することにより、吸音効果の改善を図っている。
本発明の消音装置では、簡易な構造でダクト内壁を2層にして複数セルに分割し、小型の共鳴器群をマトリックス配置する構成になっており、その吸音性能は各セル減衰効果の総和として得られるため、小型でも十分な消音作用を得ることが可能になっている。
以上説明したように、本発明の電子機器の消音装置は、ダクト内壁を2層構造にして層内を微小セルに分割し、小型の共鳴器群がマトリックス配置される構成となっているので、投写型表示装置のような小型の吸気/排気ダクトに適用して動作騒音を抑制することができるという効果がある。
さらにマトリックス内における共鳴器の貫通穴径やセル区画面積の複数種類の設定が可能なので、装置音響特性にあわせて複数の騒音周波数の吸音設計が容易であり、ダクト内の通風側壁板を斜めに固定したり、傾斜板として厚さを変化させたりすることが可能なので、マトリックス内における共鳴器の空洞部体積や首部長さを隣接するセル間で連続的に変化させることが容易であり、広帯域の消音フィルタとして機能させることも可能になっており、これらの消音特性を低コストで提供することができるという効果がある。
加えて本発明の消音装置は、その構造体で機能するため、多孔質材による消音ダクトに比べて小型化が容易なのでダクト通風抵抗設計で有利であり、さらに吸気ダクト側に適用する際には、冷却空気への塵埃の混入の心配がなく、排気ダクト側に適用する際には、高温環境下における経年劣化の恐れがないので、信頼性の高い消音装置を提供することができるという効果がある。
また、ダクト内部の風速により生じるウインドスロップ(低周波の空力騒音で、共鳴器開口部に生じる周期的な渦放出とヘルムホルツ共鳴とが連成して発生する流体共鳴音)を回避する際に、貫通穴径の設定等設計の自由度が高く、また通風抵抗を抑制しやすいという効果がある。
本発明の電子機器の消音装置の第1の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c)は単体のセル部の模式的断面図、(d)はセル1個当たりの騒音減衰量の設計例を示したグラフである。
電子機器の消音装置24aは、空冷ファン5dと接続する通風ダクト25aの通風ダクト内壁面28aと、通風ダクト内壁面28aと対向して設けられた対向壁26aと、対向壁26aの周辺に設けられ通風ダクト内壁面28aと接続して内部に空気層30aを形成する側壁27aと、通風ダクト内壁面28aと対向壁26aとの間に設けられ空気層30aを複数の微小セル32aに分割する間仕切板31aと、それぞれの微小セル32aに対応して対向壁26aに設けられた貫通穴33aとを有している。複数の微小セル32aに分割されたそれぞれの空気層30aと貫通穴33a内の空間とによって、複数の小型ヘルムホルツ共鳴器21aのグループからなるマトリックスが構成され、動作騒音が吸収される。
この場合、図1(c)の首部長さt1は対向壁26aの板厚で設定され、首部断面積S1は貫通穴33aの内径d1 で決まり、空洞部体積V1 は空気層30aの高さL1 と間仕切板31aによる区画面積A1 により設定される。
背景技術において説明した上述の式(1)で示される共鳴周波数(消音周波数)fH は、この消音装置24aを実装する電子機器の騒音スペクトルのうち、騒音レベルの最も高い周波数に一致するように設計されるのが望ましく、それにあわせて貫通穴径d1 と空洞部体積V1 といったパラメータが決定される。
例えば消音周波数を2kHzとした場合、対向壁厚(首部長さ)t1 を2mm、空気層高さL1 を5mm、区画面積A1 を10mm×10mmに設定すると、貫通穴径(首部内径)d1 は1.56mmにすればよいことになる。これは設計の一例であり、寸法パラメータは空洞部体積(セル容積)V1 と首部寸法(貫通穴径d1 及び対向壁厚t1 )の組み合わせにより自由度を持つ。
しかしながら、その消音原理を考慮した場合、首部断面積S1 と首部長さt1 を大きくした方が音の減衰効果(吸音効率)は高くなるが、一方で壁面開口面積(S1 )の拡大により通風抵抗が大きくなるため、ダクト形状寸法に応じた最適設計が要求される。
本実施の形態のように、通風ダクト内壁面28aに小型のヘルムホルツ共鳴器21a群をマトリックス配置した構造では、騒音の減衰量は、図1(d)に示す微小セル32a1個分に相当する減衰量のマトリックス内の微小セル32aの個数の総和として作用するため、通風ダクト内壁面28aと対抗壁26aとの間に形成されるような小型(薄型)のヘルムホルツ共鳴器21aであっても十分な消音効果を得ることができる。
本実施の形態の図1においては、マトリックス配置のヘルムホルツ共鳴器21a群を通風ダクト25aの上下の内壁面28aに設定しているが、実装する通風ダクト25aの外形寸法と必要な通風抵抗に応じて、通風ダクト内壁面28aの片面のみに設定したり、側面を含む四面に設定したりすることもできる。また、側壁27aは独立した側壁であってもよいが、通風ダクト25aの垂直方向の壁面で兼用させてもよい。図1では消音装置24aは通風ダクト25aの内部に設けられているが、通風ダクト25aの外壁面29a側に設けて、通風ダクト25aに貫通穴33aを設けてもよい。
次に、本発明の電子機器の消音装置の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図2は本発明の第2の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c−1)、(c−2)は単体のセル部の模式的断面図、(d)はセル1個当たりの騒音減衰量の設計例を示したグラフである。
図2(a)〜(d)に示す本発明の第2の実施の形態の消音装置24bは、吸音したい騒音スペクトルが複数存在する場合に適用される。第1の実施の形態では1種類であった貫通穴33aが、第2の実施の形態では大径の貫通穴33b1 と小径の貫通穴33b2 とになっている以外は第1の実施の形態と同じなので同じ構成については詳細の説明を省略する。
複数の微小セル32bに分割されたそれぞれの空気層30bと、大径の貫通穴33b1 および小径の貫通穴33b2 内の空間とによって、動作騒音が吸収される複数の小型ヘルムホルツ共鳴器21b1 、21b2 群からなるマトリックスが構成される。
このとき各共鳴器の空洞部体積V2 、すなわち各セルの内容積は仕切り区画面積と空気層高さを揃えて加工することで共通化し、貫通穴33b1 および33b2 の内径寸法を大径と小径の複数種類に設定することでマルチ吸音特性を持たせている。図2では2種類の大径の貫通穴33b1 、小径の貫通穴33b2 を設けることとしているが、3種類以上の異なった内径寸法の貫通穴とすることによって3種類以上の吸音特性を持たせることもできる。
例えば、実装する電子機器の騒音特性が2kHzと3kHzに騒音レベルのピークを持つ場合、小型ヘルムホルツ共鳴器群の空洞部体積を、セル区画面積10×10mm、空気層高さL2 5mmとし、対向壁板厚(首部長さ)t2 を2mmに一定とすると、2kHzの吸音特性に対しては貫通穴内径寸法S2-2 をφ1.56mmに設定し、3kHzの吸音特性を持たせる場合は、同じく貫通穴内径寸法S2-1 をφ2.54mmに設定し、小型ヘルムホルツ共鳴器群のマトリックスにこれら2種類の貫通穴31b1 および31b2 を有するセルを分配すればよい。
3種類以上の吸音周波数設計に対しても、同様に用意する貫通穴内径寸法の種類を増やして対応していけばよいが、前述したように吸音率は同一特性を有する小型共鳴器の減衰特性の総和として効いてくるため吸音周波数のチャネル数を増やせばそれぞれのチャネルの吸音率は低下するので注意が必要である。その場合は、通風ダクト25bの内壁の四面にヘルムホルツ共鳴器のマトリックスを配置し、各セルの個数を増加するといった対応が効果的である。また、側壁27bは独立した側壁であってもよいが、通風ダクト25bの垂直方向の壁面で兼用させてもよい。図2では消音装置24bは通風ダクト25bの内部に設けられているが、通風ダクト25bの外壁面29b側に設けて、通風ダクト25bに貫通穴33b1 、33b2 を設けてもよい。
また図2(d)に示すセル1個当たりの騒音減衰率のグラフを見ても解るように、貫通穴径(d2)を大きくして高周波での吸音作用を設計する場合、粘性減衰を生じる首部空気容積が大きくなり、かつ共振周波数が高くなるため減衰量は大きくなる。
したがって、小型ヘルムホルツ共鳴器群からなるマトリックス内で、高域と低域の2種類の吸音周波数を設定する場合には、低域側の吸音特性に設計されたセル数が高域側の吸音特性に設計されたセル数よりも多くなるように分配して、低域側の騒音の総減衰量を補足することも可能である。
次に、本発明の電子機器の消音装置の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は本発明の第3の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c−1)、(c−2)は単体のセル部の模式的断面図である。
図3(a)〜(c)に示す本発明の第3の実施の形態の消音装置24cは、第2の実施の形態と同様に吸音したい騒音スペクトルが複数存在する場合に適用される。この場合、第2の実施の形態とは異なり、小型ヘルムホルツ共鳴器21c群のマトリックスを形成する各セルの貫通穴31dの内径寸法を共通化し、セル内容積(空洞部体積)を吸音周波数に合わせて複数種類を用意することによりマルチ吸音特性を持たせている。
第1の実施の形態では1種類であった微小セル32aの大きさが、第3の実施の形態では容積の小さな微小セル32c1 と容積の大きな微小セル32c2 との2種類になっている以外は第1の実施の形態と同じなので詳細の説明を省略する。
複数の容積の小さな微小セル32c1 と容積の大きな微小セル32c2 とに分割されたそれぞれの空気層30cと貫通穴33c内の空間とによって、動作騒音が吸収される複数の小型ヘルムホルツ共鳴器21c1 、21c2 群からなるマトリックスが構成される。複数の容積の小さな微小セル32c1 と容積の大きな微小セル32c2 との分割は間仕切板31cの間隔を変更することによって行なわれる。
この場合、第2の実施の形態とは異なり、小型ヘルムホルツ共鳴器21c1 、21c2 群のマトリックスを形成する各微小セル32c1 、32c2 の貫通穴33cの内径寸法を共通化し、セル内容積(空洞部体積)を吸音周波数に併せて複数種類を用意することによりマルチ吸音特性を持たせている。図3では2種類の容積の小さな微小セル32c1 と容積の大きな微小セル32c2 とを設けることとしているが、3種類以上の異なった大きさの微小セルとしてもよい。
例えば、実装する電子機器の騒音特性が、第2の実施の形態と同様、2kHzと3kHzに騒音レベルのピークを持つ場合、貫通穴内径(d3 )をφ1.56mmとし対向壁26cの板厚(首部長さ)t3 を2mmに固定すると、2kHzの吸音特性に対してはセル内容積V3-2 を、区画面積10×10mm、空気層高さt3 5mmに設定し、3kHzの吸音特性に対してはセル内容積V3-2 を区画面積6.7×6.7mm(または10×4.5mm)、空気層高さt3 を同じ5mmに設定して小型ヘルムホルツ共鳴器21c群のマトリックス内にこれら2種類の空洞部体積を有するセルを分配すればよい。
3種類以上の吸音周波数設計に対しても、同様に用意するセル内容積の種類を増やして対応していけばよいが、吸音周波数のチャネル数を増やせば、第2の実施形態と同様に同一吸音周波数の吸音率の低下を招くため、通風ダクト25cの内壁の四面にヘルムホルツ共鳴器のマトリックスを配置し、各セルの個数を増加するといった対応が望ましい。また、側壁27cは独立した側壁であってもよいが、通風ダクト25cの垂直方向の壁面で兼用させてもよい。図3では消音装置24cは通風ダクト25cの内部に設けられているが、通風ダクト25cの外壁面29c側に設けて、通風ダクト25cに貫通穴33cを設けてもよい。
次に、本発明の電子機器の消音装置の第4の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図4は本発明の第4の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)は電子機器の消音装置の動作を説明するための模式的断面図である。
ここでは、背景技術で図9を参照して説明したランプ冷却構成に設けられた、本発明の消音装置24dを例として説明しており、排気ファン17からランプ3cを冷却して排気ダクト18dに送られた冷却空気10cの消音が排気ダクト18dに設けられた消音装置24dによって行なわれる。本発明の消音装置24dはランプ冷却構成に限定されるものではなく、広く電子機器の冷却装置として適用できる。
この場合、第3の実施の形態と同様に、消音装置24dでは小型共鳴器群のマトリックスを形成する各セルの貫通穴33dの内径寸法を共通化し、間仕切板31dの間隔も共通化し、セル内容積(空洞部体積)を吸音周波数に併せて変化させているが、吸音周波数にバンド幅を持たせて広帯域の吸音特性を実現するために、対向壁26dをダクト内壁面28dに対して斜めになるように設定し、各微小セル32dの空気層30dの高さを隣接する微小セル32d間で線形に変化させることによって各微小セル32dの容積を変化させて、構築される小型ヘルムホルツ共鳴器群の各共鳴周波数を連続的に変動させる設計となっている。ここでは、排気ダクト18dの壁を側壁としているが、独立した側壁を設けてもよく、排気ダクト18dの外側に消音装置24dを設け、排気ダクトの壁に貫通穴33dを設けてもよい。
これにより、小型ヘルムホルツ共鳴器群のマトリックスで構築される消音装置24dに広帯域のノッチフィルタのような吸音特性を持たせることができるため、複雑な騒音特性を有する電子機器の消音装置として有効に機能する。
次に、本発明の電子機器の消音装置の第5の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図5は本発明の第5の実施の形態の電子機器の消音装置の模式的断面図である。ここでも、背景技術で図9を参照して説明したランプ冷却構成に設けられた、本発明の消音装置24eを例として説明しており、排気ファン17からランプ3cを冷却して排気ダクト18eに送られた冷却空気10cの消音が排気ダクト18eに設けられた消音装置24eによって行なわれる。本発明の消音装置24eもランプ冷却構成に限定されるものではなく、広く電子機器の冷却装置として適用できる。
図5において、本発明の消音装置24eは、第4の実施の形態と同様に、実装する電子機器の騒音スペクトルが広帯域にわたって騒音レベルのピークを有する場合に対して適用される。本実施の形態では、第4の実施形態とは異なり、小型ヘルムホルツ共鳴器群のマトリックスを形成する各微小セル32eの内容積と貫通穴33eの径とを共通化し、対向壁26eの板厚を楔状に変化させ、隣接する小型ヘルムホルツ共鳴器の首部の長さを連続的に変化させることにより、マトリックス配置されたヘルムホルツ共鳴器群の吸音周波数にバンド幅を持たせ広帯域の吸音特性を実現している。ここでは、排気ダクト18eの壁を側壁としているが、独立した側壁を設けてもよく、排気ダクト18eの外側に消音装置24eを設け、排気ダクトの壁に貫通穴33eを設定して、その壁の板厚を楔状に変化させてもよい。
この場合も、第4の実施の形態と同様に、排気ダクト18eに設けられた消音装置24eに広帯域のノッチフィルタとして機能する吸音特性を持たせることができるため、複雑な騒音特性を有する電子機器の消音装置として有効に機能する。
これまで、第2の実施の形態から第5の実施の形態までを複数の消音周波数に対応する独立した電子機器の消音装置として説明したが、これらを組み合わせて使用することが可能である。例えば第2の実施の形態と第3に実施の形態とを組み合わせて貫通穴の直径と微小セルの容積の双方を変化させて求める複数の消音周波数に対応させてもよく、第4の実施の形態で第2の実施の形態と組み合わせて複数の直径を有する貫通穴を設けてもよい。
最後に、本発明の電子機器の消音装置の第6の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図6は本発明の第6の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)は電子機器の消音装置のセル部の模式的断面図である。
本発明の第6の実施の形態の電子機器の消音装置は、第1から第5の実施の形態における消音装置の吸音効率を補足する目的で第1から第5の実施の形態における消音装置に付加して適用される。図6における消音装置24fは第1の実施の形態の消音装置24aに第6の実施の形態が付加された状態の例である。すなわち第1から第5のいずれかの実施の形態における消音装置24fの対向壁26fのセル内空気層30f側の面に、麻綿やグラスウール、ウレタンフォーム等の多孔質材20bが貼付されることにより、貫通穴部33fの空気共鳴振動における粘性損失が大きくなるように設定することで吸音率の改善を図っている。
本発明の第1〜第6の実施の形態の電子機器の消音装置は、図7に示されているような液晶プロジェクタ装置や、図9に示されているようなDLPプロジェクタ装置などの投写型表示装置の吸気ダクトや排気ダクトに設けられることによって電子機器の動作騒音を有効に低減させることができて静音型投写型表示装置が得られる。また、その用途は投写型表示装置に限定されるものではなく、空気冷却を必要とし動作騒音の低減が要求される電子機器に広く適用することが可能である。
本発明の第1の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c)は単体のセル部の模式的断面図、(d)はセル1個当たりの騒音減衰量の設計例を示したグラフである。 本発明の第2の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c−1)、(c−2)は単体のセル部の模式的断面図、(d)はセル1個当たりの騒音減衰量の設計例を示したグラフである。 本発明の第3の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)はセル部の部分拡大斜視図、(c−1)、(c−2)は単体のセル部の模式的断面図である。 本発明の第4の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)は電子機器の消音装置の動作を説明するための模式的断面図である。 本発明の第5の実施の形態の電子機器の消音装置の模式的断面図である。 本発明の第6の実施の形態の電子機器の消音装置の説明図であり、(a)は電子機器の消音装置の部分断面斜視図、(b)は電子機器の消音装置のセル部の模式的断面図である。 従来例の液晶プロジェクタ装置における液晶ユニット冷却部の説明図であり、(a)は外形斜視図、(b)は筐体内部の斜視図、(c)は光学システムの模式的斜視図、(d)は液晶ユニットの冷却構造を示す拡大斜視図である。 図7に示す従来例の強制空冷による液晶ユニット部の冷却動作を説明するための模式図である。 従来例のDLPプロジェクタ装置におけるランプ冷却構成を示す斜視図であり、(a)は外形斜視図、(b)は主要部の模式的斜視図、(c)はランプ冷却構造を示す拡大斜視図である。 従来例の消音ダクトの構成を示す説明図であり、(a)は主要部の模式的斜視図、(b)は消音ダクトの構造を示す拡大斜視図である。 ヘルムホルツ共鳴器の構成を示す模式図である。 特許文献4に開示された内燃機関の吸気騒音低減装置の概略構成図であり、(a)は特許文献4の発明の吸気騒音低減装置の概略構成図、(b)は特許文献4に記載の従来例の吸気騒音低減装置の概略構成図である。 特許文献5に開示された従来例の消音装置の概略構成図であり、(a)は消音装置の模式的斜視図、(b)は消音装置の模式的断面図である。 特許文献6に開示された従来例のPSA装置の概略構成図であり、(a)は消音装置の模式的斜視図、(b)は消音ボックスの模式的部分断面斜視図である。
符号の説明
1 液晶プロジェクタ装置
2 液晶ユニット冷却部
3a、3b、3c ランプ
4 液晶ユニット
5a、5b、5c、5d、5e、5f 空冷ファン
6a 吸気ダクト
6b 通風ダクト
7 投写レンズ
8 液晶プロジェクタ筐体
9 ダクト開口部
10a、10b、10c 冷却空気
11 入射側偏光板
12 液晶パネル
13 出射側偏光板
14 DLPプロジェクタ装置
15 DMD
16 ランプユニット
17 排気ファン
18a、18d、18e 排気ダクト
19 DMD冷却用ヒートシンク
20a、20b 多孔質材
21a、21b1 、21b2 、21c1 、21c2 、21d、21e、21f、121 ヘルムホルツ共鳴器
22、122、132 空洞部
23、123、133 首部
24a、24b、24c、24d、24e、24f 消音装置
25a、25b、25c 通風ダクト
26a、26b、26c、26d、26e、26f 対向壁
27a、27b、27c 側壁
28a、28b、28c、28d、28e、28f 通風ダクト内壁面
29a、29b、29c 通風ダクト外壁面
30a、30b、30c、30d、30e、30f 空気層
31a、31b、31c、31d、31e、31f 間仕切板
32a、32b、32c1 、32c2 、32d、32e、32f 微小セル
33a、33b1 、33b2 、33c、33d、33e、33f 貫通穴
34a、34b 整流板
118、128 ダクト
124 吸音材
130 消音装置
131 共鳴箱
134 分岐管
135 可動板
140 PSA装置
141 空気取入口
142 コンプレッサ
143 ファン
144 消音ボックス
145 穴あき板
146 穴
147 部屋

Claims (17)

  1. 通気ダクトを利用して電子機器の動作騒音を低減させる消音装置であって、
    前記通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つは、内部に空気層を有する2層構造の壁体であり、
    前記2層構造の壁体の内部の前記空気層を複数のセルに分割する間仕切板と、
    前記2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面にそれぞれの前記セルに対応して設けられた貫通穴と、を有した電子機器の消音装置。
  2. 内部に空気層を有する前記2層構造の壁体は、前記通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、該ダクト壁と直交するダクト壁と、前記ダクト壁の内壁面と対向して設けられて、側面が前記ダクト壁と直交するダクト壁の内壁面と接続する対向壁とで構成される、請求項1に記載の電子機器の消音装置。
  3. 内部に空気層を有する前記2層構造の壁体は、前記通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、前記ダクト壁の内壁面と対向して設けられて、少なくとも一つの側面が前記ダクト壁と直交するダクト壁の内壁面と接続する対向壁と、前記直交するダクト壁と接続する側面以外の前記対向壁の周辺に設けられ対向する前記ダクト壁の内壁面と接続して前記2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成される、請求項1に記載の電子機器の消音装置。
  4. 内部に空気層を有する前記2層構造の壁体は、前記通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、前記ダクト壁の内壁面と対向して設けられた対向壁と、該対向壁の周辺に設けられ前記ダクト壁の内壁面と接続して前記2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成される、請求項1に記載の電子機器の消音装置。
  5. 内部に空気層を有する前記2層構造の壁体は、前記通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁と、前記ダクト壁の外壁面と対向して設けられた対向壁と、該対向壁の周辺に設けられ前記ダクト壁の外壁面と接続して前記2層構造の壁体を構成して内部に空気層を形成する側壁とで構成される、請求項1に記載の電子機器の消音装置。
  6. 前記2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面には、2種類以上の異なる大きさの貫通穴が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置。
  7. 前記2種類以上の貫通穴のうち、穴径の小さな貫通穴の個数が、穴径の大きな貫通穴の個数よりも多いことを特徴とした請求項6に記載の電子機器の消音装置。
  8. 前記貫通穴が形成される前記対向壁の厚さが連続的に変化している、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置。
  9. 前記セルの内部空気層容積が、異なる2種類以上に設定されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置。
  10. 前記間仕切板が異なった間隔で配置されている、請求項9に記載の電子機器の消音装置。
  11. 前記対向壁が前記ダクト壁の内壁面に対して傾斜して設けられている、請求項9に記載の電子機器の消音装置。
  12. 2つ以上の異なった形状の貫通穴と、2つ以上の異なった内部空気層容積が前記セルに設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置。
  13. 前記2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面の前記空気層側の面に多孔質材料が貼り付けられている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電子機器の消音装置が通気ダクトに設けられていることを特徴とする投写型表示装置。
  15. 前記電子機器の消音装置が吸気ダクトに設けられている、請求項14に記載の投写型表示装置。
  16. 前記電子機器の消音装置が排気ダクトに設けられている、請求項14に記載の投写型表示装置。
  17. 電子機器の複合騒音を抑制する消音方法であって、
    通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つ以上のダクト壁に形成された内部に空気層を有する2層構造の壁体と、該2層構造の壁体の内部の前記空気層を複数のセルに分割する間仕切板と、前記2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面にそれぞれの前記セルに対応して設けられた貫通穴とを有し、複数のセルに分割されたそれぞれの空気層と前記貫通穴内の空間とによって、動作騒音が吸収される複数の小型共鳴器群が形成される電子機器の消音装置を構成し、
    前記貫通穴内の空間の容積と、前記セルの前記空気層の容積との、少なくとも何れかを異なった容積とすることによって、少なくとも2つ以上の騒音周波数を吸収して複合騒音を抑制することを特徴とする、電子機器の複合騒音を抑制する消音方法。
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