JPWO2019008774A1 - 吸音材、車両用部品及び自動車 - Google Patents

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Abstract

本発明は、非貫通孔を有する吸音材であって、上記吸音材の上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記導入通路の円相当径をd、長さをL、開口面積をS、表面粗さをRaとし、上記中空部の体積をVとした場合に、上記円相当径dが、1〜30mmであり、上記長さLが、1〜20mmであり、以下の式(1)により求められたf(Hz)について500Hz≦f≦2000Hzが成り立つことを特徴とする吸音材。(式(1)中、音速cは34000cm/secであり、Raが0μmを超え、0.1μm以下の場合にはαは1.10であり、Raが0.1μmを超え、2.0μm以下の場合にはαは1.15であり、Raが2.0μmを超える場合にはαは1.18である。)[数1]

Description

本発明は、吸音材、車両用部品及び自動車に関する。
自動車等の車両は、エンジンなどの動力源を有し、人の操作によって移動できる機械であり、様々な振動や騒音を発生させる。車両内に伝達される音としては、動力源が発する音だけではなく、車両が走行する際に発生するロードノイズ、タイヤパターンノイズ、風切音等の、車両の外で発生する音も含まれる。これらの音が車両内に伝達されてしまうと、人に対して不快感を与えてしまうため、エンジン、エンジンルーム内、内装、ボディ、排気管周辺等において、遮音材・吸音材を用いて防音対策が行われている。
また、自動車の技術改良に伴い、自動車に対する新たな防音対策の必要が生じている。例えば、自動車の燃費向上の方策の一つとして、自動車の重心及び最低地上高を下げることが検討されている。自動車の重心を下げることで車両の安定感及び操作性が向上し、最低地上高を下げることで空気抵抗を低減することができる。しかしながら、自動車の最低地上高が低くなることで、走行時に車両と路面との間を流れる空気の粘性が高まる。そうすると、タイヤパターンノイズ(500〜3000Hzの周波数領域であり、単にパターンノイズともいう)等の走行時に路面から発生する騒音が車体下の周囲に反射・拡散しにくく、車両内に侵入する音の度合いが高くなると推定される。同様の問題は電気自動車でも起こりうる。
従って、自動車の燃費向上のために自動車の重心及び最低地上高を下げた場合、従来は自動車外に拡散していた騒音が、自動車に乗車している人に伝達されてしまうことが想定される。特に、車両後部、かつ、収容スペースが配置されているラゲッジルーム下部(床下空間)の底部からこれらの騒音が侵入しやすいと考えられる。これらの騒音には人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音も含まれるため、その対策が求められている。
特許文献1には、発泡成形により成形された柔軟な多孔質発泡体に、一方の面に開口する導入通路と、該導入通路の奥に形成され該導入通路よりも大きな断面積を持つ中空部とからなる多数の共鳴室を有する吸音材が開示されている。
特許文献2には、表面又は裏面に開口部を有する複数個の独立した盲空洞を有する樹脂成形体と吸音材を備え、特定の100Hz〜10kHz共鳴吸音ピーク周波数を有する吸・遮音構造体が開示されている。
特開平08−260589号公報 特開2001−249666号公報
ここで、特許文献1に記載された吸音材や特許文献2に記載された樹脂成形体には、ヘルムホルツ共鳴構造と呼ばれる孔が形成されている。
ここで、ヘルムホルツ共鳴構造について説明する。
図20(a)は、一般的なヘルムホルツ共鳴機構を模式的に示す斜視図であり、図20(b)は、図20(a)のA−A線断面図であり、ヘルムホルツ共鳴機構が共鳴する様子を模式的に示している。
図20(a)に示すように、一般的なヘルムホルツ共鳴機構500は、円柱状の導入通路510と、中空部520とからなる。
導入通路510は、円柱状であり、径d510、長さL510及び断面積S510を有する。また、中空部520は、体積V520を有する。
また、導入通路510には、空気A510が存在しており、中空部520には、空気A520が存在している。
ここで、一般的なヘルムホルツ共鳴機構500の導入通路510に音が到達した場合について説明する。
まず、中空部520内の空気A520は導入通路510以外から外部に出ることができない。また、図20(b)に示すように、導入通路510の空気A510が中空部520に入ろうとすると、中空部520内の空気A520は弾性体であるので、導入通路510の空気A510を外に押し出そうとする。すなわち、中空部520内の空気A520は、バネとして機能することになる。
ここで、導入通路510に音が到達し、導入通路510の空気A510が中空部520に入ろうとした場合、導入通路510の空気A510を剛体と考えると、導入通路510の空気A510の動きは、単振動の動きとして表すことができ、その際の周波数fは、以下の式(2)により、近似的に計算することができる。
Figure 2019008774
(式(2)中、cは音速である。)
また、この周波数(すなわち、共鳴周波数)において、導入通路510に到達した音は、共鳴し打ち消されることになる。
これが、ヘルムホルツ共鳴機構により音が吸収される原理とされている。
なお、実際には、導入通路510の空気A510は剛体では無く、また、周囲の空気も導入通路510の空気A510に影響を与えることになる。
そのため、上記式(2)は、以下の式(3)のように補正されて、共鳴周波数が計算されることになる。
Figure 2019008774
(式(3)中、cは音速である。)
しかし、上記式(3)に基づき、共鳴周波数が、所望の周波数になるようにヘルムホルツ共鳴機構を設計したとしても、実際の吸音材の吸音周波数が、計算上の共鳴周波数とずれる場合があった。
そのため、人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音を充分に吸収することができないという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、本発明は、人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音に対する対策が可能な吸音材を提供することを目的とする。
本発明者らは、計算上のヘルムホルツ共鳴機構の共鳴周波数と、実際のヘルムホルツ共鳴機構の吸音周波数とがずれる原因が、導入通路の表面粗さに起因することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の吸音材は、非貫通孔を有する吸音材であって、上記吸音材の上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記導入通路の円相当径をd、長さをL、開口面積をS、表面粗さをRaとし、上記中空部の体積をVとした場合に、上記円相当径dが、1〜30mmであり、上記長さLが、1〜20mmであり、以下の式(1)により求められたf(Hz)について500Hz≦f≦2000Hzが成り立つことを特徴とする。
Figure 2019008774
(式(1)中、音速cは34000cm/secであり、Raが0μmを超え、0.1μm以下の場合にはαは1.10であり、Raが0.1μmを超え、2.0μm以下の場合にはαは1.15であり、Raが2.0μmを超える場合にはαは1.18である。)
ヘルムホルツ共鳴構造を有する吸音材において、導入通路の表面粗さは、導入通路に存在する空気の移動に影響を与える因子となる。
そのため、表面粗さの違いにより、共鳴周波数を求める計算式に補正を行う必要がある。
本発明の吸音材は、このような補正を行った計算式に基づき設計されている。
そのため、本発明の吸音材では、式(1)により計算されるf(Hz)の値を500Hz〜2000Hzとなるように吸音材を設計することで、実際の吸音周波数を500Hz〜2000Hzの間に調整することができ、人にとって不快な500Hzから2000Hzの周波数帯域の騒音を確実に吸収することができる。
なお、円相当径とは、導入通路を長さ方向に対して垂直な方向に切断した際の導入通路の断面積を、同面積の真円に置き換えた場合の直径である。導入通路が真円の場合にはその直径をそのまま円相当径とすればよい。
なお、式(1)中のcは音速であり、本発明においては、音速c=34000cm/secを式(1)中の定数として用いることとする。
本発明の吸音材では、上記導入通路は円柱状であることが望ましい。
導入通路が円柱状であると、吸音特性に異方性がないため有利である。
本発明の吸音材は、樹脂及び/又は繊維質材料からなることが望ましい。上記樹脂は、発泡樹脂、ゴムなどのエラストマーであることが望ましい。
吸音材が樹脂製であると、軽量化が図りやすいため車両用部品として特に望ましい。
また、樹脂が発泡樹脂であると、その重量をより軽くすることができ、車両用部品とした場合に燃費の向上に寄与することができる。
本発明においては、樹脂及び繊維の複合材であってもよい。複合化の方法としては、樹脂と繊維を混合してもよく、樹脂と繊維をブロック状に組み合わせてもよい。
本発明の車両用部品は、本発明の吸音材を備えることを特徴とする。
本発明の吸音材は防音性能に優れるため、車両用部品として優れる。
本発明の吸音材を備える車両用部品としては、嵩上げ材、仕切り部材、ラゲッジボックス等が挙げられる。
本発明の自動車は、本発明の吸音材の導入通路を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする。
このような向きに本発明の吸音材を配置することで、路面から伝わるタイヤパターンノイズの騒音を吸収することができ、騒音が車内に伝わることを防止することができる。
図1は、本発明の吸音材の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の吸音材の一例を模式的に示す断面図である。 図3(a)は、本発明の吸音材が配置される部位の一例を模式的に示す説明図であり、図3(b)は、図3(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。 図4(a)は、本発明の吸音材の製造方法において用いる金型の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線断面図である。 図5は、本発明の吸音材の製造方法において、発泡樹脂を作製する工程の一例を模式的に示す説明図である。 図6(a)〜図6(c)は、本発明の吸音材の製造方法において、発泡樹脂から突起を抜き取る工程の一例を模式的に示す説明図である。 図7は、吸音材に対する残響室吸音率の測定方法を模式的に示す説明図である。 図8は、実施例1−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図9は、実施例1−2に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図10は、実施例1−3に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図11は、実施例1−4に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図12は、実施例1−5に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図13は、実施例1−6に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図14は、実施例1−7に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図15は、比較例1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図16は、比較例2に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図17は、比較例3に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図18は、実施例2−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図19は、実施例3−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。 図20(a)は、一般的なヘルムホルツ共鳴機構を模式的に示す斜視図であり、図20(b)は、図20(a)のA−A線断面図であり、ヘルムホルツ共鳴機構が共鳴する様子を模式的に示している。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明の吸音材は、非貫通孔を有する吸音材であって、上記吸音材の上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記導入通路の円相当径をd、長さをL、開口面積をS、表面粗さをRaとし、上記中空部の体積をVとした場合に、上記円相当径dが、1〜30mmであり、上記長さLが、1〜20mmであり、以下の式(1)により求められたf(Hz)について500Hz≦f≦2000Hzが成り立つことを特徴とする。
Figure 2019008774
(式(1)中、音速cは34000cm/secであり、Raが0μmを超え、0.1μm以下の場合にはαは1.10であり、Raが0.1μmを超え、2.0μm以下の場合にはαは1.15であり、Raが2.0μmを超える場合にはαは1.18である。)
本発明において、式(1)のf(Hz)が500Hz〜2000Hzを満たすことにより、人が不快に感じる周波数500Hz〜2000Hzの騒音を吸音しやすくなる理由は、次のように推定される。
ヘルムホルツ共鳴構造を有する吸音材において、導入通路の表面粗さは、導入通路に存在する空気の移動に影響を与える因子となる。
そのため、表面粗さの違いにより、共鳴周波数を求める計算式に補正を行う必要があると考えられる。
本発明の吸音材は、このような補正を行った計算式に基づき設計されている。
そのため、本発明の吸音材では、式(1)により計算されるf(Hz)と、実際の吸音周波数との間にずれが少ない。従って、f(Hz)の値を吸収したい周波数帯域である500〜2000Hzに設定することで、当該帯域の騒音を確実に吸収することができる。
本発明の吸音材において、円相当径dは、1〜30mmであることが望ましく、3〜25mmであることがより望ましい。
また、開口面積Sの望ましい大きさは、上記円相当径dの長さから算出できるが、具体的には、0.8〜706.8mmであることが望ましく、7.1〜490.9mmであることがより望ましい。
本発明の吸音材において、長さLは、1〜20mmであることが望ましく、3〜15mmであることがより望ましい。
本発明の吸音材において、表面粗さRaは、0を超え15μm以下であることが望ましく、0.01〜10μmであることがより望ましい。
本発明において、導入通路の表面粗さRaとは、JIS B 0601(2001)によって定義される算術平均粗さをいい、以下の方法により測定される値のことを意味する。
まず、導入通路の中空部側の端部から反対の端部の方向に、10%、30%、50%、70%、90%の部分を表面粗さ測定基準点とする。
次に、各表面粗さ測定基準点を中心として正方形の領域での表面粗さRaを、レーザー式表面粗さ測定装置(機種名:キーエンス社製 製品名:VX−9700)を用いて測定する。測定は次のように行う。最初に導入通路の断面に対して垂直方向に切断した測定片を用意する。次に測定片の導入通路の表面を上面にして、測定装置に固定し、レーザー式表面粗さ測定装置の顕微鏡の倍率50倍にして、測定基準点に対して、ピントを合わせて、波長400nmのレーザーによる測定を行う。このとき、測定基準点を中心として、縦:100μm 横:100μmでの正方形の領域で表面の面粗さ曲線を間隔10μmで計測、描画し(従って、10個の面粗さ曲線が描かれる)、各面粗さ曲線からRaを演算、これら10個のRaの値の平均を測定基準点の面粗さRaとする。同様の計測を各測定基準点で行い、5つの測定基準点の測定値の平均値を導入通路の表面粗さRaとする。
本発明の吸音材において、中空部の体積Vは、24〜329,860mmであることが望ましく、257〜246,766mmであることがより望ましい。
本発明の吸音材において、導入通路の体積は、開口面積S×長さLで示される。
理論上、ヘルムホルツ共鳴構造において、共鳴周波数を求める式が成り立つ場合は、導入通路の体積に比べ、中空部の体積が充分に大きい場合である。
本発明の吸音材では、導入通路は、円柱状であることが望ましく、導入通路が円柱状である場合その長さ方向に垂直な方向の断面形状が真円であることが望ましい。
導入通路が円柱状であると、吸音特性に異方性がないため有利である。
本発明の吸音材では、中空部の形状は、特に限定されず、球状の中空形状であってもよく、柱状の中空形状であってもよい。これらの中では、柱状の中空形状であることが望ましく、円柱状の中空形状であることがより望ましい。
中空部が円柱状の中空形状である場合、その高さは、1〜20mmであることが望ましく、3〜15mmであることがさらに望ましい。
本発明の吸音材において、吸音材の厚さは、10〜120mmであることが望ましい。吸音材の厚さは、20〜100mmであることがさらに望ましい。
吸音材の厚さが、10mm未満である場合、ヘルムホルツ共鳴構造が機能する非貫通孔を形成しにくくなる。
吸音材の厚さが、120mmを超える場合、吸音材が大きくなりすぎ、所望のスペースに配置しにくくなる。
本発明の吸音材は、樹脂及び/又は繊維質材料からなることが望ましい。上記樹脂は、発泡樹脂、ゴムなどのエラストマーであることが望ましい。
吸音材が樹脂製であると、軽量化が図りやすいため車両用部品として特に望ましい。
また、樹脂が発泡樹脂であると、その重量をより軽くすることができ、車両用部品とした場合に燃費の向上に寄与することができる。
本発明においては、樹脂及び繊維の複合材であってもよい。複合化の方法としては、樹脂と繊維を混合してもよく、樹脂と繊維をブロック状に組み合わせてもよい。
樹脂としては、発泡性樹脂粒子(ビーズ)からなる発泡樹脂、気泡を有する発泡樹脂、繊維、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることが望ましい。
上記樹脂の密度ρmが0.01〜1g/cmである材料であることが好ましく、さらに、密度ρmが0.02〜0.1g/cmであることがさらに好ましい。なお、上記樹脂が発泡樹脂である場合、樹脂の密度は、発泡成形された発泡樹脂の密度を指す。
樹脂の密度が上記範囲内であると、吸音材として必要な強度を得やすい。
一方、樹脂の密度が0.01g/cm未満であると、吸音材として充分な機械的強度を得られないことがある。また樹脂の密度が1g/cmを超える場合には、吸音材の重量が増加してしまい、車両の軽量化の妨げとなる。
また、樹脂は、発泡性樹脂粒子(ビーズ)からなる発泡樹脂がより望ましい。樹脂が発泡性樹脂粒子(ビーズ)からなる発泡樹脂であると、強度を維持したまま吸音材の重量を軽くすることができ、車両用部品に使用した場合に燃費の向上に寄与することができる。
なお、発泡樹脂は、発泡性樹脂粒子を発泡・成形して得られる。
本発明の吸音材で使用される発泡性樹脂粒子(ビーズ)は、樹脂粒子の内部に発泡剤を含有する粒子であり、公知のものを好適に使用することができる。
発泡性樹脂粒子を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン単重合体、スチレン及びスチレンと共重合可能な単量体(又はその誘導体)を共重合して得られる共重合体が挙げられる。スチレン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素類等が挙げられる。
本発明の吸音材で使用される発泡性樹脂粒子には、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、加工助剤、充填剤、抗酸化剤、耐光性安定剤、帯電防止剤及び着色剤等の公知の添加剤を添加してもよい。添加剤の使用の一例としては、着色剤に黒系のものを用いれば、汚れが目立たなくなる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系難燃剤、赤リン、リン酸アンモニウム等のリン酸系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA(TABB)、臭素化ポリスチレン、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、炭酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤等が挙げられる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
加工助剤としては、ステアリン酸塩、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
充填剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル、β,β−チオプロピオン酸エステル、有機亜リン酸エステル及びフェノール・ニッケル複合体等が挙げられる。
耐光性安定剤としては、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系の安定剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、脂肪酸エステル化合物、脂肪族エタノールアミン化合物及び脂肪族エタノールアミド化合物等の低分子型帯電防止剤並びに高分子型帯電防止剤等が挙げられる。
着色剤としては、染料及び顔料等が挙げられる。
本発明の吸音材において使用される発泡性樹脂粒子の平均粒径は、300μm〜2400μmであることが望ましく、800μm〜2000μmであることがより望ましい。
発泡性樹脂粒子の発泡倍率は、10〜60倍であることが望ましい。
発泡倍率を10〜60倍の範囲にすることにより、樹脂の密度を0.02〜0.1g/cmの範囲に調整しやすくなる。
一方、発泡倍率が10倍未満の場合、吸音材が硬くなりすぎたり、重くなりすぎる場合がある。また発泡倍率が60倍を超える場合、吸音材として強度が不足することがある。
本発明の吸音材において使用される気泡を有する発泡樹脂は、ポリウレタン等を用いることができる。主剤となるポリウレタン、発泡剤等を混合し、発泡、成形させることで、気泡を有する発泡樹脂を得ることができ、それにより吸音材を製作することができる。
本発明の吸音材において使用される樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。
本発明の吸音材において使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂を樹脂ペレットとして成形し、樹脂ペレットを加熱させ、射出成形、押出成形等の成形加工による吸音材製作をすることができる。
本発明の吸音材において使用される熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド及びポリアクリルアミドなどを用いることができる。熱硬化性樹脂を予熱し、金型に入れ、加圧し、金型温度を上げて、硬化させることで吸音材を製作することができる。
本発明の吸音材において使用される繊維は、有機繊維、無機繊維であることが望ましく、有機繊維としてはポリエステル、ポリアミド、アセテート等を使用できる。無機繊維としては、アルミナ、シリカ、ムライトファイバーが望ましい。繊維をバインダで相互に接着してフェルト状にすることが望ましい。
また、本発明の吸音材の非貫通孔部分以外の部分は、樹脂製の他に、無機材、金属材等の材料であってもよい。
本発明の吸音材において表面に開口する非貫通孔の配列パターンは、正方形を縦横に連続して配置した平面において正方形の頂点に非貫通孔を配置する正方配列であってもよく、正三角形を縦横に連続して配置した平面において三角形の頂点に非貫通孔を配置する千鳥配列であってもよい。
これらの中では、千鳥配列であることが望ましい。非貫通孔の配列パターンが千鳥配列であると、隣接する非貫通孔が全て等間隔となりやすいため、吸音効果が向上する。
このような本発明の吸音材の一例について以下に図面を用いて説明する。
図1は、本発明の吸音材の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、吸音材100は、非貫通孔101を有する吸音材である。
吸音材100の非貫通孔101は、表面に開口する導入通路110と導入通路110を介して外部と接続される中空部120からなるヘルムホルツ共鳴構造を有している。
吸音材100において、導入通路110は、直径d110、長さL110を有する円柱状である。
また、導入通路110の開口の面積は、S110であり、導入通路110の表面粗さは、Ra110である。
吸音材100において、中空部120は、体積V120を有する円柱状の中空形状である。
吸音材100では、直径d110が、1〜30mmであり、長さL110が1〜15mmである。
そして、以下の式(1´)により求められたf(Hz)について500≦f≦2000が成り立つことを特徴とする。
Figure 2019008774
(式(1´)中、音速cは34000cm/secであり、Ra110が0μmを超え、0.1μm以下の場合にはαは1.10であり、Ra110が0.1μmを超え、2.0μm以下の場合にはαは1.15であり、Ra110が2.0μmを超える場合にはαは1.18である。)
導入通路の壁面の表面状態は、平坦ではなく、凹凸を有している。この凹凸は、材料、成形加工等によっても異なっている。そのため、導入通路の長さは、導入通路の断面での長さと同一とならない。そのため、上記式(3)で計算される共鳴周波数と、実際の吸音材の吸音周波数がずれることがあった。そのため、導入通路の表面粗さによる補正係数αで補正して、式(1)とすることにより、計算上の共鳴周波数と実際の吸音材の吸音周波数のずれを解消することができると推定される。
ところで、本発明の吸音材では、1つの中空部に同じ形状のn個(nは2以上の自然数)の導入通路が形成されていてもよい。
この場合、吸音材の各導入通路に音が到達すると、各導入通路内の空気は同時に中空部の方へ押されることになる。中空部内の空気は弾性体なので、導入通路内の空気を外に押し出そうとする。
導入通路内の空気を外に押し出そうとする力は、中空部内の空気の体積に依存するが、この場合、1つの導入通路にV/nの体積を有する中空部があるヘルムホルツ共鳴機構がn個あると考えることができる。
すなわち、1つの導入通路に対する空気を外に押し出そうとする力は、中空部内の空気の体積を導入通路の数で割った値を基準に、近似的に計算することができる。
つまり、上記式(1)において、Vを、中空部全体の体積Vをnで割った値として計算することにより、fを算出することができる。
このような本発明の吸音材の一例について以下に図面を用いて説明する。
図2は、本発明の吸音材の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、吸音材200は、非貫通孔201を有する吸音材である。
吸音材200の非貫通孔201は、表面に開口するn個(nは2以上の自然数)の導入通路210と導入通路210を介して外部と接続される中空部220からなるヘルムホルツ共鳴構造を有している。
吸音材200において、導入通路210は、直径d210、長さL210を有する円柱状である。
また、導入通路210の開口の面積は、S210であり、導入通路210の表面粗さは、Ra210である。
図2において、中空部220全体の体積は符号V220で示される。
吸音材200では、直径d210が、1〜30mmであり、長さL210が1〜15mmである。
図2に示すように、吸音材200には、中空部の体積がV220/nのヘルムホルツ共鳴構造が、n個あると考えることができる。
従って、上記式(1)において、VをV220/nとして算出することにより、fを算出することができる。
本発明の吸音材を車両用部品として用いた例、及び、本発明の吸音材を配置してなる自動車の例について、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。
図3(a)は、本発明の吸音材が配置される部位の一例を模式的に示す説明図であり、図3(b)は、図3(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。
図3(a)に示すように、自動車1は、後部座席2の後方にラゲッジルーム3を備える。ラゲッジルーム3の下部には、板状のフロア部材4が敷設されており、フロア部材4の下には床下空間5が存在する。
床下空間5の下に、非貫通孔101の開口した面が路面方向に向くように吸音材100が自動車内に配置される。
本発明の吸音材100は、導入通路110の表面粗さを考慮してf(Hz)が、500≦f≦2000となるように設計されている。
そのため、人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音が車室内に侵入することが防止され、車室内にいる人が不快と感じることが低減される。
続いて、本発明の吸音材を製造する方法について説明する。
本発明の吸音材は、樹脂層にヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成することにより製造することができる。
本発明の吸音材の樹脂層に非貫通孔を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂層にカッター等の工具を用いて手作業で貫通孔を形成してもよい。
また、工業的に大量生産する場合には、導入通路及び中空部となる形状の突起を金型内に配置し、金型内で樹脂層を成形した後、突起を抜き取る方法等が挙げられる。このような方法の一例について以下に説明する。
本発明の吸音材の製造方法では、まず、内部に突出する複数の突起を配置してなる金型内に発泡性樹脂粒子を充填して加熱発泡させるビーズ法により発泡樹脂を作製する。
次に、発泡樹脂から突起を抜き取ることによって発泡樹脂に非貫通孔を形成することができる。
上記方法では、発泡樹脂粒子を金型に充填して水蒸気加熱等の方法により発泡させるビーズ法により発泡樹脂を作製する。
金型内には、内部に突出する複数の突起が配置されているので、該突起の部分には発泡樹脂粒子が充填されない。そのため、発泡樹脂から該突起を抜き取ることで、該突起の形状に対応した非貫通孔を、発泡樹脂に形成することができる。
上記突起の材料は特に限定されないが、少なくとも一部が樹脂弾性体で構成されていることが望ましい。
突起の少なくとも一部が樹脂弾性体で構成されていると、発泡樹脂から突起を抜き取る際に突起が変形し、抜き取りが容易となる。
また、上記突起は、軸部と傘部からなる略キノコ形状であり、上記軸部が上記金型に固定されてなることが望ましい。
突起が軸部と傘部からなる略キノコ形状であり、軸部が金型に固定されていると、発泡樹脂には、軸部の形状に対応し導入通路が形成され、傘部の形状に対応し中空部が形成されることになる。
上記突起において、上記軸部は金属で構成され、上記傘部は上記樹脂弾性体で構成されていることが望ましい。
突起の軸部が金属で構成されていると、機械的強度が高いため、繰り返しの使用により突起の破損が起こりにくく、突起の寿命を長く保つことができ、耐久性の高い金型が得られる。
さらに、突起の傘部が樹脂弾性体で構成されていると、傘部のみを変形させられるため、発泡樹脂から突起を容易に抜き取ることができる。
上記突起において、上記樹脂弾性体の耐熱温度は、上記発泡性樹脂粒子の加熱発泡の温度よりも高いことが望ましい。
ビーズ法における発泡性樹脂粒子の加熱発泡の温度よりも樹脂弾性体の耐熱温度が高いと、発泡性樹脂粒子を発泡させる際の熱で突起の形状が変形しにくくなり、繰り返しの使用に対する耐久性が得られる。
ビーズ法における発泡性樹脂粒子の加熱温度は、80〜150℃であるため、樹脂弾性体の耐熱温度は上記温度よりも高くすることが望ましく、具体的には100〜180℃であることが望ましく、155〜180℃であることがより望ましい。
上記突起において、上記樹脂弾性体のA硬度は50°以下であることが望ましい。
樹脂弾性体のA硬度が50°以下であると、加熱発泡による発泡樹脂の成形時には非貫通孔の形状を充分に保持することができ、成形後に発泡樹脂から突起を抜き取る際には、突起が変形して抜き取りやすくなる。
なお、A硬度とは、JIS K 6253−3(2012)に準拠して測定されるタイプAデュロメータを用いた硬度を意味する。
上記突起において、上記樹脂弾性体は、シリコーン樹脂又はシリコーンゲルであることが望ましい。
樹脂弾性体がシリコーン樹脂又はシリコーンゲルであると、樹脂弾性体の耐熱温度が高いので、加熱発泡時に突起の形状が変形しにくく、繰り返しの使用において高い耐久性を有する。さらに、発泡樹脂から突起を抜き取る際に変形させやすく、発泡樹脂からの突起の抜き取りが容易となる。さらに、ヘルムホルツ共鳴構造を形成するような形状の突起を用いた場合であっても、中空部を形成する突起(傘部)が変形して導入通路を通過できるようになるため、発泡樹脂に形成されたヘルムホルツ共鳴構造を破損させることなく突起を発泡樹脂から抜き取ることができる。
このような吸音材の製造方法の一例について図面を用いて説明する。
図4(a)は、本発明の吸音材の製造方法において用いる金型の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線断面図である。
吸音材の製造方法では、まず、図4(a)に示すような金型50を準備する。
金型50は、その内部に複数の突起60を有している。図4(b)に示すように、突起60は、軸部61と傘部62からなる略キノコ形状であり、軸部61が金型50に固定されている。
図5は、本発明の吸音材の製造方法において、発泡樹脂を作製する工程の一例を模式的に示す説明図である。
次に、図5に示すように、金型50内に発泡性樹脂粒子を充填して加熱発泡させるビーズ法により発泡樹脂102を作製する。
図6(a)〜図6(c)は、本発明の吸音材の製造方法において、発泡樹脂から突起を抜き取る工程の一例を模式的に示す説明図である。
図6(a)に示すように、発泡成形後の発泡樹脂102には、軸部61と傘部62からなる突起60が埋没しており、傘部62は樹脂弾性体で構成されている。
突起60を発泡樹脂102から抜き取ろうとすると、図6(b)に示すように、傘部62が変形する。傘部62は樹脂弾性体で構成されていて変形しやすく、発泡樹脂102は変形しないためである。傘部62が変形しながら通過することにより、突起60を発泡樹脂102から抜き取ることができる。
突起60を発泡樹脂102から抜き取ると、図6(c)に示すように、傘部62の形状は元に戻り、突起60が埋没していた空間が非貫通孔101となる。非貫通孔101のうち、表面に開口する導入通路110の形状は軸部61の形状に対応し、導入通路110を介して外部と接続される中空部120の形状は傘部62の形状に対応する。
このような工程を経て吸音材を製造することができる。
なお、本発明の吸音材において、導入通路の表面粗さRaは、導入通路の加工条件、例えば、突起60の硬度を調整することで表面粗さRaを調整できる。また、研磨処理、サンドブラスト等の粗面化処理により調整することもできる。
(実施例)
以下に、本発明をより具体的に説明する具体例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
(突起ユニットの作製)
厚さ10mmのアルミ板の表面に隣り合う中空部の側面間距離を10mmの千鳥配列となるように10個の穴(直径3mm、深さ5mm)をドリルで開けたアルミ基板を準備した。
続いて、アルミ基板に取り付ける突起を作製するためのアクリル製の型を準備した。
アクリル製の型は2つに分割可能(一方を雄型、他方を雌型とする)であり、内部に軸部となる直径3mm、長さ15mmの円柱、及び、傘部となる直径10mm、長さ10mmの円柱の形状が各円柱の中心軸を揃えて連結された略キノコ形状の空洞を有している。該形状の空洞を得るため、分割した各型の表面を切削加工した。雄型及び雌型の表面には、それぞれ、上記略キノコ形状を長さ方向に沿って2分割した形状に対応した凹み(空洞)が形成されている。
シリコーン樹脂の主剤[信越化学工業(株)製、KE−17]100部に対して硬化剤[信越化学工業(株)製、CAT−RM]を0.5部混合し、真空脱泡(脱泡時間:20分)を行った後、雌型及び雌型の空洞内に流し込み、雌型及び雌型を合わせて輪ゴムで固定し、70℃で20分硬化させた。硬化後、雌型及び雌型を分離して硬化物を取り出し、バリを除去することにより、直径10mm、長さ10mmの円柱と直径3mm、長さ15mmの円柱が各円柱の中心軸を揃えて連結された略キノコ形状の成形体を得た。成形体を構成する樹脂弾性体のA硬度は50°であった。
続いて、成形体の直径3mmの端部を深さ5mmまで、アルミ基板の穴に差し込むことにより、アルミ基板上に10個の突起が固定された突起ユニットを準備した。該突起は、直径3mm、長さ10mmの円柱状の軸部と、直径10mm、長さ10mmの円柱状の傘部から構成されていた。
(発泡樹脂の発泡)
突起ユニットをダイホルダに取り付けて金型を準備し、予備発泡させた一次発泡粒子(ポリプロピレン製、平均粒子径3.5mm、発泡剤:二酸化炭素)を金型内に充填するとともに、加熱蒸気で発泡成形(143℃、10秒)し、金型から取り外した後、80℃で12時間乾燥させることにより板状の有孔発泡樹脂を作製した。このとき、発泡樹脂の発泡倍率は30倍であった。
(突起ユニットの分離)
発泡成形後に、発泡樹脂と突起ユニットとを一体化した状態で取り出し、発泡樹脂と突起ユニットを分離した。
これにより、導入通路及び中空部からなる非貫通孔が形成された吸音材を作製した。
実施例1−1に係る吸音材では、導入通路の内径dが3mm、長さLが10mm、開口面積Sが7.1mm、表面粗さRaが1.02μmであった。
また、中空部の体積Vは785mmであった。
なお、表面粗さは、導入通路の長さ方向に対して、10%、30%、50%、70%、90%の5つを測定基準点とし、レーザー式表面粗さ測定装置(機種名:キーエンス社製 製品名:VX−9700)を用いて測定した。測定する前に、導入通路の断面でカットした測定片を用意する。測定片の導入通路の表面を上面にして、セットをし、レーザー式表面粗さ測定装置の顕微鏡の倍率50倍にして、測定基準点に対して、ピントを合わせて、レーザーによる測定を行う。このとき、測定基準点を中心として、縦:100μm 横:100μmでの正方形の領域で表面粗さRaを測定し、その結果、10%の位置のRa:1.10μm、30%の位置のRa:0.97μm、50%の位置のRa:1.08μm、70%の位置のRa:1.00μm、90%の位置のRa:1.07μmであり、これら5点の平均値を計算して、表面粗さRaが1.02μmとした。
(実施例1−2〜実施例1−7、実施例2−1、実施例3−1及び比較例1〜比較例3)
中空部の内径及び導入通路の表面粗さRaが表1及び表2に示す値になるような金型を用いた以外は、実施例1−1と同様にして実施例1−2〜実施例1−7、実施例2−1、実施例3−1及び比較例1〜比較例3に係る吸音材を得た。
Figure 2019008774
Figure 2019008774
(吸音周波数測定実験)
実施例1−1〜実施例1−7、実施例2−1、実施例3−1及び比較例1〜比較例3の吸音材について、周波数を変化させながら吸音率を測定することにより、吸音周波数を実測した。
吸音率の測定は、残響室法吸音率試験により行った。測定はJIS A 1409−:1998「残響室吸音率の測定方法」に準じて行った。
図7は、吸音材に対する残響室吸音率の測定方法を模式的に示す説明図である。
図7に示すように、吸音率を測定する際には、各実施例及び各比較例に係る吸音材300を導入通路の開口を上面にして、残響室80の床面81に載置し、残響室80内でノイズ信号発生器82からスピーカー83を通じ電気的なノイズを放射させる。次に音の放射を止め、音をマイクロホン84で測定し、減衰過程を信号分析器85で分析する。試験体が設置される前の状態で、分析された減衰曲線から音が60dB減衰する時間である残響時間、T1〔sec.〕、試験体が床面に設置された後の状態で、測定された減衰曲線から音が60dB減衰する時間である残響時間、T2〔sec.〕を求める。測定は300−5000Hzで行う。
(残響室法吸音率の算出)
分析により求められた残響時間と試験体表面積Sより、以下の式(4)により残響室法吸音率αsを算出する。
Figure 2019008774
(式(4)中、V:室容積〔m〕、c:34000cm/sec(音速))
得られた吸音率チャートにおける、吸音率が大きくなる領域のピークの極大値を吸音周波数とした。
上記吸音波長測定実験の結果を図8〜図19並びに表1及び表2に示す。
図8は、実施例1−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図9は、実施例1−2に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図10は、実施例1−3に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図11は、実施例1−4に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図12は、実施例1−5に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図13は、実施例1−6に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図14は、実施例1−7に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図15は、比較例1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図16は、比較例2に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図17は、比較例3に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図18は、実施例2−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
図19は、実施例3−1に係る吸音材の周波数‐吸音率のグラフである。
各実施例の吸音材は、吸音周波数が500〜2000Hzの範囲に入っている。従って、人が不快に感じる周波数領域である500〜2000Hzの領域の騒音を吸収することができる。
1 自動車
2 後部座席
3 ラゲッジルーム
4 フロア部材
5 床下空間
50 金型
60 突起
61 軸部
62 傘部
80 残響室
81 床面
82 ノイズ信号発生器
83 スピーカー
84 マイクロホン
85 信号分析器
100、200、300 吸音材
101、201 非貫通孔
102 発泡樹脂
110、210、510 導入通路
120、220、520 中空部
500 ヘルムホルツ共鳴機構

Claims (6)

  1. 非貫通孔を有する吸音材であって、
    前記吸音材の前記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と前記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、
    前記導入通路の円相当径をd、長さをL、開口面積をS、表面粗さをRaとし、
    前記中空部の体積をVとした場合に、
    前記円相当径dが、1〜30mmであり、
    前記長さLが、1〜20mmであり、
    以下の式(1)により求められたf(Hz)について500(Hz)≦f≦2000(Hz)が成り立つことを特徴とする吸音材。
    Figure 2019008774
    (式(1)中、音速cは34000cm/secであり、Raが0μmを超え、0.1μm以下の場合にはαは1.10であり、Raが0.1μmを超え、2.0μm以下の場合にはαは1.15であり、Raが2.0μmを超える場合にはαは1.18である。)
  2. 前記導入通路は円柱状である請求項1に記載の吸音材。
  3. 前記吸音材が樹脂及び/又は繊維質材料からなる請求項1又は2に記載の吸音材。
  4. 前記樹脂は、発泡樹脂である請求項3に記載の吸音材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音材を備えることを特徴とする車両用部品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音材の導入通路を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする自動車。
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