JP2018158691A - 車両用吸音材、車両用部品、自動車及び自動車用仕切り部材 - Google Patents

車両用吸音材、車両用部品、自動車及び自動車用仕切り部材 Download PDF

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秀樹 古澤
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Abstract

【課題】 形状保持性があり、防音性能が維持される車両用吸音材を提供すること。
【解決手段】 非貫通孔を有する樹脂製の車両用吸音材であって、上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする車両吸音材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用吸音材、車両用部品、自動車及び自動車用仕切り部材に関する。
自動車等の車両は、エンジンなどの動力源を有し、人の操作によって移動できる機械であり、様々な振動や騒音を発生させる。車両内に伝達される音としては、動力源が発する音だけではなく、車両が走行する際に発生するロードノイズ、タイヤパターンノイズ、風切音等の、車両の外で発生する音も含まれる。これらの音が車両内に伝達されてしまうと、人に対して不快感を与えてしまうため、エンジン、エンジンルーム内、内装、ボディ、排気管周辺等において、特許文献1〜4に示した遮音材・吸音材を用いて防音対策が行われている。自動車の騒音起因別周波数帯は、非特許文献1などに開示されており、例えば、自動車のロードノイズは100〜500Hz、タイヤパターンノイズ(パターンノイズともいう)は500〜5000Hzである。
特許文献1には、音源に対して吸音材、遮音材、吸音材を積層した防音材を車両用途に用いることが開示されている。
特許文献2には、α−アルミナ結晶化率5%以下及びムライト結晶化率80%以下の結晶質アルミナファイバーからなる吸音材を、自動車の消音器用吸音材に用いることが開示されている。
特許文献3には、発泡成形により成形された柔軟な多孔質発泡体に、一方の面に開口する導入通路と、該導入通路の奥に形成され該導入通路よりも大きな断面積を持つ中空部とからなる多数の共鳴室を有する吸音材が開示されている。
特許文献4には、ラゲッジルームのフロア部材によって形成される閉空間と、該閉空間を容器部とダクト部とに仕切る仕切壁と、該仕切壁に設けられ、容器部とダクト部とを連通する連通口と、ダクト部の該連通口とは逆側に設けられた開口部とからなる車両の吸音構造によって、200〜300Hzのロードノイズを抑制できることが開示されている。
国際公開第2012/102345号 特開2006−22817号公報 特開平08−260589号公報 特開2015−136981号公報
自動車技術ハンドブック編集委員会著、「自動車技術ハンドブック (1)分冊 基礎・理論編」、(公財)自動車技術会、2004年9月、第325頁
しかしながら、自動車の技術改良に伴い、自動車に対する新たな防音対策の必要が生じている。例えば、自動車の燃費向上の方策の一つとして、自動車の重心及び最低地上高を下げることが検討されている。自動車の重心を下げることで車両の安定感及び操作性が向上し、最低地上高を下げることで空気抵抗を低減することができる。しかしながら、自動車の最低地上高が低くなることで、走行時に車両と路面との間を流れる空気の粘性が高まる。そうすると、ロードノイズ(100〜500Hzの周波数領域)やタイヤパターンノイズ(500〜3000Hzの周波数領域であり、単にパターンノイズともいう)等の走行時に路面から発生する騒音が車体下の周囲に反射・拡散しにくく、車両内に侵入する音の度合いが高くなると推定される。同様の問題は電気自動車でも起こりうる。
従って、自動車の燃費向上の為に自動車の重心及び最低地上高を下げた場合、従来は自動車外に拡散していた騒音が、自動車に乗車している人に伝達されてしまうことが想定される。特に、車両後部、かつ、収容スペースが配置されているラゲッジルーム下部(床下空間)の底部からこれらの騒音が侵入しやすいと考えられる。これらの騒音には人が不快に感じる800〜2000Hzの周波数領域の騒音も含まれるため、その対策が求められている。
特許文献1、2に記載された吸音材は、繊維系の材料を用いていることから、2000Hzを超える高周波数領域では充分な吸音率を発揮するが、800〜2000Hzの周波数領域での吸音率が充分ではなかった。
特許文献3に記載された吸音材には、中空部を有する柔軟な多孔質発泡体が採用されているため、材料強度の不足がある。そのため、特許文献3に記載されたような柔軟性を有する多孔質発泡体では、荷重下における使用や車両振動を受けやすい条件での使用によって、吸音材又は中空部の形状が変形することが想定される。吸音材や中空部の形状が変形すると、設計により狙った周波数領域の防音性能が低下するという問題があった。
特許文献4に記載された吸音材では、200〜300Hzの周波数領域のロードノイズを除去することを主目的としており、800〜2000Hzの周波数領域の騒音には充分に対応できないという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、形状保持性があり、防音性能が維持される車両用吸音材を提供することである。さらに、800〜2000Hzの周波数領域において優れた防音性能を有する車両用吸音材を提供することである。
すなわち、本発明の車両用吸音材は、非貫通孔を有する樹脂製の車両用吸音材であって、上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする。
50%変形圧縮応力σ50とは、被測定物に圧縮荷重をかけた場合に、被測定物の圧縮方向の厚さが、荷重がかかっていない状態の厚さの50%に到達した時点(50%変形時)における荷重を、被測定物の圧縮方向に垂直な方向における被測定物の圧縮前の断面積で除した値をいう。
なお、50%変形圧縮応力を測定する際の測定用サンプル(被測定物)には、非貫通孔が形成されていない樹脂を用いる。
表面に開口する導入通路の円相当径は該導入通路を介して外部と接続される中空部の円相当径よりも小さい。このような、導入通路と中空部からなる構造は、ヘルムホルツ共鳴構造とも呼ばれ、特定の周波数の音を内部で共鳴させ、熱エネルギーに変換する(すなわち吸音する)特性に優れている。
本発明の車両用吸音材はヘルムホルツ共鳴構造となる非貫通孔(ヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔ともいう)を有しているため、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れ、タイヤパターンノイズの抑制に有効である。
また、本発明の車両用吸音材は、JIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaである樹脂により構成されているため、非貫通孔を有する場合であっても強度に優れ、振動や応力等による吸音材もしくは非貫通孔の変形が少なく、設計により狙った防音性能を維持することができる。
本発明の車両用吸音材において、上記樹脂の密度は、0.02〜0.1g/cmであることが望ましい。
樹脂の密度が上記範囲内であると、車両用吸音材としての強度及び長期使用に対する耐久性を得やすい。また、車両用吸音材として軽量化を図りやすい。
本発明の車両用吸音材において、上記樹脂は、発泡樹脂であることが望ましい。
発泡樹脂は発泡性樹脂を用いたものであることがより望ましく、特にビーズ法により得られる発泡樹脂であることが望ましい。
樹脂が発泡樹脂であると、車両用吸音材の重量を軽くすることができ、燃費の向上に寄与することができる。
また、発泡樹脂がビーズ法により得られたものであると、車両用吸音材として充分な強度を備えつつ、軽量化を図ることができるため、防音性能だけでなく、燃費の向上に寄与することができる。なおビーズ法とは、発泡性樹脂粒子(ビーズともいう)を加熱発泡し、成型して所定形状の発泡樹脂を得る方法である。
本発明の車両用吸音材において、上記非貫通孔の深さ方向における、上記導入通路の長さと上記中空部の長さの合計が10mm以上であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能を得やすい。
本発明の車両用吸音材において、上記導入通路の体積は、上記中空部の体積の2.4〜20%であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さが同一である場合、導入通路の体積を中空部の体積の2.4〜20%の範囲に調整すると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。
本発明の車両用吸音材において、上記非貫通孔の1つあたりの開口面積は、0.70〜20.0mmであることが望ましい。
非貫通孔の1つあたりの開口面積(すなわち、導入通路の開口面積)が上記範囲内であると、車両用吸音材が受けた、800〜2000Hzの周波数領域の音が中空部内まで充分に入射するため、防音性能に優れる。
本発明の車両用吸音材は、第1の貫通孔を有する第1の樹脂層、上記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2の樹脂層及び貫通孔を有しない第3の樹脂層がこの順で積層されてなり、上記第1の貫通孔が上記導入通路を構成し、上記第2の貫通孔が上記中空部を構成することが望ましい。
車両用吸音材を上記のように構成することで、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層を接着するだけで複雑な形状であるヘルムホルツ共鳴構造を有する車両用吸音材を作製することができる。
さらに、各樹脂層の厚さ、並びに、第1の貫通孔及び第2の貫通孔の円相当径を調整することによって、様々な周波数領域の吸音に適した車両用吸音材を製造することができる。
なお、円相当径とは、貫通孔の深さ方向に対して垂直な方向に車両用吸音材を切断した際の貫通孔の断面積を、同面積の真円に置き換えた場合の直径である。貫通孔の断面形状が真円の場合にはその直径をそのまま採用し、単に孔径ともいう。
本発明の車両用吸音材では、上記非貫通孔は、車両用吸音材の外周端面から5mm以上離れた位置に形成されていることが望ましい。
車両用吸音材の外周端面から5mm未満に形成された非貫通孔はその形状を維持しにくい。そのため、上記位置に非貫通孔が形成された車両用吸音材は変形しやすく、充分な防音性能を発揮できない。
本発明の車両用部品は、表面の少なくとも一部に本発明の車両用吸音材を備えることを特徴とする。
本発明の車両用吸音材は防音性能及び形状保持性に優れるため、車両用部品として優れる。
本発明の車両用吸音材をその表面の一部に備える車両用部品としては、嵩上げ材、仕切り部材、ラゲッジボックス等が挙げられる。
本発明の自動車は、本発明の車両用吸音材を、上記非貫通孔が開口する面を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする。
本発明の車両用吸音材を、非貫通孔が開口する面を路面方向に向けて配置することで、路面から伝わるタイヤパターンノイズ領域の騒音を低減することができる。
本発明の仕切り部材は、自動車のラゲッジルームに敷設された板状のフロア部材と、上記フロア部材の下部に設けられた床下空間とを間仕切るための自動車用仕切り部材であって、
上記自動車用仕切り部材は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔を有し、かつ、上記床下空間側に上記導入通路が開口するように上記非貫通孔が配置されており、上記自動車用仕切り部材を構成する樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする。
本発明の自動車用仕切り部材はヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔を有しているため、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。そして、非貫通孔が床下空間側に開口するように配置されているから、ラゲッジルームの下部(床下空間)から車室内に侵入する800〜2000Hzの周波数領域の騒音を抑制することができ、防音性能に優れる。800〜2000Hzの周波数領域の騒音が車室内に侵入することを防止するため、車室内にいる人が不快と感じることが低減される。
また、本発明の自動車用仕切り部材は、JIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaである樹脂により構成されているため、非貫通孔を有する場合であっても強度に優れ、振動や応力等による仕切り部材もしくは非貫通孔の変形が少なく、設計により狙った防音性能を維持することができる。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記樹脂は、発泡樹脂であることが望ましい。
発泡樹脂は発泡性樹脂を用いたものであることがより望ましく、特にビーズ法により得られる発泡樹脂を用いることが望ましい。
樹脂が発泡樹脂であると、自動車用仕切り部材の重量を軽くすることができ、燃費の向上に寄与することができる。
また、発泡樹脂がビーズ法により得られたものであると、自動車用仕切り部材として充分な強度を備えつつ、軽量化を図ることができるため、防音性能だけでなく、燃費の向上に寄与することができる。なおビーズ法とは、発泡性樹脂粒子(ビーズともいう)を加熱発泡し、成型して所定形状の発泡樹脂を得る方法である。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記非貫通孔の深さ方向における、上記導入通路の長さと上記中空部の長さの合計が10mm以上であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能を得やすい。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記導入通路の体積は、中空部の体積の2.4〜20%であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さが同一である場合、導入通路の体積を中空部の体積の2.4〜20%の範囲に調整すると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記非貫通孔の1つあたりの開口面積は、0.70〜20.0mmであることが望ましい。
非貫通孔の1つあたりの開口面積(すなわち、導入通路の開口面積)が上記範囲内であると、自動車用仕切り部材が受けた、800〜2000Hzの周波数領域の音が中空部内まで充分に入射するため、防音性能に優れる。
図1(a)は、本発明の車両用吸音材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、本発明の車両用吸音材の表面に設けられる導入通路の配置の例を示す模式図である。 図3(a)は、本発明の車両用吸音材を製造する方法の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す方法により製造された車両用吸音材の一例を示す模式図である。 図4(a)は、本発明の自動車用仕切り部材の一例を模式的に示す説明図であり、図4(b)は、図4(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。 図5は、車両用吸音材に対する垂直入射吸音率の測定装置を模式的に示す説明図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の車両用吸音材について詳述する。
本発明の車両用吸音材は、非貫通孔を有する樹脂製の車両用吸音材であって、上記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、上記樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする。
本発明の車両用吸音材はヘルムホルツ共鳴構造となる非貫通孔を有しているため、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れ、タイヤパターンノイズの抑制に有効である。
また、本発明の車両用吸音材は、50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaの樹脂により構成されているため、振動や応力等による変形が少なく、設計どおりの防音性能を維持することができる。
50%変形圧縮応力σ50が100kPa未満であると、車両用吸音材として強度が不足し、吸音材及び非貫通孔の形状が維持されなくなる。一方、50%変形圧縮応力σ50が1000kPaを超えると、吸音材が硬く脆くなるので、吸音材及び非貫通孔の形状が維持されなくなる。
本発明の車両用吸音材の構成を図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の車両用吸音材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、車両用吸音材1は、樹脂層20と樹脂層20中に形成された非貫通孔10を有している。図1(b)に示すように、非貫通孔10は、表面に開口する導入通路11と、導入通路11を介して外部と接続される中空部12とからなり、導入通路11の開口面積(孔径d及び円周率πを用いて、d/2×d/2×πで表される)は、上記開口面に平行な断面における中空部12の断面積(孔径d及び円周率πを用いて、d/2×d/2×πで表される)よりも小さい。導入通路11と中空部12からなる構造をヘルムホルツ共鳴構造ともいう。
非貫通孔がヘルムホルツ共鳴構造を構成していると、非貫通孔内に入射した音が内部で反射、共鳴して減衰されるため、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。
本発明の車両用吸音材の厚さは、特に限定されないが、20mm以上であることが望ましい。
車両用吸音材の厚さが20mm未満であると、非貫通孔の長さが短すぎて、800〜2000Hzの周波数領域において充分な防音性能が発揮できないことがある。
本発明の車両用吸音材の形状は、特に限定されず、シートや板状の平面形状であってもよく、箱型等の立体形状であってもよい。また車両部品の一部又は全部を覆うような形状であってもよい。このとき、音源側に非貫通孔の開口部が向くように、本発明の車両用吸音材を配置することが望ましい。さらに具体的には、非貫通孔の開口面が路面側を向くように本発明の車両用吸音材を配置することが望ましい。
本発明の車両用吸音材は樹脂製であるが、上記樹脂の密度は、0.02〜0.1g/cmであることが望ましい。なお、上記樹脂が発泡樹脂である場合、樹脂の密度は、発泡成形された発泡樹脂の密度を指す。
樹脂の密度が上記範囲内であると、車両用吸音材として必要な強度を得やすい。
一方、樹脂の密度が0.02g/cm未満であると、車両用吸音材として充分な機械的強度を得られないことがある。また樹脂の密度が0.1g/cmを超える場合には、車両用吸音材の重量が増加してしまい、車両の軽量化の妨げとなる。
本発明の車両用吸音材を構成する樹脂は、発泡樹脂であることが望ましい。
樹脂が発泡樹脂であると、強度を維持したまま車両用吸音材の重量を軽くすることができ、燃費の向上に寄与することができる。
なお、発泡樹脂は、発泡性樹脂粒子を発泡・成形して得られる。
本発明の車両用吸音材において、非貫通孔の深さ方向における、導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能を得やすく、特にタイヤパターンノイズによる騒音を低減させることができる。
本発明の車両用吸音材において、導入通路及び中空部の長さはそれぞれ5mm以上であることが望ましい。
本発明の車両用吸音材を自動車用途に用いる場合、導入通路及び中空部の長さはそれぞれ5〜20mmであることが望ましい。
さらに、本発明の車両用吸音材において、非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さ及び中空部の長さは、同一であることが望ましい。
本発明の車両用吸音材において、非貫通孔の深さ方向における、導入通路の長さと中空部の長さの比は特に限定されないが、2:1〜1:4であることが望ましい。
本発明の車両用吸音材において、上記非貫通孔の1つあたりの開口面積(すなわち、導入通路の開口面積)は、0.70〜20.0mmであることが望ましい。
非貫通孔の1つあたりの開口面積が上記範囲内であると、車両用吸音材が受けた音を充分に中空部内に送り込むことができるため、防音性能に優れる。
本発明の車両用吸音材において、非貫通孔の開口面に平行な方向における中空部の断面積(単に中空部の断面積ともいう)は、2.80〜500.0mmであることが望ましい。
中空部の断面積が上記範囲内であると、車両用吸音材が受けた音を中空部内で反射させやすくなるため、防音性能に優れる。
本発明の車両用吸音材において、上記導入通路の体積は、中空部の体積の2.4〜20%であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さが同一である場合、導入通路の体積が中空部の体積の2.4〜20%であると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に特に優れ、特にタイヤパターンノイズによる騒音を低減させることができる。
本発明の車両用吸音材における非貫通孔の配列パターンを、図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。
図2(a)及び図2(b)は、本発明の車両用吸音材の表面に設けられる導入通路の配置の例を示す模式図である。
本発明の車両用吸音材において表面に開口する非貫通孔の配列パターンは、図2(a)に示すような、正方形を縦横に連続して配置した平面において正方形の頂点に非貫通孔10を配置する正方配列であってもよく、図2(b)に示すような、正三角形を縦横に連続して配置した平面において三角形の頂点に非貫通孔10を配置する千鳥配列であってもよい。なお、各非貫通孔10の中心同士の長さを孔ピッチともいう。
これらの中では、千鳥配列であることが望ましい。非貫通孔の配列パターンが千鳥配列であると、隣接する非貫通孔が全て等間隔となりやすいため、音の減衰効率がよい。
本発明の車両用吸音材では、非貫通孔の形状は特に限定されず、車両用吸音材を厚さ方向に垂直な方向に切断した際の断面形状が、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、八角形等であってもよく、円形もしくは楕円形であることが望ましい。これら円形及び楕円形には、角部が存在しないので、角を起点にして応力集中することがないからである。
非貫通孔の形状は、全て同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。
また導入通路と中空部で上記形状が異なっていてもよく、同じであってもよい。
また、導入通路と中空部の位置関係は、中空部が導入通路を介して外部と接続されていればよく、導入通路と中空部の中心(非貫通孔の深さ方向に垂直な方向に切断した際の断面形状における中心)は、一致していてもよく、一致していなくてもよい。
ビーズ法により得られる発泡樹脂を構成する発泡性樹脂粒子について説明する。
発泡性樹脂粒子(ビーズ)は、樹脂粒子の内部に発泡剤を含有する粒子であり、公知のものを好適に使用することができる。
発泡性樹脂粒子を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン単重合体、スチレン及びスチレンと共重合可能な単量体(又はその誘導体)を共重合して得られる共重合体が挙げられる。スチレン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素類等が挙げられる。
発泡性樹脂粒子には、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、加工助剤、充填剤、抗酸化剤、耐光性安定剤、帯電防止剤及び着色剤等の公知の添加剤を添加してもよい。添加剤の使用の一例としては、着色剤に黒系のものを用いれば、汚れが目立たなくなる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系難燃剤、赤リン、リン酸アンモニウム等のリン酸系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA(TABB)、臭素化ポリスチレン、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、炭酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤等が挙げられる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
加工助剤としては、ステアリン酸塩、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
充填剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル、β,β−チオプロピオン酸エステル、有機亜リン酸エステル及びフェノール・ニッケル複合体等が挙げられる。
耐光性安定剤としては、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系の安定剤等等が挙げられる。
帯電防止剤としては、脂肪酸エステル化合物、脂肪族エタノールアミン化合物及び脂肪族エタノールアミド化合物等の低分子型帯電防止剤並びに高分子型帯電防止剤等が挙げられる。
着色剤としては、染料及び顔料等が挙げられる。
発泡性樹脂粒子の平均粒子径は、300μm〜2400μmであることが望ましく、800μm〜2000μmであることがより望ましい。
発泡性樹脂粒子の発泡倍率は、10〜60倍であることが望ましい。
発泡倍率を10〜60倍の範囲にすることにより、50%変形圧縮応力σ50を100〜1000kPaの範囲に調整しやすくなる。さらに、発泡倍率を10〜60倍の範囲にすることにより、樹脂の密度を0.02〜0.1g/cmの範囲に調整しやすくなる。
一方、発泡倍率が10倍未満の場合、車両用吸音材が硬くなりすぎたり、重くなりすぎる場合がある。また発泡倍率が60倍を超える場合、車両用吸音材として強度が不足することがある。
続いて、本発明の車両用吸音材を製造する方法について説明する。
本発明の車両用吸音材は、樹脂層に、表面に開口する導入通路と導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成することで製造することができる。
樹脂層を形成する方法としては、従来公知の樹脂の成形方法を用いることができ、発泡性樹脂粒子を発泡成形して樹脂層を形成してもよい。
続いて、樹脂層にヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成する方法について説明する。
樹脂層にヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、貫通孔を設けた樹脂層と貫通孔を設けていない樹脂層を積層する方法や、導入通路及び中空部となる形状の突起を金型内に設置し、金型内で樹脂層を成形した後、突起を抜き取る方法等が挙げられる。
貫通孔を設けた樹脂層と貫通孔を設けていない樹脂層を積層する方法について、その一例を、図3を用いて説明する。
図3(a)は、本発明の車両用吸音材を製造する方法の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す方法により製造された車両用吸音材の一例を示す模式図である。また図3(b)は、図3(a)に示す各部材を組み合わせた後のB−B線断面図でもある。
図3(a)に示すように、第1の樹脂層31、第2の樹脂層32及び第3の樹脂層33を、接着剤層50及び51を介して積層する。第1の樹脂層31及び第2の樹脂層32には貫通孔40及び貫通孔41がそれぞれ形成されており、第3の樹脂層33には貫通孔が形成されていない。貫通孔41の孔径は貫通孔40の孔径よりも大きい。また、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32の間には、接着剤層50が配置されている。接着剤層50は、第2の樹脂層32の表面のうち、貫通孔41が形成されていない箇所の表面に配置される。
さらに、第2の樹脂層32と第3の樹脂層33の間には、接着剤層51が配置されている。接着剤層51は、接着剤層50と同様に、第2の樹脂層32の表面のうち、貫通孔41が形成されていない箇所の表面に配置される。
第1の樹脂層31、第2の樹脂層32、第3の樹脂層33を接着剤層50、51を介して積層することで、図3(b)に示す車両用吸音材2が得られる。このとき、第1の樹脂層31の貫通孔40の位置と第2の樹脂層32の貫通孔41の位置が重なるように調整する。
車両用吸音材2は、積層された第1の樹脂層31、第2の樹脂層32、第3の樹脂層33からなり、表面に開口する導入通路11と、導入通路11を介して外部と接続される中空部12とを有している。導入通路11は貫通孔40によって、中空部12は貫通孔41によって、それぞれ形成されており、導入通路11と中空部12によってヘルムホルツ共鳴構造が形成されている。
なお、樹脂層を積層する際には、図3(a)、図3(b)に示すように、中空部41の底面(第3の樹脂層33の上面)及び中空部41の上面(第1の樹脂層31の底面)に接着剤層が形成されないように、第1の樹脂層31、第2の樹脂層32、第の樹脂層33を積層することが好ましい。
接着剤層が中空部の底面及び/又は上面に形成されていると、防音特性が変化してしまうことがあり、好ましくない。
なお、図3(a)及び図3(b)では、樹脂層同士を接着するためにシート状の接着剤層を用いているが、本発明の車両用吸音材は、樹脂層の表面に接着剤を塗布する方法等によって製造してもよい。
また、表裏を貫通しない孔を樹脂層の一方の面にだけ形成することで、図3(a)で示す第2の樹脂層及び第3の樹脂層を一体化したような樹脂層を形成し、これを第1の樹脂層と積層することによっても、本発明の車両用吸音材を製造することができる。
樹脂層に貫通孔を形成する方法は、特に限定されないが、金型内に貫通孔を形成するための突起を設けて、発泡性樹脂粒子を発泡させる方法や、貫通孔を有しない樹脂層を一旦準備し、該貫通孔を有しない樹脂層の一部にパンチングやドリル等の手段で貫通孔を形成してもよい。
本発明の車両用部品は、表面の少なくとも一部に本発明の車両用吸音材を備えることを特徴とする。
本発明の車両用吸音材は防音性能に優れるため、車両用部品として優れる。
本発明の車両用吸音材をその表面の一部に備える車両用部品としては、嵩上げ材、ラゲッジボックス等が挙げられる。
本発明の自動車は、本発明の車両用吸音材を、上記非貫通孔が開口する面を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする。
非貫通孔が開口する面を路面方向に向けて、本発明の車両用吸音材を配置することで、路面から伝わる800〜2000Hzの周波数領域での防音性能を向上させることができ、特にタイヤパターンノイズを低減することができる。
続いて、本発明の自動車用仕切り部材について説明する。
本発明の自動車用仕切り部材は、自動車のラゲッジルームに敷設された板状のフロア部材と、上記フロア部材の下部に設けられた床下空間とを間仕切るための自動車用仕切り部材であって、上記自動車用仕切り部材は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔を有し、かつ、上記床下空間側に上記導入通路が開口するように上記非貫通孔が配置されており、上記自動車用仕切り部材を構成する樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする。
本発明の自動車用仕切り部材の構成を、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。
図4(a)は、本発明の自動車用仕切り部材の一例を模式的に示す説明図であり、図4(b)は、図4(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。
図4(a)に示すように、自動車100は、後部座席101の後方にラゲッジルーム103を備える。ラゲッジルーム103の下部には、板状のフロア部材105が敷設されており、フロア部材105とフロア部材105の下部に存在する床下空間109とが、自動車用仕切り部材107によって間仕切られている。図4(b)に示すように、自動車用仕切り部材107には、表面に開口する導入通路111aと導入通路111aを介して外部と接続される中空部111bからなるヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔111が形成されており、床下空間109側の面107aに非貫通孔111が開口している。
本発明の自動車用仕切り部材はヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔を有しているため、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。そして、非貫通孔は床下空間側に開口部が開口するように配置されているから、ラゲッジルームの下部(床下空間)から車室内に侵入する800〜2000Hzの周波数領域の騒音を抑制することができ、防音性能に優れる。800〜2000Hzの周波数領域の騒音が車室内に侵入することを防止するため、車室内にいる人が不快と感じることが低減される。
また、本発明の自動車用仕切り部材は、JIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaである樹脂により構成されているため、非貫通孔を有する場合であっても強度に優れ、振動や応力等による仕切り部材もしくは非貫通孔の変形が少なく、設計により狙った防音性能を維持することができる。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記樹脂は、発泡樹脂であることが望ましい。
発泡樹脂は発泡性樹脂を用いたものであることがより望ましく、特にビーズ法により得られる発泡樹脂を用いることがさらに望ましい。
樹脂が発泡樹脂であると、自動車用仕切り部材の重量を軽くすることができ、燃費の向上に寄与することができる。
また、発泡樹脂がビーズ法により得られたものであると、自動車用仕切り部材として充分な強度を備えつつ、軽量化を図ることができるため、防音性能だけでなく、燃費の向上に寄与することができる。なおビーズ法とは、発泡性樹脂粒子(ビーズともいう)を加熱発泡し、成型して所定形状の発泡樹脂を得る方法である。
本発明の自動車用仕切り部材を構成する樹脂としては、本発明の車両用吸音材を構成する樹脂と同様のものを好適に用いることができる。樹脂の望ましい密度や発泡樹脂の発泡倍率についても同様に、本発明の車両用吸音材を構成する樹脂と同様の数値に調整することが望ましい。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記非貫通孔の深さ方向における、上記導入通路の長さと上記中空部の長さの合計が10mm以上であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能を得やすい。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記導入通路の体積は、上記中空部の体積の2.4〜20%であることが望ましい。
非貫通孔の深さ方向における導入通路の長さと中空部の長さが同一である場合、導入通路の体積を中空部の体積の2.4〜20%の範囲に調整すると、800〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。
本発明の自動車用仕切り部材において、上記非貫通孔の1つあたりの開口面積は、0.70〜20.0mmであることが望ましい。
非貫通孔の1つあたりの開口面積(すなわち、導入通路の開口面積)が上記範囲内であると、自動車用仕切り部材が受けた、800〜2000Hzの周波数領域の音が中空部内まで充分に入射するため、防音性能に優れる。
本発明の自動車用仕切り部材が有する非貫通孔の形状、大きさ及び配置については、本発明の車両用吸音材が有する非貫通孔の形状、大きさ及び配置と同様のものを好適に用いることができる。
(実施例)
以下に、本発明をより具体的に説明する具体例を示すが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
(実施例1)
(1)樹脂層の作製
発泡性樹脂粒子を予備発泡させた一次発泡粒子(ポリプロピレン製、平均粒径3.5mm、発泡剤:二酸化炭素)を金型に充填するとともに、加熱蒸気で発泡成形(143℃、10秒)し、金型から取り外した後、80℃で12時間乾燥させることにより厚さ10mmの板状の樹脂層3枚を作製した。このとき、発泡樹脂の発泡倍率は30倍であった。
(2)貫通孔の形成
上記(1)樹脂層の作製により作製した厚さ10mmの樹脂層のうち1枚に、孔ピッチ10mmの千鳥配列となるよう、直径2mmの円形に貫通孔を形成して、第1の樹脂層を作製した。
続いて、上記(1)樹脂層の作製により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の1枚に、孔ピッチ10mmの千鳥配列となるよう、直径7mmの円形に貫通孔を形成した第2の樹脂層を準備した。
上記(1)樹脂層の作製により作製した厚さ10mmの樹脂層のうち最後の1枚には加工を施さず、第3の樹脂層とした。
(3)樹脂層の積層
第2の樹脂層の一面に接着剤を塗布し、第1の樹脂層に形成された貫通孔の中心位置と第2の樹脂層に形成された貫通孔の中心位置とが一致するように第1の樹脂層と第2の樹脂層とを接着した。続いて、第2の樹脂層のもう一面にも接着剤を塗布し、第3の樹脂層を接着することで、実施例1に係る車両用吸音材を得た。
(実施例2〜4)
発泡性樹脂粒子の種類と発泡倍率を以下のように変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例2〜4に係る自動車用吸音材を得た。
実施例2:ポリプロピレン製、一次発泡粒子の平均粒径:3.0mm、発泡剤:二酸化炭素、発泡樹脂の発泡倍率22倍
実施例3:ポリスチレン製、一次発泡粒子の平均粒径:2.0mm、発泡剤:ブタン、発泡樹脂の発泡倍率20倍
実施例4:ポリスチレン製、一次発泡粒子の平均粒径:3.0mm、発泡剤:ブタン、発泡樹脂の発泡倍率40倍
(比較例1)
遮音層となる貫通孔の形成されていない厚さ50μmの表皮材[(有)前田工機製、不織布)の両面を、吸音層となる貫通孔の形成されていない樹脂層[高安(株)製、PET製フェルト 厚さ5mm]2枚で挟み、水溶性接着剤[セメダイン(株)製 木工用ボンド]で接着することにより、比較例1に係る車両用吸音材(厚み10mm)を得た。
(比較例2)
シリカ−アルミナ繊維[製品名:イビウール−Eバルク 製造元:イビデン(株)]で構成されたシート状の繊維集合体(厚さ10mm)を1枚準備し、比較例2に係る車両用吸音材を得た。
(比較例3)
(1)樹脂層の作製にかわって、発泡ウレタンフォーム[(株)イノアック製、カームフレックスF2 厚さ10mm]を3枚準備し、(2)貫通孔の形成及び(3)樹脂層の積層を実施例1と同様の手順とすることで、比較例3に係る車両用吸音材を得た。
(比較例4)
射出成形用ポリプロピレン[日本ポリプロ(株)製、ノバテックPP MG05ES]を厚さ30mmの板状に射出成形し、比較例4に係る車両用吸音材とした。
(比較例5)
発泡成形用ポリプロピレン(平均粒子径3.5mm、発泡剤:二酸化炭素)を厚さ30mmの板状に発泡成形(発泡倍率:30倍)することで、比較例5に係る車両用吸音材とした。
(50%変形圧縮応力σ50の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜5に係る車両用吸音材から、50×50×10mmの寸法で、非貫通孔が形成されていない部分を切り出し、強度測定用サンプルとした。
JIS K 7220(2006)に準拠して、電気機械式万能試験機(インストロン製、5567)により、圧縮試験を圧縮速度:5mm/min、変形率:0〜75%(0.00〜0.75)で行い、強度測定用サンプルの50%変形圧縮応力σ50を測定した。得られた結果を表1に示す。
(吸音率測定)
吸音率は、垂直入射吸音率試験により行った。測定はJIS A 1405−2:2007「音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法」に準じて行った。
吸音率を測定する際には、実施例1〜4及び比較例1〜5に係る車両用吸音材を直径29mmの円形となるようにカットし、垂直入射吸音率の測定装置(日東紡音響エンジニアリング製 型番:WinZac MTX)における音響管に配置した後、周波数600〜2500Hzの範囲で測定を行った。
図5は、車両用吸音材に対する垂直入射吸音率の測定装置を模式的に示す説明図である。
この測定装置80では、音響管81の先端にサンプル82が配置されており、ノイズ発生器83からの信号によりスピーカー84からノイズを発生させ、音響管81の内部に音場を生成させる。そして、2本の1/4インチマイクロホン85、86の音圧信号をFFT分析器87によりFFT(高速フーリエ変換)分析し、垂直入射吸音率を算出する。
なお、この測定では、実施例1〜4及び比較例3に係る車両用吸音材を、非貫通孔の開口する面がスピーカー84側に位置するように配置した。
比較例1〜2及び4〜5に係る車両用吸音材には非貫通孔が形成されていないため、非貫通孔が開口する面かどうかを考慮せず、いずれかの面がスピーカー84側に位置するように車両用吸音材を配置した。
得られた吸音率チャートから、800〜2000Hzの周波数領域における平均吸音率を求めた。結果を表1に示す。なお、800〜2000Hzの周波数領域における平均吸音率が0.4以上であれば、車両用吸音材として優れた防音特性を有していると考えられる。
Figure 2018158691
なお比較例4は、サンプルの変形率が50%に到達する前に圧縮荷重が1000kPaを超えたため、圧縮試験を中止した。
表1の結果より、本発明の車両用吸音材は、800〜2000Hzの周波数領域における平均吸音率及び機械的強度に優れており、車両用吸音材として長期間、安定した防音性能を発揮できることがわかった。
1、2 車両用吸音材
10 非貫通孔
11 導入通路
12 中空部
20 樹脂層
31 第1の樹脂層
32 第2の樹脂層
33 第3の樹脂層
40、41 貫通孔
50、51 接着剤層
80 測定装置
81 音響管
82 サンプル
83 ノイズ発生器
84 スピーカー
85、86 マイクロホン
87 FFT分析器
100 自動車
101 後部座席
103 ラゲッジルーム
105 フロア部材
107 自動車用仕切り部材
109 床下空間
111 非貫通孔
111a 導入通路
111b 中空部

Claims (15)

  1. 非貫通孔を有する樹脂製の車両用吸音材であって、
    前記非貫通孔は、表面に開口する導入通路と前記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有しており、
    前記樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする車両用吸音材。
  2. 前記樹脂の密度は、0.02〜0.1g/cmである請求項1に記載の車両用吸音材。
  3. 前記樹脂は、発泡樹脂である請求項1又は2に記載の車両用吸音材。
  4. 前記非貫通孔の深さ方向における、前記導入通路の長さと前記中空部の長さの合計が10mm以上である請求項1〜3のいずれか1に記載の車両用吸音材。
  5. 前記導入通路の体積は、前記中空部の体積の2.4〜20%である請求項1〜4のいずれか1に記載の車両用吸音材。
  6. 前記非貫通孔の1つあたりの開口面積は、0.70〜20.0mmである請求項1〜5のいずれか1に記載の車両用吸音材。
  7. 第1の貫通孔を有する第1の樹脂層、前記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2の樹脂層及び貫通孔を有しない第3の樹脂層がこの順で積層されてなり、
    前記第1の貫通孔が前記導入通路を構成し、前記第2の貫通孔が前記中空部を構成する請求項1〜6のいずれか1に記載の車両用吸音材。
  8. 前記非貫通孔は、車両用吸音材の外周端面から5mm以上離れた位置に形成されている請求項1〜7のいずれか1に記載の車両用吸音材。
  9. 表面の少なくとも一部に請求項1〜8のいずれか1に記載の車両用吸音材を備えることを特徴とする車両用部品。
  10. 請求項1〜8のいずれか1に記載の車両用吸音材を、前記非貫通孔が開口する面を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする自動車。
  11. 自動車のラゲッジルームに敷設された板状のフロア部材と、前記フロア部材の下部に設けられた床下空間とを間仕切るための自動車用仕切り部材であって、
    前記自動車用仕切り部材は、表面に開口する導入通路と前記導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造型の非貫通孔を有し、かつ、前記床下空間側に前記導入通路が開口するように前記非貫通孔が配置されており、
    前記自動車用仕切り部材を構成する樹脂のJIS K 7220(2006)に準拠して測定される50%変形圧縮応力σ50が100〜1000kPaであることを特徴とする自動車用仕切り部材。
  12. 前記樹脂は、発泡樹脂である請求項11に記載の自動車用仕切り部材。
  13. 前記非貫通孔の深さ方向における、前記導入通路の長さと前記中空部の長さの合計が10mm以上である請求項11又は12に記載の自動車用仕切り部材。
  14. 前記導入通路の体積は、前記中空部の体積の2.4〜20%である請求項11〜13のいずれか1に記載の自動車用仕切り部材。
  15. 前記非貫通孔の1つあたりの開口面積は、0.70〜20.0mmである請求項11〜14のいずれか1に記載の自動車用仕切り部材。
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