JP4251544B2 - 吸音性内装材および製造方法 - Google Patents
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(1)多数の微小開孔は、基材に対するパンチングやニードリングにより形成されるため、その内径は必然的に基材の表面から裏面まで一様な開孔が形成される。この場合、開孔の内径を小さく、高密度に形成することの加工の困難さがある。特には一定径以下の内径を、内部が閉じないように確実に加工する難しさがある。
(2)開孔の密度を高くしすぎると基材自体の剛性の低下につながり、場合によっては開孔密度をあまり高くできないことがある。特にヘッドライナー内装材の場合、基材の周縁をルーフパネルに支持し、その中間部には支持部を作れないため、形状がだれない剛性を基材に確保する必要がある。
(3)面方向で、不均一な内径の孔開け加工をおこなうことが困難であり、自動車の室内の音響的な情況に合わせて最適に開孔することができない。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、内装材に吸音性を高めるための微小開孔を合理的に付与するものである。
基材の内奥で、内径が狭まり、開孔率が低くなるため、基材の剛性の低下を抑えることができる。
発泡性コアの発泡膨張により、初期開孔の内径を狭めることにより、微小な開孔を形成する加工の難しさが緩和される。 スキン層に隣接する基材の表裏面近傍では発泡性コアの膨張が抑えられて、開孔の入口が閉じることがない。
基材の加熱度合い(温度、時間)によって、発泡性コアの膨張率を制御することが可能であり、内径が異なる開孔を面方向で所定の部位に形成することが可能であり、自動車の室内の音場に合わせた内径の開孔を分布させることが可能である。
また、ノリルは孔加工性が良くスキン層の座屈・基材の折れ曲りによる剛性の低下がないため成形品の剛性が保たれる。
図1は、本発明の吸音性内装材の断面図である。
本発明の吸音性内装材10は、発泡性コア21の表裏面にスキン層22、23が積層された基材20と、通気性の表皮材30を積層してなり、基材20には表裏に貫通する複数の微小開孔25が形成されてなる。
発泡性コア21およびスキン層22、23として本発明に最も好ましいのはノリル材料からなるものである。ノリル材料からなるものが好ましい理由は、自動車内装材として十分な耐熱性を持ち、孔加工性が良い特性を有するためである。
基材20の一方側(特には表面側)に通気性(流れ抵抗値30Nsm-3以上、流れ抵抗測定はJIS K 6400相当)の表皮材30を積層貼着することが好ましい。
表皮材30として好ましいのは、基材の微小開孔に対する通気を維持できる不織布状のものであり、特には嵩高、低密度にして吸音性を高めたものが適する。好ましくは、単位面積重量が100〜600g/m2、厚さ1.0〜6.0mm程度に嵩高にニードリングして形成されたニードルパンチ不織布である。またその他には流れ抵抗が大きいメルトブロー・スパンレース不織布などを複合させて流れ抵抗値を制御した表皮が適する。
試験の結果、基材の微小開孔と通気性表皮材の組み合わせにより、吸音率が可及的に向上するが、その理由は表皮の裏側に吸音に有効な空気層が存在し、また孔壁面で空気の摩擦がおこり、音が熱に変換される作用と考えられる。表皮材の単位面積重量が100g/m2未満、厚さ1.0mm未満かつ流れ抵抗値が30Nsm-3未満ではこの作用が不足する。
このようにして形成された基材20(および表皮材30)を予備加熱して発泡性コア21を発泡膨張させた後、対のプレス成形型間に配しプレス成形して、開孔25の内径を基材厚さ方向で不均一に狭めるとともに、基材全体を成形して所要の形状を得る。
予備加熱条件は、基材温度100〜180℃であり、この際、発泡性コアでは30〜250%の体積膨張を生じ、基材全体の厚さを6.0mm程度厚くするとともに、あらかじめ基材に形成された微小開孔方向への膨張によって、基材内径を10%程度狭め、最小0.2mm以上、最大3.0mmまでにする。この最小の内径は吸音特性との関係で開孔内径および開孔率が小さい場合は吸音性が得られにくく、逆に大きい場合は基材の剛性が損なわれるため適切な範囲に定められるものであり、基材厚さとの関係では基材厚さの50%未満であることが好ましい。
微小開孔の最小径(d)は、基材の予備加熱条件によって任意に制御することが可能であり、面方向に異なる任意の部位の内径を吸音特性の要求に合わせて任意に変更することも可能である。
このような特性は発泡性コアおよびスキン層がともにノリル材料からなり、基材を発泡膨張させて成形する場合に最も発現しやすい。その理由はノリルの孔加工が容易かつ成形時予備加熱で発泡膨張が起こり孔径の変化が発生するためであり、他の素材では孔加工が困難であり、成形時孔径の変化が起こりにくいためである。
次にこの基材に表皮接着用ホットメルトフィルム(クラボウ株式会社製X−2200)をラミネートし、次工程でホットメルトフィルム、ノリル基材ともに微小開孔を形成する。フィルムは基材への通気を確保するために孔加工を施した。この開孔の形成方法は、ニードルによるパンチング法により、初期の開孔径は1.5mm、開孔のピッチを4.0mm間隔に均一の千鳥状に配する。基材表面積に対する開孔率は5.5%である。
基材の一表面側には繊維径15μmのポリエステル繊維ニードルパンチ不織布の表皮材(単位面積重量430g/m2、厚さ4.4mm)を積層貼着した。
表皮材が積層された状態で基材を150℃まで予備加熱して、発泡性コアを100%発泡膨張させた後、プレス成形し、基材の厚さを5.0mmにした。この際あらかじめ基材に形成された微小開孔は、基材の厚さ方向中間では表裏面近傍から基材厚さの中間近傍に向かって漸減的に狭まり、最小の内径は平均して1.3mmになった。
実施例と同じノリル材料からなり、開孔を形成しない基材とする。この基材の片側には実施例と同じ表皮材を積層貼着し、実施例と同じ成形条件で成形した。
(比較例2)
実施例と異なる材料である、ポリプロピレン材料からなる厚さ6.0mm、密度0.11g/cm2、発泡倍率8倍の発泡性コアとスキン層をもった基材を得た(同基材は二次発泡しない)。この基材に実施例と同じ内径の開孔を行ったが、基材厚みが大きくまた材質の耐衝撃性(靭性)が高いためスキン層の座屈・基材の折れ曲りが起こり、孔加工後得られた基材の剛性が低下した。
表皮材が積層された状態で基材を140℃まで予備加熱してプレス成形し、基材の厚さを5.0mmにした。この際、基材が発泡膨張しないため、内径が不均一に狭められることはなく、予備加熱後も厚さ方向で均一な内径1.5mmを維持した。また、基材の剛性低下は成形後も改善されなかった。
実施例および比較例1、2の表皮材が積層された基材をASTM E 1050相当の垂直入射吸音率測定器にセットして、表皮材側から周波数500Hz〜6300Hzの音波を入射し、吸音率を測定した。結果を図2に示す。
実施例では、周波数1000Hzから入射周波数が増加するにつれて、基材に形成された微小開孔の機能により吸音率が可及的に高められている。
これに対して、比較例1では、基材に微小開孔が無いため、実施例と比べて吸音性が悪くなり、入射周波数の増加に伴う吸音率の上昇度も低くなる。また、比較例2では、基材に微小開孔が形成されているため、高周波側での吸音率の高まりが観測されるが、内径が大きいままであり、吸音性に最適の形状に狭められていないため、実施例に劣る吸音率となる。
20 基材
21 発泡性コア
22、23 表、裏スキン層
25 微小開口
30、30’ 通気性表皮材
D 最大径
d 最小径
Claims (2)
- 発泡性コアの表裏面にスキン層を積層してなる基材に、面方向に分布する多数の微小開孔を形成して吸音性を高めてなる吸音性内装材であって、前記多数の微小開孔の内径が、基材厚さ方向で漸減的に狭められており、且つ前記微小開孔の内径は前記基材厚さの表裏面近傍で大きく、基材厚さの中間近傍で小さくなっていることを特徴とする、吸音性内装材。
- 発泡性コアの表裏面にスキン層を積層してなる基材に面方向に分布する多数の微小開孔をほどこした後、この基材を加熱して、発泡性コアを発泡させ、前記微小開孔の内径をスキン層に隣接する基材の表裏面近傍で初期の内径を維持する一方、基材厚さの中間近傍で初期の内径より狭めたことを特徴とする吸音性内装材の製造方法。
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