JPWO2019026294A1 - 吸音部材、車両用部品及び自動車 - Google Patents

吸音部材、車両用部品及び自動車 Download PDF

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Abstract

本発明の吸音部材は、表面に開口する導入通路と前記導入通路を介して外部と接続される中空部とからなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を備えた吸音部材であって、前記吸音部材は、等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる前記非貫通孔を備えるとともに、さらに、それら非貫通孔とは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔を備え、前記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔との共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であることを特徴とする。

Description

本発明は、吸音部材、車両用部品及び自動車に関する。
自動車等の車両は、エンジンなどの動力源を有し、人の操作によって移動できる機械であり、様々な振動や騒音を発生させる。車両内に伝達される音としては、動力源が発する音だけではなく、車両が走行する際に発生するロードノイズ、タイヤパターンノイズ、風切音等の、車両の外で発生する音も含まれる。これらの音が車両内に伝達されてしまうと、人に対して不快感を与えてしまうため、エンジン、エンジンルーム内、内装、ボディ、排気管周辺等において、遮音材・吸音部材を用いて防音対策が行われている。
特許文献1には、発泡成形により成形された柔軟な多孔質発泡体に、一方の面に開口する導入通路と、該導入通路の奥に形成され該導入通路よりも大きな断面積を持つ中空部とからなる多数の共鳴室を有する吸音部材が開示されている。このような、導入通路と中空部からなる構造は、ヘルムホルツ共鳴構造とも呼ばれ、特定の周波数の音を内部で共鳴させ、熱エネルギーに変換する(すなわち吸音する)特性に優れている。
特許文献2には、表面又は裏面に開口部を有する複数個の独立した盲空洞を有する樹脂成形体と吸音部材を備え、特定の100Hz〜10kHz共鳴吸音ピーク周波数を有する吸・遮音構造体が開示されている。
特開平08−260589号公報 特開2001−249666号公報
しかしながら、自動車の技術改良に伴い、自動車に対する新たな防音対策の必要が生じている。例えば、自動車の燃費向上の方策の一つとして、自動車の重心及び最低地上高を下げることが検討されている。自動車の重心を下げることで車両の安定感及び操作性が向上し、最低地上高を下げることで空気抵抗を低減することができる。しかしながら、自動車の最低地上高が低くなることで、走行時に車両と路面との間を流れる空気の粘性が高まる。そうすると、タイヤパターンノイズ(500〜3000Hzの周波数領域であり、単にパターンノイズともいう)等の走行時に路面から発生する騒音が車体下の周囲に反射・拡散しにくく、車両内に侵入する音の度合いが高くなると推定される。同様の問題は電気自動車でも起こりうる。
従って、自動車の燃費向上の為に自動車の重心及び最低地上高を下げた場合、従来は自動車外に拡散していた騒音が、自動車に乗車している人に伝達されてしまうことが想定される。特に、車両後部、かつ、収容スペースが配置されているラゲッジルーム下部(床下空間)の底部からこれらの騒音が侵入しやすいと考えられる。これらの騒音には人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音も含まれるため、その対策が求められている。
特許文献1に記載された吸音部材や特許文献2に記載された樹脂成形体のような、いわゆるヘルムホルツ共鳴構造を有する従来の吸音部材は、上記した500〜2000Hzの周波数領域の騒音をある程度低減することはできるが、充分に低減させることはできず、500〜2000Hzの周波数領域の騒音をより効果的に低減させることができる吸音部材が求められていた。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、上記した従来の吸音部材は、複数の共鳴室の大きさや形状が適切に設計されていないため、500〜2000Hzの周波数領域において騒音と感じられる周波数の音が有効に吸音されていないことが判明した。そして、上記結果に基づき、互いの共鳴周波数が1/3オクターブ以上離れた種々の大きさのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を適切に形成することにより、より広い周波数帯で吸音部材を提供することができ、さらに、人が不快に感じる周波数領域の騒音が感じられなくなり、車両等に使用するのに最適な吸音部材を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の吸音部材は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部とからなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を備えた吸音部材であって、
上記吸音部材は、等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる上記非貫通孔を備えるとともに、さらに、それら非貫通孔とは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔を備え、上記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔との共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であることを特徴とする。
本発明の吸音部材は、共鳴周波数が1/3オクターブ以上離れた複数の異なる形状の非貫通孔を備えており、上記非貫通孔の共鳴周波数が広範囲に広がっているので、広い周波数範囲の騒音を吸音することが可能となり、人が不快に感じる周波数領域の騒音が感じられなくなり、車両等に使用するのに最適な吸音部材を提供することができる。なお、両者の共鳴周波数の差を1/3オクターブ以上としたのは、共鳴周波数の差が1/3オクターブ未満となるように、異なる共鳴周波数を有する2つの非貫通孔を形成した吸音部材と、上記した周波数範囲内の一の共鳴周波数を有する非貫通孔を形成した吸音部材との吸音効果に差がないため、騒音の大きさが低減したと感じにくいと推定されるからである。
本発明の吸音部材においては、それぞれのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を等間隔で配置させている。上記非貫通孔を等間隔で配置することにより、吸音率のピークを高めることができ、所望の吸音率とすることができるからである。
また、それぞれのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を等間隔で配置させることにより、吸音部材としての強度も各場所において均一になり、全体として強度が高くなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を起因とするひずみ、変形等が起きにくくなり、長期間の使用においても吸音性能が維持されるのである。
本発明の吸音材では、上記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる上記複数の非貫通孔とは、上記中空部の円相当径が互いに異なることが望ましい。なお、円相当径とは、中空部を長さ方向に対して垂直な方向に切断した際の中空部の断面積を、同面積の真円に置き換えた場合の直径である。中空部が真円の場合にはその直径をそのまま円相当径とすればよい。導入路の場合も同様である。
非貫通孔の共鳴周波数は、下記の式(1)により求める。
すなわち、上記導入通路の円相当径をd(m)、長さをL(m)、開口面積をS(m)、上記中空部の体積をV(m)とした場合に、非貫通孔の共鳴周波数fは、下記の式(1)により表される。
Figure 2019026294
(式(1)中、cは音速であり、c=340m/secである。)
本発明の吸音部材では、上記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる上記複数の非貫通孔とは、上記導入通路の円相当径が互いに異なることが望ましい。
本発明の吸音部材において、上記非貫通孔の導入通路の円相当径dを変えることにより、共鳴周波数fを変えることができ、複数の非貫通孔の共鳴周波数の差を1/3オクターブ以上とすることにより、広範囲の共鳴周波数を有する複数の非貫通孔が形成された吸音部材を提供することができる。
また、本発明の吸音部材において、上記非貫通孔の中空部の円相当径を変え、体積を変えることにより、共鳴周波数fを変えることができ、複数の非貫通孔の共鳴周波数の差を1/3オクターブ以上とすることにより、広範囲の共鳴周波数を有する複数の非貫通孔が形成された吸音部材を提供することができる。
本発明の吸音部材では、上記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる上記複数の非貫通孔とは、上記導入通路の円相当径および上記中空部の円相当径が互いに異なることが望ましい。
本発明の吸音部材において、上記非貫通孔上記導入通路の円相当径を変え、かつ、中空部の円相当径を変えることにより、共鳴周波数fを変えることができ、複数の非貫通孔の共鳴周波数の差を1/3オクターブ以上とすることにより、広範囲の共鳴周波数を有する複数の非貫通孔が形成された吸音部材を提供することができる。
本発明の吸音部材では、上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数の差は、1オクターブ以下であることが望ましい。
本発明の吸音部材において、上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数の差を、1/3オクターブ以上、1オクターブ以下に設定することにより、人が不快に感じる周波数領域の騒音をより効果的に低減することが可能となる。
本発明の吸音部材において、例えば、図2(c)に示すように、非貫通孔10dと非貫通孔10eという2種類の非貫通孔が設けられていて、非貫通孔10dの共鳴周波数をfd、非貫通孔10eの共鳴周波数をfeとすると、fd>feであり、Log2(fd/fe)≧1/3を満たすことが共鳴周波数の差が1/3オクターブ以上の共鳴周波数の関係となるのである。
計算に一例とし、非貫通孔10bの共鳴周波数fd:1250Hzとすると、非貫通孔10eの共鳴周波数feを1000Hz以下にすることにより、共鳴周波数の差が1/3オクターブ以上となるのである。
さらに、共鳴周波数の差は、1≧Log2(fd/fe)≧1/3であることが望ましい。
本発明の吸音部材では、形状が異なる上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数は、500〜2000Hzの範囲内にそれぞれ設定されていることが望ましい。
本発明の吸音部材において、それぞれの非貫通孔の共鳴周波数を500〜2000Hzの範囲内に設定することにより、人が不快に感じる周波数領域の騒音をより効果的に低減することが可能となる。
本発明の吸音部材では、上記吸音部材が樹脂製であることが好ましい。また、上記樹脂は、発泡樹脂であることが好ましい。
本発明の吸音部材において、吸音部材が樹脂製であると、軽量化が図りやすいため車両用部品として特に好ましい。また、樹脂が発泡樹脂であると、その重量をより軽くすることができ、車両用部品とした場合に燃費の向上に寄与することができる。
本発明の吸音部材では、上記吸音部材は、第1の貫通孔を有する第1層、上記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2層がこの順で積層されてなり、上記第1の貫通孔が上記導入通路を構成し、上記第2の貫通孔が上記中空部を構成することが好ましい。
本発明の吸音部材において、該吸音部材を上記のように構成し、第1層、第2層を積層するだけで複雑な形状であるヘルムホルツ共鳴構造を有する吸音部材を作製することができる。
さらに、各層の厚さ、並びに、第1の貫通孔及び第2の貫通孔の円相当径を調整することによって、共鳴周波数を調整することができる。
本発明の吸音部材では、上記吸音部材は、第1の貫通孔を有する第1層、上記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2層及び貫通孔を有しない第3層がこの順で積層されてなり、上記第1の貫通孔が上記導入通路を構成し、上記第2の貫通孔が上記中空部を構成することが好ましい。
本発明の吸音部材において、該吸音部材を上記のように構成し、第1層、第2層及び第3層を積層するだけで複雑な形状であるヘルムホルツ共鳴構造を有する吸音部材を作製することができる。
さらに、各層の厚さ、並びに、第1の貫通孔及び第2の貫通孔の円相当径を調整することによって、共鳴周波数を調整することができる。
また、本発明の吸音部材においては、吸音部材の積層は、接着による積層を行なってもよいし、また、2つの層の接触部に嵌合部(雄部及び雌部)を設け、これらを嵌合させて2つの層を接続してもよい。
本発明の車両用部品は、本発明の吸音部材を備えていることを特徴とする。
本発明の吸音部材は防音性能に優れるため、車両用部品として優れる。
本発明の吸音部材を備える車両用部品としては、嵩上げ材、仕切り部材、ラゲッジボックス等が挙げられる。
本発明の自動車は、本発明の吸音部材の導入通路を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする。
このような向きに本発明の吸音部材を配置することで、路面から伝わるタイヤパターンノイズの騒音を吸収することができ、騒音が車内に伝わることを防止することができる。
図1(a)は、本発明の吸音部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。 図2(a)、(b)及び(c)は、本発明の吸音部材の表面に設けられる導入通路の配置の例を示す模式図である。 図3(a)は、本発明の吸音部材を製造する方法の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す方法により製造された吸音部材の一例を示す模式図である。 図4(a)は、本発明の吸音部材が配置される自動車内部の部位の一例を模式的に示す説明図であり、図4(b)は、図4(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。 図5は、吸音部材に対する残響室法吸音率の測定法を模式的に示す説明図である。 図6は、本発明の実施例1に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例2に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。 図8は、本発明の比較例1に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。 図9は、本発明の比較例2に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。 図10は、本発明の比較例3に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の吸音部材、車両用部品及び自動車について詳述する。
本発明の吸音部材は、本発明の吸音部材は、表面に開口する導入通路と上記導入通路を介して外部と接続される中空部とからなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を備えた吸音部材であって、上記吸音部材は、等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる上記非貫通孔を備えるとともに、さらに、形状が異なるとともに、共鳴周波数が異なる複数の上記非貫通孔を備え、共鳴周波数が異なる上記複数の非貫通孔の共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であることを特徴とする。
本発明の吸音部材は、共鳴周波数が1/3オクターブ以上離れた複数の異なる形状の非貫通孔を備えており、上記非貫通孔の共鳴周波数が広範囲に広がっているので、広い周波数範囲の騒音を吸音することが可能となり、人が不快に感じる周波数領域の騒音が感じられなくなり、車両等に使用するのに最適な吸音部材を提供することができる。
上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上としたのは、共鳴周波数の差が1/3オクターブ未満となるように、異なる共鳴周波数を有する2つの非貫通孔を形成した吸音部材と、上記した周波数範囲内の一の共鳴周波数を有する非貫通孔を形成した吸音部材との吸音効果に差がないため、騒音の大きさが低減したと感じにくいと推定されるからである。
本発明の吸音部材においては、それぞれのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を等間隔で配置させている。上記非貫通孔を等間隔で配置することにより、吸音率のピークを高めることができ、所望の吸音率とすることができるからである。
また、それぞれのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を等間隔で配置させることにより、吸音部材としての強度も各場所において均一になり、全体として強度が高くなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を起因とするひずみ、変形等が起きにくくなり、長期間の使用においても吸音性能が維持されるのである。
本発明の吸音部材では、上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数の差は、1オクターブ以下であることが望ましい。
本発明の吸音部材において、上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数の差を、1/3オクターブ以上、1オクターブ以下に設定することにより、人が不快に感じる周波数領域の騒音をより効果的に低減することが可能となる。
本発明の吸音部材の構成を図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の吸音部材の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図である。
吸音部材20は、非貫通孔10a、10b、10cを有している。非貫通孔10a、10b、10cは、表面に開口する長さtの導入通路11a、11b、11cと、導入通路11a、11b、11cを介して外部と接続される長さtの中空部12a、12b、12cとからなり、導入通路11a、11b、11cの開口面積は、上記開口面に平行な断面における中空部12a、12b、12cの断面積よりも小さく設定されている。このような導入通路11a、11b、11cと中空部12a、12b、12cからなる構造をヘルムホルツ共鳴構造ともいう。なお、吸音部材20の表面から中空部までの長さをtとすると、吸音部材20の厚さTは、下記の式(2)で表される。
T(吸音部材の厚さ)=t(吸音部材の表面から中空部までの長さ)+t(中空部の長さ)+t(導入通路の長さ)・・・(2)
上記したt、t及びtは、吸音部材20の表面に垂直な方向の距離である。
非貫通孔がヘルムホルツ共鳴構造を構成していると、非貫通孔内に入射した音が内部で反射、共鳴して減衰されるため、500〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。
本発明の吸音部材では、非貫通孔10a、10b、10cは、図1(a)及び図1(b)に示すように、それぞれ形状が異なり、その結果、それぞれの共鳴周波数が異なる。そして、これらの非貫通孔10a、10b、10cの共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上である。
本発明の吸音部材では、非貫通孔の形状は特に限定されず、吸音部材を厚さ方向に垂直な方向に切断した際の断面形状が、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、八角形等であってもよいが、円形もしくは楕円形であることが望ましい。これら円形及び楕円形には、角部が存在しないので、角を起点にして応力集中することがないからである。また導入通路と中空部で上記形状が異なっていてもよく、同じであってもよい。
本発明の吸音部材では、非貫通孔の形状が異なり、その結果、共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔を備えているが、それぞれの形状が異なるためには、それぞれの非貫通孔を構成する導入通路又は中空部の形状が異なればよい。従って、中空部12a、12b、12cの円相当径(dm、dn、do)が異なってもよいが、導入通路11a、11b、11cの円相当径(da、db、dc)が互いに異なることが望ましい。
上記の式(1)で示したように、非貫通孔の導入通路の円相当径を変えることにより、共鳴周波数を変えることができるので、広範囲の共鳴周波数を有する複数の非貫通孔が形成された吸音部材を提供することができるからである。
導入通路の円相当径は、1〜30mmであることが望ましく、3〜20mmであることがより望ましい。また、導入通路の長さ(高さ)は1〜20mmであることが望ましい。
本発明の吸音部材においては、中空部と導入通路によりヘルムホルツ共鳴構造を形成するために、中空部の円相当径が導入通路の円相当径よりも大きくなっている。
中空部の円相当径は4〜171mmであることが好ましく、10mm以上であることが好ましく、150mm以下であることが好ましい。
また、本発明の吸音部材では、形状が異なる上記複数の上記非貫通孔の共鳴周波数は、500〜2000Hzの範囲内にそれぞれ設定されていることが望ましい。
それぞれの非貫通孔の共鳴周波数を500〜2000Hzの範囲内に設定することにより、より効果的に人が不快に感じる周波数領域の騒音をより効果的に低減することが可能となるからである。
図1(a)及び(b)並びに下記する図2(a)及び(b)に示す吸音部材では、3種類の非貫通孔の形状が異なる例を示し、図2(c)に示した吸音部材では、2種類の非貫通孔の形状が異なる例を示したが、形状の異なる非貫通孔(導入通路、中空部)の数は、図1(a)及び(b)並びに下記する図2(a)及び(b)に示した例に限定されず、その数は、限定されず、4個以上であってもよく、形状が異なる非貫通孔の配置状態も特に限定されない。形状の異なる非貫通孔等の数は、2〜4が望ましい。
本発明の吸音部材の厚さは、特に限定されないが、1.0cm以上であることが望ましい。
また、吸音部材の厚さが12cm以下であることが好ましい。さらに吸音部材の厚さは、2〜10cmであることがさらに望ましい。
吸音部材の厚さが1.0cm未満であると、非貫通孔の長さが短くなりすぎるために、500〜2000Hzの周波数領域において充分な防音性能が発揮できない。
吸音部材の厚さが12cmを超える場合には、吸音部材の空間占有率が高くなり、車載用途に不向きとなるためである。
本発明の吸音部材の形状は、特に限定されず、シートや板状の平面形状であってもよく、箱型等の立体形状であってもよい。また車両部品の一部又は全部を覆うような形状であってもよい。このとき、音源側に非貫通孔の開口部が向くように、本発明の吸音部材を配置することが望ましい。さらに具体的には、非貫通孔の開口面が路面側を向くように本発明の吸音部材を配置することが望ましい。
吸音部材の材料は、樹脂に限られず、樹脂の他に、繊維、金属、無機等の材料であってもよいが、樹脂が望ましい。
本発明の吸音部材を構成する材料が樹脂である場合、樹脂は、発泡樹脂であることが望ましい。
樹脂が発泡樹脂であると、強度を維持したまま吸音部材の重量を軽くすることができ、燃費の向上に寄与することができる。
なお、発泡樹脂は、発泡性樹脂粒子を発泡・成形して得られる。
本発明の吸音部材を樹脂製とした場合、上記樹脂の密度は、0.01〜1g/cmであることが望ましく、0.02〜0.1g/cmであることがさらに望ましい。なお、上記樹脂が発泡樹脂である場合、樹脂の密度は、発泡成形された発泡樹脂の密度を指す。
樹脂の密度が上記範囲内であると、吸音部材として必要な強度を得やすい。
一方、樹脂の密度が0.01g/cm未満であると、吸音部材として充分な機械的強度を得られないことがある。また樹脂の密度が1g/cmを超える場合には、吸音部材の重量が増加してしまい、車両の軽量化の妨げとなる。
本発明の吸音部材において、導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であることが望ましい。なお、導入通路の長さ及び中空部の長さは、図1における導入通路の長さt及び中空部の長さtに相当する。
導入通路の長さと中空部の長さの合計が10mm以上であると、500〜2000Hzの周波数領域における防音性能を得やすく、特にタイヤパターンノイズによる騒音を低減させることができる。
本発明の吸音部材において、導入通路の長さは、1〜20mmであることが望ましく、3〜15mmであることがさらに望ましい。
本発明の吸音部材において、中空部の長さは1〜20mm以上であることが望ましく、3〜15mmであることがさらに望ましい。
さらに、本発明の吸音部材において、導入通路の長さ及び中空部の長さは、同一であることが望ましい。
本発明の吸音部材において、導入通路の長さと中空部の長さの比は特に限定されないが、2:1〜1:4であることが望ましい。
本発明の吸音部材において、上記非貫通孔の1つあたりの開口面積(すなわち、導入通路の開口面積)は、0.70〜20.0mmであることが望ましい。
非貫通孔の1つあたりの開口面積が上記範囲内であると、吸音部材が受けた音を充分に中空部内に送り込むことができるため、防音性能に優れる。従って、本発明の吸音部材では、上記した開口面積の範囲内で、それぞれの導入通路の開口面積を異なる値とし、共鳴周波数を異なる値とすることが望ましい。
本発明の吸音部材において、非貫通孔の開口面に平行な方向における中空部の断面積(単に中空部の断面積ともいう)は、2.80〜500.0mmであることが望ましい。
中空部の断面積が上記範囲内であると、吸音部材が受けた音を中空部内で反射させやすくなるため、防音性能に優れる。
本発明の吸音部材における非貫通孔の配列パターンを、図2(a)、(b)及び(c)を用いて説明する。
図2(a)、(b)及び(c)は、本発明の吸音部材の表面に設けられる非貫通孔の配置の例を示す模式図である。
本発明の吸音部材において表面に開口する非貫通孔の配列パターンは、図2(a)に示すような、正方形を縦横に連続して配置した平面において正方形の頂点に非貫通孔10a、10b、10cを配置する正方配列であってもよく、図2(b)に示すような、正三角形を縦横に連続して配置した平面において三角形の頂点に非貫通孔10a、10b、10cを配置する千鳥配列であってもよい。なお、各非貫通孔10a、10b、10cの中心同士の長さを孔ピッチともいう。
図2(a)及び(b)では、導入通路の径が異なる例を示しているが、図2(c)では、中空部の径が異なる例を示している。すなわち、図2(c)では、図2(a)と同様に、正方形を縦横に連続して配置した平面において正方形の頂点に非貫通孔を配置しているが、一列に非貫通孔10dと中空部の径が非貫通孔10dに比べて大きい非貫通孔10eが交互に配置されている。なお、11d、11eは、導入通路であり、12d、12eは、中空部である。
上記した配列方法の中では、千鳥配列であることが望ましい。非貫通孔の配列パターンが千鳥配列であると、隣接する非貫通孔が全て等間隔となりやすいため、音の減衰効率がよい。なお、上記した配列パターンにおいて、各非貫通孔10a、10b、10cの配置は、図2(a)及び図2(b)に示した配置に限定されず、形状が異なる非貫通孔の数も、図2(a)及び図2(b)に示した数に限定されない。
また、それぞれのヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を等間隔で配置させることにより、吸音部材としての強度も各場所において均一になり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を起因とするひずみ、変形等が起きにくくなり、長期間の使用においても吸音性能が維持されるのである。
また、導入通路と中空部の位置関係は、中空部が導入通路を介して外部と接続されていればよく、導入通路と中空部の中心(非貫通孔の深さ方向に垂直な方向に切断した際の断面形状における中心)は、一致していてもよく、一致していなくてもよい。
本発明の吸音部材の一例としては、下記のような構成の吸音部材が挙げられる。
すなわち、本発明の吸音部材は、積層された第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層からなり、表面に開口する複数種類の大きさの導入通路と、該導入通路を介して外部と接続される中空部とを有している。第1の樹脂層と第2の樹脂層との間には、接着剤層が配置されており、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間にも、接着剤層が配置されている。複数種類の大きさの導入通路は第1の樹脂層に形成された貫通孔によって、中空部は第2の樹脂層に形成された貫通孔によって、それぞれ形成されており、導入通路と中空部とによってヘルムホルツ共鳴構造が形成されている。
発泡性樹脂粒子(ビーズ)は、樹脂粒子の内部に発泡剤を含有する粒子であり、公知のものを好適に使用することができる。
発泡性樹脂粒子を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン単重合体、スチレン及びスチレンと共重合可能な単量体(又はその誘導体)を共重合して得られる共重合体が挙げられる。スチレン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素類等が挙げられる。
発泡性樹脂粒子には、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、加工助剤、充填剤、抗酸化剤、耐光性安定剤、帯電防止剤及び着色剤等の公知の添加剤を添加してもよい。添加剤の使用の一例としては、着色剤に黒系のものを用いれば、汚れが目立たなくなる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系難燃剤、赤リン、リン酸アンモニウム等のリン酸系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA(TABB)、臭素化ポリスチレン、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤、炭酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤等が挙げられる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
加工助剤としては、ステアリン酸塩、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
充填剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル、β,β−チオプロピオン酸エステル、有機亜リン酸エステル及びフェノール・ニッケル複合体等が挙げられる。
耐光性安定剤としては、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系の安定剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、脂肪酸エステル化合物、脂肪族エタノールアミン化合物及び脂肪族エタノールアミド化合物等の低分子型帯電防止剤並びに高分子型帯電防止剤等が挙げられる。
着色剤としては、染料及び顔料等が挙げられる。
発泡性樹脂粒子の平均粒子径は、300μm〜2400μmであることが望ましく、800μm〜2000μmであることがより望ましい。
発泡性樹脂粒子の発泡倍率は、10〜60倍であることが望ましい。
発泡倍率を10〜60倍の範囲にすることにより、樹脂の密度を0.02〜0.1g/cmの範囲に調整しやすくなる。
一方、発泡倍率が10倍未満の場合、吸音部材が硬くなりすぎたり、重くなりすぎる場合がある。また発泡倍率が60倍を超える場合、吸音部材として強度が不足することがある。
続いて、本発明の吸音部材を製造する方法について説明する。
本発明の吸音部材は、樹脂層に、表面に開口する導入通路と導入通路を介して外部と接続される中空部からなるヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成することにより製造することができる。
樹脂層を形成する方法としては、従来公知の樹脂の成形方法を用いることができ、発泡性樹脂粒子を発泡成形して樹脂層を形成してもよい。
続いて、樹脂層にヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成する方法について説明する。
樹脂層にヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、貫通孔を設けた樹脂層と貫通孔を設けていない樹脂層を積層する方法や、導入通路及び中空部となる形状の突起を金型内に設置し、金型内で樹脂層を成形した後、突起を抜き取る方法等が挙げられる。
貫通孔を設けた樹脂層と貫通孔を設けていない樹脂層を積層する方法について、その一例を、図3を用いて説明する。
図3(a)は、本発明の吸音部材を製造する方法の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す方法により製造された吸音部材の一例を示す模式図である。また図3(b)は、図3(a)に示す各部材を組み合わせた後のB−B線断面図でもある。
図3(a)に示すように、第1の樹脂層31、第2の樹脂層32及び第3の樹脂層33を、接着剤層50及び51を介して積層する。第1の樹脂層31及び第2の樹脂層32には大きさの異なる貫通孔40a、40b、40c及び大きさの同じ貫通孔41がそれぞれ形成されており、第3の樹脂層33には貫通孔が形成されていない。貫通孔41の孔径は貫通孔40a、40b、40cの孔径よりも大きい。また、第1の樹脂層31と第2の樹脂層32の間には、接着剤層50が配置されている。接着剤層50は、第2の樹脂層32の表面のうち、貫通孔41が形成されていない箇所の表面に配置される。なお、大きさの異なる貫通孔40a、40b、40cの数は、3個に限定されず、4個以上であってもよい。
さらに、第2の樹脂層32と第3の樹脂層33の間には、接着剤層51が配置されている。接着剤層51は、接着剤層50と同様に、第2の樹脂層32の表面のうち、貫通孔41が形成されていない箇所の表面に配置される。
接着剤層50、51を介し、第1の樹脂層31、第2の樹脂層32、第3の樹脂層33を積層することで、図3(b)に示す吸音部材2が得られる。このとき、第1の樹脂層31の貫通孔40a、40b、40cの位置と第2の樹脂層32の貫通孔41の位置が重なるように調整する。
なお、樹脂層を積層する際には、図3(a)、図3(b)に示すように、貫通孔41の底面(第3の樹脂層33の上面)及び貫通孔41の上面(第1の樹脂層31の底面)に接着剤層が形成されないように、第1の樹脂層31、第2の樹脂層32、第の樹脂層33を積層することが好ましい。
上記方法により製造された吸音部材2は、積層された第1の樹脂層31、第2の樹脂層32及び第3の樹脂層33からなり、表面に開口する導入通路11a、11b、11cと、導入通路11a、11b、11cを介して外部と接続される中空部12とを有している。第1の樹脂層31と第2の樹脂層32との間には、接着剤層50が配置されており、第2の樹脂層32と第3の樹脂層33との間には、接着剤層51が配置されている。導入通路11a、11b、11cは貫通孔40a、40b、40cによって、中空部12は貫通孔41によって、それぞれ形成されており、導入通路40a、40b、40cと中空部12によってヘルムホルツ共鳴構造が形成されている。
なお、図3(a)及び図3(b)では、樹脂層同士を接着するためにシート状の接着剤層を用いているが、本発明の吸音部材は、樹脂層の表面に接着剤を塗布する方法等によって製造してもよい。
また、表裏を貫通しない孔を樹脂層の一方の面にだけ形成することで、図3(a)で示す第2の樹脂層及び第3の樹脂層を一体化したような樹脂層を形成し、これを第1の樹脂層と積層することによっても、本発明の吸音部材を製造することができる。
樹脂層に貫通孔を形成する方法は、特に限定されないが、金型内に貫通孔を形成するための突起を設けて、発泡性樹脂粒子を発泡させる方法や、貫通孔を有しない樹脂層を一旦準備し、該貫通孔を有しない樹脂層の一部にパンチング、ドリル、レーザ等の手段で貫通孔を形成してもよい。
本発明の車両用部品は、本発明の吸音部材を備えることを特徴とする。
本発明の吸音部材は防音性能に優れるため、車両用部品として優れる。
本発明の吸音部材を備える車両用部品としては、嵩上げ材、ラゲッジボックス等が挙げられる。また、本発明の吸音部材を備える車両の種類は特に限定されず、バス、トラック、乗用車等の普通自動車であってもよく、小型トラックのような小型自動車であってもよく、軽トラック、軽乗用車のような軽自動車であってもよい。
本発明の自動車は、本発明の吸音部材の導入通路を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする。
上記のような向きに本発明の吸音部材を配置することで、路面から伝わるタイヤパターンノイズの騒音を吸収することができ、500〜2000Hzの周波数領域の騒音が車内に伝わることを防止することができる。
上記自動車の種類は、特に限定されず、バス、トラック、乗用車等の普通自動車であってもよく、小型トラックのような小型自動車であってもよく、軽トラック、軽乗用車のような軽自動車であってもよい。
本発明の吸音部材を車両用部品として用いた例、及び、本発明の吸音部材を配置してなる自動車の例について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。
図4(a)は、本発明の吸音部材が配置される自動車内部の部位の一例を模式的に示す説明図であり、図4(b)は、図4(a)における破線部で示す領域の部分拡大図である。
図4(a)に示すように、自動車100は、後部座席101の後方にラゲッジルーム103を備える。図4(b)に示すように、ラゲッジルーム103の下部には、板状のフロア部材105が敷設されており、フロア部材105の下には床下空間109が存在する。
床下空間の109の下に、非貫通孔120a、120b、120cの開口した面が路面方向に向くように吸音部材110が自動車内に配置されている。
なお、非貫通孔120a、120b、120cは、大きさの異なる導入通路111a、111b、111cと、導入通路111a、111b、111cを介して外部と接続される中空部112a、112b、112cとからなる。
吸音部材110は、広い周波数領域の騒音を吸音するため、複数の非貫通孔の共鳴周波数の差を、1/3オクターブ以上に設定しており、その結果、500〜2000Hzの周波数領域における防音性能に優れる。そのため、人が不快に感じる500〜2000Hzの周波数領域の騒音が車室内に侵入することが防止され、車室内にいる人が不快と感じることが低減される。
(実施例)
以下に、本発明をより具体的に説明する具体例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)樹脂層の作製
発泡性樹脂粒子を予備発泡させた一次発泡粒子(ポリプロピレン製、平均粒径3.5mm、発泡剤:二酸化炭素)を金型に充填するとともに、加熱蒸気で発泡成形(143℃、10秒)し、金型から取り外した後、80℃で12時間乾燥させることにより縦800mm×横800mm×厚さ10mmの板状の樹脂層3枚を作製した。このとき、発泡樹脂の発泡倍率は30倍であった。
(2)貫通孔の形成
上記(1)樹脂層の作製工程により作製した厚さ10mmの樹脂層のうち1枚に、隣り合う中空部間の距離10mmの千鳥配列となるよう、直径3mmの円形に貫通孔を形成して、第1の樹脂層を作製した。
続いて、上記(1)樹脂層の作製により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の一枚に、隣り合う中空部間の距離10mmの千鳥配列となるよう、直径10mmの円形、直径18mmの円形に貫通孔をドリルにより形成した第2の樹脂層を準備した。
上記(1)樹脂層の作製により作製した厚さ10mmの樹脂層のうち最後の1枚には加工を施さず、第3の樹脂層とした。
(3)樹脂層の積層
第2の樹脂層の一面に接着剤を塗布し、第1の樹脂層に形成された貫通孔の中心位置と第2の樹脂層に形成された貫通孔の中心位置とが一致するように第1の樹脂層と第2の樹脂層とを接着した。続いて、第2の樹脂層のもう一面にも接着剤を塗布し、第3の樹脂層を接着することで、実施例1に係る吸音部材を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の1枚に、隣り合う中空部間の距離10mmの千鳥配列となるよう、直径10mm、12mmの円形にそれぞれ貫通孔をドリルにより形成して、第2の樹脂層を作製したほかは、実施例1と同様にして吸音部材を得た。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の1枚に、隣り合う中空部間の距離10mmの千鳥配列となるよう、円形で直径が2mmの1種類の貫通孔をドリルにより形成して、第2の樹脂層を作製したほかは、実施例1と同様にして吸音部材を得た。
(比較例2)
実施例1と同様の方法により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の1枚に、隣り合う中空部間の距離10mmの千鳥配列となるよう、円形で直径10mm、11mmの2種類の貫通孔をドリルにより形成して、第2の樹脂層を作製したほかは、実施例1と同様にして吸音部材を得た。
(比較例3)
実施例1と同様の方法により作製した厚さ10mmの樹脂層の別の1枚に、直径10mmの円形、直径18mmの円形にドリルにより貫通孔を形成し、隣り合う中空部間の距離を1mm、5mm、10mmとランダムに配列した第2の樹脂層を作製したほかは、実施例1と同様にして吸音部材を得た。
(吸音率測定)
吸音率の測定は、残響室法吸音率試験により行った。測定はJIS A 1409−:1998「残響室吸音率の測定方法」に準じて行った。
図5は、吸音部材に対する残響室法吸音率の測定法を模式的に示す説明図である。
図5に示すように、吸音率を測定する際には、各実施例及び各比較例に係る吸音部材110を導入通路の開口を上面にして、残響室80の床面81に載置し、残響室80内でノイズ信号発生器82からスピーカー83を通じ電気的なノイズを放射させる。次に音の放射を止め、音をマイクロホン84で測定し、減衰過程を信号分析器85で分析する。試験体が設置される前の状態で、分析された減衰曲線から音が60dB減衰する時間である残響時間、T1〔sec.〕、試験体が床面に設置された後の状態で、測定された減衰曲線から音が60dB減衰する時間である残響時間、T2〔sec.〕を求める。測定は300−5000Hzで行う。
残響室法吸音率試験の結果のグラフを図6〜図10に示す。
図6は、本発明の実施例1に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
図7は、本発明の実施例2に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
図8は、本発明の比較例1に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
図9は、本発明の比較例2に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
図10は、本発明の比較例3に係る吸音部材の残響室法吸音率試験の結果を示すグラフである。
また、各実施例及び各比較例に係る吸音部材の吸音率を表1に示す。
Figure 2019026294
図6〜7及び表1に示された結果を参照すると、実施例1〜2に係る吸音部材において、中空部の直径が異なる2種類の非貫通孔の共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であることが判明した。また、吸音率が20%以上となる領域は周波数:800−1600Hzの間であることが確認された。
図8及び表1に示された比較例1の結果より明らかなように、1種類のヘルムホルツ共鳴構造が形成された吸音部材は、500〜2000Hzの周波数領域の一部の周波数のみを吸音する性能には優れているが、500〜2000Hzの周波数領域の全体に対する吸音率はよくないことが分かった。
図9及び表1に示された比較例2の結果より、2種類のヘルムホルツ共鳴器を形成された吸音部材であるが、中空部の径が異なる2種類の非貫通孔の共鳴周波数の差は、1/3オクターブ未満であり、比較例1に近い吸音率を示すことが確認された。
図9及び表1に示された比較例3の結果より、中空部の径が異なる2種類の非貫通孔の共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であるが、その配置がランダムであったので、吸音率を高めることができなかったことが確認された。また、比較例3の吸音部材は、実施例1〜2および比較例1〜2と比較し、強度がなかった。
2、20、110 吸音部材
10a、10b、10c、10d、10e 非貫通孔
11a、11b、11c、11d、11e 導入通路
12a、12b、12c、12d、12e 中空部
31 第1の樹脂層
32 第2の樹脂層
33 第3の樹脂層
40a、40b、40c 貫通孔
41 貫通孔
50、51 接着剤層
80 残響室
81 床面
82 ノイズ信号発生器
83 スピーカー
84 マイクロホン
85 信号分析器
100 自動車
101 後部座席
103 ラゲッジルーム
105 フロア部材
109 床下空間
120a、120b、120c 非貫通孔
111a、111b、111c 導入通路
112a、112b、112c 中空部

Claims (12)

  1. 表面に開口する導入通路と前記導入通路を介して外部と接続される中空部とからなり、ヘルムホルツ共鳴構造を有する非貫通孔を備えた吸音部材であって、
    前記吸音部材は、等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる前記非貫通孔を備えるとともに、さらに、それら非貫通孔とは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔を備え、
    前記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる複数の非貫通孔との共鳴周波数の差は、1/3オクターブ以上であることを特徴とする吸音部材。
  2. 前記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる前記複数の非貫通孔とは、前記導入通路の円相当径が互いに異なる請求項1に記載の吸音部材。
  3. 前記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる前記複数の非貫通孔とは、前記中空部の円相当径が互いに異なる請求項1に記載の吸音部材。
  4. 前記等間隔で配列された、共鳴周波数が同一となる非貫通孔と、それらとは形状および共鳴周波数が異なる前記複数の非貫通孔とは、前記導入通路の円相当径および前記中空部の円相当径が互いに異なる請求項1に記載の吸音部材。
  5. 前記複数の前記非貫通孔の共鳴周波数の差は、1オクターブ以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音部材。
  6. 形状が異なる前記複数の前記非貫通孔の共鳴周波数は、500〜2000Hzの範囲内にそれぞれ設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸音部材。
  7. 前記吸音部材は、樹脂製である請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸音部材。
  8. 前記吸音部材を構成する樹脂は、発泡樹脂である請求項7に記載の吸音部材。
  9. 前記吸音部材は、第1の貫通孔を有する第1層、前記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2層がこの順で積層されてなり、
    前記第1の貫通孔が前記導入通路を構成し、前記第2の貫通孔が前記中空部を構成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸音部材。
  10. 前記吸音部材は、第1の貫通孔を有する第1層、前記第1の貫通孔よりも円相当径の大きい第2の貫通孔を有する第2層及び貫通孔を有しない第3層がこの順で積層されてなり、
    前記第1の貫通孔が前記導入通路を構成し、前記第2の貫通孔が前記中空部を構成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸音部材。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸音部材を備えていることを特徴とする車両用部品。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸音部材の導入通路を路面方向に向けて配置してなることを特徴とする自動車。
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