JP4393880B2 - 薄幅溝を有する合成樹脂発泡成形体 - Google Patents

薄幅溝を有する合成樹脂発泡成形体 Download PDF

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本発明は、製品に溝状の薄幅空隙を設けることによる、良好な吸音性を有する合成樹脂発泡体に関する。さらには、車輌用の内装材、あるいは床材、壁材及びその芯材等の建築、土木分野に有効な、吸音性を有する合成樹脂発泡成形体に関する。
連通する空隙を有した発泡成形体が吸音性を有することは広く知られている。例えば、原料からのアプローチとして、ビーズ型内発泡成形方法における吸音性発泡成形品は、L/Dが2〜10である柱状ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を不規則な方向に向けて相互に融着された成形品である(特許文献1参照)。本技術は発泡粒子の形状が長いため金型内に発泡粒子を充填する際にしばしば充填不良を引き起こす等の問題があった。
また、中空円筒ないし中空異形状の発泡粒子を加熱成形して吸音性発泡成形品を得る方法もあり、成形体内部の空隙率の効果で透水性や吸水性を示す記載がある(例えば、特許文献2〜4参照)。この場合、中空の樹脂粒子の製造方法が複雑なため、原料となる粒子サイズの小さな中空樹脂粒子の生産性が極めて低い問題があった。また、成形品の特性としての課題は、中空な樹脂粒子であるため、成形品としての圧縮強度が低下することになる。それ故、自動車内装材、特にフロアスペーサー用途に用いる場合には、強度を補うために他素材との組み合わせで使用しなければならず、コスト高となる傾向にあった。さらに、成形品の寸法精度が低下する、薄肉部端部の形状を形成しにくい等の問題があり、特に寸法精度、圧縮強度が要求される自動車内装材分野での適用は困難であった。総括すると、ビーズ型内発泡成形における樹脂粒子からの吸音性付与への改質は、生産性、成形性、成形品の寸法精度、圧縮強度の問題から実用化は難しかった。
一方、吸音性能を付与する他の方法としては、発泡体への孔の形成が挙げられる。一般的には針、ピン、スパイク、爪状の尖った鋭い対象物を成形品に刺すことが知られている(特許文献5参照)。しかしながら、当該方法においては、針のピッチ、径サイズによっては製品の変形あるいは製品の潰れが発生する問題、あるいは発泡製品の弾性回復により孔が閉塞する問題があった。ドリル、レーザー、高圧流体、空気銃などを用いる方法では、多数の穴あけが煩雑となる、あるいは高価な装置が必要となり量産実用化が困難とされていた。
打ち抜きによる方法としては、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)および軟質ウレタンに直径7mmと直径10mmの貫通孔を20mmピッチで打ち抜き形成した吸音材が示されている(特許文献6)。しかしながら、特許文献6記載の技術を、例えば独立気泡のみの構造体に適用した場合では、ピッチの変更、とりわけ小ピッチへの変更は困難であった。特に、吸音効率を高めるためにはより多くの孔が必要となるが、打ち抜き成形では製品厚みが厚くなるにしたがい孔加工が困難となるのは自明であり、さらに前述以上にピッチを狭めた場合に製品に潰れや変形が発生し、所望するピッチでの吸音孔を設けることが困難であった。
さらに、型内発泡成形時に針状、棒状の突起物を有する発泡成形型内で行う方法、あるいは後加工において、針状物、棒状物等を加熱する方法の報告もある(特許文献7、8)。型内発泡成形においては、金型内に吸音孔を付与するための針状、棒状の突起物を設けることになる。金型内にこのような部材を設けることは、金型構造が非常に複雑となることより、当然の事ながら金型費が高くなる傾向にあった。吸音効果発現の観点からは、多数の針状突起を狭いピッチで配置する必要があるが、成形性の観点からは狭いピッチの針状突起の間へ原料ビーズを充填することが困難となり、良品が得られにくい問題が発生していた。また、針状物等を加熱する後加工による方法においても、良好な吸音効果を得るために非常に多くの針状物を必要とすることから加工装置が複雑化すると共に、多数の針状物を均一に加熱することが難しくことから良好な孔を同時に複数形成することは困難であった。加えて細針を使用することより針の強度、耐久性を維持することが難しく、実用は困難とされていた。
また発泡樹脂に吸音凹部を適宜間隔毎に設けた下地材を内壁・天井・床面に設置する断熱材が開示されているが、本願のように圧縮強度と吸音効果の両立を目的としたものではない(特許文献9)。
特開平3−224727号公報 特開平7−137063号公報 特開平8―108441号公報 特開平10―329220号公報 特表平6−507129号公報 特開2000―206976号公報 特開2003―335893号公報 特開2003−25361号公報 特開2003−138668号公報
本発明の課題は、原料からの改質を必要とせず、一般の合成樹脂発泡成形体に容易に吸音効果を付与でき、且つ安価に製造するためのものである。つまりは、様々な形状、様々な発泡素材、成形方法(押出発泡品、積層発泡品)の合成樹脂発泡成形体に対し、僅かな加工あるいは従来金型の改善により高い吸音性能を発現でき、合成樹脂発泡成形体の要求特定で重要となる圧縮強度を低下させることなしに、製品の変形がなく寸法精度に優れた吸音性を有する合成樹脂発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、型内発泡成形品、押出発泡成形品、発泡積層品の一般成形品に、複数の有底及び/又は貫通した薄溝を設ける形態を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、複数の有底及び/又は貫通した薄幅溝を有する合成樹脂発泡成形体であって、一つの薄幅溝の幅が0.5mm以上2mm以下、薄幅溝の長さが15mm以上50mm以下であり、薄幅溝の開口率が1.7%以上6.1%以下であることを特徴とする吸音用合成樹脂発泡成形体に関する。
好ましい実施態様としては、
(1)前記薄幅溝の深さを2以上に設定した、
(2)前記薄幅溝が有底である、
(3)薄幅溝の形状が、直線、曲線、ジグザグ線の何れか1以上である、
(4)前記薄幅溝の配置が、平行、格子状、千鳥状、円形状、多角形状、渦巻き状、放射状からなる群から選ばれるいずれか一つ以上である、
(5)前記薄幅溝を合成樹脂発泡体の表面と裏側に設けてなり、更に好ましくは前記合成樹脂発泡体の表面と裏側とで、薄幅溝の深さ、薄幅溝の幅、溝間ピッチのいずれか一つ以上が異である、
ことを特徴とする前記記載の吸音用合成樹脂発泡成形体に関する。
本発明による合成樹脂発泡成形体は、型内成形における吸音加工、型内成形品、押出成形品、積層発泡成形品等の一般的な発泡成形体への後加工への適用が可能である。さらに、形状設計の自由度が高く、且つ吸音効果を発現する薄幅の溝の性状により、要求される吸音周波数域の設計が可能であり、製品の表面と裏面で異なる吸音周波数域の設計も可能となる。
また、吸音性付与方法の代表とされる発泡体成形体に多数の孔を形成する従来法と比較し、少数の薄幅溝にて吸音効果を発現できることから、型内発泡成形においては金型に比較的少数の板状の突起物を配置することで型内成形同時加工が容易となり、針状、棒状の突起物と比較してコストダウンが図れる。当然の事ながら、発泡後の製品に後加工する方法においても、孔を設ける方法と比較し本願発明では少数の薄幅溝を形成することで同様の吸音効果が発現することより、加工機の簡略化による初期投資コストダウン、加工部材が板状となることよる部材の強度アップと耐久性向上が図れる。
発泡成形体としても高い寸法精度と、従来と同様の圧縮強度を有する発泡成形体を得ることができるため、強度を補強する素材と併用使用をしなくとも、自動車内装材としてのフロアスペーサー、各種パッドや、住宅等の建築物の床材、壁材等に好適に使用することが可能となる。
以下本発明に関し詳しく説明する。
本発明における用いられる合成樹脂とは、熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタアクリル酸系樹脂;ポリスチレン、ポリα―メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとのブレンドまたはグランドコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、エチレンまたはプロピレンと塩化ビニルのコポリマー等の塩化ビニル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;塩化ポリエチレン及び塩素化ポリプロピレン等の塩素化された樹脂;ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。成形品の物性を考慮すればポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー等のポリエチレン系樹脂がそれぞれ単独であるいは混合して用いられる。また、これらのポリオレフィン系樹脂は無架橋のものが好適に使用されるが、架橋したものも使用できる。また、配合剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止材、顔料などの着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、タルク、炭酸カルシウム等の無機充填剤を含んだものでもよい。
本発明による発泡成形体は、前記合成樹脂を発泡させて得られるものであり、発泡成形体の製造方法は公知の方法でよい。例えば、自動車のバンパー芯材、フロアスペーサー、ティビアパッド、ラゲッジボックスに適用されているポリプロピレンあるいはポリエチレン発泡品等に代表される型内発泡成形法がある。これは予め所定倍率に予備発泡させた原料ビーズを金型内に充填し、加熱蒸気により発泡、融着させた、冷却固化した後に製品を取り出す方法である。また、ポリスチレンボードやポリプロピレンボードのような、ポリスチレンに代表される熱可塑性樹脂に有機ガスあるいは無機ガスを圧入し、大気下に押出ながら発泡させることで得られる合成樹脂押出発泡成形法や、予め発泡させたボードを所定形状に切り出し、接着剤あるいは溶融接着により張り合わせる方法等が挙げられる。なかでも型内発泡成形法は設計自由度が高いために、複雑な形状な発泡成形体も製造することが出来るため好適である。
発泡成形体の発泡倍率は2倍以上100倍以下が好ましく、さらには3倍以上60倍以下が好適である。また、本発明においては合成樹脂からなる発泡成形体は、その気泡形態が、独立気泡のものでも連続気泡のものでも良く、またこれらが混在しているものでもよい。なかでも、独立気泡率が90%以上のものが、自動車部材の衝撃エネルギー吸収材としても、フロア材としても高い圧縮強度を維持できるため、本発明に好適に用いることができる。
本発明を適用する合成樹脂発泡成形体の厚みは、10mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上であり、これ以上であれば特に限定するものではない。厚みが小さいと、薄幅溝による音エネルギーを熱エネルギーや振動エネルギーに変換しうる空気層が減少するため、音波を成形体内部に伝播する十分な空気層を確保することができず、空気の粘性摩擦が生じにくくなり、吸音率の低下を生じる。さらに厚みが小さくなる場合、即ち薄幅溝を浅くしか確保できない場合には、吸音周波数域が高周波側に移動することより、吸音周波数域の設計の自由度が狭くなるという問題がある。
本発明の合成樹脂発泡成型体は、単体であってもピーク値を持つ吸音特性を有するが、他の吸音材、或いは、遮音材と併用することが可能である。例えば、薄幅溝が開口する側にシート状の吸音材を積層することにより、シート状の吸音材の多孔質型吸音特性と加味され、合成樹脂発泡成形体の吸音効果とシート状の吸音材吸音効果の相乗効果が得られるためより好ましい。ここで使用するシート状吸音材は特に限定するものではないが、雑フェルト、レジンフェルト、ポリエステルやポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維やパルプ、麻、ケナフ等の天然繊維による繊維集合体、中空繊維、一般多孔質体等に代表される通気性を有するものであれば特に限定されるものではない。
本発明の合成樹脂発泡体が有する薄幅溝に関しては、一つの薄幅溝の幅が0.2mm以上5mm以下、好ましくは1mm以上3mm以下である。この範囲に薄幅溝の幅を設定することで発泡成形体の吸音効果を良好に発現できる。また、薄幅溝の長さに特に限定はないが、合成樹脂発泡成形体の剛性の問題より、上限は100mmであることが好ましく、更に50mmであることが好ましい。また、合成樹脂発泡成形体への吸音溝の形成の容易性より下限は、15mmであることが好ましく、更には30mmであることが好ましい。
本発明の合成樹脂発泡成形体の薄幅溝は、更に、合成樹脂発泡成型体の全表面積に対する溝の開口面積比が1.5%以上15%以下であり、好ましくは2%以上10%以下である。この範囲内であれば、良好な吸音効果と良好な圧縮特性の両立が図れる。
薄幅溝の溝間ピッチは、薄幅溝の幅寸法と長さ寸法による溝面積と適正な開口面積比により決定されうる。通常、好ましくは3mm以上50mm以下に設定され、受音面全体で均一に吸音するようにするために、更に好ましくは5mm以上30mm以下に設定される。ここで、溝間ピッチとは溝の幅方向における溝と溝の間隔をいう。
薄幅溝の溝深さに関しては特に限定はなく、また有底溝であっても貫通溝であってもよく、両者の組合せであってもよい。薄幅溝の深さを2種以上に設定することで、異なる周波数の音を吸音するように設計できることが可能となるため好ましい。また、型内発泡成型法によっても製造することが出来、任意の発泡成形体の形状を得やすいことから、有底の溝で構成されることが好ましい。
薄幅溝の形状・配置についても特に限定はなく、例えば、図1に示す直線(a)、十字(b)、Lの字(c)、コの字(d)、星形状(e)、ジグザグ線状(h)、柵状(i)等の直線の組合せ、正弦波状、波状等(j)、Sの字(k)、円(l)などの曲線で表現されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、薄幅溝が端を有する配置としては、図2に示すように平行(a)、格子状(b)、千鳥状(c)、渦巻き状(d)、放射状(e)等が挙げられ、薄幅溝が端を有さない配置としては円形状(f)、多角形状(g)等が挙げられ、これらを1つ以上使用することが可能である。また、溝の深さ方向の各位置における断面の形状・大きさは必ずしも同じである必要はなく、溝の奥に行くほど連続的に細くなるものや、階段的に断面形状が変化するものなど任意の形状のものを採用できる。薄幅溝の深さ、形状、また前記範囲内で薄幅溝の幅、溝間ピッチについては適宜選択し、組み合わせることが可能である。即ち、発泡成形体が有する薄幅溝は同一の幅、溝間ピッチ、深さ、形状を有していてもよいし、異なっていてもよい。また、薄幅溝は、成形体の表面のみに形成してもよいし、裏面にも形成してよい。また必要に応じて側面にも形成してもよい。その際には、発泡成形体の表面と裏面で同じ幅、溝間ピッチ、深さ、形状有していてもよいし、薄幅溝の深さ、薄幅溝の幅、溝間ピッチのいずれか一つ以上が異なる薄幅溝を形成してもよい。
次に、合成樹脂発泡体に薄幅溝を形成する方法について説明する。薄幅溝の形成方法にはいくつかの方法が考えられ、その一つは、発泡成形体を成型する際に薄幅溝も形成する方法である。例えば、型内発泡成形法によって形成することが出来る。この方法は金型内に板状の溝形成部を設けることで薄幅溝を形成する方法であり、金型内に配設した溝形成部の高さ、幅、ピッチ、配置を組み合わせることで、任意に溝を形成することが可能となる。吸音性能の観点から有底溝および貫通溝で大差ないが、金型製作の容易性から、有底溝とすることが好ましい。一方、透過損失の観点から、貫通溝では音を遮断することができず通過させてしまうことより、主に遮音を目的とする場合には有底溝とすることが好ましい。型内発泡成形法によって薄幅溝を形成する場合、可能な溝間のピッチは、原料ビーズの充填性、つまりは原料ビーズの大きさにより決定され、5mm以上が好ましく、より好ましくは10mm以上である。
別の薄幅溝の形成方法の例としては、発泡成形後の合成樹脂発泡体に後加工する方法がある。この方法では、薄幅溝の形成部先端を樹脂の融点以上に加熱し、合成樹脂発泡体に接触、融解させることで薄幅溝を形成することが可能となる。発泡体の最適溶融温度は樹脂種あるいは発泡倍率、溝の形成部材の製品への挿入速度により異なるが、概200℃以上500℃以下に設定することが好ましい。具体的にはポリスチレン系樹脂発泡体であれば200℃以上300℃以下、ポリプロピレン系樹脂発泡体は250℃以上400℃以下であることが好ましい。
また本発明の合成樹脂発泡体は、優れた吸音効果を有し、かつ成形加工性が容易であるため、吸音目的に様々な用途に使用することが可能である。例えば、フロアスペーサー、ティビアパッド、ピラー内部の衝撃吸収材、ドアリム内部の衝撃吸収材、等の車両用内装材、コンサートホール、一般住宅等の建築物の床材(床材を構成する芯材も含む)や壁材(壁材を構成する芯材も含む)に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
型内発泡成形による本願発明の製品としては、300×400×60t(mm)の板状製品を成形する金型内に幅2mm、長さ50mmの板を30mmピッチで、溝深さが40mmとなるように並行配置し、製品倍率が30倍となる原料(LBS30;鐘淵化学工業(株)製エペランPP)にて成形を行った。吸音測定は成形後にサンプルを切り出して実施した。
(実施例2)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)に、約300℃に板状部材先端を加熱した装置を用いて、後加工により短手の溝幅2mm、溝間ピッチ15mm、長手の溝幅30mm、溝深さ40mmを並行配置するように形成した。
(実施例3)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)に、約300℃に板状部材先端を加熱した装置を用いて、後加工により溝幅1mm、溝間ピッチ15mm、長さ15mm、溝深さ40mmの薄幅溝を並行配置するように形成した。
(実施例4)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)に、板状部材先端を約300℃程度に加熱し、後加工により幅0.5mm、溝間ピッチ15mm、長さ50mm、溝深さ40mmの薄幅溝を並行配置するように形成した。
(実施例5)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)に、板状部材先端を約300℃程度に加熱し、後加工により幅0.5mm、溝間ピッチ15mm、長さ50mm、溝深さ20mmの薄幅溝を並行配置するように形成した。
(参考例)
ポリプロピレンを主原料とするビーズ型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)で、薄幅溝の加工なしのものについて評価を行った。
(比較例1)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵化学工業(株)製エペランPPを使用)に、板状部材先端を約300℃程度に加熱し、後加工により幅0.5mm、溝間ピッチ15mm、長さ50mmの薄幅を並行配置するように形成した。
(比較例2)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵工業(株)製エペランPPを使用)に、針状部材先端を約300℃程度に加熱し、後加工により口径2mm、ピッチ8mmの吸音孔を形成した。
(比較例3)
ポリプロピレンを主原料とする型内発泡成形品(発泡倍率30倍、鐘淵工業(株)製エペランPPを使用)に、針状部材先端を約300℃程度に加熱し、後加工により口径5mm、ピッチ9mmの吸音孔を形成した。
上記の各吸音構造体の垂直入射式吸音率を測定した。測定は小野測器製SR−4100を用い、ASTME1050に従って500〜6400Hzの周波数帯で行った。結果を図3に示す。
また、圧縮強度はJIS−K6767に基づいて測定した。結果を表1に示す。また、表1中には実施例での最高吸音率、開口率、圧縮強度を記す。ここで、開口率は溝を配した面の面積に対する溝の面積比である。
Figure 0004393880
以上説明したように、本願発明の薄幅の溝を有する合成樹脂発泡成形体によれば、型内発泡における特殊で異形の樹脂粒子を使用しなくとも吸音率の高い成形体を容易に得ることが可能であり、押出発泡品、積層発泡品への展開も容易である。さらに、吸音性能を有しない合成樹脂発泡体と同様の圧縮特性を維持することができ、且つ吸音周波数域の設計が可能で、これらの吸音効果を製品の表面と裏面で異にすることも可能となる。特に細孔を有する吸音材に対しては、吸音に寄与する溝数を大幅に減少させることが可能となり、この効果により後加工での吸音性付与あるいは型内発泡における吸音付与加工が飛躍的に容易になることから、加工機あるいは金型費用の大幅なコストダウンを図れるものである。また、孔を設けた合成樹脂発泡成型体では、多くの孔数を設けることによって良好な吸音性は得られるものの、溝を付与した合成樹脂発泡成型体に比べで、充分な圧縮強度が得られない場合がある。本発明の薄幅溝を有する合成樹脂発泡成型体は優れた吸音特性と圧縮強度を併せ持つものであると言える。
薄幅の溝の形状例を示した図である。 薄幅の溝の配置例を示した図である。 吸音率の定結果を示した図である。

Claims (7)

  1. 複数の有底及び/又は貫通した薄幅溝を有する合成樹脂発泡成形体であって、一つの薄幅溝の幅が0.5mm以上2mm以下、薄幅溝の長さが15mm以上50mm以下であり、薄幅溝の開口率が1.7%以上6.1%以下であることを特徴とする吸音用合成樹脂発泡成形体。
  2. 前記薄幅溝の深さを2種以上に設定したことを特徴とする請求項1に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
  3. 前記薄幅溝が有底であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
  4. 薄幅溝の形状が、直線、曲線、ジグザグ線の何れか1以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
  5. 前記薄幅溝の配置が、平行、格子状、千鳥状、円形状、多角形状、渦巻き状、放射状からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
  6. 前記薄幅溝を合成樹脂発泡体の表面と裏側に設けてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
  7. 前記合成樹脂発泡体の表面と裏側とで、薄幅溝の深さ、薄幅溝の幅、溝間ピッチのいずれか一つ以上が異であることを特徴とする請求項6に記載の吸音用合成樹脂発泡成形体。
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