JP2007136966A - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中音域から高音域にわたって優れた吸音性能を有し、かつ優れた断熱性能を有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】平均セル径が50〜200μmであるポリオレフィン系樹脂発泡体に対して開孔具を進入させることによって形成された開口部を有し、開孔具が進入される発泡体の表面の開孔面積比率が20〜80%であり、該表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率が0〜85%であり、かつ開孔具の厚みにおける平均進入度が25〜70%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】平均セル径が50〜200μmであるポリオレフィン系樹脂発泡体に対して開孔具を進入させることによって形成された開口部を有し、開孔具が進入される発泡体の表面の開孔面積比率が20〜80%であり、該表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率が0〜85%であり、かつ開孔具の厚みにおける平均進入度が25〜70%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明はポリオレフィン系樹脂発泡体の新規な製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂からなる発泡体は、その優れた性能とコストバランス、さらには、近年要求される樹脂のリサイクル性等の特徴を利用して、主に、断熱建材用途、車輌材用途、包材緩衝材用途などに広く使われている。なかでも、断熱建材用途としてはポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂の発泡ボードが建築物の床や壁及び屋根の内部に施工され、軽量で優れた断熱性能を呈し、市場で広く受け入れられている。
一方、建材用途等の吸音材料としては、グラスウールやロックウールといった無機繊維材料が知られている。無機繊維材料は吸音性に優れているものの、一方で断熱性を向上させるために密度を上げる必要があり、密度を上げると吸音性が劣るという場合があった。
また、吸音材料として樹脂発泡体を用いることは、例えば、特許文献1等に開示されており、特許文献1では、熱可塑性樹脂組成物の発泡体の吸音性能を改善するために、1mm以上の大きな平均セル径を有する熱可塑性樹脂組成の発泡体に、パンチングやニードリング等の機械的な加工を施し、比較的大きな開孔(有孔チャンネル)を設けて、セルを連続化させ開放構造化させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、1mm以上の大きな平均セル径を有する発泡体に開孔させると、吸水性が高まって断熱性能の低下をまねくことを改善するために、穴あけを非貫通で行う方法及び発泡体が開示されている。
特表2002−524635号公報
特表2003−528173号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発泡体の場合、平均セル径が大きな発泡体を用いて開孔しているため、優れた吸音性能の付与が可能である。しかし、セル径の大きい発泡体の連続通気道性を高めると断熱性能の低下をまねき、建材用断熱材に要求される高い断熱性能を有さなくなる。さらに、吸音性をより向上させようとすると、ニードリングの貫通度を高めたり、単位面積あたりの開孔率を高くしたりする必要があるため、十分な断熱性能が得られないといった問題を有していた。
更に、特許文献2に記載された発泡体の場合、断熱性能の低下を抑えることが可能であるものの、結果として、特許文献1と同様に、発泡体の断熱性能が著しく低下してしまうといった問題を有していた。
本発明者は、上記問題に鑑み、吸音性に優れた熱可塑性樹脂発泡ボードについて、鋭意検討したところ、熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂を用いた場合、優れた吸音性と断熱性能を有するポリオレフィン系樹脂発泡体が得られることを見出し本発明に至った。
本発明は下記の要旨からなるものである。
(1)平均セル径が50〜200μmであるポリオレフィン系樹脂発泡体に対して開孔具を進入させることによって複数の開孔部を形成させ、前記開孔具が進入した発泡体の表面の開孔面積比率が20〜80%であり、該表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率が0〜85%であり、かつ発泡体の厚みに対する開孔具の平均進入深さ割合(進入度)が25〜70%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(2)開孔前のポリオレフィン系樹脂発泡体における25%圧縮強度が1.8kgf/cm2以下である上記(1)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(3)開孔具が、針状物又はカッターである上記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(4)断面積の異なる2種以上の開孔具を使用する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(5)厚みにおける開孔具の進入深さが、少なくとも2種以上からなる上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(6)開孔部が形成されるポリオレフィン系樹脂発泡体は、230℃における溶融張力が5〜30gである直鎖状のポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物と超臨界状態の二酸化炭素とを少なくとも含む発泡剤とを、押出機とその先端に取付けられたダイスとを有する発泡装置を用いて160〜250℃の温度で溶融押出し、ダイス開口部直近樹脂圧力を7〜20MPaで大気下に放出して押出発泡させて得られる発泡体である上記(1)〜(5)のいずれかにポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂発泡体。
(8)発泡体の開孔面積比率が大きい面を音源側に対して向けて取付ける上記(7)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の取付け方法。
(1)平均セル径が50〜200μmであるポリオレフィン系樹脂発泡体に対して開孔具を進入させることによって複数の開孔部を形成させ、前記開孔具が進入した発泡体の表面の開孔面積比率が20〜80%であり、該表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率が0〜85%であり、かつ発泡体の厚みに対する開孔具の平均進入深さ割合(進入度)が25〜70%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(2)開孔前のポリオレフィン系樹脂発泡体における25%圧縮強度が1.8kgf/cm2以下である上記(1)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(3)開孔具が、針状物又はカッターである上記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(4)断面積の異なる2種以上の開孔具を使用する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(5)厚みにおける開孔具の進入深さが、少なくとも2種以上からなる上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(6)開孔部が形成されるポリオレフィン系樹脂発泡体は、230℃における溶融張力が5〜30gである直鎖状のポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物と超臨界状態の二酸化炭素とを少なくとも含む発泡剤とを、押出機とその先端に取付けられたダイスとを有する発泡装置を用いて160〜250℃の温度で溶融押出し、ダイス開口部直近樹脂圧力を7〜20MPaで大気下に放出して押出発泡させて得られる発泡体である上記(1)〜(5)のいずれかにポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂発泡体。
(8)発泡体の開孔面積比率が大きい面を音源側に対して向けて取付ける上記(7)に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の取付け方法。
本発明によれば、従来の断熱建材用発泡ボードに比較して、中音域から高音域にわたって優れ、かつ優れた断熱性能を有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法が提供される。
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂を用いることを必要とする。ポリオレフィン系樹脂を用いることにより、上記の特定の構成を有する開孔部と相俟って優れた吸音特性を有する。これは、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂からなる硬質の発泡体に比較して、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、発泡体の圧縮強度が低く柔軟性に富むので、開孔具により開孔部を設ける場合に、開孔に使用するニードルやカッターの断面積が実際に開孔された面積が小さくなり、その結果、断面積の小さな開孔部を無数に設けることが容易になるため、吸音性に優れ、断熱性能の低下を抑制することができるものと考えられる。
本発明の発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂を用いることを必要とする。ポリオレフィン系樹脂を用いることにより、上記の特定の構成を有する開孔部と相俟って優れた吸音特性を有する。これは、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂からなる硬質の発泡体に比較して、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、発泡体の圧縮強度が低く柔軟性に富むので、開孔具により開孔部を設ける場合に、開孔に使用するニードルやカッターの断面積が実際に開孔された面積が小さくなり、その結果、断面積の小さな開孔部を無数に設けることが容易になるため、吸音性に優れ、断熱性能の低下を抑制することができるものと考えられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、本発明では、特に、リサイクル性及びコスト面からポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、なかでも、直鎖状のポリプロピレンを含有していることが好ましい。ポリエチレン系樹脂からなる発泡体は、化学架橋や電子線架橋により、容易に低密度のボードが得られることが知られているが、低密度のポリプロピレン系樹脂からなる発泡体の製造は困難とされている。さらに、無架橋で直鎖状のポリプロピレンによる低密度の発泡体の製造は非常に困難とされてきたが、本発明の製造方法によって、低密度で柔軟性に富んだ微細セルを有するポリプロピレン系樹脂の発泡体を製造することができる。
本発明の製造方法においてポリオレフィン系樹脂は、230℃における溶融張力が5〜30gであることが好ましい。ここで溶融張力とは、キャピログラフを用い、測定温度230℃、押出速度10mm/min、引き取り速度3.1mm/分によって求めることができる。溶融張力が5g未満であると発泡時にセルの破泡が生じやすく、柔軟性に富む発泡倍率の高い発泡体を得ることができず、結果として、吸音性に劣り好ましくない。逆に、溶融張力が30gを超えると発泡時に充分なセルが成長せず、柔軟性に富む発泡倍率の高い発泡体を得られない。結果として、吸音性に劣り好ましくない。溶融張力は、好ましくは6.5〜20gであり、より好ましくは7.5〜10gである。
更に、本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂は、上記230℃における溶融張力と、230℃におけるメルトフローレート(以下、MFRともいう)との関係が、下記の式(I)を満たすことが好ましい。
Log(MT)>−1.33log(MFR)+1.2 (I)
Log(MT)>−1.33log(MFR)+1.2 (I)
本発明でポリオレフィン系樹脂の溶融張力とMFRが上記式(I)を満たす場合には、溶融張力の増大に対し、樹脂の溶融流動性が同時に増大し、発泡の際の押出時における樹脂圧力が適正に保持される。また、発泡時にセルを形成する膜の充分な伸びが得られ、高倍率の発泡体が容易に得られるので熱性能に優れ極めて好適である。
本発明の製造方法に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、特に、上記溶融張力とMFRを有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂が使用される場合には、他の樹脂を併用することができる。しかし、他の樹脂を併用する場合にも、上記特定の溶融張力、及び好ましくは、特定のMFRを有するポリプロピレン系樹脂が、好ましくは50質量%以上、特には80質量%以上含有することが、本発明の目的を良好に達成するために好ましい。ポリプロピレン系樹脂の含有量が50重量%未満であると、得られる発泡体の発泡倍率が低下して柔軟性が損なわれたり、セル径が肥大化して断熱性能が低下したり、機械的強度や耐熱性が不充分となることがある。
本発明で上記特定の溶融張力、及び好ましくは、特定のMFRを有するポリプロピレン系樹脂とともに使用に含有される他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、プロピレンの単独重合体、プロピレンと該プロピレンと共重合可能なプロピレン以外の−オレフィンとの共重合体が挙げられる。この場合の−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。これらの他の樹脂としては、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
上記他の樹脂としては、なかでも、押出発泡性や、得られる発泡体の性能が優れることから、比較的分子量の大きなプロピレン単独重合体、プロピレンを主体とする、プロピレンとエチレンとの共重合体、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂が好ましく用いられる。
本発明でポリオレフィン系樹脂として使用される、ポリプロピレン系樹脂、及び該ポリプロピレン系樹脂とともに使用される上記他の樹脂はいずれも実質上直鎖状であることが好ましい。本発明において、直鎖状とは、ポリプロピレン系樹脂を構成しているプロピレン系ポリマー(プロピレン系重合体)の分子鎖の一つ一つが、その構成単位であるプロピレン単量体及びそれと共重合するα−オレフィン単量体が実質上相互に1本の紐状に重合したものの集合体であることをいう。これにより、化学架橋や電子線架橋等の架橋構造や、長鎖分岐等のグラフト構造を実質上有しないため、製造や品質の管理が比較的容易で、リサイクル時に施される再ペレット化等の工程で受ける再三の熱履歴に対しても、その分子構造の劣化が生じにくい。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法においては、二酸化炭素を少なくとも含む発泡剤を用いて発泡させることが好ましい。二酸化炭素は、超臨界状態で混合発泡させることが好ましい。発泡においては、ポリオレフィン系樹脂組成物100質量部に対して、超臨界状態の二酸化炭素を含む発泡剤を好ましくは4〜20質量部であり、特に好ましくは5〜15質量部使用するのが好適である。二酸化炭素の使用量が4質量部未満であると発泡倍率の低下が生じ易く、また、20質量部を超えると過剰な二酸化炭素による大きな空隙(ボイド)が発泡体中に生じ易く、断熱性能が低下したり、発泡倍率が低下して柔軟性が損なわれ、結果として、吸音性に劣り好ましくない。
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂の発泡体、特にボード(板)状の発泡体は、押出機と、その先端に取付けられたダイスとを有する発泡装置を用い、ポリオレフィン系樹脂組成物と超臨界状態の二酸化炭素を少なくとも含む発泡剤とを混合した混合物を、好ましくは160〜250℃の温度で溶融押出して製造される。これにより、二酸化炭素の樹脂中への溶融や拡散、更にはポリオレフィン系樹脂の劣化防止の点で好ましい。溶融押出し温度が160℃未満であると、超臨界二酸化炭素の樹脂中への溶解及や拡散が劣る。逆に、250℃を超えるとポリオレフィン系樹脂の熱による分子鎖切断等の劣化が生じはじめるので好ましくない。
また、押出機における、ダイス開口部直近の樹脂圧力(圧力損失)は、好ましくは、7〜20MPaで大気下に放出し押出し発泡させることが好適である。なかでも、上記圧力損失は、7〜15MPaであることがより好ましい。圧力損失が7MPa未満であると、超臨界状態の二酸化炭素を用いた場合、ポリオレフィン系樹脂組成物中に溶解している超臨界状態の二酸化炭素が押出機内部、及びダイス内部で気化しやすくなり、発泡が装置内部で生じ、セルの合泡や過剰な成長、発泡倍率及び柔軟性の低下、セルの肥大化による断熱性能の低下、及び著しい外観性の低下が生じ好ましくない。一方、圧力損失が20MPaを超えると、発泡におけるセル形成時に、大きなせん断がセルにかかりやすくなり、セルの破泡、セル構造の不均一化が生じ好適な断熱性能が得られにくい。このようなセル構造の不完全さは、断熱建材用発泡ボードとしての、充分な熱性能を呈する為には大きな障害となる。
押出機における押出吐出量は、1〜1000kg/hrが好適である。なかでも、押出吐出量は、押出機の仕様にもよるが、スクリュー径の比較的小さいタイプにおいては、約1〜50kg/hrが好ましく、また、スクリュー径の比較的大きいタイプでは、約20〜1000kg/hrが好ましい。吐出量が大きすぎたり、小さすぎたりすると、ダイス部位において発泡に適した圧力損失を保つことが難しくなり、充分な倍率の発泡体を得ることができなかったり、セルが破泡してしまったりする。
使用する押出機については、スクリュー直径(D)が好ましくは40〜80mm、スクリューの長さを(L)としたときの(L/D)が好ましくは15〜40mmの2本のスクリューを直列に組み合わせることを基本として構成されるタンデム型押出機が好ましい。タンデム型押出機を使用することにより、発泡に適したダイス部位の樹脂圧力損失と吐出量とを独立して各スクリューの回転数で制御でき、上記したポリオレフィン系樹脂の特性が充分に発揮され、優れた特性の発泡体を製造できる。
押出機において使用されるダイスについてはその形状は問わないが、一つあたりの開孔部の圧力損失が好ましくは上記7〜20MPaになるように開孔部の数、形状、厚みが設計されたものであるのが好ましく、例えば、スリットダイス、又は多ホールダイス等が使用される。このような条件を満たしたダイスを選択することにより、充分な熱性能を呈する断熱建材用発泡体を得ることができる。
また、発泡後のポリオレフィン系樹脂発泡体の成形体の外観性、形状の整えやすさの観点から、押出機におけるダイス開口部は円形であることが好ましく、開口部の直径は0.1〜2.0mmが好ましく、0.3〜0.7mmがより好ましい。ダイスの深さは0.1〜10mmが好ましく、開口部はダイス前面上に複数個備えられていることが好ましい。
前記ダイス開口部の直径が0.1mm未満であると発泡体を構成するストランド直径が小さすぎ、引き取り時にちぎれやすくなり好ましくなく、2.0mmを超えるとストランドの直径が大きすぎ平滑性をだす為のボード状への後成形が困難となり好ましくない。また、幅0.1〜2.0mm、長さ0.1〜1000mmのスリット状のダイス等も用いる事が可能である。
本発明の例えば、ボード状のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法の具体的例としては、ポリオレフィン系樹脂を、例えば、シリンダーバレルの途中に超臨界二酸化炭素供給機からの二酸化炭素供給ラインの備えた押出成形機を用いて、ポリオレフィン系樹脂を所定温度に加熱して均一に溶融混練した後、所定量の超臨界状態の二酸化炭素を供給ラインから供給し、ボード状に押出成形することにより製造される。
本発明の製造方法で得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、平均セル径を比較的小さくすることが可能である。本発明の発泡体の平均セル径としては、熱性能の点で50〜200μmであることが必要である。なくでも、平均セル径は50〜150μmが好ましく、50〜100μmが最も好ましい。平均セル径が50μmよりも微細であるポリオレフィン系樹脂発泡体は製造が困難である。一方、発泡体の平均セル径が200μmを超えると、断熱性能が低下してしまうため好ましくない。
なお、本発明において、平均セル径とは、発泡体を試験小片に裁断し、その断面積を電子顕微鏡(SEM)で50倍の倍率にして観察される画像から、無作為に実質2mmの長さにあたる直線を10本引き、その直線状のセル個数を数えることにより、下記の式(2)により平均セル径を算出することにより求めることができる。
平均セル径=(2000μm×10本)/ 10本の直線上にあるセルの個数 (2)
平均セル径=(2000μm×10本)/ 10本の直線上にあるセルの個数 (2)
本発明の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、開孔具による開孔前において、その25%圧縮強度が1.8kgf/cm2以下であることが好ましく、1.5kgf/cm2以下がより好ましく、特には1.2kgf/cm2以下である。発泡体の圧縮強度が低く柔軟性に富むほど、開孔に使用するニードルやカッターの断面積に比べて、実際に開孔された面積が小さくなるが、前記値が1.8kgf/cm2を超えると、発泡体の発泡倍率が低下して柔軟性がなくなるため、開孔したときの発泡体の開孔部の面積が大きくなり、吸音性能及び断熱性能が劣り好ましくない。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体における開孔の方法としては、開孔具を用いて開孔されるが、開孔具としては好ましくは針状物やカッターが使用される。前記針状物の径としては、好ましくは0.5〜2.5mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmである。針状物の径が小さいと、吸音性が向上せず、たとえ吸音性能を向上させるために針状物の進入(打ち込み)本数を増やしたとしても、低音域及び中音域での吸音性が劣る上に、針状物の折れなどが生じて好ましくない。一方、針状物の径が2.0mmを越えると、低音域及び中音域での吸音性の低下とともに、高音域での吸音性能の部分的な低下を招き、かつ断熱性能の低下を引き起こすために好ましくない。
上記の針状物の材質としては、好ましくは、鋼、ステンレス、コバルト、亜鉛などが使用できるが、特に限定されない。また、針状物は、好ましくは先端が尖った形状を有し、針、スパイク、釘、ピン等が挙げられる。針状物の断面は円、楕円、星形、正多角形等、限定されないが、表面積の大きな断面形状を有するものが好ましい。また、鈎(バーブ)付の針状物を使用することも可能であり、針状物の直径はバーブ部を考慮せずに測定される。なお、バーブ付き針状物を使用してニードリングする場合、発泡体を微細に引っかきやすい。特にニードルマシン等の装置を用いて高速でニードリングする場合には、発泡体を破損することがあるためあまり好ましくない。バーブ無しのニードルの例として、オオクマ ニードルM/C用 二ドル針FPGタイプなどがある。
ポリオレフィン系樹脂発泡体を開孔させる方法としては、ボード状の発泡体に開孔具を進入させて発泡体の表面に孔を開ける手段が使用され、具体的な手段には特に制限はない。例その好ましい手段として、例えば、ニードルマシン(大隈鉄工所製;NL23型−D称呼T/Bニードルロッカー)を使用する方法、また、スパイクや釘等の針状物を備えた押さえロール通過させ、発泡体の表面に針進入度の低い開孔部を効果的に形成できる。
また、本発明ではポリオレフィン系樹脂発泡体の片側表面に、カッターを使用することで複数本スリット加工して開孔を設けてもよい。カッターによるスリット加工の方法として、一般に、回転式カッターや熱線カッターを使用する方法があるが特に限定されない。スリット加工で使用される、カッターの刃の厚み及び熱線の径は好ましくは0.3〜1.5mmであり、特に0.5〜1.0mmが好ましい。カッターの刃の厚み及び熱線の径が0.3mmよりも小さいと、カッターの刃の損傷が激しく好ましくない。一方、カッターの刃の厚み及び熱線の径が1.5mmを越えると、開孔面積比率及び開孔体積比率が大きくなりすぎて低音域及び中音域での吸音性の低下と、高音域での吸音性能の部分的低下を招き、断熱性能の低下を引き起こし易いために好ましくない。
上記のカッターの刃の材質としては、好ましくは、鋼、ステンレス、亜鉛、ニッケル、銅などが挙げられるが特に限定されない。カッターの形状として、波刃、鋸刃、鈎刃等、特に限定されないが、鋸刃や鈎刃を使用すると、発泡体を微細に引っかきやすい。特に高速でスリット加工する場合には、発泡体を破損する場合があるため好ましくない。さらにスリット加工は、網目状や縞状等、特に加工形状に限定はないが、高い貫通度でスリット加工すると、強度低下を招くために好ましくない。
本発明では、開孔具を進入させるポリオレフィン樹脂発泡体の表面に、開孔面積比率が20〜80%となるように開孔することが好ましく、さらに25〜75%が好ましく、更には35〜65%であることがより好ましい。開孔面積比率が20%よりも小さいと、吸音性能が向上できず好ましくない。一方、開孔面積比率が80%よりも大きいと、高音域の吸音性能の部分的な低下と低音域と中音域の吸音性能の低下を引き起こすとともに、断熱性能の低下を招くため好ましくない。なお、本発明で開孔面積比率とは、下記の式(3)により定義される。式(3)における開孔された面積とは、開孔後復元した開孔部の面積ではなく、(発泡体に進入したニードルやカッター等の開孔具の最大断面積×本数)から算出した理論値をいう。
開孔面積比率(%)=(進入した開孔具の最大断面積(cm2)×打ち込み本数(本))×100)/開孔具が進入する面の発泡体の面積(cm2) (3)
開孔面積比率(%)=(進入した開孔具の最大断面積(cm2)×打ち込み本数(本))×100)/開孔具が進入する面の発泡体の面積(cm2) (3)
本発明のボード(板)状ポリオレフィン系樹脂発泡体の表面とは、その2つの面において、開孔面積比率が相対的に大きい側の面を意味し、一方、裏面とは、その対となる反対の面を意味する。本発明の発泡体の裏面の開孔面積比率は、表面の開孔面積比率に対して0〜85%が好ましく、特に0〜60%好ましい。この比率が100%の場合には、表面と裏面の開孔面積比率が等しいことを意味し、また、この比率が0の場合は、裏面には開孔されていないことを意味する。この比率が85%よりも大きいと、裏面の開孔面積比率が高すぎて、低音域及び中音域の吸音性能の低下と断熱性の低下を招くために好ましくない。なお、表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率とは、下記の式(4)により定義される。
表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率(%)
=裏面の開孔面積比率/表面の開孔面積比率×100 (4)
表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率(%)
=裏面の開孔面積比率/表面の開孔面積比率×100 (4)
本発明で開孔具を進入させて発泡体に開孔させる際の発泡体の厚みに対する平均進入度は25〜70%であり、好ましくは30〜65%であり、特に35〜60%である。平均進入度が25%よりも小さいと、断熱性能の低下を抑えることができるが、吸音性能が改善されず好ましくない。平均進入度が70%以上では、最大吸音係数は改善できるが、吸音性能の指標であるNRC(周波数が、それぞれ、250Hz,500Hz,1000Hz,2000Hzでの吸音係数の平均値)の向上は不十分であり、断熱性能の低下が著しいために好ましくない。なお、平均進入度とは、ニードリング又はスリット加工における開孔具の、発泡体の厚みに対する平均の進入度である。例えは、複数の進入度でニードリングしたときの平均進入度は下記の式(5)で定義される。
また、本発明の製造方法では、ポリオレフィン樹脂発泡体に開孔する方法として、針状物等の開孔具として異なる長さの針状物を複数種使用し、ニードルマシンで開孔し、発泡体の厚みに対する開孔具の進入の深さが、少なくとも2種以上(2パターン以上)で開孔されることが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂からなる発泡体の両表面の開孔面積比率が異なるように、ニードリング及びスリット加工するのが好ましい。
本発明で製造されるポリオレフィン系樹脂発泡体は、上記に記載の平均セル径と独立気泡率を有するため、その断熱性能は約30〜39mW/mKであるが、開孔部を設けて断熱性能が低下した後の、断熱性能は34〜39mW/mKを有する。
本発明で製造されるポリオレフィン系樹脂発泡体は、ボード状の形態を有し、その厚みは20mm以上であることが好ましく、特に好ましくは25〜100mmである。発泡体の厚みが20mm未満であると、低音域から中音域の吸音性能が劣るとともに、高音域での吸音性能の低下が大きく好ましくない。ボードの大きさは任意であるが、例えば、縦1820mm、横910mmである。
また、本発明で得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、中音域から高音域にわたって優れ、例えば、周波数が250Hz、500Hz、1000Hz及び2000Hzにおける吸音係数の平均値で表されるNRC(1.0に近い程吸音性能が極めて優れていることを意味する)が、本発明の発泡体のNRCは0.5以上に達成することができる。
本発明の発泡体の取付方法としては、音源側を表面としたとき、表面開孔比率のほうが裏面開孔比率よりも大きいほうが吸音効果に優れるため好ましい。
以下に、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明の解釈はかかる実施例によって制限されるものではないことはもちろんのことである。
本発明で使用される、ポリプロピレン系発泡体A〜Dは下記の方法で作成し、その他の発泡体は、下記に示される市販品を使用した。
<ポリプロピレン発泡体A>
230℃におけるMFRが3.3g/10分であり、230℃における溶融張力が、7.6gであるポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT−50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.8Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して9重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が9.2MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン系発泡体Aを得た。
230℃におけるMFRが3.3g/10分であり、230℃における溶融張力が、7.6gであるポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT−50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.8Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して9重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が9.2MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン系発泡体Aを得た。
<ポリプロピレン発泡体B>
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.8倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が6.8MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Bを得た。
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.8倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が6.8MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Bを得た。
<ポリプロピレン発泡体C>
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.78倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が7.7MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Cを得た。
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.78倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が7.7MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Cを得た。
<ポリプロピレン発泡体D>
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂に三井金属鉱業(株)製アキュームライト を0.5wt%添加した樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.78倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が7.1MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Dを得た。
230℃におけるMFRが6g/10分であり、230℃における溶融張力が1.8gであるポリプロピレン系樹脂ホモポリプロピレン系樹脂に三井金属鉱業(株)製アキュームライト を0.5wt%添加した樹脂を、一段目に超臨界二酸化炭素供給機((株)カワタ製CO2−3)からの二酸化炭素供給ラインが装着され、二段目先端にダイスAと比べて開孔面積が1.78倍のダイスBが装着されたタンデム型単軸押出機((株)カワタ製KGT50−65)に供給し、二酸化炭素供給量を1.2Kg/時間に設定して、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して6重量部含有するように押出量を一段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、ダイス先端部位の樹脂圧力が7.1MPaになるように二段目の押出機のスクリュー回転数で調整し、押出発泡することにより、厚み45mmのポリプロピレン発泡体Dを得た。
<ポリプロピレン発泡体E>
ポリプロピレン発泡体Eは市販品である、積水化学工業(株)製の独立気泡性ポリプロピレン発泡体「ゼットロン」の表面材を除去して、少量のスプレー接着剤にて貼り合せ、厚みを45mmとして使用した。
ポリプロピレン発泡体Eは市販品である、積水化学工業(株)製の独立気泡性ポリプロピレン発泡体「ゼットロン」の表面材を除去して、少量のスプレー接着剤にて貼り合せ、厚みを45mmとして使用した。
<ポリエチレン発泡体>
ポリエチレン発泡体は市販品である、三和化工(株)製の高架橋独立気泡性ポリエチレン発泡体「サンペルカL−4000」を厚み45mmに調整して使用した。
ポリエチレン発泡体は市販品である、三和化工(株)製の高架橋独立気泡性ポリエチレン発泡体「サンペルカL−4000」を厚み45mmに調整して使用した。
<ポリスチレン発泡体>
ポリスチレン発泡体は市販品である、ダウ加工(株)製の「スタイロエース3種B(厚み45mm)」を使用した。
表に示される、開孔前後の各発泡体のそれぞれの物性値(1.密度、2.平均セル径、3.圧縮強度、4.吸音率(nrc)、5熱伝導率)の測定方法は以下のとおりである。
1.密度・・・各発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、その重量と各片の長さを計測し、以下の算式にしたがって発泡体密度を求めた。
発泡体密度(kg/m3)=発泡体重量(kg)/発泡体堆積(m3)
2.平均セル径・・・発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、その断面積を(株)島津製作所製SEMスーパースキャン220を用いて電子顕微鏡(SEM)で50倍の倍率にして観察される画像から、無作為に実質2mmの長さにあたる直線を10本引き、その直線状のセル個数を数えることにより、平均セル径を次の式により算出して求めた。
平均セル径=(2000μm×10)/10本の直線上にあるセルの個数
3.開孔前の圧縮強度・・・JIS A9511に準拠して、開孔前の発泡体を、縦10cm×横10cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、25%圧縮強度を測定した。
4.吸音率(NRC)・・・JIS A1405に準拠して、発泡体を約10(cm)の円形状の試験小片に裁断し、垂直入射法吸音率を測定した。NRCは、上記吸音利率の垂直入射法吸音率測定して得られた250Hz、500Hz、1000Hz及び2000Hzの周波数における吸音係数の平均値である。
5.λ(熱伝導率)・・・JIS A1412に準拠して、発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2cmの板状の試験小片に裁断し、栄弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−074を用いて熱伝導率を測定した。
ポリスチレン発泡体は市販品である、ダウ加工(株)製の「スタイロエース3種B(厚み45mm)」を使用した。
表に示される、開孔前後の各発泡体のそれぞれの物性値(1.密度、2.平均セル径、3.圧縮強度、4.吸音率(nrc)、5熱伝導率)の測定方法は以下のとおりである。
1.密度・・・各発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、その重量と各片の長さを計測し、以下の算式にしたがって発泡体密度を求めた。
発泡体密度(kg/m3)=発泡体重量(kg)/発泡体堆積(m3)
2.平均セル径・・・発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、その断面積を(株)島津製作所製SEMスーパースキャン220を用いて電子顕微鏡(SEM)で50倍の倍率にして観察される画像から、無作為に実質2mmの長さにあたる直線を10本引き、その直線状のセル個数を数えることにより、平均セル径を次の式により算出して求めた。
平均セル径=(2000μm×10)/10本の直線上にあるセルの個数
3.開孔前の圧縮強度・・・JIS A9511に準拠して、開孔前の発泡体を、縦10cm×横10cm×厚み2.5cmの板状の試験小片に裁断し、25%圧縮強度を測定した。
4.吸音率(NRC)・・・JIS A1405に準拠して、発泡体を約10(cm)の円形状の試験小片に裁断し、垂直入射法吸音率を測定した。NRCは、上記吸音利率の垂直入射法吸音率測定して得られた250Hz、500Hz、1000Hz及び2000Hzの周波数における吸音係数の平均値である。
5.λ(熱伝導率)・・・JIS A1412に準拠して、発泡体を、縦20cm×横20cm×厚み2cmの板状の試験小片に裁断し、栄弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−074を用いて熱伝導率を測定した。
<開孔方法>
発泡体を、バーブ無しの直径1.8mmのニードル針を用い、発泡体の厚みに対して表1に示される深さに進入するようにニードルをニードルマシンに搭載して開孔した。実施例1〜4、及び比較例1〜5、8は、進入の深さ(進入度)を2種類にし、比較例6、7は、進入の深さ(進入度)を1種類に設定した。
発泡体を、バーブ無しの直径1.8mmのニードル針を用い、発泡体の厚みに対して表1に示される深さに進入するようにニードルをニードルマシンに搭載して開孔した。実施例1〜4、及び比較例1〜5、8は、進入の深さ(進入度)を2種類にし、比較例6、7は、進入の深さ(進入度)を1種類に設定した。
開孔面積比率、表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率、及び平均進入度は、上記した、式(3)、式(4)、及び式(5)に従って算出した。
これら実施例1〜4、及び比較例1〜8についての結果を表1に示した。
これら実施例1〜4、及び比較例1〜8についての結果を表1に示した。
表1から示されるように、本発明とは樹脂が異なる比較例1、開孔面積比率が異なる比較例4、5、また、表面の裏面に対する開孔面積比率が異なる比較例6、進入度が異なる比較例6〜8では、発泡体の吸音性が劣り、平均セル径が異なる比較例2、3では、発泡体の断熱性能が劣ることがわかる。
本発明で得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた吸音性能と断熱性能をあわせもつために、住宅向け断熱吸音材料又はパーティション等の内装パネルや航空機、車両等の構造用材料として広い分野に使用できる。
Claims (8)
- 平均セル径が50〜200μmであるポリオレフィン系樹脂発泡体に対して開孔具を進入させることによって複数の開孔部を形成させ、前記開孔具が進入した発泡体の表面の開孔面積比率が20〜80%であり、該表面の開孔面積比率に対する裏面の開孔面積比率が0〜85%であり、かつ発泡体の厚みに対する開孔具の平均進入度が25〜70%であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 開孔前のポリオレフィン系樹脂発泡体における25%圧縮強度が1.8kgf/cm2以下である請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 開孔具が、針状物又はカッターである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 断面積の異なる2種以上の開孔具を使用する請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 開孔具の進入深さが、少なくとも2種以上からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 開孔部を形成されるポリオレフィン系樹脂発泡体は、230℃における溶融張力が5〜30gである直鎖状のポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物と超臨界状態の二酸化炭素とを少なくとも含む発泡剤とを、押出機とその先端に取付けられたダイスとを有する発泡装置を用いて160〜250℃の温度で溶融押出し、ダイス開口部直近の樹脂圧力を7〜20MPaで大気下に放出して押出発泡させて得られる発泡体である請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 発泡体の開孔面積比率が大きい面を音源側に対して向けて取付ける請求項7に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の取付け方法。
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