JPH11187506A - 電気自動車用駆動制御装置 - Google Patents

電気自動車用駆動制御装置

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JPH11187506A
JPH11187506A JP9349550A JP34955097A JPH11187506A JP H11187506 A JPH11187506 A JP H11187506A JP 9349550 A JP9349550 A JP 9349550A JP 34955097 A JP34955097 A JP 34955097A JP H11187506 A JPH11187506 A JP H11187506A
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steering
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謙造 奥田
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    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステア特性を速度等の範囲毎にかえられるよ
うにする。 【解決手段】 駆動輪10FR、10FL、10RR及
び10RLそれぞれにモータ12FR、12FL、12
RR及び12RLを設ける。舵角δの絶対値が所定値以
上であるとき、各モータ12FR、12FL、12RR
及び12RLに対するトルク指令Tfr、Tfl、Tr
r及びTrlに舵角δや路面摩擦係数に応じた補正を施
して差を発生させ、車体重心回りでのモーメントを発生
させる。補正を施す際の係数乃至特性を、基準速度設定
スイッチ50にて設定されている基準速度V*と車体速
の大小関係と、ステア特性制御設定スイッチ52により
高低の速度区分毎に設定されているステア特性の制御目
標と現在のステア特性との差異とに応じて、変化させ
る。トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlに施
す補正を、ヨーレートγ、横加速度Gy或いはすべり角
度等の状態フィードバック値に応じた補正としてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動輪毎にモータ
を設けた電気自動車に搭載され、これらのモータを制御
する駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車はモータにて推進される車両
の総称である。モータから駆動輪への動力分配の形態に
着目して分類すると、電気自動車は、ある共通のモータ
の出力を複数の駆動輪に分配するタイプと、各駆動輪毎
にモータを設けるタイプとに分けられる。前者の典型
は、単一のモータの出力をディファレンシャルギアを介
して左右の2乃至4個の駆動輪に分配するワンモータタ
イプである。後者の典型は、各モータをそのモータに対
応する駆動輪に組み込んだ(乃至は一体化した)ホイル
インモータタイプである。後者は、前者に対し、ディフ
ァレンシャルギア等の分配機構が不要であるため低伝達
ロス・低エネルギ消費であること、対応する駆動輪のみ
を駆動できればよいためモータを小型化できること、伝
達ロスが小さくまたモータが小型であるためモータの電
力源であるバッテリを小型化できること、モータが駆動
輪にビルトインされているため集積性が高く車室空間が
広がること等の利点を有している。
【0003】ホイルインモータタイプをはじめとして、
各駆動輪毎にモータを設けるタイプの電気自動車(左右
駆動輪独立駆動型電気自動車)には、更に、左右各駆動
輪への出力(トルク)の配分を随時調整乃至制御するこ
とによって車両の走行安全性を高めることができる、と
いう利点もある。例えば特開平5−91607号公報に
開示されているホイルインモータタイプの電気自動車で
は、舵角及び車速双方の検出値に基づきヨーレートのモ
デル予測値を算出し、算出したモデル予測値に対しヨー
レートセンサにて得られた実測値が有している差即ちヨ
ーレートノイズが低減されるよう、各モータへの出力配
分を決定している。この公報でいうところのヨーレート
ノイズとは、舵角及び車速の検出値からは予測できない
ずれ、例えばタイヤ動半径の左右差、輪荷重の左右差、
道路の傾斜・凹凸、風向き等に起因したずれを、さして
いる。従って、仮に、この公報に記載されている方法を
実現できるのであれば、車両の走行安全性の構成要素の
うち、車両の直進性を改善できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の方法を実現するには、ヨーレートのモデル予
測値を正確かつリアルタイムに求めねばならない。実際
には、電気自動車走行用モータの回転数やトルクはダイ
ナミックに変化するため、ヨーレートのモデル予測値を
正確かつリアルタイムに求めることは難しく、従って上
記公報に記載の方法は実現困難である。更に、上記公報
に記載の方法では、実際には車速等に応じて変化するコ
ーナリングパワーを定数として扱っているため、車両の
走行安全性の構成要素のうち走行安定性については原理
上改善し得ない。
【0005】本願出願人は、車両の走行安定性を改善す
るための制御手法を、既に幾つか提案している。例えば
特願平8−238961号では、車両のステア特性を検
出し、検出したステア特性がオーバーステアであれば内
側駆動輪に関するトルク指令を増加(或いは外側駆動輪
に関するトルク指令を減少)させ、アンダーステアであ
れば外側駆動輪に関するトルク指令を増加(或いは内側
駆動輪に関するトルク指令を減少)させる、という制御
方法を提案している。この方法によれば、加減速、旋
回、レーンチェンジ等をスムーズに実行できるという性
能即ち走行安定性を、在来エンジン車における4WS
(四輪操舵)とは異なり複雑な構成の機構、電子制御系
及び油圧制御系なしで実現できる。しかし、この方法に
は、なお改善の余地がある。即ち、この方法ではステア
特性がニュートラルステアになるよう左右各駆動輪への
トルク指令が決定されるため、車両の旋回軌跡が定常円
旋回の軌跡になる。従って、低速で走行しているときに
は小さい半径で旋回したい、といった細かな要請には、
原理上、応えられない。
【0006】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、左右駆動輪独立駆
動型電気自動車において、実現すべきステア特性を車速
等の範囲区分毎に設定できるようにすることにより、例
えば低速で走行しているときには小さい半径で旋回した
いといった要請に応えられるようにすることを第1の目
的とする。本発明は、更に、上述の範囲区分を可変設定
できるようにすることにより、更に緻密な要請に応えら
れるようにすることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、電気自動車の左右各駆動輪を個別
に駆動するための複数のモータ各々に対し、その出力に
関する指令(例えば出力トルクに関する指令)を与える
ことにより、車両の走行を制御する駆動制御装置におい
て、車両操縦者からの要求(例えばアクセルペダルの踏
込量)に応じて上記指令を仮確定する指令仮確定手段
と、車両が採りうる速度、ヨーレート又は横加速度を区
分した範囲毎に、その範囲における目標ステア特性を設
定するステア特性制御設定手段と、車両のステア特性が
現時点における車両の速度、ヨーレート又は横加速度に
関し設定されている目標ステア特性へと変化するよう、
仮確定された指令に舵角又は車両の旋回状態に応じた補
正を施し各駆動輪間に出力差を発生させるステア特性制
御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】本発明においては、ステア特性制御設定手
段により、目標ステア特性が設定される。目標ステア特
性は、車両が採りうる速度、ヨーレート又は横加速度を
区分した範囲毎に、設定される(ここでいう設定には手
動設定のみならず自動設定も含まれる)。例えば、低速
ではアンダーステア、高速ではニュートラルステア等
と、設定される。指令仮確定手段により仮確定された指
令は、ステア特性制御設定手段によって補正され、対応
するモータに与えられる。ステア特性制御手段における
補正は、各駆動輪間に出力差を発生させることにより、
車両のステア特性を、現時点における車両の速度、ヨー
レート又は横加速度に関し設定されている目標ステア特
性へと変化させる補正である。従って、本発明において
は、低速時に限ってはより小さい半径で旋回したい、と
いった細かな要請に応えられる。更に、ステア特性制御
手段における補正を舵角に応じて行った場合、本願出願
人が特願平9−8693号にて提案した目標ヨーレート
適合制御の利点、例えば車両の回転等により的確に対処
できること等の利点を併せ享受できる。また、ステア特
性制御手段における補正を車両の旋回状態(横加速度、
すべり角、ヨーレート等又はその組合せ)に応じて行っ
た場合、本願出願人が特願平9−68571号にて提案
した状態フィードバック制御の利点、例えば舵角の過大
過小・操舵後に受ける外乱・制御系の遅れ等に影響され
にくいこと等の利点を併せ享受できる。
【0009】更に、上記範囲を区分する基準値を可変設
定する(ここでいう設定には手動設定のみならず自動設
定も含まれる)基準値設定手段を設けるのが好ましい。
そのようにした場合、目標ステア特性を切り換える範囲
区分を可変設定できるため、より緻密な要請にも応えら
れる。
【0010】更に好ましくは、スリップしているか否か
を駆動輪毎に判定する手段と、舵角を検出しその結果に
基づき車両が旋回中であるか否かを判定する手段と、い
ずれかの駆動輪がスリップしていると判定されたときに
はTRC/ABS相当制御手段を、いずれの駆動輪もス
リップしておらずかつ車両が旋回中であると判定された
ときには上記ステア特性制御手段を、それぞれ動作さ
せ、いずれの駆動輪もスリップしておらずかつ車両が旋
回中でないと判定されたときには上記仮確定された指令
を補正せずに対応するモータに与える手段と、少なくと
もスリップしていると判定された駆動輪に係る上記指令
を所定規則に従って時間変化させる上記TRC/ABS
相当制御手段と、を設ける。即ち、いずれの駆動輪もス
リップしておらずかつ車両が旋回していないと見なせる
ときには仮確定された指令が、いずれかの駆動輪がスリ
ップしているときにはTRC/ABS相当制御(特開平
8−182119号公報、特願平9−8693号等を参
照)に係る指令が、いずれの駆動輪もスリップしておら
ずかつ車両が旋回中であるときにはステア特性制御手段
にて補正された指令が、対応するモータに与えられる。
これにより、低μ路に強く、走行安定性等に優れた車両
が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
関し図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、目
標ヨーレート適合制御及び状態フィードバック制御の原
理及び効果に関しては説明を省略するが、これらについ
ては、特願平9−8693号及び特願平9−68571
号の記載を参照されたい。また、四輪駆動型の純粋な電
気自動車に係る実施形態を記載するが、本発明は例えば
二輪駆動型の車両やいわゆるハイブリッド車等にも適用
できる。また、本発明は、ホイルインモータタイプのみ
ならず、左右駆動輪独立駆動型電気自動車全般に適用で
きる。更に、本発明は、ハードウエア的にもソフトウエ
ア的にも実施できる。
【0012】(1)システム構成 図1に、本発明を実施するのに適する電気自動車のシス
テム構成を示す。この電気自動車はホイルインモータタ
イプの四輪駆動車両であり、いずれも駆動輪である右前
輪10FR、左前輪10FL、右後輪10RR及び左後
輪10RL全てにそれぞれ車両走行用のモータ12F
R、12FL、12RR又は12RLが組み込まれてい
る。なお、以下の説明で用いる符号中、末尾にFR又は
frが付されているものは右前輪10FRに関連又は対
応した部材、数値又は特性を、末尾にFL又はflが付
されているものは左前輪10FLに関連又は対応した部
材、数値又は特性を、末尾にRR又はrrが付されてい
るものは右後輪10RRに関連又は対応した部材、数値
又は特性を、末尾にRL又はrlが付されているものは
左後輪10RLに関連又は対応した部材、数値又は特性
を、それぞれ表す。同様に、末尾にF又はfが付されて
いるものは前輪10FR及び10FLに関連した数値又
は特性を、末尾にR又はrが付されているものは後輪1
0RR及び10RLに関連した数値又は特性を、それぞ
れ表す。更に、記載の簡略化のため、車輪の前後左右を
示す添え字を省略し「駆動輪10FR、10FL、10
RR及び10RL」と記すべきところを単に「駆動輪1
0」と記すこともある。この省略に関しては、他の部材
名称についても同様である。更に、符号10に関して
は、文脈に応じ、駆動輪とも車輪とも称する。
【0013】図2に、右後輪10RRを例として、組込
方の例を示す。この図では、タイヤ14と一体に回転で
きるようホイル16の内側にロータ18を固定する一方
で、モータ軸20を介しリアアクスル22にステータ2
4を固定し、ベアリング等を介してステータ24をロー
タ18と継合している。更に、ロータ18の内壁面にス
テータ24と微小間隙を以て対向するようロータマグネ
ット(永久磁石)26を固定する一方で、ステータ24
にはステータ巻線28を捲回しており、ステータ巻線2
8に電流を流すためのケーブル30をモータ軸20内を
介してステータ巻線28に接続している。このような構
造において、ケーブル30を介しステータ巻線28に交
流電流を供給することにより、ロータ18は回転し、車
両の推進力を生む。なお、本発明の実施に際しては、他
種の構造を用いても構わない。
【0014】図1に示されるバッテリ32は、各モータ
12への駆動電力供給源であり、その放電出力は電力変
換器の一種であるインバータ34FR、34FL、34
RR及び34RLを介して当該インバータ34に対応す
る各モータ12に供給されている。各インバータ34
は、モータ制御部36FR、36FL、36RR及び3
6RLのうち対応するものの制御の下に、バッテリ32
の放電出力(直流)を所定の電力形式(この図では三相
交流)に変換し、対応するモータ12に供給する。モー
タ制御部36は、車両制御部38から供給されるトルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlのうち対応する
ものに応じて対応するインバータ34を制御することに
より、供給されたトルク指令(Tfr、Tfl、Trr
及びTrlのうち対応するもの)に相応するトルクを対
応するモータ12から出力させる。モータ制御部36
は、この他、対応するインバータ34と車両制御部38
との間を絶縁分離する機能等を併有している。また、モ
ータ制御部36によるインバータ34の制御は、図示し
ない電流センサから得た対応するモータ12の各相電流
検出値に基づき、或いはロータ角度位置等から求めた対
応するモータ12の各相電流推定値に基づき行う。
【0015】車両制御部38は、各モータ12の出力ト
ルクの制御、車載各コンポーネントの状態監視・制御、
車両乗員への車両状態の報知その他の機能を担う制御部
材であり、従来から用いられている電子制御ユニット
(ECU)の主にソフトウエア的な改変にて実現でき
る。車両制御部38には車両各部に設けたセンサ類の出
力を、モータ出力制御や車両状態監視に利用する。
【0016】例えば、各車輪10のホイル(図2では1
6)にはそれぞれ車輪速センサ(例えばレゾルバ)40
FR、40FL、40RR又は40RLが設けられてい
る。これらの車輪速センサ40は、対応する車輪10の
車輪速Vfr、Vfl、Vrr及びVrlを示す信号
(例えば微小角度位置変位毎のパルス信号)を生成す
る。また、アクセルセンサ42は、アクセルペダル(図
示せず)の踏込量即ちアクセル開度VAを示す信号を、
ブレーキセンサ44は、ブレーキペダル56の踏込量即
ちブレーキ力(踏力)FBを示す信号を、シフトポジシ
ョンスイッチ46は、シフトレバー(図示せず)の投入
レンジ(及びエンジンブレーキレンジ等では当該レンジ
内でのシフトレバー位置)即ちシフトポジションを示す
信号を、それぞれ発生させる。更に、舵角センサ48
は、ステアリングホイル(図示せず)の操作に応じて変
化する舵角δを示す信号を、発生させる。車両制御部3
8における制御手法にもよるが、車体重心回りのヨーレ
ートの検出値γを示す信号を生成するヨーレートセンサ
49aや、車体に加わっている横加速度の検出値Gyを
示す信号を生成する横加速度センサ49bを設けること
もある。図中、(・)を付して表しているのは、制御則
又は制御手順次第では省略可能である、という意味であ
る。これらのセンサの出力は、各々、車両制御部38に
入力されるに当たって車両制御部38にて処理可能な形
式のデータに変換される。車両制御部38は、変換後の
データを用いて、トルク指令Tfr、Tfl、Trr及
びTrlの決定、制御切換等を実行する。
【0017】また、本実施形態では、基準速度設定スイ
ッチ50及びステア特性制御設定スイッチ52を設けて
いる。基準速度設定スイッチ50は、例えば図3(a)
に示される如き外観を有しており、低速域と高速域との
境を示す車体速即ち基準速度V*を設定するためのスイ
ッチである。また、ステア特性制御設定スイッチ52
は、例えば図3(b)に示される如き外観を有する低速
域ステア特性制御設定スイッチ52aと、図3(c)に
示される如き外観を有する高速域ステア特性制御設定ス
イッチ52bとから、構成されている。低速域ステア特
性制御設定スイッチ52aは、基準速度設定スイッチ5
0の操作にて設定される基準速度V*より低速側におけ
る目標ステア特性を設定するためのスイッチであり、高
速域ステア特性制御設定スイッチ52bは、基準速度V
*より高速側における目標ステア特性を設定するための
スイッチである。低速域ステア特性制御設定スイッチ5
2a及び高速域ステア特性制御設定スイッチ52bは、
いずれも、アンダーステア、ニュートラルステア及びオ
ーバーステアの各ポジションを有しており、設定者は、
これらのうちのいずれのステア特性をも選択可能であ
る。なお、これら基準速度設定スイッチ50及びステア
特性制御設定スイッチ52の設定は、製造した車両を出
荷する際や、或いは車両の使用者が車両を整備する際等
に、行う。また、基準速度設定スイッチ50及びステア
特性制御設定スイッチ52を、3個以上の速度範囲区分
毎に目標ステア特性を設定できるように構成することも
可能である(以下の説明では、単純化のため、低速/高
速という2個の速度範囲区分を想定する)。
【0018】更に、図1に示される車両では油圧制動と
回生制動とを併用している。即ち、ブレーキペダル56
が踏まれると、これに応じてマスタシリンダ58にて発
生した油圧がプロポーショニングバルブ59によって前
輪10FR及び10FL側と後輪10RR及び10RL
側とに分配され、更に各車輪10のホイルシリンダ60
FR、60FL、60RR及び60RLに伝達される。
伝達された油圧はそのホイルシリンダ60に対応するブ
レーキホイル62FR、62FL、62RR及び62R
Lに作用し、各車輪10に油圧による制動トルクが付与
される。他方で、ブレーキセンサ44を用いて検出され
たブレーキ力(例えばマスタシリンダ58の油圧)FB
に応じ車両制御部38が回生領域に属するトルク指令T
fr、Tfl、Trr及びTrlを出力する。従って、
図1の車両における制動力配分は、図4に示されるよう
にブレーキ力FB(横軸の“ブレーキペダル踏力”)の
増大に伴い前輪(フロント)10FR及び10FLと後
輪(リヤ)10RR及び10RLの油圧回生が共に増大
する配分となる。このように油圧系統と回生系統がブレ
ーキセンサ44以降は分離しているため、油圧及び回生
のいずれか一方がフェイルしたとしても他方にて車両を
退避させることができる。また、油圧系統にバルブやポ
ンプ等の油圧遮断/制御機構やその駆動・制御のための
電気系統をほとんど設けていないため、例えば、回生に
てまかなえる間は油圧を遮断するシステムや、在来エン
ジン車と同様のTRC/ABS機能を搭載するシステム
に比べて、システム構成が簡素になる。なお、油圧系統
にバルブやポンプ等の機構やその駆動・制御のための電
気系統を設ける必要がない理由の一つは、後述のように
各モータ12の出力トルクを個別に制御して走行安定性
制御を行うという、本実施形態の特徴的構成にある。
【0019】(2)車両制御部の動作 (2.1)全体動作 図5に、本実施形態における車両制御部38の動作の概
略を示す。車両制御部38は、この図に示すようにまず
車両各部からの信号、例えばアクセル開度VA、ブレー
キ力FB、シフトポジション、車輪速Vfr、Vfl、
Vrr及びVrl、舵角δ等を示す信号を入力する(1
00)。車両制御部38は、入力した信号特に車輪速V
fr、Vfl、Vrr及びVrlを利用して、車体速V
を演算する(200)。車両制御部38は、アクセル開
度VA、ブレーキ力FB、シフトポジション、車体速V
等を利用してトルク指令Tfr、Tfl、Trr及びT
rlを仮確定する(300)。車両制御部38は、舵角
δ等の情報を利用して、また、基準速度設定スイッチ5
0やステア特性制御設定スイッチ52の設定を参照し
て、トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを確
定する(400)。車両制御部38は、確定したトルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを記憶すると共
に対応するモータ制御部に供給する(500)。車両制
御部38は、以上の手順を、所定の頻度で繰返し実行す
る。
【0020】(2.2)車体速演算 車体速Vを演算するルーチン200(図6参照)におい
ては、車両制御部38は、まず、
【数1】Nslip0←Nslip Nslip ←0 の処理を行う(202)。変数Nslipは4個の駆動
輪10のうちスリップしているとみなせるもの(スリッ
プ輪)の個数を計数するための変数であり、ステップ2
02を実行することで、それまで変数Nslipに保存
されていた数値即ち前回ルーチン200を実行したとき
のスリップ輪の個数が変数Nslip0に保存され、同
時に、後の処理のため変数Nslipがリセットされ
る。
【0021】車両制御部38は、次に、各駆動輪10に
ついて(204、214)スリップしているか否かを判
定する(206)。スリップの判定手法としては、ここ
では、各駆動輪10の角加速度dω/dt(又は加速
度)を求め、求めた角加速度dω/dt(又は加速度)
が所定のしきい値を上回った駆動輪10についてはスリ
ップしていると見なす、という手法を用いている。角加
速度dω/dtは、ステップ100にて入力した車輪速
Vfr、Vfl、Vrr及びVrlのうち対応するもの
が前回からどの程度変化したかを検出し、これを速度変
化の次元から角加速度の次元へと単位換算することによ
り得る。なお、他の手法により、スリップに係る判定を
行ってもよい。車両制御部38は、スリップしていない
と判定したときにはその駆動輪10(非スリップ輪)の
車輪速を記憶し(208)、スリップしたと判定したと
きにはその駆動輪10(スリップ輪)を特定する情報を
記憶する(212)と共に変数Nslipを1インクリ
メントする(210)。
【0022】ステップ214までの処理が終了した時点
で、車両制御部38は、スリップ輪の個数Nslipが
0、1〜3、4のいずれに該当するかを判別する(21
6)。スリップ輪の個数Nslipが0であるときに
は、車両制御部38は、ステップ208にて記憶した情
報を利用して、
【数2】 V=(Vfr+Vfl+Vrr+Vrl)/4 の演算を行う(218)。スリップ輪の個数Nslip
が1〜3であるときには、車両制御部38は、ステップ
210及び212にて記憶した情報を利用して、
【数3】V=sum(Vfr,Vfl,Vrr,Vr
l)/(4−Nslip) 但し、sum(・):引数とされている車輪速のうち非
スリップ輪の車輪速の総和 の演算を行う(220)。そして、スリップ輪の個数N
slipが4であるときには、車両制御部38は、最後
にdω/dt>しきい値の条件が成立するに至った駆動
輪10が、dω/dt>しきい値となる直前に有してい
た車輪速を、車体速Vとする(224)。ステップ22
4にて車体速Vとした値は、Nslip=4の条件が成
立している間は、維持される(222、226)。
【0023】車両制御部38は、次に、
【数4】N←V・60/(2πR) 但し、R(m):駆動輪の半径 Vの単位は(m/sec)、Nの単位は(rpm)の演
算を行うことにより、車体速Vを回転数Nに変換する
(228)。ここで得られる回転数Nは、駆動輪10や
モータ12の実際の回転数ではなく、車体速Vに相当す
るいわば仮想的な回転数である。
【0024】(2.3)トルク指令仮確定 車体速演算ルーチン200にて求められた回転数Nは、
トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを仮確定
するルーチン300(図7)において使用される。即
ち、トルク指令仮確定ルーチン300では、車両制御部
38は、力行時マップ1000(図8(a))及び回生
時マップ1002(図8(b))のうちいずれかを、車
体速演算ルーチン200にて求めた回転数Nをキーとし
て参照し、それによって、各駆動輪10に関するトルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを仮確定する。
力行時マップ1000は、回転数Nとモータの最大トル
クTmaxとを対応付けるマップであり、回生時マップ
1002は回転数Nとモータの最小トルクTminとを
対応付けるマップである。ここでいう最大トルクTma
xは各モータ12が出力できる最大の力行トルクであ
り、最小トルクTminは各モータ12が出力できる絶
対値最大の回生トルクである。いずれもモータ12の性
能によって定まる値であるから、回転数Nに対する各モ
ータ12の性能(そのモータ12の回転数に対するその
モータ12の性能ではない)が互いに異なる値である場
合にはモータ12各々個別にこれらのマップ1000及
び1002を設ける。ここでは、説明の簡略化のため、
回転数Nに対する4個のモータ12の性能が互いに等し
いものとする。
【0025】車両制御部38は、マップ1000及び1
002のいずれを参照するかを決めるため、アクセルセ
ンサ42の出力に基づき、現在アクセルペダルが踏まれ
ているか否か(アクセルがオンしているか否か)を判定
する(302)。車両制御部38は、アクセルがオンし
ているときには力行時マップ1000を(304)、逆
にオフしているときには回生時マップ1002を(30
6)、参照する。これによって得られるのは、力行時マ
ップ1000又は回生時マップ1002上で現在の回転
数Nに対応づけられている最大トルクTmax又は最小
トルクTminである。車両制御部38は、得られたト
ルクを案分することにより、各モータ12に対するトル
ク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlをある共通の
トルク値で以て仮確定する。
【0026】例えば、ステップ304においては、車両
制御部38は、力行時マップ1000を参照して求めた
最大トルクTmaxに、アクセル開度VAから求めた案
分比a(%)を乗ずることにより、トルク指令Tfr、
Tfl、Trr及びTrlを仮確定する。また、ステッ
プ306においては、回生時マップ1002を参照して
求めた最小トルクTminに、ブレーキ力FBから求め
た案分比b(%)を乗ずることにより、トルク指令Tf
r、Tfl、Trr及びTrlを仮確定する。
【0027】なお、図8(a)及び(b)から明らかな
ように、仮確定の段階では、アクセルオンであれば力行
領域(回転数>0かつトルク>0の領域)のみが、オフ
であれば回生領域(回転数>0かつトルク≦0の領域)
のみが使用される点に、留意されたい。後述するTRC
相当制御、ABS相当制御及びステア特性制御では、ト
ルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlは、アクセ
ルオン時であっても回生領域の値を採ることがあり、ア
クセルオフ時であっても力行領域の値を採ることがあ
る。更に、仮確定の段階では、トルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrlは互いに等しいが、後述するTR
C相当制御、ABS相当制御及びステア特性制御が実行
されると必ずしもそうではなくなる点に留意されたい。
また、最大トルクTmax及び最小トルクTminのみ
をマップ化しているが、アクセル開度VA又はブレーキ
力FBをパラメタとして多数のトルク曲線をマップ化し
ておくようにしてもよい。そのようなマップ化が行われ
ていれば、アクセル開度VA又はブレーキ力FBと回転
数Nの対にてマップを参照することによりトルク指令T
fr、Tfl、Trr及びTrlを求められるから、案
分処理を実行する必要がなくなる。反面、回転数対最大
(又は最小)トルク特性のみをマップ化する方が、マッ
プ保持のための記憶空間を節約できる。
【0028】(2.4)トルク指令確定 トルク指令仮確定ルーチン300において仮確定された
トルク指令は、特定の条件が成立した場合を除き、トル
ク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを確定するル
ーチン400(図9)においてそのまま確定され(40
2)、ステップ500にて各モータ制御部36に供給さ
れる。仮確定値のままトルク指令Tfr、Tfl、Tr
r及びTrlを確定した場合、各モータ12ひいては駆
動輪10の出力は、車両操縦者のペダル操作やシフト操
作に応じた値となる。逆に、次に述べるような条件が成
立した場合、仮確定されたトルク指令Tfr、Tfl、
Trr及びTrlに関し補正が施され、補正が施された
トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを以て、
各モータ12ひいては駆動輪10に関するトルク指令T
fr、Tfl、Trr及びTrlが確定される。
【0029】トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びT
rlに補正が施されるケースの一つは、TRC相当制御
(600)又はABS相当制御(700)が実行される
場合である。ここでいうTRC相当制御は、在来エンジ
ン車におけるTRC(truction control)に相当する機能
を、各モータ12に係るトルク指令Tfr、Tfl、T
rr及びTrlの調整・補正により、従って油圧や燃料
噴射の操作・制御なしで、実現する制御手法である(特
開平8−182119号公報、特願平9−8693号等
を参照)。また、ここでいうABS相当制御は、在来エ
ンジン車におけるABS(anti-lock break system)に相
当する機能を、各モータ12に係るトルク指令Tfr、
Tfl、Trr及びTrlの調整・補正により、従って
油圧の操作・制御なしで、実現する制御手法である(特
願平9−8693号を参照)。これらの制御は、いずれ
も、スリップ輪の個数Nslipが0でないことを条件
に実行される(404)。TRC相当制御が実行される
のはアクセルがオンしているときであり、ABS相当制
御が実行されるのはアクセルがオフしているときである
(406)。
【0030】更に、スリップ輪の個数Nslipが0で
あっても、舵角δが所定のしきい値以上であれば即ち旋
回操舵中であれば(408)、車両制御部38は、ステ
ア特性制御を実行する(800)。ステア特性制御は、
基準速度設定スイッチ50及びステア特性制御設定スイ
ッチ52の設定内容に応じてトルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrlを補正し、車両のステア特性を速
度範囲別(より一般的に表現すれば、車両の状態別)に
目標制御する制御手法であり、本発明の特徴の一つであ
る。
【0031】これら、TRC相当制御、ABS相当制御
及びステア特性制御は、各モータ12に対して個々別々
にトルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを与え
られるという左右輪独立駆動型電気自動車の特質を利用
し、各モータ12毎に互いに異なる出力トルクを得る、
という共通点を有している。従って、これらの制御手法
は、いずれも、ホイルインモータタイプのみでなく左右
輪独立駆動型電気自動車全般に適用できる。次に、これ
らの手順に関し説明する。
【0032】(2.4.1)TRC相当制御 TRC相当制御ルーチン600(図10)においては、
車両制御部38は、全てのモータ12について(60
2、626)次の処理を行う。
【0033】車両制御部38は、まず、車輪速Vfr、
Vfl、Vrr及びVrlをそれぞれ回転数Nfr、N
fl、Nrr及びNrlに変換する(604)。車輪速
Vfr、Vfl、Vrr及びVrl(m/sec)から
回転数Nfr、Nfl、Nrr及びNrl(rpm)へ
の変換は、前者に60/(2πR)を乗ずることで行
う。車両制御部38は、その結果得られた回転数Nf
r、Nfl、Nrr及びNrlのうちベース回転数NB
を下回っているものについてはトルク特性上の定トルク
領域に属していると判断し、上回っているものについて
は定パワー領域に属していると判断する(606)。定
トルク領域とは、モータ12の最大トルクTmax及び
最小トルクTminが一定の領域であり、定パワー領域
とは、モータ12の最大力行パワー(=Tmax×回転
数)及び最大回生パワー(=Tmin×回転数)が一定
の領域である。また、ベース回転数NBは、定トルク領
域と定パワー領域の境に当たる回転数である。
【0034】車両制御部38は、判断の結果に応じて係
数決定用マップ(力行)1004上の異なるデータを参
照することにより、後の処理に使用する定数群を駆動輪
10毎に個別に決定する(608、610)。図11に
示されるように、係数決定用マップ(力行)1004
は、定トルク領域のうち力行側の部分に定数群(1)
を、また定パワー領域のうち力行側の部分に定数群
(2)を、それぞれ対応づけており、従って、車輪速V
fr、Vfl、Vrr及びVrlに相当する回転数Nf
r、Nfl、Nrr及びNrlが定トルク領域に属する
のかそれとも定パワー領域に属するのかによって異なる
定数群が選択決定されることになる。なお、ここでいう
定数群は、しきい値THω1〜THω3を決定するため
の定数a1〜a3、b1〜b3、c1〜c3及びd1〜
d3と、フィードバックゲインG1及びG2を決定する
ための定数A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1
及びD2と、補正項S1及びS2とを、含んでいる。補
正項S1及びS2に関しては、定トルク領域と定パワー
領域とで同じ値にしてもよい。
【0035】車両制御部38は、決定した定数群を利用
して、駆動輪10毎にしきい値THω1〜THω3並び
にフィードバックゲインG1及びG2を演算する(61
2)。演算式は、例えば
【数5】THω1←a1×exp(b1×VA+c1×
車輪速+d1×VA×車輪速) THω2←a2×exp(b2×VA+c2×車輪速+
d2×VA×車輪速) THω3←a3×exp(b3×VA+c3×車輪速+
d3×VA×車輪速) G1 ←A1×exp(B1×VA+C1×車輪速+
D1×VA×車輪速) G2 ←A2×exp(B2×VA+C2×車輪速+
D2×VA×車輪速) とする。なお、車輪速Vfr、Vfl、Vrr及びVr
lに代え回転数Nfr、Nfl、Nrr及びNrlを用
いてもよい。また、THω1>THω2>0>THω3
が常に成り立つよう、係数決定用マップ(力行)100
4の内容を設定しておく。
【0036】車両制御部38は、駆動輪10毎に、その
角加速度dω/dt(ステップ206にて求めたものを
用いるか、再度演算する)がTHω1超、THω1以下
THω2超、THω2以下THω3超、及びTHω3以
下という4種類の範囲のうちいずれに属しているかを判
定する(614)。車両制御部38は、その結果に応じ
て、ステップ616〜622のうちいずれかを実行す
る。ステップ616〜622にて実行される処理は、次
の式
【数6】 ステップ616:ΔT←G1・(dω/dt−S1) ステップ618:ΔT←0 ステップ620:ΔT←G2・(dω/dt−S2) ステップ622:ΔT←0 により表される演算である。
【0037】車両制御部38は、ステップ616〜62
2の処理にて駆動輪10毎に決定されたフィードバック
トルクΔTを、仮確定値から減ずることにより、トルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを確定する(6
24)。このように、角加速度dω/dt及び回転数N
fr、Nfl、Nrr及びNrlに応じて駆動輪10毎
に決まるフィードバックトルクΔTにより、補正が施さ
れるから、確定されたトルク指令Tfr、Tfl、Tr
r及びTrlの値が採る得る範囲は、図12において斜
線で示される範囲即ち力行領域及び回生領域双方に亘る
範囲となる。
【0038】いずれかの駆動輪10がスリップしている
(dω/dtがしきい値を上回っている)状態は、通常
は、ある程度の期間に亘って継続する。その期間におい
て上述の手順によるトルク指令Tfr、Tfl、Trr
及びTrlの補正・確定が行われた場合、各モータ12
の出力トルクは所定の規則性を以て時間変動することに
なり、在来車両におけるTRCと同様にして、いずれ、
全ての駆動輪10が路面をグリップしている状態とな
る。その際、油圧や燃料噴射量の制御は不要である。
【0039】(2.4.2)ABS相当制御 次に、ABS相当制御は、TRC相当制御とほぼ同様の
手順により実現できる。図13に、ABS相当制御ルー
チン700のうちTRC相当制御ルーチン600と相違
する部分を示す。図13においては、車両制御部38
は、各駆動輪10について(702)その車輪速Vf
r、Vfl、Vrr及びVrlを回転数Nfr、Nf
l、Nrr及びNrlに変換し(704)、その結果が
ベース回転数NBを下回っている駆動輪10については
定トルク領域に、逆に上回っている駆動輪10について
は定パワー領域に、属していると判断する(706)。
車両制御部38は、この判断の結果に基づき係数決定用
マップ(回生)1006を参照することにより、後の処
理に使用する定数群を決定する(708、710)。図
14に示されるように、係数決定用マップ(回生)10
06は、定トルク領域のうち回生側の部分に定数群
(3)を、また定パワー領域のうち回生側の部分に定数
群(4)を、それぞれ対応づけており、従って、車輪速
Vfr、Vfl、Vrr及びVrlに相当する回転数N
fr、Nfl、Nrr及びNrlが定トルク領域に属す
るのかそれとも定パワー領域に属するのかによって異な
る定数群が選択決定されることになる。なお、ここで決
定する定数群は前述のステップ608又は610にて決
定していた定数群と同様である。但し、その値は、一般
に、力行時の値と異なる値とする。
【0040】車両制御部38は、決定した定数群を利用
して、各駆動輪10に関し、しきい値THω1〜THω
3並びにフィードバックゲインG1及びG2を演算する
(712)。演算式は、前述の数5中のアクセル開度V
Aをブレーキ力FBに置き換えた式でよい。車両制御部
38がこれ以後実行する処理は、TRC相当制御ルーチ
ン600におけるステップ614〜626と同様の処理
である。従って、ABS相当制御において確定されるト
ルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlも、TRC
相当制御において確定されるトルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrlと同様、図12において斜線で示
される範囲の値を採り得る。また、同様に時間変動する
から、ABS相当制御を実行することで、在来車両にお
けるABSと同様にして、全ての駆動輪10が路面をグ
リップしている状態を回復できる。
【0041】(2.4.3)ステア特性制御 ステア特性制御ルーチン800(図15)においては、
車両制御部38は、まず基準速度設定スイッチ50にて
設定されている基準速度V*と、ステア特性制御設定ス
イッチ52にて設定されている目標ステア特性とを読み
込み(802)、車体速演算ルーチン200にて求めた
車体速Vを基準速度V*と比較する(804)。車体速
Vが基準速度V*以上であれば、車両制御部38は高速
域ステア特性制御設定スイッチ52bにより設定されて
いる目標ステア特性を目標ステア特性として採用し(8
06)、逆に、車体速Vが基準速度V*未満であれば、
低速域ステア特性制御設定スイッチ52aにより設定さ
れている目標ステア特性を目標ステア特性として採用す
る(808)。目標ステア特性の設定の一例としては、
次の表1の上半分に記されているように、低速域ではオ
ーバーステア、高速域ではニュートラルステア、という
設定がある。
【0042】
【表1】 車両制御部38は、次に、現在のステア特性を検出(又
は推定)する(900)。ステア特性の検出は、例え
ば、図16に示されるように、ヨーレート又は横加速度
の目標値である目標ヨーレートγ*又は目標横加速度G
*を算出し(902)、目標ヨーレートγ*に対するヨ
ーレートの検出値γの差Eγ又は目標横加速度Gy*
対する横加速度の検出値Gyの差EGyを算出し(90
4)、算出した差が十分小さければ(906)ニュート
ラルステアであると判定し(914)、算出した差がさ
ほど小さくなくかつ舵角δと算出した差との積が正であ
ればオーバーステアであると判定し(910)そうでな
ければアンダーステアであると判定する(912)、と
いう手順によって、実行する。なお、ここでは、舵角や
ヨーレートについて、左旋回方向を正としている。
【0043】車両制御部38は、ステア特性を検出(又
は推定)した後、図15に示されるように、ステップ8
06又は808にて採用した目標ステア特性と、検出
(又は推定)した実際のステア特性とを比較する(81
0)。両者が一致していれば、車両制御部38は、仮確
定された値を以てトルク指令Tfr、Tfl、Trr及
びTrlを確定する(812)。両者が一致していなけ
れば、車両制御部38は、モード決定テーブル1008
を参照して、ステア特性の変更モードを決定する(81
4)。
【0044】モード決定テーブル1008は、図17に
示されるように、ニュートラルステア、オーバーステア
及びアンダーステアという3種類のステア特性相互間
で、想定しうる6通りの遷移の仕方を与えている。例え
ば、図中の変更モードaはオーバーステアからニュート
ラルステアへと車両のステア特性を遷移させるモードで
あり、変更モードcはニュートラルステアからアンダー
ステアへと車両のステア特性を遷移させるモードであ
る。車両制御部38がステップ814にて実行する処理
は、具体的には、検出又は推定した実際のステア特性
(例えばオーバーステア)と、採用した目標ステア特性
(例えばニュートラルステア)とに基づき、車両のステ
ア特性を目標ステア特性に遷移させるのに必要な変更モ
ード(例えばa)を、決める処理である。なお、これら
3種類のステア特性は、次の式
【数7】 オーバーステア :δ×(γ−γ*)>0、δ×(Gy−Gy*)>0 ニュートラルステア:δ×(γ−γ*)=0、δ×(Gy−Gy*)=0 アンダーステア :δ×(γ−γ*)<0、δ×(Gy−Gy*)<0 に示されるように、実ヨーレートγ又は実横加速度Gy
がその基準値(ニュートラルステア時の値)γ*又はG
*に対して有している差が舵角δと同じ符号か否かに
より定義付けできる。
【0045】車両制御部38は、以上の処理と前後し
て、路面の摩擦係数μを各駆動輪10毎に演算決定する
(900)。例えば、図18に示されるように、各駆動
輪10の角加速度dω/dtをキーとしてμ決定マップ
1010を参照し摩擦係数μを決定する処理を(95
4)、全ての駆動輪10に関し実行する(952、95
6)。μ決定マップ1010は、角加速度dω/dtを
摩擦係数μに対応づけるマップであり、例えば図19に
示されるような内容を有している。以下、右前輪10F
R、左前輪10FL、右後輪10RR及び左後輪10R
Lにおける路面の摩擦係数μを、それぞれ、μfr、μ
fl、μrr及びμrlで表す。
【0046】車両制御部38は、この後、トルク指令T
fr、Tfl、Trr及びTrlの補正に使用する定数
群を、定数群テーブル1012を参照して決定する(8
16)。定数群テーブル1012は、次の表2に示され
るように、アクセルオン/オフの別、舵角δの符号即ち
旋回操舵方向、及びステップ814にて決定した変更モ
ードの組合せと、トルク指令Tfr、Tfl、Trr及
びTrlを補正するために使用する定数Pfr、pf
r、qfr、Pfl、pfl、qfl、Prr、pr
r、qrr、Prl、prl及びqrlの組合せとを、
対応づけるテーブルである。
【0047】
【表2】 車両制御部38は、ステップ816にて決定した定数群
により定義される次の式
【数8】kfr←1−Pfr×exp(pfr×|δ|
+qfr×μfr) kfl←1−Pfl×exp(pfl×|δ|+qfl
×μfl) krr←1−Prr×exp(prr×|δ|+qrr
×μrr) krl←1−Prl×exp(prl×|δ|+qrl
×μrl) を用いて、舵角δ並びに摩擦係数μfr、μfl、μr
r及びμrlに基づき補正係数kfr、kfl、krr
及びkrlを決定し、更に、次の式
【数9】Tfr←Tfr×kfr Tfl←Tfl×kfl Trr←Trr×krr Trl←Trl×krl により、トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrl
を補正する(818)。数8の右辺は、図20に示され
る曲面を与える関数であり、この関数に従い決定した補
正係数kfr、kfl、krr及びkrlを用いて数9
に示される補正処理を実行することにより、トルク指令
Tfr、Tfl、Trr及びTrlの値が採りうる範囲
は、図21にて斜線で示されるように力行及び回生双方
の領域に亘る範囲になる。なお、他の形の関数を用いて
もかまわない。即ち、数8及び図20に示される補正係
数演算手法は、舵角δに応じトルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrl相互の値に相違を与えひいては車
体重心回りのモーメントMを発生させる手法、言い換え
れば目標ヨーレート適合制御を応用した手法であるか
ら、後述の如く状態フィードバック制御を応用して本発
明を実現しようとする場合には、例えばヨーレートγ、
横加速度Gy、すべり角βその他の車両状態量の検出・
フィードバック値を独立変数とする関数にて、補正係数
kfr、kfl、krr及びkrlを決定する。
【0048】ステップ818にて補正された後のトルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlは、最大トルク
Tmaxを上回るものや最小トルクTminを下回るも
のが含まれていない限り、そのまま確定される(83
2。なお、図31及び表4も参照)。しかし、数9によ
れば最大トルクTmaxを上回ることとなるものについ
ては(820)最大トルクTmaxを以て上限制限する
(822)。この制限によって実現し得なくなった分の
トルク、即ち補正直後の値から最大トルクTmaxを減
ずることにより得られる値のトルクについては、左右同
じ側にある駆動輪に係るトルク指令に上乗せする(82
4。なお、図32及び表5も参照)。同様に、数9によ
れば最小トルクTminを下回ることとなるものについ
ては(826)最小トルクTminを以て下限制限する
(828。なお、図31及び表4も参照)。この制限に
よって実現し得なくなった分のトルク、即ち補正直後の
値から最小トルクTminを減ずることにより得られる
値のトルクについては、左右同じ側にある駆動輪に係る
トルク指令に上乗せする(830。なお、図32及び表
5も参照)。
【0049】例えば、右前輪10FRに係るトルク指令
Tfrが最大トルクTmaxを上回っているのであれ
ば、ステップ822では
【数10】δT ←Tfr−Tmax Tfr←Tmax の処理を行う。右前輪10FRと同じく右側にある駆動
輪は右後輪10RRであるから、ステップ824では
【数11】Trr←Trr+δT の処理を行う。なお、この処理によってトルク指令Tr
rの値が最大トルクTmaxを上回った場合には、今度
はトルク指令Trrに関しステップ822に係る制限処
理が行われる。この場合、際限のない繰返しを防ぐた
め、ステップ824は省略される(図示せず)。
【0050】このようなステア特性制御が実行される
と、車両のステア特性は、基準速度V*以上の高速域で
は高速域ステア特性制御設定スイッチ52bにより設定
されている目標ステア特性に制御され、基準速度V*
満の低速域では低速域ステア特性制御設定スイッチ52
aにより設定されている目標ステア特性に制御される。
例えば、表1の上半分に示されているような設定が施さ
れている場合、同表の下半分に示されているようにステ
ア特性の変更モードが選択決定され、決定された変更モ
ードに従いトルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTr
lの補正及び確定が行われる。従って、本実施形態によ
れば、低速域及び高速域それぞれについて製造者又は使
用者が設定した目標ステア特性による旋回が可能にな
る。特に、表1に示されているように低速域での目標ス
テア特性をオーバーステアとしておけば、低速域での車
両旋回半径を小さくでき、従って、車両の走行安定性を
損なわないで小回りの利く車両を実現できる。
【0051】(2.4.4)ステア特性制御の原理 そのような効果が得られるのは、以下に述べるように、
各駆動輪10に係るトルクTfr、Tfl、Trr及び
Trlを適宜補正及び確定することでコーナリングパワ
ーKf及びKrを変化させることができ、これによって
ステア特性を変化させることができるためである。な
お、以下の説明で登場する変数・定数については、車両
が旋回する平面内での車体の挙動を示す図22、車輪の
回転運動を示す図23及び変数・定数のリストである表
3を参照されたい。
【0052】
【表3】 まず、運動している車両には次の式
【数12】m・Gy=m・V・(dβ/dt+γ) で表される横方向の力が作用する。また、車両が旋回し
ているときには、車両には遠心力
【数13】Fc=m・V2/ρ 但し、ρ:旋回半径 が作用する。従って、車両が旋回しているときには、数
12及び数13から導かれる次の関係
【数14】dβ/dt+γ=V/ρ が成り立つ。
【0053】いわゆるニュートラルステアの状態では、
【数15】dβ/dt=0 dγ/dt=0 であるから、車体速Vが一定であれば数14に現れてい
る旋回半径ρは定数となり(以下、ρ0と表す)、次の
【数16】ρ0=V/γ0 但し、γ0:ニュートラルステア時のヨーレート で表される値になる。即ち、このとき車両は一定の半径
ρ0で旋回する(定常円旋回)。
【0054】他方、本実施形態では、各駆動輪10に係
るモータ12に対し個別にトルク指令Tfr、Tfl、
Trr及びTrlを与え、それにより車体重心G回りの
モーメントMを発生させている(図24参照)。従っ
て、車体の重心G回りの運動は、左右の車輪に働くコー
ナリングフォースに差がないとすると、次のようにモー
メントMを含む式
【数17】 I・dγ/dt=2・(Lf・F’yf+Lr・F’yr)+M 但し、 F’yf=F’yfr+F’yfl =−Kf・{β+(Lf/V)・γ−δ} F’yr=F’yrr+F’yrl =−Kr・{β+(Lr/V)・γ} によって表すことができる。数12及び数17を変形す
ることにより得られる次の式
【数18】dβ/dt=K11・β+K12・γ+K1
3・δ+K14・M dγ/dt=K21・β+K22・γ+K23・δ+K
24・M 但し、K11=−2・(Kf+Kr)/(m・V) K12=−1−2・(Lf・Kf−Lr・Kr)/(m
・V2) K13=2・Kf/(m・V) K14=0 K21=−2・(Lf・Kf−Lr・Kr)/I K22=−2・(Lf2・Kf−Lr2・Kr)/(I・
V) K23=2・Lf・Kf/I K24=1/I は、各駆動輪10に係るモータ12に対し個別にトルク
指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlを与え、それに
よりモーメントMを発生させたときの車体の挙動を示す
式である。
【0055】モーメントMを発生させずステア特性をニ
ュートラルステアとしたとき、数15及び数18から次
の式
【数19】 K11・β+K12・γ+K13・δ=0 K21・β+K22・γ+K23・δ=0 が得られる。この式をヨーレートγについて解くと、
【数20】γ=1/(1+A・V2)・(V/L)・δ 但し、A:スタビリティファクタ=−m/V2・(Lf
・Kf−Lr・Kr)/(Kf・Kr) となる。この式と、既に導出済の数16から、定常円旋
回時の旋回半径ρ0は
【数21】ρ0=(1+A・V2)・L/δ となることがわかる。特に、数21の右辺にスタビリテ
ィファクタAが現れており、またスタビリティファクタ
Aの符号が指標値Lf・Kf−Lr・Krにより左右さ
れることに、留意されたい。即ち、舵角δが一定(=δ
0=1/ρ0)であれば、
【数22】 Lf・Kf−Lr・Kr<0…アンダーステア Lf・Kf−Lr・Kr=0…ニュートラルステア Lf・Kf−Lr・Kr>0…オーバーステア となる(図25参照)。また、ニュートラルステアでな
いときの旋回半径ρは、車体速Vに依存する(図26参
照)。なお、ここでは、サスペンションの特性は無視し
ている。
【0056】このようにステア特性を左右する指標値L
f・Kf−Lr・Krは、ホイルベースLf及びLrと
コーナリングパワーKf及びKrによって決まる。ホイ
ルベースLf及びLrは一定であるから、コーナリング
パワーKf及びKrを思い通りにかえることができるの
であれば、車両のステア特性を制御することが可能にな
る。本実施形態におけるステア特性制御は、車体速Vが
高いか低いかに応じて(より一般には車両の走行状態を
示す物理量の大小乃至高低に応じて)、また現在のステ
ア特性と目標ステア特性との異同に応じて、コーナリン
グパワーKf及びKrを変化させることにより、目標ス
テア特性となるようステア特性を制御する手法である。
【0057】まず、車体重心G回りのモーメントMは、
次の式
【数23】M=Td/2・(Fxfr−Fxfl+Fx
rr−Fxrl) で示されるように各駆動輪10に働く前後力Fxfr、
Fxfl、Fxrr及びFxrlによって定まる。ま
た、この式から明らかなように、右前輪10FRに働く
前後力Fxfrと左前輪10FLに働く前後力Fxfl
とが等しく、右後輪10RRに働く前後力Fxrrと左
後輪10RLに働く前後力Fxrlとが等しければ、モ
ーメントMは0となる。更に、
【数24】It・dωfr/dt=Tfr−Fxfr・
R=Tfr−μ・mt・R It・dωfl/dt=Tfl−Fxfl・R=Tfl
−μ・mt・R It・dωrr/dt=Trr−Fxrr・R=Trr
−μ・mt・R It・dωrl/dt=Trl−Fxrl・R=Trl
−μ・mt・R であるから、
【数25】dωfr/dt=0 dωfl/dt=0 dωrr/dt=0 dωrl/dt=0 であれば
【数26】M=(Tfr−Tfl+Trr−Trl)・
Td/(2・R) である。
【0058】従って、図27に示されているように各駆
動輪10に関し互いに等しいトルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrlを与えている場合、各駆動輪10
には互いに等しい前後力Fxfr、Fxfl、Fxrr
及びFxrlが働くため、モーメントMは0となる。な
お、図27(及び図28)中、Fは車両の推進力、βr
及びβfはそれぞれ後輪及び前輪のすべり角である。ま
た、本願中の説明では、トルク指令Tfr、Tfl、T
rr及びTrlが正確に実現されるものと仮定してい
る。
【0059】逆に、図28に示されているように各駆動
輪10に関し互いに等しくないトルク指令Tfr、Tf
l、Trr及びTrlを与えている場合、各駆動輪10
に働く前後力Fxfr、Fxfl、Fxrr及びFxr
lは一般に互いに等しくならないためモーメントMが発
生する。また、前後力Fxfr、Fxfl、Fxrr及
びFxrlが変化すると横力Fyfr、Fyfl、Fy
rr及びFyrlも発生又は変化し、従ってその大きさ
が次の式
【数27】F’y=Fy・cosβ−Fx・sinβ 但し、Fx:前後力 Fy:横力 β:すべり角 で与えられるコーナリングフォースF’yfr、F’y
fl、F’yrr及びF’yrl(すべりが発生してい
なければ各車輪の向いている方向(進行方向)と直交す
る方向を向く)や、この式中に現れているすべり角β
(各車輪の進行方向と車両の進行方向の差)も、変化す
る。
【0060】即ち、すべり角β、前後力Fx、横力Fy
及びコーナリングフォースF’yの間には一般に図29
に示される如き関係があるところ、例えばある駆動輪1
0に関しその前後力Fxを増大させると(図30中実線
の「前後力」から破線の「前後力(制御)」への変
化)、これに応じて横力Fy及びコーナリングフォース
F’yの特性が実線から破線へと変化するため、図中白
丸で示されている動作点は図中←の如く変化し、その結
果すべり角βも減少する。
【0061】図28に示されているように、外側(左折
時には右側、右折時には左側)の駆動輪10に関するト
ルク指令を内側の駆動輪10に関するトルク指令より小
さくしているときには、図30に示されるように、コー
ナリングフォースF’yが減少し、これに伴いコーナリ
ングパワーも減少する。例えば、Trr>Trlとした
場合、後輪のコーナリングパワーKrが減少するため、
ステア特性を決定する量であるLf・Kf−Lr・Kr
も減少する。即ち、アンダーステアからニュートラルス
テア又はオーバーステアへ、或いはニュートラルステア
からオーバーステアへの切換が実現される。逆に、内側
の駆動輪10に関するトルク指令を外側の駆動輪10に
関するトルク指令より小さくしているときには、図30
とは逆に、コーナリングフォースF’yが増加し、これ
に伴いコーナリングパワーも増加する。例えば、Trr
<Trlとした場合、コーナリングパワーKrが増大す
るためLf・Kf−Lr・Krも増加する。即ち、オー
バーステアからニュートラルステア又はアンダーステア
へ、或いはニュートラルステアからアンダーステアへの
切換が実現される。
【0062】本実施形態においては、コーナリングパワ
ーKf及びKrを変化させるため、各駆動輪10に係る
トルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlに舵角δ
に応じた補正を施して互いに異なるトルクを発生させ、
これにより舵角δに応じたモーメントMを発生させる、
という方法を採用している。これは、本願出願人が特願
平9−8693号にて提案した目標ヨーレート適合制御
の応用である。即ち、各駆動輪10に関するトルク指令
Tfr、Tfl、Trr及びTrlに、表4及び表5に
示されるような論理に従い増減補正を施し、これによっ
て車体重心G回りでモーメントMを発生させ、ステア特
性を目標制御している(図31)。また、本実施形態に
おいては、増減補正によりある駆動輪に係るトルク指令
が最大値Tmax又は最小値Tminという限界値を超
えそうになったときに、当該ある駆動輪と左右同じ側に
ある駆動輪に関しトルク指令の増減補正を施し、これに
よって、出力トルクの限界値によってステア特性の目標
制御が支障を受けないようにしている(図32。図15
のステップ820〜830を参照)。このような制御に
よって、本実施形態においては、旋回時におけるエネル
ギ効率の向上、走行安定性の確保、操縦の容易化(アク
セルやブレーキの操作頻度の低減)を実現している。ま
た、その際使用するセンサの個数が少ないため、経済的
である。
【0063】
【表4】
【表5】 (3)変形例 上述の実施形態には、様々に変形を施すことができる。
まず、上述の実施形態では基準速度設定スイッチ50に
よって低速域/高速域を分ける基準速度V*を与えてい
たが、図33に示されるように基準速度設定スイッチ5
0に代えて基準ヨーレート設定スイッチ50Aを設け基
準ヨーレートγs*を与えるようにしてもよい。この様
にする場合には、ステア特性制御ルーチン800中のス
テップ802〜808の部分を図34に示されるステッ
プ802A〜808Aの如く変形し、ヨーレートγの基
準ヨーレートγs*との比較判定やその結果に基づく目
標ステア特性設定を行うようにする。また、ステア特性
制御設定スイッチ52は、ヨーレートγが小さい領域/
大きい領域それぞれについて目標ステア特性を設定する
のに用いる。同様に、図35に示されるように基準速度
設定スイッチ50に代えて基準横加速度設定スイッチ5
0Bを設け基準横加速度Gys*を与えるようにしても
よい。この様にする場合に、ステア特性制御ルーチン8
00中のステップ802〜808の部分を図36に示さ
れるステップ802B〜808Bの如く変形し、横加速
度Gyの基準横加速度Gys*との比較判定やその結果
に基づく目標ステア特性設定を行うようにする。また、
ステア特性制御設定スイッチ52は、横加速度Gyが小
さい領域/大きい領域それぞれについて目標ステア特性
を設定するのに用いる。
【0064】更に、図37に示されるように、基準速度
設定スイッチ50、基準ヨーレート設定スイッチ50
A、基準横加速度設定スイッチ50B及びステア特性制
御設定スイッチ52を廃止することもできる。即ち、図
38に示されるように、ステア特性制御ルーチン800
中のステップ802〜808をステップ801及び80
2C〜808Cにより置き換える。ステップ801及び
802Cでは、車両制御部38内に設けた走行履歴/基
準値メモリ1014上の従前の基準値(V*、γs*又は
Gys*)を対応する検出値(V、γ又はGy)を利用
して逐次更新する。ステップ802Cでは、基準値の上
下での目標ステア特性を、走行履歴/基準値メモリ10
14上に別途書き込まれている走行履歴(車体速V、ヨ
ーレートγ、横加速度Gy等の履歴)から決める。ステ
ップ804C〜ステップ808Cでは、更新した基準値
を利用して前述の実施形態又はその変形例と同様の処理
を実行する。このように、目標ステア特性とその設定範
囲乃至基準値を自動設定するようにすれば、ステア特性
の目標を切り換えるための上述の基準値を、車両操縦者
の癖等に適応させることができる。
【0065】更に、ステア特性検出ルーチン900を、
図39の如く変形すれば、ヨーレートセンサ49aや横
加速度センサ49bを廃止することもできる。図39に
おいては、車両制御部38は、舵角センサ48にて得ら
れた舵角δの時間微分dδ/dtを求め(916)、こ
の時間微分dδ/dtが十分小さければ、現在のステア
特性が操縦者の望みとほぼ一致していると見なす(91
8)。逆に、時間微分dδ/dtが十分小さくないとき
には(918)、舵角δとその時間微分dδ/dtが同
一符号であれば(920)操縦者の望み(例えばオーバ
ーステア)に対してアンダーステア気味のステア特性
(ニュートラルステア又はアンダーステア)であると判
定し(922)、異符号であればオーバーステア気味の
ステア特性であると判定する(922)。車両制御部3
8は、以上の処理の結果を利用して前述のステップ81
0を実行する。
【0066】更に、前述の定数群テーブル1012に代
えて、異なるP、p及びqの組合せに係る補正係数kを
舵角の絶対値|δ|及び路面摩擦係数μと関連づけるn
個の定数群マップ1016−1〜1016−n(n:2
以上の自然数)を、設けるようにしてもよい。その場
合、ステア特性制御ルーチン800は図40に従い変形
し、ステップ816に代え定数群マップ1016−1〜
1016−nを選択的に参照するステップ816Aを設
ける。
【0067】更に、上述の実施形態は目標ヨーレート適
合制御を応用した実施形態であるが、本願出願人が特願
平9−68571号にて提案している状態フィードバッ
ク制御を応用して本発明を実施することができる。例え
ば、ヨーレートセンサ49a及び横加速度センサ49b
の出力たるヨーレート検出値γ及び横加速度検出値Gy
に応じ各駆動輪10に係るトルク指令Tfr、Tfl、
Trr及びTrlに補正を施して駆動輪10毎に異なる
トルクを発生させ、これによって車体重心G回りのモー
メントMを発生させ、コーナリングパワーKf及びKr
を変化させる、という制御則も採用できる。或いは、ヨ
ーレート検出値γと、次の式
【数28】β=∫(Gy/V−γ)dt に従いヨーレート検出値γ、横加速度検出値Gy及び車
体速Vから求めたすべり角度βとに応じ、各駆動輪10
に係るトルク指令Tfr、Tfl、Trr及びTrlに
補正を施して駆動輪10毎に異なるトルクを発生させ、
これによって車体重心G回りのモーメントMを発生さ
せ、コーナリングパワーKf及びKrを変化させる、と
いう制御則も採用できる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
車両操縦者からの要求に応じて仮確定した指令を補正す
ることによって駆動輪間に出力差を発生させ、これによ
り、車両が採りうる速度、ヨーレート又は横加速度を区
分した範囲毎に設定した目標ステア特性へと、車両のス
テア特性を変化させるようにしたため、実現すべき目標
ステア特性の設定によって、様々な車両挙動を実現でき
る。例えば、低速時にはより小さい半径で旋回したいと
いった細かな要請に応えられる。更に、舵角又は車両の
旋回状態に応じ上述の補正をおこなっているため、目標
ヨーレート適合制御又は状態フィードバック制御の利点
を併せ享受できる。加えて、基準値設定手段を設けた場
合、目標ステア特性を切り換える範囲区分を可変設定で
きるため、より緻密な要請にも応えられる。更に、TR
C/ABS相当制御手段を設け、いずれかの駆動輪がス
リップしているときにはTRC/ABS相当制御手段に
より補正されたトルク指令を、いずれの駆動輪もスリッ
プしておらずかつ車両が旋回中であるときにはステア特
性制御手段により補正されたトルク指令を、というよう
に制御を切り換えるようにした場合、低μ路に強く、ま
た直進時、旋回時を問わず走行安定性に優れた車両が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を四輪駆動のホイルインモータタイプ
電気自動車に適用し、車体速の範囲区分に応じてステア
特性の制御目標を切り換えられるようにした場合のシス
テム構成を示すブロック図である。
【図2】 ホイルインモータの一例構造を示す断面図で
ある。
【図3】 (a)は基準速度設定スイッチの外観を、
(b)は低速域ステア特性制御設定スイッチの外観を、
(c)は高速域ステア特性制御設定スイッチの外観をそ
れぞれ示す図である。
【図4】 前輪(フロント)と後輪(リヤ)の間の制動
力配分、油圧と回生の間の制動力配分、及びブレーキペ
ダル踏力に対する各種制動力の変化を示す特性図であ
る。
【図5】 車両制御部の動作の全体の流れを示すフロー
チャートである。
【図6】 車体速演算ルーチンの流れを示すフローチャ
ートである。
【図7】 トルク指令仮確定ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。
【図8】 トルク指令仮確定ルーチンで使用するマップ
を概念的に示す図であり、(a)は力行時マップを、
(b)は回生時マップをそれぞれ示す図である。
【図9】 トルク指令確定ルーチンの流れを示すフロー
チャートである。
【図10】 TRC相当制御ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。
【図11】 TRC相当制御ルーチンで使用する係数決
定用マップを概念的に示す図である。
【図12】 TRC相当制御又はABS相当制御を実行
したときに出力されるトルク指令が採りうる範囲を、斜
線で示す回転数対トルク特性図である。
【図13】 ABS相当制御ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。
【図14】 ABS相当制御ルーチンで使用する係数決
定用マップを概念的に示す図である。
【図15】 ステア特性に関し車体速の範囲区分毎に異
なる制御目標を設定可能にしかつ目標ヨーレート適合制
御を応用したステア特性制御ルーチンの流れを示すフロ
ーチャートである。
【図16】 ヨーレート又は横加速度の検出値を利用し
たステア特性検出ルーチンの流れを示すフローチャート
である。
【図17】 ステア特性制御ルーチンで使用するモード
決定テーブルを概念的に示す図である。
【図18】 車輪角加速度の検出値を利用した路面摩擦
係数演算ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図19】 路面摩擦係数演算ルーチンで使用するμ決
定マップを概念的に示す図である。
【図20】 目標ヨーレート適合制御を応用してステア
特性制御を行っている場合に、ステア特性制御ルーチン
にて求める補正係数が舵角の絶対値及び路面摩擦係数に
対して有している特性又はステア特性制御ルーチンにて
使用する定数群マップを概念的に示す図である。
【図21】 ステア特性制御を実行したときに出力され
るトルク指令が採りうる範囲を、斜線で示す回転数対ト
ルク特性図である。
【図22】 車体の前後方向及び横方向の運動に係る各
種の物理量を、車体が旋回する平面において示す概念図
である。
【図23】 車輪の回転運動に係る各種の物理量を、車
輪が回転する平面において示す概念図である。
【図24】 各駆動輪毎に相異なるトルク指令を出力す
ることによる車体重心回りモーメントの発生を、車体が
旋回する平面において示す概念図である。
【図25】 指標値Lf・Kf−Lr・Krの符号とス
テア特性との関係及びステア特性による車体旋回半径の
変化を、車体が旋回する平面において示す概念図であ
る。
【図26】 車体速の変化に伴う車体旋回半径の変化傾
向を、指標値Lf・Kf−Lr・Krの符号をパラメタ
として示す図である。
【図27】 各駆動輪に関し相等しいトルクを発生させ
ているときの車体及び車輪の挙動を、車体が旋回する平
面において示す概念図である。
【図28】 各駆動輪に関し相等しくないトルクを発生
させているときの車体及び車輪の挙動を、車体が旋回す
る平面において示す概念図である。
【図29】 すべり角度、車輪前後力、車輪横力及びコ
ーナリングフォースの関係を示す図である。
【図30】 図29の横軸を拡大して描いた図であり、
特に、実線は各駆動輪に関し相等しいトルクを発生させ
ているときのすべり角度、車輪前後力、車輪横力及びコ
ーナリングフォースの関係を、破線は外側の駆動輪に内
側の駆動輪よりも大きなトルクを与えているときのすべ
り角度、車輪前後力、車輪横力及びコーナリングフォー
スの関係を、一点鎖線は実線の状態から破線の状態へと
移行する際のすべり角度及びコーナリングフォースの減
少を示す図である。
【図31】 外側の駆動輪に内側の駆動輪よりも大きな
トルクを与えているときの車体の挙動、特に外側及び内
側各一輪のみに関しトルク指令を増減させているときの
車体の挙動を、車体が旋回する平面において示す概念図
である。
【図32】 外側の駆動輪に内側の駆動輪よりも大きな
トルクを与えているときの車体の挙動、特に外側及び内
側各二輪に関しトルク指令を増減させているときの車体
の挙動を、車体が旋回する平面において示す概念図であ
る。
【図33】 本発明を四輪駆動のホイルインモータタイ
プ電気自動車に適用し、ヨーレートの範囲区分に応じて
ステア特性の制御目標を切り換えられるようにした場合
のシステム構成を示すブロック図である。
【図34】 ステア特性に関しヨーレートの範囲区分毎
に異なる制御目標を設定可能にしたステア特性制御ルー
チンの流れを、図15との重複部分を省いて示すフロー
チャートである。
【図35】 本発明を四輪駆動のホイルインモータタイ
プ電気自動車に適用し、横加速度の範囲区分に応じてス
テア特性の制御目標を切り換えられるようにした場合の
システム構成を示すブロック図である。
【図36】 ステア特性に関し横加速度の範囲区分毎に
異なる制御目標を設定可能にしたステア特性制御ルーチ
ンの流れを、図15との重複部分を省いて示すフローチ
ャートである。
【図37】 本発明を四輪駆動のホイルインモータタイ
プ電気自動車に適用し、車体速、ヨーレート又は横加速
度の範囲区分に応じてステア特性の制御目標を切り換え
られるようにし、更にステア特性の制御目標を切り換え
る範囲区分の境界を学習更新可能にした場合のシステム
構成を示すブロック図である。
【図38】 ステア特性に関し車体速、ヨーレート又は
横加速度の範囲区分毎に異なる制御目標を設定可能にし
かつステア特性の制御目標を切り換える範囲区分の境界
を学習更新可能にしたステア特性制御ルーチンの流れ
を、図15との重複部分を省いて示すフローチャートで
ある。
【図39】 舵角の時間微分を利用したステア特性検出
ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図40】 目標ヨーレート適合制御を応用したステア
特性制御ルーチンの流れ、特に補正係数をマップ化した
場合の流れを、図15との重複部分を省いて示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
10FR,10FL,10RR,10RL 駆動輪、1
2FR,12FL,12RR,12RL モータ、32
バッテリ、34FR,34FL,34RR,34RL
インバータ、36FR,36FL,36RR,36R
L モータ制御部、38 車両制御部、40FR,40
FL,40RR,40RL 車輪速センサ、42 アク
セルセンサ、44 ブレーキセンサ、46 シフトポジ
ションスイッチ、48 舵角センサ、49a ヨーレー
トセンサ、49b 横加速度センサ、50 基準速度設
定スイッチ、50A 基準ヨーレート設定スイッチ、5
0B 基準横加速度設定スイッチ、52 ステア特性制
御設定スイッチ、52a低速域ステア特性制御設定スイ
ッチ、52b 高速域ステア特性制御設定スイッチ、3
00 トルク指令仮確定ルーチン、400 トルク指令
確定ルーチン、600 TRC相当制御ルーチン、70
0 ABS相当制御ルーチン、800 ステア特性制御
ルーチン、900 ステア特性検出ルーチン、1008
モード決定テーブル、1012 定数群テーブル、1
014 走行履歴/基準値メモリ、1016−1,10
16−2,…1016−n 定数群マップ、Tfr,T
fl,Trr,Trl トルク指令、Tmax 最大ト
ルク、Tmin 最小トルク、VA アクセル開度、F
B ブレーキ力、Vfr,Vfl,Vrr,Vrl車輪
速、V 車体速、V* 基準速度、δ 舵角、γ ヨー
レート、γs* 基準ヨーレート、Gy 横加速度、G
ys* 基準横加速度、P,p,q 定数、k補正係
数、G 車体重心、M モーメント、Fxfr,Fxf
l,Fxrr,Fxrl 車輪前後力、Fyfr,Fy
fl,Fyrr,Fyrl 車輪横力、F’yfr,
F’yfl,F’yrr,F’yrl コーナリングフ
ォース、βすべり角、Lf,Lr ホイルベース、K
f,Kr コーナリングパワー。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気自動車の左右各駆動輪を個別に駆動
    するための複数のモータ各々に対し、その出力に関する
    指令を与えることにより、車両の走行を制御する駆動制
    御装置において、車両操縦者からの要求に応じて上記指
    令を仮確定する指令仮確定手段と、車両が採りうる速
    度、ヨーレート又は横加速度を区分した範囲毎に、その
    範囲における目標ステア特性を設定するステア特性制御
    設定手段と、車両のステア特性が現時点における車両の
    速度、ヨーレート又は横加速度に関し設定されている目
    標ステア特性へと変化するよう、仮確定された指令に舵
    角又は車両の旋回状態に応じた補正を施し各駆動輪間に
    出力差を発生させるステア特性制御手段と、を備えるこ
    とを特徴とする駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の駆動制御装置において、
    上記範囲を区分する基準値を可変設定する基準値設定手
    段を備えることを特徴とする駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の駆動制御装置にお
    いて、スリップしているか否かを駆動輪毎に判定する手
    段と、舵角を検出しその結果に基づき車両が旋回中であ
    るか否かを判定する手段と、いずれかの駆動輪がスリッ
    プしていると判定されたときにはTRC/ABS相当制
    御手段を、いずれの駆動輪もスリップしておらずかつ車
    両が旋回中であると判定されたときには上記ステア特性
    制御手段を、それぞれ動作させ、いずれの駆動輪もスリ
    ップしておらずかつ車両が旋回中でないと判定されたと
    きには上記仮確定された指令を補正せずに対応するモー
    タに与える手段と、少なくともスリップしていると判定
    された駆動輪に係る上記指令を所定規則に従って時間変
    化させる上記TRC/ABS相当制御手段と、を備える
    ことを特徴とする駆動制御装置。
JP34955097A 1997-12-18 1997-12-18 電気自動車用駆動制御装置 Expired - Fee Related JP3451912B2 (ja)

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