JP3853907B2 - 電気自動車用駆動制御装置 - Google Patents

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    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右各駆動輪に対応してモータを設けた電気自動車に搭載され、当該電気自動車の走行安定性が高まるよう各モータを制御する駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
在来エンジン車に関しては、加減速、旋回、レーンチェンジ等をスムーズに実行できるという性能即ち走行安定性の達成及び改善のために、いわゆる四輪操舵(4WS)が開発されている。しかし、現状の4WSでは、ステアリングに関わる機構やそれを制御するための電子制御系(場合によっては更に油圧制御系)が若干大規模かつ複雑であり、そのため、大きな実装スペースを必要とする、応答が若干遅い、故障が発生しやすい等の問題が存している。他方、車載のモータにて推進される車両である電気自動車に対しても、走行安定性が要求される。在来エンジン車用の4WSを電気自動車に搭載することも考えられるが、その場合も、上述の各問題を避け得ない。また、特に、車両の推進力源としてはモータしか搭載していない純粋な電気自動車では、在来エンジン車のそれよりはるかに大きなバッテリを搭載するのが一般的であり、従って実装スペースの問題は更に顕著になる。
【0003】
このような事情があるため、電気自動車に搭載実装できる走行安定性制御手段乃至方法が、各種検討されている。例えば特開平1―298903号、特開平1―298904号、特開平1―298905号及び特開平5―176418号には、左右の各駆動輪を各々独立に回転駆動できるよう複数のモータを配置したタイプの電気自動車即ち左右駆動輪独立駆動型電気自動車に関し、左右各駆動輪の走行軌跡差に応じたモータトルク制御又は速度制御を行う手法が、開示されている。左右駆動輪独立駆動型電気自動車では、左右各駆動輪において相互に異なるトルクを発生させることができるため、在来ガソリン車における4WSと類似の効果を、4WSのような大規模かつ複雑な機構及び制御系なしで、達成できる。なお、上記各公報に記載の制御を実施可能なタイプの典型例としては、車両走行用のモータを左右各駆動輪に埋め込んだ或いは一体化したタイプの電気自動車即ちホイルインモータ型電気自動車がある。ホイルインモータ型電気自動車は、駆動輪毎にモータを設けているためディファレンシャルギア等の分配機構が不要で従って低伝達ロス低エネルギ消費であるから車載バッテリを小型化できる、対応する駆動輪のみを駆動できればよいため通常のいわゆるワンモータ型電気自動車に比べモータを小さくできる、モータが駆動輪にビルトインされているため集積性が高く車室空間が広がる等の利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、左右各駆動輪の走行軌跡差のみでは、重心回りでの車体の回転運動、横方向への車体の運動、駆動輪のすべり等に十分対処できず、走行安定性を十分に達成できない。例えば、旋回のため操舵を行うと車体にヨーレイト、横加速度、すべり角度等の諸量が発生する。これらは、コーナリングフォース、横方向の力、路面摩擦係数等に加え車体速度や車輪速度等に応じその値が定まる量であり、その値を走行軌跡差から一意に推定し得べきものではない。
【0005】
この不備を解消するため、本願出願人は、舵角に対するヨーレイト又はすべり角度の応答が目標応答に一致するよう、各モータの出力(トルク)を制御する技術を、既に提案している(特願平9−8693号)。かかる制御手法、即ち目標ヨーレイト適合制御や目標すべり角度適合制御(例えばすべり角度ゼロ制御)を用いることにより、回転運動、横方向運動等に好適に対処可能になり、車両の走行安定性を改善できる。また、舵角は車両操縦者による操舵に伴い直ちに発生する量であり、先提案ではこの舵角に基づく制御を行っているため、車両操縦者によるペダル操作頻度の低減等の効果も生じる。即ち、アクセルペダルを踏んで走行している最中に車両操縦者が操舵を行いその結果走行が不安定になりかけたとしても、車両操縦者がそれを察知してブレーキペダルを踏み始める前に、目標ヨーレイト適合制御や目標すべり角度適合制御が起動して走行不安定性を解消乃至低減するから、車両操縦者によるブレーキペダル操作は不要になりアクセルペダルを踏んだままの走行が可能になる。
【0006】
発明者は、この先提案に係る駆動制御装置に更に改善を加えるべく、検討を続けてきた。この検討の結果明らかになった要改善点の一つは、専ら舵角のみに基づき制御を行うと、舵角の過大過小、操舵後に受ける外乱(路面、横風等)、制御系の遅れ等に起因して、車体運動に予想外の乱れ(制御誤差)が生じることである。本発明の目的の一つは、舵角に代えて又は舵角と共に、車体のヨー方向運動状態を表す状態量をフィードバックすることにより、舵角の過大過小、操舵後に受ける外乱、制御系の遅れ等があっても車体運動には予想外の乱れが生じないようにしひいては制御の信頼性や精度を向上させることにある。本発明の目的の他の一つは、操舵(舵角)に対する応答性の良い状態量を、車体のヨー方向運動状態を典型的に表す状態量と、併用することにより、制御の信頼性を高めることにある。本発明の目的の他の一つは、上述の状態量のみならず舵角をも制御の基礎とすることにより、また、舵角に対する応答性の高い量を上述の状態量として使用することにより、操舵に対する応答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精度を向上させることにある。本発明の目的の他の一つは、センサから直接に即ち変換演算なしで導出できる量を上述の状態量として用いることにより、比較的簡素な機能構成にて上記各目的を達成できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の好適な実施形態は、電気自動車の左右各駆動輪を個別に駆動するための複数のモータ各々に対し、その出力に関する指令を与えることにより、車両の走行を制御する駆動制御装置に係る実施形態であり、車両操縦者からの加速又は減速要求に基づき上記指令を仮確定する指令仮確定手段と、いずれも車両のヨー方向運動状態を示す複数種類の状態量に基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、上記指令を補正する状態フィードバック制御手段と、を備え、上記複数種類の状態量のうち1種類が、車体のヨーレイトの検出値であり、残りが、ヨーレイトの検出値に比べ舵角に対する応答性が高い他の状態量を含むことを特徴とする。かかる構成においては、各モータの出力制御に際し、車体のヨー方向運動状態を表す状態量がフィードバックされるため、舵角の過大過小があったとしても、また車両操縦者が操舵を行った後に横風等の外乱を受けたとしても、更には制御系に無視し得ない遅れがあったとしても、これらの要因による走行安定性への影響を各モータへの指令に反映させることができる。従って、車体運動には予想外の乱れは生じにくくなり、制御の信頼性や精度が向上する。また、この構成においては、フィードバック対象たる状態量が複数種類存しており、そのうち少なくとも一種類は、ヨーレイトに比べ舵角に対する応答性が高い状態量である。このように、ヨー方向運動状態を表現するヨーレイトと、舵角に対する応答性の高い他の状態量とが、状態量としてフィードバックされているため、例えばヨーレイトのみをフィードバック対象とする構成に比べ、高い応答性、ひいては高い信頼性と精度を実現できる。
【0008】
本発明の更に好適な実施形態に係る駆動制御装置は、上述の実施形態において、更に、車体のヨー角加速度を検出する手段、車体の横加速度を検出する手段、車体の横加加速度を検出する手段、車体のすべり角速度を検出する手段、並びに車体のすべり角度を検出する手段のうち少なくとも一つを、備える。これらの手段にて検出される車体のヨー角加速度、横加速度、横加加速度、すべり角速度及びすべり角度は、いずれも、ヨーレイトに比べ舵角に対する応答性が高い状態量であるから、これらのうち少なくとも一つをヨーレイト検出値と共にフィードバック対象とすることにより、上述のような信頼性や精度の向上に資することができる。また、これらのうち横加速度は、ヨー角加速度、横加加速度、すべり角速度及びすべり角度と異なり他の状態量からの変換・換算処理なしにセンサから直接得ることができるから、すべり角度等ではなく横加速度をフィードバック対象とすることにより、比較的簡素な機能構成にて上記各目的を達成できる。
【0009】
本発明の更に好適な実施形態に係る駆動制御装置は、上述の各実施形態において、更に、舵角を検出し又は上記複数種類の状態量に基づき舵角を推定する手段を備える。この実施形態における状態フィードバック制御手段は、上記複数種類の状態量及び上記舵角に基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、上記指令を補正する。このように、上述の状態量のみならず舵角をも制御の基礎とすることにより、舵角を基礎とした制御の有する利点を維持でき、従って操舵に対する応答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精度を向上させることができる。
【0010】
なお、本願では、本発明を「駆動制御装置」に関する発明であると述べているが、本願の開示を参照した当業者であれば、本発明を「電気自動車」「駆動制御方法」等として表現し又は解釈するのは容易であろう。また、次に本発明の好適な実施形態を記載するが、本発明の要旨はこの実施形態に限定して認定されるべきものではなく、本発明はその本質を逸脱しない範囲で各種の変形を包含するものとする。
【0011】
【発明の実施の形態】
(1)システム構成
図1に、本発明を実施するのに適する電気自動車のシステム構成を示す。この電気自動車は後輪駆動であり、右後輪10RR及び左後輪10RLが駆動輪、右前輪10FR及び左前輪10FLが従動輪である。但し、本発明は前輪駆動車や四輪駆動車にも適用できる。
【0012】
また、図1の電気自動車はホイルインモータ型である。即ち、図中右側の車両走行用モータ12Rは右後輪10RRの内部に、左側の車両走行用モータ12Lは左後輪10RLの内部に、各々組み込まれている。図2に、右後輪10RRを例として、組込方の例を示す。この図では、タイヤ14と一体に回転できるようホイル16の内側にロータ18を固定する一方で、モータ軸20を介しリアアクスル22にステータ24を固定し、ベアリング等を介してステータ24をロータ18と継合している。更に、ロータ18の内壁面にステータ24と微小間隙を以て対向するようロータマグネット(永久磁石)26を固定する一方で、ステータ24にはステータ巻線28を捲回しており、ステータ巻線28に電流を流すためのケーブル30をモータ軸20内を介してステータ巻線28に接続している。このような構造において、ケーブル30を介しステータ巻線28に交流電流を供給することにより、ロータ18は回転し、車両の推進力を生む。なお、本発明の実施に際しては、他種の構造を用いても構わないし、また、左右各駆動輪に対応してモータが設けられている他種の構造を用いてもよい。
【0013】
図1に示されるバッテリ32は、モータ12R及び12Lへの駆動電力供給源であり、その放電出力はインバータ34Rを介してモータ12Rに、またインバータ34Lを介してモータ12Lに、各々供給されている。インバータ34R及び34Lは、電力変換器の一種である。即ち、インバータ34Rはモータ制御部36Rの制御の下にバッテリ32の放電出力(直流)をモータ12Rに適する電力形式(この図では三相交流)に変換し、インバータ34Lはモータ制御部36Lの制御の下にバッテリ32の放電出力をモータ12Lに適する電力形式に変換する。モータ制御部36Rは、車両制御部38からのトルク指令TRに応じてインバータ34Rを制御することにより、トルク指令TRに相当するトルクをモータ12Rから出力させる。同様に、モータ制御部36Lは、車両制御部38からのトルク指令TLに応じてインバータ34Lを制御することにより、トルク指令TLに相当するトルクをモータ12Lから出力させる。モータ制御部36R及び36Lは、この他、インバータ34R及び34Lのうち対応するものと車両制御部38との間を絶縁分離する機能等を併有している。また、モータ制御部36R及び36Lによるインバータ34R及び34Lの制御は、図示しない電流センサから得たモータ12R及び12Lの各相電流検出値に基づき、或いはロータ角度位置等から求めたモータ12R及び12Lの各相電流推定値に基づき行う。なお、本発明は、純粋な電気自動車のみならずいわゆるハイブリッド車にも適用できる。
【0014】
車両制御部38は、モータ12R及び12Lの出力トルクの制御、車載各コンポーネントの状態監視・制御、車両乗員への車両状態の報知その他の機能を担う制御部材であり、従来から用いられている電子制御ユニット(ECU)の主にソフトウエア的な改変にて実現できる。車両制御部38には車両各部に設けたセンサ類の出力が入力され、車両制御部38はセンサ類の出力をモータ出力制御や車両状態監視に利用する。
【0015】
例えば、右後輪10RRのホイル(図2では16)に設けられている車輪速センサ40RR(例えばレゾルバ)は、右後輪10RRの車輪速VRRを示す信号(例えば微小角度位置変位毎のパルス信号)を生成し、また左後輪10RLのホイルに設けられている車輪速センサ40RLは、左後輪10RLの車輪速VRLを示す信号を生成する。同様に、右前輪10FRのホイルに設けられている車輪速センサ40FRは、右前輪10FRの車輪速VFRを示す信号を生成し、また左前輪10FLのホイルに設けられている車輪速センサ40FLは、左前輪10FLの車輪速VFLを示す信号を生成する。また、アクセルセンサ42は、アクセルペダル(図示せず)の踏込量即ちアクセル開度VAを示す信号を、ブレーキセンサ44は、ブレーキペダル56の踏込量即ちブレーキ力FBを示す信号を、シフトポジションスイッチ46は、シフトレバー(図示せず)の投入レンジ(及びエンジンブレーキレンジ等では当該レンジ内でのシフトレバー位置)即ちシフトポジションを示す信号を、それぞれ発生させる。更に、舵角センサ48はステアリングホイル(図示せず)の操作に応じて変化する舵角δtを示す信号を、発生させる。図中、舵角センサ48に括弧を付しているが、これは、本発明のある種の実施形態においては舵角センサ48が不要であるという意味である。また、ヨーレイトセンサ50は車体に加わるヨーレイトγtを、横加速度センサ54は横加速度Gyを、それぞれ検出する。これらヨーレイトγt及び横加速度Gyは、いずれも、車両のヨー方向運動状態を示す状態量である。上述した各種のセンサの出力は、各々、車両制御部38に入力されるに当たって車両制御部38にて処理可能な形式のデータに変換される。車両制御部38は、変換後のデータを用いて、トルク指令TR及びTLの決定、制御方法の切換等を実行する。
【0016】
また、図1では、前輪を油圧制動し、後輪を回生制動する制動システムが用いられている。即ち、ブレーキペダル56が踏まれると、これに応じてマスタシリンダ58にて発生した油圧が左右のホイルシリンダ60R及び60Lに伝達され、左右のブレーキホイル62R及び62Lに作用し、左右前輪に制動トルクが付与される一方で、ブレーキセンサ44を用いて検出されたブレーキ力(例えばマスタシリンダ58の油圧)FBに応じ車両制御部38が回生に係るトルク指令TR及びTLを発生させる。従って、図1の車両における油圧回生間制動力配分は、図3に示されるようにブレーキ力FB(横軸の“ペダル入力”)の増大に伴い油圧回生双方が増大する配分となる。このように油圧系統と回生系統がブレーキセンサ44以降は分離しているため、油圧及び回生のいずれか一方がフェイルしたとしても他方にて車両を退避させることができる。また、油圧系統にバルブやポンプ等の機構やその駆動・制御のための電気系統を設けていないため、例えば、回生にてまかなえる間は油圧を遮断するシステム等に比べて、システム構成が簡素になる。なお、油圧系統にバルブやポンプ等の機構やその駆動・制御のための電気系統を設ける必要がない理由の一つは、後述のようにモータ12R及び12Lの出力トルクの制御を利用して走行安定性制御を行うという、本実施形態の特徴的構成にある。
【0017】
(2)車両制御部の全体機能
図4に、本実施形態における車両制御部38の機能構成を示す。なお、本発明は、ハードロジックによってもまたソフトウエアによっても実施することが可能であるが、以下の説明では機能構成の明示のためブロック図を使用している。車両制御部38は、トルク指令仮確定部100、加速走行時走行安定制御部200、減速走行時走行安定制御部300、制御切換部400、切換制御部500及び状態フィードバック部600を有している。トルク指令仮確定部100は、車両操縦者からの要求を示す情報としてアクセルセンサ42、ブレーキセンサ44、シフトポジションスイッチ46等の出力を取り込む一方で、制御対象たるモータ12R及び12Lの回転数NR及びNLに関する情報を車輪速センサ40RR及び40RLから取り込み、車両操縦者からの加速、減速等の要求に応じた出力を現在のモータ回転数下で発生させるために必要なトルクを、これらの情報に基づき左右各駆動輪10RR及び10RLそれぞれについて求め、求めたトルクをトルク指令TR及びTLとする。但し、この段階では、トルク指令TR及びTLは最終的に確定したわけではなく、まだ「仮確定」しただけである。
【0018】
加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、いずれも、状態フィードバック部600の出力(及び舵角δt)に基づき、仮確定したトルク指令TR及びTLに特定の条件下で補正を施すことにより、車両の走行安定性を維持改善する機能を有している。特に、加速走行時走行安定制御部200は前進時、後退加速時及び定速走行時における走行安定性維持改善を、減速走行時走行安定制御部300は減速走行時における走行安定性維持改善を、分担している。加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、いずれも、左右のモータ12R及び12Lに対して個々別々にトルク指令を与えられるという左右輪独立駆動型電気自動車の特質を利用して、車体にその重心回りのモーメントMを発生させ、走行が不安定になることを防ぐ。従って、本実施形態では、油圧制御系や複雑な電子制御系なしで、車両の走行安定性に資する機能を提供できる。
【0019】
制御切換部400及び切換制御部500は、車両状態又は運転状態に応じて、制御論理を選択的に切り換える。制御切換部400はトルク指令仮確定部100の後段に配されており、切換制御部500は制御切換部400に制御信号を与える。即ち、トルク指令仮確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及びTLをそのまま出力させるのか、加速走行時走行安定制御部200にて補正されたトルク指令TR及びTLを出力させるのか、それとも減速走行時走行安定制御部300にて補正されたトルク指令TR及びTLを出力させるのかが、切換制御部500からの制御信号により制御切換部400にて決定される。切換制御部500は、この制御信号を発生させるため、車輪速VRR及びVRL(場合によっては更にVFR及びVFL)やアクセルセンサ42の出力を利用する。
【0020】
状態フィードバック部600は、車両のヨー方向運動状態を示す各種状態量を、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300にフィードバックする。後述のように、フィードバック対象となりうる状態量としては、ヨーレイトγt、ヨー角加速度dγt/dt、横加速度Gy、横加加速度dGy/dt、すべり角度β、すべり角速度dβ/dt等がある。本実施形態の特徴の一つは、フィードバックする状態量の組合せを所定の論理に従い設定することにより、舵角δtの過大過小、横風等の外乱及び制御系の遅れに影響されにくく、操舵に対する応答性が高く、かつ信頼性及び精度の高い走行安定性制御を実現している点や、当該走行安定性制御を簡素な手順で実現可能にしている点にある。
【0021】
(3)トルク指令仮確定部の機能
図5に示すように、トルク指令仮確定部100は、アクセルペダルが踏まれたか否かをアクセルセンサ42の出力に基づき判定するオン/オフ判定部102を有している。オン/オフ判定部102にてアクセルオン即ちアクセルペダルが踏まれていると判定されたときには、アクセル開度演算部104がアクセルセンサ42の出力に基づきアクセル開度VAを演算し、アクセルオフ即ちアクセルペダルが踏まれていないと判定されたときには、ブレーキ力演算部106がブレーキセンサ44の出力に基づきブレーキ力(踏力)FBを演算する。その際、シフトポジションスイッチにて設定されるシフトポジションがアクセル開度演算部104及びブレーキ力演算部106によって参照され、そのときのシフトポジションに応じてアクセル開度VAやブレーキ力FBが演算決定される。演算決定されたアクセル開度VAは左右の力行トルク演算部108及び110に供給され、ブレーキ力FBは左右の回生トルク演算部112及び114に供給される。
【0022】
他方、車輪速演算部120は、車輪速センサ40RRからの信号例えばパルス信号を車輪速VRRを示すデータに変換し、車輪速演算部122は、車輪速センサ40RLからの信号を車輪速VRLを示すデータに変換する。車輪速演算部120の後段に配されている回転数演算部124は、60/(2πR)を乗ずることにより車輪速VRRを回転数NRに変換する。車輪速演算部122の後段に配されている回転数演算部126は、60/(2πR)を乗ずることにより車輪速VRLを回転数NLに変換する。尚、ここでは、回転数をrpm単位で、車輪速をm/sec単位で表している。また、Rは車輪半径である。このようにして得られる回転数情報のうち、右側のモータ12Rの回転数NRは力行トルク演算部108及び回生トルク演算部112に、また左側のモータ12Lの回転数NLは力行トルク演算部110及び回生トルク演算部114に入力される。
【0023】
右側の力行トルク演算部108は、右側のモータ12Rの回転数NRをキーとして力行トルクマップ128を参照することにより、そのときの回転数NRにおいて右側のモータ12Rから出力可能な最大力行トルクを求め、この最大力行トルクをアクセル開度VAにて案分することにより、右側のモータ12Rに対するトルク指令TRを決定する。ここで用いている力行トルクマップ128は、図6に示すように、力行領域(回転数>0かつトルク>0の領域)における回転数対最大トルク特性を保持する手段であり、これを上述のように回転数NRをキーとして参照することにより、その回転数NRにおける最大力行トルク(図6中のVA=100%のカーブ上の点)が得られる。更に、そのときのアクセル開度VAがx%であるとするならば、求めた最大力行トルクにx/100を乗ずる案分処理によって、出力すべき力行トルク即ちそのときのアクセル開度VA及び回転数NRに即したトルク指令TR(図6中のVA=x%のカーブ上の点)を得ることができる。左側の力行トルク演算部110も、同様の手順にて、出力すべき力行トルク即ちそのときのアクセル開度VA及び回転数NLに即したトルク指令TLを求める。
【0024】
右側の回生トルク演算部112は、右側のモータ12Rの回転数NRをキーとして回生トルクマップ130を参照することにより、そのときの回転数NRにおいて右側のモータ12Rから出力可能な最大回生トルクを求め、この最大回生トルクをブレーキ力FBにて案分することにより、右側のモータ12Rに対するトルク指令TRを決定する。ここで用いている回生トルクマップ130は、図7に示すように、回生領域(回転数>0かつトルク<0の領域)における回転数対最大トルク特性を保持する手段であり、これを上述のように回転数NRをキーとして参照することにより、その回転数NRにおける最大回生トルク(図7中のFB=100%のカーブ上の点)が得られる。更に、そのときのブレーキ力FBがx%であるとするならば、求めた最大回生トルクにx/100を乗ずる案分処理によって、出力すべき回生トルク即ちそのときのブレーキ力FB及び回転数NRに即したトルク指令TR(図7中のFB=x%のカーブ上の点)を得ることができる。左側の回生トルク演算部114も、同様の手順にて、出力すべき回生トルク即ちそのときのブレーキ力FB及び回転数NLに即したトルク指令TLを求める。
【0025】
力行/回生切換部116は、オン/オフ判定部102の出力に応じ、力行トルクを指令するのかそれとも回生トルクを指令するのかを切り換える。即ち、力行トルク演算部108及び110にて決定されたトルク指令TR及びTLを後段に供給するのか、それとも回生トルク演算部112及び114にて決定されたトルク指令TR及びTLを後段に供給するのかを、アクセルのオン/オフに応じて切り換える。以下、説明の便宜のため、トルク指令仮確定部100にて決定されたトルク指令TR及びTLを、“仮確定された”トルク指令TR及びTLと呼ぶ。
【0026】
なお、図5では左右で力行トルクマップ128及び回生トルクマップ130を共有しているが、これは、左右のモータ12R及び12Lが同一特性の場合の例であり、同一特性でない場合等には左右で個別のマップを利用する。また、図6及び図7の例では最大力行トルク又は最大回生トルクのみをマップ化しているが、アクセル開度VA又はブレーキ力FBをパラメタとして多数のトルク曲線をマップ化しておくようにしてもよい。そのようなマップ化が行われていれば、回転数とアクセル開度又はブレーキ力との対にてマップを参照することによりトルク指令を求められるから、力行又は回生トルク演算部108〜114にて案分処理を実行する必要がなくなる。反面、回転数対最大トルク特性のみをマップ化する方が、マップ保持のための記憶空間を節約できる。更に、トルク指令TR及びTLの演算を左右個別の機能・演算部材によって同時並行的に実行するのではなく、単一の演算部にて時分割で実行する方が、簡素な構成になる。そのような構成を採るには、例えば、左側の駆動輪に関する演算の実行タイミング及び右側の駆動輪に関する演算の実行タイミングを交互に与えるタイミングクロックを発生させ、これに同期した演算を実行するようにすればよい。この点は、後述する各種の係数や補正量の演算に関しても同様である。
【0027】
(4)切換制御部の機能
仮確定されたトルク指令TR及びTLは、所定の条件を満たす場合にのみそのまま、モータ制御部36R及び36Lに出力される。言い換えれば、各駆動輪のスリップ率の大小やアクセルオン/オフの別に応じて、適宜、加速走行時走行安定制御部200又は減速走行時走行安定制御部300にて補正が施されたトルク指令TR及びTLが、仮確定されたトルク指令TR及びTLに代えて、モータ制御部36R及び36Lに出力される。先に図4に示した制御切換部400は、具体的には、仮確定されたトルク指令TR及びTLを、そのままモータ制御部36R及び36Lに出力するのかそれとも加速走行時走行安定制御部200又は減速走行時走行安定制御部300による補正に供するのかを、切り換える。制御切換部400は、補正に供する場合には、更に、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300のいずれによる補正に供するのかを、切り換える。この切換は、切換制御部500から供給される制御切換信号に応じて実行される。
【0028】
図8に、切換制御部500の一例機能構成を示す。この図では、車輪速演算部120及び122にて検出された右後輪10RRの車輪速VRR及び左後輪10RLの車輪速VRLが車輪加速度演算部506及び508にて微分され、これにより右後輪10RRの加速度dVRR/dt及び左後輪10RLの加速度dVRL/dtが求められている。また、角加速度演算部510及び512はそれぞれ加速度dVRR/dt又はdVRL/dtを車輪半径Rにて除すことにより右後輪10RRの角加速度dωR/dt又は左後輪10RLの角加速度dωL/dtを求めている。スリップ判定部514及び516は、それぞれ、角加速度dωR/dt又はdωL/dtをしきい値THと比較し、しきい値THに対する大小関係を示す信号を制御動作選択部518に供給する。ここに、しきい値THはスリップ判定のためのしきい値である。即ち、駆動輪の角加速度(dωR/dt又はdωL/dt)がしきい値THを上回っているときには、その駆動輪(右後輪10RR又は左後輪10RL)はスリップしている又はその傾向を示していると見なすことができる。制御動作選択部518は、スリップ判定部514及び516の出力即ち各駆動輪のスリップ状態判別結果と、オン/オフ判定部102の出力即ちアクセルオンオフの別とに基づき、制御切換信号を発生させ制御切換部400に与える。
【0029】
即ち、制御動作選択部518は、図9に示すように、左右後輪のいずれかがスリップしているとき又はその傾向を示しているときには(700、702)、トルク指令TR及びTLの補正を回避し、トルク指令仮確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及びTLがそのままモータ制御部36R及び36Lに供給されるよう、制御切換部400を制御する(704)。無論、本願出願人が先に提案しているTRC/ABS相当制御(特願平9−8693号)を適宜実行するようにしても構わない。逆に、左右後輪のいずれもスリップしていないとき又はその傾向を示していないときには(700、702)、トルク指令仮確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及びTLが加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300のうちいずれかに与えられるよう、制御切換部400を制御する。より詳細には、アクセルがオンしているのであれば(706)加速走行時走行安定制御部200を(708)、オフしているのであれば(706)減速走行時走行安定制御部300を(710)、それぞれ選択する。
【0030】
なお、切換制御部500におけるスリップ判定手法は、車輪角加速度をしきい値判定する手法に限定されるものではなく、例えば駆動輪車輪速と車体速からスリップ率を求めこれをしきい値判定する手法としてもよい。即ち、図10に示すように、車輪速演算部520及び522が車輪速センサ40FR及び40FLの出力に基づき右前輪10FRの車輪速VFR及び左前輪10FLの車輪速VFLを求め、車体速演算部524が車輪速VFR及びVFLから車体速VS=(VFR+VFL)/2を演算し、スリップ率演算部526及び528が車体速VS並びに車輪速VRR及びVRLから右後輪10RRのスリップ率SR=|(VRR−VS)/VRR|及び左後輪10RLのスリップ率SL=|(VRL−VS)/VRL|を求め、スリップ判定部514及び516がその大小を判別するようにしてもよい。但し、この手法を実行するには、車輪速センサ40FR及び40FL並びにこれに関連する部材乃至処理が必要になる。前述の図1中、車輪速センサ40FR及び40FLに括弧を付していたのは、図8の手法ではこれらが不要であることによる。
【0031】
(5)状態フィードバック部の機能
状態フィードバック部600は、前述のように、車体のヨー方向運動状態を示す状態量を、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300にフィードバックする。状態フィードバック部600の形態としては様々な形態を掲げることができる。図11〜図14に、状態フィードバック部600の代表的な構成例を示す。
【0032】
これらのうち図11はヨーレイトγt、ヨー角加速度dγt/dt、すべり角度β及びすべり角速度dβ/dtを、図12はヨーレイトγt、すべり角度β及びすべり角速度dβ/dtを、図13はヨーレイトγt、ヨー角加速度dγt/dt、横加速度Gy及び横加加速度dGy/dtを、図14はヨーレイトγt及び横加速度Gyを、それぞれフィードバックする構成である。これらの図中、ヨーレイト演算部602はヨーレイトセンサ50の出力に基づきヨーレイトγtを求め、ヨー角速度演算部604はこのヨーレイトγtに基づきヨー角加速度dγ/dtを求める。横加速度演算部606は横加速度センサ54の出力に基づき横加速度Gyを求め、横加加速度演算部608はこの横加速度Gyに基づき横加加速度dGy/dtを求める。すべり角速度演算部610はヨーレイトγt、車体速VS及び横加速度Gyに基づきすべり角速度
【数1】
dβ/dt=Gy/VS−γt
を求め、すべり角度演算部612はこのすべり角速度dβ/dtに基づきすべり角度
【数2】
β=∫(Gy/VS−γt)dt
を求める。
【0033】
これらいずれの図の構成においても、車両のヨー方向運動状態を直接反映する状態量であるところのヨーレイトγtが、フィードバック対象に含まれていることに留意されたい。ヨーレイトγtの検出値を利用し走行安定制御を行っているという点で、本実施形態は、特開平5―91607号公報に記載の装置と共通している。しかし、本実施形態は、ヨーレイトγt以外に少なくとも1個、ヨー運動状態を示す状態量をフィードバックしている点で、特開平5―91607号公報に記載の装置とは本質的に異なっている。これは、ヨーレイトγtのみでは十分な走行安定制御を行えないという発明者の知見に基づいている。
【0034】
図15及び図16に、この知見の基礎となっている検討の結果を示す。図中、2本の破線で示され0を含む範囲は、舵角δt及び各状態量の値の正常範囲であり、2本の一点鎖線で示される期間は、舵角δtが変動している期間(操舵期間)である。これらの図から明らかになるのは、例えば舵角δtの過大過小による走行軌跡の異常をヨーレイトγtのみで正確且つ敏感に検出するのは難しい、ということである。本実施形態では、舵角γtの過大過小、路面や横風による外乱、制御系の遅れ等、各種の原因による車体運動の乱れを抑えるべく、ヨーレイトγtに加え更に少なくとも1種類の状態量を用いるという観点を採用している。即ち、ヨーレイトγtのみでヨー方向運動状態を検出する従来技術に比べ、高い感度で車両のヨー方向運動状態を検出し、その結果に基づきより高い走行安定性を実現すべく、上述のようなフィードバックを行っている。
【0035】
更に、図11及び図12の構成ではすべり角度β(及びすべり角速度dβ/dt)がフィードバック対象に含まれているのに対し、図13及び図14の構成ではそれらに代えて横加速度Gy(及び横加加速度dGy/dt)がフィードバックされている点にも留意されたい。即ち、車体の横方向の運動方程式は近似的には
【数3】
m・Gy=m・VS・(dβ/dt+γt)
但し、mは車体質量
と表すことができるため、図11及び図12の構成ではこれを変形して得られる数1及び数2に基づいてすべり角度βを算出しているが、この算出に際しては横加速度Gy、ヨーレイトγt及び車体速度VSという3種類の量が必要になる。図13及び図14の構成では、すべり角度βのフィードバックをやめ、横加速度センサ54の出力に基づき複雑な演算なしに導出できる横加速度Gyをフィードバックすることにより、演算時間の短縮、演算負担の軽減、ひいては制御遅れの低減を図っている。
【0036】
但し、このような省略を行うには、フィードバックを受ける制御部即ち加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300側に、すべり角度β(及びすべり角速度dβ/dt)なしで車両の横方向の運動状態を反映させる機能乃至制御論理が必要になる。例えば、すべり角速度dβ/dt、横加速度Gy及びヨーレイトγt三者の関係を、
【数4】
dβ/dt=k1・Gy−k2・γt
ただし、A及びBはVSを反映する係数
という線形加算の式にてとらえ、k1及びk2を何らかの方法で決定するという論理を用いる。前述のように基本となる数3自体そもそも近似式であるから、数4の如き変形式には実用性がある。なお、図11及び図12の例で横加速度Gyをフィードバックすることも可能である。
【0037】
また、図12及び図14の例では舵角センサ48の出力に基づき舵角演算部614が舵角δtを求め、これを加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300に供給している。本願出願人が特願平9−8693号にて述べたように、舵角δtは車両操縦者による操舵輪の操作を直接反映する量であるため、舵角δtを上述の各種の状態量と併用することにより、制御の迅速化や操舵とのタイミング合わせが可能になる。更に、図11及び図13の構成で同様に舵角δtを検出・入力するようにしてもよい。図11及び図13の構成ではヨー角加速度dγt/dt等をフィードバックしているため、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300が、仮確定されたトルク指令TR及びTLをそのまま出力した場合に生じる進行方向変化(実質的な舵角)をヨー角加速度dγt/dt等に基づき推定できる。従って、そのような推定を行う一方で舵角δtの検出値の入力を受けることにより、舵角δtに関し推定値と検出値の差eを求め、この偏差eが小さくなるようトルク指令TR及びTLを補正することが可能になる。
【0038】
(6)状態フィードバックによる走行安定制御の原理、作用及び効果
加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、状態フィードバック部600から状態フィードバックを受けて走行安定性制御を実行する。ここでは、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300の動作を説明するのに先立ち、状態フィードバックによる走行安定制御の原理、作用及び効果を説明する。以下の説明に登場する各種の量の意味及び定義については、図17及び図18を参照されたい。図17は車体の構造に関わる各種の量や車体の前後方向、横方向及びヨー方向の運動を示す各種の量を示す平面図であり、図18は車輪の運動を示す側面図である。
【0039】
まず、車輪に左右差がなく、コーナリングフォースにも左右差がないと考えると、外力によるモーメントMが作用したときの車体の基礎運動方程式は、
【数5】
Figure 0003853907
となる。他方、各車輪の回転の運動方程式は、車輪に左右差がなく、また指令したトルクがそのまま正確に実出力になると仮定すると、
【数6】
Figure 0003853907
となる。更に、コーナリングフォースは、
【数7】
YF=−KF・{β+(LF/VS)・γt−δt}
YR=−KR・{β+(LR/VS)・γt}
と表される。従って、数6及び数7を数5に代入して整理し、更に行列表現を用いると、
【数8】
Figure 0003853907
となる。式中、sはラプラス演算子である。
【0040】
数8にて表現されている車体運動を制御ブロックにて表すと、図19又は図20において、一点鎖線の枠内に示されている如きモデルとなる。図19及び図20は、本実施形態が特徴とするところの状態フィードバックによる走行安定制御の原理を、記したものである。
【0041】
まず、図19においては、車両状態量ベクトルXの目標値即ち目標状態量ベクトルX0=[β0 γ0]Tを、規範モデルを用いて決定している。規範モデルは例えば次の式で与えられる規範ゲイン
【数9】
G0={1/(1+Asf・VS2)}・(VS/I)
但し、Asf:スタビリティファクタ
にて定義されるモデルであり、このモデルを用いたときの目標状態量ベクトルX0は
【数10】
X0=[β0 γt0]T
=[0 G0・δt]T
と表すことができる。また、状態フィードバックをゲインK=[K1 K2]にて表すこととすると、モーメントMは
【数11】
M=−K・(X−X0)
と表すことができる。従って、数10及び数11から、モーメントMは、
【数12】
M=−K・X+K2・G0・δt
となる。これを、数8に代入して得られる式
【数13】
s・X=A・X+B・δt+C・(−K・X+K2・G0・δt)
=(A−C・K)X+(B+D)δt
但し、D=C・K2・G0
=[D1 D2]T
D1、D2:定数
を変形すると、
【数14】
{s・U−(A−C・K)}X=(B+D)・δt
即ち
【数15】
β(s)={B1・(s−(A22−C2・K2))
−(A12−C1・K2)(B2+D2)}・δt/(s2−a1・s+a2)
γt(s)={(s−(A11−C1・K1))(B2+D2)
−B1・(A21−C2・K1)}・δt/(s2−a1・s+a2)
但し、a1及びa2は定数
なる式が得られる。この式は、図19に示される制御系全体においてはすべり角度β及びヨーレイトγtが舵角δtにて変化することを表している。従って、図19に示されるようにモーメントMを決める際に舵角δtを参照する系では、次の式
【数16】
M=P・β+Q・γt+S・δt
但し、P、Q、S:定数
により、モーメントMを決定し、これに応じ左右駆動輪にトルクを分配することで、車体の制御が可能である。また、 図20に示されるようにモーメントMを決める際に舵角δtを参照しない系では、
【数17】
M=P・β+Q・γt
により、モーメントMを決定し、これに応じ左右駆動輪にトルクを分配することで、車体の制御が可能である。
【0042】
また、すべり角度β、横加速度Gy及びヨーレイトγtの間には数4の如き関係があるから、数14及び数16は、モーメントMを操作することで横加速度Gy及びヨーレイトγtを制御できることをも、表しているといえる。即ち、横加速度Gy及びヨーレイトγtをフィードバックしこれに基づきトルク指令TR及びTLを確定すれば、横加速度Gy及び及びヨーレイトγtを制御できることがわかる。この原理に基づく制御を行う際には、横加速度Gy及びヨーレイトγtをフィードバックすること、即ち例えば図13や図14に示される構成の状態フィードバック部600を用いる。図中破線で示したように横加速度Gyをフィードバックするようにしたときには図11や図12に示される構成の状態フィードバック部600を用いることもできる。特に、舵角δtに基づきモーメントMを決定することも可能であり、そのようにする場合には、図14に示されるように舵角δtを入力する構成の状態フィードバック部600を用いる。
【0043】
また、図15及び図16から読みとれるように、ヨーレイトγt、横加速度Gy及びすべり角度βに比べ、ヨー角加速度dγt/dt、横加加速度dGy/dt及びすべり角度dβ/dtのほうが、車両のヨー方向運動に敏感に反応する。従って、上述の各原理に従い制御を行うときには、好ましくは、これら各状態量の微分値をも、ヨー方向運動状態を示す状態量として用いる。また、数9の関係が存しているから、上述の微分値を利用することにより、仮確定されたトルク指令TR及びTLをそのまま出力した場合における車体の方向変化量を推定できるから、この推定値と舵角δtの検出値との差eに基づく制御も可能になる。
【0044】
(7)加速走行時及び減速走行時走行安定制御部の機能
図21〜図24に、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300の一例動作手順を示す。これらの図のうち図21に示される手順は例えば図11や図13に示される構成の状態フィードバック部600を使用する場合の、図22に示される手順は例えば図12や図14に示される構成の状態フィードバック部600を使用する場合の、図23に示される手順は状態フィードバック部600からフィードバックされる状態量に基づき車両の進行方向の変化を推定する場合の、図24に示される手順は例えば図11や図13に示される構成の状態フィードバック部600を使用し更に舵角δtの検出値を入力する場合の、手順である。本実施形態では、いずれかの手順が、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300において所定周期毎に実行される。
【0045】
いずれの手順を実行する場合であっても、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、まず、車両のヨー運動方向を示す指標Yを演算する(800)。指標Yとしては、例えば、すべり角度β及びヨーレイトγtをフィードバックしているときにはβ×γtを、横加速度Gy及びヨーレイトγtをフィードバックしているときにはGy×γtを、用いることができる。加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、続いて、この指標Yの符号判定即ち車両のヨー運動方向の判定を実行する(802、804)。即ち、指標Yが0になるのは、フィードバックされた状態量から見て車両がヨー方向に運動していないと見なせるときであるから、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300は、トルク指令仮確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及びTLに補正を施すのをやめる(802)。また、指標Yが0でないときには、車両のヨー方向運動を抑制する方向のモーメントMが生じるよう、トルク指令TR及びTLに補正を施す(806、808)。但し、車両が上から見て反時計回りに運動しているのかそれとも時計回りに運動しているのかに応じ、補正の向きは反転させる(804)。即ち、指標Yが正であるとき(図17の定義に従えば車両が上から見て反時計回りに運動しているとき)には負のモーメントMが生じるよう(806)、逆に負であるとき(時計回りに運動しているとき)には正のモーメントMが生じるよう(808)、トルク指令TR及びTLに補正を施す。従って、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300による補正を経た後のトルク指令TR及びTLの値は、図25に斜線で示されるように、力行領域及び回生領域にまたがる領域に属することとなる。即ち、加速時でも回生領域のトルクが出力され得るし、減速時でも力行領域のトルクが出力され得る。
【0046】
舵角δtの検出値が加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300に供給されているときには、図22に示すように、ステップ802に先立ち舵角δtの判定を実行する(810)。舵角δtが0でないとき即ち車両操縦者が操舵を実行しているときには、指標Yが0であっても(すなわち車両が操舵に応じたヨー方向運動を未だ開示していない時点でも)、ステップ804以降に移行する。このようにすることで、操舵に即応して走行安定制御(即ちステップ806及び808におけるトルク指令補正処理)を起動できるため、迅速で信頼性のよい制御となる。また、舵角δtを検出していないときでも、図23に示すように、フィードバックを受けた状態量に基づきこれを推定し(812)、ステップ810に供することができる。更に、図24に示すように、舵角δtを検出しているときに更にその推定をも行うようにすれば、両者の差即ち舵角の偏差eを演算でき(814)、この偏差eに基づきトルク指令TR及びTLを補正するようにすることもできる。
【0047】
ステップ806におけるトルク指令補正式の一例としては、
【数18】
Figure 0003853907
【数19】
TR=−TR×{P5×β+P6×γt+P7×δt}
TL=+TL×{Q5×β+Q6×γt+Q7×δt}
【数20】
Figure 0003853907
【数21】
Figure 0003853907
等の式を掲げることができる。これらの式中、Pk及びQk(k=1〜15)は、定数である。ステップ808におけるトルク指令補正式は、ステップ806におけるトルク指令補正式の符号を反転したものでよい。また、加速走行時走行安定制御部200におけるトルク指令補正式と減速走行時走行安定制御部300におけるトルク指令補正式は同じ形式のものでよいが、好ましくは、係数Pk及びQk(k=1〜15)の値は異なる値とする。数18は図11及び図21の組合せに、数19は図12及び図22の組合せに、数20は図13及び図21の組合せに、数21は図14及び図22の組合せに、それぞれ適している。
【0048】
また、図23及び図24の手順においては、例えば
【数22】
Figure 0003853907
【数23】
Figure 0003853907
の式に従い舵角推定値δteを求める。これらの式中、TR及びTLは仮確定段階のトルク指令である。数22は特に図11に係る状態フィードバック部600を用いる場合に、数23は特に図13に係る状態フィードバック部600を用いる場合に、適している。更に、図24の手順では、
【数24】
e=δt−δte
の式により偏差eを求め、
【数25】
TR=−TR×{Pp×e+Pi×∫edt+Pd×de/dt}
TL=+TL×{Qp×e+Qi×∫edt+Qd×de/dt}
の式に従いステップ806に係るトルク指令補正を実行する(PID制御)。ステップ808に関しては符号を反転する。なお、Pp及びQpは比例項ゲイン、Pi及びQiは積分項ゲイン、Pd及びQdは微分項ゲインであり、いずれも定数である。なお、すべり角度βに関し予め目標値を設定しておき、この目標値に対する偏差に関しても(δtのPID制御と共に)PID制御を行うようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の好適な実施形態によれば、左右駆動輪独立駆動型電気自動車の駆動制御装置において、いずれも車両のヨー方向運動状態を示す複数種類の状態量に基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、各モータに対する出力の指令を補正するようにしたため、舵角の過大過小、操舵後の外乱、制御系の遅れ等によらず車両の走行安定性を確保することができ、また車体運動に予想外の乱れが生じるおそれも小さくなる。その結果、制御の信頼性や精度が向上する。更に、フィードバック対象たる状態量のうち少なくとも一種類を、ヨーレイトに比べ舵角に対する応答性が高い状態量としているため、例えばヨーレイトのみをフィードバック対象とする構成に比べ、高い応答性、ひいては高い信頼性と精度を実現できる。
【0050】
本発明の更に好適な実施形態によれば、車体のヨー角加速度、横加速度、横加加速度、すべり角速度及びすべり角度のうち少なくとも一つを、ヨーレイト検出値と共にフィードバック対象としているため、上述のような信頼性や精度の向上に特に資することができる。横加速度はヨー角加速度、横加加速度、すべり角速度及びすべり角度と異なり他の状態量からの変換・換算処理なしにセンサから直接得ることができるから、すべり角度等ではなく横加速度をフィードバック対象とすることにより、比較的簡素な機能構成を実現できる。
【0051】
本発明の更に好適な実施形態によれば、舵角を検出し又は上記複数種類の状態量に基づき舵角を推定し、その結果得られた舵角と上記複数種類の状態量とに基づき指令の補正を行っているため、舵角を基礎とした制御の有する利点を維持でき、従って操舵に対する応答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するのに適する電気自動車のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 ホイルインモータの構造の一例を示す断面図であり、図中右上の円内は一部拡大図である。
【図3】 図1のシステムにおける制動力配分を示す図である。
【図4】 車両制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】 トルク指令仮確定部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】 力行トルクマップの内容を示す図である。
【図7】 回生トルクマップの内容を示す図である。
【図8】 切換制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図9】 制御動作選択部の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】 切換制御部の機能構成の変形例を示すブロック図である。
【図11】 状態フィードバック部の一例構成を示すブロック図である。
【図12】 状態フィードバック部の他の一例構成を示すブロック図である。
【図13】 状態フィードバック部の他の一例構成を示すブロック図である。
【図14】 状態フィードバック部の他の一例構成を示すブロック図である。
【図15】 車両の運動状態を示す状態量の時間変化を示すタイムチャートである。
【図16】 車両の運動状態を示す状態量の時間変化を示すタイムチャートである。
【図17】 車体の運動を記述するための諸定数及び変数を定義する平面的概念図である。
【図18】 車輪の回転運動を記述するための諸定数及び変数を定義する概念図である。
【図19】 状態フィードバック系の制御モデルの一例を示すブロック図である。
【図20】 状態フィードバック系の制御モデルの他の一例を示すブロック図である。
【図21】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時走行安定制御部の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図22】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図23】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図24】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図25】 走行安定制御時の出力トルクの変動範囲を示す図である。
【符号の説明】
10RR 右後輪、10RL 左後輪、10FR 右前輪、10FL 左前輪、12R,12L モータ、34R,34L インバータ、36R,36L モータ制御部、38 車両制御部、40RR,40RL,40FR,40FL 車輪速センサ、42 アクセルセンサ、44 ブレーキセンサ、46 シフトポジションスイッチ、48 舵角センサ、50 ヨーレイトセンサ、54 横加速度センサ、100 トルク指令仮確定部、200 加速走行時走行安定制御部、300 減速走行時走行安定制御部、400 制御切換部、500 切換制御部、600 状態フィードバック部、602 ヨーレイト演算部、604 ヨー角加速度演算部、606 横加速度演算部、608 横加加速度演算部、610 すべり角速度演算部、612 すべり角度演算部、614 舵角演算部、δt 舵角、γt ヨーレイト、Gy 横加速度、β すべり角度、TR,TL トルク指令。

Claims (1)

  1. 電気自動車の左右各駆動輪を個別に駆動するための複数のモータ各々に対し、その出力に関する指令を与えることにより、車両の走行を制御する駆動制御装置において、
    車両操縦者からの加速又は減速要求に基づき上記指令を仮確定する指令仮確定手段と、
    いずれも車両のヨー方向運動状態を示す複数種類の状態量に基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、上記指令を補正する状態フィードバック制御手段と、
    を備え、
    上記複数種類の状態量は、1種類が車体のヨーレイトの検出値であり、残りがヨーレイトの検出値に比べ舵角に対する応答性が高い他の状態量を含み、
    上記状態フィードバック制御手段は、
    フィードバックされる上記複数種類の状態量に基づいて、舵角の検出値を用いて求められる目標状態量を上記複数種類の状態量の目標値として、車体運動を制御する状態フィードバック制御を実行し、
    その状態フィードバック制御において、フィードバックされる上記複数種類の状態量と上記目標状態量との差分に基づいて車両のモーメントを決定し、決定された車両のモーメントに応じて左右各駆動輪にトルクを分配して、車体のヨー方向運動を抑制する方向のモーメントが生じるように上記指令を補正する、
    ことを特徴とする駆動制御装置。
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