JPH10271613A - 電気自動車用駆動制御装置 - Google Patents

電気自動車用駆動制御装置

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JPH10271613A
JPH10271613A JP9068571A JP6857197A JPH10271613A JP H10271613 A JPH10271613 A JP H10271613A JP 9068571 A JP9068571 A JP 9068571A JP 6857197 A JP6857197 A JP 6857197A JP H10271613 A JPH10271613 A JP H10271613A
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torque
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steering angle
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謙造 奥田
Ryoji Mizutani
良治 水谷
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
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    • Y02T10/72Electric energy management in electromobility

Abstract

(57)【要約】 【課題】 操舵量の過大過小や、操舵後における横風や
路面等の外乱や、制御系の遅れ等によって、車体運動に
乱れが生じることを防ぐ。 【解決手段】 アクセル開度やブレーキ力に応じて仮確
定されたトルク指令TR及びTLを、加速走行時走行安
定制御部200又は減速走行時走行安定制御部300に
おいて補正し、モータ制御部へ出力する。加速走行時走
行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部30
0では、状態フィードバック部600から、車体のヨー
方向運動状態を示す複数種類の状態量のフィードバック
を受け、これらの基づくトルク指令TR及びTLを補正
する。舵角δtのみに基づきトルク指令TR及びTLの
補正を行う構成に比べ、操舵角の過大過小、外乱、制御
系の遅れ等に強い走行安定制御が実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右各駆動輪に対
応してモータを設けた電気自動車に搭載され、当該電気
自動車の走行安定性が高まるよう各モータを制御する駆
動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】在来エンジン車に関しては、加減速、旋
回、レーンチェンジ等をスムーズに実行できるという性
能即ち走行安定性の達成及び改善のために、いわゆる四
輪操舵(4WS)が開発されている。しかし、現状の4
WSでは、ステアリングに関わる機構やそれを制御する
ための電子制御系(場合によっては更に油圧制御系)が
若干大規模かつ複雑であり、そのため、大きな実装スペ
ースを必要とする、応答が若干遅い、故障が発生しやす
い等の問題が存している。他方、車載のモータにて推進
される車両である電気自動車に対しても、走行安定性が
要求される。在来エンジン車用の4WSを電気自動車に
搭載することも考えられるが、その場合も、上述の各問
題を避け得ない。また、特に、車両の推進力源としては
モータしか搭載していない純粋な電気自動車では、在来
エンジン車のそれよりはるかに大きなバッテリを搭載す
るのが一般的であり、従って実装スペースの問題は更に
顕著になる。
【0003】このような事情があるため、電気自動車に
搭載実装できる走行安定性制御手段乃至方法が、各種検
討されている。例えば特開平1―298903号、特開
平1―298904号、特開平1―298905号及び
特開平5―176418号には、左右の各駆動輪を各々
独立に回転駆動できるよう複数のモータを配置したタイ
プの電気自動車即ち左右駆動輪独立駆動型電気自動車に
関し、左右各駆動輪の走行軌跡差に応じたモータトルク
制御又は速度制御を行う手法が、開示されている。左右
駆動輪独立駆動型電気自動車では、左右各駆動輪におい
て相互に異なるトルクを発生させることができるため、
在来ガソリン車における4WSと類似の効果を、4WS
のような大規模かつ複雑な機構及び制御系なしで、達成
できる。なお、上記各公報に記載の制御を実施可能なタ
イプの典型例としては、車両走行用のモータを左右各駆
動輪に埋め込んだ或いは一体化したタイプの電気自動車
即ちホイルインモータ型電気自動車がある。ホイルイン
モータ型電気自動車は、駆動輪毎にモータを設けている
ためディファレンシャルギア等の分配機構が不要で従っ
て低伝達ロス低エネルギ消費であるから車載バッテリを
小型化できる、対応する駆動輪のみを駆動できればよい
ため通常のいわゆるワンモータ型電気自動車に比べモー
タを小さくできる、モータが駆動輪にビルトインされて
いるため集積性が高く車室空間が広がる等の利点を有し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、左右各駆動輪
の走行軌跡差のみでは、重心回りでの車体の回転運動、
横方向への車体の運動、駆動輪のすべり等に十分対処で
きず、走行安定性を十分に達成できない。例えば、旋回
のため操舵を行うと車体にヨーレイト、横加速度、すべ
り角度等の諸量が発生する。これらは、コーナリングフ
ォース、横方向の力、路面摩擦係数等に加え車体速度や
車輪速度等に応じその値が定まる量であり、その値を走
行軌跡差から一意に推定し得べきものではない。
【0005】この不備を解消するため、本願出願人は、
舵角に対するヨーレイト又はすべり角度の応答が目標応
答に一致するよう、各モータの出力(トルク)を制御す
る技術を、既に提案している(特願平9−8693
号)。かかる制御手法、即ち目標ヨーレイト適合制御や
目標すべり角度適合制御(例えばすべり角度ゼロ制御)
を用いることにより、回転運動、横方向運動等に好適に
対処可能になり、車両の走行安定性を改善できる。ま
た、舵角は車両操縦者による操舵に伴い直ちに発生する
量であり、先提案ではこの舵角に基づく制御を行ってい
るため、車両操縦者によるペダル操作頻度の低減等の効
果も生じる。即ち、アクセルペダルを踏んで走行してい
る最中に車両操縦者が操舵を行いその結果走行が不安定
になりかけたとしても、車両操縦者がそれを察知してブ
レーキペダルを踏み始める前に、目標ヨーレイト適合制
御や目標すべり角度適合制御が起動して走行不安定性を
解消乃至低減するから、車両操縦者によるブレーキペダ
ル操作は不要になりアクセルペダルを踏んだままの走行
が可能になる。
【0006】発明者は、この先提案に係る駆動制御装置
に更に改善を加えるべく、検討を続けてきた。この検討
の結果明らかになった要改善点の一つは、専ら舵角のみ
に基づき制御を行うと、舵角の過大過小、操舵後に受け
る外乱(路面、横風等)、制御系の遅れ等に起因して、
車体運動に予想外の乱れ(制御誤差)が生じることであ
る。本発明の目的の一つは、舵角に代えて又は舵角と共
に、車体のヨー方向運動状態を表す状態量をフィードバ
ックすることにより、舵角の過大過小、操舵後に受ける
外乱、制御系の遅れ等があっても車体運動には予想外の
乱れが生じないようにしひいては制御の信頼性や精度を
向上させることにある。本発明の目的の他の一つは、操
舵(舵角)に対する応答性の良い状態量を、車体のヨー
方向運動状態を典型的に表す状態量と、併用することに
より、制御の信頼性を高めることにある。本発明の目的
の他の一つは、上述の状態量のみならず舵角をも制御の
基礎とすることにより、また、舵角に対する応答性の高
い量を上述の状態量として使用することにより、操舵に
対する応答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精
度を向上させることにある。本発明の目的の他の一つ
は、センサから直接に即ち変換演算なしで導出できる量
を上述の状態量として用いることにより、比較的簡素な
機能構成にて上記各目的を達成できるようにすることに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の好適な実施形態
は、電気自動車の左右各駆動輪を個別に駆動するための
複数のモータ各々に対し、その出力に関する指令を与え
ることにより、車両の走行を制御する駆動制御装置に係
る実施形態であり、車両操縦者からの加速又は減速要求
に基づき上記指令を仮確定する指令仮確定手段と、いず
れも車両のヨー方向運動状態を示す複数種類の状態量に
基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、
上記指令を補正する状態フィードバック制御手段と、を
備え、上記複数種類の状態量のうち1種類が、車体のヨ
ーレイトの検出値であり、残りが、ヨーレイトの検出値
に比べ舵角に対する応答性が高い他の状態量を含むこと
を特徴とする。かかる構成においては、各モータの出力
制御に際し、車体のヨー方向運動状態を表す状態量がフ
ィードバックされるため、舵角の過大過小があったとし
ても、また車両操縦者が操舵を行った後に横風等の外乱
を受けたとしても、更には制御系に無視し得ない遅れが
あったとしても、これらの要因による走行安定性への影
響を各モータへの指令に反映させることができる。従っ
て、車体運動には予想外の乱れは生じにくくなり、制御
の信頼性や精度が向上する。また、この構成において
は、フィードバック対象たる状態量が複数種類存してお
り、そのうち少なくとも一種類は、ヨーレイトに比べ舵
角に対する応答性が高い状態量である。このように、ヨ
ー方向運動状態を表現するヨーレイトと、舵角に対する
応答性の高い他の状態量とが、状態量としてフィードバ
ックされているため、例えばヨーレイトのみをフィード
バック対象とする構成に比べ、高い応答性、ひいては高
い信頼性と精度を実現できる。
【0008】本発明の更に好適な実施形態に係る駆動制
御装置は、上述の実施形態において、更に、車体のヨー
角加速度を検出する手段、車体の横加速度を検出する手
段、車体の横加加速度を検出する手段、車体のすべり角
速度を検出する手段、並びに車体のすべり角度を検出す
る手段のうち少なくとも一つを、備える。これらの手段
にて検出される車体のヨー角加速度、横加速度、横加加
速度、すべり角速度及びすべり角度は、いずれも、ヨー
レイトに比べ舵角に対する応答性が高い状態量であるか
ら、これらのうち少なくとも一つをヨーレイト検出値と
共にフィードバック対象とすることにより、上述のよう
な信頼性や精度の向上に資することができる。また、こ
れらのうち横加速度は、ヨー角加速度、横加加速度、す
べり角速度及びすべり角度と異なり他の状態量からの変
換・換算処理なしにセンサから直接得ることができるか
ら、すべり角度等ではなく横加速度をフィードバック対
象とすることにより、比較的簡素な機能構成にて上記各
目的を達成できる。
【0009】本発明の更に好適な実施形態に係る駆動制
御装置は、上述の各実施形態において、更に、舵角を検
出し又は上記複数種類の状態量に基づき舵角を推定する
手段を備える。この実施形態における状態フィードバッ
ク制御手段は、上記複数種類の状態量及び上記舵角に基
づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、上
記指令を補正する。このように、上述の状態量のみなら
ず舵角をも制御の基礎とすることにより、舵角を基礎と
した制御の有する利点を維持でき、従って操舵に対する
応答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精度を向
上させることができる。
【0010】なお、本願では、本発明を「駆動制御装
置」に関する発明であると述べているが、本願の開示を
参照した当業者であれば、本発明を「電気自動車」「駆
動制御方法」等として表現し又は解釈するのは容易であ
ろう。また、次に本発明の好適な実施形態を記載する
が、本発明の要旨はこの実施形態に限定して認定される
べきものではなく、本発明はその本質を逸脱しない範囲
で各種の変形を包含するものとする。
【0011】
【発明の実施の形態】
(1)システム構成 図1に、本発明を実施するのに適する電気自動車のシス
テム構成を示す。この電気自動車は後輪駆動であり、右
後輪10RR及び左後輪10RLが駆動輪、右前輪10
FR及び左前輪10FLが従動輪である。但し、本発明
は前輪駆動車や四輪駆動車にも適用できる。
【0012】また、図1の電気自動車はホイルインモー
タ型である。即ち、図中右側の車両走行用モータ12R
は右後輪10RRの内部に、左側の車両走行用モータ1
2Lは左後輪10RLの内部に、各々組み込まれてい
る。図2に、右後輪10RRを例として、組込方の例を
示す。この図では、タイヤ14と一体に回転できるよう
ホイル16の内側にロータ18を固定する一方で、モー
タ軸20を介しリアアクスル22にステータ24を固定
し、ベアリング等を介してステータ24をロータ18と
継合している。更に、ロータ18の内壁面にステータ2
4と微小間隙を以て対向するようロータマグネット(永
久磁石)26を固定する一方で、ステータ24にはステ
ータ巻線28を捲回しており、ステータ巻線28に電流
を流すためのケーブル30をモータ軸20内を介してス
テータ巻線28に接続している。このような構造におい
て、ケーブル30を介しステータ巻線28に交流電流を
供給することにより、ロータ18は回転し、車両の推進
力を生む。なお、本発明の実施に際しては、他種の構造
を用いても構わないし、また、左右各駆動輪に対応して
モータが設けられている他種の構造を用いてもよい。
【0013】図1に示されるバッテリ32は、モータ1
2R及び12Lへの駆動電力供給源であり、その放電出
力はインバータ34Rを介してモータ12Rに、またイ
ンバータ34Lを介してモータ12Lに、各々供給され
ている。インバータ34R及び34Lは、電力変換器の
一種である。即ち、インバータ34Rはモータ制御部3
6Rの制御の下にバッテリ32の放電出力(直流)をモ
ータ12Rに適する電力形式(この図では三相交流)に
変換し、インバータ34Lはモータ制御部36Lの制御
の下にバッテリ32の放電出力をモータ12Lに適する
電力形式に変換する。モータ制御部36Rは、車両制御
部38からのトルク指令TRに応じてインバータ34R
を制御することにより、トルク指令TRに相当するトル
クをモータ12Rから出力させる。同様に、モータ制御
部36Lは、車両制御部38からのトルク指令TLに応
じてインバータ34Lを制御することにより、トルク指
令TLに相当するトルクをモータ12Lから出力させ
る。モータ制御部36R及び36Lは、この他、インバ
ータ34R及び34Lのうち対応するものと車両制御部
38との間を絶縁分離する機能等を併有している。ま
た、モータ制御部36R及び36Lによるインバータ3
4R及び34Lの制御は、図示しない電流センサから得
たモータ12R及び12Lの各相電流検出値に基づき、
或いはロータ角度位置等から求めたモータ12R及び1
2Lの各相電流推定値に基づき行う。なお、本発明は、
純粋な電気自動車のみならずいわゆるハイブリッド車に
も適用できる。
【0014】車両制御部38は、モータ12R及び12
Lの出力トルクの制御、車載各コンポーネントの状態監
視・制御、車両乗員への車両状態の報知その他の機能を
担う制御部材であり、従来から用いられている電子制御
ユニット(ECU)の主にソフトウエア的な改変にて実
現できる。車両制御部38には車両各部に設けたセンサ
類の出力が入力され、車両制御部38はセンサ類の出力
をモータ出力制御や車両状態監視に利用する。
【0015】例えば、右後輪10RRのホイル(図2で
は16)に設けられている車輪速センサ40RR(例え
ばレゾルバ)は、右後輪10RRの車輪速VRRを示す
信号(例えば微小角度位置変位毎のパルス信号)を生成
し、また左後輪10RLのホイルに設けられている車輪
速センサ40RLは、左後輪10RLの車輪速VRLを
示す信号を生成する。同様に、右前輪10FRのホイル
に設けられている車輪速センサ40FRは、右前輪10
FRの車輪速VFRを示す信号を生成し、また左前輪1
0FLのホイルに設けられている車輪速センサ40FL
は、左前輪10FLの車輪速VFLを示す信号を生成す
る。また、アクセルセンサ42は、アクセルペダル(図
示せず)の踏込量即ちアクセル開度VAを示す信号を、
ブレーキセンサ44は、ブレーキペダル56の踏込量即
ちブレーキ力FBを示す信号を、シフトポジションスイ
ッチ46は、シフトレバー(図示せず)の投入レンジ
(及びエンジンブレーキレンジ等では当該レンジ内での
シフトレバー位置)即ちシフトポジションを示す信号
を、それぞれ発生させる。更に、舵角センサ48はステ
アリングホイル(図示せず)の操作に応じて変化する舵
角δtを示す信号を、発生させる。図中、舵角センサ4
8に括弧を付しているが、これは、本発明のある種の実
施形態においては舵角センサ48が不要であるという意
味である。また、ヨーレイトセンサ50は車体に加わる
ヨーレイトγtを、横加速度センサ54は横加速度Gy
を、それぞれ検出する。これらヨーレイトγt及び横加
速度Gyは、いずれも、車両のヨー方向運動状態を示す
状態量である。上述した各種のセンサの出力は、各々、
車両制御部38に入力されるに当たって車両制御部38
にて処理可能な形式のデータに変換される。車両制御部
38は、変換後のデータを用いて、トルク指令TR及び
TLの決定、制御方法の切換等を実行する。
【0016】また、図1では、前輪を油圧制動し、後輪
を回生制動する制動システムが用いられている。即ち、
ブレーキペダル56が踏まれると、これに応じてマスタ
シリンダ58にて発生した油圧が左右のホイルシリンダ
60R及び60Lに伝達され、左右のブレーキホイル6
2R及び62Lに作用し、左右前輪に制動トルクが付与
される一方で、ブレーキセンサ44を用いて検出された
ブレーキ力(例えばマスタシリンダ58の油圧)FBに
応じ車両制御部38が回生に係るトルク指令TR及びT
Lを発生させる。従って、図1の車両における油圧回生
間制動力配分は、図3に示されるようにブレーキ力FB
(横軸の“ペダル入力”)の増大に伴い油圧回生双方が
増大する配分となる。このように油圧系統と回生系統が
ブレーキセンサ44以降は分離しているため、油圧及び
回生のいずれか一方がフェイルしたとしても他方にて車
両を退避させることができる。また、油圧系統にバルブ
やポンプ等の機構やその駆動・制御のための電気系統を
設けていないため、例えば、回生にてまかなえる間は油
圧を遮断するシステム等に比べて、システム構成が簡素
になる。なお、油圧系統にバルブやポンプ等の機構やそ
の駆動・制御のための電気系統を設ける必要がない理由
の一つは、後述のようにモータ12R及び12Lの出力
トルクの制御を利用して走行安定性制御を行うという、
本実施形態の特徴的構成にある。
【0017】(2)車両制御部の全体機能 図4に、本実施形態における車両制御部38の機能構成
を示す。なお、本発明は、ハードロジックによってもま
たソフトウエアによっても実施することが可能である
が、以下の説明では機能構成の明示のためブロック図を
使用している。車両制御部38は、トルク指令仮確定部
100、加速走行時走行安定制御部200、減速走行時
走行安定制御部300、制御切換部400、切換制御部
500及び状態フィードバック部600を有している。
トルク指令仮確定部100は、車両操縦者からの要求を
示す情報としてアクセルセンサ42、ブレーキセンサ4
4、シフトポジションスイッチ46等の出力を取り込む
一方で、制御対象たるモータ12R及び12Lの回転数
NR及びNLに関する情報を車輪速センサ40RR及び
40RLから取り込み、車両操縦者からの加速、減速等
の要求に応じた出力を現在のモータ回転数下で発生させ
るために必要なトルクを、これらの情報に基づき左右各
駆動輪10RR及び10RLそれぞれについて求め、求
めたトルクをトルク指令TR及びTLとする。但し、こ
の段階では、トルク指令TR及びTLは最終的に確定し
たわけではなく、まだ「仮確定」しただけである。
【0018】加速走行時走行安定制御部200及び減速
走行時走行安定制御部300は、いずれも、状態フィー
ドバック部600の出力(及び舵角δt)に基づき、仮
確定したトルク指令TR及びTLに特定の条件下で補正
を施すことにより、車両の走行安定性を維持改善する機
能を有している。特に、加速走行時走行安定制御部20
0は前進時、後退加速時及び定速走行時における走行安
定性維持改善を、減速走行時走行安定制御部300は減
速走行時における走行安定性維持改善を、分担してい
る。加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走
行安定制御部300は、いずれも、左右のモータ12R
及び12Lに対して個々別々にトルク指令を与えられる
という左右輪独立駆動型電気自動車の特質を利用して、
車体にその重心回りのモーメントMを発生させ、走行が
不安定になることを防ぐ。従って、本実施形態では、油
圧制御系や複雑な電子制御系なしで、車両の走行安定性
に資する機能を提供できる。
【0019】制御切換部400及び切換制御部500
は、車両状態又は運転状態に応じて、制御論理を選択的
に切り換える。制御切換部400はトルク指令仮確定部
100の後段に配されており、切換制御部500は制御
切換部400に制御信号を与える。即ち、トルク指令仮
確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及びTL
をそのまま出力させるのか、加速走行時走行安定制御部
200にて補正されたトルク指令TR及びTLを出力さ
せるのか、それとも減速走行時走行安定制御部300に
て補正されたトルク指令TR及びTLを出力させるのか
が、切換制御部500からの制御信号により制御切換部
400にて決定される。切換制御部500は、この制御
信号を発生させるため、車輪速VRR及びVRL(場合
によっては更にVFR及びVFL)やアクセルセンサ4
2の出力を利用する。
【0020】状態フィードバック部600は、車両のヨ
ー方向運動状態を示す各種状態量を、加速走行時走行安
定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300に
フィードバックする。後述のように、フィードバック対
象となりうる状態量としては、ヨーレイトγt、ヨー角
加速度dγt/dt、横加速度Gy、横加加速度dGy
/dt、すべり角度β、すべり角速度dβ/dt等があ
る。本実施形態の特徴の一つは、フィードバックする状
態量の組合せを所定の論理に従い設定することにより、
舵角δtの過大過小、横風等の外乱及び制御系の遅れに
影響されにくく、操舵に対する応答性が高く、かつ信頼
性及び精度の高い走行安定性制御を実現している点や、
当該走行安定性制御を簡素な手順で実現可能にしている
点にある。
【0021】(3)トルク指令仮確定部の機能 図5に示すように、トルク指令仮確定部100は、アク
セルペダルが踏まれたか否かをアクセルセンサ42の出
力に基づき判定するオン/オフ判定部102を有してい
る。オン/オフ判定部102にてアクセルオン即ちアク
セルペダルが踏まれていると判定されたときには、アク
セル開度演算部104がアクセルセンサ42の出力に基
づきアクセル開度VAを演算し、アクセルオフ即ちアク
セルペダルが踏まれていないと判定されたときには、ブ
レーキ力演算部106がブレーキセンサ44の出力に基
づきブレーキ力(踏力)FBを演算する。その際、シフ
トポジションスイッチにて設定されるシフトポジション
がアクセル開度演算部104及びブレーキ力演算部10
6によって参照され、そのときのシフトポジションに応
じてアクセル開度VAやブレーキ力FBが演算決定され
る。演算決定されたアクセル開度VAは左右の力行トル
ク演算部108及び110に供給され、ブレーキ力FB
は左右の回生トルク演算部112及び114に供給され
る。
【0022】他方、車輪速演算部120は、車輪速セン
サ40RRからの信号例えばパルス信号を車輪速VRR
を示すデータに変換し、車輪速演算部122は、車輪速
センサ40RLからの信号を車輪速VRLを示すデータ
に変換する。車輪速演算部120の後段に配されている
回転数演算部124は、60/(2πR)を乗ずること
により車輪速VRRを回転数NRに変換する。車輪速演
算部122の後段に配されている回転数演算部126
は、60/(2πR)を乗ずることにより車輪速VRL
を回転数NLに変換する。尚、ここでは、回転数をrp
m単位で、車輪速をm/sec単位で表している。ま
た、Rは車輪半径である。このようにして得られる回転
数情報のうち、右側のモータ12Rの回転数NRは力行
トルク演算部108及び回生トルク演算部112に、ま
た左側のモータ12Lの回転数NLは力行トルク演算部
110及び回生トルク演算部114に入力される。
【0023】右側の力行トルク演算部108は、右側の
モータ12Rの回転数NRをキーとして力行トルクマッ
プ128を参照することにより、そのときの回転数NR
において右側のモータ12Rから出力可能な最大力行ト
ルクを求め、この最大力行トルクをアクセル開度VAに
て案分することにより、右側のモータ12Rに対するト
ルク指令TRを決定する。ここで用いている力行トルク
マップ128は、図6に示すように、力行領域(回転数
>0かつトルク>0の領域)における回転数対最大トル
ク特性を保持する手段であり、これを上述のように回転
数NRをキーとして参照することにより、その回転数N
Rにおける最大力行トルク(図6中のVA=100%の
カーブ上の点)が得られる。更に、そのときのアクセル
開度VAがx%であるとするならば、求めた最大力行ト
ルクにx/100を乗ずる案分処理によって、出力すべ
き力行トルク即ちそのときのアクセル開度VA及び回転
数NRに即したトルク指令TR(図6中のVA=x%の
カーブ上の点)を得ることができる。左側の力行トルク
演算部110も、同様の手順にて、出力すべき力行トル
ク即ちそのときのアクセル開度VA及び回転数NLに即
したトルク指令TLを求める。
【0024】右側の回生トルク演算部112は、右側の
モータ12Rの回転数NRをキーとして回生トルクマッ
プ130を参照することにより、そのときの回転数NR
において右側のモータ12Rから出力可能な最大回生ト
ルクを求め、この最大回生トルクをブレーキ力FBにて
案分することにより、右側のモータ12Rに対するトル
ク指令TRを決定する。ここで用いている回生トルクマ
ップ130は、図7に示すように、回生領域(回転数>
0かつトルク<0の領域)における回転数対最大トルク
特性を保持する手段であり、これを上述のように回転数
NRをキーとして参照することにより、その回転数NR
における最大回生トルク(図7中のFB=100%のカ
ーブ上の点)が得られる。更に、そのときのブレーキ力
FBがx%であるとするならば、求めた最大回生トルク
にx/100を乗ずる案分処理によって、出力すべき回
生トルク即ちそのときのブレーキ力FB及び回転数NR
に即したトルク指令TR(図7中のFB=x%のカーブ
上の点)を得ることができる。左側の回生トルク演算部
114も、同様の手順にて、出力すべき回生トルク即ち
そのときのブレーキ力FB及び回転数NLに即したトル
ク指令TLを求める。
【0025】力行/回生切換部116は、オン/オフ判
定部102の出力に応じ、力行トルクを指令するのかそ
れとも回生トルクを指令するのかを切り換える。即ち、
力行トルク演算部108及び110にて決定されたトル
ク指令TR及びTLを後段に供給するのか、それとも回
生トルク演算部112及び114にて決定されたトルク
指令TR及びTLを後段に供給するのかを、アクセルの
オン/オフに応じて切り換える。以下、説明の便宜のた
め、トルク指令仮確定部100にて決定されたトルク指
令TR及びTLを、“仮確定された”トルク指令TR及
びTLと呼ぶ。
【0026】なお、図5では左右で力行トルクマップ1
28及び回生トルクマップ130を共有しているが、こ
れは、左右のモータ12R及び12Lが同一特性の場合
の例であり、同一特性でない場合等には左右で個別のマ
ップを利用する。また、図6及び図7の例では最大力行
トルク又は最大回生トルクのみをマップ化しているが、
アクセル開度VA又はブレーキ力FBをパラメタとして
多数のトルク曲線をマップ化しておくようにしてもよ
い。そのようなマップ化が行われていれば、回転数とア
クセル開度又はブレーキ力との対にてマップを参照する
ことによりトルク指令を求められるから、力行又は回生
トルク演算部108〜114にて案分処理を実行する必
要がなくなる。反面、回転数対最大トルク特性のみをマ
ップ化する方が、マップ保持のための記憶空間を節約で
きる。更に、トルク指令TR及びTLの演算を左右個別
の機能・演算部材によって同時並行的に実行するのでは
なく、単一の演算部にて時分割で実行する方が、簡素な
構成になる。そのような構成を採るには、例えば、左側
の駆動輪に関する演算の実行タイミング及び右側の駆動
輪に関する演算の実行タイミングを交互に与えるタイミ
ングクロックを発生させ、これに同期した演算を実行す
るようにすればよい。この点は、後述する各種の係数や
補正量の演算に関しても同様である。
【0027】(4)切換制御部の機能 仮確定されたトルク指令TR及びTLは、所定の条件を
満たす場合にのみそのまま、モータ制御部36R及び3
6Lに出力される。言い換えれば、各駆動輪のスリップ
率の大小やアクセルオン/オフの別に応じて、適宜、加
速走行時走行安定制御部200又は減速走行時走行安定
制御部300にて補正が施されたトルク指令TR及びT
Lが、仮確定されたトルク指令TR及びTLに代えて、
モータ制御部36R及び36Lに出力される。先に図4
に示した制御切換部400は、具体的には、仮確定され
たトルク指令TR及びTLを、そのままモータ制御部3
6R及び36Lに出力するのかそれとも加速走行時走行
安定制御部200又は減速走行時走行安定制御部300
による補正に供するのかを、切り換える。制御切換部4
00は、補正に供する場合には、更に、加速走行時走行
安定制御部200及び減速走行時走行安定制御部300
のいずれによる補正に供するのかを、切り換える。この
切換は、切換制御部500から供給される制御切換信号
に応じて実行される。
【0028】図8に、切換制御部500の一例機能構成
を示す。この図では、車輪速演算部120及び122に
て検出された右後輪10RRの車輪速VRR及び左後輪
10RLの車輪速VRLが車輪加速度演算部506及び
508にて微分され、これにより右後輪10RRの加速
度dVRR/dt及び左後輪10RLの加速度dVRL
/dtが求められている。また、角加速度演算部510
及び512はそれぞれ加速度dVRR/dt又はdVR
L/dtを車輪半径Rにて除すことにより右後輪10R
Rの角加速度dωR/dt又は左後輪10RLの角加速
度dωL/dtを求めている。スリップ判定部514及
び516は、それぞれ、角加速度dωR/dt又はdω
L/dtをしきい値THと比較し、しきい値THに対す
る大小関係を示す信号を制御動作選択部518に供給す
る。ここに、しきい値THはスリップ判定のためのしき
い値である。即ち、駆動輪の角加速度(dωR/dt又
はdωL/dt)がしきい値THを上回っているときに
は、その駆動輪(右後輪10RR又は左後輪10RL)
はスリップしている又はその傾向を示していると見なす
ことができる。制御動作選択部518は、スリップ判定
部514及び516の出力即ち各駆動輪のスリップ状態
判別結果と、オン/オフ判定部102の出力即ちアクセ
ルオンオフの別とに基づき、制御切換信号を発生させ制
御切換部400に与える。
【0029】即ち、制御動作選択部518は、図9に示
すように、左右後輪のいずれかがスリップしているとき
又はその傾向を示しているときには(700、70
2)、トルク指令TR及びTLの補正を回避し、トルク
指令仮確定部100にて仮確定されたトルク指令TR及
びTLがそのままモータ制御部36R及び36Lに供給
されるよう、制御切換部400を制御する(704)。
無論、本願出願人が先に提案しているTRC/ABS相
当制御(特願平9−8693号)を適宜実行するように
しても構わない。逆に、左右後輪のいずれもスリップし
ていないとき又はその傾向を示していないときには(7
00、702)、トルク指令仮確定部100にて仮確定
されたトルク指令TR及びTLが加速走行時走行安定制
御部200及び減速走行時走行安定制御部300のうち
いずれかに与えられるよう、制御切換部400を制御す
る。より詳細には、アクセルがオンしているのであれば
(706)加速走行時走行安定制御部200を(70
8)、オフしているのであれば(706)減速走行時走
行安定制御部300を(710)、それぞれ選択する。
【0030】なお、切換制御部500におけるスリップ
判定手法は、車輪角加速度をしきい値判定する手法に限
定されるものではなく、例えば駆動輪車輪速と車体速か
らスリップ率を求めこれをしきい値判定する手法として
もよい。即ち、図10に示すように、車輪速演算部52
0及び522が車輪速センサ40FR及び40FLの出
力に基づき右前輪10FRの車輪速VFR及び左前輪1
0FLの車輪速VFLを求め、車体速演算部524が車
輪速VFR及びVFLから車体速VS=(VFR+VF
L)/2を演算し、スリップ率演算部526及び528
が車体速VS並びに車輪速VRR及びVRLから右後輪
10RRのスリップ率SR=|(VRR−VS)/VR
R|及び左後輪10RLのスリップ率SL=|(VRL
−VS)/VRL|を求め、スリップ判定部514及び
516がその大小を判別するようにしてもよい。但し、
この手法を実行するには、車輪速センサ40FR及び4
0FL並びにこれに関連する部材乃至処理が必要にな
る。前述の図1中、車輪速センサ40FR及び40FL
に括弧を付していたのは、図8の手法ではこれらが不要
であることによる。
【0031】(5)状態フィードバック部の機能 状態フィードバック部600は、前述のように、車体の
ヨー方向運動状態を示す状態量を、加速走行時走行安定
制御部200及び減速走行時走行安定制御部300にフ
ィードバックする。状態フィードバック部600の形態
としては様々な形態を掲げることができる。図11〜図
14に、状態フィードバック部600の代表的な構成例
を示す。
【0032】これらのうち図11はヨーレイトγt、ヨ
ー角加速度dγt/dt、すべり角度β及びすべり角速
度dβ/dtを、図12はヨーレイトγt、すべり角度
β及びすべり角速度dβ/dtを、図13はヨーレイト
γt、ヨー角加速度dγt/dt、横加速度Gy及び横
加加速度dGy/dtを、図14はヨーレイトγt及び
横加速度Gyを、それぞれフィードバックする構成であ
る。これらの図中、ヨーレイト演算部602はヨーレイ
トセンサ50の出力に基づきヨーレイトγtを求め、ヨ
ー角速度演算部604はこのヨーレイトγtに基づきヨ
ー角加速度dγ/dtを求める。横加速度演算部606
は横加速度センサ54の出力に基づき横加速度Gyを求
め、横加加速度演算部608はこの横加速度Gyに基づ
き横加加速度dGy/dtを求める。すべり角速度演算
部610はヨーレイトγt、車体速VS及び横加速度G
yに基づきすべり角速度
【数1】dβ/dt=Gy/VS−γt を求め、すべり角度演算部612はこのすべり角速度d
β/dtに基づきすべり角度
【数2】β=∫(Gy/VS−γt)dt を求める。
【0033】これらいずれの図の構成においても、車両
のヨー方向運動状態を直接反映する状態量であるところ
のヨーレイトγtが、フィードバック対象に含まれてい
ることに留意されたい。ヨーレイトγtの検出値を利用
し走行安定制御を行っているという点で、本実施形態
は、特開平5―91607号公報に記載の装置と共通し
ている。しかし、本実施形態は、ヨーレイトγt以外に
少なくとも1個、ヨー運動状態を示す状態量をフィード
バックしている点で、特開平5―91607号公報に記
載の装置とは本質的に異なっている。これは、ヨーレイ
トγtのみでは十分な走行安定制御を行えないという発
明者の知見に基づいている。
【0034】図15及び図16に、この知見の基礎とな
っている検討の結果を示す。図中、2本の破線で示され
0を含む範囲は、舵角δt及び各状態量の値の正常範囲
であり、2本の一点鎖線で示される期間は、舵角δtが
変動している期間(操舵期間)である。これらの図から
明らかになるのは、例えば舵角δtの過大過小による走
行軌跡の異常をヨーレイトγtのみで正確且つ敏感に検
出するのは難しい、ということである。本実施形態で
は、舵角γtの過大過小、路面や横風による外乱、制御
系の遅れ等、各種の原因による車体運動の乱れを抑える
べく、ヨーレイトγtに加え更に少なくとも1種類の状
態量を用いるという観点を採用している。即ち、ヨーレ
イトγtのみでヨー方向運動状態を検出する従来技術に
比べ、高い感度で車両のヨー方向運動状態を検出し、そ
の結果に基づきより高い走行安定性を実現すべく、上述
のようなフィードバックを行っている。
【0035】更に、図11及び図12の構成ではすべり
角度β(及びすべり角速度dβ/dt)がフィードバッ
ク対象に含まれているのに対し、図13及び図14の構
成ではそれらに代えて横加速度Gy(及び横加加速度d
Gy/dt)がフィードバックされている点にも留意さ
れたい。即ち、車体の横方向の運動方程式は近似的には
【数3】m・Gy=m・VS・(dβ/dt+γt) 但し、mは車体質量と表すことができるため、図11及
び図12の構成ではこれを変形して得られる数1及び数
2に基づいてすべり角度βを算出しているが、この算出
に際しては横加速度Gy、ヨーレイトγt及び車体速度
VSという3種類の量が必要になる。図13及び図14
の構成では、すべり角度βのフィードバックをやめ、横
加速度センサ54の出力に基づき複雑な演算なしに導出
できる横加速度Gyをフィードバックすることにより、
演算時間の短縮、演算負担の軽減、ひいては制御遅れの
低減を図っている。
【0036】但し、このような省略を行うには、フィー
ドバックを受ける制御部即ち加速走行時走行安定制御部
200及び減速走行時走行安定制御部300側に、すべ
り角度β(及びすべり角速度dβ/dt)なしで車両の
横方向の運動状態を反映させる機能乃至制御論理が必要
になる。例えば、すべり角速度dβ/dt、横加速度G
y及びヨーレイトγt三者の関係を、
【数4】dβ/dt=k1・Gy−k2・γt ただし、A及びBはVSを反映する係数という線形加算
の式にてとらえ、k1及びk2を何らかの方法で決定す
るという論理を用いる。前述のように基本となる数3自
体そもそも近似式であるから、数4の如き変形式には実
用性がある。なお、図11及び図12の例で横加速度G
yをフィードバックすることも可能である。
【0037】また、図12及び図14の例では舵角セン
サ48の出力に基づき舵角演算部614が舵角δtを求
め、これを加速走行時走行安定制御部200及び減速走
行時走行安定制御部300に供給している。本願出願人
が特願平9−8693号にて述べたように、舵角δtは
車両操縦者による操舵輪の操作を直接反映する量である
ため、舵角δtを上述の各種の状態量と併用することに
より、制御の迅速化や操舵とのタイミング合わせが可能
になる。更に、図11及び図13の構成で同様に舵角δ
tを検出・入力するようにしてもよい。図11及び図1
3の構成ではヨー角加速度dγt/dt等をフィードバ
ックしているため、加速走行時走行安定制御部200及
び減速走行時走行安定制御部300が、仮確定されたト
ルク指令TR及びTLをそのまま出力した場合に生じる
進行方向変化(実質的な舵角)をヨー角加速度dγt/
dt等に基づき推定できる。従って、そのような推定を
行う一方で舵角δtの検出値の入力を受けることによ
り、舵角δtに関し推定値と検出値の差eを求め、この
偏差eが小さくなるようトルク指令TR及びTLを補正
することが可能になる。
【0038】(6)状態フィードバックによる走行安定
制御の原理、作用及び効果 加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安
定制御部300は、状態フィードバック部600から状
態フィードバックを受けて走行安定性制御を実行する。
ここでは、加速走行時走行安定制御部200及び減速走
行時走行安定制御部300の動作を説明するのに先立
ち、状態フィードバックによる走行安定制御の原理、作
用及び効果を説明する。以下の説明に登場する各種の量
の意味及び定義については、図17及び図18を参照さ
れたい。図17は車体の構造に関わる各種の量や車体の
前後方向、横方向及びヨー方向の運動を示す各種の量を
示す平面図であり、図18は車輪の運動を示す側面図で
ある。
【0039】まず、車輪に左右差がなく、コーナリング
フォースにも左右差がないと考えると、外力によるモー
メントMが作用したときの車体の基礎運動方程式は、
【数5】m・V・(dβ/dt+γt)=2・(YF+
YR)…車体の横方向の運動 但し、YF=YFR+YFL、YR=YRR+YRL I・dγt/dt=2・(LF・YF−LR・YR)+
M…車体の重心回りでのヨー方向の運動 但し、M=−TDL・FXRL+TDR・FXRRとな
る。他方、各車輪の回転の運動方程式は、車輪に左右差
がなく、また指令したトルクがそのまま正確に実出力に
なると仮定すると、
【数6】 となる。更に、コーナリングフォースは、
【数7】 YF=−KF・{β+(LF/VS)・γt−δt} YR=−KR・{β+(LR/VS)・γt} と表される。従って、数6及び数7を数5に代入して整
理し、更に行列表現を用いると、
【数8】 s・X=A・X+B・δt(s)+C・M(s) 但し、X=[β(s) γt(s)]T A=[Aij](i=1,2、j=1,2) B=[Bi] (i=1,2) C=[Ci] (i=1,2) A11=−2・(KF+KR)/(m・VS) A12=−1−2・(LF・KF−LR・KR)/(m
・VS2 ) A21=−2・(LF・KF−LR・KR)/I A22=−2・(LF2 ・KF+LR2 ・KR)/(I
・VS) B1=2・KF/(m・VS) B2=2・LF・KF/I C1=0 C2=1/I となる。式中、sはラプラス演算子である。
【0040】数8にて表現されている車体運動を制御ブ
ロックにて表すと、図19又は図20において、一点鎖
線の枠内に示されている如きモデルとなる。図19及び
図20は、本実施形態が特徴とするところの状態フィー
ドバックによる走行安定制御の原理を、記したものであ
る。
【0041】まず、図19においては、車両状態量ベク
トルXの目標値即ち目標状態量ベクトルX0=[β0
γ0]Tを、規範モデルを用いて決定している。規範モデ
ルは例えば次の式で与えられる規範ゲイン
【数9】 G0={1/(1+Asf・VS2)}・(VS/I) 但し、Asf:スタビリティファクタにて定義されるモ
デルであり、このモデルを用いたときの目標状態量ベク
トルX0は
【数10】 X0=[β0 γt0]T =[0 G0・δt]T と表すことができる。また、状態フィードバックをゲイ
ンK=[K1 K2]にて表すこととすると、モーメント
Mは
【数11】M=−K・(X−X0) と表すことができる。従って、数10及び数11から、
モーメントMは、
【数12】M=−K・X+K2・G0・δt となる。これを、数8に代入して得られる式
【数13】 s・X=A・X+B・δt+C・(−K・X+K2・G0・δt) =(A−C・K)X+(B+D)δt 但し、D=C・K2・G0 =[D1 D2]T D1、D2:定数を変形すると、
【数14】 {s・U−(A−C・K)}X=(B+D)・δt 即ち
【数15】β(s)={B1・(s−(A22−C2・
K2))−(A12−C1・K2)(B2+D2)}/
(s2−a1・s+a2) γt(s)={(s−(A11−C1・K1))(B2
+D2)−B1・(A21−C2・K1)}/(s2
a1・s+a2) 但し、a1及びa2は定数なる式が得られる。この式
は、図19に示される制御系全体においてはすべり角度
β及びヨーレイトγtが舵角δtにて変化することを表
している。従って、図19に示されるようにモーメント
Mを決める際に舵角δtを参照する系では、次の式
【数16】M=P・β+Q・γt+S・δt 但し、P、Q、S:定数により、モーメントMを決定
し、これに応じ左右駆動輪にトルクを分配することで、
車体の制御が可能である。また、図20に示されるよう
にモーメントMを決める際に舵角δtを参照しない系で
は、
【数17】M=P・β+Q・γt により、モーメントMを決定し、これに応じ左右駆動輪
にトルクを分配することで、車体の制御が可能である。
【0042】また、すべり角度β、横加速度Gy及びヨ
ーレイトγtの間には数4の如き関係があるから、数1
4及び数16は、モーメントMを操作することで横加速
度Gy及びヨーレイトγtを制御できることをも、表し
ているといえる。即ち、横加速度Gy及びヨーレイトγ
tをフィードバックしこれに基づきトルク指令TR及び
TLを確定すれば、横加速度Gy及び及びヨーレイトγ
tを制御できることがわかる。この原理に基づく制御を
行う際には、横加速度Gy及びヨーレイトγtをフィー
ドバックすること、即ち例えば図13や図14に示され
る構成の状態フィードバック部600を用いる。図中破
線で示したように横加速度Gyをフィードバックするよ
うにしたときには図11や図12に示される構成の状態
フィードバック部600を用いることもできる。特に、
舵角δtに基づきモーメントMを決定することも可能で
あり、そのようにする場合には、図14に示されるよう
に舵角δtを入力する構成の状態フィードバック部60
0を用いる。
【0043】また、図15及び図16から読みとれるよ
うに、ヨーレイトγt、横加速度Gy及びすべり角度β
に比べ、ヨー角加速度dγt/dt、横加加速度dGy
/dt及びすべり角度dβ/dtのほうが、車両のヨー
方向運動に敏感に反応する。従って、上述の各原理に従
い制御を行うときには、好ましくは、これら各状態量の
微分値をも、ヨー方向運動状態を示す状態量として用い
る。また、数9の関係が存しているから、上述の微分値
を利用することにより、仮確定されたトルク指令TR及
びTLをそのまま出力した場合における車体の方向変化
量を推定できるから、この推定値と舵角δtの検出値と
の差eに基づく制御も可能になる。
【0044】(7)加速走行時及び減速走行時走行安定
制御部の機能 図21〜図24に、加速走行時走行安定制御部200及
び減速走行時走行安定制御部300の一例動作手順を示
す。これらの図のうち図21に示される手順は例えば図
11や図13に示される構成の状態フィードバック部6
00を使用する場合の、図22に示される手順は例えば
図12や図14に示される構成の状態フィードバック部
600を使用する場合の、図23に示される手順は状態
フィードバック部600からフィードバックされる状態
量に基づき車両の進行方向の変化を推定する場合の、図
24に示される手順は例えば図11や図13に示される
構成の状態フィードバック部600を使用し更に舵角δ
tの検出値を入力する場合の、手順である。本実施形態
では、いずれかの手順が、加速走行時走行安定制御部2
00及び減速走行時走行安定制御部300において所定
周期毎に実行される。
【0045】いずれの手順を実行する場合であっても、
加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安
定制御部300は、まず、車両のヨー運動方向を示す指
標Yを演算する(800)。指標Yとしては、例えば、
すべり角度β及びヨーレイトγtをフィードバックして
いるときにはβ×γtを、横加速度Gy及びヨーレイト
γtをフィードバックしているときにはGy×γtを、
用いることができる。加速走行時走行安定制御部200
及び減速走行時走行安定制御部300は、続いて、この
指標Yの符号判定即ち車両のヨー運動方向の判定を実行
する(802、804)。即ち、指標Yが0になるの
は、フィードバックされた状態量から見て車両がヨー方
向に運動していないと見なせるときであるから、加速走
行時走行安定制御部200及び減速走行時走行安定制御
部300は、トルク指令仮確定部100にて仮確定され
たトルク指令TR及びTLに補正を施すのをやめる(8
02)。また、指標Yが0でないときには、車両のヨー
方向運動を抑制する方向のモーメントMが生じるよう、
トルク指令TR及びTLに補正を施す(806、80
8)。但し、車両が上から見て反時計回りに運動してい
るのかそれとも時計回りに運動しているのかに応じ、補
正の向きは反転させる(804)。即ち、指標Yが正で
あるとき(図17の定義に従えば車両が上から見て反時
計回りに運動しているとき)には負のモーメントMが生
じるよう(806)、逆に負であるとき(時計回りに運
動しているとき)には正のモーメントMが生じるよう
(808)、トルク指令TR及びTLに補正を施す。従
って、加速走行時走行安定制御部200及び減速走行時
走行安定制御部300による補正を経た後のトルク指令
TR及びTLの値は、図25に斜線で示されるように、
力行領域及び回生領域にまたがる領域に属することとな
る。即ち、加速時でも回生領域のトルクが出力され得る
し、減速時でも力行領域のトルクが出力され得る。
【0046】舵角δtの検出値が加速走行時走行安定制
御部200及び減速走行時走行安定制御部300に供給
されているときには、図22に示すように、ステップ8
02に先立ち舵角δtの判定を実行する(810)。舵
角δtが0でないとき即ち車両操縦者が操舵を実行して
いるときには、指標Yが0であっても(すなわち車両が
操舵に応じたヨー方向運動を未だ開示していない時点で
も)、ステップ804以降に移行する。このようにする
ことで、操舵に即応して走行安定制御(即ちステップ8
06及び808におけるトルク指令補正処理)を起動で
きるため、迅速で信頼性のよい制御となる。また、舵角
δtを検出していないときでも、図23に示すように、
フィードバックを受けた状態量に基づきこれを推定し
(812)、ステップ810に供することができる。更
に、図24に示すように、舵角δtを検出しているとき
に更にその推定をも行うようにすれば、両者の差即ち舵
角の偏差eを演算でき(814)、この偏差eに基づき
トルク指令TR及びTLを補正するようにすることもで
きる。
【0047】ステップ806におけるトルク指令補正式
の一例としては、
【数18】TR=−TR×{P1×β+P2×dβ/d
t+P3×γt+P4×dγt/dt} TL=+TL×{Q1×β+Q2×dβ/dt+Q3×
γt+Q4×dγt/dt}
【数19】 TR=−TR×{P5×β+P6×γt+P7×δt} TL=+TL×{Q5×β+Q6×γt+Q7×δt}
【数20】TR=−TR×{P8×Gy+P9×dGy
/dt+P10×γt+P11×dγt/dt} TL=+TL×{Q8×Gy+Q9×dGy/dt+Q
10×γt+Q11×dγt/dt}
【数21】TR=−TR×{P12×∫Gydt+P13×
∫γtdt+P14×γt+P15×δt} TL=+TL×{Q12×∫Gydt+Q13×∫γtdt
+Q14×γt+Q15×δt} 等の式を掲げることができる。これらの式中、Pk及び
Qk(k=1〜15)は、定数である。ステップ808に
おけるトルク指令補正式は、ステップ806におけるト
ルク指令補正式の符号を反転したものでよい。また、加
速走行時走行安定制御部200におけるトルク指令補正
式と減速走行時走行安定制御部300におけるトルク指
令補正式は同じ形式のものでよいが、好ましくは、係数
Pk及びQk(k=1〜15)の値は異なる値とする。数1
8は図11及び図21の組合せに、数19は図12及び
図22の組合せに、数20は図13及び図21の組合せ
に、数21は図14及び図22の組合せに、それぞれ適
している。
【0048】また、図23及び図24の手順において
は、例えば
【数22】δte=(TR−TL)×{R1×β+R2
×dβ/dt+R3×γt+R4×dγt/dt}
【数23】δte=(TR−TL)×{R5×Gy+R
6×dGy/dt+R7×γt+R8×dγt/dt} の式に従い舵角推定値δteを求める。これらの式中、
TR及びTLは仮確定段階のトルク指令である。数22
は特に図11に係る状態フィードバック部600を用い
る場合に、数23は特に図13に係る状態フィードバッ
ク部600を用いる場合に、適している。更に、図24
の手順では、
【数24】e=δt−δte の式により偏差eを求め、
【数25】TR=−TR×{Pp×e+Pi×∫edt
+Pd×de/dt} TL=+TL×{Qp×e+Qi×∫edt+Qd×d
e/dt} の式に従いステップ806に係るトルク指令補正を実行
する(PID制御)。ステップ808に関しては符号を
反転する。なお、Pp及びQpは比例項ゲイン、Pi及
びQiは積分項ゲイン、Pd及びQdは微分項ゲインで
あり、いずれも定数である。なお、すべり角度βに関し
予め目標値を設定しておき、この目標値に対する偏差に
関しても(δtのPID制御と共に)PID制御を行う
ようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の好適な実
施形態によれば、左右駆動輪独立駆動型電気自動車の駆
動制御装置において、いずれも車両のヨー方向運動状態
を示す複数種類の状態量に基づき、モータに与えるのに
先立ちかつ各モータ毎に、各モータに対する出力の指令
を補正するようにしたため、舵角の過大過小、操舵後の
外乱、制御系の遅れ等によらず車両の走行安定性を確保
することができ、また車体運動に予想外の乱れが生じる
おそれも小さくなる。その結果、制御の信頼性や精度が
向上する。更に、フィードバック対象たる状態量のうち
少なくとも一種類を、ヨーレイトに比べ舵角に対する応
答性が高い状態量としているため、例えばヨーレイトの
みをフィードバック対象とする構成に比べ、高い応答
性、ひいては高い信頼性と精度を実現できる。
【0050】本発明の更に好適な実施形態によれば、車
体のヨー角加速度、横加速度、横加加速度、すべり角速
度及びすべり角度のうち少なくとも一つを、ヨーレイト
検出値と共にフィードバック対象としているため、上述
のような信頼性や精度の向上に特に資することができ
る。横加速度はヨー角加速度、横加加速度、すべり角速
度及びすべり角度と異なり他の状態量からの変換・換算
処理なしにセンサから直接得ることができるから、すべ
り角度等ではなく横加速度をフィードバック対象とする
ことにより、比較的簡素な機能構成を実現できる。
【0051】本発明の更に好適な実施形態によれば、舵
角を検出し又は上記複数種類の状態量に基づき舵角を推
定し、その結果得られた舵角と上記複数種類の状態量と
に基づき指令の補正を行っているため、舵角を基礎とし
た制御の有する利点を維持でき、従って操舵に対する応
答性を維持乃至向上させまた制御の信頼性や精度を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するのに適する電気自動車のシ
ステム構成を示すブロック図である。
【図2】 ホイルインモータの構造の一例を示す断面図
であり、図中右上の円内は一部拡大図である。
【図3】 図1のシステムにおける制動力配分を示す図
である。
【図4】 車両制御部の機能構成を示すブロック図であ
る。
【図5】 トルク指令仮確定部の機能構成を示すブロッ
ク図である。
【図6】 力行トルクマップの内容を示す図である。
【図7】 回生トルクマップの内容を示す図である。
【図8】 切換制御部の機能構成を示すブロック図であ
る。
【図9】 制御動作選択部の動作の流れの一例を示すフ
ローチャートである。
【図10】 切換制御部の機能構成の変形例を示すブロ
ック図である。
【図11】 状態フィードバック部の一例構成を示すブ
ロック図である。
【図12】 状態フィードバック部の他の一例構成を示
すブロック図である。
【図13】 状態フィードバック部の他の一例構成を示
すブロック図である。
【図14】 状態フィードバック部の他の一例構成を示
すブロック図である。
【図15】 車両の運動状態を示す状態量の時間変化を
示すタイムチャートである。
【図16】 車両の運動状態を示す状態量の時間変化を
示すタイムチャートである。
【図17】 車体の運動を記述するための諸定数及び変
数を定義する平面的概念図である。
【図18】 車輪の回転運動を記述するための諸定数及
び変数を定義する概念図である。
【図19】 状態フィードバック系の制御モデルの一例
を示すブロック図である。
【図20】 状態フィードバック系の制御モデルの他の
一例を示すブロック図である。
【図21】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時
走行安定制御部の動作手順の一例を示すフローチャート
である。
【図22】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時
走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャ
ートである。
【図23】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時
走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャ
ートである。
【図24】 加速走行時走行安定制御部及び減速走行時
走行安定制御部の動作手順の他の一例を示すフローチャ
ートである。
【図25】 走行安定制御時の出力トルクの変動範囲を
示す図である。
【符号の説明】
10RR 右後輪、10RL 左後輪、10FR 右前
輪、10FL 左前輪、12R,12L モータ、34
R,34L インバータ、36R,36L モータ制御
部、38 車両制御部、40RR,40RL,40F
R,40FL 車輪速センサ、42 アクセルセンサ、
44 ブレーキセンサ、46 シフトポジションスイッ
チ、48 舵角センサ、50 ヨーレイトセンサ、54
横加速度センサ、100 トルク指令仮確定部、20
0 加速走行時走行安定制御部、300 減速走行時走
行安定制御部、400 制御切換部、500 切換制御
部、600 状態フィードバック部、602 ヨーレイ
ト演算部、604 ヨー角加速度演算部、606 横加
速度演算部、608 横加加速度演算部、610 すべ
り角速度演算部、612 すべり角度演算部、614
舵角演算部、δt 舵角、γt ヨーレイト、Gy 横
加速度、β すべり角度、TR,TL トルク指令。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H02P 7/74 H02P 7/74 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気自動車の左右各駆動輪を個別に駆動
    するための複数のモータ各々に対し、その出力に関する
    指令を与えることにより、車両の走行を制御する駆動制
    御装置において、車両操縦者からの加速又は減速要求に
    基づき上記指令を仮確定する指令仮確定手段と、いずれ
    も車両のヨー方向運動状態を示す複数種類の状態量に基
    づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、上
    記指令を補正する状態フィードバック制御手段と、を備
    え、上記複数種類の状態量のうち1種類が、車体のヨー
    レイトの検出値であり、残りが、ヨーレイトの検出値に
    比べ舵角に対する応答性が高い他の状態量を含むことを
    特徴とする駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の駆動制御装置において、
    車体のヨー角加速度を検出する手段、車体の横加速度を
    検出する手段、車体の横加加速度を検出する手段、車体
    のすべり角速度を検出する手段、並びに車体のすべり角
    度を検出する手段のうち少なくとも一つを備え、ヨー角
    加速度、横加速度、横加加速度、すべり角速度及びすべ
    り角度のうち少なくとも一つを上記他の状態量として用
    いることを特徴とする駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の駆動制御装置にお
    いて、更に、舵角を検出し又は上記複数種類の状態量に
    基づき舵角を推定する手段を備え、上記状態フィードバ
    ック制御手段が、上記複数種類の状態量及び上記舵角に
    基づき、モータに与えるのに先立ちかつ各モータ毎に、
    上記指令を補正することを特徴とする駆動制御装置。
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