JP2006094679A - 四輪独立駆動車の駆動力配分装置 - Google Patents

四輪独立駆動車の駆動力配分装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 いずれか1輪の制駆動力が変化したり任意に変化させる場合において、左右駆動力差に加えて車輪が舵角を有する場合における前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑制可能な四輪独立駆動車の駆動力配分装置を提供する。
【解決手段】 車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する場合には、駆動力補正手段により、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、四輪駆動車の各駆動輪に対応して駆動モータを備える四輪独立駆動車の駆動力配分装置に関するものである。
四輪駆動車の各駆動輪に対応して駆動モータを備える四輪独立駆動車の駆動力配分装置が知られている(特許文献1参照)。
これは、4個の駆動輪のうち1輪のみがスリップしているときは、左側及び右側のうちスリップ輪と同じ側にある非スリップ輪に、スリップが発生していなければスリップ輪に配分されるはずであった出力トルクを配分する。また、スリップ輪が2輪あり、それらが左側及び右側に1個ずつあるときには、スリップしていなければそのスリップ輪に配分されるはずであったトルク出力を、同じ側にある非スリップ輪に配分する。以上により、駆動力を補正する前後で、前後方向の加速度と、各輪の駆動力によって発生する車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑えるようにしている。
特開平10−295004号公報
しかしながら、上記従来例では、車両の左右各々において前後車輪に配分している制駆動力を変化させないよう補正して車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑えるものであり、制駆動力補正の前後における各車輪と路面との間で発生している横方向力の変化を考慮していない。このため、前車輪および後車輪で夫々発生している横方向力が補正前後において大きく変化して、横方向の加速度とそれに基づく車両重心周りのヨーモーメントに変化が発生する場合がある。これはドライバーが意図しない変化であり、運転性を損なう恐れがある。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、いずれか1輪の制駆動力が変化したり任意に変化させる場合において、左右駆動力差に加えて車輪が舵角を有する場合における前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑制可能な四輪独立駆動車の駆動力配分装置を提供することを目的とする。
本発明は、四輪を夫々独立に駆動可能であり、車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段を備える四輪独立駆動車の駆動力配分装置において、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度k1,k2,k3,k4を推定するタイヤ横力感度推定手段と、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力を補正する手段と、を備え、前記制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する場合には、前記駆動力補正手段は、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正するようにした。
したがって、本発明では、車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する場合には、駆動力補正手段により、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正するようにした。このような構成とすることにより、各輪の舵角δi(i=1〜4)が無視できないほど大きい場合でも、前後方向の加速度だけでなく、制駆動力を補正した時のタイヤ横力変化によって発生する横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑えることができ、ドライバーの意図しない車両挙動の乱れを防止し運転性を向上させることができる。
以下、本発明の四輪独立駆動車の駆動力配分装置を一実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した四輪独立駆動車の駆動力配分装置の第1実施形態を示すシステム構成図である。
図1において、四輪独立駆動車の駆動力配分装置は、左前輪1、右前輪2、左後輪3及び右後輪4に、それぞれモータ11,12,13及び14が連結され、夫々のモータ11〜14は各車輪1〜4を独立に駆動可能に構成している。各車輪1〜4の回転半径(R)は全て等しく、各モータ11〜14と各車輪1〜4とは減速比1で直接連結状態で回転する。夫々の駆動軸には車輪速センサ21〜24が配置され、検出された回転速度信号はコントローラ8に出力される。
前記モータ11〜14は、三相同期電動機や三相誘導電動機等の力行運転及び回生運転ができる交流機であり、コントローラ8によりの指令に応じてバッテリ9からの直流電力を夫々インバータ31〜34を介して交流電力に変換して供給されて夫々独立に力行運転して各々の車輪1〜4を駆動可能であり、また、コントローラ8によりの指令に応じて各々の車輪1〜4から駆動される回生運転時にはその交流の回生電力を夫々インバータ31〜34を介して直流電力に変換してバッテリ9に充電可能である。バッテリ9はニッケル水素電池或いはリチウムイオン電池が望ましい。
前記左右前輪1、2は、ステアリングギヤ15を介してステアリングハンドル5の操舵により転舵可能であり、その舵角は運転者によるステアリングハンドル5の操舵により機械的に調整される。前記ステアリングハンドル5の操舵量はステアリング角センサ25により検出されて操舵角信号としてコントローラ8に出力される。前記ステアリングギヤ15のギヤ比は、ステアリングハンドル5の操舵角変化量に対して左右前輪の舵角変化量が1/16となるよう設定されている。前記左右後輪3、4はコントローラ8から指令された指令値に追従するようステアリングアクチュエータ16により、その舵角が調整される。各車輪1〜4の各舵角は舵角センサ41〜44によって検出され、検出された各車輪の舵角はコントローラ8に送信される。
前記コントローラ8には、運転者によるステアリングハンドル5の操舵回転角を検出するステアリング角センサ25の操舵角信号、運転者によるアクセルペダル6の踏込み量およびブレーキペダル7の踏込み量を夫々検出するアクセルストロークセンサ26及びブレーキストロークセンサ27の検出信号(踏込み量)、各車輪1〜4の舵角を検出する舵角センサ41〜44の検出舵角信号、車両の重心位置に取付けられて車両の前後方向および横方向の加速度を検出する加速度センサ100よりの加速度信号、同じく車両の重心位置に取付けられて車両のヨー回転運動を検出するヨーレートセンサ101よりのヨーレート信号、前記した車輪速信号、が入力される。コントローラ8は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなり、前記各信号に基づいて各モータ11〜14へのトルク配分を演算し且つ各インバータ31〜34への指令値を制御する。
図2のフローチャートは各モータ11〜14へのトルク配分を演算し各インバータ31〜34への指令値を制御するルーチンを示しており、コントローラ8において一定周期毎に実行される。このフローチャートにおいて、ステップS20〜S70は車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段を構成し、ステップS80〜S90およびステップS140は左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度k1,k2,k3,k4を推定するタイヤ横力感度推定手段を構成し、ステップS100〜S130が制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する要因に基づき必要な制駆動力補正量を決定する手段を構成し、ステップS150〜S160が左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力をΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正する駆動力補正手段を構成している。以下、これについて説明する。
ステップS10では、車輪速センサ21〜24で検出した各車輪1〜4の回転速度ω1,ω2,ω3,ω4[単位:rad/s]を夫々検出し、各車輪1〜4の半径Rを乗じて車輪速度V1,V2,V3,V4[単位:m/s]を演算する。また、舵角センサ41〜44で各輪1〜4の舵角δ1,δ2,δ3,δ4[単位:rad]を検出する。さらに、アクセルストロークセンサ26及びブレーキストロークセンサ27によって検出したアクセルペダル6とブレーキペダル7の踏込量AP[単位:%]及びBP[単位:%]、ステアリング角センサ25によって検出したステアリングハンドル5の回転角θ[単位:rad]、加速度センサ100で検出した車両の前後方向加速度Xg[単位:m/s2]と横方向加速度Yg[単位:m/s2]、ヨーレートセンサ101で検出したヨーレートγ[単位:rad/s]を夫々読込む。
なお、車輪速度V1〜V4は車両前進方向を正とし、ステアリングハンドル5の回転角θは反時計回りを正とし、前後方向加速度Xgは車両が前方に加速する方向を正とし、横方向加速度Ygは車両が左旋回時に車両重心位置から旋回中心に向かう方向を正とし、ヨーレートγは車両を鉛直上方からみたときに反時計回りを正とする。また、図3に示すように、舵角δ1〜δ4は各輪1〜4の向きが車体前後方向と一致している状態を0とし、車両を鉛直上方からみたときに反時計回りを正とする。また、車両のヨー回転方向の車両重心位置から前輪車軸までの距離はLf[単位:m]、ヨー回転方向の車両重心位置から後輪車軸までの距離はLr[単位:m]、前後輪のトレッド長さは共にLt[単位:m]の車両である。また、以降の説明でこの車両のホイールベース長さをL(=Lf+Lr)とする。
ステップS20では、車速V[単位:m/s]を下記の式(1)
V=(V1+V2+V3+V4)÷4 ・・・(1)
の通り求める。なお、車速Vは車両前進方向を正としする。
ステップS30では、各輪1〜4の輪荷重W1,W2,W3,W4[単位:N]を下記の式(2)〜(5)
W1=(mLrg/2L)−(mhXg/2L)−(mhYg/2Lt) ・・・(2)
W2=(mLrg/2L)−(mhXg/2L)−(mhYg/2Lt) ・・・(3)
W3=(mLfg/2L)−(mhXg/2L)−(mhYg/2Lt) ・・・(4)
W4=(mLfg/2L)−(mhXg/2L)−(mhYg/2Lt) ・・・(5)
の通り求める。
ステップS40では、後輪3、4の舵角δ3,δ4がステアリングハンドル5の回転角θに対して下記の式(6)
δ3=δ4=(1/16)[k0/(1+TeS)−(Kf/Kr)(TeS/(1+TeS))]×θ ・・・(6)
の応答となるようにステアリングアクチュエータ16を制御する。ただし、Te=IV/(2LLfKf+mLrV2)、K0=−[Lr+(mLf/2LKr)KfV2]/[Lf+(mLr/2LKf)KrV2]である。なお、式(6)におけるm[単位:kg]及びI[単位:kgm2]は、図3に示す本制御対象の車両の質量及び車体重心周りのヨー慣性モーメントであり、Kf,Kr[単位:N/rad]は、前輪1、2及び後輪3、4の横滑り角が十分小さい時の単位横滑り角あたりのコーナーリングフォースである。また、上記式(6)の右辺の左端の「1/16」はステアリングハンドル5の回転角θの変化に対する前輪舵角δ1,δ2の感度であることは、前述の通りである。
このように左右後輪3、4の舵角δ3,δ4の目標応答をステアリングハンドル5の回転角θに対して決定することによって、左右輪の駆動力差が0の場合には、車体横滑り角βを零化できることが知られている(「自動車の運動と制御」第8章8.3.1節,(著)安部正人,(出版)山海堂)。
ステップS50では、電動車両に対するドライバーの要求制駆動力tFを、下記の式(7)
tF=tFa+tFb ・・・(7)
の通り求める。式(7)中の要求駆動力tFaは、図4に示すように、アクセルペダル6の踏込量AP及び車速Vに対応した要求駆動力を、予めコントローラ8のROMに記録した要求駆動トルクマップに基づいて設定したものである。また、要求制動力tFbは、図5に示すように、ブレーキペダル7の踏込量BPに対応した要求制動力を、予めコントローラ8のROMに記録した要求制動力マップに基づいて設定したものである。また、要求駆動力tFおよびtFa、要求制動力tFbは、いずれも車両を前方に加速させる向きを正とする。
ステップS60では、ステアリングハンドル5の回転角θと車両速度Vから、車両の左右輪駆動力差ΔF[単位:N]を、予めコントローラ8のROMに記憶しておいた目標左右駆動力差マップに基づいて設定する。この目標左右駆動力差マップは、例えば、図6に示すように、操舵角θと車速Vに対応して左右輪駆動力差ΔFを設定したものである。
なお、ステップS50の前記要求駆動力やステップS60の左右輪駆動力差は、ドライバーによるアクセルペダル6の踏込量AP及び車速Vに対応した要求駆動力とブレーキペダル7の踏込量BPに対応した要求制動力との和による加減速方向の運動要求、および、ステアリングハンドル5の操舵による車両旋回方向の運動要求に基づいて設定するようにしているが、車両の運動要求としては、ドライバーによるこれらペダル6、7およびハンドル5の操作に限られることなく、例えば、緊急回避装置や車間距離を一定に保持させる自動追尾装置若しくは走行レーンを自動的に維持させるレーンキープ装置等の自動操縦装置よりの信号による前後加速度、横加速度およびヨーレートを加味した車両の運動要求に基づいて設定してもよい。
ステップS70では、各車輪1〜4の制駆動力Fx1,Fx2,Fx3,Fx4を、下記の式(8)および式(9)
Fx1=Fx2=(tF/4)−(ΔF/4) ・・・(8)
Fx3=Fx4=(tF/4)+(ΔF/4) ・・・(9)
により求める。なお、制駆動力Fx1,Fx2,Fx3,Fx4は、車両を前進させる方向に働く力を正とする。
ステップS80では、各車輪1〜4の横滑り角β1,β2,β3,β4[単位:rad]を推定する。この横滑り角(スリップ角ともいう)とは、車両の進行方向とタイヤの前後方向のなす現時点におけるスリップ角(現状スリップ角)のことである。推定方法については種々あるが、ここでは一例として次の方法を用いる。ステップS10で読込んだ横方向加速度Yg、ヨーレートγ、車速V、各輪舵角δ1,δ2,δ3,δ4から車体横滑り角βを推定する。その上でこの横滑り角βとヨーレートγと車速Vと操舵角θから、下記のように、横滑り角β1,β2,β3,β4を推定する。
先ず、前記車体横滑り角βは、下記の式(10)
β=∫(Yg/V−γ)dt ・・・(10)
により推定する。
次いで、各車輪1〜4の横滑り角β1,β2,β3,β4は、下記の式(11)および式(12)
β1=β2=β+(θ/Gs)−(γ×Lf/V) ・・・(11)
β3=β4=β+(γ×Lr/V) ・・・(12)
により推定する。ただし、β1,β2は前輪スリップ角、β3,β4は後輪スリップ角、Gsはステアリングギヤ15のギヤ比である。なお、β1,β2,β3,β4の符号は、車輪の前後方向から車輪速度の方向までの角度が鉛直上方から見て反時計回りになっている場合を正とする。
ステップS90では、各車輪1〜4の路面摩擦係数μ1,μ2,μ3,μ4を推定する。推定方法については種々あるが、ここでは一例として次の方法を用いる。先ず、各車輪1〜4が路面から受ける路面反力F'1〜F'4を推定し、この路面反力F'1〜F'4とステップS60で求めた輪荷重W1〜W4から各車輪1〜4の路面摩擦係数μ1,μ2,μ3,μ4を推定する。即ち、モータ11〜14には、電磁トルクTmが加えられ、車輪1〜4には路面反力F'に車輪半径Rを乗じた路面反力トルクが、モータ11〜14によるトルクと逆方向に加えられている。
そして、各モータ11〜14と車輪1〜4とは直結状態であり、車軸のねじり剛性κが十分に大きいと仮定でき、車軸のねじり変形を無視して、モータ11〜14の回転速度と車輪1〜4の回転速度とは同一速度ωなる関係が成り立つとすると、モータ11〜14と車輪1〜4との回転系の運動方程式は、下記の式(13)
(Jm+Jw)ω’=Tm−Cmw・ω−Rmw−F・R ・・・(13)
にまとめられる。なお、Jm、Jwはモータ11〜14および車輪1〜4の慣性モーメント、Cm、Cwはモータ11〜14および車輪1〜4の回転系の粘性減衰定数、Rm、Rwはモータ11〜14および車輪1〜4の回転系の固体摩擦である。
その結果、路面反力F'は、上記の式(13)を用い、下記の式(14)
F'={Tm−(Jm+Jw)ω’−Cmw・ω−Rmw}/R ・・・(14)
として推定できる。従って、各車輪1〜4について夫々路面反力F'1〜F'4を推定して求める。
また、同様に推定した路面反力F'1〜F'4とタイヤ荷重W1〜W4とにより、下記の式(15)〜式(18)
μ1=F'1/W1 ・・・(15)
μ2=F'2/W2 ・・・(16)
μ3=F'3/W3 ・・・(17)
μ4=F'4/W4 ・・・(18)
を用い、路面摩擦係数μ1、μ2、μ3、μ4を推定することができる。前記式(14)、式(15)〜(18)で示されるような路面反力、路面摩擦係数の推定演算は、全てコントローラ8に記憶させているマイクロコンピュータのソフトウェアにより実現できる。
ステップS100では、各車輪1〜4のいずれかにおいて、スリップ或いは車輪ロックしているか若しくはその傾向が生じている場合に、当該車輪1〜4のスリップ或いは車輪ロックを防止するために必要な制駆動力補正量ΔFsi(i=1〜4)を求める。この制駆動力補正量ΔFsiの求め方としては、ステップS90で求めた、各輪1〜4が路面から受ける反力F'i(i=1〜4)とモータ11〜14のトルクによって発生する制駆動力Fx1との差を制駆動力補正量ΔFsi(ΔFsi=F'i−Fxi)とする。
なお、上記ステップS100では、いずれかの車輪1〜4がスリップ若しくはロックしているか若しくはその傾向が生じているかどうかを要因として、これを防止するために必要な制動力補正量ΔFsiを求めるようにしているが、このステップS100での制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する要因として、例えば、いずれかの車輪1〜4のモータ11〜14またはモータ駆動系統の故障による性能低下や駆動力能力限界を超えた制駆動力指令に対する等の外乱要因や内部事情に対する受動的若しくは能動的な補正量ΔFsiを設定するものであってもよい。
ステップS110では、制駆動力補正量ΔFsiの絶対値|ΔFsi|が、予め設定した閾値Fthより大きい車輪1〜4が1輪以上ある場合にはステップS120へ進み、そうでない場合にはステップS190へ進む。前記閾値Fthは、路面から受ける反力F'iと制駆動力Fxiとの差が大きくなる、即ち、スリップ或いは車輪ロックの傾向が強くなっていることを判断するための閾値であり、例えば、車両重量W(単位:N)の1%、即ち0.01W程度とするのが望ましい。なお、ステップS100での制駆動力の変更の要因に応じて前記閾値Fthを望ましい値に変更して使用する。
ステップS120では、車輪1〜4の内の複数の車輪が制駆動力補正を必要としている場合を鑑みて、制駆動力補正値ΔFsiの絶対値|ΔFsi|が最も大きくなっている車輪の制駆動力補正値ΔFsiをΔFkとする。
このステップS120から後述するステップS170の間では、絶対値|ΔFsi|が最も大きくなっている車輪1〜4のいずれかをスリップ或いは車輪ロックの状態から回復させると共に、車両挙動(前後方向の加速度Xg,横方向の加速度Yg,車両重心周りのヨーモーメントM)を乱さない各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxi(i=1〜4)を求める。
ステップS130では、|ΔFk|が閾値Fthb以下の場合にはフラグflgに「1」を設定し、ΔFkrにΔFkを設定する。また、|ΔFk|が閾値Fthbより大きい場合にはフラグflgに「0」を設定し、ΔFk>=0の場合にはΔFkr=Fthb、ΔFk<0の場合にはΔFkr=−Fthbとする。
このフラグflgおよび閾値Fthbについて、以下に説明する。何れか1輪の駆動力が変化した、或いは任意に変化させたときに、車両挙動を乱さない残り3輪の制駆動力補正量ΔFxiを求める後述する式(20)では、この各輪の制駆動力変化量が微小であるということが前提条件になっている。従って、このΔFkが十分微小とできないほど大きな場合には式(20)を用いて残り3輪の駆動力補正量ΔFxiを正確に求めることが難しくなる。これを判断するフラグがflgであり、微小と仮定できないほど大きな変化である場合には「0」が、そうでない場合には「1」が設定される。
また、この微小と仮定できる制駆動力変化量の最大値の絶対値が閾値Fthbであり、ΔFkがこの閾値Fthb以上の場合には、駆動力補正値の絶対値|ΔFsi|が最も大きくなっている車輪の制駆動力が閾値Fthb変化したと仮置きして、後述するステップS150,S160で各輪の制駆動力Fxiを補正すると共に、ΔFk←ΔFk−Fthb(ΔFk>=0の場合,ステップS190)とする。
この処理をΔFkが十分小さくなる、即ち|ΔFk|<Fthbとなるまで繰り返すことによって、ΔFkが微小とできないほど大きい場合でも、残り3輪の制駆動力補正量ΔFxiが得られる。本実施例ではこの閾値Fthbを車両重量W[単位:N]の4%、即ち0.04Wとする。
ステップS140では、ステップS30〜S90で推定した輪荷重Wi,横滑り角βi,路面摩擦係数μi(i=1〜4)から、各輪1〜4の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度ki(i=1〜4)を求める。感度kiの求め方を左前輪1の場合を例にとって説明する。
コントローラ8のROMには、制駆動力Fx1とタイヤ横力Fy1との関係を、輪荷重W1,横滑り角β1,路面摩擦係数μ1毎に予め実験或いはシミュレーションによって求めておいた、図7に示すような、各車輪1〜4の輪荷重W1,横滑り角β1,路面摩擦係数μ1毎に、車輪1〜4の制駆動力−タイヤ横力マップを記憶させておく。
そして、現在の制駆動力Fx1に対応するタイヤ横力Fy1と、次の時点の制駆動力(Fx1+dFx1)に対応する次の時点のタイヤ横力(Fy1+dFy1)とを、このマップを参照して求め、感度kiを、下記の式(19)
ki=dFy1/dFx1 ・・・(19)
に従って求める。ここで、制駆動力変化dFx1(単位:N、dFx1>0)は輪荷重W1と比較して十分微小な制駆動力である。即ち、制駆動力Fx1が微小な「dFx1」だけ変化した時のタイヤ横力Fy1の変化量dFy1を求めることによって、制駆動力Fx1の変化に対するタイヤ横力Fy1の感度kiを求める。
車輪2〜4についても同様に制駆動力−タイヤ横力マップを用意しておき、輪荷重W2〜W4と比較して十分微小な制駆動力変化dFx2,dFx3,dFx4を定義してタイヤ横力の感度k2〜k4を求める。
ステップS150では、各輪の制駆動力補正量ΔFxi(i=1〜4)を求める。具体的には、制駆動力補正量ΔFsiの絶対値|ΔFsi|が最も大きくなっている車輪1〜4をスリップ或いは車輪ロックの状態から回復させると共に、車両挙動(前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントM)を乱さない各車輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxi(i=1〜4)を、下記の式(20)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):[(−Lt/L)(h3−h1)−h1(h4−h3)]/(cosδ2−k2sinδ2):[(−Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/(cosδ4−k4sinδ4) ・・・(20)
ただし、hi=(sinδi+kicosδi)/(cosδi−kisinδi)
により求める。各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiの比を上記式(20)の通りにすれば、前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントMの変化を抑えることができる。
したがって、例えば、左前輪1の駆動力補正量の絶対値|ΔFs1|が他の車輪の駆動力補正量の絶対値|ΔFs1|〜|ΔFs4|の中で最も大きい場合には、各輪1〜4の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4を、下記の式(21)〜式(24)
ΔFx1=ΔFkr ・・・(21)
ΔFx2={[(−Lt/L)(h3−h1)−h1(h4−h3)]/[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]}×[(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ2−k2sinδ2)]×ΔFkr ・・・(22)
ΔFx3={[(−Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]}×[(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ3−k3sinδ3)]×ΔFkr ・・・(23)
ΔFx4={[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]}×[(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ4−k4sinδ4)]×ΔFkr ・・・(24)
の通り求める。他の車輪の駆動力補正値の絶対値|ΔFsi|が駆動力補正値の絶対値|ΔFs1|〜|ΔFs4|の中で最も大きい場合についても、同様にして各輪1〜4の駆動力補正量ΔFxiを求める。
なお、本実施例では各輪1〜4の舵角δ1,δ2,δ3,δ4をステップS10で直接計測し、式(20)に基づいて各輪1〜4の駆動力補正量ΔFxiを求めている。これは即ち、各輪1〜4の駆動力やタイヤ横力等がサスペンションに加わることによって発生する舵角変化(コンプライアンスステア,ロールステア等)を考慮して駆動力補正量ΔFxiを求めていることに他ならない。従って、各輪1〜4の舵角δiを直接検出する手段を有さず、ステアリングハンドル5の回転角θとステアリングギア比等から推定するような車両では、このサスペンション特性から舵角変化量を推定し、各輪1〜4の舵角δiの推定値を補正することによって駆動力補正量ΔFxiをより高精度に求めることができる。
ステップS160では、各輪1〜4の制駆動力Fxiを、下記の式(25)〜式(28)
Fx1←Fx1+ΔFx1 ・・・(25)
Fx2←Fx2+ΔFx2 ・・・(26)
Fx3←Fx3+ΔFx3 ・・・(27)
Fx4←Fx4+ΔFx4 ・・・(28)
の通り補正する。
ステップS170では、フラグflgが「1」ならばステップS190へ進む。そうでないならば、ステップS180で、ΔFk>0ならばΔFk←ΔFk−Frhb、また、ΔFk<0ならばΔFk←ΔFk+Fthbとして、ステップS130に進む。
ステップS190では、新たな各車輪1〜4の制駆動力Fxiをそれぞれタイヤ半径Rで除した値、即ちトルク指令値をモータ11〜14が出力するようにインバータ31〜34への電流指令値制御を行う。
ところで、本出願人は、先願(特願2004−205689、平成16年7月13日出願)において、四輪を独立に駆動する車両において、各輪の舵角δi(i=1〜4)が十分小さいという仮定の元で、何れか1輪の駆動力が変化した、或いは1輪の駆動力を任意に変化させる場合に、車両前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントが変化しないようにする、残り3輪の駆動力補正量を求める四輪独立駆動車の駆動力配分装置を提案している。
この先願による、車両前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントが変化しない各輪の駆動力補正量の求め方について以降説明する。図13は、各輪の舵角δi(i=1〜4)が十分小さいという仮定の元で、4輪独立駆動車に加わる駆動力と横力と車両重心周りのヨーモーメントを表した図である。各輪の駆動力の総和Fxと、各輪のタイヤ横力の総和Fyと、各輪の駆動力とタイヤ横力の総和によって発生する車両重心周りのヨーモーメントの総和Mは、下記の式(29)〜(31)
Fx=Fx1+Fx2+Fx3+Fx4 ・・・(29)
Fy=Fy1+Fy2+Fy3+Fy4 ・・・(30)
M=[(Fx2+Fx4)−(Fx1+Fx3)]×Lt/2+[(Fy1+Fy2)×Lf−(Fy3+Fy4)×Lr] ・・・(31)
の通り表すことができる。
従って、駆動力Fxi(i=1〜4)が夫々変化量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ変化した場合、制駆動力Fxiがこの変化量ΔFxi(i=1〜4)だけ変化したときのタイヤ横力変化量をΔFyi(i=1〜4)とすると、制駆動力Fx,タイヤ横力Fy,ヨーモーメントMの各変化量ΔFx,ΔFy,ΔMは、下記の式(32)〜(34)
ΔFx=ΔFx1+ΔFx2+ΔFx3+ΔFx4 ・・・(32)
ΔFy=ΔFy1+ΔFy2+ΔFy3+ΔFy4 ・・・(33)
ΔM=[(ΔFx2+ΔFx4)−(ΔFx1+ΔFx3)]×Lt/2+[(ΔFy1+ΔFy2)×Lf−(ΔFy3+ΔFy4)×Lr] ・・・(34)
の通りになる。
ここで、駆動力とタイヤ横力の関係は既に示した図7、詳しくは図9の通りである。そこで各輪の現在の駆動力Fxiとタイヤ横力Fyiにおける、駆動力変化量ΔFxiに対するタイヤ横力の感度をki(i=1〜4)とおく。即ち、横力感度kiは図9に示すように制駆動力変化量ΔFxi及びタイヤ横力変化量ΔFyiが微小の時の式(35)
ki=ΔFyi/ΔFxi ・・・(35)
の値である。
すると、制駆動力変化量ΔFxi及びタイヤ横力変化量ΔFyiが微小であり、この式(35)の近似が十分成り立つとすると、タイヤ横力変化量は、ΔFyi=kiΔFxiとおけるので、式(33)〜(34)のタイヤ横力の総和ΔFy,ヨーモーメントの総和ΔMは、下記の式(36)〜(37)
ΔFy=k1ΔFx1+k2ΔFx2+k3ΔFx3+k4ΔFx4 ・・・(36)
ΔM=[(ΔFx2+ΔFx4)−(ΔFx1+ΔFx3)]×Lt/2+[(k1ΔFx1+k2ΔFx2)×Lf−(k3ΔFx3+k4ΔFx4)×Lr]
=(k1Lf−Lt/2)ΔFx1+(k2Lf+Lt/2)ΔFx2+(−k3Lr−Lt/2)ΔFx3+(k4Lr−Lt/2)ΔFx4 ・・・(37)
の通り置き換えられる。従って、式(32)及び式(36)、式(37)をまとめると、下記の式(38)の通り表される。
Figure 2006094679
上記式(38)の左辺、即ち、制駆動力変化量,タイヤ横力変化量,ヨーモーメント変化量の各総和ΔFx,ΔFy,ΔMを0とした下記の式(39)を満たす制駆動力補正量ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4は、式(39)を制駆動力補正量ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4に関する連立方程式と見立てて解くと、制駆動力補正量ΔFx1を用いて、下記の式(40)〜式(42)の通り表される。
Figure 2006094679
ΔFx2=〔[(−Lt/L)(k3−k1)−k1(k4−k3)]/[(Lt/L)(k4−k2)−k2(k4−k3)]〕×ΔFx1 ・・・(40)
ΔFx3=〔[(−Lt/L)(k4−k2)−k4(k2−k1)]/[(Lt/L)(k4−k2)−k2(k4−k3)]〕×ΔFx1 ・・・(41)
ΔFx4=〔[(Lt/L)(k3−k1)−k3(k2−k1)]/[(Lt/L)(k4−k2)−k2(k4−k3)]〕×ΔFx1 ・・・(42)
ただし、Lはホイールベース長さで、L=Lf+Lrである。
前記式(40)〜式(42)から明らかな通り、制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4が、下記の式(43)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=(Lt/L)(k4−k2)−k2(k4−k3):(−Lt/L)(k3−k1)−k1(k4−k3):(−Lt/L)(k4−k2)−k4(k2−k1):(Lt/L)(k3−k1)−k3(k2−k1) ・・・(43)
の通りの比を取ると、制駆動力変化量,タイヤ横力変化量,ヨーモーメント変化量の各総和ΔFx=ΔFy=ΔM=0となり、制駆動力Fx,タイヤ横力Fy,ヨーモーメントMの変化を0にすることができる。
以上より、各輪1〜4における駆動力変化に対するタイヤ横力の感度kiを定義すると、この感度kiに基づいて各輪1〜4の駆動力を式(43)の比率で変化させることによって、制駆動力Fxだけでなくタイヤ横力FyおよびヨーモーメントMの変化も0にすることができる。
即ち、各輪1〜4の舵角δが十分小さい場合に、何れか1輪において駆動力が故障やスリップ等で駆動力が変化したり、任意に駆動力を変化させても、この1輪の制駆動力変化に対して残り3輪の駆動力を式(43)の比率で変化させれば、ドライバーの意図しない前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を防ぐことができる。
しかしながら、上記先願では、各輪1〜4の舵角δが十分小さいという仮定が成り立つ場合において、何れか1輪の駆動力変化に対して、前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を0とする残り3輪の駆動力補正量を求める技術を提案するものであり、旋回時に前輪舵角δ1、δ2を大きくする場合等、各輪1〜4の舵角δiが大きくなると、前提条件が成り立たなくなるので、何れか1輪の駆動力変化に対して、前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を防ぐことができる残り3輪の駆動力補正量を求められなくなる恐れがある。
一方、本実施形態においては、前記ステップS150で提案した式(20)に基づいて、各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxi(i=1〜4)を求めることにより、各輪1〜4の舵角δiが大きくなっても、車両挙動(前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントM)を乱さない、即ち、前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントが変化しない各輪1〜4の駆動力補正量の求めることができる。
以下に、前記ステップS150で提案した式(20)に基づいて、各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxi(i=1〜4)を求めることにより、各輪1〜4の舵角δiが大きくなっても、車両挙動(前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントM)を乱さない根拠、即ち、各輪1〜4の舵角δiが大きくなっても、前後方向及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントが変化しない各輪1〜4の駆動力補正量の求め方について、以下に説明する。
まず最初に、前後方向及び横方向の加速度Xg、Ygと車両重心周りのヨーモーメントMが変化しない各輪の駆動力補正量ΔFxiを、各輪1〜4の舵角δiを考慮して求める方法について図3を用いて説明する。図3は、4輪独立駆動車に加わる各輪1〜4の駆動力とタイヤ横力と車両重心周りのヨーモーメントを表した図である。なお、図3の車両ではサスペンションに加わる力によって発生するホイールアライメント変化や舵角変化等は十分小さいものと仮定し、これらサスペンション特性は無視している。
ここで図8のように各輪の舵角をδi(i=1〜4)だけ切った場合における、タイヤ力の車体前後方向成分Fx'i、及び車体横方向成分Fy'i は、下記の式(44)及び式(45)
Fx'i=Fxicosδi−Fyisinδi ・・・(44)
Fy'i=Fxisinδi+Fyicosδi ・・・(45)
の通り表される。ただし、車体前後方向成分Fx'iは車両を前方に加速する方向を、車体横方向成分Fy'iは車両が左旋回時に車両重心位置から旋回中心に向かう方向をそれぞれ正とする。
従って、制駆動力がΔFxiだけ変化したときのタイヤ横力変化量をΔFyiとすると、車体前後方向成分および車体横方向成分Fx'i,Fy'iの変化量ΔFx'i,ΔFy'iは、下記の式(46)及び式(47)
ΔFx'i=ΔFxicosδi−ΔFyisinδi ・・・(46)
ΔFy'i=ΔFxisinδi−ΔFyicosδi ・・・(47)
の通り表される。
更に、図9及び式(35)で定義した、各輪1〜4の現在の制駆動力Fxiとタイヤ横力Fyiにおける、微小な制駆動力変化量ΔFxiに対するタイヤ横力の感度kiを用いると、タイヤ横力変化量ΔFyi≒kiΔFxiと近似することができるので、車体前後方向成分および車体横方向成分ΔFx'i,ΔFy'iは、この感度kiを用いて、下記の式(48)及び式(49)
ΔFx'i=(cosδi−kisinδi)ΔFxi=piΔFxi (pi=cosδi−kisinδi) ・・・(48)
ΔFy'i=(sinδi+kicosδi)ΔFxi=qiΔFxi (qi=sinδi+kicosδi) ・・・(49)
の通り表すことができる。
従って、各輪1〜4の舵角δiがついた図3の状態において、タイヤ力の総和の車体前後方向成分Fxと、タイヤ力の総和の車体横方向成分Fyと、各輪1〜4のタイヤ力によって発生する車両重心周りのヨーモーメントの総和Mは、下記の式(50)〜(52)
Fx=Fx'1+Fx'2+Fx'3+Fx'4 ・・・(50)
Fy=Fy'1+Fy'2+Fy'3+Fy'4 ・・・(51)
M=[(Fx'2+Fx'4)−(Fx'1+Fx'3)]×Lt/2+[(Fy'1+Fy'2)×Lf−(Fy'3+Fy'4)×Lr] ・・・(52)
の通り表すことができる。ただし、ヨーモーメントの総和Mは、図3の通り車両を鉛直上方からみたときに反時計回りを正とする。
従って、各輪1〜4の制駆動力Fxiがそれぞれ補正量ΔFxiだけ変化したときの制駆動力Fx、タイヤ横力FyおよびヨーモーメントMの変化量ΔFx,ΔFy,ΔMは式(48)および式(49)のpi,qiを用いて、下記の式(53)〜(55)
ΔFx=ΔFx'1+ΔFx'2+ΔFx'3+ΔFx'4=p1ΔFx1+p2ΔFx2+p3ΔFx3+p4ΔFx4 ・・・(53)
ΔFy=ΔFy'1+ΔFy'2+ΔFy'3+ΔFy'4=q1ΔFx1+q2ΔFx2+q3ΔFx3+q4ΔFx4 ・・・(54)
ΔM=[(ΔFx'2+ΔFx'4)−(ΔFx'1+ΔFx'3)]×Lt/2+[(ΔFy'1+ΔFy'2)×Lf−(ΔFy'3+ΔFy'4)×Lr]
=[−(p1Lt/2)+q1Lf]ΔFx1+[(p2Lt/2)+q2Lf]ΔFx2+[−(p3Lt/2)−q3Lr]ΔFx3+[(p4Lt/2)−q4Lr]ΔFx4 ・・・(55)
の通り表される。
前記した式(53)〜(55)をまとめると下記の式(56)の通り表すことができる。
Figure 2006094679
上記した式(56)の左辺、即ち制駆動力Fx、タイヤ横力FyおよびヨーモーメントMの変化量ΔFx,ΔFy,ΔMを0とした下記の式(57)を満たす他の車輪2〜4の制駆動力補正量ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4は、式(57)を他の車輪2〜4の制駆動力補正量ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4に関する連立方程式と見立てて解くと左前輪1の制駆動力ΔFx1を用いて、下記の式(58)〜式(60)
Figure 2006094679
ΔFx2=〔[q1(p4q3−p3q4)L+p4(p3q1−p1q3)Lt]/[q2(p3q4−p4q3)L+p3(p2q4−p4q2)Lt]〕×ΔFx1 ・・・(58)
ΔFx3=〔[q4(p2q1−p1q2)L+p1(p4q2−p2q4)Lt]/[q2(p3q4−p4q3)L+p3(p2q4−p4q2)Lt]〕×ΔFx1 ・・・(59)
ΔFx4=〔[q3(p1q2−p2q1)L+p2(p1q3−p3q1)Lt]/[q2(p3q4−p4q3)L+p3(p2q4−p4q2)Lt]〕×ΔFx1 ・・・(60)
の通り表される。
前記した式(58)〜式(60)から明らかな通り、各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4が、前記した下記の式(20)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=q2(p3q4−p4q3)L+p3(p2q4−p4q2)Lt:q1(p4q3−p3q4)L+p4(p3q1−p1q3)Lt:q4(p2q1−p1q2)L+p1(p4q2−p2q4)Lt]:q3(p1q2−p2q1)L+p2(p1q3−p3q1)Lt
=[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):[(−Lt/L)(h3−h1)−h1(h4−h3)]/(cosδ2−k2sinδ2):[(−Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/(cosδ4−k4sinδ4) ・・・(20)
ただし、hi=(sinδi+kicosδi)/(cosδi−kisinδi)
の通りの比を取ると、制駆動力Fx、タイヤ横力FyおよびヨーモーメントMの変化量ΔFx=ΔFy=ΔM=0となる。
従って、何れか1輪の制駆動力が車輪1〜4のスリップやモータの故障等で変化した場合、或いは何れか1輪の制駆動力を任意に変化させた場合、残り3輪の制駆動力変化量ΔFxiを式(20)の比となるようにすれば、各輪の舵角δiが無視できないほど大きい場合でも、タイヤ力の総和の車体前後方向成分Fxと、タイヤ力の総和の車体横方向成分Fyと、各輪のタイヤ力によって発生する車体重心周りのヨーモーメントの総和Mの変化を0にすることができる。
ところで、ステップS60〜ステップS70において、各輪1〜4の駆動力配分をステップS30で求めた輪荷重比となるように、即ち、下記の式(61)〜式(64)
Fx1=(W1/(W1+W2+W3+W4))×tF ・・・(61)
Fx2=(W2/(W1+W2+W3+W4))×tF ・・・(62)
Fx3=(W3/(W1+W2+W3+W4))×tF ・・・(63)
Fx4=(W4/(W1+W2+W3+W4))×tF ・・・(64)
の通り設定した場合には、制駆動力補正値ΔFsiが十分小さい、即ち軽微なスリップ等の場合(フラグflgが「1」の場合)には、ステップS150において、以下に説明するように、各輪の制駆動力補正量ΔFxiを求めても良い。
即ち、車体のロール(サスペンション特性)を無視し、一定速度で走行している車両の水平面の運動を考えた場合、前後輪1〜4とも左右輪の舵角δiが等しいので、前後輪ともに左右輪の滑り角βi(i=1〜4)が等しいものと近似できることが知られている(「自動車の運動と制御」第3章3.2.1節,(著)安部正人,(出版)山海堂)。
駆動力とタイヤ横力との関係を表す曲線は、図7及び図9からもわかるように、図10に示すような楕円(各輪1〜4とも長半径は輪荷重Wiに路面摩擦係数μiを乗じたμi×Wiと等しい)で近似することができる。また、この楕円の短半径も輪荷重Wiや路面摩擦係数μiにほぼ比例して変化すると近似することができる。
従って、左右輪の滑り角が等しいと、図10に示す左右前輪1、2の例のようにこの駆動力とタイヤ横力との関係を近似した楕円は左右輪でほぼ相似形となるので、左右輪の駆動力配分を輪荷重比と等しくすると、左右輪で駆動力変化に対するタイヤ横力の感度kiがほぼ等しくなる、即ち、各輪1〜4の感度がk1=k2,k3=k4と近似できる状態になる。
これは、タイヤの摩擦円に対する駆動力比を左右輪で等しくする、即ち、左右各輪の負担を均等化するように駆動力配分を行っている状態である。タイヤ接地面で発生する駆動力とタイヤ横力の合力(摩擦力)は、基本的にはそのタイヤの輪荷重以上にはならないため、輪荷重に応じて駆動力とタイヤ横力の合力(摩擦力)が左右各輪で発生させるということは、左右各輪の負担を均一化する、即ち、左右何れか片方の車輪でスリップやロックが発生し易い状態にならないようにする駆動力配分で走行している状態を指す。
このような走行状態(走行状態[1])においては、各輪1〜4の舵角がδ1=δ2,δ3=δ4且つ各輪1〜4の感度がk1=k2,k3=k4と近似でき、前記ステップS150での前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントMを乱さない各車輪1〜4の制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を下記の式(65)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1) ・・・(65)
の通り決定することができ、前後及び横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力の補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4を、より高精度に求めることができる。
即ち、各輪1〜4の舵角δiが、δ1=δ2,δ3=δ4且つ各輪1〜4の感度kiが、k1=k2,k3=k4と近似できる場合には、前述の式(20)において、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2,k3=k4と設定すると、下記の式(66)〜式(67)
h1=h2=(sinδ1+k1cosδ1)/(cosδ1−k1sinδ1),h3=h4=(sinδ3+k3cosδ3)/(cosδ3−k3sinδ3) (∴δ1=δ2,δ3=δ4,k1=k2,k3=k4) ・・・(66)

ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):[(−Lt/L)(h3−h1)−h1(h4−h3)]/(cosδ2−k2sinδ2):[(−Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/(cosδ4−k4sinδ4)
=[(L/Lt)(h3−h1)+h1(h3−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):[(−L/Lt)(h3−h1)−h1(h3−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):[(−L/Lt)(h3−h1)+h3(h1−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(L/Lt)(h3−h1)+h3(h1−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3)
=1/(cosδ1−k1sinδ1):−1/(cosδ1−k1sinδ1):−1/(cosδ3−k3sinδ3):1/(cosδ3−k3sinδ3)
=(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1) ・・・(67)
(∴δ1=δ2,δ3=δ4,k1=k2,k3=k4,h1=h2,h3=h4)
の通り式変形ができることで説明できる。
そして、さらに、図7及び図9からわかるように、各輪1〜4の滑り角βiが大きく且つ駆動力がほぼ0と近似できる場合や駆動力の大小によらず各輪1〜4の滑り角βiが小さい場合、例えば、各輪1〜4の滑り角βiが十分小さい直進時、或いは各輪1〜4の滑り角βiが大きくなる旋回時において各輪1〜4がほとんど制駆動力を出力しない定速走行或いは緩減速等の車両の走行状態においては、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4の関係となり且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2=k3=k4=0と近似できる。
このような車両の走行状態(走行状態[2])においては、前記ステップS150での前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントMを乱さない各車輪1〜4の制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、cosδ3:−cosδ3:−cosδ1:cosδ1とより平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリや処理の低減が期待できる。言い換えると、前後輪共に左右輪の駆動力補正量の和がほぼ0に、且つ前輪1、2の舵角δ1、δ2が後輪3、4の舵角δ3、δ4に対して大きくなるにつれて右後輪4の駆動力補正量ΔFx4を左前輪1の駆動力補正量ΔFx1に対して小さくする構成となる。
即ち、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2=k3=k4=0と近似できる場合には、前述の式(20)において、各輪1〜4の感度kiをk1=k2=k3=k4=0と設定すると、下記の式(68)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ3−k3sinδ3):(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ3−k3sinδ3)
=1:−1:−cosδ1/cosδ3:cosδ1/cosδ3
=cosδ3:−cosδ3:−cosδ1:cosδ1 (∴k1=k2=k3=k4=0) ・・・(68)
の通り式変形ができ、この式(37)から左右後輪3、4の舵角δ3=δ4の絶対値に対して左右前輪1、2の舵角δ1=δ2の絶対値が大きくなるにつれて右後輪4の制駆動力補正量ΔFx4の絶対値は左前輪1の制駆動力補正量ΔFx1の絶対値に対して小さくすることが説明できる。
また、他の実施例として、後輪転舵機構(ステアリングアクチュエータ16)を有さない前輪のみ転舵する車両が挙げられる。この車両に適用する場合には、例えば、図1〜10において、後輪3、4の舵角δ3,δ4の値を定数(通常は、舵角δ3=δ4=0)とすれば良い。また更に、この前輪1、2のみ転舵する車両を図1〜10に基づいて制御を行うとした場合、上記と同じくステップS60〜ステップS70において、上記した式(61)〜式(64)の通り各輪1〜4の駆動力配分を求めるようにした場合、軽微なスリップ等の場合(フラグflgが「1」の場合)には、ステップS150において、以下に説明するように、各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiを求めても良い。
即ち、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4であり且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2,k3=k4と近似できる前記走行状態[1]において、左右後輪3、4の舵角δiが零(δ3=δ4=0)であり、左右前輪1、2のみが操舵される走行状態(走行状態[3])である場合には、前記ステップS150での前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントMを乱さない各車輪1〜4の制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)と設定することで、制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4をより一層平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリーや処理の低減が期待できる。
上記のように、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4=0であり且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2,k3=k4と近似できる場合には、前記した式(20)において、各輪1〜4の舵角δiが、δ1=δ2,δ3=δ4=0であると設定でき、下記の式(69)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ3−k3sinδ3):(cosδ1−k1sinδ1)/(cosδ3−k3sinδ3)
=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)
(∴δ1=δ2,δ3=δ4=0) ・・・(69)
の通り式変形ができることで説明できる。
さらに、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4=0であり且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2,k3=k4と近似できる前記走行状態[3]において、左右後輪3、4は左右輪の輪荷重比で左右各輪3、4の駆動力配分を行っている走行状態、左右前輪1、2は滑り角βiが大きく且つ左右輪1、2共に駆動力がほぼ0の走行状態、左右前輪1、2は滑り角βiが十分小さく且つ左右輪1、2の駆動力配分を任意に行っている走行状態である場合には、左右前輪1、2の感度をk1=k2=0と推定することができる。これらが該当する具体的な走行状態としては、任意の駆動力配分で直進走行を行う場合、或いは前輪1、2の駆動力を左右輪共に0にすると共に後輪3、4は左右輪の輪荷重比で左右各輪の駆動力配分を行いながら旋回する場合等が考えられる。このような走行状態[4]においては、前記ステップS150での前後方向の加速度Xg、横方向の加速度Yg、車両重心周りのヨーモーメントMを乱さない各車輪1〜4の制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、1:−1:−cosδ1:cosδ1と設定することで、制駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4を、さらにより一層平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリーや処理の低減が期待できる。
即ち、各輪1〜4の舵角δiがδ1=δ2,δ3=δ4=0且つ各輪1〜4の感度kiがk1=k2=0,k3=k4と近似できる場合には、前記した式(20)において、左右前輪1、2の感度をk1=k2=0と設定すると、下記の式(70)
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)
=1:−1:−cosδ1:cosδ1 (∴k1=k2=0) ・・・(70)
の通り式変形ができ、この式(70)から前輪舵角δ1=δ2の絶対値が大きくなるにつれて右後輪4の制駆動力補正量ΔFx4の絶対値は左前輪1の制駆動力補正量ΔFx1の絶対値に対して小さくすることが説明できる。これは、前後輪共に左右輪の駆動力補正量の和がほぼ0に、且つ前輪1、2の舵角δ1,δ2が大きくなるにつれて右後輪4の駆動力補正量ΔFx4を左前輪1の駆動力補正量ΔFx1に対して小さくする構成を意味する。
前記のように、後輪操舵機構(ステアリングアクチュエータ16)を有さない車両において、前述の従来技術(特開平10−295004)及び前記先願技術によって駆動力補正量を求めた場合と、図2のフローチャートに基づいて駆動力補正量を求めた場合との比較をシミュレーション上で行った結果について、以下に説明する。
このシミュレーションは、先にも述べた通り、図1の車両において後輪操舵機構(ステアリングアクチュエータ16)がなく後輪3、4の舵角がδ3=δ4=0で固定された車両を想定して行った。また、シミュレーションを行った走行条件は、前輪1、2を左に大きく切り(舵角δ1,δ2>0)、右側車輪2、4の駆動力和が左側車輪1、3の駆動力和よりも大きくなる(Fx2+Fx4>Fx1+Fx3)ように左右駆動力差を付けて左方向に定速旋回している図11の状態から、右後輪4の駆動力が突然0になったとして(Fx4→0(ΔFx4≒−750[N]))、残り3輪の駆動力補正量を前述の従来技術、前記先願技術、および、図2のフローチャートに基づいて求めた。なお、前記先願技術を用いる場合は、舵角δ1=δ2=0として、図2のフローチャートを用いて行った。
この時の、車体速,車体前後方向加速度,車体横方向加速度,ヨーレート,車体滑り角,各輪の駆動力変化を図12に示す。この図12によれば、図11の状態から十分ゆっくりと右後輪の駆動力を減らしていった場合には、前述の従来技術及び前記先願技術に比べ、図2のフローチャートに基づいて駆動力補正量を求めた方が、車体速,車両前後方向加速度,車両横方向加速度,ヨーレート,車体滑り角の何れについてもその変化を低減できていることが確認できた。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)四輪を夫々独立に駆動可能であり、車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段(ステップS20〜S70)を備える四輪独立駆動車の駆動力配分装置において、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度k1,k2,k3,k4を推定するタイヤ横力感度推定手段(ステップS80〜S90、S140)と、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力を補正する手段(ステップS150〜S160)と、を備え、前記制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する場合には、前記駆動力補正手段は、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正するようにした。このような構成とすることにより、各輪1〜4の舵角δi(i=1〜4)が無視できないほど大きい場合でも、前後方向の加速度だけでなく、制駆動力を補正した時のタイヤ横力変化によって発生する横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑えることができ、ドライバーの意図しない車両挙動の乱れを防止し運転性を向上させることができる。
(イ)左右前輪1、2の舵角δ1、δ2および左右後輪3、4の舵角δ3、δ4が夫々左右輪でほぼ等しく且つ左右前輪1、2の感度k1とk2との差および左右後輪3、4の感度k3とk4との差がほぼ0である場合には、駆動力補正手段による左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)の関係となるよう設定することにより、例えば、左右輪の滑り角βiが等しく、左右輪の駆動力配分を輪荷重比Wiと等しい場合に、いずれかの車輪1〜4のスリップやロック等の防止のために制駆動力を補正するとき、前後方向および横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力の補正量をより高精度に求めることができる。
(ウ)左右前輪1、2の舵角δ1、δ2および左右後輪3、4の舵角δ3、δ4が夫々左右輪でほぼ等しい場合において、前記タイヤ横力感度推定手段で推定された各車輪1〜4の感度k1,k2,k3,k4が全てほぼ0である場合には、駆動力補正手段による左右輪の駆動力補正量の和が前後輪ともにほぼ0になり且つ左右前輪1、2の舵角δ1,δ2が左右後輪3、4の舵角δ3,δ4に対して大きくなるに連れて後輪各輪3、4の駆動力補正量を対角位置にある前輪1、2の駆動力補正量に対して小さくする。即ち、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=cosδ3:−cosδ3:−cosδ1:cosδ1の関係とすることにより、例えば、各輪1〜4の滑り角βiが大きく且つ駆動力がほぼ0と近似できる場合や駆動力の大小によらず各輪1〜4の滑り角βiが小さい場合に、いずれかの車輪1〜4のスリップやロック等の防止のために制駆動力を補正するとき、前後方向および横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiをより平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリーや処理の低減が期待できる。
(エ)左右前輪1、2の舵角δ1、δ2がほぼ等しく且つ左右後輪3、4の舵角δ3、δ4が共にほぼ0であり、左右前輪1、2の感度k1とk2との差及び左右後輪3、4の感度k3とk4との差がほぼ0である場合には、駆動力補正手段による左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)の関係とすることにより、左右前輪1、2のみを操舵する場合に、いずれかの車輪1〜4のスリップやロック等の防止のために制駆動力を補正するとき、前後方向および横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiをより平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリーや処理の低減が期待できる。
(オ)左右前輪1、2の舵角δ1、δ2がほぼ等しく且つ左右後輪3、4の舵角δ3、δ4が共にほぼ0であり、左右前輪1、2の感度k1とk2が共にほぼ0であり且つ左右後輪3、4の感度k3とk4がほぼ等しい場合には、駆動力補正手段による左右輪の駆動力補正量の和が前後輪ともにほぼ0になり且つ左右前輪1、2の舵角δ1,δ2が大きくなるに連れて後輪各輪3、4の駆動力補正量を対角位置にある前輪の駆動力補正量に対して小さくする。即ち、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=1:−1:−cosδ1:cosδ1の関係とすることにより、例えば、左右前輪1、2は、滑り角βiが大きく且つ左右輪共に駆動力がほぼ0の走行状態、若しくは、滑り角βiが十分小さく且つ左右輪1、2の駆動力配分を任意に行っており、左右後輪3、4は左右輪の輪荷重比Wiで左右各輪3、4の駆動力配分を行っている走行状態である場合に、いずれかの車輪1〜4のスリップやロック等の防止のために制駆動力を補正するとき、前後方向および横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiをより一層平易に求めることができ、演算を行う計算機(コントローラ8)のメモリーや処理の低減が期待できる。
(カ)駆動力補正手段は、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、左前輪1、右前輪2、左後輪3、右後輪4の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、四輪独立駆動車のトレッド長さをLt、ホイールベース長さをLとして、
ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
=[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):−[(Lt/L)(h3−h1)+h1(h4−h3)]/(cosδ2−k2sinδ2):−[(Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/(cosδ4−k4sinδ4)
ただし、hi=(sinδi+kicosδi)/(cosδi−kisinδi)
の関係となるよう設定することにより、前記(イ)〜(オ)に含まれない各走行状態においても、いずれかの車輪1〜4のスリップやロック等の防止のために制駆動力を補正するとき、前後方向および横方向の加速度と車両重心周りのヨーモーメントの変化を抑える各輪1〜4の制駆動力補正量ΔFxiを高精度に求めることができる。
本発明の一実施形態を示す四輪独立駆動車の駆動力配分装置のシステム構成図。 コントローラで実行される駆動力配分制御のフローチャート。 コントローラで実行される駆動力配分制御の図2Aに続くフローチャート。 4輪独立駆動車に加わる各輪の駆動力とタイヤ横力と車両重心周りのヨーモーメントを表した説明図。 アクセルペダルの踏み込み量と車体速に応じたドライバーの要求駆動力を表すマップ。 ブレーキペダルの踏み込み量に応じたドライバーの要求駆動力を表すマップ。 ステアリング回転角と車速に応じた車両の左右駆動力差の目標値を表すマップ。 コントローラに記憶させた制駆動力とタイヤ横力との関係を表す図。 各輪の舵角をδi(i=1〜4)だけ切った場合における、タイヤ力の車体前後方向成分及び車体横方向成分を示す説明図。 制駆動力とタイヤ横力との関係を表す特性図。 制駆動力とタイヤ横力との関係が左右前輪でほぼ相似形の近似した楕円となる状態を説明する特性図。 左右駆動力差を付けて左方向に定速旋回している走行状態から右後輪の駆動力が突然0になった状態を示す説明図。 図11の状態から十分ゆっくりと右後輪の駆動力を減らしていった場合における車体速,車体前後方向加速度,車体横方向加速度,ヨーレート,車体滑り角,各輪の駆動力変化のシミュレーション結果を示す説明図。 各輪の舵角δi(i=1〜4)が十分小さいという仮定の元で、4輪独立駆動車に加わる駆動力と横力と車両重心周りのヨーモーメントを表した説明図。
符号の説明
1〜4 車輪
5 ステアリング
6 アクセルペダル
7 ブレーキペダル
8 コントローラ
9 バッテリ
11〜14 モータ
15 ステアリングギヤ
16 ステアリングアクチュエータ
21〜24 車輪速センサ
25 ステアリング角センサ
26 アクセルストロークセンサ
27 ブレーキストロークセンサ
31〜34 インバータ
41〜44 舵角センサ
100 加速度センサ
101 ヨーレートセンサ

Claims (8)

  1. 四輪を夫々独立に駆動可能であり、車両の運動要求に基づいて四輪夫々の制駆動力を決定する制駆動力決定手段を備える四輪独立駆動車の駆動力配分装置において、
    左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度k1,k2,k3,k4を推定するタイヤ横力感度推定手段と、
    左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力を補正する手段と、を備え、
    前記制駆動力決定手段により決定された制駆動力を変更する場合には、前記駆動力補正手段は、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、前記車両の運動要求を満たすように左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4だけ補正することを特徴とする四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  2. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2および左右後輪の舵角δ3、δ4が夫々左右輪でほぼ等しく且つ左右前輪の感度k1とk2との差および左右後輪の感度k3とk4との差がほぼ0である場合には、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、
    ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
    =(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ3−k3sinδ3):−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)
    の関係とすることを特徴とする請求項1に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  3. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2および左右後輪の舵角δ3、δ4が夫々左右輪でほぼ等しい場合において、前記タイヤ横力感度推定手段で推定された各車輪の感度k1,k2,k3,k4が全てほぼ0である場合には、左右輪の駆動力補正量の和が前後輪ともにほぼ0になり且つ左右前輪の舵角δ1,δ2が左右後輪の舵角δ3,δ4に対して大きくなるに連れて後輪各輪の駆動力補正量を対角位置にある前輪の駆動力補正量に対して小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  4. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2および左右後輪の舵角δ3、δ4が夫々左右輪でほぼ等しい場合において、前記タイヤ横力感度推定手段で推定された各車輪の感度k1,k2,k3,k4が全てほぼ0である場合には、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=cosδ3:−cosδ3:−cosδ1:cosδ1の関係とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  5. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2がほぼ等しく且つ左右後輪の舵角δ3、δ4が共にほぼ0であり、左右前輪の感度k1とk2との差及び左右後輪の感度k3とk4との差がほぼ0である場合には、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、
    ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=1:−1:−(cosδ1−k1sinδ1):(cosδ1−k1sinδ1)
    の関係とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  6. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2がほぼ等しく且つ左右後輪の舵角δ3、δ4が共にほぼ0であり、左右前輪の感度k1とk2が共にほぼ0であり且つ左右後輪の感度k3とk4がほぼ等しい場合には、左右輪の駆動力補正量の和が前後輪ともにほぼ0になり且つ左右前輪の舵角δ1,δ2が大きくなるに連れて後輪各輪の駆動力補正量を対角位置にある前輪の駆動力補正量に対して小さくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  7. 前記駆動力補正手段は、左右前輪の舵角δ1、δ2がほぼ等しく且つ左右後輪の舵角δ3、δ4が共にほぼ0であり、左右前輪の感度k1とk2が共にほぼ0であり且つ左右後輪の感度k3とk4がほぼ等しい場合には、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、
    ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4=1:−1:−cosδ1:cosδ1
    の関係とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
  8. 前記駆動力補正手段は、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪夫々の舵角δ1,δ2,δ3,δ4と、該タイヤ横力感度推定手段で推定された感度k1,k2,k3,k4に基づいて、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の駆動力補正量ΔFx1,ΔFx2,ΔFx3,ΔFx4の比を、四輪独立駆動車のトレッド長さをLt、ホイールベース長さをLとして、
    ΔFx1:ΔFx2:ΔFx3:ΔFx4
    =[(Lt/L)(h4−h2)+h2(h4−h3)]/(cosδ1−k1sinδ1):−[(Lt/L)(h3−h1)+h1(h4−h3)]/(cosδ2−k2sinδ2):−[(Lt/L)(h4−h2)+h4(h2−h1)]/(cosδ3−k3sinδ3):[(Lt/L)(h3−h1)+h3(h2−h1)]/(cosδ4−k4sinδ4)
    ただし、hi=(sinδi+kicosδi)/(cosδi−kisinδi)
    の関係となるよう設定することを特徴とする請求項1に記載の四輪独立駆動車の駆動力配分装置。
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