JP2010151205A - 車両の駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の駆動力配分制御装置 Download PDF

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誠司 下平
Susumu Komiyama
晋 小宮山
Kensuke Ito
健介 伊藤
Hideaki Watanabe
英明 渡辺
Tetsuya Ikeda
哲也 池田
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Abstract

【課題】ヨーレート安定化を図る。
【解決手段】S200で、実ヨーレートが、静的目標ヨーレート(S100で演算)に到達したと判定するとき、S700に進み、未到達判定時はS300に進む。S300では、各輪の最大ヨーモーメントと、これを実現する各輪の制駆動力を算出し、S400で、この最大ヨーモーメントで得られる最大ヨーレートが、動的目標ヨーレート(S100で演算)以下であると判定したとき、S500で、最大ヨーモーメントを実現する各輪の駆動力和が動的目標駆動力と一致するよう各輪駆動力を補正する。S700では、実ヨーレートが静的目標ヨーレートに到達するまでに、最大ヨーモーメントを実現する駆動力配分を実行したか否かを判定し、実行していればS800で、ヨーモーメントが0で、各輪駆動力配分の和が、静的目標駆動力と等しくなるよう各輪駆動力配分を演算し、実行していなければS900で、各輪の静的駆動力配分をする。
【選択図】図5

Description

本発明は、前後少なくとも一方の左右輪に係わる左右輪制駆動力を独立に制御して得られる駆動力配分により車両挙動を制御するようにした車両の駆動力配分制御装置に関するものである。
このような車両の駆動力配分制御装置としては、従来から種々のものが提案されており、例えば特許文献1に記載のごときものがある。
この駆動力配分制御装置は、各輪の前後方向駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮しながら、目標のヨーレート応答を実現するよう、4輪の駆動力配分をフィードフォワード制御するものである。
特開2006−315661号公報
従来例の左右駆動力配分制御は、左右の駆動力配分を制御することによりヨーレート応答を目標値に一致させることを趣旨とするが、
車両の走行状態や路面状態によっては駆動力が想定通りに路面に伝えられないことがあり、この場合、ヨーレートの応答を目標値に制御できないばかりでなく、車両挙動が不安定になる懸念もある。
かかる懸念を払拭するためには、駆動力が想定通りに路面に伝えられる範囲内に目標ヨーレート応答を制限するのが望ましい。
しかし従来は、上記のような状況に陥る車両走行状態や路面状態について、何らの考察もなされていないため、ヨーレートの応答を目標値に制御できなかったり、更に加えて車両挙動が不安定になるという問題を生ずる。
この問題解決のためには別に、タイヤ摩擦円の範囲内でタイヤの前後力と横力の合力が最大となるように制御することも考えられる。
しかし、ヨーモーメントに関してはタイヤの前後力と横力の合力が最大になる点が、必ずしもヨーモーメントを最大にする点ではなく、このような考え方によっても、上記の問題解決を完全には望み得ない。
そこで本発明は、上記のような考え方に代わる別の手法により、従来装置が抱える問題を解消し得るようにした車両の駆動力配分制御装置を提案することを骨子とし、具体的には、
現在の車両走行状態や路面状態のもとで車両のヨーモーメントが最大となるような駆動力配分制御として、現状で実現可能な最速のヨーレート応答を実現するようになし、
更に、当該最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた後に生ずるヨーレートの乱れを抑制すべく、ヨーモーメントが最大となる上記の駆動力配分を変更するが、この変更に際し、ヨーレートが目標値に維持されるような態様で駆動力配分の変更を行って、運転性の悪化を生じることのないようにした、車両の駆動力配分制御装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両の駆動力配分制御装置は、請求項1に記載のごとく、
前後少なくとも一方の左右輪に係わる左右輪制駆動力を独立に制御して得られる駆動力配分により車両挙動を制御するようにした車両の駆動力配分制御装置を要旨構成の基礎前提とし、
車速およびドライバによるアクセル操作量から車両の目標駆動力を算出する目標駆動力演算手段と、
車速およびドライバによるステアリング操作量に応じた目標ヨーレートを算出する目標ヨーレート演算手段と、
車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが最大となる各輪駆動力配分を演算する第一駆動力配分演算手段と、
各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる各輪駆動力配分を演算する第二駆動力配分演算手段と、
前記第一駆動力演算手段で演算された駆動力配分において実現される車両のヨーレートが前記目標ヨーレートに到達後、前記第二駆動力演算手段で演算された駆動力配分に切り替える駆動力配分切り替え手段とを設けて構成したものである。
かかる本発明の駆動力配分制御装置によれば、
先ず、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが最大となる各輪駆動力配分となし、
かかる駆動力配分により実現される車両のヨーレートが目標ヨーレートになった後は、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる各輪駆動力配分に切り替えることとなる。
このため先ずは、現在の車両走行状態や路面状態のもとで車両のヨーモーメントが最大となるような駆動力配分により、現状で実現可能な最速のヨーレート応答を実現することができる。
従って、駆動力が想定通りに路面に伝えられる範囲内に目標ヨーレート応答が制限され、ヨーレートの応答を目標値に制御できなかったり、車両挙動が不安定になることがあるという、従来装置の抱える前記の問題を解消することができる。
一方で、上記した現状で実現可能な最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた場合、ヨーレートの乱れが発生して運転性を悪化させる。
しかし本発明においては、上記最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた後は、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる駆動力配分に切り替えるため、上記ヨーレートの乱れを抑制しつつヨーレートを目標値に維持することができ、ヨーレートの乱れによる運転性の悪化を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図示の実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる駆動力配分制御装置を具えた車両の車輪駆動系、および、その制御システムを示す概略ブロック線図である。
図1の車両は、左右前輪1,2、および左右後輪3,4を具え、ステアリングホイール5によりステアリングギヤ15を介し左右前輪1,2を転舵して、車両の操向が可能である。
また、左右前輪1,2はそれぞれ個々のモータ11,12に結合し、左右後輪3,4もそれぞれ個々のモータ13,14に結合し、
これらモータ11〜14がバッテリ9から供給される電力により駆動されて、対応する車輪を個々に回転させることで、車両の走行が可能である。
モータ11〜14はそれぞれ、三相同期電動機や三相誘導電動機等の力行運転および回生運転ができる交流電動機であり、バッテリ9はニッケル水素電池或いはリチウムイオン電池である。
モータ11〜14用のインバータ16〜19は、モータ11〜14で発電された交流電流を直流電流に変換し、バッテリ9に充電させたり、或いはバッテリ9からの直流電流を交流電流に変換してモータ11〜14に供給する。
各車輪の回転速度ω1〜ω4は車輪速センサ21〜24によって検出し、検出した各車輪の回転速度ω1〜ω4をコントローラ8に送信する。
各車輪1〜4の有効回転半径Rは全て等しく、各モータと各車輪間は減速比Gの減速装置を介して、各車輪に駆動結合する。
車両の前後方向加速度および横方向加速度はそれぞれ、車両重心位置に取り付けられた加速度センサ100によって検出し、
車両の鉛直軸線周りのヨーレートはヨーレートセンサ101によって検出し、
これら検出された車両の前後方向加速度および横方向加速度と、ヨーレートをコントローラ8に送信する。
前輪1,2は、運転者によるステアリング5の操舵角がステアリングギヤ15を介し機械的に伝達されて主転舵される。
なお、前輪1,2の転舵角変化量はステアリングホイール5の操舵角変化量に対して1/16になるように設定する。
また各車輪1〜4の転舵角は、ステアリングホイール操舵角変化量とは独立して、ステア・バイワイヤ・システムにより電子制御可能となす。
各車輪1〜4の転舵角δ1〜δ4は、転舵角センサ31〜34によってこれらを検出し、検出された各車輪の転舵角δ1〜δ4をコントローラ8に送信する。
運転者によるステアリングホイール操舵角θは操舵角センサ25によって検出し、アクセルペダル6の踏込量(アクセル開度APO)はアクセル開度センサ26により検出し、ブレーキペダル7の踏込量BSTはブレーキストロークセンサ27によって検出し、
これら検出値をコントローラ8に送信する。
コントローラ8はCPU、ROM、RAM、インターフェース回路およびインバータ回路等からなり、
車輪速センサ21〜24、操舵角センサ25、アクセル開度センサ26、ブレーキストロークセンサ27、加速度センサ100、ヨーレートセンサ101等で検出した信号を基に、モータ11〜14をそれぞれ、本発明が狙いとする目標駆動力配分が実現されるようトルク制御する。
ここで、本発明が狙いとする目標駆動力配分制御の原理を以下に説明する。
前記特許文献1に記載された従来の駆動力配分制御は、ヨーレート応答を目標値に一致させるため左右の駆動力配分を制御するに際し、駆動力が想定通りに路面に伝えられない車両走行状態や路面状態の場合のことを考慮していないため、
これら車両走行状態や路面状態である場合に、ヨーレート応答を目標値に制御できないのは勿論のこと、更に加えて車両挙動が不安定になることがある。
かかる懸念を払拭するためには、駆動力が想定通りに路面に伝えられる範囲内に目標ヨーレート応答を制限したり、タイヤ摩擦円の範囲内でタイヤの前後力と横力の合力が最大となるように制御することが考えられる。
しかし後者の着想を適用する場合、ヨーモーメントに関してはタイヤの前後力と横力の合力が最大になる点が、必ずしもヨーモーメントを最大にする点ではないため、上記の懸念を完全には払拭しきれない。
上記したごとくヨーモーメントに関してはタイヤの前後力と横力の合力が最大になる点が、必ずしもヨーモーメントを最大にする点ではないことを、図2,3に基づき以下に説明する。
図2の太い実線および細い実線はそれぞれ、或る路面摩擦係数μと輪荷重Wのもとでの、タイヤ前後力Fxに対するタイヤ横力Fyの変化特性を、タイヤ横すべり角βごとに表したものである。
また図2の破線は、各タイヤ横すべり角βで制駆動力と横力の合力が最大となる点(Fx2+ Fy2 = μW)をプロットして示した、タイヤ摩擦円と称されるものである。
図3は、図2と同じ路面摩擦係数μおよび輪荷重Wのもと、タイヤ前後力Fxおよびタイヤ横力Fyを考慮して、タイヤが発生するヨーモーメントMの変化特性を、タイヤ横すべり角βごとに表したものである。
図2の太い実線は特に、タイヤ横すべり角βがβiの時の、タイヤ前後力Fxに対するタイヤ横力Fyの変化特性を示し、
図3の太い実線は特に、同じくタイヤ横すべり角βがβiの時の、ヨーモーメントMの変化特性を示す。
タイヤ横すべり角βがβiの時にタイヤ前後力Fxとタイヤ横力Fyの合力が最大になる点は、図2における太い実線と、同図に破線で示すタイヤ摩擦円との交点Aであるが、
図3で確認すると、タイヤ横すべり角βがβiの時に発生するヨーモーメントMが最大になる点は、図2のA点に相当するAではなく、図3の太い実線特性においてヨーモーメントMが最大になるB点である。
従って、ヨーモーメントに関してタイヤの前後力Fxと横力Fyの合力が最大になる点が、必ずしもヨーモーメントMを最大にする点ではなく、
タイヤ摩擦円の範囲内でタイヤの前後力Fxと横力Fyの合力が最大となるように制御しても、前記特許文献1に記載された従来の駆動力配分制御が抱える問題、つまり、駆動力が想定通りに路面に伝えられない車両走行状態や路面状態である場合に、ヨーレート応答を目標値に制御できないのは勿論のこと、更に加えて車両挙動が不安定になるという問題を解消し得ない。
そこで本発明においては、駆動力が想定通りに路面に伝えられる範囲内に目標ヨーレート応答を制限することを、つまり、現状で実現可能な最速のヨーレート応答を目標ヨーレート応答として、これが実現されるような駆動力配分制御にすることを趣旨とする。
しかし、ヨーレート応答が図4に細い実線で示すごとく遅い場合はヨーレートを目標値に滑らかに一致させ得るものの、上記した最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた場合、その後に図4に破線で示すごとくヨーレートの大きなハンチングなどの乱れを生じ、運転性の悪化を招く。
そのため本発明においては、図4に太い実線で示すごとく、現状で実現可能な最速のヨーレート応答でヨーレートを目標値に一致させた後は、これを実現するためのヨーモーメント最大用駆動力配分制御から、上記ヨーレートの乱れを抑制しつつ、ヨーレートが目標値に維持されるような駆動力配分制御へと変更して、上記運転性の悪化に関する問題を生じることのないようにする。
つまり先ずは、現在の車両走行状態や路面状態のもとで車両のヨーモーメントが最大となるようなヨーモーメント最大用駆動力配分制御により、現状で実現可能な最速のヨーレート応答を実現するようになし、
次いで、当該最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた後に生ずるヨーレートの乱れが抑制されるよう、ヨーモーメント最大用駆動力配分を変更するが、この変更に際し、ヨーレートが目標値に維持されるような態様で駆動力配分の変更を行って、運転性の悪化を生じることのないようになす。
上記した原理に基づき図1のコントローラ8が実行する、本実施例の駆動力配分制御を以下に説明する。
このコントローラ8が実行する各輪への駆動力配分制御は、図5のフローチャートにより示すごときもので、図5の制御プログラムは、例えば1サンプリング10[ms]のような一定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
先ずステップS100において、アクセル開度APO、車速V(車輪回転速度ω1〜ω4から求める)および操舵角θから、車両の静的目標駆動力Fx*、車両の動的目標駆動力Fx**、車両の静的目標ヨーレートγ*、車両の動的目標ヨーレートγ**、および、上記のFx*,γ*を実現する各輪の静的駆動力配分を演算する、目標車両挙動演算を行う。
次のステップS200においては、車両の実ヨーレートが、ステップS100で演算した静的目標ヨーレートγ* に到達しているかを判定し、到達していればステップS700の演算処理に進み、到達していない場合はステップS300の演算処理に進む。
ステップS300では、駆動力とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性を基に、路面摩擦係数と輪荷重と車輪横すべり角から、制駆動力に応じて各輪が発生する最大ヨーモーメントと、この最大ヨーモーメントを実現する各輪の制駆動力を算出する。
次のステップS400では、ステップS100で演算した動的目標ヨーレートγと、ステップS300で演算した最大ヨーモーメントから演算される最大ヨーレートとを比較し、
動的目標ヨーレートγの絶対値が最大ヨーレートの絶対値以上であれば、ステップS500の処理に進み、動的目標ヨーレートγの絶対値が最大ヨーレートの絶対値より小さい場合はステップS1000の処理に進む。
ステップS500では、ステップS300で演算した最大ヨーモーメントを実現する各輪の駆動力の和が、ステップS100で演算した車両の動的目標駆動力Fx と一致するように各輪の駆動力を補正し、
次のステップS600では制御パラメータの判定フラグFlagを1にする。
ステップS700では、実ヨーレートが、ステップS100で演算した静的目標ヨーレートγに到達するまでに、ステップS500で演算した最大ヨーモーメントを実現する駆動力配分を実行したか否かを判定し、
実行していればステップS800の演算処理に進み、実行していなければステップS900の演算処理に進む。
ステップS800では、車両のヨーモーメントが0で、且つ、各輪の駆動力配分の和が、ステップS100で演算した車両の静的目標駆動力Fx,と等しくなるように各輪の駆動力配分を演算する。
ステップS900では、ステップS100で演算した各輪の静的駆動力配分を指令値として出力する。
ステップS1000では、ステップS100で演算した車両の動的目標ヨーレートγを実現する各輪の駆動力配分を演算する。
次のステップS1100では制御パラメータの判定フラグFlagを0にする。
以下、上記した各演算処理を詳述する。
<目標車両挙動演算S100の処理>
ステップS100での目標車両挙動演算は、図6に示す制御プログラムに沿って当該演算処理を行う。
ステップS101では、車輪速センサ21〜24からの信号を基に各輪1〜4の回転速度ω1,ω2,ω3,ω4(単位:rad/s)を検出し、これら車輪回転速度ω1,ω2,ω3,ω4にそれぞれ各輪の半径Rを乗じて各輪の周速度V1,V2,V3,V4(単位:m/s)を得ると共に、車速V(単位:m/s)を次式(1)の演算により求める。
V=(V1+V2+V3+V4)/4 ・・・(1)
ステップS101では更に、アクセル開度センサ26およびブレーキストロークセンサ27からの信号を基に、アクセルペダル6の踏み込み量(アクセル開度)APOおよびブレーキペダル7の踏み込み量BST(単位:%)を検出すると共に、
操舵角センサ25からの信号を基に、ステアリングホイール5の操舵角θ(単位:rad)を検出する。
ステップS101では同時に、加速度センサ100からの信号を基に、車両の前後方向加速度α(単位:m/s2)および横方向加速度α(単位:m/s2)を検出し、
ヨーレートセンサ101からの信号を基に、ヨーレートγ(単位:rad/s)を検出し、
転舵角センサ31〜34からの信号を基に、各車輪1〜4の転舵角δ1234を検出する。
なお車速Vおよび車輪速V1〜V4はそれぞれ車両前進方向を正とし、ステアリングホイール操舵角θは反時計回りを正とし、前後方向加速度αは車両前方向加速度を正とし、横方向加速度αは車両の左旋回時に車両重心位置から旋回中心に向かう横方向加速度を正とし、ヨーレートγは車両を延長軸線方向上方からみたときの反時計回り方向ヨーレートを正とする。
なお、転舵角センサ31〜34を持たない車両の場合、ステアリングホイール5の操舵角θから各輪の転舵角を求めるようにする。
本実施例では、ステアリングギヤ比が前記した通り1/16であることから、前輪1,2の転舵角δ12をδ1=δ2=θ/16とし、
後輪3,4の転舵角δ34をδ3=δ4=0とする。このような場合には、コンプライアンスステアやロールステア等、サスペンションの影響を考慮して、各輪の転舵角を補正するのが良い。
図6のステップS102では、各輪1〜4の横すべり角β1, β2, β3, β4(単位:rad)を推定する。
横すべり角推定方法は、例えば、特開平10-329689に記載された周知の方法を用い、
ステップS101で検出、若しくは推定した横方向加速度αy、ヨーレートγ、車速V、各輪転舵角δi、およびステアリングホイール操舵角θから車体横すべり角βと、各輪すべり角βiとを推定する。
なお各輪すべり角βiの符号は、車輪の前後方向から車輪速度の方向までの角度が鉛直上方から見て反時計回りになっている場合を正とする。
ステップS103では、各輪1〜4の輪荷重W1,W2,W3,W4(単位:N)を、以下の式(2)〜式(5)の演算により求める。
Figure 2010151205
ただしLfは、車両重心位置から前輪車軸までの距離(単位:m)、
Lrは、車両重心位置から後輪車軸までの距離(単位:m)、
Ltは、前後輪のトレッド長さ(単位:m)、
Llは、ホイールベース長さ(単位:m)で、Ll = (Lf + Lr )、
hは、車両重心の高さ(単位:m)、
mは車両の質量(単位:kg)、
gは、重力加速度(単位:m/s2)である。
ステップS104では、各輪1〜4の路面摩擦係数μ1234(単位:なし)を推定する。
その推定方法は、例えば特開平6-98418に記載されている周知の方法を用い、各輪が路面から受ける反力を推定し、この路面反力と、ステップS103で求めた各輪の輪荷重Wiからμiを推定する。
ステップS105では、車両の静的目標駆動力Fx*を、アクセルペダル6の踏み込み量(アクセル開度)APOと、ブレーキペダル7の踏み込み量BSTと、車体速Vとに基づいて、次式(6)の演算により求める。
Figure 2010151205
なお上式(6)中のFax*は、アクセルペダル6の踏み込み量(アクセル開度APO)および車体速Vから、図7に例示する目標駆動力マップを参照して求めた目標駆動力であり、
またFbx*は、ブレーキペダル7の踏み込み量BSTから、図8に例示する目標制動力マップを参照して求めた目標制動力である。
ここで、Fx*,Fax* ,Fbx*は何れも、車両を前方に加速させる向きを正とする。
上記が本発明における目標駆動力演算手段に相当する。
ステップS106では、ステップS105で設定したFx*と、ステアリングホイール5の操舵角θと、車両速度Vとに基づいてヨーレートの静的目標値γ*を、目標ヨーレートマップの参照により設定し、
さらに、各輪の静的駆動力配分Fxi*を、目標駆動力配分マップの参照により演算する。
上記の目標ヨーレートマップは、例えば図9のように設定されたマップであり、
また上記の目標駆動力配分マップは、例えば図10〜13(図11は左前輪用、図12は右前輪用、図13は左後輪用、図12は右後輪用)のように設定されたマップである。
これら目標ヨーレートマップおよび目標駆動力配分マップの設定方法を以下に説明する。
なお本実施例では、車両の総駆動力を輪荷重比に応じて各輪に配分した時の、静的ヨーレート目標値、および静的駆動力配分目標値について説明する。
まず、ステアリングホイール5の操舵角をθ´、車両の総駆動力をFx´とし、Fx´を走行時の輪荷重比に応じて各輪に配分してシミュレーション、或いは実験によって車両を走行させる。
次に、走行時の車両横方向力による輪荷重の変化に応じて各輪に配分する駆動力を収束演算する。
十分時間が経過して車速V´が一定(定常状態)になったときの各輪駆動力Fxi´とヨーレートγ´を求める。
最後に、今シミュレーション、或いは実験を行った時のθ´、V´、Fx´に対応したFxi´、γ´を目標駆動力配分マップ、目標ヨーレートマップに設定してゆく。
上記が本発明における目標ヨーレート演算手段に相当する。
ステップS107では、車両の静的目標駆動力Fx*、ヨーレートの静的目標値γ*に対し、過渡の応答速度が任意の値になるよう、車両の総駆動力の動的目標駆動力Fx**、およびヨーレートの動的目標ヨーレートγ**を設定する。
これら設定方法は任意であるが、例えば、静的目標値に対し1次遅れの伝達関数を用いて、動的目標値を設定する方法などがある。
<目標ヨーレート到達判定S200の処理>
図5のステップS200で、図1におけるヨーレートセンサ101により検出した実ヨーレートγが、ステップS106で演算したヨーレートの静的目標値γ*に到達しているか否かの判定を行うに際しては、これを以下のように行う。
なお車両の実ヨーレートγは、タイヤの駆動力Fxiとタイヤ横力Fyiとの関係を表すタイヤ特性マップ(図14参照)に基づいて、各輪の現在の横すべり角βi ( i=1〜4)、各輪の輪荷重Wi ( i=1〜4)、および各輪の路面摩擦係数μi ( i=1〜4)から、各輪の駆動力Fxi ##( i=1〜4)とタイヤ横力Fyi ##( i=1〜4)を演算し、以下の式(7)を用いて演算した車両のヨーモーメントM##を車両のヨー慣性モーメントIで除した値を積分して推定してもよい。
Figure 2010151205
ところで図15に示すように、(7)式中におけるLfは、車両重心位置から前輪車軸までの距離(単位:m)、Lrは、車両重心位置から後輪車軸までの距離(単位:m)、Ltは、前後輪の左右輪間トレッド幅(単位:m)である。
なお、タイヤ横力Fyi ##の演算に際して用いる各輪の現在の横すべり角βi、各輪の輪荷重Wi、各輪の路面摩擦係数μiの演算方法は、後の<最大ヨーモーメント演算S300の処理>の項で後述する。
<最大ヨーモーメント演算S300の処理>
図5のステップS300で最大ヨーモーメントを演算するに際しては、図16の制御プログラムを実行して当該演算を行う。
ステップS301では、ステップ102,103,104で推定および演算した各輪の横すべり角μi、輪荷重Wi、および路面摩擦係数μiを読み込む。
次のステップS302では、ステップS301で読み込んだ各輪の横すべり角μi、輪荷重Wi、および路面摩擦係数μiを基に、各輪で発生する最大ヨーモーメントMimaxを演算する。
この演算に当たっては、タイヤの横すべり角μi、輪荷重Wi、および路面摩擦係数μiに基づき、タイヤの制駆動力に応じて各輪で発生するヨーモーメントの特性を予め、図17に例示するごとくに求めておき、これに対応するマップを基に各輪の最大ヨーモーメントMimaxを演算する。
図17の特性マップに基づく各輪最大ヨーモーメントMimaxの演算方法を、以下に説明する。
まず各輪の横すべり角βi、各輪の輪荷重Wi、路面摩擦係数μiに基づいて、図14のように設定される駆動力Fxiとタイヤ横力Fyiとの関係を表すタイヤ特性マップから、或るFxiの大きさの制駆動力を出力した場合のタイヤ横力Fyiを、Fxiが最小値から最大値まで変化した場合につき、各輪ごとにそれぞれ演算する。
そして、各タイヤでFxiおよびFyiが出力された場合に、それぞれのタイヤが発生するヨーモーメントを、以下の(8)式〜(11)式の演算により求める。
Figure 2010151205
なお、操舵輪である左右前輪については、それらに係わるヨーモーメントを演算するに際し、図18および以下の(12)式、(13)式のごとく、前輪舵角分だけ回転変化した値を用いてヨーモーメントを演算する。
尚、ヨーモーメントは、反時計周りを正として演算することとする。
Figure 2010151205
式(8)〜式(11)のFxiに対するMiをそれぞれ演算した結果の一例が図17に示す特性マップであり、この図から、各輪の横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiに対する最大ヨーモーメントを新たにマップにしておくことで、各輪の最大モーメントMimaxを算出することができる。
すなわち、図17において各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数の基でのヨーモーメント特性がそれぞれ、例えば図に太線で示されるものである場合について説明すると、
この太線特性においてヨーモーメントが最大になる点、つまり図17に●印を付して示す点におけるヨーモーメントが出力されるマップを予め作成しておくことで、これを基に最大ヨーモーメントを算出することができる。
ただし、図17でヨーモーメントが最大になる点は、タイヤがスリップを起こさない範囲で最大となる点であり、スリップ率の絶対値が或る閾値以下(本実施例では、この閾値を摩擦力が最大となる理想スリップ率に対応した0.15に設定)となる駆動力で実現可能なヨーモーメントの範囲内で最大のヨーモーメントをマップに設定してゆく。
次いで図16のステップS303において、各輪の最大ヨーモーメントを実現するための各輪の制駆動力Fximaxを算出する。
この算出に際しては、ステップS302で用いた図17に●印で示す点に対応する制駆動力を予めマップ化しておき、このマップを基に各輪の最大ヨーモーメント実現用制駆動力Fximaxを算出することができる。
次のステップS304においては、ステップS302で上記のごとくに求めた各輪の最大ヨーモーメントMimaxの総和、すなわち、現状で車両が実現可能な最大ヨーモーメントMmaxを演算し、
その後、この演算した最大ヨーモーメントMmax を車両のヨー慣性モーメントIで除した値を積分して、現状で車両が実現可能な最大ヨーレートγmaxを求める。
なお、ヨーレートγmaxの初期値は0とする。
<最大ヨーレートと目標ヨーレートの大小判定S400>
図5のステップS400においては、ステップS107で演算したヨーレートの動的目標値γ**と、ステップS304で演算した最大ヨーレートγmaxとを大小判定して、後者の絶対値が前者の絶対値以上であるか否かをチェックする。
<第一駆動力配分演算S500の処理>
図5のステップS600においては、ステップS303で演算した各輪の最大ヨーモーメントを実現する各輪の制駆動力の和Fmax_allと、ステップS107で演算した車両前後方向力の動的目標駆動力Fx**の大小を比較する。
Fmax_allがFx**以下の場合、Fmax_allがFx**を実現し、且つ限界ヨーレートの変化量が最小になるように内輪の制動力を減少させる方向に補正する。
補正する方法は、後記「各輪制駆動力補正演算A」の項において詳述する。
同様に、Fmax_allがFx**より大きいの場合、Fmax_allがFx**を実現し、且つ限界ヨーレートの変化量が最小になるように外輪輪の駆動力を減少させる方向に補正する。
補正する方法は、後記「各輪制駆動力補正演算B」の項において詳述する。
以下、本発明における第一駆動力配分演算手段に相当する2つの演算部分、つまり第一駆動力配分演算Aおよび第一駆動力配分演算Bについて順次説明する。
<第一駆動力配分演算A>
Fmax_allがFx**以下の場合は、Fmax_allを増加方向に駆動力を補正する必要がある。
ここで再び図17に着目すると、各輪で最大ヨーモーメントを実現する制駆動力(図中●印○の点)を太い実線に沿って横軸の右方向に補正することで、Fmax_allは増加する。
ここで、外輪の駆動力を右方向に補正すると、ステップS302で記述したスリップ率が閾値を超えてしまうため、補正をするのは内輪の制動力とする。
内輪に係わる制動力補正演算の方法としては、以下に2つの方法がある。
(内輪制動力補正演算方法1)
これは、内輪のうち、前輪と後輪に対する補正量ΔFxiを繰り返し演算により求める方法である。
この場合の演算処理を、図19のフローチャートにより以下に説明する。
ステップS501では動的目標値Fx**から、各輪の限界ヨーレートを実現する各輪の制駆動力の和Fmax_allを減算し、制動力補正量ΔFxを算出する。
ステップS502では、内輪となる前輪と後輪について補正する駆動力を繰り返し演算する際の演算回数をリセットする。
繰り返し演算する回数は、コントローラ8で制御演算している1サンプリング中に実行可能な値に設定する。
例えば、コントローラ8で制御演算している1サンプリングが10[ms]であり、補正演算部を2[ms]とした場合、繰り返し演算は5以下に設定する。
ステップS503では、ステップS501で演算した補正量ΔFxを、設定した繰り返し演算回数Nで除して得られる制動力ΔFx´を、前輪、後輪にそれぞれ補正した場合、内輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度ki(i=1,3)を求める。
ここで感度ki(i=1,3)について、図20を基に説明する。
図20は、図17に示す内輪に係わるヨーモーメント特性の●印で示す点において、前輪と後輪の制動力にそれぞれ微小の駆動力ΔFxを加えた時のヨーモーメント変化量ΔM1,ΔM3を示した図である。
感度ki(i=1,3)は、ΔFxとΔM1およびΔM3から、内輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の傾きを意味し、
感度kiは、図17に示す特性から各駆動力ごとに、異なる駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量をマップ化しておき、
現時点のFx1とFx3からΔFx´を変化させた場合のヨーモーメント変化量を演算し、これをΔFx´で除して求める。
ステップS504においては、ステップS503で演算した感度kiのうち、kiが小さい方の内輪の制動力にΔFx´の補正を加える。
Kiが小さい方の内輪の制動力にΔFx´を補正することで、制動力を補正することによる最大ヨーモーメントの変化量を最小限にすることができる。
ステップS505では繰り返し演算回数が設定した値か否かを判定し、設定した値でなければ、ステップS503に制御を戻して上記の演算を繰り返し、設定した値であれば演算を終了し、ステップS504で補正した各輪の制駆動力を出力する。
上記のような繰り返し演算により、前後輪の補正量を演算することで、最大ヨーモーメントの変化量を最小値にする制動力の補正値を、精度良く演算することができる。
(内輪制動力補正演算方法2)
これは、内輪のうち、前輪と後輪いずれかの制動力のみを補正する方法である。
この場合の演算処理を、図21のフローチャートにより以下に説明する。
ステップS511では、動的目標値Fx**から、各輪の限界ヨーレートを実現する各輪の制駆動力の和Fmax_allを減算し、制動力補正量ΔFxを算出する。
ステップS512では、制動力補正量ΔFxを前輪、後輪にそれぞれ補正した場合の感度kiを求める。
感度kiの演算に際しては、ステップS302で記述した、各輪が発生する最大ヨーモーメントを算出するマップを作成する際に、制動力にそれぞれ微小なΔFxの補正を加えて時の制駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量の傾きを感度kiとして予めマップに設定しておき、これを基に各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数から各輪のkiを算出することとする。
ステップS513では、上記演算した感度kiが小さい方の内輪の制動力に対しΔFxの補正を加える。
ステップS302で演算した外輪駆動力、および、ステップS302で演算した内輪制動力と、ステップS513で補正した制駆動力を各輪の駆動力指令値とする。
上記補正演算方法2は、前記補正演算方法1に比べ、最大ヨーモーメントの変化量を最小値にする制動力補正値の精度が低下するが、
繰り返し演算がなく、さらに各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数から各輪のkiを求める時に用いるマップが、図17に示すマップよりもデータ量の少ないものであるため、演算負荷を低減することができる。
<第一駆動力配分演算B>
Fmax_allがFx**より大きい場合は、Fmax_allが減少する方向に駆動力を補正する必要がある。
ステップS500と同様に再び図17に着目すると、各輪で最大ヨーモーメントを実現する制駆動力(図中●印の点)を、太い実線に沿って横軸の左方向に補正することで、Fmax_allは減少する。
ここで、内輪の制動力を左方向に補正すると、ステップS302で記述したスリップ率が閾値を超えてしまうため、補正をするのは外輪の駆動力を補正する。
外輪の駆動力のうち、前輪と後輪のどちらの駆動力を補正するかを、図22に基づき以下に説明する。
図22は、図17に示す外輪ヨーモーメント特性上の●点において、前輪と後輪の駆動力をそれぞれ微小なΔFxだけ補正した時のヨーモーメント変化量ΔM2,ΔM4を示した図である。
ΔFxと、ΔM2およびΔM4とから、外輪の駆動力変化に対するヨーモーメント変化の感度ki(i=2,4)をそれぞれ求め、kiが小さい方の外輪の駆動力に対しΔFxの補正を加える。
かように感度kiの演算をすることで、駆動力を補正することによる最大ヨーモーメントの変化量を最小限にすることができる。
上記外輪駆動力の補正演算に際しては、先の「各輪制駆動力補正演算A」における「内輪の制動力」を「外輪の駆動力」と読み替えて、図23(外輪駆動力補正演算方法1)または図24(外輪駆動力補正演算方法2)に示すごとく、先の「各輪制駆動力補正演算A」と同様な要領で当該演算を行うことができる。
(外輪駆動力補正演算方法1)
これは、外輪のうち、前輪と後輪に対する補正量ΔFxiを繰り返し演算により求める方法である。
この場合の演算処理を、図23のフローチャートにより以下に説明する。
ステップS521では動的目標値Fx**から、各輪の限界ヨーレートを実現する各輪の制駆動力の和Fmax_allを減算し、駆動力補正量ΔFxを算出する。
ステップS522では、外輪となる前輪と後輪について補正する駆動力を繰り返し演算する際の演算回数をリセットする。
繰り返し演算する回数は、コントローラ8で制御演算している1サンプリング中に実行可能な値に設定する。
例えば、コントローラ8で制御演算している1サンプリングが10[ms]であり、補正演算部を2[ms]とした場合、繰り返し演算は5以下に設定する。
ステップS523では、ステップS521で演算した補正量ΔFxを、設定した繰り返し演算回数Nで除して得られる駆動力ΔFx´を、前輪、後輪にそれぞれ補正した場合、外輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度ki(i=2,4)を求める。
ステップS524においては、ステップS523で演算した感度kiのうち、kiが小さい方の外輪の駆動力にΔFx´の補正を加える。
Kiが小さい方の外輪の駆動力にΔFx´を補正することで、制動力を補正することによる最大ヨーモーメントの変化量を最小限にすることができる。
ステップS525では繰り返し演算回数が設定した値か否かを判定し、設定した値でなければ、ステップS523に制御を戻して上記の演算を繰り返し、設定した値であれば演算を終了し、ステップS524で補正した各輪の制駆動力を出力する。
上記のような繰り返し演算により、前後輪の補正量を演算することで、最大ヨーモーメントの変化量を最小値にする制動力の補正値を、精度良く演算することができる。
(外輪駆動力補正演算方法2)
これは、外輪のうち、前輪と後輪いずれかの駆動力のみを補正する方法である。
この場合の演算処理を、図24のフローチャートにより以下に説明する。
ステップS531では、動的目標値Fx**から、各輪の限界ヨーレートを実現する各輪の制駆動力の和Fmax_allを減算し、駆動力補正量ΔFxを算出する。
ステップS532では、駆動力補正量ΔFxを前輪、後輪にそれぞれ補正した場合の感度kiを求める。
ステップS533では、上記演算した感度kiが小さい方の外輪の駆動力に対しΔFxの補正を加える。
ステップS302で演算した外輪駆動力、および、ステップS302で演算した内輪制動力と、ステップS533で補正した制駆動力を各輪の駆動力指令値とする。
上記補正演算方法2は、前記補正演算方法1に比べ、最大ヨーモーメントの変化量を最小値にする制動力補正値の精度が低下するが、
繰り返し演算がなく、さらに各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数から各輪のkiを求める時に用いるマップが、図17に示すマップよりもデータ量の少ないものであるため、演算負荷を低減することができる。
<制御パラメータ判定S600の処理>
図5のステップS600では、制御パラメータの判定フラグFlagを1にする。
尚、この判定フラグFlagの初期値は0とする。
<第一駆動力配分演算実行判定S700の処理>
図5のステップS700では、車両に搭載されているヨーレートセンサ101で検出した実ヨーレートが、ステップS106で演算したヨーレートの静的目標値γ*に到達した際に、ステップS500の第一駆動力配分演算が実行されたか否かを判定する。
ステップS500の第一駆動力配分演算が実行されると、制御パラメータの判定フラグFlagが1に設定されるので、判定フラグFlagが1ならば、ステップS800の演算に進み、判定フラグFlagが0ならばステップS900の演算に進む。
<第二駆動力配分演算S800の処理>
図5のステップS800では、車両のヨーモーメントが0で、且つ各輪の駆動力配分の和が、ステップS105で演算した静的目標駆動力Fx*と等しくなるように、各輪の駆動力配分を補正する。
従ってステップS800は、本発明における第二駆動力配分演算手段に相当する。
なお、かかる各輪駆動力配分の補正に際しては、以下の2つの方法を用いることができ、これらの方法を以下に詳述する。
<第二駆動力配分演算方法その1>
この第二駆動力配分演算方法は、車両のヨーモーメントが0となる駆動力配分を先ず演算し、
車両ヨーモーメントを0に維持しながら、各輪の駆動力配分の和が、ステップS105で演算した静的目標駆動動力Fx*と等しくなるように、各輪の駆動力配分を補正する方法である。
この第二駆動力配分の演算処理は図25に示すごときものとし、以下、この図に示されたフローチャートを詳述する。
ステップS801では、車両のヨーモーメントが0となる駆動力配分を演算する。
この演算に際しては、タイヤの制駆動力に応じて各輪が発生するヨーモーメントの特性を予め求めておいた図17に示すマップを基に、タイヤの横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiから、現在のタイヤの横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiにおいて各輪のヨーモーメントの和が0となる駆動力配分を選択する。
各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数におけるヨーモーメント特性がそれぞれ、例えば図26に太い実線で示すようなものである場合、
このヨーモーメント特性において各輪のヨーモーメントの和が0になる点(図26では、内輪の前後輪でヨーモーメントの和が0、外輪の前後輪でヨーモーメントの和が0となるような駆動力配分を●印で示す)を算出する。
なお図26では、内輪の前後輪でヨーモーメントの和が0、外輪の前後輪でヨーモーメントの和が0となるような駆動力配分を算出しているが、
各輪で発生するヨーモーメントの総和が0になる駆動力配分であれば、どの配分でも構わない。
各輪の駆動力配分の算出に当たっては、図17に示す特性マップの中からヨーモーメントの総和が0となる駆動力配分の組み合わせを探索して演算してもよいし、
例えば図17の特性マップを予め演算する際に、各輪の横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiに対して各輪のヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力配分を予め演算しておき、新たにマップ化しておくことでも演算が可能である。
つまり、例えば図26の●印点に各輪の駆動力マップを予め作成しておくことで、各輪の駆動力配分を算出することができる。
ただし、いずれの方法を用いるにしても、ヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力は、タイヤのスリップ率の絶対値がある閾値以下(ここでは閾値を、摩擦係数が最大となる理想スリップ率0.15に設定)となる駆動力の範囲内で選択することとする。
かようにすることにより、タイヤがスリップを起こさない範囲内で各輪のヨーモーメントの総和が0となる駆動力配分を演算することが可能となる。
また、図1に示すごとく4輪独立に制駆動力を制御可能な車両において、各輪のヨーモーメントの総和が0となるように駆動力配分を算出する方法としては、
図28に示すように、各輪のヨーモーメントが0となる駆動力配分でもよい。
ステップS802では、ステップS801で演算した各輪のヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力配分の和と、ステップS105で演算した静的目標駆動動力Fx*とを比較し、
ヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力配分の和が静的目標駆動動力Fx*より小さい場合は、制御をステップS803の演算に進め、
各輪のヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力配分の和が静的目標駆動動力Fx*以上の場合は、制御をステップS804に進める。
ステップS803では、ステップS801で演算した各輪の駆動力に対して、駆動力をΔFxだけ変化させた場合のヨーモーメント変化量ΔMの感度ki(i=1〜4)を求め、
演算した感度ki(i=1〜4)のうち異符号の二輪に対して、各輪のヨーモーメントの総和が0である状態を維持しながら、それぞれの感度の比に応じて各輪に対する補正量を演算する。
感度kiについては前述のステップS500(第一駆動力配分演算)と同様であるが、駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量が十分線形近似可能な範囲内において、感度kiを演算する。
すなわち、感度kiに駆動力補正量ΔFxを乗じて演算したヨーモーメント変化量ΔMと、図17の特性マップから求めた、実際に駆動力をΔFxだけ補正した時のヨーモーメント変化量との誤差が微小な範囲内(ここでは、この誤差を1%未満とする)で感度kiを演算すると、駆動力補正量の演算精度が更に向上する。
以下に、感度kiの演算を、図29に基づき詳細に説明する。
図29は、図26の●印で示す点の駆動力に関する感度ki(i=1〜4)を演算し、この感度が異符号のk3とk4とに係わる図である。
後内輪用の補正駆動力をΔF3'、後外輪用の補正駆動力をΔF4'と仮定すると、各輪のヨーモーメントの総和を0とするため、次式(14)が成り立つように駆動力配分を補正する。
k3×ΔF3'+ k4×ΔF4'=0 ・・・(14)
この式(14)から、ΔF3':ΔF4'= 1:- k3 / k4 の比になるよう後内輪と後外輪の駆動力を補正する。
上記の補正量の演算を1サンプリング中に複数回繰り返し、(ΔF3'+ΔF4')の積分値が、ステップS801で演算した各輪のヨーモーメントの総和が0となる各輪の駆動力配分の和と、ステップS105で求めた静的目標駆動動力Fx*との差に等しくなるまで行う。
尚、本実施例では補正する車輪を後内輪および後外輪の組み合わせにしたが、感度kiが異符号の二輪であればどの組み合わせでも構わない。
また、感度kiが異符号の二輪を選択する際に、ステップS801で演算した各輪の駆動力と、各輪が路面に伝達可能な駆動力との差が大きい方のタイヤをそれぞれ選択する。
尚、路面に伝達可能な駆動力は、路面摩擦係数と、輪荷重と、横すべり角とから、タイヤの駆動力と横力の関係を表すタイヤ特性を基に演算することができる。
上記のようにして、補正する二輪を選択することで、駆動力を補正する際にタイヤのスリップ発生を抑制し、車両挙動を安定に保ちながら車両のヨーレートを目標値に維持しつつ、ドライバの要求する駆動力を実現するように駆動力補正を行うことができる。
上記の駆動力補正を、図30に基づき以下に説明する。
図30は、図26の●印点における駆動力で感度が負の二輪を示しており、それぞれの車輪の伝達可能最大駆動力との差が大きい後内輪を補正する輪の一つとして選択する。
感度が正の二輪に対しても同様に選択し、それぞれで選択された二輪に対して上述した駆動力補正演算を行う。
更に、感度kiが異符号の二輪を選択する際に、感度kiが異符号で感度の絶対値が小さいタイヤをそれぞれ選択して補正量を演算することができる。
この場合、ヨーモーメント変化量を0に維持しながら各輪の駆動力を補正する際に、繰り返し演算ごとの駆動力補正量が大きくなり、少ない繰り返し演算回数で駆動力を補正することが可能になる。
これにより、各輪のヨーモーメントの総和が0である状態を維持しながら、駆動力の補正をすることで、演算負荷を低減することができる。
図25のステップS804においては、ステップS803と同様の処理を各輪の駆動力が減少する方向に駆動力を補正する。
(第二駆動力配分演算方法その2)
この第二駆動力配分の演算方法は、各輪の駆動力配分の和が、ステップS105で演算した静的目標駆動動力Fx*と等しくなる駆動力配分を先ず演算し、
各輪の駆動力配分の和が静的目標駆動動力fx*に維持されながら、各輪のヨーモーメントの総和が0となるように、各輪の駆動力配分を補正する方法である。
かかる駆動力配分の演算処理を、図31に基づき詳述する。
ステップS811では、各輪の駆動力配分の和が静的目標駆動動力Fx*と等しくなる駆動力配分を演算する。
ここでは、静的目標駆動動力Fx*を各輪に均等に配分した時の動力配分を算出しているが、各輪の駆動力の和が静的目標駆動動力Fx*と等しくなる駆動力配分であれば、どの配分でも構わない。
ただし、各輪の駆動力の和が静的目標駆動動力Fx*と等しくなる各輪の駆動力は、タイヤのスリップ率の絶対値が或る閾値以下(本実施例ではこの閾値を、理想スリップ率の0.15に設定)となる駆動力の範囲内で選択することとする。
かようにすることにより、タイヤがスリップを起こさない範囲で各輪の駆動力の和が静的目標駆動動力Fx*に等しくなる駆動力配分を演算することが可能となる。
次のステップS8812においては、ステップS811で演算した各輪の駆動力の和が静的目標駆動動力Fx*と等しくなる駆動力配分において、各輪で発生するヨーモーメントを算出し、
各輪のヨーモーメントの総和が負であれば制御をステップS813へ進み、各輪のヨーモーメントの総和が0以上であれば制御をステップS814へ進める。
なお、ステップS811で演算した駆動力配分における各輪の発生ヨーモーメントを算出するに際しては、
タイヤの制駆動力に応じて各輪で発生するヨーモーメントの特性を予め演算しておいた図17に示すマップを基に、タイヤの横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiから、現在のタイヤの横すべり角βi、輪荷重Wi、路面摩擦係数μiのもと、ステップS801で演算した駆動力配分に対応するヨーモーメントを算出する。
各輪の横すべり角、輪荷重、路面摩擦係数におけるヨーモーメント特性がそれぞれ、例えば図32で太い実線で示されるようなものである場合には、
静的目標駆動動力Fx*を各輪に均等に配分した時の駆動力配分(図32の●印点における配分)に対するヨーモーメントを、図17に示すマップから算出する。
ステップS813では、ステップS811で演算した各輪の駆動力に対して、微小に駆動力をΔFxだけ変化させた場合のヨーモーメント変化量ΔMの感度ki(i=1〜4)を求め、
演算した感度ki(i=1〜4)のうち異符号の二輪に対して各輪の駆動力配分の和を静的目標駆動動力Fx*に維持しながら、それぞれの感度の比に応じて各輪に対する補正量を演算する。
感度kiについては前述のステップS803と同様なものであるから、その説明をここでは省略する。
感度ki(i=1〜4)の詳細を、図33に基づき以下に説明する。
図33は、図32の●印点の駆動力に関して感度ki(i=1〜4)を演算し、この感度が異符号のk3とk4とを選択した図である。
後内輪の補正駆動力をΔF3'、後外輪の補正駆動力をΔF4'と仮定すると、各輪の駆動力配分の和を静的目標駆動動力Fx*に維持するため、次式(15)が成り立つように駆動力配分を補正する。
ΔF3'+ ΔF4'=0 ・・・・(15)
上記補正量の演算を1サンプリング中に複数回繰り返し、(k3×ΔF3'+ k4×ΔF4')の積分値が、ステップS811で演算した各輪の駆動力配分の和が静的目標駆動動力Fx*と等しくなる駆動力配分において、各輪で発生するヨーモーメントの総和と等しくなるまで行う。
尚、本実施例では補正する車輪を後内輪と後外輪としたが、感度kiが異符号の二輪であれば、どの組み合わせでも構わない。
また、感度kiが異符号の二輪を選択する際に、S811で演算した各輪の駆動力と、各輪が路面に伝達可能な駆動力との間における差が大きい方のタイヤをそれぞれ選択する。
尚、路面に伝達可能な駆動力は、路面摩擦係数と輪荷重と横すべり角とから、タイヤの駆動力と横力の関係を表すタイヤ特性を基に演算する。
このようにして補正する二輪を選択することで、駆動力を補正する際にタイヤのスリップ発生を抑制し、車両挙動を安定に保ちながら車両のヨーレートを目標値に維持しつつ、ドライバの要求する駆動力を実現するように駆動力を補正することができる。
さらに、感度kiが異符号の二輪を選択する際に、感度kiが異符号で感度の絶対値が大きいタイヤをそれぞれ選択して補正量を演算することができる。
この場合、各輪の駆動力配分の和を目標駆動力に維持しながら、車両ヨーヨーモーメントが0になるように各輪の駆動力を補正する際に、繰り返し演算ごとのヨーモーメント補正量が大きくなり、少ない繰り返し演算回数で駆動力を補正することが可能になる。
これにより各輪の駆動力配分の和を静的目標駆動動力Fx*に維持しながら、ヨーモーメントを0に補正をする演算負荷を低減することができる。
ステップS814では、ステップS813と同様な処理を行って、ヨーモーメントが減少する方向に駆動力を補正する。
<静的駆動力配分演算S900の処理>
図5のステップS900で静的駆動力配分演算を行うに際しては、
車両に搭載されているヨーレートセンサ101で検出した実ヨーレートγが、ステップS106で演算したヨーレートの静的目標値γ*に到達し、且つステップS500の第一駆動力配分演算が実行されなかった場合、ステップS106で演算した各輪の静的駆動力配分Fxi*を各輪の駆動力指令値とする。
<目標ヨーレート実現用駆動力配分演算S1000の処理>
図5のステップS1000においては、ステップS107で演算した動的目標ヨーレートγ**を実現する各輪の駆動力配分を演算する。
当該動的目標ヨーレートγ**の演算に際しては、特許文献1(特開2006-315661号公報)に記載された周知の方法を用いる。
以下に、動的目標ヨーレートγ**の演算について、その概略を説明する。
先ず、ステップS106で演算した駆動力配分の静的な目標値Fxi*を基に、車両挙動の動的目標値Fx**,Fy**,γ**を概ね実現する駆動力配分の基本値Fx1 ##,Fx2 ##,Fx3 ##,Fx4 ##を演算する。
この演算に際しては、山海堂出版、安部正人(著)、「自動車の運動と制御」の第3章3.2.1節に記載されている「車両を線形近似した線形2輪モデル」に左右輪駆動力差ΔFxall ##が加わった場合を考え、
この線形2輪モデルのヨーレートの応答がγ**となるように設計したモデルフォロイング制御(槇書店発行、金井喜美雄、越智徳昌、川邊武俊共著「ビークル制御」第3章3.2節参照)を用い、且つ定常状態で駆動力配分の静的な目標値Fxi*との間で偏差を生じないように補正して演算する。
演算した駆動力配分の基本値Fx1 ##,Fx2 ##,Fx3 ##,Fx4 ##によって実現する、車両前後方向力Fx##、車両横方向力Fy##、ヨーモーメントM##を、以下の式(16)〜(18)の演算により求める。
Figure 2010151205
なお、車両横方向力Fy1 ##,Fy2 ##,Fy3 ##,Fy4 ##は、現在の車両状態で、Fx1 ##,Fx2 ##,Fx3 ##,Fx4 ##が対応する各輪に加わった時に発生するタイヤ横力で、図14の駆動力とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性マップから演算する。
次に、車両挙動の目標値Fx**,Fy**,M**と、Fx##,Fy##,M##との差ΔFx,ΔFy,ΔMを以下の式(19)〜(21)の演算により求める。
Figure 2010151205
なお、式(21)のM**はγ**を微分し、車両のヨー慣性モーメントI(単位:kg・m2)を乗じることによって演算した、ヨーモーメントの動的目標値である。
車両挙動の誤差ΔFx,ΔFy,ΔMを補正するΔFxiを各輪の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度ki´から演算し、駆動力配分の基本値Fx1 ##,Fx2 ##,Fx3 ##,Fx4 ##がに各輪の駆動力補正量ΔFxiを加算することで、動的ヨーレート目標値を実現する各輪の駆動力配分を演算することができる。
<制御パラメータ判定フラグS1100の処理>
図5のステップS1100においては、制御パラメータの判定フラグFlagを0にする。
図5のステップS500、ステップS800、ステップS900およびステップS1000で演算した各輪駆動力配分を実現するよう、図1におけるインバータ16〜19を介して同図のモータ11〜14を駆動制御する。
図1に示した四輪独立駆動式車両の場合、各輪への駆動力配分指令値に各輪タイヤ半径を乗じ、更に、この乗算値をモータ減速比Gで除算してモータ11〜14のトルク指令値tTm_i[Nm](i=1〜4)を演算し、これらトルク指令値tTm_iによりモータ11〜14のトルクをベクトル制御する。
なお本発明の駆動力配分制御は、図1に示すような四輪独立駆動式車両に限らず、例えば図34におけるような車両、つまり前後輪いずれか一方の左右制駆動力を独立に制御可能な車両においても適用可能である。
図34の車両は、前輪1,2にエンジン40と、バッテリ9からの電力により駆動されるモータ42を駆動力源として具え、これらエンジン40とモータ42との間にクラッチ41を介在させて両者間を適宜直結可能にし、
前輪1,2を、クラッチ41の解放でモータ42からの動力のみにより電気駆動したり、クラッチ41の締結でエンジン40からの動力およびモータ42からの動力によりハイブリッド駆動させ得るようにする。
かかる前輪駆動を可能にするため、前輪1,2とモータ42との間を、変速機43およびディファレンシャルギヤ装置44により結合する。
左右後輪3,4は、図1の車両と同様、個々のモータ13,14により個別に駆動するようになす。
従って図34の車両は、前輪1,2の左右制駆動力を独立に制御することができず、後輪3,4の左右制駆動力のみを独立に制御可能な車両である。
かかる車両においては通常、各輪のヨーモーメントの総和が0となるように後輪3,4の左右駆動力配分を決定する。
モータ42は、モータ13,14と同様に、三相同期電動機や三相誘導電動機等の力行運転および回生運転ができる交流機であり、バッテリ9は図1につき前述した通り、ニッケル水素電池或いはリチウムイオン電池である。
モータ42はインバータ45を具え、このインバータ45は、モータ42で発電された交流電流を直流電流に変換しバッテリ9に充電したり、或いはバッテリ9が放電した直流電流を交流電流に変換しモータ42に供給する。
上記以外は、図1における車両と同様であるため、説明を省略する。
図34に示す車両においては、図27につき前述したと同様にして前輪の駆動力を決定し、独立に制御可能な後輪については、前記した実施例と同様の要領でヨーモーメント感度の比に応じ、左右制駆動力を個別に補正することとする。
そして、指令された通りに各輪の駆動力配分を実現するよう、図34の各アクチュエータを制御するに際しては、
前輪の駆動力配分指令値に前輪のタイヤ半径を乗じ、ディファレンシャルギヤ装置44の減速比、および変速機43の変速比を除算して、エンジン40のトルク指令値tTm_e[Nm]を演算すると共に、クラッチ41を締結する。
或いは、前輪の駆動力配分指令値に前輪のタイヤ半径を乗じ、ディファレンシャルギヤ装置44の減速比、および変速機43の変速比を除算してモータ42のトルク指令値tTm_f[Nm]を演算すると共に、クラッチ41を解放させる。
エンジン40の動作点は、例えば、走行時に消費する燃料量を低減するよう各動作点を求めるものがある。
この場合には、エンジンの燃料消費特性やモータの損失特性を考慮し、前輪駆動力指令値を実現し、且つ充電電力指令値を実現するに当たって、燃料消費量当たりの蓄電装置への充電量が最も高くなる動作点を演算することにより実現することができる。
後輪駆動モータ13,14に対しては、各後輪への駆動力配分指令値に各輪のタイヤ半径を乗じ、さらにモータ減速比Gで除算してモータ13,14のトルク指令値tTm_i[Nm](i=1、2)を演算する。
上記の通り演算した各トルク指令値tTm_e[Nm],tTm_f[Nm],tTm_i[Nm](i=1、2)はコントローラ8に送られ、
エンジン40のスロット開度を制御してトルクを制御すると共に、各モータ13,14のトルクをベクトル制御する。
本発明の駆動力配分制御装置は、例えば上記した各実施例のごとくにして、
車速およびドライバによるアクセル操作量から車両の目標駆動力を算出する目標駆動力演算手段と、
車速およびドライバによるステアリング操作量に応じた目標ヨーレートを算出する目標ヨーレート演算手段と、
車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが最大となる各輪駆動力配分を演算する第一駆動力配分演算手段と、
各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる各輪駆動力配分を演算する第二駆動力配分演算手段と、
前記第一駆動力演算手段で演算された駆動力配分において実現される車両のヨーレートが前記目標ヨーレートに到達後、前記第二駆動力演算手段で演算された駆動力配分に切り替える駆動力配分切り替え手段とを具備した構成になるから、以下の作用効果を達成することができる。
先ず、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが最大となる各輪駆動力配分となし、
かかる駆動力配分により実現される車両のヨーレートが目標ヨーレートになった後は、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる各輪駆動力配分に切り替えることとなる。
このため先ずは、現在の車両走行状態や路面状態のもとで車両のヨーモーメントが最大となるような駆動力配分により、現状で実現可能な最速のヨーレート応答を実現することができる。
従って、駆動力が想定通りに路面に伝えられる範囲内に目標ヨーレート応答が制限され、ヨーレートの応答を目標値に制御できなかったり、車両挙動が不安定になることがあるという、従来装置の抱える前記の問題を解消することができる。
一方で、上記した現状で実現可能な最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた場合、ヨーレートの乱れが発生して運転性を悪化させる。
しかし本発明においては、上記最速のヨーレート応答によりヨーレートを目標値に一致させた後は、各輪の駆動力配分の和が目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる駆動力配分に切り替えるため、上記ヨーレートの乱れを抑制しつつヨーレートを目標値に維持することができ、ヨーレートの乱れによる運転性の悪化を回避することができる。
また、上記第二駆動力配分演算手段は、
車両のヨーモーメントが0となる各輪の駆動力配分を演算するヨーモーメント0実現用駆動力配分演算手段と、
このヨーモーメント0実現用駆動力配分演算手段で演算した各輪の駆動力配分を基に、車両のヨーモーメントを0に維持しながら、各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しくなるように各輪の駆動力を補正する目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段とを有し、
車両のヨーモーメントを0に維持したまま前記目標駆動力を実現するよう各輪駆動力配分を制御するものであるため、
ヨーモーメントが0となる所望の駆動力配分に近い配分を求めることができる。
更に、上記第二駆動力配分演算手段は、
各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しくなる各輪の駆動力配分を演算する目標駆動力実現用駆動力配分演算手段と、
この目標駆動力実現用駆動力配分演算手段で演算した各輪の駆動力配分を基に、各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力を維持しながら、車両のヨーモーメントが0となるように各輪の駆動力を補正するヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段とを有し、
前記目標駆動力を実現しながら、車両のヨーモーメントを0にするよう各輪の駆動力配分を制御するため、
所望の駆動力配分に近い配分を求めることができる。
更に、上記目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段は、
各輪ごとの駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量を演算するヨーモーメント感度演算手段を具え、
それぞれのヨーモーメント感度に応じて各輪の駆動力を補正するものであるため、
演算精度を上げることができる。
また、上記ヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段は、
各輪ごとの駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量を演算するヨーモーメント感度演算手段を具え、
それぞれのヨーモーメント感度に応じて各輪の駆動力を補正するものであるため、
演算精度を上げることができる。
また、上記目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段は、
前記ヨーモーメント感度演算手段で演算したヨーモーメント感度が正のタイヤのうち、感度の絶対値が小さいタイヤと、ヨーモーメント感度が負のタイヤのうち、感度の絶対値が小さいタイヤの二輪に対して、それぞれのヨーモーメント感度の比に応じ、各輪の駆動力を補正するものであるため、
演算負荷を低減することができる。
また、上記ヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段は、
前記ヨーモーメント感度演算手段で演算したヨーモーメント感度が正のタイヤのうち、感度の絶対値が大きいタイヤと、ヨーモーメント感度が負のタイヤのうち、感度の絶対値が大きいタイヤの二輪に対して、駆動力補正量の和が0となるよう各輪の駆動力を補正するため、
演算負荷を低減することができる。
本発明の一実施例になる駆動力配分制御装置を具えた車両の車輪駆動系を、その制御システムと共に示す概略ブロック線図である。 タイヤ前後力に対するタイヤ横力の変化特性を、タイヤ横すべり角ごとに表した特性線図である。 タイヤ前後力に対するヨーモーメントの変化特性を、タイヤ滑り角ごとに表した特性線図である。 本発明によるヨーレート応答を、従来装置による駆動力配分制御によるヨーレート応答と比較して示す動作タイムチャートである。 図1のコントローラが実行する駆動力配分制御プログラムを示すフローチャートである。 図5における目標車両挙動演算処理を示す制御プログラムのフローチャートである。 車体速に対する目標駆動力の変化特性を示す特性線図である。 ブレーキペダルストロークに対する目標制動力の変化特性を示す特性線図である。 車体速に対する目標ヨーレートの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、タイヤ前後力が小さい場合の特性線図、 (b)は、タイヤ前後力が大きい場合の特性線図である。 車体速に対する左前輪静的目標駆動力の変化特性図で、 (a)は、タイヤ前後力が負値である場合の特性線図、 (b)は、タイヤ前後力が小さい場合の特性線図、 (c)は、タイヤ前後力が大きい場合の特性線図である。 車体速に対する右前輪静的目標駆動力の変化特性図で、 (a)は、タイヤ前後力が負値である場合の特性線図、 (b)は、タイヤ前後力が小さい場合の特性線図、 (c)は、タイヤ前後力が大きい場合の特性線図である。 車体速に対する左後輪静的目標駆動力の変化特性図で、 (a)は、タイヤ前後力が負値である場合の特性線図、 (b)は、タイヤ前後力が小さい場合の特性線図、 (c)は、タイヤ前後力が大きい場合の特性線図である。 車体速に対する左後輪静的目標駆動力の変化特性図で、 (a)は、タイヤ前後力が負値である場合の特性線図、 (b)は、タイヤ前後力が小さい場合の特性線図、 (c)は、タイヤ前後力が大きい場合の特性線図である。 タイヤの駆動力とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性マップ図で、 (a)は、路面摩擦係数や輪荷重が小さい場合のタイヤ特性マップ図、 (b)は、路面摩擦係数や輪荷重が大きい場合のタイヤ特性マップ図である。 車両のヨーレートに係わる車両諸元説明図である。 図5における最大ヨーモーメント演算処理の制御プログラムを示すフローチャートである。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、前外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (c)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (d)は、後外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図である。 操舵される前輪のヨーモーメントを演算するときに用いる車両諸元の説明図である。 図5における第一駆動力配分演算処理に際して行う内輪制動力補正演算の制御プログラムを示すフローチャートである。 内輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度を求めるときに用いた特性線図で、 (a)は、前内輪に係わる特性線図、 (b)は、後内輪に係わる特性線図である。 内輪制動力補正演算の他の例を示す制御プログラムのフローチャートである。 外輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度を求めるときに用いた特性線図で、 (a)は、前外輪に係わる特性線図、 (b)は、後外輪に係わ特性線図だる。 図5における第一駆動力配分演算処理に際して行う外輪駆動力補正演算の制御プログラムを示すフローチャートである。 外輪駆動力補正演算の他の例を示す制御プログラムのフローチャートである。 図5における第二駆動力配分演算処理の制御プログラムを示すフローチャートである。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、前外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (c)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (d)は、後外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図である。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、前外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (c)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (d)は、後外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図である。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、前外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (c)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (d)は、後外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図である。 車輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度を求めるときに用いた特性線図で、 (a)は、後内輪に係わる特性線図、 (b)は、後外輪に係わる特性線図である。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 図5における第二駆動力配分演算処理の他の例を示す、図25と同様なフローチャートである。 車輪の制駆動力に対するヨーモーメントの変化特性を示す特性線図で、 (a)は、前内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (b)は、前外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (c)は、後内輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図、 (d)は、後外輪のヨーモーメント変化特性を示す特性線図である。 車輪の制動力変化に対するヨーモーメント変化の感度を求めるときに用いた特性線図で、 (a)は、後内輪に係わる特性線図、 (b)は、後外輪に係わる特性線図である。 本発明の駆動力配分制御装置を適用可能な他の駆動型式を具えた車両の車輪駆動系を、その制御システムと共に示す、図1と同様な概略ブロック線図である。
符号の説明
1,2 左右前輪
3,4 左右後輪
5 ステアリングホイール
8 コントローラ
9 バッテリ
11〜14 モータ
15 ステアリングギヤ
16〜19 インバータ
21〜24 車輪速センサ
25 操舵角センサ
26 アクセル開度センサ
27 ブレーキストロークセンサ
31〜34 転舵角センサ
40 エンジン
41 クラッチ
42 モータ
43 変速機
44 ディファレンシャルギヤ装置
100 加速度センサ
101 ヨーレートセンサ

Claims (7)

  1. 前後少なくとも一方の左右輪に係わる左右輪制駆動力を独立に制御して得られる駆動力配分により車両挙動を制御するようにした車両の駆動力配分制御装置において、
    車速およびドライバによるアクセル操作量から車両の目標駆動力を算出する目標駆動力演算手段と、
    車速およびドライバによるステアリング操作量に応じた目標ヨーレートを算出する目標ヨーレート演算手段と、
    車両の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが最大となる各輪駆動力配分を演算する第一駆動力配分演算手段と、
    各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しく、且つ車両のヨーモーメントが0となる各輪駆動力配分を演算する第二駆動力配分演算手段と、
    前記第一駆動力演算手段で演算された駆動力配分において実現される車両のヨーレートが前記目標ヨーレートに到達後、前記第二駆動力演算手段で演算された駆動力配分に切り替える駆動力配分切り替え手段とを具備してなることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記第二駆動力配分演算手段は、
    車両のヨーモーメントが0となる各輪の駆動力配分を演算するヨーモーメント0実現用駆動力配分演算手段と、
    このヨーモーメント0実現用駆動力配分演算手段で演算した各輪の駆動力配分を基に、車両のヨーモーメントを0に維持しながら、各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しくなるように各輪の駆動力を補正する目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段とを有し、
    車両のヨーモーメントを0に維持したまま前記目標駆動力を実現するよう各輪駆動力配分を制御するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記第二駆動力配分演算手段は、
    各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力に等しくなる各輪の駆動力配分を演算する目標駆動力実現用駆動力配分演算手段と、
    この目標駆動力実現用駆動力配分演算手段で演算した各輪の駆動力配分を基に、各輪の駆動力配分の和が前記目標駆動力を維持しながら、車両のヨーモーメントが0となるように各輪の駆動力を補正するヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段とを有し、
    前記目標駆動力を実現しながら、車両のヨーモーメントを0にするよう各輪の駆動力配分を制御するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  4. 請求項2に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段は、
    各輪ごとの駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量を演算するヨーモーメント感度演算手段を具え、
    それぞれのヨーモーメント感度に応じて各輪の駆動力を補正するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  5. 請求項3に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記におけるヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段は、
    各輪ごとの駆動力変化量に対するヨーモーメント変化量を演算するヨーモーメント感度演算手段を具え、
    それぞれのヨーモーメント感度に応じて各輪の駆動力を補正するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  6. 請求項4に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記目標駆動力実現用各輪駆動力補正手段は、
    前記ヨーモーメント感度演算手段で演算したヨーモーメント感度が正のタイヤのうち、感度の絶対値が小さいタイヤと、ヨーモーメント感度が負のタイヤのうち、感度の絶対値が小さいタイヤの二輪に対して、それぞれのヨーモーメント感度の比に応じ、各輪の駆動力を補正するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  7. 請求項5に記載の車両の駆動力配分制御装置において、
    前記ヨーモーメント0実現用各輪駆動力補正手段は、
    前記ヨーモーメント感度演算手段で演算したヨーモーメント感度が正のタイヤのうち、感度の絶対値が大きいタイヤと、ヨーモーメント感度が負のタイヤのうち、感度の絶対値が大きいタイヤの二輪に対して、駆動力補正量の和が0となるよう各輪の駆動力を補正するものであることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
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