JP4844148B2 - 4輪独立駆動車の駆動力配分装置 - Google Patents

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本発明は、左右輪を独立に制駆動できる4輪独立駆動車の駆動力配分制御に関する。
4輪独立駆動車において、横風等の外乱や車重変化により運転者の操作等に応じて決定される目標ヨーモーメントと実際のヨーモーメントとの間に誤差がある場合、この誤差を小さくするように左右輪の駆動力差をつける技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1記載の技術によれば、ヨーモーメントの目標値と実際の値との誤差を小さくすることができる。しかしながら、駆動力差を発生させた車輪のタイヤ横力の変化により、車両横方向力やヨーモーメントが変化してしまい、操縦安定性が低下する場合がある。
そこで、出願人は、4輪を独立に駆動する車両において、駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮しながら、車両挙動(車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメント)の目標値を実現する各輪の駆動力配分をフィードフォワードで求める技術を提案している。
この技術(以下、「先行技術」という。)では、以下の手順で各輪の駆動力配分を求める。
まず、車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントの目標値Fx**、Fy**、M**を概ね実現する駆動力配分Fxi ##(i=1〜4)を、線形近似した車両モデルの逆モデル等を使って求める。
次に、このFxi ##によって実現される車両前後方向力Fx##、車両横方向力Fy##、ヨーモーメントM##を駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルを用いて推定し、Fx**、Fy**、M**とFx##、Fy##、M##との差ΔFx、ΔFy、ΔMを求める。
最後に、このΔFx、ΔFy、ΔMを補正する各輪の駆動力補正量ΔFxiを、各輪の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度等を用いて求め、このΔFxiとFxi ##との和を、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **とする。
特開平5−221300号公報
上記先行技術では各輪の駆動力補正量ΔFxiは充分微小であるとし、駆動力をこのΔFxiだけ変化させるときにはタイヤ横力は駆動力に比例して変化するものとして(駆動力とタイヤ横力との非線形な関係が線形と近似できるとして)この補正ΔFxiを求めている。
しかし、補正量ΔFxiは無限に微小ではないため、求められた各輪の駆動力配分の目標値Fxi **では車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントの目標値Fx **、Fy**、M**を厳密には実現できず、誤差が発生する。
上記先行技術による制御を行った時の、ヨーモーメント及びヨーレートの遷移の一例を図15に示す。図15は横軸を時間とし、上段の図はヨーモーメントを縦軸に、下段の図はヨーレートを縦軸にそれぞれとった図である。また、図15においてヨーモーメント、ヨーレートの目標値は破線で、上記先行技術を用いて制御を行った場合の応答を実線で表している。
上段の図では、ヨーモーメントの目標値と応答との間に上述した誤差がある。そしてヨーレートはこのヨーモーメントを車両のヨー慣性モーメントで除して積分した値であるため、この誤差が蓄積されて下段の図のようにヨーレートは目標値との間に誤差を生じてしまう。
また、上記先行技術ではヨーレートγについて目標値を定めてはいないが、車両のヨーレートγと、求心加速度Yαとの間には式(1)の関係がある。式(1)におけるVは車両速度、β’は車両の横すべり角βの微分値である。
求心加速度Yαは車両の横すべり角βが充分小さい時には車両横方向力とほぼ等しいことから、ヨーレートγに目標値との誤差が生じると、車両横方向力等に誤差が発生する場合や、この車両横方向力の誤差を補償しようとして式(1)のβ’が過大となり、車両挙動が不安定になる可能性がある。
本発明は、この問題を鑑みてなされたもので、目標車両挙動をより精度高く実現し、車両の運転性を向上させることを目的とするものである。
本発明に係る4輪独立駆動車の駆動力配分装置は、車両の運転状態に基づき車両前後方向力、ヨーレート、ヨーモーメントの目標値をそれぞれ決定し、これを概ね実現する各輪の駆動力配分の基本値を設定し、駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力とヨーモーメントを演算し、車両前後方向力の目標値と駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力との差から車両前後方向力の補正量を演算し、ヨーモーメントの目標値と駆動力配分の基本値によって実現されるヨーモーメントとの差からヨーモーメントの第1の補正量を演算する。
また、各輪の駆動力配分の目標値によって実現されるヨーレートを演算し、ヨーレートの目標値と演算されたヨーレートとの誤差を演算し、ヨーレート誤差を小さくする向きにヨーモーメントの第2の補正量を求める。
そして、ヨーモーメントの第1の補正量と第2の補正量との和で計算されるヨーモーメント補正量及び車両前後方向力の補正量を実現する各輪の駆動力配分の補正量を演算し、各輪の駆動力配分の目標値を、駆動力配分の基本値と駆動力配分の補正量との和に設定し、駆動力配分の目標値に従って各輪の駆動力を独立に制御する。
本発明を用いることによって、車両のヨーレートを目標値に追従させることができるので、目標車両挙動をより精度高く実現し、車両の運転性の向上が期待できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の概要及び効果について説明し、その後に本発明を電動車両に適用した実施形態について説明する。
1.本発明の概要及び効果
(1)請求項1に記載の発明(以下、「第1の発明」という。)
第1の発明に基づく4輪独立駆動車の制御システムの一例を図1に示す。図1の各ブロック(A)〜(H)の処理は以下の通りである。それぞれの処理の詳細な具体例については後述の「2.本発明の実施形態」で説明する。
ブロック(A)では、運転者の操作(アクセルペダルの踏込量AP、ブレーキペダルの踏込量BP、ステアリング回転角θ等)や計測した車速V等の運転状態に基づいて車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントの目標値Fx**、M**を設定すると共に、ヨーレートγの目標値γ**を設定する。
ブロック(B)では、この目標値Fx**、M**、γ**を概ね実現する駆動力配分Fxi ##(i=1〜4)を線形近似した車両モデルの逆モデル等を使って求める。
ブロック(C)では、このFxi ##によって実現される車両前後方向力Fx##、ヨーモーメントM##を駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルを用いて演算する。なお、ブロック(C)の車両モデルは、ブロック(E)で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)からFx##、M##を演算する。
ブロック(D)では、車両挙動の目標値Fx**、M**と推定したFx##、M##との差から、車両前後方向力の補正量ΔFxとヨーモーメントの補正量ΔM(第1の補正量)を求める。
ブロック(E)はブロック(C)と同じく駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルであり、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **と車速Vを入力として現在のヨーレートγ等の車両の状態量を演算する。
ブロック(F)では、ブロック(E)で求めたヨーレートγと、ブロック(A)で設定した目標値γ**との誤差Δγを補償するヨーモーメントの補正量DM(第2の補正量)を求める。
ブロック(G)では補正量ΔFx、ΔM+DMを実現する各輪の駆動力補正量ΔFxiを各輪の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度等を用いて求める。なお、このタイヤ横力の感度等は、ブロック(E)で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)と駆動力配分Fxi ##から求める。そして最後に、この補正量ΔFxiとブロック(B)で求めたFxi ##との和を、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **とする。
このように各輪の駆動力配分の目標値Fxi **を設定し、これに従って各輪の駆動力を制御することによって、図15の下段におけるヨーレートγの目標値との誤差を小さく、或いは0とすることができるので車両の運転性を向上させる事ができる。
(2)請求項2に記載の発明(以下、「第2の発明」という。)
第2の発明は、車両の横すべり角βの目標値との誤差を小さくすることによって、第1の発明と同様に目標車両挙動を精度高く実現し、車両の運転性を向上させる技術を提案するものである。
この第2の発明に基づく4輪独立駆動車の制御システムの一例を図2に示す。図2の各ブロック(A)’〜(H)’の処理は以下の通りである。それぞれの処理の詳細な具体例については後述の「2.本発明の実施形態」で説明する。
ブロック(A)’では、運転者の操作(アクセルペダルの踏込量AP、ブレーキペダルの踏込量BP、ステアリング回転角θ等)や計測した車速V等の運転状態に基づいて車両前後方向力、車両の横すべり角の目標値Fx**、β**を設定すると共に、車両の横すべり角の目標値を時間微分したβ’**を設定する。
ブロック(B)’では、この目標値Fx**、β**、β’**を概ね実現する駆動力配分Fxi ## (i=1〜4)を線形近似した車両モデルの逆モデル等を使って求める。
ブロック(C)’では、このFxi ##によって実現される車両前後方向力Fx##、車両の横すべり角の目標値を時間微分したβ’##を駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルを用いて演算する。なお、ブロック(C)’の車両モデルは、ブロック(E)’で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)からFx##、β’##を演算する。
ブロック(D)’では、車両挙動の目標値Fx**、β’**と推定したFx##、β’##との差から車両前後方向力の補正量ΔFxと車体横滑り角の微分値の補正量Δβ’を求める。
ブロック(E)’はブロック(C)’と同じく駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルであり、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **と車速Vを入力として現在の車両の横すべり角β等の車両の状態量を演算する。
ブロック(F)’では、ブロック(E)’で求めた車両の横すべり角βと、ブロック(A)’で設定した目標値β**との誤差Δβを求め、この誤差Δβと補正量Δβ’を補償する車両横方向力の補正量DFyを求める。
ブロック(G)’では補正量ΔFxと補正量DFyを実現する各輪の駆動力補正量ΔFxiを各輪の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度等を用いて求める。なお、このタイヤ横力の感度等は、ブロック(E)’で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)と駆動力配分Fxi ##から求める。そして最後に、この補正量ΔFxiとブロック(B)’で求めたFxi ##との和を、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **とする。
このように各輪の駆動力配分の目標値Fxi **を設定し、これに従って各輪の駆動力を制御することによって、車両の横すべり角βの目標値との誤差を小さくすることができ、第1の発明と同様に目標車両挙動を精度高く実現することができる。
(3)請求項3に記載の発明(以下、「第3の発明」という。)
第3の発明はヨーレートγと車両の横すべり角β共にその目標値との誤差を小さくすることによって、第1、第2の発明よりも目標車両挙動をより精度高く実現させる技術を提案するものである。
この第3の発明に基づく4輪独立駆動車の制御システムの一例を図3に示す。図3の各ブロック(A)"〜(H)"の処理は以下の通りである。それぞれの処理の詳細な具体例については後述の「2.本発明の実施形態」で説明する。
ブロック(A)"では、運転者の操作(アクセルペダルの踏込量AP、ブレーキペダルの踏込量BP、ステアリング回転角θ等)や計測した車速V等の運転状態に基づいて車両前後方向力、ヨーモーメント、車両の横すべり角の目標値Fx**、M**、β**をそれぞれ設定すると共に、ヨーレートγの目標値γ**と、車両の横すべり角の目標値を時間微分したβ’**を設定する。
ブロック(B)"では、この目標値Fx**、M**、γ**、β**、β’**を概ね実現する駆動力配分Fxi ##(i=1〜4)を線形近似した車両モデルの逆モデル等を使って求める。
ブロック(C)"では、このFxi ##によって実現される車両前後方向力Fx##、ヨーモーメントM##、車両の横すべり角の目標値を時間微分したβ’##を駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルを用いて演算する。なお、ブロック(C)"の車両モデルは、ブロック(E)"で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)からFx##、M##、β’##を演算する。
ブロック(D)"では、車両挙動の目標値Fx**、M**、β’**と推定したFx##、M##、β’##との差から車両前後方向力の補正量ΔFx、ヨーモーメントの補正量ΔM(第1の補正量)、車体横滑り角の微分値の補正量Δβ’を求める。
ブロック(E)"はブロック(C)"と同じく駆動力とタイヤ横力との非線形な関係を考慮した車両モデルであり、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **と車速Vを入力として現在の車両のヨーレートγや横すべり角β等の車両の状態量を演算する。
ブロック(F)"では、ブロック(E)"で求めた車両のヨーレート及び横すべり角γ、βと、ブロック(A)"で設定した目標値γ**、β**との誤差Δγ、Δβをそれぞれ求める。そしてこの誤差Δγを補償するヨーモーメントの補正量DM(第2の補正量)を求める。また、この誤差Δβと補正量Δβ’を補償する車両横方向力の補正量DFyを求める。
ブロック(G)"では補正量ΔFxとΔM+DMとDFyを実現する各輪の駆動力補正量ΔFxiを各輪の駆動力変化に対するタイヤ横力の感度等を用いて求める。なお、このタイヤ横力の感度等は、ブロック(E)"で求めた車両の状態量(各輪の輪荷重Wiや横すべり角βi等)と駆動力配分Fxi ##から求める。そして最後に、この補正量ΔFxiとブロック(B)"で求めたFxi ##との和を、各輪の駆動力配分の目標値Fxi **とする。
このように各輪の駆動力配分の目標値Fxi **を設定し、これに従って各輪の駆動力を制御することによって、ヨーレートγと車両の横すべり角β共にその目標値との誤差を小さくすることができ、目標車両挙動を第1、第2の発明よりも精度高く実現することができる。
2.本発明の実施形態
図4は、本発明を適用した電動車両の機械的構成の一例を示すブロック図である。図4に示す電動車両は、バッテリ9から供給される電力により駆動されるモータ11によって左前輪1を、モータ12によって右前輪2を、モータ13によって左後輪3を、モータ14によって右後輪4をそれぞれ独立に駆動する。
モータ11〜14は三相同期電動機や三相誘導電動機等の力行運転及び回生運転ができる交流機であり、バッテリ9はニッケル水素電池或いはリチウムイオン電池である。インバータ31〜34はモータ1〜4で発電された交流電流を直流電流に変換しバッテリ9に充電する、或いはバッテリ9が放電した直流電流を交流電流に変換しモータ1〜4に供給する。各車輪の速度は車輪速センサ11〜14によって検出され、検出された各車輪の回転速度はコントローラ8に送信される。
各車輪1〜4の回転半径はRで全て等しく、各モータと各車輪間は減速比1、即ち直接連結されている。また更に、輪荷重と横滑り角と路面摩擦係数が4輪で等しい場合には、駆動力とタイヤ横力との関係は4輪で同一となる、即ち4輪とも同じタイヤ特性を有する。
車両の横方向加速度は車両重心位置に取り付けられた加速度センサ100によって、車両のヨーレートはヨーレートセンサ101によってそれぞれ検出され、検出された車両の横方向加速度とヨーレートはコントローラ8に送信される。
前輪1、2の舵角は、運転者によるステアリング5の操舵がステアリングギヤ15を介して機械的に調整される。なお、前輪1、2の舵角変化量はステアリング5の操舵角変化量に対して1/16になるように設定されている。各車輪1〜4の舵角は舵角センサ41〜44によって検出され、検出された各車輪の舵角はコントローラ8に送信される。
運転者によるステアリング5の回転角θはステアリング角センサ25によって、アクセルペダル6の踏込量APとブレーキペダル7の踏込量BPはアクセルストロークセンサ26及びブレーキストロークセンサ27によってそれぞれ検出され、コントローラ8に送信される。
コントローラ8はCPU、ROM、RAM、インターフェース回路及びインバータ回路等からなり、車輪速センサ21〜24、ステアリング角センサ25、アクセルストロークセンサ26、ブレーキストロークセンサ27、加速度センサ100、ヨーレートセンサ101等で検出した信号を受信し、これらの信号を基にモータ1〜4にトルク配分を行う等の制御を行う。
次に、コントローラ8の制御内容について説明する。
図5のフローチャートは、図4の電動車両においてコントローラ8で実行するモータ1〜4へのトルク配分制御を示す。
ステップS10〜S40は、図1のブロック(A)、図2のブロック(A)’及び図44のブロック(A)"に対応する処理である。
まず、ステップS10では、車輪速センサ21〜24で各輪1〜4の回転速度ω1、ω2、ω3、ω4(単位:rad/s)をそれぞれ検出し、各輪の半径Rを乗じて各輪の速度V1、V2、V3、V4(単位:m/s)を得ると共に、車速V(単位:m/s)を式(2)により求める。
また、アクセルストロークセンサ26及びブレーキストロークセンサ27によってアクセルペダル6の踏込量AP(単位:%)とブレーキペダル7の踏込量BP(単位:%)をそれぞれ検出し、ステアリング角センサ25によってステアリング5の回転角θ(単位:rad)を検出し、各車輪1〜4の舵角δ1、δ2、δ3、δ4を舵角センサ41〜44で検出する。V及びV1〜V4は車両前進方向を正とし、ステアリング5の回転角θは反時計回りを正とする。
なお、舵角センサを持たない車両ではステアリング5の回転角θから各輪の舵角を求めるようにする。例えば、前輪のみ操舵可能な車両では、前輪1、2の舵角δ1、δ2をδ1=δ2=θ/16とし、後輪3、4の舵角δ3、δ4をδ3=δ4=0とする。このような場合には、コンプライアンスステアやロールステア等、サスペンションの影響を考慮して各輪の舵角を補正できるようにすると尚良い。
ステップS20では、車両前後方向力の静的目標値Fx*(単位:N)を、アクセルペダル6の踏込量AP、ブレーキペダル7の踏込量BP、車両速度Vに基づいて式(3)により求める。
式(3)中のFax *はアクセルペダル6の踏込量AP及び車速Vに基づいて目標駆動力マップを参照して得られる値であり、またFbxはブレーキペダル7の踏込量BPに基づいて目標制動力マップを参照して得られる値である。目標駆動力マップ及び目標制動力マップは、例えば、それぞれ図6及び図7のように設定される。また、Fx、Fax *、Fbx *何れも車両を前方に加速させる向きを正とする。
ステップS30では、車両の横すべり角の静的目標値β*(単位:rad)を、ステップS20で設定したFx*とステアリング5の回転角θと車両速度Vに基づいて目標車両横すべり角マップを参照して設定する。また、ヨーレートの静的目標値γ*(単位:rad/s)を、Fx*とθとVに基づいて目標ヨーレートマップを参照して設定する。目標車両横すべり角マップ及び目標ヨーレートマップは、例えば、それぞれ図8及び図9のように設定されるマップであり、これら2つのマップの設定方法は後述するステップS40にて説明する。ヨーレートは車両を鉛直上方からみたときに反時計回りを正、車両の横すべり角は車両の前後方向から車速の方向までの角度が鉛直上方から見て反時計回りになっている場合を正とする。
ステップS40では、車両前後方向力の動的目標値Fx **、車両横すべり角の動的目標値β**、ヨーレートの動的目標値γ**を、各輪の駆動力配分で実現可能な範囲で運転者の操縦性が好適となるように、静的な目標値Fx*、β*、γ*に時間的な遅れ要素を入れて求める。ここではFx*については2次遅れの伝達関数を用いて、β*及びγ*については相応の伝達関数を用いてFx**、β**、γ**を得る。特に、β**及びγ**の応答は走行条件毎に実現可能な時間的遅れ要素を入れる。
また、ステップS40では、ヨーモーメントの動的目標値M**、及び、車両横すべり角の動的目標値を時間微分したβ’**も求める。ヨーモーメントの動的目標値M**は、γ**を求める時に用いた時間的な遅れ要素の伝達関数に微分要素を乗じた伝達関数をγ*に入れ、更に車両のヨー慣性モーメントIを乗じて求める。車両横すべり角の動的目標値を時間微分したβ’**については、β**を求める時に用いた時間的な遅れ要素の伝達関数に微分要素を乗じた伝達関数をβ*に入れて求める。
また、ステップS40では、車両横方向力の動的目標値Fy**を式(4)により求める。
次のステップS50〜S60は、図1の(B)ブロック、図2の(B)’ブロック及び図3の(B)"ブロックに対応する処理である。
ステップS50では、駆動力配分の静的な目標値Fx1 *、Fx2 *、Fx3 *、Fx4 *を、θ、V、Fx*に基づいて静的駆動力配分マップを参照して設定する。この静的駆動力配分マップは、例えば、図10a、図10bのように設定される。
ここで、この静的駆動力配分マップ(図10a、図10b)と、ステップS30で用いた目標車両横すべり角マップ(図8)及び目標ヨーレートマップ(図9)の求め方について説明する。
まず、4輪の駆動力和Fxall(単位:N)、左右輪駆動力差ΔFxall(単位:N)、前輪駆動力配分η(単位:なし)、左右輪駆動力差の前輪配分Δη(単位:なし)を、式(5)〜式(8)の通り定義する。ここではη及びΔηは常に0.6(前輪への配分を6割)とする。
そして、この車両が取り得るFxall、ΔFxall、ステアリング5の回転角θ、車両前後方向力の静的目標値Fx*の4つのパラメータの組合せ全てに対して次のようなシミュレーション或いは実験を行い、静的駆動力配分マップ、目標車両横方力マップ、目標ヨーレートマップを作成する。
まず、選択された、Fxall、ΔFxallから各輪の駆動力配分Fxiを式(9)〜式(12)により求め、選択されたθ’から前輪1、2の舵角をδ12=θ’/16(ステアリングギア比は1/16)とする。
次に、この設定された駆動力配分Fxiと前輪舵角δ1、δ2(後輪3、4の舵角δ3、δ4は0)で車両を走行させ、且つ−Fx*を車両重心位置において車両前後方向に加える。そして、十分時間が経過し車速V’が一定(定常状態)になった時の車両横すべり角βとヨーレートγを求める。なお、この実験或いはシミュレーションを行う場合には空気抵抗や転がり抵抗等の走行抵抗要素を除外するようにして行うと共に、シミュレーション上で実施する場合には各輪の駆動力とタイヤ横力等の非線形性を十分考慮した車両モデルを用いて行う。
そして、静的駆動力配分マップ、目標車両横すべり角マップ、目標ヨーレートマップのV、θ、Fx*、β*、γ*、Fxi *を、それぞれ今シミュレーションを行った時のV’、θ、Fx*、β、γ、Fxiとし、静的駆動力配分マップ、目標車両横方力マップ、目標ヨーレートマップを設定していく。
ステップS60では、ステップS40で設定した駆動力配分の静的な目標値Fxi *を基に、車両挙動の動的目標値Fx**、Fy**、γ**を概ね実現する駆動力配分のFx1 ##、Fx2 ##、Fx3 ##、Fx4 ##を式(13)〜式(16)により求める。
ただし、ステップS40に示した通りη=Δη=0.6で、Fxall ##はステップS50で車両前後方向力の動的目標値Fx**を求める時にFx*に入れた時間的な遅れ要素を、Fxi *の和Fx1 *+Fx2 *+Fx3 *+Fx4 *に入れて求めた値である。
また、ΔFxall ##は、車両を線形近似した線形2輪モデル(「自動車の運動と制御」第3章3.2.1節、(著)安部正人、(出版)山海堂)に左右輪駆動力差ΔFxall ##が加わった場合を考え、この線形2輪モデルのヨーレートの応答がγ**となるように設計したモデルフォロイング制御(「ビークル制御」第3章3.2節、著者:金井喜美雄、越智徳昌、川邊武俊、発行所:槇書店)を用い、且つ定常状態で駆動力配分の静的な目標値Fxi *との間で偏差を生じないように補正した式(17)から求める。
ただし、
式(17)において、fr(s)はステップS50でヨーレートの動的目標値γ**を求める時に静的目標値γ*に入れた時間的な遅れ要素の伝達関数、I(単位:kg・m2)は車両のヨー慣性モーメント、Kf、Kr(単位:N/rad)は前輪及び後輪の横滑り角が十分小さい時の単位横滑り角あたりのコーナーリングフォースである。
また、Lfは車両重心位置から前輪車軸までの距離(単位:m)、Lrはヨー回転方向の車両重心位置から後輪車軸までの距離(単位:m)、Ltは前後輪のトレッド長さ(単位:m)、Llはホイールベース長さ(単位:m)でLl=(Lf+Lt)、mは車両の質量(単位:kg)である。
また、式(17)では線形2輪モデルのヨーレートの応答がγ**となるようにΔFxall ##を求めているが、特に、第2及び第3の発明を適用する場合には、車両横すべり角の応答がβ**となるようにモデルフォロイング制御を用いて式(19)によりΔFxall ##を求めるようにしても良い。
ただし、式(19)においてfβ(s)は、ステップS50で車両横すべり角の動的目標値β**を求める時に静的目標値β*に入れた時間的な遅れ要素の伝達関数である。
次のステップS70は、図1の(E)ブロック、図2の(E)’ブロック、及び、図3の(E)"ブロックに対応する処理である。
ステップS70では、後述するステップS110で求める各輪の駆動力配分の目標値Fxi **と、ステップS10で求めた車速Vから、車両の状態量である、ヨーレートγ(単位:rad/s)、車両横すべり角β(単位:rad)、各輪の輪荷重Wi(単位:N)、各輪の横すべり角βi(単位:rad)をそれぞれ演算する。演算方法は後述する図12のフローチャートに従って行う。βiの符号は、車輪の前後方向から車輪速度の方向までの角度が鉛直上方から見て反時計回りになっている場合を正とする。
次のステップS80は、図1の(C)ブロック、図2の(C)’ブロック、図3の(C)"ブロックに対応する処理である。
ステップS80では、駆動力配分の基本値Fx1 ##、Fx2 ##、Fx3 ##、Fx4 ##によって実現する、車両前後方向力Fx##、車両横方向力Fy##、ヨーモーメントM##を式(20)〜式(22)により求める。また、ステップS70で求めたヨーレートγと車両の横すべり角βを用い、Fxi ##によって実現する車両横すべり角の微分値β’##を式(23)により求める。
ただし、
Fy1 ##、Fy2 ##、Fy3 ##、Fy4 ##は、現在の車両状態で、Fx1 ##、Fx2 ##、Fx3 ##、Fx4 ##が各輪に加わった時に発生するタイヤ横力であり、ステップS70で求めた各輪の横すべり角βiと輪荷重Wiに基づいて駆動力とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性マップから設定する。各輪ともこのタイヤ特性マップは共通であり、図11のように設定される。
次のステップS90は、図1の(D)ブロック、図2の(D)’ブロック、図3の(D)"ブロックに対応する処理である。
ステップS90では、車両挙動の目標値Fx**、Fy**、M**、β’**と、ステップS80で求めたFx##、Fy##、M##、β’##との差ΔFx、ΔFy、ΔM(第1の補正量)、Δβ’を式(25)〜式(28)により求める。
ステップS92では、ヨーレートと車両横すべり角の目標値γ**、β**と、ステップS70で求めたγ、βとの差Δγ、Δβを式(29)、式(30)により求める。
次のステップS94は、図1の(F)ブロック、図2の(F)"ブロックに対応する処理である。
ステップS94では、ステップS92で求めたΔγを小さくし、ヨーレートを目標値γ**に漸近させるヨーモーメント補正量DM(第2の補正量)を式(31)により求める。
ただし、Tsはコントローラ8の演算周期(単位:s)である。
なお、式(31)はΔγを次の演算周期までに補償するようなヨーモーメント補正量DMを求めているが、これはコントローラ8による制御が高周波領域でハイゲインとなる場合がある。このような場合には、比例ゲインPg(0<Pg<1、単位:なし)を入れた式(32)のようにしてヨーモーメント補正量DMを求めても良い。
ただし、Δγ(k−1)はコントローラ8における1演算周期前のΔγであり、Δγ(k−1)の初期値は0である。
また、ステップS94では、式(31)や式(32)以外の方法として、ヨーレートの目標値γ**への追従性能と偏差のトレードオフを考慮できるようにした制御系を設計し、ヨーモーメント補正量DMを求めるとなお良い。
また、車速V等によって、各輪の駆動力配分や前輪舵角に対するヨーレートの応答が変化することが知られている(「自動車の運動と制御」第3章、(著)安部正人、(出版)山海堂)。そこで、ステップS94では車速V等が変化してもΔγの収束性を損なわないようにできるゲインスケジュール制御系等を用い、ヨーモーメント補正量DMを求めるとなお良い。
次のステップS96は、図2の(F)’ブロック、図3の(F)"ブロックに対応する処理である。
ステップS96では、ステップS92で求めたΔβと、ステップS90で求めたΔβ’を小さくし、車両横すべり角を目標値β**に漸近させる車両横方向力補正量DFyを式(33)により求める。
なお、ここでは式(33)の∂β’は式(34)により求める。
ただし、Δβ(k−1)はコントローラ8における1演算周期前のΔβでありΔβ(k−1)の初期値は0である。
なお、式(34)ではΔβを次の演算周期までに補償するように∂β’を求めているが、これはステップS94の場合と同様にコントローラ8による制御が高周波領域でハイゲインとなる場合があるので、比例ゲインPg’(0<Pg’<1、単位:なし)を入れた式(35)のように∂β’を求めても良い。
また、ステップS96では、車両横すべり角の目標値β**への追従性能と偏差のトレードオフを考慮できるようにした制御系を設計し、車両横方向力補正量DFyを求めるとなお良い。
また、ステップS94で述べた通り、車速V等によって各輪の駆動力配分や前輪舵角に対する車両横すべり角の応答が変化するので車速V等が変化してもΔβの収束性を損なわないようにできるゲインスケジュール制御系等を用い、車両横方向力補正量DFyを求めるとなお良い。
次のステップS98〜S100は、図1の(G)ブロック、図2の(G)’ブロック、図3の(G)"ブロックに対応する処理である。
ステップS98では、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを再設定する。再設定方法は第1〜第3の発明を適用する場合でそれぞれ異なるので、各発明における再設定の方法について説明する。
第1の発明を用いる場合、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを式(36)〜式(38)の通り再設定する。
なお、第1の発明を用いる場合、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを式(39)〜式(41)の通り再設定しても良い。
次に、第2の発明を用いる場合、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを式(42)〜式(44)の通り再設定する。
また、第2の発明を用いる場合、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを式(45)〜式(47)の通り再設定しても良い。
第3の発明を用いる場合は、ステップS90で求めたΔFx、ΔFy、ΔMを式(48)〜式(50)の通り再設定する。
ステップS100では、ステップS98で再設定したΔFx、ΔFy、ΔMを補正するΔFx1、ΔFx2、ΔFx3、ΔFx4を求める。この補正量ΔFxiは、図13に示すフローチャートに従って求める。図13に示すフローチャートによるΔFxiの求め方については後述する。
ステップS110では、ΔFxiとFxi ##との和を各輪の駆動力配分の目標値Fxi **=Fxi ##+ΔFxiとする。
ステップS120では、Fxi **を各輪の半径Rで除した値を、各輪のモータ11〜14が出力するように制御を行う。
次に、図5のフローチャートのステップS70において、ヨーレートγ(単位:rad/s)、車両横すべり角β(単位:rad)、各輪の輪荷重Wi(単位:N)、各輪の横すべり角βi(単位:rad)をそれぞれ演算する図12のフローチャートについて説明する。
まず、ステップS200では、駆動力配分の目標値Fxi **が出力された時の、車両前後方向力Fx、車両横方向力Fy、ヨーモーメントMを式(51)〜式(53)により求める。
ただし、
Fyi **は、Fxi **が各輪に加わった時に発生するタイヤ横力で、1演算周期前に求めた各輪の横すべり角βiと輪荷重Wiに基づいて駆動力とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性マップから設定する。各輪ともこのタイヤ特性マップは共通で、図5のフローチャートのステップS80で用いたものと同じもの(図11)が用いられる。
また、ステップS200では、車両前後方向力Fx、車両横方向力Fyをそれぞれ車両の質量で除し、車両の前後方向加速度αx(単位:m/s2)と横方向加速度αy(単位:m/s2)を求める。この時、空気抵抗等を考えてαx、αyを求めるとなお良い。
ステップS201では、ヨーモーメントMを車両のヨー慣性モーメントIで除した値を積分してヨーレートγを求める。ヨーレートγの初期値は0とする。
ステップS202では、車両の横すべり角の時間微分値β’を式(55)により求めると共に、このβ’を積分して車両の横すべり角βを求める。車両の横すべり角βの初期値は0とする。
ただし、β(k−1)は1演算周期前の車両の横すべり角βである。
ステップS203では、各輪の輪荷重Wi(単位:N)を式(56)〜式(59)により求める。
ただし、gは重力加速度(単位:m/s2)である
ステップS204では、各輪の横すべり角βi(単位:rad)を式(60)〜式(163)により求める。
次に、図5のフローチャートのステップS100において、図13のフローチャートに従い各輪駆動力配分のフィードバック制御量ΔFxiを求める場合について説明する。
これによると、まず、ステップS300では、各輪の駆動力変化に対する車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントそれぞれの感度Kix(単位:なし)、Kiy(単位:なし)、KiM(単位:rad・m))(例えば、左前輪1の駆動力変化に対する車両前後方向力の感度はK1x、右後輪4の駆動力変化に対するヨーモーメントの感度はK4M)を、Fxi ##とβiから車両挙動感度マップを参照して求める。この車両挙動感度マップは、例えば、図14のように設定される(図14には左前輪1のマップのみを例として掲載する。)。
この車両挙動感度マップは、本車両が取り得る各輪の駆動力と横すべり角全ての組み合せを抽出し、夫々の組み合せにおいて、何れか1輪の駆動力を1[N]変化させたときの車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントの変化量を求め、マップ化したものである。
ステップS301では、各輪の駆動力変化に対する車両前後方向力、車両横方向力、ヨーモーメントそれぞれの感度をベクトルで表した、[KixiyiM]が互いに1次独立である3つの車輪の組み合わせを選ぶ。選び方は次のようにして行う。
まず、左前輪1以外の残り3輪のベクトルを縦に並べた式(64)の行列K1を考え、この行列K1の行列式det|K1|が0でないならば、車輪の組み合わせを左前輪1以外の残り3輪とし、フラグflgに1を設定する。
もしdet|K1|が0ならば、今度は右前輪2以外の残り3輪のベクトルを縦に並べた行列K2を式(64)と同様に考え、行列式det|K2|が0でないならば、車輪の組み合わせを右前輪2以外の残り3輪とし、フラグflgに2を設定する。もしdet|K2|も0ならば、今度は左後輪3以外の残り3輪のベクトルを縦に並べた行列K3を式(64)と同様に考え、行列式det|K3|が0でないならば、車輪の組み合わせを左後輪3以外の残り3輪とし、フラグflgに3を設定する。もしdet|K3|も0ならば、今度は右後輪3以外の残り3輪のベクトルを縦に並べた行列K4を式(64)と同様に考え、行列式det|K4|が0でないならば、車輪の組み合わせを左後輪4以外の残り3輪とし、フラグflgに4を設定する。行列式det|K4|も0であり、det|Ki|が全て0の場合は組み合わせ無しとしてフラグflgに0を設定する。
ステップS302ではフラグflgが0ならばステップS304に進み、Fx1=Fx2=Fx3=Fx4=0とする。そうでなければステップS303に進む。
ステップS303では、ステップS301で求めたフラグflgに応じた演算方法でFxiを求め、フローチャートを終了する。Fxiは、例えば、フラグflgが1の場合は式(65)により求める。即ち、ステップS301で選択された[KixiyiM]が互いに1次独立である3つの車輪の駆動力補正量を、ΔFx、ΔFy、ΔMにKiの逆行列を乗じることで求め、選択されなかった左前輪1の駆動力補正量を0とする。フラグflgが2〜4の場合も同様である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は図4に示す車両だけでなく、後輪を前輪とは違う角度で転舵できる車両や、ステアリング5の回転角θと独立して各輪の舵角δiを制御できる車両等、ステアバイワイヤを装備した車両にも適用可能である。
第1の発明による駆動力配分制御システムのシステム構成の一例である。 第2の発明による駆動力配分制御システムのシステム構成の一例である。 第3の発明による駆動力配分制御システムのシステム構成の一例である。 4輪を独立に駆動するモータを備えた電動車両の構成を示す図である。 一実施の形態におけるトルク配分制御のフローチャートである。 アクセルペダルの踏み込み量と車体速に応じた車両前後方向力の静的な目標値を表すマップである。 ブレーキペダルの踏み込み量に応じた車両前後方向力の静的な目標値を表すマップである。 ステアリング回転角と車速と車両前後方向力に応じた車両横方向力の静的な目標値を表すマップである。 ステアリング回転角と車速と車両前後方向力に応じたヨーレートの静的な目標値を表すマップである。 各輪の駆動力配分の静的な目標値を表すマップである。 同じく各輪の駆動力配分の静的な目標値を表すマップである。 横すべり角と輪荷重に対応して変化する駆動力とタイヤ横力との関係を表す図である。 車両の各種状態量を演算するフローチャートである。 駆動力配分のフィードバック制御量を求めるフローチャートを示す図である。 各輪の駆動力変化に対する車両挙動の感度のマップである。 先行技術によるヨーモーメント及びヨーレート制御の時間遷移の一例である。
符号の説明
1〜4:車輪
5:ステアリング
6:アクセルペダル
7:ブレーキペダル
8:コントローラ
9:バッテリ
11〜14:モータ
15:ステアリングギヤ
21〜24:車輪速センサ
25:ステアリング角センサ
26:アクセルストロークセンサ
27:ブレーキストロークセンサ
31〜34:インバータ
41〜44:舵角センサ
100:加速度センサ
101:ヨーレートセンサ

Claims (3)

  1. 4輪を夫々独立に駆動する車両の駆動力配分装置において、
    前記車両の運転状態に基づき前記車両の車両前後方向力、ヨーレート及びヨーモーメントの目標値をそれぞれ決定する目標車両挙動決定手段と、
    前記車両前後方向力、ヨーレート及びヨーモーメントの目標値を概ね実現する各輪の駆動力配分の基本値を設定する駆動力配分基本値設定手段と、
    前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力とヨーモーメントを演算する車両挙動演算手段と、
    前記車両前後方向力の目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力との差から車両前後方向力の補正量を演算し、前記ヨーモーメントの目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現されるヨーモーメントとの差からヨーモーメントの第1の補正量を演算する車両挙動補正量演算手段と、
    各輪の駆動力配分の目標値によって実現されるヨーレートを演算するヨーレート演算手段と、
    前記ヨーレートの目標値と、前記ヨーレート演算手段によって演算されたヨーレートとの誤差を演算するヨーレート誤差演算手段と、
    前記ヨーレート誤差を小さくする向きにヨーモーメントの第2の補正量を求めるヨーモーメント補正量演算手段と、
    前記第1の補正量と前記第2の補正量との和で計算されるヨーモーメント補正量と前記車両前後方向力の補正量とを実現する各輪の駆動力配分の補正量を演算する駆動力配分補正量演算手段と、
    前記駆動力配分の目標値を、前記駆動力配分の基本値と前記駆動力配分の補正量との和に設定する目標駆動力配分決定手段と、
    前記駆動力配分の目標値に従って各輪の駆動力を独立に制御する駆動力制御手段と、
    を備えたことを特徴とする駆動力配分装置。
  2. 4輪を夫々独立に駆動する車両の駆動力配分装置において、
    前記車両の運転状態に基づき前記車両の車両前後方向力、車体横滑り角及び車体横滑り角の時間微分の目標値をそれぞれ決定する目標車両挙動決定手段と、
    前記車両前後方向力、車体横滑り角及び車体横滑り角の時間微分の目標値を概ね実現する各輪の駆動力配分の基本値を設定する駆動力配分基本値設定手段と、
    前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力と車体横滑り角の微分値を演算する車両挙動演算手段と、
    前記車両前後方向力の目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力との差から車両前後方向力の補正量を演算し、前記車体横滑り角の時間微分の目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現される車体横滑り角の微分値との差から車体横滑り角の微分値の補正量を演算する車両挙動補正量演算手段と、
    各輪の駆動力配分の目標値によって実現される車体横滑り角を演算する車体横滑り角演算手段と、
    前記車体横滑り角の目標値と、前記車体横滑り角演算手段によって演算された車体横滑り角との誤差を演算する車体横滑り角誤差演算手段と、
    前記車体横滑り角の微分値の補正量と前記車体横滑り角の誤差を共に小さくする向きに車両横方向力の補正量を求める車両横方向力補正量演算手段と、
    前記車両横方向力の補正量と前記車両前後方向力の補正量を実現する各輪の駆動力配分の補正量を演算する駆動力配分補正量演算手段と、
    前記各輪の駆動力配分の目標値を、前記駆動力配分の基本値と前記駆動力配分の補正量との和に設定する目標駆動力配分決定手段と、
    前記駆動力配分の目標値に従って各輪の駆動力を独立に制御する駆動力制御手段と、
    を備えたことを特徴とする駆動力配分装置。
  3. 4輪を夫々独立に駆動する車両の駆動力配分装置において、
    前記車両の運転状態に基づき前記車両の車両前後方向力、ヨーレート、ヨーモーメント、車体横滑り角及び車体横滑り角の時間微分の目標値をそれぞれ決定する目標車両挙動決定手段と、
    前記車両前後方向力、ヨーレート、ヨーモーメント、車体横滑り角及び車体横滑り角の時間微分の目標値を概ね実現する各輪の駆動力配分の基本値を設定する駆動力配分基本値設定手段と、
    前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力、ヨーモーメント及び車体横滑り角の微分値を演算する車両挙動演算手段と、
    前記車両前後方向力の目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現される車両前後方向力との差から車両前後方向力の補正量を演算し、前記ヨーモーメントの目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現されるヨーモーメントとの差からヨーモーメントの第1の補正量を演算し、前記車体横滑り角の微分値の目標値と前記駆動力配分の基本値によって実現される車体横滑り角の微分値との差から車体横滑り角の微分値の補正量を演算する車両挙動補正量演算手段と、
    各輪の駆動力配分の目標値によって実現されるヨーレートを演算するヨーレート演算手段と、
    前記ヨーレートの目標値と、前記ヨーレート演算手段によって演算されたヨーレートとの誤差を演算するヨーレート誤差演算手段と、
    前記ヨーレートの誤差を小さくする向きにヨーモーメントの第2の補正量を求めるヨーモーメント補正量演算手段と、
    前記各輪の駆動力配分の目標値によって実現される車体横滑り角を演算する車体横滑り角演算手段と、
    前記車体横滑り角の目標値と、前記車体横滑り角演算手段によって演算された車体横滑り角との誤差を演算する車体横滑り角誤差演算手段と、
    前記車体横滑り角の微分値の補正量と前記車体横滑り角の誤差を共に小さくする向きに車体横方向力の補正量を求める車両横方向力補正量演算手段と、
    前記第1の補正量と前記第2の補正量との和で計算されるヨーモーメント補正量、前記車両横方向力の補正量及び前記車両前後方向力の補正量を実現する各輪の駆動力配分の補正量を演算する駆動力配分補正量演算手段と、
    前記各輪の駆動力配分の目標値を、前記駆動力配分の基本値と前記駆動力配分の補正量との和に設定する目標駆動力配分決定手段と、
    前記駆動力配分の目標値に従って各輪の駆動力を独立に制御する駆動力制御手段と、
    を備えたことを特徴とする駆動力配分装置。
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