JP4959502B2 - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直進時だけでなく旋回時にも適用でき、かつ加速時にも精度良く早期に路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置に関する。
近年、車両においてはトラクション制御,制動力制御,あるいはトルク配分制御等について様々な制御技術が提案され、実用化されている。これらの技術では、必要な制御パラメータの演算、あるいは、補正に路面摩擦係数を用いるものも多く、その制御を適切に実行するためには、正確な路面摩擦係数を推定する必要がある。
例えば、特開2003−237558号公報では、4輪の平均車輪速度を車体速度として求め、この車体速度を微分して車両の前後加速度として演算し、主ブレーキ制動時に動力配分制御装置の油圧多板クラッチの締結を解放方向にさせ、後輪の車輪速度と前輪の車輪速度の差を前輪の車輪速度で除してすべり速度差変数を演算し、車両の前後加速度、すべり速度差変数を基に、予め設定しておいたマップを基に路面状態を推定する技術が開示されている。
特開平5−338457号公報
しかしながら、上述の特許文献1の技術では、例えば前後駆動力配分機構を有する4輪駆動車において、その制御を一般的に良く知られている、駆動トルクに応じたフィードフォワード制御と車輪差回転に応じたフィードバック制御により実行する場合、加速時は全輪が駆動状態であるため前後輪の駆動力(及びスリップ率)が時々刻々と変化し、車体速度の推定が困難で、特に加速時においては路面摩擦係数の推定が困難であるという問題がある。また、特許文献1の技術は路面摩擦係数に応じて発生する前後すべり速度差を利用して路面摩擦係数を推定する技術であるため、旋回中においては精度良く推定できず、誤判定してしまう虞がある。すなわち、旋回中においては旋回半径に応じた前後輪のすべり率差が発生してしまうため、路面摩擦係数に応じて発生する前後輪のすべり率差以外の外的要因が加わってしまい、路面摩擦係数を誤判定してしまう虞がある。そして結果として、直進付近でしか推定の原理を適用できないという問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、直進時だけでなく旋回時にも適用でき、かつ加速時にも精度良く早期に路面摩擦係数を推定できる路面摩擦係数推定装置を提供することを目的とする。
本発明は、車両の前後加速度に基づき、車輪が発生している第1の制駆動力を演算する第1の制駆動力演算手段と、車両の駆動源の出力トルクまたはブレーキの制動力に基づき車輪に付加する第2の制駆動力を演算する第2の制駆動力演算手段と、上記第1の制駆動力の今回の値と過去の値との差分値を第1の制駆動力差分値として演算する第1の制駆動力差分値演算手段と、上記第2の制駆動力の今回の値と過去の値との差分値を第2の制駆動力差分値として演算する第2の制駆動力差分値演算手段と、スリップ率と路面摩擦係数の関係を示すタイヤ特性に基づき、所定のスリップ率におけるドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数との関係を予め設定し記憶する記憶手段と、上記第1の制駆動力差分値と上記第2の制駆動力差分値により上記ドライビングスティフネス係数を演算するドライビングスティフネス係数演算手段と、車速と上記ドライビングスティフネス係数演算手段で演算したドライビングスティフネス係数を基に、上記記憶手段に記憶した上記ドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数との関係から路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段とを備えたことを特徴としている。
本発明による路面摩擦係数推定装置によれば、直進時だけでなく旋回時にも適用でき、かつ加速時にも精度良く早期に路面摩擦係数を推定できるという優れた効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図5は本発明の実施の一形態を示し、図1は路面摩擦係数推定装置の構成を示す機能ブロック図、図2は路面摩擦係数推定プログラムのフローチャート、図3はドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数推定値の特性マップの一例を示す説明図、図4はドライビングスティフネス係数と車速とスリップ率の関係を示す説明図、図5は路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線の説明図である。
図1において、符号1は車両に搭載され、路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置を示し、この路面摩擦係数推定装置1には、制御部2に、4輪の車輪速センサ3、エンジン制御部4、トランスミッション制御部5、ブレーキ液圧センサ6、前後加速度センサ7が接続され、4輪車輪速ωfl(左前輪車輪速)、ωfr(右前輪車輪速)、ωrl(左後輪車輪速)、ωrr(右後輪車輪速)、エンジン回転数Ne、スロットル開度θth、タービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比i、ブレーキ液圧PB、前後加速度Gxが入力される。
そして、路面摩擦係数推定装置1の制御部2は、上述の各入力信号に基づき、後述する路面摩擦係数推定プログラムを実行し、路面摩擦係数を推定して出力する(路面摩擦係数推定値μEを出力する)。すなわち、制御部2は、図1に示すように、車速演算部2a、発生制駆動力演算部2b、推定制駆動力演算部2c、発生制駆動力差分値演算部2d、推定制駆動力差分値演算部2e、ドライビングスティフネス係数演算部2f、路面摩擦係数推定値設定部2gから主要に構成されている。
車速演算部2aは、4輪車輪速センサ3から各車輪の車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrrが入力され、これらの平均を演算することで車速V(=(ωfl+ωfr+ωrl+ωrr)/4)を演算し、路面摩擦係数推定値設定部2gに出力する。
発生制駆動力演算部2bは、前後加速度センサ7から前後加速度Gxが入力され、例えば、以下の(1)式により、第1の制駆動力としての発生制駆動力Fdを演算し、発生制駆動力差分値演算部2dに出力する。すなわち、発生制駆動力演算部2bは、第1の制駆動力演算手段として設けられている。
Fd=((M・r+Jw)/r)・Gx …(1)
ここで、Mは車重、rはタイヤ半径、Jwは車輪と車軸などを併せた回転部分の慣性モーメントである。
推定制駆動力演算部2cは、エンジン制御部4からエンジン回転数Ne、スロットル開度θthが入力され、トランスミッション制御部5からタービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比iが入力され、ブレーキ液圧センサ6からブレーキ液圧PBが入力される。そして、例えば、以下の(2)式により、第2の制駆動力としての推定制駆動力Fmを演算し、推定制駆動力差分値演算部2eに出力する。すなわち、推定制駆動力演算部2cは、第2の制駆動力演算手段として設けられている。
Fm=(Tm+KB・PB)/r …(2)
ここで、Tmは駆動トルク、KBはブレーキ液圧ゲインであり、Tmは、例えば、以下の(3)式により、演算される。
Tm=Te・i・if・tconv …(3)
ここで、Teは予め設定しておいたエンジン回転数Neとスロットル開度θthの特性マップを基に演算されるエンジン出力トルク、ifは終段減速機のギヤ比、tconvはトルクコンバータ(図示せず)のトルコン比であり、このトルコン比tconvは、トルクコンバータの速度比e(=Nt/Ne)を基に予め設定されたマップから求められる。尚、エンジン出力トルクTeはエンジン制御部4等から直接入力される値を用いても良く、トルコン比tconvはトランスミッション制御部5等から直接入力される値を用いても良い。
発生制駆動力差分値演算部2dは、発生制駆動力演算部2bから発生制駆動力Fdが入力される。そして、発生制駆動力Fdの今回の値Fd(k)と、過去の値(本実施の形態では前回の値:Fd(k-1))との差分値(発生制駆動力差分値)ΔFdを演算し、ドライビングスティフネス係数演算部2fに出力する。すなわち、
ΔFd=Fd(k)−Fd(k-1) …(4)
このように、発生制駆動力差分値演算部2dは、第1の制駆動力差分値としての発生制駆動力差分値ΔFdを演算する第1の制駆動力差分値演算手段として設けられている。尚、本実施の形態では、今回の値Fd(k)と前回の値Fd(k-1)とで発生制駆動力差分値ΔFdを演算するようにしているが、前回の値ではなく数サンプリング前の値を過去の値として用いるようにしても良い。
推定制駆動力差分値演算部2eは、推定制駆動力演算部2cから推定制駆動力Fmが入力される。そして、推定制駆動力Fmの今回の値Fm(k)と、過去の値(本実施の形態では前回の値:Fm(k-1))との差分値(推定制駆動力差分値)ΔFmを演算し、ドライビングスティフネス係数演算部2fに出力する。すなわち、
ΔFm=Fm(k)−Fm(k-1) …(5)
このように、推定制駆動力差分値演算部2eは、第2の制駆動力差分値としての推定制駆動力差分値ΔFmを演算する第2の制駆動力差分値演算手段として設けられている。尚、本実施の形態では、今回の値Fm(k)と前回の値Fm(k-1)とで推定制駆動力差分値ΔFmを演算するようにしているが、前回の値ではなく数サンプリング前の値を過去の値として用いるようにしても良い。
ドライビングスティフネス係数演算部2fは、発生制駆動力差分値演算部2dから発生制駆動力差分値ΔFdが入力され、推定制駆動力差分値演算部2eから推定制駆動力差分値ΔFmが入力される。そして、これら発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmにより、後述する、スリップ率λと路面摩擦係数μの関係を示すタイヤ特性のドライビングスティフネス係数Qを演算し、路面摩擦係数推定値設定部2gに出力する。本実施の形態では、ドライビングスティフネス係数Qを時系列データから推定する方法として、一般的なパラメータ同定手法の一つである固定トレース法を用いる。すなわち、固定トレース法によれば、φの推定値であるφeを求める式は、以下の(6)式で与えられる。尚、式中の添字(k)は今回の値、(k−1)は前回の値であることを示す。
φe(k)=φe(k-1)−(F(k-1)・p(k))/(ζ+p(k)・F(k-1)・p(k))
・(p(k)・φe(k-1)−y(k)) …(6)
ここで、ζは以下の(7)式で与えられる。
ζ=1/(1+F(k-1)・p(k)) …(7)
すなわち、ドライビングスティフネス係数Qは、後述の(14)式に示すように、Q=ΔFd/ΔFmで与えられる。発生制駆動力差分値ΔFdには、時々刻々変化するピッチング運動やサスペンション系の変動が含まれるため、パラメータ同定手法を用いて求めることにより、安定した精度の良いドライビングスティフネス係数Qが得られるようになっている。
そして、上述の(6)式、(7)式に対し、以下のようにパラメータを代入し、ドライビングスティフネス係数Qを推定するのである。
φe(k)=Q、p(k)=p(k)=ΔFm、y(k)=ΔFd
尚、トレースゲインであるF(k-1)は、例えば、0.0001とする。
このように、ドライビングスティフネス係数演算部2fは、ドライビングスティフネス係数演算手段として設けられている。
路面摩擦係数推定値設定部2gは、車速演算部2aから車速Vが入力され、ドライビングスティフネス係数演算部2fからドライビングスティフネス係数Qが入力される。そして、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEとの関係を示す特性マップ(図3)を参照して路面摩擦係数推定値μEを設定し、出力する。すなわち、路面摩擦係数推定値設定部2gは、記憶手段、及び、路面摩擦係数推定手段として設けられている。
ここで、図3のドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数μとの関係を示すマップについて説明する。Mを車重、Mwを回転部分重量、Vを車体速度、Vwを4輪平均車速、ωを駆動輪回転速度、Nを垂直荷重、μを路面摩擦係数とおくと、一輪モデルより車輪の運動方程式は、以下の(8)式となる。
Mw・(dVw/dt)=Fm−Fd …(8)
また、車体の運動方程式は、以下の(9)式で与えられる。
M・(dV/dt)=Fd …(9)
但し、車輪の運動は、Mw=Jw/r、Fm=(Tm+KB・PB)/r、Vw=r・ωとする。
また、路面とタイヤ間の特性(タイヤ特性)は、スリップ率と路面摩擦係数の路面摩擦関数(図5参照)により記述され、μは次式で定義される。
μ=Fd/N …(10)
ここで、駆動時のスリップ率λは次式で表される。
λ=(Vw−V)/Vw …(11)
以下では駆動時のみを考え、タイヤ・路面系を動作点の近似により取り扱う。ここで、あるスリップ率λ0における路面摩擦係数μの傾きをaと定義する。(8)式〜(11)式の摂動システムを作りスリップ率λを消去すると、以下の(12)、(13)式が得られる。
(dx/dt)=A・x+B・ΔFm …(12)
ΔFd=C・x …(13)
但し、
Figure 0004959502
ここで、V0、Vw0は、それぞれ動作点における車体速度と駆動輪速度である。
以上によりタイヤに与えたトルクから駆動力までの伝達関数を計算すると、ドライビングスティフネス係数Qについての以下の(14)式を得る。
Q=ΔFd/ΔFm=K/(1+τ0・s) …(14)
ここで、
K=(M・(1−λ0))/(Mw+M・(1−λ0)) …(15)
τ0=((Mw・Vw0)/(a・N))
・(M/(Mw+M・(1−λ0)) …(16)
上述の(14)式を基に、ドライビングスティフネス係数Qとスリップ率λの関係を示すと、図4に示す特性図となる。
そして、図5に示す、路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線を基に、スリップ率が路面摩擦係数がピークとなる前のスリップ率(例えば、7%)を目標に、路面摩擦係数推定値μEを、例えば、0.3とおき、車速V、ドライビングスティフネス係数Q、路面摩擦係数推定値μEの関係を設定すると、図3に示すような、ドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEの特性マップが得られるのである。
次に、上述の路面摩擦係数推定装置1の制御部2で実行される路面摩擦係数推定プログラムを、図2のフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、必要パラメータ、すなわち、4輪車輪速ωfl、ωfr、ωrl、ωrr、エンジン回転数Ne、スロットル開度θth、タービン回転数Nt、トランスミッションギヤ比i、ブレーキ液圧PB、前後加速度Gxを読み込む。
次に、S102に進み、車速演算部2aで車速Vを演算する。
次いで、S103に進み、発生制駆動力演算部2bで、上述の(1)式により、発生制駆動力Fdを演算し、推定制駆動力演算部2cで、上述の(2)式により、推定制駆動力Fmを演算する。
次に、S104に進み、発生制駆動力差分値演算部2dで、上述の(4)式により、発生制駆動力差分値ΔFdを演算し、推定制駆動力差分値演算部2eで、上述の(5)式により、推定制駆動力差分値ΔFmを演算する。
次いで、S105に進み、ドライビングスティフネス係数演算部2fで、発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmにより、パラメータ同定手法の一つである固定トレース法を用い、すなわち、上述の(6)式を用いて、ドライビングスティフネス係数Qを推定する。
そして、S106に進み、路面摩擦係数推定値設定部2gで、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEとの関係を示す特性マップ(図3)を参照して路面摩擦係数推定値μEを設定し、出力する。
このように本実施の形態によれば、車両の前後加速度に基づき、車輪が発生している発生制駆動力Fdを演算し、車両の駆動源の出力トルクやブレーキの制動力に基づき、車輪に付加する推定制駆動力Fmを演算し、発生制駆動力Fdの今回の値と過去の値との差分値(発生制駆動力差分値)ΔFdと推定制駆動力Fmの今回の値と過去の値との差分値(推定制駆動力差分値)ΔFmを演算し、発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmによりパラメータ同定手法を用いてドライビングスティフネス係数Qを推定し、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に、予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEとの関係を示す特性マップを参照して路面摩擦係数推定値μEを設定するようになっている。尚、本実施の形態では、路面摩擦係数の推定に前輪の車輪速度と後輪の車輪速度の差を使用しないため、旋回に伴い発生する前輪と後輪の車輪速度差の影響を受けず、旋回・直進に関わらず路面摩擦係数の推定が可能である。このため、加速、減速、操舵の幅広い運転領域で精度の良い路面摩擦係数の推定ができ、汎用性に優れるという優れた効果を奏する。
また、予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEとの関係を示す特性マップは、スリップ率が路面摩擦係数がピークとなる前のスリップ率(例えば、7%)を目標に予め設定されるので、小さいスリップ率での判定が可能であり、応答性が良い。
更に、ドライビングスティフネス係数Qの推定は、発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmによりパラメータ同定手法を用いて行われるため、それぞれの差分値により道路勾配等による誤差が排除でき、精度の良い路面摩擦係数の推定を行うことができる。
尚、本実施の形態では、全ての運転領域において路面摩擦係数を推定するようになっているが、本手法により路面摩擦係数を推定する運転領域を、例えば、加速領域のみと限定するようにしても良い。
また、本実施の形態では、路面摩擦係数推定値設定部2gは、車速Vとドライビングスティフネス係数Qを基に予め記憶しておいたドライビングスティフネス係数Qと車速Vと路面摩擦係数推定値μEとの関係を示す特性マップを参照して路面摩擦係数推定値μEを設定し、そのまま出力するようになっているが、今回設定した路面摩擦係数推定値μE(k)と前回設定した路面摩擦係数推定値μE(k-1)とを比較して小さい方の値を出力するようにしても良い。
以上のように設定される路面摩擦係数推定値μEは、例えば、図示しない外部表示装置に出力され、インストルメントパネルでの表示等によりドライバの注意を喚起するように用いられる。或いは、エンジン制御部、トランスミッション制御部、前後軸間或いは左右輪間の駆動力配分制御部、ブレーキ制御部(何れも図示せず)等に出力されて、各制御部における制御量の設定に寄与される。
例えば、前軸:後軸のトルク配分が、100:0〜50:50の間でトランスファクラッチにより可変できる4輪駆動車の前後駆動力配分制御に用いる場合、燃費改善と前後駆動力配分制御とを両立させる為には、高μ路では不要な後輪伝達トルクを減らし内部循環トルクを低減させる一方、低μ路では安定性を重視して所定の後輪伝達トルクを発生させる必要がある。そのため、推定した路面摩擦係数推定値μEに応じてトランスファクラッチトルクの締結力を制御し、後輪トルク配分率を連続的に変化させるようにする。
尚、本実施の形態では、ドライビングスティフネス係数演算部2fにおいてドライビングスティフネス係数Qをパラメータ同定手法を用いて求めるようになっているが、発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmの値を安定して求めることができるのであれば、単に、発生制駆動力差分値ΔFdと推定制駆動力差分値ΔFmとの比率により、ドライビングスティフネス係数Qを推定するようにしても良い。
路面摩擦係数推定装置の構成を示す機能ブロック図 路面摩擦係数推定プログラムのフローチャート ドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数推定値の特性マップの一例を示す説明図 ドライビングスティフネス係数と車速とスリップ率の関係を示す説明図 路面摩擦係数とスリップ率のタイヤ特性曲線の説明図
符号の説明
1 路面摩擦係数推定装置
2 制御部
2a 車速演算部
2b 発生制駆動力演算部(第1の制駆動力演算手段)
2c 推定制駆動力演算部(第2の制駆動力演算手段)
2d 発生制駆動力差分値演算部(第1の制駆動力差分値演算手段)
2e 推定制駆動力差分値演算部(第2の制駆動力差分値演算手段)
2f ドライビングスティフネス係数演算部(ドライビングスティフネス係数演算手段)
2g 路面摩擦係数推定値設定部(記憶手段、路面摩擦係数推定手段)
3 4輪車輪速センサ
4 エンジン制御部
5 トランスミッション制御部
6 ブレーキ液圧センサ
7 前後加速度センサ

Claims (3)

  1. 車両の前後加速度に基づき、車輪が発生している第1の制駆動力を演算する第1の制駆動力演算手段と、
    車両の駆動源の出力トルクまたはブレーキの制動力に基づき車輪に付加する第2の制駆動力を演算する第2の制駆動力演算手段と、
    上記第1の制駆動力の今回の値と過去の値との差分値を第1の制駆動力差分値として演算する第1の制駆動力差分値演算手段と、
    上記第2の制駆動力の今回の値と過去の値との差分値を第2の制駆動力差分値として演算する第2の制駆動力差分値演算手段と、
    スリップ率と路面摩擦係数の関係を示すタイヤ特性に基づき、所定のスリップ率におけるドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数との関係を予め設定し記憶する記憶手段と、
    上記第1の制駆動力差分値と上記第2の制駆動力差分値により上記ドライビングスティフネス係数を演算するドライビングスティフネス係数演算手段と、
    車速と上記ドライビングスティフネス係数演算手段で演算したドライビングスティフネス係数を基に、上記記憶手段に記憶した上記ドライビングスティフネス係数と車速と路面摩擦係数との関係から路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、
    を備えたことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
  2. 上記ドライビングスティフネス係数演算手段は、上記第1の制駆動力差分値と上記第2の制駆動力差分値の比率によりドライビングスティフネス係数を求めることを特徴とする請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
  3. 上記ドライビングスティフネス係数演算手段は、パラメータ同定を用いて上記第1の制駆動力差分値と上記第2の制駆動力差分値により上記ドライビングスティフネス係数を演算することを特徴とする請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
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