JP4165344B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、前後輪の一方をエンジンで駆動すると共に他方を電動機で駆動する4輪駆動車両における車両の姿勢安定制御に関する。
前後輪の一方をエンジンで駆動すると共に他方を電動機で駆動する4輪(前後輪)駆動車両が知られている。かかる前後輪駆動車両の中には、走行中に車両の拳動が不安定になると、前後輪の駆動力配分比を変えたり、或いは左右輪の駆動力配分比を変えたりして、車両挙動の安定を図るものがある。また、電動機の出力を一時的に高めてその駆動力を車輪に伝達することにより、運転操作の向上などを図るものが知られている。
前後輪の駆動力配分比を変える前後輪駆動車両の一例としては、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪を電動機で駆動するハイブリット車両において、前後輪の車輪速差などに基づいて電動機の駆動トルクを決定し、その決定した駆動トルクにより電動機を駆動制御するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、他の例としては、前輪をエンジンや第1電動機で駆動すると共に後輪を第2電動機で駆動する前後輪駆動車両において、第1電動機と第2電動機の熱定格の相互関係に基づき、それらいずれか一方の電動機の作動が制限された場合には、他方の電動機の作動を増大して車両の走行安定性を保持するものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
また、左右輪の駆動力配分比を変える車両の一例としては、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪を電動機で駆動する4輪駆動車両において、左右後輪間の駆動力配分比を可変として電動機で後輪を駆動制御し、変速時の車両拳動変化を抑制するものが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
一方、電動機の出力を一時的に高めて運転操作の向上などを図る前後輪駆動車両も既知である。例えば、エンジンやモータから出力した動力をトランスミッションなどを介して駆動輪に伝達する車両において、運転者の運転上の操作感を高めるため、短時間に限ってモータの定格値を超える出力でモータを駆動し、その駆動力を駆動輪に出力する動力出力装置が知られている(例えば、特許文献4を参照)。また、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪をホイールインモータで駆動する車両において、補機バッテリーの電力をDC/DCコンバータを用いて昇圧し、その昇圧した電力を左右後輪のホイールインモータに供給することにより、アシスト推進力を発生させる車両駆動システムが知られている(例えば、特許文献5を参照)。さらに、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪をモータジェネレータで駆動する車両において、加速操作時の運転者の要求出力が高くなると短時間だけモータジェネレータの出力を高くしてモータジェネレータを駆動制御し、アクセルペダルの踏み増しによる出力増加の防止などを図る車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献6を参照)。
このように、前後輪の一方に電動機を備える前後輪駆動車両においては、車両の姿勢を安定させるために前後輪及び/又は左右輪間の駆動力配分を制御することが行われる。しかし、例えばコーナーの脱出時にアクセルが踏まれた場合などにおいて、車両の姿勢を安定させるために電動機により出力可能な駆動力を超える駆動力の要求が生じたような場合には、単なる前後輪又は左右輪間の駆動力配分のみによっては姿勢安定が困難となることがある。
特開2001−177909号公報 特開2001−112114号公報 特開2001−347846号公報 特開2001−238306号公報 特開平11−332013号公報 特開2001−65382号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、前後輪のいずれか一方の左右輪にモータが搭載された4輪駆動車両において、駆動力の増減要求と車両の姿勢安定要求が同時になされた場合に、車両姿勢の安定化を図ることを課題とする。
本発明の1つの観点では、前後輪の一方をモータにより駆動する4輪駆動車両の制御装置は、運転者の操作に基づく駆動力の増減要求の有無を判定する手段と、車両状態を推定し、車両の姿勢安定制御要求の有無を判定する手段と、前記駆動力の増減要求及び姿勢安定制御要求がある場合に、前記モータの駆動制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記モータの通常出力制御、及び、左右輪の駆動力配分により前記駆動力の増減要求及び前記姿勢安定制御要求を満足するように前記モータを制御する第1手段と、前記第1手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの通常出力制御、及び、前後輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第1手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの通常出力制御及び前後輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第2手段と、前記第2手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第2手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第3手段と、前記第3手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御、及び、前後輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第3手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第4手段と、を備える。
上記の制御装置は、前後輪の一方をモータにより駆動する4輪駆動車両において、運転者の操作に基づいて駆動力の増減要求を判定する。駆動力の増減要求には、運転者のアクセルペダルの踏み込みに応じた駆動力の増加などに加え、アクセルの解放時に生じる回生量の増加要求も含まれる。また、例えば各種のセンサ出力などに基づいて車両状態が推定され、推定結果に基づいて車両の姿勢安定制御要求の有無が判定される。そして、駆動力の増減要求及び姿勢安定制御要求の両方が存在する場合に、制御手段は両要求を満足するようにモータの駆動制御を行う。ここで、両要求が存在する場合とは、例えば車両の旋回中にアクセルペダルが踏み込まれたような場合を含む。具体的には、制御手段は、まず、モータの通常出力制御及び左右輪の駆動力配分により両要求を満足するように制御し、それができない場合はモータの通常出力制御及び前後輪の駆動力配分により両要求を満足するように制御する。さらに、それでも両要求を満足できない場合は、モータの短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により両要求を満足するように制御し、それができない場合はモータの短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分により両要求を満足するように制御する。モータの通常制御とはそのモータの定格出力範囲内で出力トルク又は回生量を得るように駆動制御をいう。また、短期高出力制御とは、短時間に限定して、そのモータの定格出力を超える出力トルク又は回生量を得るようにモータを制御することをいう。前後輪の駆動力配分より左右輪の駆動力配分を優先して行う理由は、左右輪の駆動力配分による方が姿勢安定制御における精度が高いからである。このように、左右輪又は前後輪の駆動力配分を行うとともに、必要に応じてモータの短期高出力制御を行うことにより、駆動力の増減要求と姿勢安定制御の要求を可能な限り満足することが可能となる。
上記の制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記第4手段により前記駆動力の増減要求及び前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御を行い、前記駆動力の増減要求に満たない駆動力で制御を行う。この態様では、モータの短期高出力制御を行っても両要求を満足できない場合には、安全性を優先する意味で姿勢安定制御要求を満足するように制御を行い、駆動力の増減要求は可能な範囲内で対応することとする。
上記の制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記通常制御時には前記モータの定格出力以下で前記モータを動作させ、前記短期高出力制御時には前記モータの定格出力以上で前記モータを動作させる。このように、短時間に限定して、モータの定格出力以上の出力を得ることにより、姿勢安定制御などの一時的なトルク要求に可能な限り応えて、車両の走行を安定させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[第1実施例]
(車両の基本構成)
まず、本実施形態に係る車両100の基本構成について説明する。なお、本実施形態に係る車両100は、FR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)の前輪側にモータジェネレータなどを利用した駆動ユニットを設けた車両に本発明を適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく、FF車両(エンジン前置き前輪駆動方式)の後輪側に駆動ユニットを設けた車両にも適用可能である。
図1に、本発明の実施形態に係る車両100の概略構成を示す。車両100は、図1に示すように、主として、エンジン1と、トルクコンバータ2と、トランスミッション3と、プロペラシャフト4と、ディファレンシャルギヤ5と、ドライブシャフト6、9と、後輪7と、前輪10と、駆動ユニット8と、車両制御システム200とを備える。車両制御システム200は、バッテリー12、インバータ13、及び昇圧コンバータ14を備える。 エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトは、トルクコンバータ2、トランスミッション3、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5、及びドライブシャフト6を介して後輪7に動力を伝達する。
トルクコンバータ2は、エンジン1とトランスミッション3との間に設けられる。トルクコンバータ2は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン1から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション3へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション3へ伝達する機能とを有する。
トランスミッション3は、トルクコンバータ2とプロペラシャフト4との間に設けられ、前進4段(第1速〜第4速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギヤ(プラネタリーギヤ)などを有する。トランスミッション3は、ECU(Engine Control Unit)からの指令信号に基づき、図示しない油圧制御装置を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を行う。
プロペラシャフト4は、トランスミッション3とディファレンシャルギヤ5との間に設けられ、エンジン1側から得られる駆動力を後輪7側へ伝達する推進軸である。ディファレンシャルギヤ5は、複数の傘歯歯車を組み合わせたものから構成され、車両旋回時に内側の車輪と外側の車輪との回転速度を調整するギヤである。ドライブシャフト6は、左右後輪7と回転自在に連結される車軸であり、エンジン1からの駆動力によって回転し、後輪7へ動力を伝達する。ドライブシャフト9は、左右の前輪10と回転自在に連結される車軸である。
駆動ユニット8は、エンジン1の左右側面にそれぞれ配置される。駆動ユニット8は、電気エネルギーを機械エネルギーへ変換をするモータとしての機能と、その逆に機械エネルギーを電気エネルギーへ変換する発電機としての機能とを兼ね備えている。ここで、駆動ユニット8がバッテリー12からの電力を得てモータとして機能し左右の前輪10に駆動力を伝達する動作を「力行」と称する。また、駆動ユニット8が左右の前輪10からの駆動力を得て発電機として機能し、発電した電力をバッテリー12へ充電する動作を「回生」と称する。
駆動ユニット8は、減速機を備えており、左右の前輪10に対して、それぞれ異なる大きさの駆動力を伝達することができる。よって、車両制御システム200は、車両100の走行状態に応じて駆動ユニット8を制御し、左右の前輪10を独立に駆動制御することにより、左右の前輪間の駆動力配分を制御することができる。
車両制御システム200は、バッテリー12、インバータ13及び昇圧コンバータ14を備える。車両制御システム200は、車両の走行に伴って駆動力の増減要求及び姿勢安定制御の要求があったときに、後述するように、可能な限り駆動力の増減要求に応えるとともに、車両100の姿勢を安定させるように駆動ユニット8を制御する。
バッテリー12は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池などの2次電池であり、例えば、12Vの定格電圧とすることができる。バッテリー12は、車両制御システム200による車両100の制御時に、インバータ13、昇圧コンバータ14に対して電源ケーブル81、82を通じて電力を供給する。
昇圧コンバータ14は、バッテリー12とインバータ13との間に電源ケーブル81及び83を通じて接続され、バッテリー12から供給される12V電圧値を所定の高電圧値に変換する(以下、「昇圧」と呼ぶ。)。尚、所定の高電圧値は、例えば、駆動ユニット8の逆起電力以上となる電圧値とすることができる。昇圧コンバータ14は、車両旋回中などにおいて車両100の姿勢が不安定になり、駆動ユニット8の定格電圧範囲内での使用により得られる駆動力では車両100の姿勢安定制御を行うことができなくなったときに、バッテリー12からの電圧を昇圧しインバータ13へ供給する。
インバータ13は、電源ケーブル82〜84を通じてバッテリー12、昇圧コンバータ14及び左右の駆動ユニット8と夫々接続される。車両制御システム200による駆動ユニット8の通常制御時においては、インバータ13はバッテリー12から電源ケーブル82を通じて電力供給を受けてそれを交流電圧に変換し、電源ケーブル84を通じて左右の駆動ユニット8に供給し、左右の駆動ユニット8を独立に駆動する。このときの交流電圧は、左右の駆動ユニット8を定格電圧範囲内で駆動する電圧となっている。
また、車両制御システム200による駆動ユニット8の短期高出力制御時には、インバータ13は、昇圧コンバータ14から電源ケーブル83を通じて所定の高電圧の電力供給を受けてそれを交流電圧に変換し、電源ケーブル84を通じて左右の駆動ユニット8に供給し、左右の駆動ユニット8を独立に駆動する。このときの交流電圧は、左右の駆動ユニット8を一時的に高出力で駆動する電圧となっている。これにより、インバータ13は、駆動ユニット8を通じて大きな駆動力で左又は右の前輪10を駆動することができる。また、インバータ13は、車両減速時などに駆動ユニット8から発生する電力供給を受けると、その電力をバッテリー12の充電を行うのに適した直流電圧に変換しバッテリー12を充電する回生動作を行う。
(車両制御システム)
次に、本発明に係る車両制御システム200について詳しく説明する。一般的に、車両に搭載されるべきモータの大きさ(体格)は、その車両の加速に必要なモータの出力トルク及び時間に基づき決定されている。所定の体格のモータが左右前輪に夫々搭載された前後輪駆動車両では、必要に応じて左右の各モータを駆動制御することにより、モータの体格に応じた駆動力が左右前輪に付与され車両の姿勢を安定化するよう制御される。例えば、車両の旋回中に運転者によりアクセルペダルが踏み込まれると後輪の駆動力が増加するため、その後輪の駆動力と一定のバランスを保てるだけの駆動力を左右の前輪10に付与して車両姿勢を安定化させる必要が生じうる。
この場合、車両姿勢の安定化を図るためには左右の前輪10側に搭載された各モータを駆動して左右の前輪10に駆動力を付与する必要があるが、モータの体格を上回る駆動力が要求された場合には車両の姿勢の安定が図れなくなる。本車両制御システム200では、そのような場合、まず左右輪の駆動力配分、次に前後輪の駆動力配分の順で車両姿勢を制御し、車両姿勢の安定を図る。尚、前後輪の駆動力配分とは、車速を変化させることなく、エンジン1の駆動力と、左右の前輪10へ夫々付与する駆動ユニット8の駆動力との比を変えることにより、車両姿勢の安定を図る制御をいう。
そして、それらの各制御によっても車両姿勢の安定化を図るのが困難なときには、本車両制御システム200は、左右の前輪10側に搭載された駆動ユニット8により短期高出力制御を実行する。つまり、短時間のみに限定して、昇圧コンバータ14を用いて駆動ユニット8の逆起電力以上に駆動ユニット8の端子電圧を昇圧して一時的に駆動ユニット8に大電流を流し、高出力トルクを得る。これにより、左右の前輪10に付与する駆動力を高め、車両姿勢の安定を図る。通常、モータには定格出力が決められており、その定格出力を超えない範囲で駆動制御がなされる。しかし、短時間であれば大電流を供給して定格出力を超える出力を得ることも可能である。上記のように車両姿勢安定化のために大きな駆動力が要求される時間は一瞬であり、通常のモータ使用による車両の加速に要する時間に比べて非常に短時間であるので、一時的に駆動ユニットから高出力を得ても支障はない。
図2に、車両制御システム200の構成をブロック図で示す。車両制御システム200は、主として、各種センサと、トータル駆動力決定手段26と、車両状態推定手段27と、左右輪駆動力配分比決定手段28と、前後輪駆動力配分比決定手段29と、コントローラユニット30と、昇圧コンバータ14と、インバータ13と、バッテリー12と(図2では図示を省略)、ECU33と、ブレーキコントロールユニット34と、を備える。本車両制御システム200の各構成要素は、コントローラユニット30により統括制御されている。以下各構成について、図2を参照して説明する。
各種センサは、主として、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれたときにその踏込量を検出するアクセル開度センサ20、左右前後輪に夫々設けられ、それらの各回転速度を検出する車速センサ21、車両100の前後加速度及び横加速度を夫々検出する加速度センサ22、運転者によるステアリング操作時のステアリング角度を検出する舵角センサ23、旋回時における車両100のヨーモーメントを検出するヨーレートセンサ24などを含む。アクセル開度センサ20は、アクセルペダルの踏込量を検出すると、その検出値D1をトータル駆動力決定手段26へ出力する。また、車速センサ21、加速度センサ22、舵角センサ23及びヨーレートセンサ24は、左右前後輪の各回転速度、前後加速度及び横加速度、ステアリング角度、ヨーモーメントなどを夫々検出すると、それらの検出値を車両状態推定手段27へ出力する。尚、上記各種センサは、上述の検出値を車両状態推定手段27のみならずコントローラユニット30に対してもリアルタイムに出力する。
トータル駆動力決定手段26は、アクセル開度センサ20から出力されたアクセルペダルの踏込量に基づいて、車両100のトータル駆動力を決定する。ここで、トータル駆動力とは、運転者のアクセルペダルの踏込量に対応する車両の目標出力トルク(トータル駆動力)をいう。つまり、トータル駆動力決定手段26は、運転者の車両加速要求に対して、車両の目標出力トルクをどの程度にするべきかを決定し、その目標出力トルク(トータル駆動力)に対応するデータD4をコントローラユニット30へ出力する。なお、運転者によりアクセルペダルが解放された場合は、負のトータル駆動力(即ち回生量を示す)がコントローラユニット30へ供給される。
車両状態推定手段27は、主として、車速センサ21、加速度センサ22、舵角センサ23、及びヨーレートセンサ24から夫々出力された左右前後輪の各回転速度、前後加速度及び横加速度、ステアリング角度、ヨーモーメント等に基づいて、時々刻々と変化する車両100の走行状態を推定する。ここで、車両100の走行状態とは、例えば、左右の後輪7の双方がスリップしている、或いは左右の後輪7のうち右の後輪7だけがスリップしているなどの各種の状態を含む。
例えば、後者の例のように左右の後輪7のうち一方の車輪がスリップしているような場合には、車両状態推定手段27は、以下のようにして車両100の状態を推定する。即ち、車両状態推定手段27は、先ず、車速センサ21から得られる左右の後輪7の各回転速度に基づいて左右の後輪7の回転速度差を算出する。次に、車両状態推定手段27は、その回転速度差がある一定値以上である場合に左右の後輪7のうち一方の車輪がスリップ状態にあると推定する。尚、上記の車両状態の推定方法は、あくまで一例であり、車両状態を推定する方法はこれに限られるものではない。
このようにして、車両姿勢が不安定な状態にあるものと推定した場合、車両状態推定手段27は、車両姿勢を安定にするべく、車両姿勢安定制御の要求D2を左右輪駆動力配分比決定手段28、前後輪駆動力配分比決定手段29及びコントロールユニット30へ出力する。加えて、車両状態推定手段27は、上記各種センサから得られる車速、前後加速度及び横加速度などの各種検出値、及び上記各種センサに基づき算出した車両状態に対応するデータD2を左右輪駆動力配分比決定手段28、前後輪駆動力配分比決定手段29及びコントロールユニット30へ出力する。
左右輪駆動力配分比決定手段28は、不安定な姿勢状態にある車両の姿勢を安定にするため、車両状態推定手段27から出力された車両状態を示すデータD2に基づき、駆動ユニット8を通じて左右の前輪10に付与すべき駆動力の配分比(駆動力の割合)を決定する。そして、左右輪駆動力配分比決定手段28は、決定した左右前輪の駆動力配分比に対応するトルク要求値D5をコントローラユニット30へ出力する。なお、左右輪駆動力配分比決定手段28は、車両姿勢安定要求がない場合にはトルク要求を出力しない。
前後輪駆動力配分比決定手段29は、車両状態推定手段27から出力された車両状態を示すデータD2に基づいて、前後輪の駆動力配分比を決定する。前後輪駆動力配分比決定手段29は、前後輪の駆動力配分比を決定すると、前輪10と後輪7の要求トルク値D6をコントローラユニット30へ供給する。
コントローラユニット30は、入出力装置、記憶装置、中央処理演算装置などのマイクロコンピュータを中心として構成される。コントローラユニット30は、トータル駆動力決定手段26、左右輪駆動力配分比決定手段28及び前後輪駆動力配分比決定手段29から得られるトータル駆動力D4、左右輪のトルク要求値D5及び前後輪のトルク要求値D6に基づいて、駆動ユニット8の出力マップを参照し、駆動ユニット8の制御を行う。具体的には、コントローラユニット30は、出力マップを参照し、トータル駆動力D4、左右輪のトルク要求値D5及び前後輪のトルク要求値D6を駆動ユニットの通常制御により満足できるか否かを判定する。ここで、通常制御とは、駆動ユニット8を定格出力の範囲内で駆動する制御をいう。通常制御により要求を満足できる場合、コントローラユニット30は駆動ユニット8を通常制御し、かつ、左右輪又は前後輪の駆動力配分を行うことにより、トータル駆動力D4並びに左右輪及び前後輪のトルク要求値D5及びD6を実現する。一方、通常制御により要求を満足できない場合、コントローラユニット30は駆動ユニット8を短期高出力制御し、かつ、左右輪又は前後輪の駆動力配分を行うことにより、トータル駆動力D4並びに左右輪及び前後輪のトルク要求値D5及びD6を実現する。
図3(a)は、駆動ユニット8の力行時における出力トルクマップの一例を示す。図3(a)の出力トルクマップ中、横軸は車速Vを、縦軸は駆動ユニット8の出力トルクを夫々示している。出力トルクマップ中の特性曲線(実線)W1は駆動ユニット8の定格最大出力を示し、特性曲線(破線)W2は短時間であれば出力可能な駆動ユニット8の短時間最大出力を示している。
出力トルクマップ中には、特性曲線W1及びW2等により領域E1〜E3が規定される。領域E1は、駆動ユニット8を定格出力範囲内で駆動可能な領域、即ち、駆動ユニット8の通常制御により得られる出力トルクの範囲を示す。領域E2は、駆動ユニット8の端子に印加する電圧を昇圧することなく、駆動ユニット8が短時間に限って定格出力を超えて駆動可能な領域である。また、領域E3は、駆動ユニット8の端子に印加する電圧を昇圧すれば、短時間に限って定格出力を超えて駆動可能な領域である。即ち、領域E2及びE3は、駆動ユニット8の短期高出力制御により得られる出力トルクの範囲を示す。尚、出力トルクマップ中、駆動ユニット8の種類や仕様などによっては、各特性W1及びW2や各領域E1〜E3は当然変化する。
一方、図3(b)は駆動ユニット8の回生時における回生トルクマップを示す。図示のように、回生トルクマップは、図3(a)に示す出力トルクマップの出力トルクの極性を負としたものと等しい。即ち、領域E4は駆動ユニット8の通常制御により得られる回生トルクの範囲を示し、領域E5及びE6は駆動ユニットの短期高出力制御により得られる回生トルクの範囲を示す。
このように、コントローラユニット30は、トータル駆動力決定手段26からのトータル駆動力D4、並びに左右輪駆動力配分比決定手段28及び前後輪駆動力配分比決定手段29からのトルク要求値D5及びD6を、図3に示す出力マップ中の領域E1内で満足できる場合は、通常制御を行う。また、それらの要求を領域E2又はE3内で満足できる場合は短期高出力制御を行う。
コントローラユニット30は、左右輪駆動力配分比決定手段28又は前後輪駆動力配分比決定手段29において決定されたトルク要求値をモータトルク指令値D8としてインバータ13に供給する。通常制御の場合、インバータ13は、モータトルク指令値D8に従ってバッテリー12から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、各駆動ユニット8へ供給して各駆動ユニット8を駆動する。こうして、各駆動ユニット8の駆動力が左及び/又は右の前輪10へと伝達されて車両の姿勢が制御される。尚、モータトルク指令値D8は、ECU33やブレーキコントロールユニット34などに対しても供給される。
一方、短期高出力制御の場合、コントローラユニット30は必要に応じて昇圧コンバータ14及びインバータ13に昇圧指令信号D7を出力する。昇圧コンバータ14は、昇圧指令信号D7を受信すると、バッテリー12から供給される直流電圧を昇圧指令信号D7に従って昇圧し、その直流電圧D11をインバータ13に出力する。インバータ13は、昇圧指令信号D9を受けると、昇圧コンバータ14から与えられた直流電圧D11を交流電圧D12に変換し、各駆動ユニット8へ供給する。これにより、インバータ13は、短時間に限り高出力で駆動ユニット8を駆動制御する。
次に、図4及び図5に示すフローチャートを参照して、車両制御システム200の制御について説明する。図4は力行制御の場合のフローチャートを示し、図5は回生制御の場合のフローチャートを示す。
先ず、図4を参照して力行制御について説明する。コントローラユニット30は、トータル駆動力決定手段26からトータル駆動力の増加要求があったか否かを判定する(ステップS1)。トータル駆動力の増加要求がないときは(ステップS1:No)、コントローラユニット30は通常制御を実行する(ステップS9)。このとき、トータル駆動力の増加要求がないため、車両100はエンジン1からの駆動力のみにより走行している。
一方、駆動力増加要求があった場合には(ステップS1:Yes)、車両の姿勢が不安定な状態になっている可能性があるため、コントローラユニット30は、車両状態推定手段27から出力される車両状態データD2を通じて車両の姿勢安定制御要求があるか否かを判定する(ステップS2)。
姿勢安定制御要求がなければ(ステップS2:No)、コントローラユニット30は通常制御を実行する(ステップS9)。一方、姿勢安定制御要求があった場合(ステップS2:Yes)には、コントローラユニット30は、左右輪の駆動力配分により車両の姿勢安定制御要求及びトータル駆動力の増加要求の両要求を達成することができるか否かを判定する(ステップS3)。左右輪の駆動力配分で両要求を達成することができる場合には(ステップS3:Yes)、コントローラユニット30は通常制御を実行する(ステップS9)。この場合、車両100は、左右輪駆動力配分比決定手段28で決定された駆動力配分比に基づいて左右の前輪10が駆動される。
一方、左右輪の駆動力配分により両要求を達成することができない場合には(ステップS3:No)、前後輪の駆動力配分により両要求を達成することができるか否かを判定する(ステップS4)。前後輪の駆動力配分により両要求を達成することができる場合には(ステップS4:Yes)、コントローラユニット30は通常制御を実行する。この場合、車両100は前後輪駆動力配分比決定手段29で決定された駆動力配分比に基づいて、前後輪が駆動される。
一方、前後輪の駆動力配分で両要求を達成することができない場合には(ステップS4:No)、コントローラユニット30は、短期高出力制御を行うこととし、その場合に左右輪の駆動力配分で両要求を達成することができるか否かを判定する(ステップS5)。この場合、左右の駆動ユニット8の少なくとも一方に要求される出力トルクの要求値は、図3に例示した出力マップにおいて領域E2又はE3内にある。よって、短期高出力制御を実行する際に、駆動ユニット8に要求されるトルク要求値が出力マップにおいて領域E2にあるときは、駆動ユニット8の端子に印加する電圧を昇圧せずに駆動ユニット8は駆動制御される。一方、駆動ユニット8に要求される出力トルクの要求値が出力マップにおいて領域E3にあるときは、駆動ユニット8の端子に印加する電圧が昇圧されて駆動ユニット8が駆動制御される。
短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により両要求を達成することができる場合には(ステップS5:Yes)、コントローラユニット30は短期高出力制御を実行する。これにより、左右の駆動ユニット8の一方又は両方は短時間に限り高出力トルクで制御されとともに、左右輪の駆動力配分により車両姿勢の安定化を図ることができる。
一方、短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分で車両姿勢の安定を図ることができない場合には(ステップS5:No)、短期高出力制御を行った上で、前後輪の駆動力配分により両要求を達成することができるか否かを判定する(ステップS6)。
短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分で車両姿勢の安定を図ることができる場合には(ステップS6:Yes)、コントローラユニット30は短期高出力制御を実行する。これにより、左右の駆動ユニット8の一方又は両方は短時間に限り高出力トルクで制御されると共に前後輪の駆動力配分により車両姿勢の安定を図ることができる。一方、短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分でも車両姿勢の安定を図ることができない場合には(ステップS6:No)、コントローラユニット30は姿勢安定制御要求を満足するように、短期高出力制御により出力可能な範囲内で駆動力を出力する(ステップS7)。即ち、安全性を優先し、トータル駆動力の増加要求より、姿勢安定制御要求を優先して満足するように制御する。このため、トータル駆動力の増加要求を完全に満足することはできず、結果的にトータル駆動力は制限された状態となる。
次に、図5を参照して回生制御について説明する。図5に示す回生制御のフローチャートは、基本的には図4に示す力行制御のフローチャートと同様である。
まず、コントローラユニット30は、回生量の増加要求があるか否かを判定する(ステップS11)。回生量の増加要求がない場合(ステップS11;No)、通常制御が行われる(ステップS19)。一方、回生量の増加要求がある場合(ステップS11;Yes)、姿勢安定制御要求があるか否かが判定される(ステップS12)。例えば走行中に運転者がアクセルペダルを緩めるとエンジンブレーキによって車両は減速するので、減速量が大きい場合には車両の姿勢が不安定となることがある。姿勢安定制御要求がない場合(ステップS12;No)、通常制御が行われる(ステップS19)。
一方、姿勢安定制御がある場合(ステップS12;Yes)、まず、左右輪の駆動力配分により回生量の増加要求及び姿勢安定制御要求の両要求が達成可能であるか否かが判断され(ステップS13)、達成可能な場合には左右輪駆動力配分比決定手段28により決定された左右輪の駆動力配分により通常制御が行われる(ステップS19)。一方、左右輪の駆動力配分により両要求が達成可能ではない場合(ステップS13;No)、前後輪の駆動力配分により両要求が達成可能であるか否かが判断され(ステップS14)、達成可能な場合には、前後輪駆動力配分比決定手段29により決定された前後輪の駆動力配分により通常制御が行われる(ステップS19)。
一方、前後輪の駆動力配分によっても両要求が達成可能ではない場合(ステップS14;No)、コントローラユニット30は短期高出力制御を行うこととし、かつ、左右輪の駆動力配分により両要求が達成可能であるか否かを判定し(ステップS15)、達成可能であれば、決定された左右輪の駆動力配分比で短期高出力制御が行われる(ステップS18)。一方、短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分によって両要求が達成できない場合(ステップS15;No)、短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分により両要求が達成可能であるか否かを判定し(ステップS16)、達成可能であれば、決定された前後輪の駆動力配分比で短期高出力制御が行われる(ステップS18)。
そして、短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分によっても姿勢安定制御が達成可能でない場合(ステップS16;No)、コントローラユニット30は姿勢安定制御要求を優先して駆動ユニット8を制御し、可能な範囲内で回生を行う(ステップS17)。即ち、車両の姿勢安定を優先するので、要求された回生量は得られないこととなる。
以上のように、本実施形態では、駆動力又は回生量の増加時に、姿勢安定制御の要求があった場合、駆動ユニットの通常出力及び左右輪又は前後輪の駆動力配分により両要求が達成できる場合にはそれを行う。また、通常出力では両要求を達成できない場合、駆動ユニットの短期高出力制御及び左右輪又は前後輪の駆動力配分により姿勢安定制御が達成できる場合にはそれを行う。これにより、駆動力又は回生量の増加時にも、車両の姿勢を安定させることができる。
なお、上記の実施形態では、通常出力制御の場合も短期高出力制御の場合も、まず左右輪の駆動力配分により姿勢安定制御が達成可能であるかを判定し、達成可能でない場合に前後輪の駆動力配分により姿勢安定制御が達成可能であるか否かを判定することとしている。この理由は、前後輪の駆動力配分による制御に比べて、左右輪の駆動力配分による制御の方が姿勢安定を達成する際の精度が高いことによる。前後輪の駆動力配分の場合も、左右輪の駆動力配分の場合も、駆動力の配分比は前述のように各種センサからの検出信号などから求められた、車両の挙動を示す各種の値に基づいて決定され、その中には路面摩擦係数が含まれるが、左右輪の駆動力配分に比べて前後輪の駆動力配分の方が路面の摩擦係数に対する依存度が高い。その一方で、路面摩擦係数は例えばヨーレートなどと異なり、センサにより直接的に検出できる値ではなく、他の各種の検出値などから推定により得られるものであり、推定誤差を含みやすい傾向がある。このため、前後輪の駆動力配分より、左右輪の駆動力配分の方が、路面摩擦係数の推定値の変動による精度低下が生じにくい。この理由により、本実施形態では、まず左右輪の駆動力配分により姿勢安定制御が達成可能であるか否かを判定し、達成できない場合に前後輪の駆動力配分により姿勢安定制御を達成可能であるか否かを判定することとしている。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、駆動ユニットの通常制御時及び短期高出力時に、まず左右輪の駆動力配分により駆動力又は回生両の増加要求及び姿勢安定制御が達成可能か否かを判定し、達成不可能である場合に前後輪の駆動力配分により姿勢安定制御を行うようにしている。これに対し、第2実施形態では、左右輪の駆動力配分を行わず、前後輪の駆動力配分により両要求を達成するように構成する。これにより、第1実施形態と比較して単純な演算処理により、駆動力又は回生量の要求時における姿勢安定制御を行う。
第2実施形態における車両の構造は図1に示す第1実施形態の車両100と同様である。また、車両制御システムの構造は、図2に示す第1実施形態の車両制御システム200において左右輪駆動力配分比決定手段28を省略したものとなる。よって、車両の制御においてコントローラユニット30が行う処理は、左右輪の駆動力配分により駆動力又は回生両の増加要求及び姿勢安定制御を達成できるか否かを判定し、達成できる場合にそれを行う部分が含まれない点のみが第1実施形態と異なることになる。
第2実施形態における力行制御のフローチャートを図6に示す。図6に示すフローチャートは、ステップS3及びS5が省略されている以外は、図4に示す第1実施形態における力行制御のフローチャートと同様である。
即ち、コントローラユニット30は、トータル駆動力の増加要求があると(ステップS20)、姿勢安定制御要求があるか否かを判定する(ステップS21)。姿勢安定制御要求がある場合には前後輪の駆動力配分により両要求が達成可能か否かを判定し(ステップS22)、達成可能であれば、決定された駆動力配分比により通常制御を行う(ステップS26)。一方、達成不可能であれば、短期高出力制御で前後輪の駆動力配分を行えば両要求が達成可能であるか否かを判定し(ステップS23)、達成可能であればそれを実行する(ステップS25)。一方、達成不可能であれば、短期高出力制御を行い、姿勢安定制御を達成するとともに、可能な範囲でトータル駆動力を増加する(ステップS24)。但し、この場合は、要求されたトータル駆動力は出力することはできないこととなる。
次に、第2実施形態における回生制御のフローチャートを図7に示す。図7に示すフローチャートは、ステップS13及びS15が省略されている以外は、図5に示す第1実施形態における回生制御のフローチャートと同様である。
即ち、コントローラユニット30は、回生量の増加要求があると(ステップS30)、姿勢安定制御要求があるか否かを判定する(ステップS31)。姿勢安定制御要求がある場合には前後輪の駆動力配分により両要求が達成可能か否かを判定し(ステップS32)、達成可能であれば、決定された駆動力配分比により通常制御を行う(ステップS36)。一方、達成不可能であれば、短期高出力制御で前後輪の駆動力配分を行えば両要求を達成可能であるか否かを判定し(ステップS33)、達成可能であればそれを実行する(ステップS35)。一方、達成不可能であれば、短期高出力制御を行い、姿勢安定制御を優先した上で、可能な範囲で回生量を増加する(ステップS34)。但し、この場合は、要求された回生量は得られないこととなる。
本発明の実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る車両制御システムの構成を示す図である。 駆動ユニットとして使用されるモータのトルクマップ例である。 第1実施形態における力行制御のフローチャートである。 第1実施形態における回生制御のフローチャートである。 第2実施形態における力行制御のフローチャートである。 第2実施形態における回生制御のフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン
8 駆動ユニット
12 バッテリー
13 インバータ
14 昇圧コンバータ
26 トータル駆動力決定手段
28 左右輪駆動力配分比決定手段
29 前後輪駆動力配分比決定手段
30 コントローラユニット
31 昇圧コンバータ制御信号出力手段
33 ECU

Claims (3)

  1. 前後輪の一方をモータにより駆動する4輪駆動車両の制御装置において、
    運転者の操作に基づく駆動力の増減要求の有無を判定する手段と、
    車両状態を推定し、車両の姿勢安定制御要求の有無を判定する手段と、
    前記駆動力の増減要求及び姿勢安定制御要求がある場合に、前記モータの駆動制御を行う制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記モータの通常出力制御、及び、左右輪の駆動力配分により前記駆動力の増減要求及び前記姿勢安定制御要求を満足するように前記モータを制御する第1手段と、
    前記第1手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの通常出力制御及び前後輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第1手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの通常出力制御及び前後輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第2手段と、
    前記第2手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第2手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び左右輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第3手段と、
    前記第3手段により前記駆動力の増減要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分により要求された駆動力を出力するように前記モータを制御するとともに、前記第3手段により前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御及び前後輪の駆動力配分により車両の姿勢を安定させるように前記モータを制御する第4手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記第4手段により前記駆動力の増減要求及び前記姿勢安定要求が満足できない場合に、前記モータの短期高出力制御を行い、前記駆動力の増減要求に満たない駆動力により制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記通常制御時には前記モータの定格出力以下で前記モータを動作させ、前記短期高出力制御時には前記モータの定格出力以上で前記モータを動作させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
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