JPH11181204A - 難燃性塩化ビニル樹脂成形体 - Google Patents

難燃性塩化ビニル樹脂成形体

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JPH11181204A
JPH11181204A JP36531997A JP36531997A JPH11181204A JP H11181204 A JPH11181204 A JP H11181204A JP 36531997 A JP36531997 A JP 36531997A JP 36531997 A JP36531997 A JP 36531997A JP H11181204 A JPH11181204 A JP H11181204A
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JP
Japan
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weight
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vinyl chloride
chloride resin
chlorine
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Application number
JP36531997A
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English (en)
Inventor
Munehiko Oritani
宗彦 折谷
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Takiron Co Ltd
Original Assignee
Takiron Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】火災時の難燃性と煙発生抑制と腐食性ガス発生
抑制とを同時に満足する、塩化ビニル樹脂製工業用材料
を提供する。 【解決手段】塩化ビニル樹脂に、炭酸カルシウム20〜
60重量部とタルク5〜20重量部と錫酸亜鉛1〜10
重量部とゼオライト1〜10重量部とを添加することに
より、燃焼係数FPIを6以下に、発煙係数SDIを
0.4以下に、腐食係数CDIを1.1以下にすること
ができた。また、この成形体の機械的強度と耐薬品性も
それ程低下させずに、工業用材料として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル樹脂成
形体の熱分解時の塩素ガスや塩化水素の発生量を減少さ
せた難燃性塩化ビニル樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来技術と解決すべき課題】塩化ビニル樹脂は、成形
性が良く、機械的強度も高く、安価であって、耐薬品性
も良好であるので、工業用材料、特に耐食工業用材料と
して半導体製造装置をはじめ、あらゆる分野に広く利用
されている。
【0003】しかし、塩化ビニル樹脂は、塩素を含有す
るので、難燃性を有する反面、耐熱性が悪く、200℃
以上に長時間接すると熱分解を起こし、有機物による発
煙を生じると同時に、塩素ガスや塩化水素ガス等の腐食
性ガスが発生する。そのため、この塩化ビニル樹脂を使
用している装置に火災が発生すると、該樹脂の分解によ
る煙とガスが発生する。これを防止するために、従来か
らリン系難燃剤やハロゲン系難燃剤等の難燃剤、或いは
水酸化マグネシウム等の含水化合物を添加して、難燃性
を向上させていた。
【0004】しかし、このような難燃性を向上させた塩
化ビニル樹脂成形体であっても、半導体製造装置に用い
られる場合にあっては、発生する煙やガスにより製造施
設内の空気が汚れ半導体に付着して不良品にしてしまっ
たり、腐食性の塩素ガスや塩化水素ガスにより製造施設
内の精密機械や製品を侵して使用不能にしてしまう恐れ
があった。
【0005】そのため、一般的に難燃性を有していると
言われている塩化ビニル樹脂であっても、近年、火災時
の難燃性と発煙抑制と腐食性ガス発生の抑制が要求され
てきている。この要求は保険組織で特に強く、北米を根
拠とする産業相互保険組織であるファクトリー・ミュー
チアル・システムを構成している、ファクトリー・ミュ
ーチアル・リサーチ・コーポレーション(Factor
y Mutual Research Corpora
tion)が定める評価基準が有効に利用され、これに
合致する品質が要求されている。
【0006】この評価基準は、Class Numbe
r 4910として挙げられているクリーンルーム材料
の難燃性テスト(FMRC Cleam Room M
aterials Flammability Tes
t Protocol)(以下FM規格という)に基づ
いて得られる燃焼係数FPIが6以下、発煙係数SDI
が0.4以下、腐食係数CDIが1.1以下という評価
基準を満足することが要求されている。
【0007】この要求に対して、燃焼係数FPIを6以
下にすることは難燃剤の添加により比較的容易に達成で
きるが、発煙係数SDIと腐食係数CDIとを同時に満
足させた塩化ビニル樹脂成形体を得ることは困難で、現
在においては存在していない。そこで、出願人はこれら
を同時に満足する成形体を開発し、特願平8−3450
77号として出願をした。出願人は、さらに研究を行
い、より好ましい配合組成を見出し、本発明を成し遂げ
た。本発明は上記の各評価基準を満足する、難燃性に優
れ、発煙量が少なく、腐食ガスの発生が少ない工業用、
特に半導体製造装置用の塩化ビニル樹脂成形体を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の塩化
ビニル樹脂成形体は、塩化ビニル樹脂に、炭酸カルシウ
ム、タルク、塩素捕獲化合物を添加し、所望の形状に成
形してなるものである。
【0009】この請求項1によると、上記3種の添加剤
を組み合わせることで、相乗効果を十分に発揮させて、
評価基準を満足させることが出来る。炭酸カルシウム
は、無機材料として塩化ビニル樹脂の量を減らして難燃
性を付与し発煙量や腐食性ガス量を減らすと同時に、発
生する塩化水素や塩素と反応して塩素を塩化カルシウム
として捕捉し、腐食性ガスの発生を減少させることが出
来る。タルクは、無機材料として塩化ビニル樹脂の量を
減らして難燃性を付与し発煙量と腐食性ガス量も減ら
す。タルクは他の無機材料に比べて耐薬品性を低下させ
ることがなく、白色度が95前後と高くて成形品の色相
の自由度が大きく、硬度が1前後と柔らかくて成形体の
加工性を損なわい、という特徴を有している。
【0010】塩素捕獲化合物は、発生する塩素を捕獲す
るもので、腐食性ガスの発生量を減少させることができ
る。この塩素捕獲化合物としては、請求項3に示す如
く、錫化合物又はゼオライト或は錫化合物とゼオライト
とからなるものを、好ましく用いることができる。錫化
合物は、燃焼の初期において発生した塩素や塩化水素を
塩化錫として捕らえ、腐食性ガス量も少なくする。ま
た、錫成分が揮発して成形体を覆いシェル効果を発揮し
て燃焼を抑える。錫化合物としては錫酸亜鉛、ヒドロキ
シ錫酸亜鉛、酸化錫等が代表的なものとして例示され
る。ゼオライトは、発生する塩素や塩化水素或は煙を吸
着し、腐食性ガスや煙の発生量を減少させる。ゼオライ
トとしては、Na,K,Fe,Si等のアルミノ珪酸塩
の水和物又はこれらの焼成物の粉末である天然ゼオライ
ト、これらに類似した珪酸質の合成ゼオライトが用いら
れる。これらの特徴を有する添加剤を組み合わせること
により、各特徴が相乗的に作用してFPI、SDI、C
DIを減少させて評価基準を満足させる。
【0011】また、請求項2の塩化ビニル樹脂成形体
は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、炭酸カルシ
ウムが20〜60重量部、タルクが5〜20重量部、塩
素捕獲化合物が1〜15重量部であって、これら添加剤
の総重量部が60重量部以下となるように添加してなる
ものである。この請求項2によると、添加剤の総重量部
が60重量部以下であっても、各添加剤が一定範囲内でバ
ランスよく添加されているので、FPI、SDI、CD
Iを評価基準内に収めることができる。また、添加剤の
総重量部を60重量部以下にしているので、成形体とし
ての機械的強度の低下を必要限度内に抑えることがで
き、工業用材料として特に半導体製造装置用材料として
有用に使用出来る。
【0012】請求項3の塩化ビニル樹脂成形体は、塩素
捕獲化合物が錫化合物とゼオライトとからなるものであ
る。この請求項3によると、これ等の添加剤と炭酸カル
シウムとの相乗効果が一層有効に働き、SDIとCDI
とを効果的に低下させる。
【0013】請求項4の塩化ビニル樹脂成形体は、塩化
ビニル樹脂100重量部に対して、炭酸カルシウムが2
0〜60重量部、タルクが5〜20重量部、錫化合物が
1〜10重量部、ゼオライトが1〜10重量部であっ
て、これ等の添加剤の総重量部が60重量部以下になる
ように添加し、所望の形状に成形してなるものである。
この請求項4によると、各添加剤が上記の如き作用をな
すと共に、添加量が一定の範囲でバランスよく添加され
ているので、上記評価基準を十分に満足する品質の安定
した成形体が得られると同時に、添加剤の総重量部が6
0重量部以下であるので、機械的強度の低下も一定限度
に抑えることができる。
【00014】請求項5の塩化ビニル樹脂成形体は、上
記の各難燃性塩化ビニル樹脂成形体が、FM規格で求め
られる燃焼係数FPIが6以下、発煙係数SDIが0.
4以下、腐食係数CDIが1.1以下である評価基準を
満足するものである。この請求項5の塩化ビニル樹脂成
形体は、燃焼係数FPIが6以下の、発煙係数SDIが
0.4以下の、腐食係数CDIが1.1以下の成形体で
あるので、FM規格を満足し、難燃性で、発煙が少な
く、また腐食性ガスの発生も少ない工業用材料特に半導
体製造装置用材料として好ましく用いることができる。
【00015】
【発明の実施の形態】以下本発明を具体的に説明する。
本発明は塩化ビニル樹脂よりなる成形体である。該成形
体には、塩化ビニル樹脂の成形に通常必要な安定剤、滑
剤、加工助剤、着色剤等の他に、炭酸カルシウム、タル
ク、錫化合物又は/及びゼオライト等の塩素捕獲化合物
からなる添加剤を含有している。これらの添加剤は、成
形体に難燃性、発煙量の減少、腐食性ガスの発生の抑制
を行わせるために添加されるものであって、塩化ビニル
樹脂100重量部に対して炭酸カルシウムが20〜60
重量部が、タルクが5〜20重量部、塩素捕獲化合物が
1〜15重量部添加され、これらの添加剤の総添加重量
部が60重量部以下となるように各添加量が調整され
る。
【0016】塩化ビニル樹脂としては、塩素を約56%
含む一般の塩化ビニル樹脂の他に、塩素を60〜70%
含む後塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂と酢酸ビ
ニルやエチレン等との共重合樹脂、塩化ビニル樹脂と酢
酸ビニル樹脂やアクリル樹脂等との混合物等が用いられ
る。
【0017】炭酸カルシウムは、無機物として塩化ビニ
ル樹脂に添加され、樹脂の量を低減して成形体の難燃性
を高める。また、塩化ビニル樹脂成形体の燃焼時に発生
する塩素や塩化水素と反応して塩化カルシウムとして塩
素を固定し、腐食性ガスの放出を抑制する作用をする。
上記反応は、比較的低温の領域(300 〜500℃)
で効率的であるので、燃焼初期の温度が低い時に発生す
る腐食性ガスを特に効果的に捕捉する。この炭酸カルシ
ウムは、他の炭酸塩例えば炭酸バリウムと比べて粒径の
小さなものの入手が容易で、それだけ表面積を大きくで
き、塩素ガスや塩化水素ガスとの反応を高めることがで
きて、腐食性ガスの発生を効果的に抑制する。該粒径と
しては、0.5μm以下のものが好ましく、更に好まし
くは0.1μm以下のものが用いられる。粒径の最小径
は小さい方が好ましいが、現状においては0.01μm
までである。また、この炭酸カルシウムは、塩化ビニル
樹脂100重量部に対して10〜100重量部が添加さ
れる。10重量部より少ないと難燃性の付与効果に乏し
く、腐食性ガスの放出抑制効果も乏しい。100重量部
を越えると、機械的強度が低下しすぎて実使用に耐えな
くなる。従って、品質的に安定した成形品を得るために
は、20〜60重量部を添加するのが好ましいのであ
る。
【0020】タルクは、水和珪酸マグネシウムであり、
無機物として塩化ビニルに樹脂に添加され、樹脂の量を
低減して成形体の難燃性を高める。また他の無機物と比
べて耐薬品性が良好で添加した成形体の耐薬品性を低下
させず、白色度が95前後と高くて成形体の色相の自由
度が高く、硬度も1前後と柔らかくて成形性を損なわな
い、という特性を有しているので好ましく用いることが
できる。このタルクは、塩化ビニル樹脂100重量部に
対して5〜20重量部が添加される。5重量部より少な
いと、難燃性の付与効果に乏しく、また20重量部より
多くなると、成形体の機械的強度が低下し実使用に耐え
なくなる。従って、品質的に安定した成形品を得るため
には、7〜15重量部を添加するのが好ましいのであ
る。
【0018】塩素捕獲化合物としては、錫化合物、ゼオ
ライト、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ナトリウム
化合物、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、リ
チウム化合物等の金属化合物の如く、塩化水素と反応し
て塩化物を生成する化合物等を用いることができるが、
この中でも錫化合物、ゼオライトが好ましく用いられ
る。錫化合物としては、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜
鉛、酸化錫等が用いられる。これ等の錫化合物は、錫成
分が塩化水素と反応して二塩化錫、若しくは四塩化錫と
なって塩素を固定し、結果的に腐食性ガスの発生量を低
減する。さらに、錫成分が揮発し成形体を覆ってシェル
効果を発揮し、燃焼を抑える。この錫化合物は、塩化ビ
ニル樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部が
添加される。0.5重量部より少ないと、塩素捕獲能が
劣って腐食性ガスの発生が多くなり、30重量部より多
くなると、脱塩素能力が強くなり過ぎて塩化ビニル樹脂
を分解する。この錫化合物のうちでも、亜鉛との化合物
である錫酸亜鉛やヒドロキシ錫酸亜鉛は、亜鉛成分が加
熱時において塩化ビニル樹脂の分解を徐々に進めて少し
づつ塩素や塩化水素を発生させるので、燃焼初期の即ち
比較的温度の低い領域で塩素捕獲効率の高い炭酸カルシ
ウムとの組み合わせることが、高い相乗効果を生じさせ
るうえで好ましく、徐々に分解させて発生する腐食性ガ
スをほとんど捕獲して総腐食性ガスの発生を抑制する。
このため、品質の安定した成形体を得るためには、1〜
10重量部を添加するのが好ましいのである。
【0019】ゼオライトとしては、天然ゼオライト、合
成ゼオライトの両方を共に用いることができる。天然ゼ
オライトは、Si、K、Na、Fe等のアルミノ珪酸塩
の水和物またはこれの焼成物の粉末であり、塩化ビニル
樹脂より発生する塩素又は塩化水素等の腐食性ガスや煙
を吸着して固定する。合成ゼオライトは、天然ゼオライ
トに類似した珪酸質の粉末であり、同様に腐食性ガスや
煙を吸着・固定する。このゼオライトは、塩化ビニル樹
脂100重量部に対して0.5〜30重量部が添加され
る。0.5重量部より少ないと塩素等の吸着能力に劣
り、また30重量部より多くなると成形品の機械的強度
が悪くなり実使用に耐えなくなる。このため、品質の安
定した成形体を得るためには、1〜10重量部を添加す
るのが好ましいのである。
【0020】以上の添加剤を塩化ビニル樹脂に添加し、
その総添加量が60重量部以下となるように、各添加剤
の量を目的に合わせて調整することにより、その成形品
のFPI、SDI、CDIを評価基準内に、即ちFPI
を6以下に、SDIを0.4以下に、CDIを1.1以
下に、それぞれ低下させることができる。例えば、炭酸
カルシウム10〜100重量部とタルク5〜20重量部
と錫化合物0.5〜30重量部とゼオライト0.5〜3
0重量部を適宜組み合わせて配合することにより、炭酸
カルシウムの難燃性付与作用と腐食性ガスの捕獲固定作
用特に低温領域での捕獲固定作用、タルクの難燃性付与
作用と耐薬品性改良作用、錫化合物の塩素捕獲固定作
用、ゼオライトの腐食性ガスや煙の捕獲作用とが相乗的
に働き、少ない添加量で評価基準内の数値にすることが
できる。この添加量をさらに減じて、炭酸カルシウム2
0〜60重量部とタルク5〜20重量部と錫化合物1〜
10重量部とゼオライト1〜10重量部を適宜組み合わ
せて、総添加量を60重量部以下で配合することによ
り、上記配合よりも機械的強度が向上したうえ、耐薬品
性も向上させた成形体を工業的に安定して製造すること
ができる。
【0021】上記の如く、各添加剤を配合した塩化ビニ
ル樹脂組成物を、押出し成形やカレンダープレスや射出
成形やその他の公知の成形技術に適用して、平板やパイ
プや異形品等を製造し、これをそのまま、或は更に二次
加工して容器等を製作して、各種用途特に半導体製造装
置に用いる。これ等の成形品は、難燃性で難発煙性で腐
食性ガスの発生も少なく、ファクトリー・ミューチアル
・リサーチ・コーポレイションの要求する評価基準を満
たす成形体として利用される。
【0022】
【実施例】市販の塩化ビニル樹脂100重量部に対し
て、錫安定剤4重量部と滑剤2重量部と加工助剤5重量
部とを添加し、均一に混合して基本組成物とし、これに
各添加剤を表1に記載の所定量加え、カレンダーシート
作成後にプレスすることにより厚さ5mmのプレートを
得た。
【0023】実施例1は、基本組成物に炭酸カルシウム
を30重量部と、タルクを10重量部と、錫化合物とし
ての錫酸亜鉛を10重量部夫々添加したものである。実
施例2は、炭酸カルシウムを30重量部と、タルクを1
0重量部と、ゼオライトを10重量部夫々添加したもの
である。また、実施例3は、基本組成物に炭酸カルシウ
ムを30重量部と、タルクを10重量部と、錫酸亜鉛を
5重量部と、ゼオライトを5重量部夫々添加したもので
ある。また、実施例4は、基本組成物に炭酸カルシウム
を40重量部と、タルクを20重量部と、錫酸亜鉛を1
0重量部と、ゼオライトを10重量部夫々添加したもの
である。
【0024】比較例1として基本組成物を用いた。又比
較例2として、基本組成物にタルクを20重量部添加し
たものを用いた。比較例3として、基本組成物にタルク
10重量部、錫酸亜鉛5重量部、ゼオライト5重量部と
を夫々添加したものを用いた。比較例4として、基本組
成物にタルク10重量部、錫酸亜鉛5重量部、ゼオライ
ト5重量部、水酸化マグネシウム40重量部とを夫々添
加したものを用いた。比較例5として、基本組成物に炭
酸カルシウム40重量部、タルク40重量部とを添加し
たものを用いた。比較例6として、基本組成物に炭酸カ
ルシウム50重量部、錫酸亜鉛10重量部、ゼオライト
10重量部とを各々添加したものを用いた。
【0025】これ等の実施例1〜4と、比較例1〜6に
ついて、FPI、SDI、CDIを測定すると共に、機
械的強度と耐薬品性を調べた。この結果を表1に併せて
示す。機械的強度は夫々JIS K6745に基づいて
測定した。耐薬品性は各薬液に23℃で7日間浸漬後の
外観変色を観察し、◎を変色なし、○を僅かに変色あ
り、△を変色あり、×を著しい変色あり、として表示し
た。
【表1】
【0026】この表1よりわかるように、実施例1は、
炭酸カルシウムを30重量部添加し且つタルクと錫酸亜
鉛とを各々10重量部添加して無機物全体の総量を50
重量部にして塩化ビニル樹脂の量を減少させて難燃性を
高め、錫酸亜鉛により低温で徐々に樹脂を分解させて発
生する塩素ガスを炭酸カルシウムと錫酸亜鉛の両者で捕
獲固定したので、FPI、SDI、CDIは共に数値が
下がり、各評価基準を満足させることができた。そし
て、総添加量を50重量部にしたので、機械的強度が比
較例1に比べて一部低下しているものの、比較例5、6
に比べると機械的強度が高く、実用的な強度を有してい
ることがわかる。また、無機物の一部がタルクであるの
で、タルクを含まない比較例6に比べて耐薬品性が良好
であった。しかし、CDIの数値は評価基準を満足する
もののかなり高い数値を示し、品質の安定した成形物を
得るためには、腐食性ガス発生の抑制がさらに必要なこ
とがわかる。また、SDIの数値も評価基準の上限近
く、さらに煙の発生を抑制する必要があることがわか
る。実施例2は、炭酸カルシウムとタルクとの添加によ
る樹脂量減少効果と、炭酸カルシウムによる腐食性ガス
捕獲効果と、ゼオライトによる煙・腐食性ガス吸着固定
効果により各評価基準を満足させることができた。そし
て、総添加量を50重量部にしたので、比較例5、6に
比べて機械的強度も向上し、実使用に充分耐えるだけの
数値を示している。また、耐薬品性も充分である。しか
し、CDIがその上限に近く、腐食性ガスのさらなる抑
制が必要なことがわかる。
【0027】実施例3は、炭酸カルシウムによる樹脂量
減少効果と腐食性ガス捕獲効果、タルクによる樹脂量減
少効果と耐薬品性低下防止効果、錫酸亜鉛による低温で
の樹脂分解促進効果と腐食性ガス捕獲効果、ゼオライト
による煙・腐食性ガス吸着固定効果とが相乗的に働き、
各評価基準の数値を低下させ十分満足する数値にするこ
とができた。そして、機械的強度も総添加量を50重量
部としているので、比較例1に比べて一部低下している
ものの実用的な数値の範囲であり、充分実使用可能であ
る。また、耐薬品性も比較例1に比べて若干低下してい
るものの実使用には差し支えない範囲である。実施例4
は、炭酸カルシウムとタルクと錫酸亜鉛とゼオライトと
が上記作用をなすと共に、相乗効果を発揮し各評価基準
を充分満足させることができた。そして、耐薬品性も添
加量が多いにもかかわらず若干低下するに止どまり、実
使用に差し支えない範囲となっている。しかし、総添加
量が80重量部と、無機物が多量に混入されているの
で、機械的強度がかなり低下している。このことより、
無機物の総添加量の上限に限度があり、実施例1、2、
3の結果から、60重量部までに抑えておけば機械的強
度の低下を最低限に抑えることができ、半導体装置用材
料として使用可能であることがわかる。
【0028】これに対して、比較例1は、塩化ビニル樹
脂の通常の配合組成物であるので、FPIが高くて難燃
性を有さず、CDIも高くて腐食性ガスの塩素を多量に
発生することがわかる。比較例2はタルクのみを添加し
ただけであり、腐食性ガスを捕獲固定するものがないた
め、CDIの数値が高く、評価基準を満足させることが
できない。比較例3はタルク、錫酸亜鉛、ゼオライトを
配合して、その相乗効果によりFPI、SDIを満足さ
せることができたが、錫酸亜鉛とゼオライトという塩素
を捕獲固定する添加剤が存在してもCDIを満足させる
ことができず、発生する腐食性ガスが多くて捕獲固定し
きれないのであろうと推測される。
【0029】比較例4は、比較例3に水酸化マグネシウ
ムを添加して樹脂量を減少させ、また該添加剤の有する
結晶水及び塩素を塩化物として固定する腐食性ガス捕獲
作用を補足したにもかかわらず、CDIは更に高くな
り、相乗効果がうまく発揮できていないことがわかる。
このことより、添加剤を適宜組み合わせて相乗効果を発
揮させねば、3つの評価基準を同時に満足させることが
できないことがわかる。比較例5は、炭酸カルシウムと
タルクとを多量に添加したのでFPI、SDI、CDI
を満足させているが、SDI、CDIは評価基準の上限
に近くて腐食性ガスや煙を捕獲する添加剤が不足し該基
準を安定して満足させることは困難である。そして、総
添加量が80重量部と多量に添加されているので、機械
的強度がかなり低下していると共に耐薬品性も悪くなっ
ている。比較例6は、炭酸カルシウムと錫酸亜鉛とゼオ
ライトとの相乗効果によりFPI、CDI、SDIが共
に低下し評価基準を満足させることができた。しかし、
多量の炭酸カルシウムの影響で耐薬品性が大きく低下
し、洗浄液に薬品を使用する半導体製造装置には使用で
きないことがわかる。さらに、総添加量が70重量部も
あるので、機械的強度が低下して耐食工業用材料として
使用が困難である。
【0030】
【発明の効果】本発明は、塩化ビニル樹脂に炭酸カルシ
ウム、タルク、塩素捕獲化合物を添加した成形体である
ので、添加剤が相乗的に働き、火災時の成形体の分解と
煙発生と腐食性ガス発生とが抑制でき、また耐薬品性も
それ程低下させることがないので、工業用材料特に半導
体製造装置用の材料として使用することができる。そし
て、その総添加量が60重量部以下であると、成形体の
機械的強度の低下の割合も少なく機械的強度を必要とす
る用途に使用可能である。また、塩素捕獲化合物として
錫化合物とゼオライトとを採用し、炭酸カルシウムを2
0〜60重量部、タルクを5〜20重量部、錫化合物を
1〜10重量部、ゼオライトを1〜10重量部添加した
成形体であると、ファクトリー・ミューチアル・リサー
チ・コーポレーションの要求するFPI、SDI、CD
Iの数値を評価基準以下にすることができる成形体を工
業的に安定して製造することができ、半導体製造装置用
の材料として好ましく使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 3/34 C08K 3/34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル樹脂に、炭酸カルシウム、タル
    ク、塩素捕獲化合物を添加し、所望の形状に成形してな
    る難燃性塩化ビニル樹脂成形体。
  2. 【請求項2】塩化ビニル樹脂100重量部に対して、上
    記炭酸カルシウムが20〜60重量部、タルクが5〜2
    0重量部、塩素捕獲化合物が1〜15重量部であって、
    これらの総重量部が60重量部以下となるように添加し
    てなる請求項1記載の難燃性塩化ビニル樹脂成形体。
  3. 【請求項3】上記塩素捕獲化合物が錫化合物又はゼオラ
    イト、或は錫化合物とゼオライトとからなる請求項1又
    は2記載の難燃性塩化ビニル樹脂成形体。
  4. 【請求項4】塩化ビニル樹脂100重量部に対して、炭
    酸カルシウムが20〜60重量部、タルクが5〜20重
    量部、錫化合物が1〜10重量部、ゼオライトが1〜1
    0重量部であって、これらの総重量部が60重量部以下
    となるように添加し、所望の形状に成形してなる難燃性
    塩化ビニル樹脂成形体。
  5. 【請求項5】上記の各難燃性塩化ビニル樹脂成形体が、
    ファクトリー・ミューチアル・リサーチィ・コーポレー
    ション(Factory Mutual Resear
    ch Corporation)が定めるClass
    Number 4910に基づいて得られる燃焼係数F
    PIが6以下、発煙係数SDIが0.4以下、腐食係数
    CDIが1.1以下である請求項1〜4のいづれかに記
    載の難燃性塩化ビニル樹脂成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004041930A1 (ja) * 2002-11-05 2004-05-21 Mitsubishi Plastics, Inc. 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体
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KR20180058469A (ko) * 2016-11-24 2018-06-01 이병열 모형제작용 점토 및 그를 이용한 점토성형품의 제조방법

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