JP4402936B2 - 押出成形体 - Google Patents

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本発明は、優れた難燃性、成形加工性、その他各種の特性を有する塩化ビニル系樹脂組成物を押出連続プレス成形して得られる硬質成形体に関する。
塩化ビニル系樹脂組成物は分子中に塩素を含有するため、難燃性に優れており、また各種の無機添加剤を広い含有量で添加できるため、広範囲の機械的特性、耐熱性、成形性、耐候性を実現することができる。
このような特性を有する塩化ビニル系樹脂組成物の、特に硬質塩化ビニル系樹脂組成物の成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等;として広く使用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂組成物は、火災時等のように耐熱温度以上の高温に晒されると、分子内の塩素に起因して、大量に発煙すると共に、塩素ガスや塩化水素ガス等の有毒ガスを発生する。このため、無機添加剤を使用し、有毒ガスの発生を抑制することが試みられ、無機添加剤の種類や配合量を検討することがなされている。
例えば、特開平11―181204号公報では、FM規格(産業相互保険組織《Factory Mutual System》が定める評価基準による規格)を満足するPVCを目的として、塩化ビニル樹脂に、炭酸カルシウム、タルク、塩素捕獲化合物を添加し、所望の形状に成形してなる難燃性塩化ビニル樹脂成形体を開示している。
しかし、この成形体は、難燃性の向上効果はあるが、有毒ガス発生の抑制効果が十分でなく、また成形加工時における熱安定性が悪い上、上記添加剤の分散不良に伴う成形体中での凝集物の発生があり、外観が満足できるものではない。
このような不具合を回避するために、特開2000−226483号公報には、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、金属水酸化物4〜60重量部、錫酸亜鉛系難燃剤2〜40重量部、可塑剤20〜150重量部を含有させた難燃性塩化ビニル樹脂成形体が提案されている。
しかし、この成形体は、難燃性、押出成形時における熱安定性、外観は良好であっても、押出成形体の軟化温度が低下するという問題がある。
特開平11―181204号公報 特開2000−226483号公報
本発明が解決しようとする課題は、十分な難燃性、成形加工時における熱安定性、その他の各種特性を有すると共に、成形体とした場合に良好な外観、高い軟化温度、その他の優れた各種特性を有する難燃性塩化ビニル系樹脂組成物成形して得られる硬質成形体を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の硬質成形体は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部、亜鉛化合物、モリブデン化合物、錫化合物より選ばれる少なくとも一種の無機防煙剤0.5〜10質量部、アルミニウム系およびマグネシウム系の金属水酸化物、ゼオライトより選ばれる少なくとも一種0.1〜10質量部、およびポリアルキルメタクリレート類、ポリアルキルアクリレート類より選ばれる少なくとも一種の加工助剤0.1〜10質量部を含んでなる難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を押出連続プレス成形して得られる押出成形体であることを特徴とする。
また、本発明の前記押出成形体は、ASTM E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65kW/m2以下、平均減光積(ASEA)が800m2/g以下であり、JIS K 7206 B法 荷重49.03Nに準じて測定されるビカット軟化温度が70℃以上であってもよい。
加えて、本発明の押出成形体は、プラストミルでの動的熱安定性評価法による分解時間が、15min以上であってもよい
本発明の押出成形体における塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル等のホモポリマーの他に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体等のコポリマーをも使用することができ、重合度が400〜1800程度の軟質、硬質のものが適している
本発明において、これらの塩化ビニル系樹脂に添加する防煙剤は、亜鉛化合物、モリブデン化合物、錫化合物より選ばれる少なくとも一種の無機防煙剤であって、中でも、亜鉛系化合物、モリブデン系化合物が好ましい。
この亜鉛系化合物としては、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、スズ酸亜鉛、亜鉛石鹸等が挙げられる。
モリブデン系化合物としては、酸化モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸ナトリウム、二硫化モリブデン、βモリブデン酸メラミン等が挙げられる。
錫化合物としては、酸化錫等が挙げられる。
これらの無機防煙剤は、これらの化合物をそのまま上記の塩化ビニル系樹脂に添加してもよいし、他の添加剤に被覆して添加することもできる。
これらの無機防煙剤が被覆される他の添加剤としては、炭酸カルシウムやタルク等の無機物を挙げることができる。あるいは、これらの無機防煙剤と共に本発明において必須の成分として配合するアルミニウム系やマグネシウム系の金属水酸化物、ゼオライトに、無機防煙剤を被覆して用いてもよい。
以上のような無機防煙剤は、燃焼時に塩化ビニル系樹脂組成物の炭化を促進し、発煙量を低減する作用を有しており、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物による成形体の難燃性の向上効果に寄与する。
防煙剤の添加量は、少なすぎれば、上記の作用を得ることができず、逆に多すぎると、成形体の物性低下を招くばかりか、成形体中に分散不良が現れる懸念があり、また形成加工時の熱安定性の悪化を助長させるため、本発明では、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部とする。
また、本発明では、上記の無機防煙剤と共に、公知の難燃剤(例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、正リン酸エステル等)、ラジカル発生剤(例えば、過酸化物、過塩素酸塩等)、架橋剤(例えば、トリアジンチオール化合物)を併用することもできる。
これらの公知の難燃剤等の併用量は、特に限定しないが、多すぎれば、上記のように分散不良や熱安定性の悪化を招くため、一般には、上記の無機防煙剤の添加量中、10質量%以下とすることが好ましい。
本発明において、上記の防煙剤と共に塩化ビニル系樹脂に添加する金属水酸化物は、マグネシウム系、アルミニウム系の金属水酸化物より選ばれる少なくとも1種であって、具体的には、Mg(OH)、Al(OH)、1.25Mg(OH)・Al(OH)・2CO・yHO、Al(OH)・NaHCO、Mg(OH)4.5Al(OH)13・CO・3.5HO等が挙げられる。
また、これらの金属水酸化物に代えて、あるいはこれらと共に添加するゼオライトは、一般式がMx/p〔(AlO)x・(SiO)y〕ZHO<式中、MはCa、Mg、Na、K等の原子価pの金属イオン、x+yは単位格子当たりの四面体数で10〜200の整数、x,yは0<x/y≦1.1の式を満足する整数、Zは水分子のモル数で4〜300の整数>で示されるものが好ましく使用できる。
これらのゼオライトは、テクト珪酸塩に属する鉱物の1種であって、天然体や合成体が存在し、種類は多数あるが、本発明では、合成体で金属イオンMがNaやCaのA型ゼオライトが好ましく使用できる。
上記した金属水酸化物やゼオライトは、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の熱安定性を高め、成形加工性、特に、カレンダープレス法や押出法に比べて過酷な成形加工条件を必要とする押出連続プレス法での成形加工性を向上させる作用を有する。
金属水酸化物やゼオライトの添加量は、少なすぎれば、この作用は発現せず、逆に多すぎれば、成形体の物性低下を招くばかりでなく、成形体中に分散不良が現れる懸念があるため、本発明では、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部とする。
なお、本発明では、上記の金属水酸化物やゼオライトと共に、熱安定性を高める作用を有するものであれば、熱安定剤として公知の金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウムやハイドロタルサイト類《Mg・Al・Zn(CO)x(OH)y》等)を併用することもできる。これらの公知の熱安定剤の併用量は、特に限定しないが、あまり多すぎると、上記のような分散不良を招くため、上記のマグネシウム系やアルミニウム系の金属水酸化物あるいはゼオライトの添加量中、10質量%以下とすることが好ましい。
本発明における加工助剤は、ポリアルキルメタクリレート類、ポリアルキルアクリレート類から選ばれる少なくとも一種であり、分子量20万〜500万程度のものが好ましく、より好ましくは分子量50万〜300万程度のものである。
このポリアルキルメタクリレート類としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等が挙げられ、ポリアルキルアクリレート類としては、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、中でも分子量50万〜300万程度のポリメチルメタクリレートや、分子量50万〜300万程度でメチルメタクリレートの共重合比が100〜50の(アルキル基がメチル基、ブチル基の)アルキルメタクリレートと(アルキル基がエチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基の)アルキルアクリレートとの共重合体(例えば、分子量約150万程度のメチルメタクリレート/エチルアクリレート=90/10の共重合体等)が好ましい。
これらの加工助剤は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を成形加工して得られる成形体における各添加剤の分散不良を解消する作用を有する。
すなわち、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、硬質成形体用のものであって、可塑剤は配合しないか、あるいは塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5重量部以下程度の少ない配合量とするため、各添加剤、特に無機系の添加剤(例えば、無機系の防煙剤等)が塩化ビニル系樹脂中に均一に分散しない場合がある。この不具合を解消するために、加工助剤を配合する。
加工助剤の添加量は、少なすぎれば、このような作用を発現せず、逆に多すぎると、成形加工時に塩化ビニル系樹脂組成物が剪断発熱して安定した成形加工ができなくなるため、本発明では、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1.5〜8質量部とする。
なお、本発明では、上記の加工助剤と共に、添加剤の分散不良を解消する作用を有するものであれば、公知の加工助剤(例えば、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン共重合体:分子量30万)を併用することもでき、公知の加工助剤の併用量は、特に限定しないが、あまり多すぎると、上記のような剪断発熱量が多くなるため、上記の加工助剤の添加量中、10質量%以下とすることが好ましい。
本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、所定量の塩化ビニル系樹脂と、無機防煙剤と、金属水酸化物やゼオライトと、加工助剤と、必要に応じて添加される公知の各種添加剤を、ブレンダーやヘンシェルミキサー等を用い粉砕混合して得ることできる。
そして、本発明の前記難燃性塩化ビニル系樹脂組成物からなる押出成形体、所定の評価基準による、所定の難燃性、熱的特性、その他の特性を有するものである。
難燃性は、ASTM E1354に準じて測定される平均発熱量(AHRR)が65kW/m2以下で、かつ平均減光積(ASEA)が800m2/g以下である。
従来、難燃性の指標の一つとして、産業相互保険組織(Factory Mutual System)が定める評価基準が有効に利用されてきた。
この評価基準は、Clsaa Number 4910として挙げられているクリーンルーム材料の難燃性テスト(FMRC、Clean Room Materials Flammability Test Protocol)に基づいて測定された、難燃性を示す延焼指数(FPI)、発煙性を示す発煙指数(SDI)、腐食性ガス発生を示す腐食指数(CDI)等が指標(総じてFM規格とも記載する)とされている。
FM規格による評価値は、評価値を求める者が産業相互保険組織に試験片を提出し、産業相互保険組織がこの試験片を評価して得られる値であるため、評価結果が得られるまでに時間を要し非効率的であった。
本発明においては、このようなFM規格による評価値に代えて、評価値を求める者が行うことができるASTM E1354に準じたコーンカロリメータを用いる燃焼試験により評価される値を難燃性の指標とするものである。
コーンカロリメータを用いた燃焼試験により評価される難燃特性は、単位面積および単位時間あたりの燃焼による発熱量の最大値(最大発熱量、PHRRとも記載する;単位:kw/m2)、平均値(平均発熱量、AHRRとも記載する;単位:kw/m2)、総発熱量(総発熱量、THRとも記載する;単位:MJ/m2)、質量減少率の平均値(質量減少率、AMLRとも記載する;単位:g/sec・m2)、減光積の最大値(最大減光積、PSEAとも記載する;単位:m2/g)、減光積の平均値(平均減光積、ASEAとも記載する;単位:m2g)等を挙げることができる。
上記のFM規格による延焼指数(FPI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大発熱量(PHRR)、平均発熱量(AHRR)、総発熱量(THR)等の発熱量に関する評価値と強い相関を有する。
また、上記のFM規格による発煙指数(SDI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される最大減光積(PSEA)、平均減光積(ASEA)等の減光積に関する指標と強い相関を有する。
さらに、上記のFM規格による腐食指数(CDI)は、上記のコーンカロリメータによって測定される質量減少率(AMLR)等の質量減少に関する指標と強い相関を有する。
従って、コーンカロリメータを用いて難燃性を評価することにより、FM規格の指標をも効果的に得ることができる。
FM規格においては、延焼指数(FPI)が6以下、発煙指数(SDI)が0.4以下と要求されている。
本発明では、このFM規格と同等以上の値を得るために、最大発熱量(PHRR)130Kw/m2以下、平均発熱量(AHRR)82Kw/m2以下、総発熱量(THR)100MJ/m2以下、質量減少率(AMLR)13g/sec・m2以下、最大減光積(PSEA)1500m2/g以下、平均減光積(ASEA)1000m2/g以下とすることが好ましく、中でも特に平均発熱量(AHRR)、平均減光積(ASEA)が難燃性に対して支配的であるため、平均発熱量(AHRR)65kW/m2以下、かつ平均減光積(ASEA)800m2/g以下とすることが好適である。
また、本発明では、成形体とした場合の熱的特性は、JIS K 7206 B法 荷重49.03Nに準じて測定されるビカット軟化温度が70℃以上とする。
そして、本発明における難燃性塩化ビニル系樹脂組成物の成形性は、当該組成物が熱安定性に優れているか否かが基準となる。
この熱安定性は、プラストミルでの動的熱安定性評価法によっての分解時間(例えば、200℃に昇温後、トルクが10%以上増加し始めた時間)で評価することができる。
本発明では、この分解時間が15min以上のものが適している。15min未満であると、成形時の安定性が低下することがある。
なお、分解時間の上限は、特に限定しないが、あまり高いと燃焼時の炭化が阻害され、発煙指数が高くなり、FM規格を満足できなくなることがあるため、本発明では30min程度とする。
本発明の押出成形体用の素材である難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、成形加工が容易で、押出連続プレス成形による成形以外にも、押出成形カレンダープレス成形により成形体を得ることができ、この成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い軟化温度を有し、外観も良好である。
この成形体は、フィルム、シートはもとより、板材、パイプ、異型品等の各種の形態のものがあり、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等として好適に使用することができるものである。
なお、上記の成形方法のうち、カレンダープレス成形法は、穏やかな条件での成形法であるため、カレンダー成形途上で組成物中に発生した歪が、プレス成形途上で解消されてしまい、得られる成形体(板体)は歪のない状態のものとなるが、この板体から各種の家電機器や電子機器等のハウジング材、あるいは半導体装置の部品等を成形するために熱加工すると、カレンダー成形時の歪が復元し、これらの各種成形品には、いわゆる艶戻り現象が生じてしまう。
また、カレンダープレス成形法は、カレンダー成形段階では、薄い板体しか成形できないため、所望厚みの板体とするためには、プレス成形段階で、複数枚の板を積層する必要がある。この積層体自体は、あるいはこの積層体から得られる上記のような各種成形品は、溶剤を用いて洗浄する際等に層間剥離を生じることがあり、耐溶剤性に劣っている。
さらに、カレンダープレス成形法は、カレンダー成形段階で得られる複数枚の板体を、プレス成形段階で積層して所望厚みの板体とするが、カレンダー成形段階で得られる複数枚の板体は、成形時の条件等により或る程度の厚みの振れを持っており、この厚みの振れに、プレス成形段階での条件等により生じる厚みの振れが相乗され、厚み精度においても劣っている。
押出成形法や押出連続プレス成形法は、カレンダープレス成形法に比べれば高温・高圧と言う過酷な条件での成形法であるため、上記のような艶戻りの問題はなく、また一度の押出で所望の厚みの板体を得ることができるため、層間剥離(耐溶剤性)の問題もないが、押出成形法では、押出条件の微妙な変動や、押出された板体を引き出す際の微妙な条件変動等によって、板体に波打ち現象が生じたり、厚みが均一にならない等の問題がある。
これに対し、押出連続プレス成形法は、艶戻りの問題や層間剥離(耐溶剤性)の問題がないばかりか、押出された板体を、押出しに引き続いてプレスするため、波打ち現象は生じないし、所望の厚みの板体を、高い厚み精度で得ることができると言う、上記の2つの成形法では得られない効果を得ることができる。
本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物によれば、難燃性に優れるばかりでなく、成形加工性に優れるため、各種形態の成形体を各種の成形法で容易に得ることができ、しかも本発明の押出成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い軟化温度を有する硬質成形体であって、外観も良好となる。
このため、本発明の樹脂組成物による硬質の押出成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等として好適である。
〔実施例1〜13〕
重合度800の塩化ビニル樹脂(塩化ビニルのホモポリマー)に対して、防煙剤と金属水酸化物またはゼオライトと加工助剤と安定剤を、表1に示す割合で添加し、本発明の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
〔比較例1〜10〕
実施例で使用したものと同じ塩化ビニル樹脂100に対して、防煙剤と金属水酸化物と加工助剤と安定剤を、表2に示す割合で添加し、比較の難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
表1,2中、
数字:質量部
重合度800の塩化ビニル樹脂:大洋PVC社製商品名“TH−800”
防煙剤1:ヒドロキシ錫酸亜鉛(アルキャンケミカル社製商品名“Flamtard H”)
防煙剤2:モリブデン酸アンモニウム(日本無機化学社製商品名“モリアン・AHM”)
金属水酸化物;水酸化マグネシウム(協和化学社製商品名“マグサラットF”)
ゼオライト:Na−A型ゼオライト(東ソー社製商品名“GSL−1000”)
加工助剤:メチルメタアクリレート系共重合体(ローム&ハース社製商品名“K−120ND”)
珪酸カルシウム:動的粘度改良剤として添加(徳山曹達社製商品名“ソーレックス”)
安定剤:粉末錫系安定剤(日東化成社製商品名“MA300”)
液体錫系安定剤(日東化成社製商品名“N−2000”)
難燃剤:ポリリン酸アンモニウム(燐化学工業社製商品名“ノーバホワイトDA−6”)
過酸化物:ハイドロパーオキサイド(日本油脂社製商品名“パークミルP”)
架橋剤:トリアジンチオール(三協化成社製商品名“ジスネットDB”)
熱安定剤:ハイドロタルサイト(協和化学社製商品名“アルカマイザー1”)
である。
Figure 0004402936
Figure 0004402936
〔押出成形加工特性の評価〕
下記の評価方法で評価した結果を表3、表4に示した。
(1)難燃性:実施例1〜13および比較例1〜10の組成物を5mm厚の板状に押出成形し、この成形体について、アトラス社製コーンカロリメータを用い、ASTM E1354に準じ、AHRR(Kw/m)とASEA(m/g)を測定した。
(2)熱的特性の評価:上記の成形体について、JIS K 7206 B法 荷重49.03Nに準じ、ビカット軟化温度(℃)を測定した。
(3)成形加工特性の評価:実施例1〜13および比較例1〜10の組成物について、プラストミルでの動的熱安定性評価法によって、200℃における分解時間を測定した。分解時間はトルクが10%以上増加し始めた時間(min)とした。
(4)成形体の外観評価:二軸押出機で1mm厚の板状に押出成形し、この成形体における表面分散状態を目視により、次の基準で評価した。
○:凝集物が全く見られず、優れた外観を示している。
△:微細な凝集物が微量に散見されるが、商品とできるもの。
×:凝集物を明確に確認でき、商品とできないもの。
Figure 0004402936
Figure 0004402936
〔カレンダープレス成形加工特性の評価〕
下記の評価方法で評価した結果を表5、表6に示した。
(1)難燃性:実施例1〜9および比較例1〜10の組成物を、180℃のカレンダーロールで混練し、1mm厚にシーティングし、得られたシート6枚を重ね、200℃の熱板で5mm厚に15分間プレス成形し、このカレンダープレス成形体について、前記押出成形体と同様にしてAHRR(Kw/m)とASEA(m/g)を測定した。
(2)熱的特性の評価:上記のカレンダープレス成形体について、前記押出成形体と同様にしてビカット軟化温度(℃)を測定した。
(3)プレス熱安定性:実施例1〜9および比較例1〜10の組成物を、180℃のカレンダーロールで混練し、0.5mm厚にシーティングし、得られたシート6枚を重ね、200℃の熱板で2mm厚にプレス成形し、このプレス成形状態を保持し5分毎に上側の熱板を外し目視観察し、変色が認められるまでの時間が20分以上の場合をOKとし、20分で変色したものをNGとした。
(4)カレンダープレス成形体の外観評価:上記の難燃性評価のところで得たカレンダープレス成形体における表面分散状態を目視により、前記押出成形体と同じ基準で評価した。
Figure 0004402936
Figure 0004402936
〔押出プレス成形加工特性の評価〕
下記の評価方法で評価した結果を表5、表6に示した。
(1)難燃性:実施例1〜9および比較例1〜10の組成物を、二軸押出機で10mm厚の板状に押出成形し、これを200℃の熱板で5mm厚に連続プレス成形し、この押出プレス成形体について、前記押出成形体と同様にしてAHRR(Kw/m)とASEA(m/g)を測定した。
(2)熱的特性の評価:上記の押出プレス成形体について、前記押出成形体と同様にしてビカット軟化温度(℃)を測定した。
(3)押出プレス熱安定性:実施例1〜9および比較例1〜10の組成物を、二軸押出機で4mm厚の板状に押出成形し、これを200℃の熱板で2mm厚にプレス成形し、このプレス時間を5分間、10分間、15分間・・・・・とそれぞれ延長させて行い、それぞれのプレス時間でのサンプルを採取し、目視観察し、変色が発生する時間が15分以上の場合をOKとし、15分で変色したものをNGとした。
(4)押出プレス成形体の外観評価:上記の難燃性評価のところで得た押出プレス成形体における表面分散状態を目視により、前記押出成形体と同じ基準で評価した。
Figure 0004402936
Figure 0004402936
〔成形法の違いによる成形体の特性評価〕
上記の押出成形法、カレンダープレス成形法、押出連続プレス成形法で得られた各成形体において、ほぼ同等の熱安定性を示す実施例4の組成物を用い、厚さ5mmと10mmの成形体を、押出成形法、カレンダープレス成形法、押出連続プレス成形法で製造した。なお、カレンダープレス成形法の場合は、上記と同様に1.05mm(0.05mmは積層の際のツブシ代)の厚さのシートを5枚または10枚積層した。
これらの成形体について、熱加工時艶戻り性、厚み精度、耐溶剤性を、次の要領および基準にて評価し、結果を表9に示した。
(1)熱加工時艶戻り性:
1)厚さ5mmの成形体を水平に載置し、その表面に、同組成の厚さ5mmの成形体の端面を当てて垂直に立て、その内隅に、一般硬質塩化ビニルからなる直径3mmの溶接棒を当てて、190℃の熱風を発生する溶接ガンを用いて1分/10cmの速度で溶接棒を溶かし付けることにより、2枚の成形体を直角に溶接したときに、溶接棒近辺の成形体表面の艶が失われる状態を目視観察し、次の基準で評価した。
○:艶の変化が認められないもの。
△:艶の低化は僅かに認められるが、実用上支障ないもの。
×:艶の低化が鮮明に認められ、実用上支障あるもの。
2)厚さ5mmの成形体を140℃(JIS 6745準拠)と170℃(熱曲げ加工温度)のギヤオーブンで加熱した際の、成形体表面の艶が失われる状態を目視観察し、次の基準で評価した。
○:艶の変化が認められないもの。
△:艶の低化は僅かに認められるが、実用上支障ないもの。
×:艶の低化が鮮明に認められ、実用上支障あるもの。
厚み精度:
厚さ10mmの成形体の厚み分布を厚みの振れ幅Rで評価した。
耐溶剤性:
厚さ5mmの成形体を、100%アセトン液に30分間浸漬したときの層間剥離状態を目視観察し、次の基準で評価した。
○:層間剥離がないもの。
×:層間剥離があるもの。
Figure 0004402936
本発明は、十分な難燃性、成形加工時における熱安定性、その他の各種特性を有すると共に、成形体とした場合に良好な外観、高い軟化温度、その他の優れた各種特性を有する、難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を得ることができる。
また、この組成物を各種の成形法で成形して得られる成形体は、難燃性に優れ、発煙量も少なく、高い軟化温度を有し、外観も良好となるため、特に硬質の塩化ビニル系樹脂を使用した本発明の樹脂組成物による成形体は、航空機、船舶、車両等の輸送機内外機材;建築物内外装材;家具、事務用具等の日用品;家電機器、電子機器等のハウジング材;半導体装置の部品等として好適である。
特に、その中でも押出連続プレス成形法による本発明の押出成形体は、熱加工時の艶戻りがなく、耐溶剤性に優れ、かつ高い厚み精度を有するため、上記のような種々の成形品の原体として良好に使用することができる。

Claims (3)

  1. 塩化ビニル系樹脂100質量部、
    亜鉛化合物、モリブデン化合物、錫化合物より選ばれる少なくとも一種の無機防煙剤0.5〜10質量部、
    アルミニウム系およびマグネシウム系の金属水酸化物、ゼオライトより選ばれる少なくとも一種0.01〜10質量部、および
    ポリアルキルメタクリレート類、ポリアルキルアクリレート類の加工助剤の少なくとも一種0.1〜10質量部、
    を含んでなる難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を押出連続プレス成形して得られることを特徴とする押出成形体
  2. 前記成形体のASTM E1354に準じて測定される平均発熱量が65kW/m2以下であり、平均減光積が800m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の押出成形体
  3. 前記成形体のビカット軟化温度が70℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の押出成形体
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