JP2011247412A - 耐火用配管材 - Google Patents

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Abstract

【課題】防火性能に優れ、かつ、物性が良好で、彩色が可能であり、リサイクル性にも優れた耐火用配管材を提供すること。
【解決手段】耐火用配管材は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成される耐火用配管材であって、ISO834−1(平成12年6月1日に施工された改正建築基準法に基づく防火区画等を貫通する管の性能試験の評価方法)に従って行われた耐火試験により、加熱側の配管材の露出長さがゼロにならない長さを保持しつつ少なくとも1回短くなる状態が存在し、かつ、加熱側の配管材の露出長さが耐火試験終了時にゼロにならない長さを保持し、貫通孔を閉塞に近い状態にする残渣を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐火用配管材に関し、特に、建築物内に設置される配管材について耐火性が付与された配管材に関するものである。
建築物内に配管(電線管、排水管、ダクト等)を設置する場合には、建築物の床、壁、間仕切り等の仕切り部に、配管等を貫通させる貫通孔(区画貫通部)を設け、この区画貫通部に配管を貫通させた後、区画貫通部と配管との間に隙間が生じないように、モルタル等で隙間を閉塞する防火措置工法が採られている。
配管材が金属製である場合には、それ自体に耐熱性および不燃性があるので、上記の防火措置工法で特に問題はないが、配管材が合成樹脂製である場合には、金属製に比べて軽量で取り扱い性に優れるという利点はあるものの耐熱性に劣るという欠点がある。したがって、合成樹脂製の配管材では、火災時に燃焼によって焼失したり熱変形して、区画貫通部に隙間が生じて貫通孔ができ、仕切り部の一方の側で発生した熱、火炎、煙等が他方の側へ到達してしまう恐れがある。
合成樹脂製の配管材に主に使用される原料としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。塩化ビニル系樹脂製の配管材には通常熱安定剤が使用され、使用される熱安定剤としては種々の熱安定剤が存在し、用途によって使い分けられている。最も良く使われている熱安定剤としては鉛系熱安定剤が挙げられ、成形性、原料費等の面で有利である。ところで、上水道用途には、有害物質である鉛を溶出させないような配管材を使用する必要があり、一般的に、Ca−Zn系熱安定剤、Ba−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤または錫系熱安定剤が使用されている。Ca−Zn系熱安定剤、Ba−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤または錫系熱安定剤は、鉛系熱安定剤と比べて高価であり、成形性が悪いので、一般的には上水道用途以外には使用されず、上水道用の特殊用途に使用されている。
耐火用配管材として、合成樹脂製の配管材の外面に、アルミガラスクロス、モルタル等の耐火被覆層を積層した耐火用配管材が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この耐火用配管材は、異種材料を複合して形成しているので連続成形が困難であり、生産性に劣るという問題点があった。また、外面をモルタルで被覆した耐火用配管材は、重量が非常に重くなるため運搬時や施工時の作業性に劣るという問題もある。
一方、合成樹脂製の配管材の外面に、防火用膨張性を備えたシート状被覆材を巻きつける防火措置工法も採用されている。しかし、このようなシート状被覆材を用いた防火措置工法の場合には、まず合成樹脂製の配管材を仮配管してシート状被覆材を巻きつける部位の位置決めを行い、次いでシート状被覆材を配管材に巻きつけて配管材の支持、固定を行い、その後、開口部をモルタルで埋め戻すので、作業工数が多く、施工時間が長くかかる上、シート状被覆材を配管材に巻きつけた後は、配管の位置調整がやりにくいという問題がある。
上記問題を解決するために、耐火膨張性を有する樹脂組成物を配管材自体や貫通部の閉塞材料として用いる技術が開示されている。例えば、防火区画体の貫通部の閉塞材料として、ゴム、熱可塑性エラストマー、液状ポリマー等のベース樹脂に、無機系膨張剤として熱膨張性黒鉛を配合するとともに、型崩れ防止用樹脂としてポリカーボネート樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂等を配合した防火用膨張性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が知られており、また、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂に、リン化合物、熱膨張性黒鉛、および、無機充填剤を多量に含有させた樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、前者の防火用膨張性樹脂組成物は、ベース樹脂としてゴム、熱可塑性エラストマー、液状ポリマー等が用いられているため、得られる配管材は機械的強度に劣るという問題がある。
一方、後者の特許文献3に開示された樹脂組成物は、難燃性には優れているものの、無機充填剤、熱膨張性黒鉛、リン化合物等の含有比率が高いため成形性に劣り、また、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物が押出成形や射出成形の際に分解して成形体の外観を損ねるおそれがある。リン化合物の分解を抑えるために低温で成形した場合には、得られる成形体の機械的強度や耐衝撃性が低下するおそれがある。
熱膨張性黒鉛を含有したポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる建築用配管材(例えば、特許文献4参照)は、施工性は良いが、この建築用配管材は黒鉛由来の黒色を呈するため、自由に彩色できないという問題があった。さらに熱膨張性黒鉛は、塩化ビニルとの相溶性が悪く、また、分散粒子径も数ミクロン以上の内部欠陥を誘発する分散状態をしているため配管材の穴あけ時等にクラックが入りやすく、パイプとしての伸びが低いという問題があった。さらには、熱膨張性黒鉛は熱により分解するため、配管材の色、機械的強度および加工性の観点からリサイクルには不向きな材料であった。
登録実用新案第3036449号公報 特開平9−176498号公報 特開平10−95887号公報 特開2008−180068号公報
防火性能という観点からは、配管材自体が防火性能を発揮することが好ましい。そのためには、配管材に以下の機能を持たせることが必要である。
(1)配管材の燃焼速度を遅延させて、非加熱側に火炎を噴出させないこと。
燃焼速度を遅延させるには、配管材自体の燃焼を防止すると共に、燃焼時に管壁を熱膨張させたり、あるいは他の手段により、区画貫通部内への熱流入をできるだけ防ぐようにすることが望ましい。すなわち、加熱側において、配管材を閉塞に近い状態にし、遮炎することが最良の手段である。また、残渣が燃え尽きないことがより好ましい。
(2)燃焼時においても、配管材とその外周のモルタルとのシール性を保持して、非加熱側で発煙させないこと。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、防火性能に優れ、かつ、物性が良好で、彩色が可能であり、リサイクル性にも優れた耐火用配管材を提供することにある。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の耐火用配管材は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成される耐火用配管材であって、ISO834−1(平成12年6月1日に施工された改正建築基準法に基づく防火区画等を貫通する管の性能試験の評価方法)に従って行われた耐火試験により、加熱側の配管材の露出長さがゼロにならない長さを保持しつつ少なくとも1回短くなる状態が存在し、かつ、加熱側の配管材の露出長さが耐火試験終了時にゼロにならない長さを保持し、貫通孔を閉塞に近い状態にする残渣を形成することを特徴とする。
本発明において、前記難燃性樹脂組成物は、さらに、硼珪酸ガラスを含有することが好ましい。
本発明において、耐火用配管材は、外層、中間層および内層を有する、少なくとも3層からなる耐火用配管材であって、該中間層が前記難燃性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
ここで、前記外層および前記内層はモリブデン系防煙剤を含有することが好ましい。
本発明の配管構造は、上記いずれかの耐火用配管材を使用して、建築物等の構造物内を貫通して配管されたことを特徴とする。
本発明の耐火用配管材は、配管材自体が防火性能を有しており、優れた防火性能を発揮し、かつ、機械的特性等の物性が良好で、彩色可能であり、しかもリサイクル性にも優れている。
配管材の配管状態を模式的に示す図であり、その配管状態の一部を床材の側から見た正面図である。 耐火性能試験に使用される耐火試験炉を示した斜視図である。
以下に、本発明について詳しく説明する。
本発明の耐火用配管材は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成された配管材であり、かつ、ISO834−1(平成12年6月1日に施工された改正建築基準法に基づく防火区画等を貫通する管の性能試験の評価方法)に従って行われた耐火試験により、加熱側の配管材の露出長さがゼロにならない長さで少なくとも1回短くなる状態が存在し、かつ、加熱側の配管材の床材1からの露出長さがゼロにならない長さを保持し、貫通孔を閉塞に近い状態にする残渣を形成するものである。すなわち、ISO834−1の評価方法に準拠して、例えば、床材に配管材を貫通施工し、配管材の一端部を床材の加熱側の面から加熱領域に300mm露出させ、配管材の他端部を床材の非加熱側の面から非加熱領域に800mm露出させた状態で、加熱領域を加熱する耐火試験を実施した場合に、加熱領域内の配管材の床材1からの露出長さが、隙間から煙が発生するまでの間に、ゼロにならない長さで少なくとも1回短くなる状態が発生することをいう。
本発明で言うところの配管材が短くなる状態とは、溶融して滴り落ちたり、焼け落ちてしまうような、従来の配管材の一般的な炎焼状態とは異なるものである。すなわち、本発明で言うところの配管材が短くなる状態とは、配管材の床材1からの露出長さがゼロにならない長さを保持しつつ、配管材の一部分がズリ落ちて露出長さが短くなる状態であり、一例としては、配管材の一部分が、表皮が剥けて、ずり落ちるように脱落して配管材の露出長さが短くなっていく状態である。本発明においては、このような部分脱落が少なくとも1回発生するが、加熱側の配管材の床材1からの露出長さはゼロにならない長さを保持していることが必要である。また、配管材は、残渣を形成して貫通孔を閉塞に近い状態にすることができる。
ここで、残渣とは、配管材が燃焼し、炭化した部分を言う。また、貫通孔を閉塞に近い状態にするとは、耐火試験前の耐火用配管材の内径開口部面積に対する耐火試験後の耐火用配管材の内径開口部の最小内径開口部面積が50%以下であり、好ましくは45%以下であり、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下である。なお、かかる数値が0%の場合、すなわち、完全に閉塞された状態も本願発明に含まれる。
従来の樹脂製の配管材では、通常、加熱されると1度に焼け落ちてしまうか、残渣が形成される前に消失してしまうか、あるいは、残渣が形成されても残渣の重さで残渣の大量脱落が生じて炎道を形成したり、膨潤して隙間が発生して炎道を形成してしまうこと等があった。これに対し、本発明の配管材が難燃性樹脂組成物を用いて形成されていれば、配管材自体の難燃効果が発揮されるので、燃焼の進行を阻止し、非加熱領域への火炎、煙の侵入を防ぐことができる。また、燃焼側に露出している配管材の全体が一度に脱落してしまうことはなく、配管材の露出長さがゼロにならない長さを保持しつつ、露出長さが短くなる状態が1回以上起こり、また、残渣が形成されて貫通部を閉塞に近い状態にすることができる。しかも、配管材の露出長さが1回以上短くなる状態を経由しているので残渣の軽量化を図ることができており、残渣の大量脱落を生じさせることなく効果的に貫通孔を閉塞に近い状態にし、燃焼の進行を阻止することができ、加熱側からの火炎、煙の噴出を阻止することができる。
上記したように、本発明の配管材は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成される。
ここで、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して、Ca−Zn系複合熱安定剤、Mg−Zn系複合熱安定剤およびCa−Mg−Zn系複合熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つが配合される理由は、例えば排水管用途に用いられる一般的なPb系熱安定剤を塩化ビニル系樹脂に配合すると、塩素の捕捉性が高いため、難燃性を発揮するメカニズムであるラジカルトラップを阻害し、性能を十分に発揮することができなくなり、所望の難燃性が得られないという結果になりやすいからである。
また、合成ハイドロタルサイトが配合される理由は以下のとおりである。すなわち、合成ハイドロタルサイトは、分子間に有している結晶水が約180℃から脱水を開始し、その結晶水は約300℃で完全に脱離する。この状態までは合成ハイドロタルサイトは結晶構造を保持しているが、約350℃を超えると結晶構造が崩壊し始め、水と二酸化炭素を放出する。そして、合成ハイドロタルサイトは、塩化ビニル系樹脂の熱分解温度である約200℃〜300℃よりも60℃〜75℃低い温度で吸熱分解を開始するため、塩化ビニル系樹脂の熱分解をハイドロタルサイトの吸熱分解で効率的に抑制することができ、塩化ビニル系樹脂が炭化した状態をより長く維持することが可能となる。
従来において、合成ハイドロタルサイトは耐熱性を改善するために使用されてきたが、その効果を発揮するための温度域は約100℃前後であった。しかも、合成ハイドロタルサイトは強い吸水性、吸湿性を有しているため、樹脂の成形においては、この吸水性、保湿性をいかに抑えることができるかが重要であり、この技術課題を念頭においた研究がなされてきた。
本発明者らは、従来は問題視されていた合成ハイドロタルサイトの強い吸水性および吸湿性に着目し、合成ハイドロタルサイトが約180℃以上の高温度域において優れた脱水効果を発揮すること、及び、塩化ビニル系樹脂の熱分解の抑制に特に優れた効果があることを見出して、耐火性能を有する樹脂性配管材の発明にいたった。
本発明に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルモノマーと該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、塩化ビニル以外の他のポリマー(共重合体も含む)に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。本発明において、これらは単独で使用しても良いが、2種類以上を併用することもできる。また、必要に応じて、上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化しても良い。塩化ビニル系樹脂の塩素化方法としては、特に限定されることなく従来公知の塩素化方法を採用することができ、例えば、熱塩素化方法、光塩素化方法等を使用することができる。
上記の塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα―オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いが、2種類以上を併用することもできる。
上記のグラフト共重合体に用いられる塩化ビニル以外の他のポリマー(共重合体を含む)としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであれば特に限定されることなく使用できるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いが、2種類以上を併用することもできる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されるものではないが、平均重合度が小さいと得られる成形体の物性低下が起こりやすく、平均重合度が大きいと溶融粘度が高くなって成形が困難になりやすいので、平均重合度が400〜1,600の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは600〜1,400である。本発明において平均重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、ろ過して不溶成分を除去した後、ろ液中のTHFを乾燥除去し、得られた樹脂を試料として日本工業規格JIS K−6721の「塩化ビニル樹脂試験法」に準拠して測定した平均重合度を意味するものとする。
上記塩化ビニル系樹脂は、特に限定されることなく従来公知の重合方法により重合することができるが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等により重合することができる。
また、上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば耐火性能を阻害しない範囲内で、架橋、変性等の処置が施されていても良い。この場合には、予め架橋、変性した樹脂を用いても良いが、添加剤等を配合する際に、同時に架橋、変性を行っても良いし、あるいは、樹脂に各種成分を配合した後に架橋、変性を行っても良い。架橋方法としては、特に限定されることなく塩化ビニル系樹脂に通常使用される架橋方法を採用することができ、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋方法、電子線照射による架橋方法、水架橋性材料を使用する架橋方法等を使用することができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「TK1000HN」(平均重合度:1030)などを商業的に入手することもできる。
本発明に用いられるMg−Zn系、Ca−Zn系およびCa−Mg−Zn系の熱安定剤は金属石鹸の熱安定剤であることが好ましい。Mg−Zn系、Ca−Zn系およびCa−Mg−Zn系金属石鹸の熱安定剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が種々組み合わされて用いられる。該マグネシウム成分及び該カルシウム成分としてはマグネシウム及びカルシウムの有機酸塩、マグネシウム及びカルシウムの無機酸塩等のマグネシウム塩及びカルシウム塩などが好ましいものとして挙げられ、該亜鉛成分としては亜鉛の有機酸塩、亜鉛の無機酸塩等の亜鉛塩などが好ましいものとして挙げられる。
ここで、好ましく用いられる有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オクチル酸、安息香酸等の脂肪酸が挙げられ、好ましく用いられる無機酸としては、水酸化物、酸化物、リン酸、亜リン酸、ケイ酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、ホウ酸、炭酸等が挙げられる。また、耐熱性の向上等の目的に応じて、ナトリウム等の有機酸塩を上記金属石鹸と併用することができる。
Mg−Zn系熱安定剤の構成成分のうち、マグネシウム成分及びカルシウム成分は後期熱安定性の向上効果があり、亜鉛成分は初期安定性の向上効果がある。マグネシウム成分及びカルシウム成分の添加量を増やしていくと長期安定性は良好になるが、初期の赤色変色を防ぐためには亜鉛成分を併用することが必要である。但し、亜鉛成分の添加量が多くなりすぎると、いわゆる亜鉛ヤケが発生するので添加量には注意が必要である。本発明においては、マグネシウム成分及びカルシウム成分としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムが好ましく使用され、亜鉛成分としてはステアリン酸亜鉛が好ましく使用される。
ステアリン酸マグネシウムについては、水澤化学工業株式会社製の「FACII」等を商業的に入手することもでき、ステアリン酸カルシウムについては、
水澤化学工業株式会社製の「NT−C1」等を商業的に入手することもできる。また、ステアリン酸亜鉛については、水澤化学工業株式会社製の「NT−Z1」を商業的に入手することができる。
本発明において、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.4質量部以上、2.5質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは0.6質量部以上、2.0質量部以下、特に好ましくは0.9質量部以上、1.3質量部以下である。Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの配合量が0.4質量部以上、2.5質量部以下であれば、塩化ビニル系樹脂の難燃性を飛躍的に向上させて、本発明の効果を実現することができる。
上記したように、本発明における難燃性樹脂組成物は合成ハイドロタルサイトを含有する。ここで使用される合成ハイドロタルサイトは、化学名をマグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレートと言い、下記の一般式で表される。

[MgAl(OH)16CO・4HO]
本発明に用いられる合成ハイドロタルサイトは、平均粒径が0.1μm〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3μm〜1.0μmである。合成ハイドロタルサイトは、例えば、協和化学株式会社製の「アルカマイザー1」等を商業的に入手することもできる。
ここで言う平均粒径とは、粒度分布において積算(累積)百分率で表される積算値が50%となる粒子径の値とする。
合成ハイドロタルサイトの配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、2質量部以上、12質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは2.5質量部以上、10質量部以下であり、特に好ましくは3質量部以上、7質量部以下である。合成ハイドロタルサイトの配合量が2質量部以上、12質量部以下であれば、塩化ビニル系樹脂の難燃性を飛躍的に向上させて、本発明の効果を実現することができる。
本発明の耐火用配管材を形成する難燃性樹脂組成物には、更に、硼珪酸ガラスを添加することができる。硼珪酸ガラスの軟化点は600〜800℃であるので、燃焼時に形成する残渣をガラスでコーティングすることができ、結果として残渣への酸素の供給を阻害することになり、また、残渣から発生する可燃性ガスの燃焼場への放出を阻害することになり、塩化ビニル系樹脂の難燃性を飛躍的に向上させることができ、燃焼時に形成された残渣の形状保持に大きく貢献する。本発明において、硼珪酸ガラスは平均粒径が0.01μm以上、250μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、100μm以下であることが更に好ましい。平均粒径が0.01μm未満では、粉体としての取り扱いが困難になることがあり、250μmを超えると、得られる成形体の表面に無機化合物粒が突出等することがあるので成形体の外観状態が低下することがある。ここで言う平均粒径とは、粒度分布において積算(累積)百分率で表される積算値が50%となる粒子径の値とする。
硼珪酸ガラスとしては、例えば、日硝マテリアル株式会社製の「F−C」を商業的に入手することもできる。
硼珪酸ガラスの配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して2質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは3質量部以上、8質量部以下であり、特に好ましくは4質量部以上、7質量部以下である。硼珪酸ガラスの配合量が2質量部以上、10質量部以下であれば、塩化ビニル系樹脂の難燃性を飛躍的に向上させて、上記効果を実現することができる。
本発明に用いられる難燃性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定化助剤、無機充填剤、滑剤、加工助剤、衝撃性改質剤、耐熱性向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマー等の添加剤を添加しても良い。
熱安定化助剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。内部滑剤は成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を低下させ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。内部滑剤としては、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
外部滑剤は成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を向上させる目的で使用される。外部滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
加工助剤としては、例えば、重量平均分子量が10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤等が挙げられる。このアクリル系加工助剤としては、例えば、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
衝撃性改質剤としては、例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、アクリルゴム等が挙げられる。
耐熱性向上剤としては、例えば、α−メチルスチレン系樹脂、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系坑酸化剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系等の無機顔料などが挙げられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂には可塑剤を添加することができるが、可塑剤は得られる成形品の耐熱性や耐火性を低下させることがあるので多量に使用することはあまり好ましくない。用いられる可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等の塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いが、2種類以上を併用しても良い。
無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。無機充填剤を配合すれば、燃焼時に形成される残渣の形状保持性が良好になる。
無機充填剤の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0質量部以上、10.0質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは3質量部以上、7.0質量部以下である。無機充填剤の配合量が10.0質量部を超えると得られる配管材の機械的強度が損なわれる可能性がある。
上記添加剤をポリ塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては特に限定されず一般的な方法を採用することができるが、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等を使用することができる。
本発明の耐火用配管材は単層構成でも良いが、2層以上の積層構成でも良い。積層構成の場合には、中間層に上記難燃性樹脂組成物からなる層を配置することが好ましく、例えば、少なくとも外層、中間層および内層をこの順に含む積層構成であることが好ましい。耐火用配管材の中間層として難燃性樹脂組成物からなる層を設けることにより、耐火性能を発揮しつつ所望の機械的強度を実現することができる。また、中間層に上記樹脂組成物からなる層を配置していれば、例えば、外層と中間層との間や、中間層と内層との間に他の層を有する多層構成とすることができ、他の層の種類等も用途等に応じて適宜設計することができる。
本発明において、外層(最外層)と内層(最内層)は、モリブデン系防煙剤を含有する樹脂組成物を用いて成ることが好ましい。このように、外層および内層にかかる樹脂組成物を用いてなる層を配置することにより、更なる耐火性能を付与することができる。モリブデン系防煙剤としては、例えば、キクチカラー株式会社製の「SKR808M」を商業的に入手することもできる。なお、外層、内層等には、適宜、熱安定剤や、上述した熱安定化助剤、無機充填剤、滑剤、加工助剤、衝撃性改質剤、耐熱性向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
外層、中間層、内層などの各層の厚みは使用目的等に応じて適宜定めることができるが、中間層の厚みは配管材の厚み(全体の肉厚)の60%以上であることが好ましく、更に好ましくは70%以上である。中間層の厚みが全体の肉厚の70%以上であれば、耐火性能を十分に発現することができ、例えば、外層等に一般的なPb系熱安定剤等を含有させても十分な耐火性能を発揮することができる。なお、配管材の外径、内径等は使用目的、場所等に応じて適宜決定されることが好ましい。
本発明の耐火用配管材は、一般的に用いられる押出成形機、射出成形機によって製造される。成形機の種類やスクリュー形状等は、得られる成形体の引張強度や衝撃強度等を考慮して十分に混練できるものであれば特に限定されることなく自由に選択することができるが、例えば、連続成形可能な押出成形機が好ましく用いられる。また、多層構成の耐火用配管材の場合は、前記押出成形機に一般的に使用されている多層構造の口金金型を使用することができる。
本発明の耐火用配管材は、例えば、建築物内に設置される電線管、排水管、ダクト等の配管として使用することができ、建築物等の構造物内を貫通して配管し、優れた防火性を実現しうる配管構造とすることができる。例えば、建築物内配管は、通常、立管用パイプ、管継手、横枝管用パイプ等から構成されており、本発明の耐火用配管材はこれらのいずれの形状にも成形することができる。図1を用いて具体的に説明すると、管継手3の管継手本管部31は、立管用パイプ2が嵌合可能な上部受口31aと下部受口31bとを備えていて、立管用パイプ2とほぼ同じサイズの内径を有する筒状であり、中間部分には横枝管接続部32が連通状態で接続されている。この横枝管接続部32は、横枝管用パイプ6が嵌合可能な受口32aを備えている。また、本発明の耐火用配管材は、通常の配管と嵌合することも可能であり、必要に応じて、本発明の配管材を配置することもできる。
一般的に、建築物内配管は以下のように配管施工されている。すなわち、管継手3の本体下端部分に備えられている下部受口31bが、床スラブ(床材)1の貫通孔41内に臨むように配置され、床スラブ1の下側に配置される立管用パイプ2の上端部を管継手3の下部受口31bに貫通孔内で接続した後、貫通孔41と管継手との隙間をモルタル7で充填する。次いで、管継手3の本体上端部分に備えられている上部受口31aに、立管用パイプ2の下端部が接続され、管継手3に備えられている横枝管接続部32の受口32aには横枝管用パイプ6が接続される。
例えば、ある階で火災が発生して排水用立管用パイプが火炎に曝された時に、立管用パイプ自体が燃焼遅延効果を発揮して遮熱、遮炎、遮煙の機能を有するパイプであるならば、他の階への熱、炎、煙の侵入を防ぎ、延焼を防ぐことができる。また、立管用パイプ自体が燃焼遅延効果を発揮するならば管継手自体の燃焼を防ぐことができるので、管継手と貫通孔に充填されたモルタルとの間に隙間が生じることもなく、他の階への煙、熱、炎の流入を長時間防ぐことができる。
本発明の耐火用配管材は、ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成されているので、成形性に優れており、例えば、射出成形、押出成形等によって高い寸法精度で連続的に生産することができる。
本発明の耐火用配管材を構成しているポリ塩化ビニル系樹脂は、燃焼初期に発泡することができるので、遮熱性に優れていて自己消化性があり、燃焼速度の遅延を効果的に発現して燃焼時の火炎の伝播速度を抑制することができる。また、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを更に配合することにより、自己消化性が更に向上し、合成ハイドロタルサイトを更に配合することにより、吸熱効果が発揮されて難燃性が向上する。
したがって、本発明の耐火用配管材は、配管材自体が優れた耐火膨張性を有していて燃焼時には膨張して通路を閉塞に近い状態にすることができ、また、燃焼速度の遅延効果も発揮するので、区画貫通部で仕切られた他の側(未焼部分)に火炎や煙が回ることを阻止することができる。よって、従来の施工のように、配管材の周囲に耐火部材を設ける必要がなく、施工が容易である。また、本発明の耐火用配管材を用いれば、従来の施工では必要とされていた施工時の仮配管時の位置確認マーキングの作業が不要となり、単に、区画貫通部に耐火用配管材を挿通させるだけで良いので作業を大幅に軽減することができ、現場施工性を飛躍的に向上させることができる。しかも、本発明の耐火用配管材は、従来の塩化ビニル樹脂製パイプの外周に繊維強化モルタルを被覆した、いわゆる耐火二層管と比べて、管外径を小さく抑えることができるので、貫通孔を複数設ける必要があっても各貫通孔の間隔を小さくすることができ、また、床下に配管する場合でも勾配がとりやすくなる、などの利点があり、施工性が画期的に向上する。
本発明においては、耐火用配管材を形成する樹脂組成物に更に硼珪酸ガラスを含有させることができ、この場合には、難燃効果が更に高まり、燃焼時に形成される残渣について形状保持性を発揮することができる。
また、耐火用配管材が多層構成を採用し、中間層が上記難燃性樹脂組成物を用いて成る場合には、耐火性能を発揮しつつ、所望の機械的強度を得ることもできる。また更に、多層構成の外層と内層がモリブデン系防煙剤を含有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いて成る場合には、更なる耐火性能を付与することができる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において使用された耐火性能の評価は、下記に示すようにして行われた。
すなわち、平成12年6月1日に施工された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法:ISO834−1に準拠して、耐火試験炉X(図2参照)を用いて2時間耐火試験を実施した。
評価対象は作製したパイプ形状の管材であり、長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125Aの管材、または、長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100Aの管材である。
図2において、床材1には、軽量気泡コンクリート板(長さ600mm×幅600mm×厚さ150mm)を使用し、防火措置工法として、管材20と区画貫通部との間隙をモルタルで閉塞した。
管材20の一端部が床材1の加熱側の面から加熱側領域(加熱室)4に300mm、他端部が床材の非加熱側の面から非加熱領域に800mm露出するように管材20を配置した。耐火試験炉Xの加熱室4には、内部の側壁の2箇所にバーナー(V1,V2)が設置されており、また、炉内熱電対5の熱接点2個が、床材1の試験面に対して均等に配置されるように、床材から100mm離れた位置に設置されており、軽量気泡コンクリート板より10mm高い位置の管材20の表面温度が測定できるように別の熱電対も設置されている。さらにまた、耐火試験炉Xには炉内圧力を測定できる装置(図示せず)も設置されている。
耐火試験炉の操作は、加熱温度の時間経過が下記式で表される数値を満たすように2個のバーナーを用いて加熱した。

345×log(8×T+1)+20 T:時間(分)
加熱開始後、区画貫通部と配管材との隙間から煙が発生するまでに要する時間(発煙時間)を測定して、2時間耐火試験を行った。120分以上発煙しなかったものが合格レベルである。なお、煙の発生(発煙)の有無は目視で判断した。
また、加熱領域に露出している管材が短くなっていく回数を測定した。例えば、管材の一部分がズリ落ちていくように短くなっていく状態が発生したならば、その短くなった回数を1回というようにカウントしていき、煙が発生するまで測定して、その間に短くなった回数を求めた。
また、貫通部を閉塞させるような残渣が形成されたか否かも観察した。かかる残渣が形成された場合には記号「○」、かかる残渣が形成されなかった場合には記号「×」で示した。
更にまた、上記評価結果を総合評価として表中に表示した。すなわち、発煙時間が120分以上であり、所定の残渣が形成された場合には記号「○」で表示し、1つでもこの条件を満たさないものを記号「×」で表示した。
[実施例1]
ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を5質量部の割合で配合して中間層用樹脂組成物を作製した。得られた中間層用樹脂組成物を中間層の形成に用いた。外層および内層のそれぞれには、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部、モリブデン系防煙剤を1.0質量部の割合で配合した樹脂組成物を用いた。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を用い、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A、中間層の厚み80%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を5質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部、モリブデン系防煙剤を1.0質量部の割合で配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A、中間層の厚み80%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.1質量部、ステアリン酸亜鉛を0.4質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部の割合で配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.15質量部、ステアリン酸亜鉛を0.6質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部の割合で配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A、中間層の厚み80%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.3質量部、ステアリン酸亜鉛を1.2質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.4質量部、ステアリン酸亜鉛を1.6質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
表1に示すように、中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.1質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部(0.4質量部+0.4質量部)、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸カルシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを6質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例10]
ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を10質量部の割合で配合した。得られた樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により単層構成のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを4質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例12]
中間層用樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が20μmの硼珪酸ガラスを8質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を3.6質量部の割合で配合した。外層および内層のそれぞれに用いられる樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸鉛(水澤化学工業(株)製の「NC18ED」)を2.0質量部配合した。得られた中間層用樹脂組成物および内外層用の樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により3層構成(外層/中間層/内層)のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A、中間層の厚み75%)を作製した。得られた管材について耐火性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、および、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部の割合で配合した。得られた樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により単層構成のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径114mm、厚さ7.1mm、呼び径100A)を作製した。得られた管材について耐火性能の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
[比較例2]
通常の配管として市販されている単層構成の鉛配合のポリ塩化ビニル管(PVC100質量部に対しPb系熱安定剤2質量部配合、長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A)について耐火性能の評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例3]
ポリ塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度:1030)100質量部に対し、ステアリン酸マグネシウムを0.2質量部、ステアリン酸亜鉛を0.8質量部、平均粒径が0.4μmの合成ハイドロタルサイト(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)を15質量部の割合で配合して樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を押出成形機に投入し、押出成形により単層構成のパイプ形状の管材(長さ1,300mm、外径140mm、厚さ7.5mm、呼び径125A)を作製した。得られた管材について耐火性能の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2011247412
Figure 2011247412
表1から明らかなように、実施例1〜12の配管材は、成形性、機械的強度等の物性値および耐火性の全てにおいて優れており、燃焼時に床材で仕切られた非加熱領域へ火炎や煙が回ることを長時間阻止できることが分かった。
一方、表2から明らかなように、比較例1〜3の管材は発煙時間が短く耐火性に劣っていることが分かった。
すなわち、本発明の配管材は、従来の耐火膨張性のシート状被覆材で区画貫通部に耐火処置を施した配管とは異なり、配管全体に耐火性を付与することができたので、非常に優れた耐火性を発揮することができた。上記実施例で行った耐火試験では、耐火炉内に配管材の一端部を突出させた状態で加熱する代用評価法によって耐火性の評価を行ったが、もしも実際の建物内の各階のスラブ間あるいは建物内の各フロアの仕切壁間を貫通させて配管した実施工状態で火災になった場合には、さらに顕著な耐火性能の差が現れるものと思われる。すなわち、本発明の配管材は、燃焼時には管全体が長時間の燃焼に耐えることができ、燃焼室外に炎や煙が回り難く、類焼を効果的に阻止できると思われる。また、本発明の配管材は2時間を超える耐火性能を有しており、従来には存在しない優れた性能を発揮することができる。
なお、実施例では管材の呼び径を100Aまたは125Aとしたが、他の径であっても同様の効果が得られる。また、実施例1〜12の管材は熱膨張性黒鉛を含有していないので彩色が可能であり、また、リサイクル性にも優れている。
本発明の耐火用配管材は、建築内用の配管材等に好ましく適用することができるが、顕著な耐火性が要求される部分における配管材として、幅広い分野で使用することができる。
X 耐火試験炉
1 床材
2 立管用パイプ
3 管継手
4 加熱室
5 炉内熱電対
6 横枝管用パイプ
7 モルタル
20 管材
31 管継手本管部
31a 上部受口
31b 下部受口
32 横枝管接続部
32a 受口
41 貫通孔

Claims (5)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂と、Ca−Zn系熱安定剤、Mg−Zn系熱安定剤およびCa−Mg−Zn系熱安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1つと、合成ハイドロタルサイトとを含有する難燃性樹脂組成物を用いて形成される耐火用配管材であって、ISO834−1(平成12年6月1日に施工された改正建築基準法に基づく防火区画等を貫通する管の性能試験の評価方法)に従って行われた耐火試験により、加熱側の配管材の露出長さがゼロにならない長さを保持しつつ少なくとも1回短くなる状態が存在し、かつ、加熱側の配管材の露出長さが耐火試験終了時にゼロにならない長さを保持し、貫通孔を閉塞に近い状態にする残渣を形成することを特徴とする耐火用配管材。
  2. 前記難燃性樹脂組成物が、さらに、硼珪酸ガラスを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐火用配管材。
  3. 外層、中間層および内層を有する、少なくとも3層からなる耐火用配管材であって、該中間層が前記難燃性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の耐火用配管材。
  4. 前記外層および前記内層が、モリブデン系防煙剤を含有することを特徴とする請求項3に記載の耐火用配管材。
  5. 請求項1から4の耐火用配管材を使用し、構造物を貫通して配管することを特徴とする配管構造。
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